説明

コンピューティング装置、同期方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】ユーザイベントが発生した場合でも迅速にデータを同期させる。
【解決手段】ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置において、前記対象データを格納するローカル記憶装置と、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期手段と、ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出手段と、を備え、前記同期手段は、前記ユーザイベント検出手段で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピューティング装置、同期方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、クラウドコンピューティング環境の整備が進んでおり、オンラインストレージサービス(データ同期システム)を利用するユーザも増えている。オンラインストレージサービスとしては、例えば、Dropbox.incが提供するDropboxシステムやEvanoteシステムが有名である。Dropboxシステムでは、クライアント・コンピュータとサーバ・コンピュータのファイルを同期させることで、ネットワークで接続された複数のクライアント・コンピュータ間でファイルを同期させることが可能となっている。ユーザは各クライアント・コンピュータにDropboxというソフトウェアをインストールしてMy Dropboxというフォルダを作成し、作成したファイルをMy Dropboxにいれるだけで複数のクライアント・コンピュータ間で同期させることができる。
【0003】
図7は、従来のデータ同期システムを説明するための図である。例えば、ノート型PCとサーバでファイルを所定時間間隔T1で同期させている場合に、時刻t1でノート型PCの蓋(リッド)を閉じてしまうと、ノート型PCはスタンバイ状態に移行するため、時刻t2ではファイルの同期が行われない。このため、前回同期した時刻t0からt1までのT2間のデータの更新は、ノート型PCがスタンバイ状態から復帰した後でないと、サーバのファイルには反映されない。このため、他の端末からは、更新されたデータをしばらく確認することができない。このように、蓋を閉じる等のユーザイベントが発生した場合に、迅速にデータを同期させることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−155710号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】URLがhttp://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/11/13/437のWebサイト
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のコンピュータ間でデータを同期させる場合に、ユーザイベントが発生した場合でも迅速にデータを同期させることが可能なコンピューティング装置、同期方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置において、前記対象データを格納するローカル記憶装置と、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期手段と、ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出手段と、を備え、前記同期手段は、前記ユーザイベント検出手段で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、ユーザ操作により開閉可能な蓋を備え、前記ユーザイベント検出手段は、前記蓋の開閉を検出するリッドセンサであり、前記同期手段は、前記リッドセンサが、前記蓋が閉じられるのを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記同期手段による同期の完了後、休止状態に移行することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、AC電圧をDC電圧に変換するACアダプタを備え、前記ユーザイベント検出手段は、前記ACアダプタの切断を検出する検出手段であり、前記同期手段は、前記検出手段が前記ACアダプタの切断を検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ユーザイベント検出手段は、前記コンピューティング装置の筐体に設けられた加速度センサであり、前記同期手段は、前記加速度センサが所定値以上の加速度を検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ユーザイベント検出手段は、ユーザの顔を検出する顔検出手段であり、前記同期手段は、前記顔検出手段がユーザの顔を検出しなくなった場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記コンピューティング装置はクライアント・コンピュータであり、前記他のコンピューティング装置は、サーバ・コンピュータであることが望ましい。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置の同期方法において、自己のローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期工程と、ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出工程と、を含み、前記同期工程では、前記ユーザイベント検出工程で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする。
【0015】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置に搭載されるプログラムであって、自己のローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期工程と、ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出工程と、をコンピュータに実行させ、前記同期工程では、前記ユーザイベント検出工程で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のコンピュータ間でデータを同期させる場合に、ユーザイベントが発生した場合でも迅速にデータを同期させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本実施の形態に係る同期システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、クライアント・コンピュータとサーバ・コンピュータ間のデータの同期の概略を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、本実施の形態に係るクライアント・コンピュータを適用したノート型PCの概略の外観図である。
【図4】図4は、図3のノート型PCの概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】図5は、同期処理の概略を説明するための図である。
【図6】図6は、同期処理を説明するための説明図である。
【図7】図7は、従来のデータ同期システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明にかかるコンピューティング装置、同期方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、システム及び方法の実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。すなわち、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの又は実質的に同一のものが含まれる。また、公知のデータ同期システム(例えば、DropboxやEvanote等)の技術は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る同期システム1の概略構成を示す図である。1又は複数のクライアント・コンピュータ10・・・とサーバ・コンピュータ20は、ネットワーク30を介してデータ通信可能に構成されている。クライアント・コンピュータ10・・・とサーバ・コンピュータ20は、それぞれの記憶部に格納された対象データの同期が可能となっている。対象データは、例えば、選択したフォルダ(フォルダ内の全ファイル)又は選択したファイルである。クライアント・コンピュータ10・・・は、例えば、ラップトップPC、デスクトップPC、PDA、及び携帯電話等である。サーバ・コンピュータ20は、例えば、同期化サービスをクライアント・コンピュータ10に提供する同期化サーバである。ネットワーク30は、例えば、インターネットである。
【0020】
クライアント・コンピュータ10は、ネットワーク30を介してサーバ・コンピュータ20とデータ通信を行うための通信モジュール11と、自己のローカル記憶装置14の対象データ14aとサーバ・コンピュータ20の記憶装置23の対象データ23aとを同期させるための同期モジュール12と、ユーザ動作に起因するイベントを検出するユーザイベント検出モジュール13と、対象データ14aを格納するローカル記憶装置14とを備えている。
【0021】
ローカル記憶装置14には、イメージ・ファイル、音声ファイル、ドキュメント・ファイル、表計算ファイル、実行可能ファイル等の各種データを保持することができる。ローカル記憶装置14の対象データ14aはアプリケーション等により更新される。
【0022】
サーバ・コンピュータ20は、ネットワーク30を介して各クライアント・コンピュータ10とデータ通信を行うための通信モジュール21と、自己の記憶装置23の対象データ23aとクライアント・コンピュータ10のローカル記憶装置14の対象データ14aとを同期させるための同期モジュール22と、対象データ23aを格納する記憶装置23とを備えている。
【0023】
クライアント・コンピュータ10の同期モジュール12は、まず、ローカル記憶装置14の対象データ14aを、サーバ・コンピュータ20の同期モジュール22に保存するように要求し、これに応じて、同期モジュール22は、記憶装置23に同じ対象データ23aを保存する。そして、同期モジュール12は、所定のタイミング(例えば、所定の時間間隔)で、同期モジュール22に対して、記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aと同期させるように要求し、これに応じて、同期モジュール22は記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aに同期させる。具体的には、同期モジュール12は、同期要求とローカル記憶装置14の更新された対象データ(更新前との差分のみでもよい)14aを同期モジュール22に出力し、同期モジュール22は、記憶装置23の対象データ23aを更新することにより、両対象データを同期させる。
【0024】
また、同期モジュール12は、ユーザイベント検出モジュール13でユーザ動作に起因する所定のイベントを検出した場合に、ローカル記憶装置14の対象データ14aとサーバ・コンピュータ20の記憶装置23の対象データ23aを同期させる。
【0025】
ここで、同期は、記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aに同期させる一方向の同期、又は、記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aに同期させると共に、ローカル記憶装置14の対象データ14aを記憶装置23の対象データ23aに同期させる両方向の同期のいずれでもよい。両方向の同期の場合は、記憶装置23の対象データ23aが他のクライアント・コンピュータ10によって変更された場合(同期による変更を含む)、その変更内容がローカル記憶装置14の対象データ14aにも反映される。
【0026】
ユーザ動作に起因する所定のイベントは、例えば、ユーザがクライアント・コンピュータ10の蓋を閉じる動作、商用電源(AC電圧)をDC電圧に変換するACアダプタをユーザが抜く動作、クライアント・コンピュータ10をユーザが所定の加速度以上で動かす動作、クライアント・コンピュータ10の設置方向をユーザが変更する動作(例えば、ノート型PCの筐体の設置(配置)位置をユーザが変更したり、ノート型PCのディスプレイの向きをユーザが変更する動作等)、ユーザの顔が検出されている状態でユーザが動いてユーザの顔が検出されなくなる動作等である。
【0027】
図2は、クライアント・コンピュータ10とサーバ・コンピュータ20間でデータを同期させる処理の概略を説明するためのフローチャートである。図2において、クライアント・コンピュータ10では、同期モジュール12は、所定のタイミングか否かを判断する(ステップP1)。所定のタイミングである場合には(ステップP1の「Yes」)、同期モジュール12は、サーバ・コンピュータ20の同期モジュール22に同期要求を出力して、記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aに同期させる(ステップP3,P4)。
【0028】
他方、所定のタイミングでない場合には(ステップP1の「No」)、同期モジュール12は、ユーザイベント検出モジュール13が所定のユーザイベントを検出したか否かを判断する(ステップP2)。ユーザイベント検出モジュール13が所定のユーザイベントを検出した場合には(ステップP2の「Yes」)、同期モジュール12は、サーバ・コンピュータ20の同期モジュール22に同期要求を出力して、記憶装置23の対象データ23aをローカル記憶装置14の対象データ14aに同期させる(ステップP3,P4)。
【0029】
本実施の形態によれば、ネットワーク30を介してサーバ・コンピュータ20と対象データの同期を行うクライアント・コンピュータ10において、対象データ14aを格納するローカル記憶装置14と、ローカル記憶装置14に格納される対象データ14aとサーバ・コンピュータ20の記憶装置23に格納される対象データ23aを同期させる同期モジュール12と、ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出モジュール13と、を備え、同期モジュール12は、ユーザイベント検出モジュール13が所定のイベントを検出した場合に、ローカル記憶装置14に格納される対象データ14aと記憶装置23に格納される対象データ23を同期させることとしたので、複数のコンピュータ間でデータを同期させる場合に、ユーザイベントが発生した場合でも迅速にデータを同期させることが可能となる。
【0030】
図3は、本実施の形態に係るクライアント・コンピュータ10を適用したノート型PC40の概略の外観図である。ノート型PC40は、同図に示すように、いずれも略直方体である本体側筐体41及びディスプレイ側筐体(以下、「リッド」とも称する)42を備える。本体側筐体41は、キーボード44、タッチパッド(ポインティング・デバイス)45等を有するHID(Human Interface Device)、電子回路基板、及び加速度センサ等を備える。ディスプレイ側筐体42は、LCD(液晶ディスプレイ)46、及びLCD46の表示面側にその上方の略中央に配置され、前方の被写体を撮像可能なカメラ部47を備える。
【0031】
さらに、本体側筐体41及びディスプレイ側筐体42は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)43a、43bによって連結されており、連結部43a、43bは、これらの筐体を開閉自在に支持している。
【0032】
図4は、上記図2のノート型PC40の概略のハードウェア構成例を示す図である。ノートPC40は、ACPIの規格に準拠している。CPU51は、ノート型PC40の中枢機能を担う演算処理装置で、OS81、BIOS65a、ドライバ82、ユーティリティプログラム83、あるいはアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」と称する)84などを実行する。
【0033】
CPU51は、アクティブ状態のときにたとえばインテル社のSpeedStep(登録商標)という技術を採用し、使用率に応じて動作周波数及び動作電圧の組を所定の値に低下させることができる。CPU51はまたアイドル状態になったり使用率が所定値以下になったりしたときに、順次コアのクロックを停止したりキャッシュをメイン・メモリや専用メモリにフラッシュしたりして消費電力を低下させ、命令を実行する際には短時間でアクティブ状態に遷移することが可能なスリーピング状態で動作することもできる。OS81は、CPU51の動作状態(使用率やその変移状況)を監視して、クロックや動作電圧を制御しCPU51の消費電力を低下させる。
【0034】
メモリ・コントローラ・ハブ(MCH)52は、メイン・メモリ54へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能、及びCPU51と他のデバイスとの間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ機能を含むチップセットである。
【0035】
MCH52にはCPU51、メイン・メモリ54、グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)55、及びアイオー・コントローラ・ハブ(ICH)53が接続されている。メイン・メモリ54は、CPU51が実行するプログラムの読み込み領域、処理データを書き込む作業領域として利用される揮発性のRAMである。GPU55には、ビデオ・メモリ(VRAM)56及びLCD46が接続されている。GPU55は、CPU51から受け取った描画命令に基づいてVRAM56に画像イメージを書き込み、所定のタイミングでLCD46に画像イメージのデータを送るための専用プロセッサで、グラフィックス・アクセラレータともいう。ICH53は周辺入出力デバイスに関するデータ転送を処理する。
【0036】
ICH53は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI (Serial Peripheral Interface)バス、 PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)などのポートを備え、HDD57、光学ディスク・ドライブ(ODD)58、無線モジュール59、オーディオ・コントローラ60、カメラモジュール61、及びLPCバス66などが接続されている。
【0037】
HDD57は、ノート型PC40全体の制御を行うための、例えば、Windows(登録商標)、MacOS(登録商標)、Linux(登録商標)等のOS81、周辺機器類をハードウェア操作するためのハードウェアドライバや中間ドライバ等の各種ドライバ82、ワープロアプリ、表計算アプリ、ブラウザアプリ、顔検出アプリ、及び同期用アプリ等の各種アプリ84、及びイメージ・ファイル、音声ファイル、ドキュメント・ファイル、表計算ファイル、実行可能ファイル等の各種データ85等を記憶する機能を有する。
【0038】
OS81は、システム状態(ACPIステート)の移行を制御する。システム状態は、6つのステートS0〜S5が規定されており、S0はフル稼働状態、S1は低消費電力状態(ただし、プロセッサ、チップセットともに電源オン)、S2は低消費電力状態(ただし、プロセッサとキャッシュは電源オフ、チップセットは電源オン)、S3はサスペンド状態、S4はハイバネーション状態、S5はソフトウェアによる電源オフを示している。
【0039】
ODD58は、DVD及びCDなどの光ディスクに対する読み取り又は書き込みを行うデバイスである。無線モジュール59は、ノート型PC40を無線LAN又は無線WANに接続して無線通信をするための信号処理をする。オーディオ・コントローラ60は、マイクロフォン及びスピーカ(いずれも図示せず。)に対する音声信号を処理する。
【0040】
カメラモジュール61は、カメラ部47と、信号処理回路64とを備えている。カメラ部47は、レンズ62と、撮像部(カメラ)63とを備えている。レンズ62は、被写体光を結像する。撮像部63は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子、及びRGBカラーフィルタ等を備えており、レンズ62で結像された被写体光を電気信号に変換してR,G,Bの画像信号として信号処理回路64に出力する。信号処理回路64は、A/D変換器、画像処理用LSI、メモリ等を備え、撮像素子の駆動タイミングや露出制御等を行うと共に、撮像部63で得られたRGBの画像信号に対して各種信号処理を行う。
【0041】
LPCバス66には、エンベデッド・コントローラ(EC)67及びROM65などの高速なデータ転送を要求しないデバイスが接続される。
【0042】
ROM65は不揮発性で記憶内容の電気的な書き替えが可能なメモリであり、入出力デバイスを制御するためのデバイス・ドライバ、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の規格に適合し電源及びシステム筐体内の温度などを管理するためのBIOS65a、ノート型PC40の起動時にハードウェアの試験や初期化を行うPOST(Power-On Self Test)コード、及びパスワード認証を行うための認証コードなどを格納する。
【0043】
EC67は、ノート型PC40の電源管理及び温度管理などを行うマイクロ・プロセッサであり、さらに、HID75のコントローラ機能も含んでいる。EC67にはHID75、加速度センサ68、リッドセンサ69、放熱ファン70、DC/DCコンバータ71、ACアダプタ72、及び電池パック73が接続されている。
【0044】
HID75は、ユーザ入力を行うためのユーザ・インターフェース・デバイスであり、文字、コマンド等を入力するための各種キーより構成されるキーボード44、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド45、マウス、タッチパネル等である。
【0045】
リッドセンサ69は、ディスプレイ側筐体42の開閉を検出して、検出結果をEC67に出力する。ディスプレイ側筐体42には永久磁石が埋め込まれており、ディスプレイ側筐体42が閉じられた状態で、永久磁石は本体側筐体41側に配置されたリッドセンサ69に接近する。ディスプレイ側筐体42が開かれると、永久磁石はリッドセンサ69から離れる。リッドセンサ69は、永久磁石からの磁力を感知することにより、永久磁石が自らに接近しているか否かを検出することができ、そこからディスプレイ側筐体42が閉じられた状態か開かれた状態かを知ることができる。
【0046】
加速度センサ68は、ノート型PC40に外部から加えられた加速度を検出し、検出結果をEC67に出力する。EC67は、加速度センサ68で検出された加速度が所定値以上であるか否かを判断する。
【0047】
放熱ファン70は、システム筐体内部に設けられた複数の温度センサ(図示せず。)により回転速度が制御され、温度センサが検出する温度が所定値に収まるように筐体内部の空気を外部に放出する。
【0048】
ACアダプタ72は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ71に出力する。DC−DCコンバータ71は、ACアダプタ72から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、電池パック73のバッテリの充電を行う。電池パック73は、SBS(Smart Battery Specification)に適合しており、ノート型PC40にACアダプタ72が接続されていないときに電力を供給する。EC67は電池パック73と通信して、電池パック73から電池の残容量や電圧に関する情報を取得することができる。EC67は、OS81の指示に従って、DC−DCコンバータ22及び電池パック73による各デバイスへの電力供給を制御して、システム状態の管理を行う。
【0049】
つぎに、ノート型PC40とサーバ・コンピュータ20間で対象データを同期させる同期処理を説明する。図5は、同期処理の概略を説明するための図、図6は、同期処理を説明するための説明図である。
【0050】
図5において、同期用アプリ84aは、図1の同期モジュール12の一例であり、同期化サービスを提供するサーバ・コンピュータ20と対象データを同期させるためのクライアント側のアプリケーションである。同期用アプリ84aでは、同期させる対象データや同期させるタイミングを設定可能となっている。ここでは、HDD57の対象データ85aとサーバ・コンピュータ20内の記憶装置23の対象データ23aを同期させる場合について説明する。同期用アプリ84aは、システム状態がS0,S1,S2の場合に、所定の時間間隔T1で同期処理を行い、さらに、特定のユーザイベントが発生した場合に同期処理を行う。
【0051】
ユーティリティプログラム83は、所定のユーザイベントの発生通知を受け取ると、同期用アプリ84aに同期要求を出力する。同期用アプリ84aは、ユーティリティプログラム83から同期要求を受け取ると、同期処理を行う。
【0052】
顔検出アプリ84bは、カメラモジュール61で撮像された撮像画像が入力され(P14)、撮像画像に対して顔を検出する処理を行い、ユーザがノート型PC40の前方にいるか否かを判断するためのものである。
【0053】
ユーザがディスプレイ側筐体42を閉じた場合、リッドセンサ69はリッドクローズを検出して、EC67を介して、リッドクローズをBIOS65aに通知する(ステップP11)。BIOS65aは、リッドセンサ69からリッドクローズが通知されると、中間ドライバ82aに通知する(ステップP12)。中間ドライバ82aは、リッドクローズの通知を受け取ると、ユーティリティプログラム83にリッドクローズイベントを通知する(ステップP13)。
【0054】
また、ユーザがノート型PC40の前からいなくなった場合、顔検出アプリ84bは、ユーザの顔が検出されなくなると、顔不検出イベントをユーティリティプログラム83に通知する(ステップP15)。
【0055】
また、ユーザがノート型PC40を激しく動かした場合、EC67は、加速度センサ68から入力される加速度(P16)が所定値以上となると、ユーティリティプログラム83に加速度発生イベントを通知する(ステップP17)。
【0056】
また、ユーザがACアダプタ72を抜いた場合(P18)、EC67はACアダプタ72の切断を検出して、ACアダプタ切断イベントをユーティリティプログラム83に通知する(ステップP19)。
【0057】
ユーティリティプログラム83は、これらのイベントのうちいずれかのイベントの通知を受け取ると、同期用アプリ84aに同期要求を出力する(ステップP20)。同期用アプリ84aは、ユーティリティプログラム83から同期要求を受け取ると、サーバ・コンピュータ20の同期モジュール22と同期処理を行う(P21)。
【0058】
同期用アプリ84aは、同期処理が終了すると、ユーティリティプログラム83に同期完了通知を出力する(P22)。ユーティリティプログラム83は、中間ドライバ82aからリッドクローズイベントの通知(P13)を受け取った場合において、同期処理が完了した場合は、同期完了通知を中間ドライバ82aに返信する(P23)。
【0059】
中間ドライバ82aは、同期完了通知を受け取ると、OS81にサスペンド(S3)/ハイバネーション(S4)に移行するように要求し(P24)、OS81は、システム状態をサスペンド(S3)/ハイバネーション(S4)に移行させる(P25)。これにより、ユーザがリッドクローズしても同期処理を行った後に、サスペンド(S3)/ハイバネーション(S4)に移行するため、前回の同期処理からリードクローズされるまでの間の対象データ85aの変更内容を同期させることが可能となる。
【0060】
図6において、ノート型PC40とサーバ・コンピュータ20間で対象データを所定時間間隔T1で同期させている場合に、時刻t1でノート型PCのディスプレイ側筐体42がクローズされた場合、対象データの同期を行った後、スタンバイ/ハイバネーションに移行する。このため、前回同期した時刻t0からt1までのT2間のデータの更新がサーバ・コンピュータ20の対象データ23aに迅速に反映される。このため、他のクライアント・コンピュータ10から更新されたデータをすぐに確認することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、クライアント・コンピュータ10とサーバ・コンピュータ20間でデータを同期させる場合について説明したが、本発明は、サーバ・コンピュータ20を介さないでクライアント・コンピュータ10間でデータの同期を行うシステムにも適用可能である。また、ユーザイベント検出手段は、上記に限られるものではなく、地磁気センサや電子コンパスを用いて、ノート型PC40の配置方向の変化を検出することにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかるコンピューティング装置、同期方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムは、複数のコンピューティング装置間でデータを同期させる場合に有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 同期システム
10 クライアント・コンピュータ
11 通信モジュール
12 同期モジュール
13 ユーザイベント検出モジュール
14 ローカル記憶装置
20 サーバ・コンピュータ
21 通信モジュール
22 同期モジュール
23 記憶装置
30 ネットワーク
40 ノート型PC
41 本体側筐体
42 ディスプレイ側筐体(リッド)
43a,43b 連結部
44 キーボード
45 タッチパッド
46 LCD(液晶ディスプレイ)
47 カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置において、
前記対象データを格納するローカル記憶装置と、
前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期手段と、
ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出手段と、
を備え、
前記同期手段は、前記ユーザイベント検出手段で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とするコンピューティング装置。
【請求項2】
さらに、ユーザ操作により開閉可能な蓋を備え、
前記ユーザイベント検出手段は、前記蓋の開閉を検出するリッドセンサであり、
前記同期手段は、前記リッドセンサで前記蓋が閉じられるのを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項3】
前記同期手段による同期の完了後、休止状態に移行することを特徴とする請求項2に記載のコンピューティング装置。
【請求項4】
さらに、AC電圧をDC電圧に変換するACアダプタを備え、
前記ユーザイベント検出手段は、前記ACアダプタの切断を検出する検出手段であり、
前記同期手段は、前記検出手段が前記ACアダプタの切断を検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項5】
前記ユーザイベント検出手段は、前記コンピューティング装置の筐体に設けられた加速度センサであり、
前記同期手段は、前記加速度センサが所定値以上の加速度を検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項6】
前記ユーザイベント検出手段は、ユーザの顔を検出する顔検出手段であり、
前記同期手段は、前記顔検出手段がユーザの顔を検出しなくなった場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項7】
前記コンピューティング装置はクライアント・コンピュータであり、前記他のコンピューティング装置は、サーバ・コンピュータであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のコンピューティング装置。
【請求項8】
ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置の同期方法において、
自己のローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期工程と、
ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出工程と、
を含み、
前記同期工程では、前記ユーザイベント検出工程で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とする同期方法。
【請求項9】
ネットワークを介して他のコンピューティング装置と対象データの同期を行うコンピューティング装置に搭載されるプログラムであって、
自己のローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記他のコンピューティング装置の記憶装置に格納される前記対象データを同期させる同期工程と、
ユーザ動作に起因する所定のイベントを検出するユーザイベント検出工程と、
をコンピュータに実行させ、
前記同期工程では、前記ユーザイベント検出工程で前記所定のイベントを検出した場合に、前記ローカル記憶装置に格納される前記対象データと前記記憶装置に格納される前記対象データを同期させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−88911(P2013−88911A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226868(P2011−226868)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明