説明

コンプレッサ・ノイズを減衰させるための方法および装置

【課題】人工呼吸器内においてコンプレッサにより発生するノイズを減らす。
【解決手段】ポータブル呼吸器ハウジングに収容されたコンプレッサ用のノイズ減衰ガス流路は、流管により相互接続された複数のチャンバを含む。流路は、ポータブル呼吸器ハウジングの限られたスペースに嵌るように折り曲げられる。チャンバおよび流管の寸法は、チャンバと流管の間にインピーダンス不整合が生じるように選択される。流路は、1つ以上のチャンバ内に配置された1つ以上の多孔管を含む。多孔管は、ガスを受け入れる入口、および、ガスが放出される外管を有する。インピーダンスの不整合は、吸入チャンバと外管の間、および多孔管が配置されたチャンバと外管の間に生じ、ノイズを減衰させるために役立つ。コンプレッサ用のノイズ減衰取付けシステムは、コンプレッサにより発生する振動を制動するために協働するフレキシブル・マウントを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサに関するものであり、より詳細にはポータブル人工呼吸器内で使用されるルーツ型ブロワを含め、コンプレッサにより発生するノイズを減らすための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルーツ型ブロワには、種々様々な環境での潜在的用途がある。同ブロワは相対的に効率が高く、幅広い範囲の送出圧力および送出量をつくり出すことができる。しかしながら、同ブロワは高レベルのノイズを生じさせる。ルーツ型ブロワにより生じる高ノイズ・レベルにより、かかる高ノイズ・レベルが許容できない環境での同ブロワの使用は制限されてきた。このような1つの環境が、人工呼吸器により患者に呼吸援助が提供されている環境である。
【0003】
様々な理由により、急性および慢性の呼吸窮迫症の個人(患者)が自主換気(すなわち呼吸)を行えない事例が存在する。それらの状況では、かかる患者は、生き続けるために呼吸援助を必要とする。1つの解決法は、人工呼吸器と呼ばれる呼吸を援助する医療機器を、それらの患者に提供することである。
【0004】
人工呼吸器の目的は、人体の正常な呼吸メカニズムを再現することにある。ほとんどの人工呼吸器は、呼吸を援助するために肺内に陽圧をつくり出す。肺内の陽圧は、肺胞(すなわち、肺の第1次ガス交換単位として機能する呼吸樹の最終分岐)内に陽圧が生じるように患者の肺内にガスを送り出すことによりつくり出される。よって、人工呼吸器は本質的に、吸息段階中は患者の気道内への制御ガス(例えば空気または酸素)流を発生させ、呼息段階中はガスが肺から流れ出ることを可能にする装置である。
【0005】
人工呼吸器は、患者へのガスの正確な送り出しを容易にするために様々な方法を利用する。いくつかの呼吸器は、加圧ガスの外部ソースを使用する。その他の呼吸器は、加圧ガスの内部ソースを発生させるためにガス・コンプレッサを使用する。
【0006】
内部ガス・ソースを有するほとんどの呼吸器システムは、一定速または可変速のコンプレッサを使用する。一定速コンプレッサは通例、患者への最終送り出しのために、かなり一定のガス流量を発生させるロータリー式連続運転機械である。これらの一定速システムは通常、患者へのガスの流れを制御するために下流フロー・バルブを使用し、同バルブには、何時でも(例えば呼息中)患者が必要としない過流を逸らすためのバイパスまたは緩和メカニズムが備わっている。
【0007】
可変速コンプレッサは、吸息段階の初めの間、必要な流速を生み出すために必要な回転速度まで休止状態から急速に加速し、その後、吸息段階の終わりには、患者が息を吐き出すことができるように休止またはほぼ休止の状態まで減速することにより機能する。
【0008】
人工呼吸器技術には多くの場合、2つのタイプの可変速コンプレッサ・システムが用いられる。すなわち、ピストン式システムおよびロータリー式システムである。人工呼吸器内で使用するための先行技術可変速コンプレッサの例は、ドゥブリエ(DeVries)らの米国特許、第5,868,133号で説明されている。このシステムは、所望の吸気ガス流を患者に提供するためにドラッグ・コンプレッサを使用する。
【0009】
ロータリー・コンプレッサ・システムは、各吸気段階の初めに所望の速度までコンプレ
ッサ・ローターを加速し、各吸気段階の終わりに休止またはほぼ休止の速度までコンプレッサ・ローターを減速することにより呼息中、必要なガス流を送り出す。よって、ロータリー・コンプレッサは、各吸気換気段階の開始前には停止しているか、または公称基本回転速度で回転している。吸気段階が始まると、ロータリー・コンプレッサは、所望の吸気ガス流を患者に送り出すために、より速い回転速度に加速される。吸気段階の終わりに、コンプレッサの回転速度は基本速度に減速されるか、または停止され、次の吸気換気段階の開始までその状態が続く。先行技術システムは多くの場合、コンプレッサのタイミングおよび回転速度を制御するためにプログラム可能制御装置を使用する。
【0010】
人工呼吸器のサイズ・ダウンに関しては大幅な進歩が実現されてきた。限られてはいるが自律的移動を使用者に許可するポータブル呼吸器が現在、使用可能である。人工呼吸器のサイズ要求事項および電力要求事項をさらに減らせば、患者はいっそう大きな移動の自由を得て、生活の質が高まる可能性がある。
【0011】
ルーツ・ブロワは、その相対的な効率の高さのために、人工呼吸器のサイズおよび電力消費の低減に寄与できる可能性がある。しかしながら、これまではルーツ・ブロワにより生じるノイズを、人工呼吸器用に許容可能なレベルまで下げることは不可能であった。
【0012】
ルーツ・ブロワは、相互に作用する1対のローターを使用する。各ローターには2つ以上のローブがある。ローターは、入口および出口を備えたハウジングの内側で回転する。ローターは、一方のローターのローブを他方のローターのローブ間のスペースに出入りさせながら回転する。ガスはブロワを通って、ローターの隣接ローブと隣接ローター・ハウジング壁とにより形成されたチャンバ内を移動する。これらのチャンバを以下、「ガス輸送チャンバ」と呼ぶ。
【0013】
ノイズは、ルーツ・ブロワにより、いくつかの方法で発生する。ある種のノイズは、パルス流により引き起こされる。ローターが回転するにつれて、各ローターのローブ間のガス輸送チャンバは順次、出口にさらされる。各チャンバが出口にさらされるにつれて、噛み合うローターのローブが回転してチャンバ内に入り、チャンバ内のガスを出口に移動させ、フロー/圧力パルスを引き起こす。各々が2つのローブを有する1対のローターの場合、ガス輸送チャンバによりガスの位置がずれることにより、ブロワの各サイクル中、4つのパルスが発生する。これらのパルスは相当量のノイズを発生させる。
【0014】
第2のタイプのノイズは、「逆流」として知られている現象により発生する。各ローターは回転するにつれて、入口地点の低圧のガスを引き入れる。ローターが出口に向かって移動するにつれて、このガスは通常、ガス輸送チャンバ内に閉じ込められる。この一まとまりのガスが初めに出口に達した時、このガスは、出口地点のより高圧のガスにさらされる。その時、出口地点のより高圧のガスが、入口から送り出されている低圧のガスが収容されたガス輸送チャンバ内に逆向きにどっと押し寄せる。
【0015】
ルーツ・ブロワのノイズ・レベルを下げるために、いくつかの試みが行われてきた。「パルス」型ノイズを下げるためにローターのローブは、直線よりむしろ螺旋形になるように構成し直された。ローターのローブがまっすぐな場合、ガス輸送チャンバを出入りするガス流は非常に急である。ローブが螺旋形の場合、各ローブは、より広い回転角にわたってガスの位置をずらす。これにより、ガスの変位が回転角全体に及び、ガスの変位により引き起こされる圧力パルスの規模が小さくなり、ブロワにより生じるノイズが減る。しかしながら、出口地点のガスと入口から送り出されているガスとの間の相対圧力は依然として同じであるので、このローブ設計は逆流の問題には応えていない。
【0016】
逆流ノイズを減らすための試みも行われてきた。ガス輸送チャンバが出口に達する時点よりも前に、いくらかのガスが出口からガス輸送チャンバに流れることを可能にし、それにより、同チャンバ内のガス圧力を上げ、同チャンバ内のガスがより高い出口圧力にさらされた時に発生する圧力スパイクを減らす様々な種類の経路または通路が設けられてきた。
【0017】
ノイズ低減逆流経路で構成されたルーツ・ブロワの例は、同時係属中の米国特許出願、一連番号第10/985,528号で説明されている。かかる逆流経路はノイズ・レベルを下げるために効果的であるが、結果的に生じるノイズ・レベルは、いくつかの人工呼吸器適用のためには依然として十分に低いとは言えない。従って、ルーツ・ブロワのノイズを減らすための追加的な方法および装置が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の懸案事項を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ルーツ型ブロワを含め、コンプレッサにより発生するノイズを減らすための方法および器具を含む。本発明には、人工呼吸器内で使用されるコンプレッサにより発生するノイズを減らすための特定用途があるが、本発明の利点は、コンプレッサおよびルーツ型ブロワ以外の装置により発生するノイズの減衰、並びに、ノイズ減衰が望まれる人工呼吸器以外の用途を含め、数多くの異なる用途において実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のある実施例を含んだ人工呼吸器の斜視図。
【図2】本発明のある実施例である複数のフレキシブル・マウントを含んだルーツ型ブロワ用ハウジングの斜視図。
【図3】図2に示されたフレキシブル・マウントの1つの斜視図。
【図4】図3に示されたフレキシブル・マウントの、同図の線分4−4に沿った断面図
【図5】図1に示された人工呼吸器においてフレキシブル・マウントと、ルーツ・ブロワ・ハウジングおよび人工呼吸器の区画との相互関係を示す断面図。
【図6】本発明のある実施例に従った多孔管の斜視図。
【図7】図6に示された多孔管において7−7線における断面図。
【図8】図7に示された多孔管において8−8線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のある実施例は、ポータブル呼吸器ハウジングに収容されたコンプレッサ用のノイズ減衰ガス流路を含む。ある実施例においてガス流路は、呼吸器ハウジングの入口からコンプレッサの入口までの吸入流路、およびコンプレッサの出口から呼吸器ハウジングの出口までの吐出ガス経路、もしくはかかる吸入流路またはかかる吐出ガス経路を含む。各ガス流路には、複数の相互接続チャンバが含まれる。ある実施例において吸入流路は、流管により相互接続された少なくとも2つのチャンバを含む。チャンバおよび流管の寸法は、チャンバと流管の間にインピーダンス不整合が生じるように選択される。ある実施例において、このインピーダンス不整合は、2つのチャンバを相互接続する流管の断面積よりも相当大きい断面流面積を隣接チャンバが有するように隣接チャンバのサイズを変更することにより生じる。このインピーダンス不整合は、1つのチャンバから次のチャンバに伝えられるノイズの量を減らす。チャンバおよび流管は、ポータブル呼吸器ハウジングのようなスペースの限られたハウジングに流路を嵌め込むことを可能にする折り曲げ流路に構成できる。
【0022】
なお、上記において「インピーダンス不整合」とは「流路の断面積が大きくなったり小さくなったりすることによる管路抵抗の変化」をいう。以下の記載においても同様である。
本発明のある実施例において、流路は1つ以上の多孔管を含む。ある実施例において1つ以上の多孔管は、ガス吸入流路およびガス吐出流路もしくはガス吸入流路またはガス吐出流路を含んだ1つ以上のチャンバ内に配置される。
【0023】
ある実施例において多孔管は、ガス流を過度に妨げることなく大きなインピーダンス不整合を提供するように構成される。
ある実施例において多孔管には、管壁から伸び、ガスが出て行く少なくとも1つの外管がある。この少なくとも1つの外管の断面積は、多孔管の吸入チャンバと多孔管が配置されたチャンバとの両方の有効流面積に比べ、かなり小さくされる。このようにして、吸入チャンバと外管の間、および、多孔管が配置されたチャンバと外管の間にインピーダンス不整合が生じ、ノイズを減衰させるために役立つ。加えて、多孔管が含まれる流路に沿ったガスの流れが、外管の小さい断面積により大幅に妨げられることを防ぐために、ある実施例では、多孔管に複数の外管が含まれる。この構成では、インピーダンス不整合は各外
管との相関により生じるが、多数の外管経由で多孔管を通過する総断面流面積は相対的に大きいままである。
【0024】
本発明のある実施例は、コンプレッサ用のノイズ減衰取付けシステムを含む。この取付けシステムは、コンプレッサにより発生する振動を制動するために協働するフレキシブル・マウントを含む。ある実施例では複数のマウントが、コンプレッサのハウジングと、コンプレッサが配置された人工呼吸器の区画の壁のような支持構造との間に位置付けられる。
【0025】
ある実施例においてマウントは、コンプレッサ・ハウジングに接続された接続部材、および、接続部材と支持構造の間に位置付けられた制動部材を含む。
各マウントは、組み立てられていた時のブロワおよびその関連マウントの固有周波数が、制動されることになる力の周波数より低くなるように構成される。ある人工呼吸器環境ではブロワは通常、約6000rpm−約20,000rpmの比較的高速で動作するように構成され、マウントは、コンプレッサ/マウント組立品が約10Hzの範囲を下回る固有周波数を有するように構成される。ある実施例においてマウントは、約70ショアの硬度のシリコンゴムからつくられる。
【0026】
先行技術に対する本発明のさらなる対象、特徴および利点は、添付の図を用いて考察された時、次のような詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明は、ルーツ型ブロワを含め、コンプレッサにより発生するノイズを減衰または低減させるための方法および装置を含む。本発明のより完全な説明を提供するために、以下の説明には特定の詳細が数多く記載される。しかしながら、これら特定の詳細によらずに本発明を実施できることが、同業者には明らかなはずである。その他の事例では、よく知られている特性については、本発明を曖昧にしないように詳しくは説明しなかった。
【0027】
一般的に、本発明は、発生するノイズを低減または減衰させるための方法および装置を含む。本発明は、例えばポータブル人工呼吸器内で使用されるルーツ型ブロワのような、ノイズに敏感な環境で使用されるコンプレッサにより発生するノイズの低減または減衰に特に適用できる。本発明のある実施例は、コンプレッサが配置されたハウジングの入口からコンプレッサの入口までの特別構成のガス吸入経路、およびコンプレッサの出口からコンプレッサが配置されたハウジングの出口までの特別構成のガス吐出経路、もしくはかかるガス吸入経路またはかかるガス吐出経路を含む。ある実施例において、それらの経路には、コンプレッサにより発生するノイズを低減させるように構成された1つ以上のチャンバおよび接続管が含まれる。1つ以上の実施例において本発明は、1つ以上のノイズ減衰多孔管を含む。多孔管は、コンプレッサにより発生するノイズを低減させるために、吸入経路および吐出経路もしくは吸入経路または吐出経路に沿って配置できる。1つ以上の実施例において本発明は、1つ以上の衝撃吸収材または制動要素を含んだコンプレッサ取付けシステムを含む。
【0028】
下記の通り、本発明のノイズ低減方法および装置の様々な実施例は、コンプレッサにより発生するノイズを低減させるために互いに一緒に、または別々に使用できる。本発明には、人工呼吸器環境以外のノイズに敏感な環境で使用されるコンプレッサを含め、その他の環境での適用があり得ることも正しく理解されるであろう。
【0029】
本発明の方法および装置は、減衰されるべきノイズ源であるコンプレッサまたはその他の装置の外側に配置されるという意味で「外的」である。これは、参照により本願に組み込まれた2004年11月10日出願の同時係属の米国特許出願第10/985,528号明細書において説明されたルーツ型ブロワ構成のような「内的」ノイズ減衰技術と対照をなす。
【0030】
図1は、ポータブル人工呼吸器20の一部を示し、同部分には、コンプレッサ24並びに本発明の実施例である吸入流路および吐出流路が収容されている。呼吸器20は、本発明のノイズ低減方法および装置を使用することのできる1つの環境を含む。
【0031】
図1に示された人工呼吸器20は、複数の構成部品を収容または支持するハウジング22を含む。図1はハウジングの背面図であり、呼吸器20は、ハウジング22内に配置された様々な構成部品を露出させるためにハウジング22の裏蓋部分が外された状態で示されている。
【0032】
人工呼吸器20には通常、数多くの構成部品が含まれることが正しく理解されるであろう。様々なそれらの構成部品は本発明の部分を含んでおらず、従って、本願では詳しく説明されない。例えば呼吸器20には、回路、入力ボタンなどを含め、複数のガス流制御装置が含まれる。
【0033】
図1に示された通り、呼吸器20にはルーツ型ブロワ24が含まれる。ある実施例においてルーツ型ブロワ24は、全体を本願に組み込まれた2004年11月10日出願の同時係属中の米国特許出願第10/985,528号明細書で説明され例証されたタイプのものである。
【0034】
図1の実施例ではブロワ24は、関連する駆動モーターを含め、ハウジング26(図2に示される)内に取り付けられる。ハウジング26には種々様々な構成があり得る。図2を参照すると、ある実施例においてハウジング26は概ね矩形で、第1の端部28および反対側の第2の端部30、第1の側面32および反対側の第2の側面34並びに上部36および底部38を有する。ハウジング26には、数多くのその他の形状および構成があり得る。
【0035】
当該技術ではよく知られている通り、ブロワ24には出口33および入口(図2では見えない)がある。図2に示された実施例では出口33は、ブロワ24のハウジング26の第1の側面32に配置され、入口は第2の側面34に配置される。
【0036】
図1に示された通り、ブロワ24は呼吸器ハウジング22内に取り付けられる。ある実施例においてブロワ24は、ブロワ・チャンバまたは区画40内に取り付けられる。区画40の詳細は以下で規定される。
【0037】
(ガス流路)
本発明の1つ以上の実施例は、1つ以上のノイズ減衰ガス流路を含む。ある実施例においてガス流路は、コンプレッサが配置されたハウジングの入口からコンプレッサの入口までの吸入ガス流路、およびコンプレッサの出口からハウジングの入口までの吐出ガス流路、もしくはかかる吸入ガス流路またはかかる吐出ガス流路を含む。本発明のある実施例において、コンプレッサは人工呼吸器の一部であり、ハウジングは人工呼吸器ハウジングである。ある実施例において、コンプレッサはルーツ型ブロワである。
【0038】
図1を参照すると、ある実施例においてガス流路は、人工呼吸器ハウジング22の吸込口200からブロワ24の入口まで設けられる。第2のガス流路は、ブロワの出口から呼吸器ハウジングの出口まで設けられる。
【0039】
ある実施例において、吸入ガス流路および吐出ガス流路もしくは吸入ガス流路または吐出ガス流路には、各管/チャンバ・インタフェースでインピーダンス不整合が生じるように構成された1つ以上の流管により相互接続された1つ以上のチャンバが含まれ、ブロワ
により発生するノイズを低減させる。本願で使用される場合、「チャンバ」および「外管」という用語は、ガス流が通過できるように構成された一切の通路を指す。図1は、かかる流路の1つの実施例を示す。示された通り、流路の第1の地点は、呼吸器ハウジング22の吸入口200を含む。当業者には知られている通り、ある実施例において吸入口200には濾過要素202を含むことができる。
【0040】
吸入口200は、第1のチャンバ202に流路を提供する。第1のチャンバ202は、1つ以上の壁204によりその範囲を規定される。壁204は、一体成形による部分のような呼吸器ハウジング22の一部分を含むことができる。ある実施例において第1のチャンバ202は、ブロワ24の使用時には通常、密閉される。よって、示された実施例では、ある実施例の蓋(不図示)がハウジング22の一部を形成し、使用中はチャンバ202の上部分を形成する。運転中、ガスは吸入口200を通って第1のチャンバ202に入り、同チャンバから通じる吐出口206を通って出て行く。
【0041】
第1のチャンバ202の構成は、その形状およびサイズを含め、様々であってよい。以下でより詳しく説明される通り、第1のチャンバ202の構成は、ある実施例では、1つ以上の周波数のノイズを減衰させるために第1のチャンバ202が効果的であるように決定される。
【0042】
示された実施例では、第1のチャンバ202の吐出口206は、流管212の入口を含む。流管212の吐出口208は、第2のチャンバ210の入口を形成する。ある実施例において、流管212によりその範囲を規定された通路のガス流面積、または少なくとも、その吐出口206および吸入口208もしくは吐出口206または吸入口208のガス流面積は、第1のチャンバ202および第2のチャンバ210の各ガス流面積よりも相当小さい。このようにしてインピーダンス不整合が生じる。このインピーダンス不整合は、ルーツ型ブロワ24により発生してルーツ型ブロワ24の吸入ガス流路に沿って伝えられる音を減衰させる。
【0043】
ある実施例において流管212は、中心通路の範囲を規定する概ね円形の壁を含む。この通路には、吐出口206に対応する第1の端部、および吸入口208に対応する第2の端部がある。
【0044】
ある実施例において流管212は、呼吸器ハウジング22に、より具体的には、第1のチャンバ202と第2のチャンバ210を分割する隔壁204aに孔をあけて、または付けて取り付けられる。示された通り、流管212には1対のフランジ214a、bがある。ある実施例においてフランジ214a、bは環状で、両フランジは両者間にスロット216の範囲を規定するべく、間隔をおいて配置される。スロット216は、第1のチャンバ202と第2のチャンバ210を分割する隔壁204aに形成された半円形の開口部に嵌め込まれるために十分な幅を有する。
【0045】
示された通り、呼吸器ハウジング22に取り外し可能な蓋が含まれる実施例では、隔壁204aの一部は蓋に接続されるか、または蓋の一部として形成され、一部はハウジング22に接続されるか、またはハウジング22の一部として形成される。流管212は、隔壁204aの半円形の開口部を通って伸びる。示された実施例では、流管212が通って伸びている開口部の一部は、蓋に関連する隔壁部分に形成され、開口部の残りの部分は、ハウジング22の主要部分に関連する隔壁部分によりその範囲を規定される。このようにして、示された通り、蓋が外されている時には流管212に手が届き、ハウジング22に関連する隔壁204a部分との嵌め合いからの持ち上げによる取り外しのように、ハウジング22から取り外すことができる。
【0046】
図1に示された通り、1つ以上のタブ218が、流管212から伸びていることがある。ある実施例のタブ218は、流管212が組立中に正確な位置に置かれることを保証するために役立つ。ある実施例においてタブ218は、流管212と一体成形された概ね平面の要素、より具体的には、フランジ214a、bの延長として形成された概ね平面の要素を含む。
【0047】
流管212は、様々な材料から様々な方法でつくることができる。ある実施例において流管212は、可撓性ウレタン材料からつくられる。
図1の実施例ではガスは、流管212経由で第1のチャンバ202から第2のチャンバ210に流れる。ある実施例において第2のチャンバ210には、第3のチャンバ224の吸入口222に通じる吐出口220がある。第1および第2のチャンバ202、210と同様に、第2および第3のチャンバ210、224は、ある実施例では、上述の流管212とほぼ同じ形態の接続流管228によりつながれる。流管228は、第2のチャンバ210と第3のチャンバ224の間の隔壁229をまたぐ。流管228の断面流面積は、流管212の断面流面積と同様に、チャンバ210と流管228の間、および流管228とチャンバ224の間にインピーダンス不整合が生じるように選択される。これらのインピーダンス不整合は、ルーツ型ブロワ24により発生するノイズをさらに低減させる。
【0048】
ある実施例において第3のチャンバ224には、第4のチャンバ232に通じる吐出口230がある。図1に示された実施例では、第3のチャンバ224の吐出口230は、第4のチャンバ232内に配置された多孔管234に通じている。多孔管234の詳細は、以下でより詳しく説明される。ガスは、第3のチャンバ224から多孔管234を通って第4チャンバ232に流れ込む。
【0049】
図1の実施例では、第2の多孔管(図1では見えない)は、多孔管234下の第4チャンバ232に配置される。この第2の多孔管は、第4のチャンバ232およびルーツ型ブロワ24の入口と連絡している。上記の通り、ルーツ型ブロワ24は、1つ以上の壁によりその範囲を規定された区画40内に配置される。ある実施例において、第4のチャンバ232と区画40は、隔壁236により少なくとも一部分離される。隔壁236には、ガスが第4のチャンバ232から第2の多孔管を通ってルーツ型ブロワ24の入口に流れることができるように第2の多孔管がルーツ型ブロワ24の入口と噛み合うことを可能にする開口部(不図示)が設けられる。
【0050】
図1の実施例では吸入流路は、呼吸器ハウジング22の外側の地点から第1、第2、第3および第4のチャンバ202、210、224、232、流管212および228、多孔管234並びに第2の多孔管を通ってルーツ型ブロワ24の入口までにその範囲を規定される。ガスはこの流路を通って、呼吸器ハウジング22の外側からルーツ型ブロワ24に流れる。
【0051】
上記詳述の通り、チャンバ202、210、224、232並びに流管212および228の1つ以上のサイズは、ある実施例では、ルーツ型ブロワ24への吸入流路に沿って多数のインピーダンス不整合が生じるように選択される。ある実施例において、これらのインピーダンス不整合は、チャンバの各断面ガス流面積が、チャンバを相互接続する流管の対応する断面流面積よりも相当大きくなるようにチャンバのサイズを調整することにより生じる。
【0052】
1つ以上の実施例では、呼吸器20の総サイズまたは総寸法を減らすように呼吸器ハウジング22を通常、できるだけ小さくすることが望ましい。当然、制御回路、ルーツ型ブロワなどのような呼吸器の様々な構成部品は、ハウジング22内でスペースを取る。これにより、ハウジング22内には本発明のノイズ減衰流路用に限られた量のスペースしか残
らない。
【0053】
ある実施例において、チャンバのサイズおよび形状並びにチャンバの構成は、ある程度まで、呼吸器ハウジング22のサイズおよび形状並びにその他の構成部品の位置により限定される。ある実施例においてチャンバのサイズは、チャンバの位置を含め、特定周波数のノイズを減衰させるように選択される。例えば、第2のチャンバ210のサイズおよび形状は、チャンバ210と流管228の間のインピーダンス不整合が、ルーツ型ブロワにより発生する1つ以上の第1の周波数のノイズを十分に除去するように選択できる。第3のチャンバ224のサイズおよび形状は、チャンバ224と多孔管234の間のインピーダンス不整合が、ルーツ型ブロワにより発生する1つ以上の、第1の周波数とは異なる1つ以上の第2の周波数のノイズを十分に除去するように選択できる。
【0054】
上述の構成では、複数のチャンバおよび接続流管が、ルーツ型ブロワにより発生する複数の周波数のノイズを低減させるように選択できる。チャンバおよび接続流管の数は、より多くても少なくてもよいことが正しく理解されるであろう。当然、チャンバおよび接続流管の数、サイズ、形状、および結果的に生じる流路の構成は、呼吸器ハウジング22内でチャンバに利用可能なスペースにより左右される場合がある。例えば、いったんハウジング・サイズが決まり、残りの構成部品がハウジングに関連づけられると、吸入流路の範囲を規定するためには限られたスペースしか残らないことがある。わずかに1つだけ、または多くても4つ以上のチャンバが、望まれる目標を満たすためにこのスペースに配置できることが分かる。多数のチャンバおよび流管を使用する場合には、図1のポータブル呼吸器ハウジングのようなハウジングまたはその他のハウジング内で利用可能な、サイズおよび形状の限定されたスペース内に嵌め込むために、図1の実施例の通り、直線であることを必要とせず「折り曲げ」可能な流路をつくり出すことが許される。流路は、流路に沿ったガス流の方向変更箇所を少なくとも1箇所は備えるように構成されるという意味で「折り曲げ」られる。例えば、図1の実施例ではガス流路は、約90度の方向変更箇所を複数箇所、備えるように構成される。図1の流路のある部分は、約180度(例えば、流管228およびチャンバ224を含む流路部分)および約270度(例えば、チャンバ210,流管228およびチャンバ222を含む流路部分)の方向変更箇所を備えた部分を含め、90度より大きい方向変更箇所を備えている。チャンバの形状は概ね矩形であるか、または、例えば図1の実施例におけるチャンバ210および224の「くの字」形のような不定形であることができる。
【0055】
ある実施例において流路は、ルーツ型ブロワ24の出口から第2の地点までにその範囲を規定される。図1の実施例では、この第2の地点は呼吸器ハウジング22の出口を含む。
【0056】
ある実施例においてルーツ型ブロワ24の出口は、第5のチャンバ240に通じている。ある実施例では開口部が、ルーツ型ブロワ24が配置された区画40を形成する壁に設けられる。この開口部は、ある実施例ではルーツ型ブロワ24の出口に位置合わせされる。
【0057】
ある実施例において放出ガスは、ほぼ同じ方法で配置された1対の多孔管(多孔管242、および、多孔管242下の第5チャンバ240内に配置された第4の多孔管(図1では見えない))を通って、ルーツ型ブロワ24の出口から、第4チャンバ232の内側に配置された2つの多孔管に導かれる。放出ガスは、ブロワの出口から第4の多孔管(不図示)を通って第5のチャンバ204に流れ込む。第5のチャンバ204から、放出ガスは多孔管242を通って呼吸器出口に送られる。ある実施例において呼吸器出口には、送出管(不図示)を接続することのできるニップルまたはコネクタが含まれる。送出管は、ある実施例では、呼吸器20の使用者にガスを送り出すために使用される。
【0058】
図1の実施例では、吐出流路はルーツ型ブロワ24から第4の多孔管(見えない)を経て第5のチャンバ240に、そして、そこから多孔管242を経て呼吸器出口に通じている。その他の実施例において、吐出流路にはチャンバがまったく含まれず、出口への通路だけが含まれる場合がある。加えて、吐出流路には、上記の吸入流路とほぼ同じ方法で複数のノイズ減衰チャンバおよび流管が含まれる場合もあるであろう。
【0059】
ある実施例において、患者にガスを送り出すために呼吸器20の出口に接続された細長い送出管により、相当のノイズ減衰が提供されることが分かった。このような外部接続管を使用する実施例では、送出管により外的に追加的ノイズ減衰が提供されるため、ハウジング22の吸入口20からルーツ型ブロワ24の入口までの吸入流路沿いに比べ、ルーツ型ブロワ24の出口からハウジング22の出口までの吐出流路沿いに生じさせるノイズ減衰は少なくてよい。
【0060】
吐出流路の構成は、ある実施例では、減衰が望まれる特定周波数のノイズを減衰させながらも、ハウジング22に利用可能なスペース内にとどまるように特に構成される。吐出流路は直線でも、吸入流路と同様に「折り曲げ」可能でもよい。
【0061】
様々な技術が、ノイズ減衰との関係で吸入流路および吐出流路の最適構成を決定するために活用できる。上記の通り、ある実施例では、呼吸器ハウジング全体のサイズおよび形状はいくつかの要因により規定される。吸入流路および吐出流路の構成は、その後で、確定した残りスペースの量を考慮して決定される。
【0062】
ある実施例では流路構成の繰り返しが、ブロワまたはコンプレッサの特定の任意動作パラメータのために最良の全体的ノイズ減衰構成を決定するために行われる場合がある。ある実施例では、各チャンバおよび流管の実物大模型が、試作流路をつくるために直線状に接続される。試作流路はルーツ型ブロワまたはその他のコンプレッサに接続され、コンプレッサの望まれる動作範囲で試験される。チャンバの数、サイズおよび構成並びに流型の変更を、最も満足できるノイズ減衰が生じる組み合わせを決定するために繰り返し行うことができる。
【0063】
図1に示された呼吸器20は、特定の構成のノイズ減衰吸入流路および吐出流路を有するものの、呼吸器20には、その一方または他方のみの流路を設けてもよい。その他のタイプのブロワまたはコンプレッサとの併用、および人工呼吸器以外の環境を含め、その他の環境において上記特性を有するガス流路が使用できることも、正しく理解されるであろう。
【0064】
(多孔管)
本発明の1つ以上の実施例は、ノイズ減衰多孔管を含む。多孔管はガス流路を提供する一方で、それと同時に、流れるガスを通じて伝えられるノイズを減衰させる。上記の通り、多孔管は、ルーツ型ブロワまたはその他のブロワもしくはコンプレッサへのガス流路、またはそれらからのガス流路と併せて、それらのブロワまたはコンプレッサにより発生するノイズを減衰させるために利用できる。
【0065】
本発明の実施例に従った多孔管の1つの例を図6−8に示す。ある実施例において多孔管300は、少なくとも1つの出入口304の範囲を規定する胴部302、および、胴部302の内部から胴部302の外部までの通路を形成する複数の外管306を含む。多孔管300を通るガス流の方向に応じて、出入口304は、吸入口または吐出口として機能することができ、外管306は、多孔管300への流路または多孔管300からの流路を形成することができる。
【0066】
図6に示された通り、ある実施例の出入口304は、胴部302の概ね円形の壁部分によりその範囲を規定された円形の出入口を含む。
出入口304は、胴部302によりその範囲を規定された内部チャンバ308に通じている。複数の外管306も内部チャンバ308と連絡しており、それにより、流路はガス流の方向に応じて出入口304から内部チャンバ308を経て複数の外管306まで、または、外管306から内部チャンバ308を経て出入口304までにその範囲を規定される。
【0067】
ある実施例では図1に示された通り、出入口304は、上記の流管212および228とほぼ同じ方法で第1のチャンバから隔壁までの経路の範囲を規定する直角管260に接続される。図1に示された通り、これにより、出入口304が1つのチャンバと連絡する一方で、少なくとも1つの外管を含め、多孔管の胴部の主要部分が別のチャンバの内側に位置付けられることが可能となる。
【0068】
1つ以上の実施例において胴部302には、各々が胴部302の直径よりも相当小さい断面流面積を有する複数の外管306が含まれる。このようにして、内部チャンバ308の断面流面積と、ノイズを減衰させるために役立つ各外管306との間にインピーダンス不整合が生じる。
【0069】
多孔管300を含む流路に沿ったガスの流れが、小さいサイズの各外管306により大幅に妨げられることを防ぐために、ある実施例の多孔管300には、ガス流に対する妨害を減らすように十分な総流面積をひとまとまりになって提供する複数の外管306が含まれる。この構成では、インピーダンス不整合は各外管306との相関により生じるが、多数の外管306経由で多孔管300を通過するガスの総流量は大して妨げられないままである。
【0070】
ある実施例において各外管306は、(内部チャンバ308の直径と比較して)より小さい直径で長さのある流路を含む。ある実施例において各外管流路には、内部チャンバ308地点の第1の端部310、および、胴部302の外寸を越えて伸びる第2の端部312がある。この長さは追加的なノイズ減衰利益を提供する。
【0071】
ある実施例において各外管306は、胴部302から外向きに伸びる筒状の突起によりその範囲を規定される。このようにして、図1に示された通り、多孔管300が配置されたチャンバ内の多孔管により占められていないスペースの量は、外管流路の長さが胴部302の壁厚によってのみ規定されている場合(この場合、壁厚が外管の長さと等しいことが必要となるであろう)よりも多い。正しく理解される通り、外管流路は、多孔管の胴部を含む厚い壁を通る通路によりその範囲を規定された長さを有することもできるであろう。この場合、図1に示された実施例に比べ、胴部は相当多い量のスペースを占めることになるであろう。多孔管が配置されたチャンバのサイズが限られる同図のような場合、かかる構成は、多孔管が配置されたチャンバの空容積を大幅に減少させるであろう。チャンバのサイズがそのように減少した場合、チャンバと接続流管(多孔管300の流管306のような)の間の流面積の差から生じるノイズ減衰インピーダンス不整合は減少するであろう。
【0072】
本発明のある実施例は、多孔管300をつくるための方法を含む。ある実施例において多孔管は、2ピース・モールドから成形される。多孔管がモールドから離れる時、胴部は概ね筒状の外形を示し、その壁厚は外管306の流路の長さに等しい。その後、外管306の部分を除き、胴部を含む材料が取り外され、このようにして、図6−8に示された筒状の突起を形成する。
【0073】
本発明の多孔管300は、様々なその他の方法でつくることができ、様々なその他の材料からつくることができる。例えば、多孔管は、図6−8に示された形状および構成に多孔管を直接形成する多ピース・モールドを用いてつくることができる。多孔管は、図6−8に示された円形の断面の代わりに矩形の断面を有することもできるであろう。ある実施例において多孔管300は、ABS熱可塑材のような耐久性弾性材料からつくられる。
【0074】
1つ以上の実施例において多孔管300は、チャンバまたは区画内に配置されるように構成される。図1に示されるようなある実施例では、多孔管は、ルーツ型ブロワまたはその他のコンプレッサへの流路、またはそれらからの流路に沿ってチャンバ内に配置される。かかる構成ではチャンバのサイズは、多孔管を収容するチャンバが多孔管の外管との間に、並びに、ガス流路内のすぐ次およびすぐ前もしくはすぐ次またはすぐ前の要素との間にインピーダンス不整合を生じさせるように選択できる。1つ以上の実施例では、多数の多孔管が同一チャンバ内に配置され、第1の多孔管を通ってチャンバ内に入り、その後、チャンバから出て第2の多孔管を通るガス流路を形成する。
【0075】
多孔管および多孔管が配置されたチャンバもしくは多孔管または多孔管が配置されたチャンバの構成は、インピーダンス不整合が1つ以上の周波数または周波数範囲のノイズの減衰をもたらすように選択できる。例えば、再び図6−8を参照すると、外管306のサイズおよび数は、外管の位置を含め、望まれるガス流量、チャンバ・サイズおよび望まれるノイズ減衰の量、並びに減衰されるべきノイズの周波数に関連して選択できる。例えば、外管306の断面積および長さもしくは断面積または長さを変更すると、多くの場合、多孔管のノイズ減衰特性が変化する。
【0076】
本発明の流路構成部品(チャンバ、流管、多孔管、ガス送出ホース)を集積させると、様々な周波数または周波数範囲のノイズを減衰させることが可能となる。例えば、図1に示された実施例では、ルーツ型ブロワへの流路、またはルーツ型ブロワからの流路に沿った様々なノイズ減衰構成部品は、各々、かかる構成部品が(隣接構成部品と協働して)1つ以上の周波数または周波数範囲のノイズを減衰させ、様々な周波数または周波数範囲にわたるノイズをまとめて減衰させるように選択できる。
【0077】
本発明のある実施例において、図1に示されたノイズ減衰構成部品の構成は、表1に示された通りである。
【0078】
【表1】

【0079】
(ノイズ減衰取付け)
本発明の1つ以上の実施例は、ノイズ低減構成部品取付けシステムを含む。ある実施例は、コンプレッサ組立品(そのハウジングおよび電気モーターを含む)と、コンプレッサ組立品が取り付けられたハウジングまたはフレームとを隔絶するように、ルーツ型ブロワ24のようなコンプレッサを取り付けるための方法および装置を含む。ある実施例では図1および2に示された通り、1つ以上の制動要素が、呼吸器ハウジング22、またはブロワが配置されたその他の支持構造と、ブロワ24のハウジング26との間に配置される。
【0080】
図3および4に示された通り、ある実施例では制動要素は弾性マウント100を含む。ある実施例において各弾性マウント100は、支持部材および制動部材を含む。各弾性マウント100は、各弾性マウント100により呼吸器ハウジング22に取り付けられている時のブロワ組立品の固有周波数が、制動されるように意図された力の周波数より低くなるように構成される。ある実施例において弾性マウント100は、運転中にブロワ24により発生する力を制動するように構成される。
【0081】
ブロワ24が人工呼吸器内で使用される実施例の1つでは、ブロワ24は通常、約6000rpm−約20,000rpmの速度で運転するように構成される。ブロワ24の運転により発生する力の周波数範囲は計算、または測定可能である。ある実施例において弾性マウント100は、ブロワ/ブロワ・ハウジング組立品に10Hz未満の固有周波数を与えるように構成される。
【0082】
引き続き図3および4を参照すると、ある実施例において各弾性マウント100は、支持部材102および制動部材104を含む。ある実施例において制動部材104は、弾性の蛇腹形要素を含む。制動部材104には、第1の端部106および反対側の第2の端部108がある。ある実施例において第1の端部106は、制動部材104の第1の支持部分110を含み、第2の端部108は、制動部材104の第2の支持部分112を含む。
【0083】
示された通り、第1の支持部分110は、制動部材104の概ね中空でない筒状部分を含む。第1の支持部分110は、以下でより詳しく説明される支持部材102と噛み合う
ように構成される。
【0084】
第2の支持部分112は、中心開口部114を規定する環状部材を含む。ある実施例では図3および4に示された通り、中心開口部114には、制動部材104の第2の端部108の方へ進むと開口部の直径が増すようにテーパをつけられる。
【0085】
可撓性または弾性の蛇腹形部分116は、制動部材104の第1の支持部分110と第2の支持部分112の間に配置される。示された通り、この部分116は、折り曲げ可能壁118によりその範囲を規定された概ね環状の部材を含む。折り曲げ可能壁118は、制動部材104の第1の支持部分110と第2の支持部分112の間に広がる。
【0086】
示された通り、折り曲げ可能壁118は、第1の支持部分110と第2の支持部分112の間で折り曲げ可能壁118が軸方向に伸び縮みすることを可能にする複数の蛇腹形またはアコーディオン形の要素の範囲を規定する。
【0087】
折り曲げ可能壁118は、制動部材104の開口部114と連絡する内部スペース120の範囲を規定する。
ある実施例において支持部材102は、制動部材104をブロワ・ハウジング26に取り付けるように構成される。図4の実施例では、支持部材102はプラス型の皿頭ねじである。
【0088】
ある実施例において制動部材104は、約70ショアの硬度のシリコンゴムからつくられる。1つ以上の実施例において、支持部材102および制動部材104は、各々、別個の要素として形成され、その後、弾性マウント100を形成するために一緒に組み立てられることができる。弾性マウント100は、複数のサイズ/構成および制動特性を有することができる。ある実施例において、弾性マウント100のサイズ/構成は、コンプレッサ組立品の質量およびコンプレッサにより発生する力を考慮した場合の特定の制動度、並びに使用される弾性マウント100の総数を規定するように選択される。ある実施例において各弾性マウント100は、高さが約0.3インチで、直径が約0.25インチである。上記の通り、弾性マウント100のサイズ、形状および材料は、弾性マウント100に取り付けられている時のコンプレッサ組立品が、コンプレッサにより発生し制動されることになる力の周波数よりも低い固有周波数を有するように選択される。
【0089】
図1および2を参照すると、ある実施例において複数の弾性マウント100は、ブロワ・ハウジング26の上部36と呼吸器ハウジング22の間、およびブロワ・ハウジング26の底部38と呼吸器ハウジング22の間に位置付けられる。ブロワ24が区画40内に配置された図1の実施例では、弾性マウント100は、呼吸器ハウジング22によりその範囲を規定された通りの区画40の底部とブロワ・ハウジング26の間、およびハウジング22の蓋部分(不図示)によりその範囲を規定された通りの区画40の上部とブロワ・ハウジング26の間に位置付けられる。
【0090】
ある実施例において弾性マウント100は、ブロワ・ハウジング26の上部36の4つの各角、および底部38の4つの各角に配置される。ある実施例において弾性マウント100は、ブロワ・ハウジング26に接続される。ある実施例では図5に最もよく示されている通り、凹部または開口部130が、弾性マウント100の底面122を受け入れるためにハウジング26に設けられる。
【0091】
図1および2に示された実施例では、区画40は、1つ以上の壁要素により、その範囲を一部規定される。壁要素は、ブロワ・ハウジング26の端部28、30、側面32、34並びに上部36および底部38に極めて近接して配置される。ある実施例において区画
40の壁には、ブロワ24の入口および出口の各々と位置合わせされた開口部(不図示)が設けられる。区画40の壁がブロワ24の入口および出口に近接して配置されることにより、ガスがそれらの壁を通って流れ、ブロワ24に出入りすることが可能となる。
【0092】
ある実施例において、区画40の範囲を規定する壁と、ブロワ・ハウジング26の端部28、30および側面32、34との間の間隔は、大体0.04−0.06インチほどである。
【0093】
区画40の上部および底部の範囲を規定する壁は、ある実施例では、弾性マウント100を収容するために十分な距離だけ、ブロワ・ハウジング26から離される。ある実施例において、この距離は約0.04−0.10インチである。
【0094】
ある実施例において、区画40の上部および底部の範囲を規定する壁は、マウント100に対してオスで噛み合うように構成される。図5の実施例では、突起132は壁から伸び、弾性マウント100のテーパ開口部114と噛み合う。ある実施例において、突起132は円錐形で、制動部材104の第2の支持部分112のテーパ開口部114の傾斜と一致した傾斜の外側表面を有する。この構成では、制動部材104は突起132と噛み合うように構成され、弾性マウント100を正しい位置に固定する。
【0095】
使用される弾性マウント100の数はより多くても少なくてもよく、その位置も様々でよいことが正しく理解されるであろう。例えば、弾性マウント100は、ブロワ・ハウジング24の上部および底部に加え、またはかかる上部および底部の代わりに、コンプレッサ・ハウジング26の端部および側面もしくは端部または側面に配置できる。
【0096】
本発明の様々な実施例には特定の利点がある。本発明の実施例は、ノイズを低減または減衰させるための様々な環境で使用できる一方で、ポータブル呼吸器ハウジング内のようなスペースが限られた環境に特に適用できる。
【0097】
本発明の方法および装置に関する上記実施例が本発明の原理の単なる例証に過ぎず、特許請求の範囲に規定された通りの本発明の主旨および適用範囲から外れることなく、数多くのその他の実施例および変更が行えることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に配置されたコンプレッサ用のノイズ減衰ガス流路であって、前記ハウジング内に配置された複数の相互に接続されたチャンバを含み、
前記チャンバが少なくも1つの流管により相互に接続され、前記チャンバが、前記複数のチャンバと前記少なくも1つの流管との間に複数のインピーダンス不整合が生じるように構成され、前記ガス流路が前記ハウジングの空容積の大部分を取り巻く、ノイズ減衰ガス流路。
【請求項2】
ハウジング内に配置されたコンプレッサ用のノイズ減衰ガス流路であって、
前記ハウジングと一体成形された複数の相互接続チャンバを含み、
前記チャンバが、前記流路に沿って複数のインピーダンス不整合が生じるように構成され、
前記ガス流路が、前記ハウジングの入口から前記コンプレッサの入口までのノイズ減衰吸入ガス流路、および、前記コンプレッサの出口から前記ハウジングの出口までのノイズ減衰吐出ガス流路を含むことを特徴とするノイズ減衰ガス流路。
【請求項3】
ハウジング内に配置されたコンプレッサ用のノイズ減衰ガス流路であって、
前記ハウジング内に配置された複数の相互接続チャンバを含み、
前記チャンバが、前記流路に沿って複数のインピーダンス不整合が生じるように構成され、
前記ガス流路が、前記ハウジングの空容量の大部分を取り巻く、ノイズ減衰ガス流路。
【請求項4】
前記チャンバの少なくとも1つが、前記ハウジングの入口から前記コンプレッサの入口までの吸入ガス流路に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項5】
前記チャンバの少なくとも1つが、前記コンプレッサの出口から前記ハウジングの出口までの吐出ガス流路に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項6】
前記チャンバの少なくとも1つが、前記ハウジングの入口から前記コンプレッサの入口までの吸入ガス流路に配置されることを特徴とする請求項5に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項7】
前記チャンバの少なくとも1つが、前記ハウジングの一部分と一体成形された少なくとも1つの壁を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項8】
前記ガス流路が、前記チャンバの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの多孔管を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項9】
コンプレッサと併せて使用するためのノイズ減衰多孔管であって、
壁を含む内部チャンバを含み、
前記壁を複数の通路が横切り、通路に沿った流路の長さが、前記壁の厚さよりも大きいことを特徴とするノイズ減衰多孔管。
【請求項10】
前記通路が、前記多孔管の外側表面から突き出した外管内に形成されることを特徴とする請求項9の多孔管。
【請求項11】
前記内部チャンバが円形及び矩形のいずれか一方の断面を有することを特徴とする請求項9の多孔管。
【請求項12】
前記外管が円形状及び矩形状のいずれか一方の断面を有することを特徴とする請求項10の多孔管。
【請求項13】
前記通路の断面積の和が、前記チャンバの断面積よりも大きいことを特徴とする請求項10の多孔管。
【請求項14】
前記外管が前記壁と一体成形されることを特徴とする請求項10の多孔管。
【請求項15】
前記壁に原厚があり、前記外管が配置された位置以外の位置の前記壁厚を減らすことにより、前記外管が形成されることを特徴とする請求項14の多孔管。
【請求項16】
前記外管の第1の複数が第1の長さを有し、前記外管の第2の複数が第2の長さを有することを特徴とする請求項10の多孔管。
【請求項17】
ポータブル呼吸器ハウジング内のコンプレッサ用の取付けシステムであって、
複数の弾性マウントを含み、
前記弾性マウントの各々が、
前記コンプレッサに対して前記弾性マウントを支持するための支持部材、
前記支持部材に接続された弾性制動部材、
支持構造の取付け先端部を受け入れるための開口部を含み、
前記取付けシステムが、前記弾性マウントに取り付けられている時の前記コンプレッサの固有周波数を、取り付けられていない時の前記コンプレッサの固有周波数から低減させることを特徴とする取付けシステム。
【請求項18】
前記支持部材がねじ部品を含むことを特徴とする請求項17の取付けシステム。
【請求項19】
前記開口部が、前記弾性制動部材に形成されたテーパ開口部を含むことを特徴とする請求項17の取付けシステム。
【請求項20】
前記弾性制動部材が折り曲げ可能な壁部分を含むことを特徴とする請求項17の取付けシステム。
【請求項21】
ポータブル呼吸器ハウジング内のコンプレッサ用の取付けシステムであって、
複数の弾性マウントを含み、
前記弾性マウントの各々が、
前記コンプレッサに対して前記弾性マウントを支持するための支持部材と、
前記支持部材に接続された弾性制動部材とを含み、
さらに前記弾性制動部材が折り曲げ可能な壁部分を含むことを特徴とする取付けシステム。
【請求項22】
前記弾性制動部材が概ね円形の断面を有することを特徴とする請求項21の取付けシステム。
【請求項23】
前記折り畳み可能な壁部分が蛇腹形状の断面を含むことを特徴とする請求項21の取付けシステム。
【請求項24】
前記支持部材がねじ部品を含むことを特徴とする請求項21の取付けシステム。
【請求項25】
前記弾性制動部材が、支持構造の取付け先端部を受け入れるための開口部を含むことを特徴とする請求項21の取付けシステム。
【請求項26】
前記開口部が、前記弾性制動部材に形成されたテーパ開口部を含むことを特徴とする請求項17又は21の取付けシステム。
【請求項27】
前記弾性マウントの第1の複数が、前記コンプレッサの第1の側面と第1の支持構造の間に配置され、前記弾性マウントの第2の複数が、前記コンプレッサの第2の側面と第2の支持構造の間に配置されることを特徴とする請求項17又は21の取付けシステム。
【請求項28】
前記第1および第2の支持構造が前記呼吸器ハウジングの部分を含むことを特徴とする請求項27の取付けシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのチャンバが複数のチャンバである請求項4に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項30】
前記少なくとも1つのチャンバが複数のチャンバである請求項5に記載のノイズ減衰ガス流路。
【請求項31】
前記少なくとも1つの多孔管が複数の多孔管である請求項8に記載のノイズ減衰ガス流路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−214576(P2011−214576A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111345(P2011−111345)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【分割の表示】特願2007−524871(P2007−524871)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(506039955)ケアフュージョン 203 インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】CareFusion 203,Inc.
【Fターム(参考)】