説明

コンベアベルト用ゴム組成物及びコンベアベルト

【課題】優れた耐摩耗性、強力及び耐カット性と、優れた耐引裂き性能とを兼ね備えたコンベアベルトを与えるコンベアベルト用ゴム組成物及び該組成物を用いて製造したコンベアベルトを提供する。
【解決手段】75〜85質量%の天然ゴムと、15〜20質量%のブタジエンゴムとを含んでなるゴム成分100質量部に対して、2〜5質量部の樹脂成分と、1〜1.5質量部の加硫剤とを含有することを特徴とするコンベアベルト用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンベアベルト用ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて製造されるコンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトは、鉱石、土砂、セメント等の資材や、穀物、果物等の食品、あるいは商品が梱包された箱や袋等の多種多様な荷物をその上に載せ、所定区間を安定して連続輸送する輸送手段として様々な場所で使用されるベルトコンベア装置の構成部品である。このコンベアベルトは、通常、所定の幅を有するベルトの両端部が互いに接合された無端帯状とされ、テーブル上又は多数配設されたローラによって形成された輸送経路上の所定区間を、駆動プーリを含む多数のプーリを介して循環するようになっている。
【0003】
コンベアベルトは一般的に、帆布やスチールコード等からなる補強材を芯材として、その上下を未加硫の上面カバーゴム及び下面カバーゴムで被覆した積層構造を形成し、これを加硫硬化することにより得られる。このようなコンベアベルトでは、高い強力が求められており、特に、上記カバーゴムが、高い引張強さを有することが重要である。更に、使用中には荷物と直接接触するため、摩耗し易く、また、荷物をベルト上に載置した際の衝撃による損傷(カット)を受けやすいので、高い耐摩耗性と耐衝撃性(耐カット性)も要求される。また、下面カバーゴムもテーブルやプーリと接触した状態で駆動されるため、同様に良好な耐摩耗性と耐カット性が要求される。
【0004】
上記コンベアベルトに要求される特性のうち特に重要なものは耐摩耗性と強力であり、これらの物性はDIN規格により規定されている。このDIN規格は海外向けの規格であるが、その基準は国内規格よりも厳しいものとなっている。最近では、これらに加えて高い耐引裂き性能が要求されている。このような市場の要求に対して、特開2000−198518号公報(特許文献1)には耐摩耗性、破壊物性を改善したコンベアベルト用ゴム組成物が提案され、また、出願人も特開2006−199892号公報(特許文献2)において、耐摩耗性と耐カット性とを両立したコンベアベルト用ゴム組成物を提案するなど様々な改良がなされ、その耐久性は大幅に向上した。しかしながら、いずれにおいてもコンベアベルトの耐摩耗性、耐カット性及び強力と、耐引裂き性能との両立においては課題が残されている。従って、上記のDIN規格に規定される特性を満たしながら、優れた耐引裂き性能を兼ね備えたコンベアベルトの開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−198518号公報
【特許文献2】特開2006−199892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、優れた耐摩耗性、強力及び耐カット性と、優れた耐引裂き性能とを兼ね備えたコンベアベルトを与えるコンベアベルト用ゴム組成物及び該組成物を用いて製造したコンベアベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、コンベアベルトのカバーゴムとして、所定の配合割合の天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分に対して、所定量の樹脂成分と加硫剤とを含むゴム組成物を用いることにより、優れた耐摩耗性、強力及び耐カット性と、優れた耐引裂き性能とを兼ね備えたコンベアベルトを容易かつ確実に得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、75〜85質量%の天然ゴムと、15〜20質量%のブタジエンゴムとを含んでなるゴム成分100質量部に対して、2〜5質量部の樹脂成分と、1〜1.5質量部の加硫剤とを含有することを特徴とするコンベアベルト用ゴム組成物、及び、
このゴム組成物を用いることを特徴とするコンベアベルトを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンベアベルト用ゴム組成物は、コンベアベルトのカバーゴム、特に上面カバーゴムとして用いることにより耐摩耗性、強力及び耐カット性に優れると共に、優れた耐引裂き性能を兼ね備えたコンベアベルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明のコンベアベルト用ゴム組成物は、上記の通り、天然ゴムとブタジエンゴムとを所定の配合割合で含有してなるゴム成分に対して、更に、所定量の樹脂成分と加硫剤とを含有してなるものである。
【0011】
(1)ゴム成分
本発明のコンベアベルト用ゴム組成物に含まれるゴム成分としては、天然ゴム(以下、NRと表記することもある)及びブタジエンゴム(以下、BRと表記することもある)を用いる。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記のゴム成分に加えて合成ゴム等の他のゴムを併用してもよい。その具体例としては、イソプレンゴムやスチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エポキシ化天然ゴム、アクリレートブタジエンゴム等の合成ゴム及びこれら天然ゴムまたは合成ゴムの分子鎖末端が変性されたもの等を挙げることができ、これらの中から適宜選択使用すればよい。
【0012】
上記ブタジエンゴムとしては、具体的には、ニッケル系触媒により重合されるBR、例えば、BR01、BR11(いずれもJSR(株)製)や、リチウム系触媒により重合されるBR、例えば、BR71(JSR(株)製)、あるいは、ネオジウム系触媒により重合されたポリブタジエンゴム(以下、Nd−BRと表記することもある)、例えば、JSR T0700(JSR(株)製)等を挙げることができるが、本発明においては、Nd−BRを好適に用いることができる。ここで、BRの二重結合部分の構造には、通常シス体とトランス体があるが、本発明で用いるNd−BRではシス体が80%以上含まれていることが好ましく、さらには90%以上含まれることが好ましい。シス体が80%未満である場合には、耐摩耗性に劣るものとなるおそれがある。
【0013】
本発明においてNd−BRを用いる場合、重合に用いるネオジウム系触媒としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、ネオジウムを含む化合物又はこれらとルイス塩基との反応物等を使用し得る。具体的には、ネオジウムのカルボン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、アルコキシド等を好適に用いることができる。
また、助触媒としてアルミノキサンを用いることが好ましく、特にメチルアルミノキサンが好適である。
【0014】
また、上記Nd−BRは末端変性がなされているものを用いることが好ましい。Nd−BRの末端変性方法としては、変性剤を使用して上記Nd−BRの活性末端を変性する方法を採用し得る。変性剤としては、例えば、四塩化スズ及び四臭化スズ等のハロゲン化スズ、トリブチルスズクロライド等のハロゲン化有機スズ化合物、四塩化ケイ素及びクロロトリエチルシラン等のケイ素化合物、フェニルイソシアネート等のイソシアネート基含有化合物、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物並びにイソシアヌル酸誘導体等が挙げられる。この中では特にスズ系化合物を用いて末端変性をすることが好ましい。また、本発明で用いる末端変性Nd−BRは、分子量に関しては特に制限されない。
【0015】
なお、本発明においては、上記ゴム成分全体に占める天然ゴムの割合を通常75〜85質量%、特に75〜80質量%とし、ブタジエンゴムの割合を通常15〜20質量%の範囲とすることが好ましい。これらのゴム成分の配合量が上記範囲を逸脱した場合、耐摩耗性、引張強さ、耐カット性及び耐引裂き性能の悪化を招くおそれがある。特に、ブタジエンゴムの配合割合が15質量%未満となった場合には、耐摩耗性の悪化を招く場合が多い。本発明では、天然ゴムとブタジエンゴムの配合割合を上記範囲とすることにより、上記の特性をより確実に両立することができる。
【0016】
(2)樹脂成分
樹脂成分は、コンベアベルトの物性の向上を目的として配合するものであり、また加工性を維持する役割も担っている。なお、加工性の維持のためには、ゴム組成物にオイルを添加することもできるが、本発明のゴム組成物にオイルを添加した場合、得られるコンベアベルトの耐引裂き性の低下を招くおそれがある。そのため、本発明では上記オイルに代えて樹脂成分を配合することが好ましい。上記樹脂成分の具体例としては、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ハイスチレン樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油系炭化水素樹脂(芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂)、芳香族多価カルボン酸・脂肪族多価アルコール縮合物等を挙げることができ、これらの中から1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、ロジン系樹脂を好適に用いることができる。上記樹脂成分の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常2〜5質量部、特に3〜5質量部とすることが好ましい。樹脂成分の配合量が5質量部を超えると、引張強さ及び耐摩耗性が低下するおそれがあり、2質量部未満であると、耐カット性の低下を招くおそれがある。
【0017】
(3)加硫剤
加硫剤は、従来公知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、硫黄を好適に用いることができる。その配合量は上記ゴム成分100質量部に対し通常1〜1.5質量部、特に1.2〜1.5質量部とすることが好ましい。加硫剤の配合量が1質量部未満であると、十分な加硫効果が得られないおそれがあり、一方、1.5質量部を超えると、伸び、引張強さ及び耐引裂き性能等の低下を招くおそれがある。
【0018】
(4)カーボンブラック
カーボンブラックとしては、ゴム工業で通常使用されているものを使用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ISAF級以上の微細な粒径を有するものを好適に用いることができる。また、これらのカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が100〜150m2/g、DBP吸収量(A法)が100〜150ml/100gであることが好ましい。このようなカーボンとしては市販品を用いることができ、その具体例としては、シースト6(窒素吸着比表面積119m2/g、DBP吸収量(A法)114ml/100g:東海カーボン(株)製)、シースト7HM(窒素吸着比表面積126m2/g、DBP吸収量(A法)125ml/100g:東海カーボン(株)製)、旭#80(窒素吸着比表面積115m2/g、DBP吸収量(A法)113ml/100g:旭カーボン(株)製)等が挙げられる。
【0019】
上記カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常35〜50質量部、特に40〜45質量部とすることが好ましい。配合量が50質量部を超えると、加工性の低下を招くおそれがあり、35質量部未満では、耐摩耗性及び耐カット性の低下を招くおそれがある。
【0020】
(5)シリカ
本発明においては、必ずしも必要とするものではないが、シリカを配合することにより耐引裂き性能を向上させることができる。上記シリカとしては、この分野において通常使用されているものを使用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、疎水化処理シリカを好適に用いることができる。この疎水化処理シリカとしては、窒素吸着比表面積(BET法)が通常150〜500m2/g、特に150〜350m2/gの範囲の湿式シリカ100質量部に対して、動粘度が10-6〜1m2/sの範囲のシリコーンオイル0.1〜50質量部を配合して表面処理して得られるものが好ましい。上記湿式シリカの比表面積が150m2/g未満では、所望の破壊特性が得られないおそれがある。また、500m2/gを超えると、ゴム成分への分散性が低下するおそれがある。なお、上記シリカのDBP吸収量は150〜350ml/100gであることが好ましい。
【0021】
上記シリカを配合する場合、その配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常3〜15質量部、特に5〜10質量部とすることが好ましい。配合量が15質量部を超えると、加工性や物性が低下するおそれがあり、3質量部未満では、物性低下のおそれがある。
なお、本発明においては、上記シランをゴム成分と混練する際、公知のシランカップリング剤を適宜添加することもでき、これによりゴム成分への分散性を向上させることが可能である。
【0022】
(6)その他の添加剤
本発明のゴム組成物には上記各成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の加硫促進剤、加硫促進助剤、亜鉛華(ZnO)、老化防止剤、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、発泡剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0023】
ワックス類としては、パラフィンワックス及びミクロクリスタリンワックス等のワックス、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミド等のアマイド化合物等を挙げることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して用いればよい。特に本発明においては、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスを好適に用いることができる。これらの配合により、成形作業性を向上させることができる。
上記ワックス類の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常1〜4質量部、特に1〜3質量部とすることが好ましい。4質量部を超えると、製品表面にワックスがブルームして外観不良となるおそれがあり、1質量部未満になると、耐オゾン性が低下し、オゾンクラックが生じるおそれがある。
【0024】
可塑剤は、本発明においては必ずしも必要としないが、加工性の向上のために適宜添加することができる。この可塑剤は、従来公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、具体例として、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油等を挙げることができ、使用の際にはこれらの中から1種単独で又は2種以上を適宜選択使用すればよい。上記可塑剤の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対し、通常0〜3質量部、特に0〜1質量部とすることが好ましい。3質量部を超えた場合は、引張強さ、耐摩耗性、耐引裂き性能の低下を招くおそれがある。
【0025】
加硫促進剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、例えばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤等が挙げられる。その配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対し、通常0.5〜3質量部である。
【0026】
充填剤としては、例えば、ホワイトカーボン、微粒子ケイ酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク等の無機充填剤、ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、ロジン誘導体等の有機充填剤が挙げられる。その配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対し、通常3〜25質量部である。
【0027】
本発明のコンベアベルト用ゴム組成物を得る際、上記各成分の配合方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。なお、混練に際してはロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の公知の混練機を用いることができる。
【0028】
そして、本発明のコンベアベルトは、得られたゴム組成物を押出成形、カレンダー等の公知の成形方法によりシート状に成形し、補強材である帆布やスチールコードを芯材として、これを被覆するようにシート状ゴム成形物を貼り合わせた後、常法に従い加硫硬化させることにより得ることができる。これにより、DIN−Xに規定の引張強さ(25MPa以上)を満足し、かつDIN−Wに規定の耐摩耗性(90mm3以下)を満足し、更にDIN53507に規定の引裂強さが15N/mm以上であるコンベアベルトを容易かつ確実に得ることができる。
【0029】
なお、このコンベアベルトは、通常上面カバーゴム及び下面カバーゴムの間に、帆布やワイヤ等からなる補強材を介在させた状態で加硫接着一体化したものであり、被輸送物と接触するのは上面カバーゴムである。そのため、本発明のコンベアベルトで要求される特性を満足するためには、少なくとも上面カバーゴムに本発明のゴム組成物を使用すればよく、補強材及び下面カバーゴムは、コンベアベルト用として従来公知のものを使用し得る。また、下面カバーに対して本発明のゴム組成物を適用してもよく、コンベアベルトの仕様に応じて適宜選択すればよい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜6]
表1に示す配合のゴム組成物を常法に従い調製した。得られたゴム組成物については、適宜加硫成形を行い、下記に示した方法により、硬さ、伸び、引張強さ、耐引裂き性、耐摩耗性、耐カット性について評価した。評価結果は表1に併記した。
《評価方法》
・硬さ
DIN53505に準拠して測定した。
・伸び
DIN53504に準拠して測定した。
・引張強さ
DIN53504に準拠して測定した。
・耐引裂き性
DIN53507に準拠して測定した。
・耐摩耗性(DIN摩耗試験)
DIN53516に準拠し、DIN摩耗試験機を用いて測定した。試験は室温で行い、摩耗量をmm3で表した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性に優れる。
・耐カット性(落錘カット試験)
縦60mm×横70mm×高さ30mmのゴムブロックを155℃、45分間の条件で加硫硬化させ、評価体とした。室温でこの評価体に、40cmの高さから重量15kgの錘を付けた角度60度の鋭利な刃を落下させ、評価体に生じた亀裂の深さ(mm)を測定した。生じた亀裂が小さいほど、耐カット性(耐衝撃性)に優れる。
【0031】
【表1】

NR:天然ゴム、RSS 3号
SBR:スチレン・ブタジエンゴム、SBR1500、スチレン含量23.5質量%(JSR(株)製)
BR:ブタジエンゴム、JSR T0700、触媒 Nd、助触媒 メチルアルミノキサン(JSR(株)製)
カーボンブラック:ISAF級カーボンブラック、シースト6、窒素吸着比表面積119m2/g、DBP吸収量(A法)114ml/100g(東海カーボン(株)製)
ステアリン酸:ステアリン酸(新日本理化(株)製)
亜鉛華:亜鉛華(東邦亜鉛(株)製)
シリカ:ニップシールAQ(東ソー・シリカ(株)製)
ワックス:サンノックW(大内新興化学工業(株)製)
老化防止剤1:ノクラック224(大内新興化学工業(株)製)
老化防止剤2:ノクラック6C(大内新興化学工業(株)製)
樹脂1:ロジン、ハイロジンB(大社松精油(株)製)
樹脂2:ジシクロペンタジエン、日石ネオレジン(新日本石油化学(株)製)
樹脂3:フェノール樹脂、スミライトレジンPR50235(住友ベークライト(株)製)
オイル:アロマティック油、ダイアナプロセスオイルAH58(出光興産(株)製)
硫黄:普通硫黄(鶴見化学工業(株)製)
加硫促進剤:ノクセラーNS−F(大内新興化学工業(株)製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
75〜85質量%の天然ゴムと、15〜20質量%のブタジエンゴムとを含んでなるゴム成分100質量部に対して、2〜5質量部の樹脂成分と、1〜1.5質量部の加硫剤とを含有することを特徴とするコンベアベルト用ゴム組成物。
【請求項2】
DIN−Xに規定の引張強さ(25MPa以上)を満足し、かつDIN−Wに規定の耐摩耗性(90mm3以下)を満足し、更にDIN53507に規定の引裂強さが15N/mm以上である請求項1記載のコンベアベルト用ゴム組成物。
【請求項3】
上記樹脂成分がロジン系樹脂である請求項1又は2記載のコンベアベルト用ゴム組成物。
【請求項4】
上記加硫剤が硫黄である請求項1〜3のいずれか1項記載のコンベアベルト用ゴム組成物。
【請求項5】
上記ブタジエンゴムが、ネオジウム系触媒を用いて重合されたものである請求項1〜4のいずれか1項記載のコンベアベルト用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のゴム組成物を用いることを特徴とするコンベアベルト。

【公開番号】特開2009−215339(P2009−215339A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57315(P2008−57315)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】