説明

コンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法

【課題】駐車中の車両の充電を行うことが可能なコンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法を提供する。
【解決手段】コンベア式立体駐車装置1では、車両Cに搭載されるバッテリを充電するための充電器12が設置されており、車両Cが駐車ます6において格納位置に到達したときに、車両Cの給電口ソケット50と電気的に接続される第1〜第3の集電子19c,20c,21cが接触する第1〜第3の接触用固定端子30〜32を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全などの観点から、二酸化炭素などの排出量を極めて抑えることができる電気自動車の普及が進んできている。電気自動車では、内燃機関と併用するハイブリッド式のものも含め、一定の走行後にバッテリの充電を行う必要がある。一般に、電気自動車の充電には時間がかかるため、充電設備を充実させることが電気自動車の更なる普及のための重要な課題となっている。
【0003】
充電設備としては、従来のガソリンスタンドに充電器を設置することが考えられる。しかしながら、ガソリンスタンドでの充電は、車両による移動を中断して行わなければならず、充電に時間がかかってしまうと電気自動車の使い勝手は低下してしまうことになる。そこで、充電器の設置のし易さを活かして立体駐車装置に充電器を設置し、駐車中の電気自動車の充電を可能にする技術が着目されている。
【0004】
立体駐車装置に充電器を設置した技術としては、例えば特許文献1に記載の立体駐車装置がある。この従来の立体駐車装置では、車両が搭載されるパレットの側面又は底面に、車両の格納位置において給電用接点と接続される充電用接点が設けられている。車両の格納位置には、給電用接点に電気を供給する電源設備が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−4620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、立体駐車装置としては、コンベアによって入出庫バースと駐車ますとの間で車両を移送するコンベア式立体駐車装置がある。コンベア式立体駐車装置では、例えば車両の前輪と後輪とに対応してそれぞれコンベアが配置され、車両が幅方向に移送されるようになっている。
【0007】
このようなコンベア式立体駐車装置では、車両の入庫時から出庫時まで同一のパレットに車両が載置される特許文献1の立体駐車装置とは異なり、コンベア上で車両と一緒に移送される部材が存在しない。そのため、コンベア式立体駐車装置で車両の充電を行うには、パレットに充電用接点を設けた従来構成とは異なる新たな構成を適用する必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、駐車中の車両の充電を行うことが可能なコンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンベア式立体駐車装置は、車両が入出庫する入出庫バースと、車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、入出庫バースと駐車フロアとの間を移動して車両を移送する移送体と、車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、入出庫バースと移送体との間及び移送体と駐車ますとの間で車両を移送するコンベア装置と、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、車両が駐車ますにおいて格納位置に到達したときに、車両の給電口と電気的に接続される集電子が接触する接触用端子を備え、接触用端子は、第1のコンベア及び第2のコンベアの少なくとも一方において、車両を格納位置に移送する移送方向の終端側で車両の車輪との当接面よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【0010】
このコンベア式立体駐車装置では、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器が設置されており、車両が駐車ますにおいて格納位置に到達したときに、車両の給電口と電気的に接続される集電子が接触する接触用端子を備えている。したがって、このコンベア式立体駐車装置では、駐車ますに車両が移送されて格納位置に到達した際に、車両の給電口に電気的に接続される集電子と接触用端子が接触することによって車両への給電を行うことができる。
【0011】
さらに、接触用端子は、第1のコンベア及び第2のコンベアの少なくとも一方において、車両を格納位置に移送する移送方向の終端側で車両の車輪との当接面よりも上方に配置されている。このような構成とすることにより、既存のコンベア式立体駐車装置の第1及び第2のコンベアに、充電整備を後から簡単に取り付けることが可能となる。
【0012】
なお、接触用端子は、第1の接触用端子と第2の接触用端子とを有し、第1の接触用端子は、充電器の第1の極性に接続され、第2の接触用端子は、充電器の第2の極性に接続されている。
【0013】
また、第1のコンベア及び第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、チェーン間に架け渡されたスラットとを有し、第1の接触用端子及び第2の接触用端子は、スラットの延在方向に延在し、スラットと略同等の長さを有すると共に、上下方向に並設されていることが好ましい。このように、第1の接触用端子及び第2の接触用端子がスラットの延在方向に延在してスラットと略同等の長さを有し、且つ上下方向に並設されているため、第1のコンベア及び第2のコンベアにおいて車両の位置が前後方向にずれた場合であっても、集電子を第1の接触用端子及び第2の接触用端子に接触させることができる。したがって、車両への給電をより確実に行うことができる。
【0014】
なお、第1の接触用端子と第2の接触用端子とは、絶縁部材を間に挟んで上下方向に並設されていることが好ましい。この場合には、第1の接触用端子と第2の接触用端子との間において短絡が発生することを防止できる。
【0015】
また、本発明に係る集電ブラケットは、上記コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケットであって、車両の車輪を挟み込むようにコンベア装置上に載置可能である脚部と、脚部に立設される柱部と、柱部に設けられ、接触用端子と接触する集電子を有する集電部とを備え、柱部には、集電子に接続される配線が通されると共に、配線に接続されるプラグソケットが設けられていることを特徴とする。
【0016】
この集電ブラケットでは、集電ブラケットの脚部は、車両の車輪を挟み込む構造を有しているので、コンベア装置による車両の移送の際、車両と共に安定して一体的に移動可能となっている。そして、柱部には、接触用端子と接触する集電子を有する集電部が設けられている。したがって、例えば入出庫バースで車両に集電ブラケットを取り付け、車両の給電口とプラグソケットとの間をケーブルで接続することにより、駐車ますにおいて充電器の電極と車両の給電口とを接続できる。その結果、駐車ますでの車両の充電が実行される。
【0017】
上記の集電部は、充電器の第1の極性に接続された第1の接触用端子に接触する第1の集電子を有する第1の集電部と、充電器の第2の極性に接続された第2の接触用端子に接触する第2の集電子を有する第2の集電部とを有している。
【0018】
また、本発明に係る車両の充電方法は、上記コンベア式立体駐車装置と集電ブラケットとを用いた車両の充電方法であって、入出庫バースにおいて、コンベア装置に載置された車両の一方輪又は他方輪に集電ブラケットを取り付け、車両の給電口とプラグソケットとをケーブルで接続するステップと、車両を移送体によって入出庫バースから駐車フロアに移送し、所定の駐車ますに車両を駐車させるステップと、駐車ますにおいて接触用端子に集電ブラケットの集電子を接触させるステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
この車両の充電方法では、入出庫バースにおいて車両の一方輪に集電ブラケットを取り付けた状態で車両を駐車ますまで移送し、駐車ますにおいて接触用端子に集電ブラケットの集電子を接触させる。これにより、駐車ますにおいて充電器と車両の給電口とが接続され、車両の給電を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンベア式立体駐車装置において、駐車中の車両の充電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンベア式立体駐車装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】集電ブラケットの一例を示す斜視図である。
【図3】集電ブラケットが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】駐車ますにおける充電器の構成を示す図である。
【図5】駐車ますにおける後輪用コンベアを示す斜視図である。
【図6】車両への充電方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るコンベア式立体駐車装置、集電ブラケット、及び車両の充電方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベア式立体駐車装置の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、コンベア式立体駐車装置1は、例えば地上階に設けられる入出庫バース2と、地下階に設けられる駐車フロア3とを備え、空間の有効利用を図るために発案された立体駐車装置である。また、このコンベア式立体駐車装置1は、駐車中の電気自動車のバッテリの充電を行う充電設備としての機能を有している。
【0024】
入出庫バース2には、ボックスタイプの入出庫ブース4が配置されており、入出庫ブース4の内部には、入出庫バース2と駐車フロア3との間を昇降するリフト装置(移送体)5が配置されている。このリフト装置5により、入出庫バース2と駐車フロア3との間で車両Cが移送される。
【0025】
一方、駐車フロア3には、車両Cを移送するための駐車ます6を複数備えた車両格納棚7が設置されている。車両格納棚7は、フレーム材を升目状に組み立てることで上下2段に構成されると共に、複数の駐車ます6を併設した例えば4列の駐車区画列8を有している。
【0026】
さらに、車両格納棚7の上段及び下段において、互いに平行な2列の駐車区画列8の間には、例えば2本のガイドレール9が全長に渡って水平に敷設されており、このガイドレール9に沿って走行台車10が走行する。走行台車10は、ガイドレール9上を走行自在であり、リフト装置5と各駐車ます6との間で車両Cの受け渡しを行う。
【0027】
ここで、リフト装置5は、車両Cを幅方向に移送するための前輪用コンベア5fと後輪用コンベア5rとを有している。同様に、走行台車10も車両Cを幅方向に移送するための前輪用コンベア10fと後輪用コンベア10rとを有しており、駐車ます6も前輪用コンベア6fと後輪用コンベア6rとを有している。これらのコンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rには、スラットコンベアが用いられている。
【0028】
上述した走行台車10は、ガイドレール9上を走行すると共に、リフト装置5の側方と任意の駐車ます6の側方とで停止する。走行台車10がリフト装置5の側方に停止すると、走行台車10の前輪用コンベア10fとリフト装置5の前輪用コンベア5fとが一列に整列し、同時に、走行台車の後輪用コンベア10rとリフト装置5の後輪用コンベア5rとが一列に整列する。
【0029】
また、走行台車10が任意の駐車ます6の側方に停止すると、走行台車10の前輪用コンベア10fと駐車ます6の前輪用コンベア6fとが一列に整列し、同時に、走行台車の後輪用コンベア10rと駐車ます6の後輪用コンベア6rとが一列に整列する。したがって、これらのコンベアを適宜協働させることにより、リフト装置5と走行台車10との車両Cの受け渡し、及び走行台車10と駐車ます6との車両Cの受け渡しが適切に行われることとなる。
【0030】
続いて、駐車中の電気自動車のバッテリの充電を行う充電設備としてのコンベア式立体駐車装置1の構成について説明する。充電設備としてのコンベア式立体駐車装置1は、電気自動車である車両Cに接続される集電ブラケット11と、各駐車ます6に設けられた充電器12とを備えている。
【0031】
図2は、集電ブラケットの一例を示す斜視図であり、図3は、集電ブラケットが取り付けられた状態を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、集電ブラケット11は、平面視でコの字状をなす脚部15と、脚部15に立設された柱部16と、柱部16に設けられた複数(ここでは3つ)の第1〜第3の集電部17a〜17cとによって構成されている。脚部15は、図3に示すように、後輪に横から差し込まれる。
【0032】
第1〜第3の集電部17a〜17cは、柱部16の下端側に設けられている。具体的には、第1の集電部17a、第2の集電部17b及び第3の集電部17cが上側からこの順番で柱部16に設けられている。第1〜第3の集電部17a〜17cは、同様の構成を有している。そこで、第1の集電部17aを例に具体的に説明する。第1の集電部17aは、固定部19aと、接続部19bと、第1の集電子19cとを有している。
【0033】
固定部19aは、柱部16に固定される部分である。接続部19bは、基端側が固定部19aに連結されていると共に、先端側に第1の集電子19cに連結されおり、固定部19aと第1の集電子19cとを接続する部材である。接続部19bと固定部19aとの連結部分、及び接続部19bと第1の集電子19cとの連結部分は、例えばピンが柱部16の延在方向に沿って挿入されて連結されている。これにより、接続部19bは、固定部19a及び第1の集電子19cに対して水平方向に揺動自在に設けられている。固定部19aと接続部19bの先端側とには、ばね(不図示)が掛けられている。このばねは、接続部19bを時計回りに揺動させる方向に付勢力を与えている。
【0034】
第1の集電子19cは、例えばCu等の導電性材料によって形成されている。より具体的な構成としては、第1の集電子19cは、絶縁性の材料からなるケースに収納されており、接触面である表面が露出している。図3に示すように、集電ブラケット11が後輪に取り付けられた状態において、第1の集電子19cの表面は、後輪とは反対側に向けられている。第1の集電子19cは、後述する第1の接触用固定端子30に接触して集電する。第1の集電子19cには、第1の配線L1が接続されている。
【0035】
第2の集電部17bは、固定部20aと、接続部20bと、第2の集電子20cとを有している。第3の集電部17cは、固定部21aと、接続部21bと、第3の集電子21cとを有している。固定部20a及び固定部21aは、固定部19aと同様の構成を有しており、接続部20b及び接続部21bは、接続部19bと同様の構成を有している。第2の集電子20c及び第3の集電子21cは、第1の集電子19cと同様の構成を有しており、第2の集電子20cには第2の配線L2が接続されており、第3の集電子21cには、第3の配線L3が接続されている。
【0036】
集電ブラケット11における柱部16の上部には、車両Cの給電口ソケット50から延びるケーブル51(図6参照)のプラグを接続可能なプラグソケット22が設けられている。第1〜第3配線L1〜L3は、柱部16の内部を通ってプラグソケット22に接続されている。
【0037】
このような集電ブラケット11は、例えば入出庫バース2において、コンベア式立体駐車装置1の収容台数に応じて複数常備されている。そして、車両Cの入庫の際、例えば運転者又は係員が集電ブラケット11の脚部15を車両Cの車輪の側方から差し込むことで、集電ブラケット11は、車両Cの車輪を挟み込んだ状態でコンベア上に設置され、車両Cと共に所定の駐車ます6まで移送される。
【0038】
一方、図4は、駐車ますにおける充電器の構成を示す図である。図4に示すように、充電器12は、例えば駐車ます6における後輪用コンベア6r付近に配置されている。充電器12の一方の極性(第1の極性:+極性)には、第1の接触用固定端子(第1の接触用端子)30が接続され、充電器12の他方の極性(第2の極性:−極性)には、第2の接触用固定端子(第2の接触用端子)31が接続されている。第3の接触用固定端子32は、接地(グランドに接続)されている。
【0039】
第1の接触用固定端子30、第2の接触用固定端子31及び第3の接触用固定端子32は、接触電線(トロリ線)であり、例えばCu、Alやその合金等によって形成されている。第1〜第3の接触用固定端子30〜32は、後輪用コンベア6rの一端側、具体的には、車両Cを駐車ます6における格納位置に移送する移送方向の終端側に配置されており、支持体35に支持されている。
【0040】
図5に示すように、支持体35は、後輪用コンベア6rにおいて車両Cの幅方向の一端側、すなわち車両Cを駐車ます6における格納位置に移送する移送方向の終端側に配置されている。支持体35は、板状の本体部36と、本体部36に取り付けられた複数(ここでは3つ)の第1〜第3の収容部37a〜37cとから構成されている。本体部36は、後輪用コンベア6rにおいて、前後一対のスプロケット(不図示)に巻き付けられたチェーン40を巻き取る軸41を軸支する軸受42が設けられたサイドフレーム43の延在方向に対して垂直に立設されている。本体部36は、一対のサイドフレーム43の対向方向に延在しており、その長さは、スラット44の長さと略同等となっている。
【0041】
第1〜第3の収容部37a〜37cは、絶縁性の材料から形成されている。第1〜第3の収容部37a〜37cは、断面がコの字状を呈するチャネル材であり、本体部36の長さ寸法と同等の長さ寸法を有している。第1の収容部37aは、本体部36における後輪用コンベア6r側の面の上端側において、その長手方向が本体部36の延在方向と揃うように配置されている。第1の収容部37aは、開口が後輪用コンベア6r側を向くように設けられている。第1の収容部37aには、第1の接触用固定端子30が配設されている。すなわち、第1の接触用固定端子30は、第1の収容部37aに沿って(スラット44の延在方向に)延在している。
【0042】
第2の収容部37bは、第1の収容部37aの下方に配置されおり、第3の収容部37cは、第2の収容部37bの下方に配置されている。つまり、第1〜第3の収容部37a〜37cは、本体部36の高さ方向(上下方向)に並設されている。第2の収容部37bには、第2の接触用固定端子31が配設され、第3の収容部37cには、第3の接触用固定端子32が配設されている。すなわち、第1の接触用固定端子30、第2の接触用固定端子31及び第3の接触用固定端子32が上側からこの順番で配置されており、第1の接触用固定端子30、第2の接触用固定端子31及び第3の接触用固定端子32のそれぞれは、集電ブラケット11の第1の集電子19c、第2の集電子20c及び第3の集電子21cのそれぞれの高さ位置に対応する高さ位置に配置されている。
【0043】
続いて、上述したコンベア式立体駐車装置1における車両の充電方法について説明する。
【0044】
まず、入出庫バース2に車両Cを駐車し、車両Cの前輪を前輪用コンベア5fに載置し、後輪を後輪用コンベア5rに載置する。次に、集電ブラケット11を用意し、例えば図6に示すように、集電ブラケット11の脚部15を車両Cの左側の後輪に横から差し込む。また、車両Cの給電口ソケット50と集電ブラケット11とを所定のケーブル51で接続する。
【0045】
集電ブラケット11の設置及びケーブル51の接続を終えた後、所定の操作盤(不図示)の操作によって、リフト装置5、走行台車10、及びコンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rを作動させ、集電ブラケット11及びケーブル51を接続した状態のまま、車両Cを入出庫バース2から所定の駐車ます6まで自動で移送する。すなわち、操作盤の操作によって、入出庫バース2から駐車ます6の格納位置までの車両Cの移送の一連の動作が連続して行われる。
【0046】
車両Cが駐車ます6まで移送されて、各コンベア10f,10rによって車両Cが格納位置(横移載完了位置)に到達すると、図5及び図6に示すように、集電ブラケット11の第1〜第3の集電子19c,20c,21cのそれぞれが、第1〜第3の接触用固定端子30,31,32のそれぞれに接触(当接)する。これにより、充電器12から車両Cの給電口ソケット50までの電気的な経路が確立され、車両Cのバッテリの充電が実行される。
【0047】
以上説明したように、コンベア式立体駐車装置1では、車両Cに搭載されるバッテリを充電するための充電器12が設置されており、車両Cが駐車ます6において格納位置に到達したときに、車両Cの給電口ソケット50と電気的に接続される第1〜第3の集電子19c,20c,21cが接触する第1〜第3の接触用固定端子30〜32を備えている。したがって、このコンベア式立体駐車装置1では、駐車ます6に車両Cが移送されて格納位置に到達した際に、車両Cの給電口ソケット50に電気的に接続される第1〜第3の集電子19c,20c,21cと第1〜第3の接触用固定端子30〜32が接触することによって車両Cへの給電を行うことができる。
【0048】
また、第1〜第3の接触用固定端子30〜32は、スラット44の延在方向に延在しており、その長さは、スラット44の長さと略同等となっている。これにより、駐車ます6における後輪用コンベア6rにおいて車両Cの位置が前後方向にずれた場合、すなわち、集電ブラケット11の位置がずれた場合であっても、第1〜第3の接触用固定端子30〜32に第1〜第3の集電部17a〜17cの第1〜第3の集電子19c,20c,21cを接触させることができる。
【0049】
また、第1〜第3の接触用固定端子30〜32は、絶縁部材からなる第1〜第3の収容部37a〜37cに収容されているため、短絡が発生することが防止されている。
【0050】
また、後輪用コンベア6rの一端部でスラット44(車両Cの車輪との当接面)よりも上方に、第1〜第3の接触用固定端子30〜32を取り付けて充電器12と接続する構成であるため、既存のコンベア式立体駐車装置に充電設備を簡単に後付けすることができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、充電器12に接続される第1〜第3の接触用固定端子30〜32が後輪用コンベア6rに設けられているが、第1〜第3の接触用固定端子30〜32は前輪用コンベア6fに設けられてもよい。また、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rの両方にそれぞれ設けられていてもよく、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rにわたって設けられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第1〜第3の接触用固定端子30〜32がスラット44の長さ寸法と同等の長さ寸法を有しているが、第1〜第3の接触用固定端子30〜32は集電ブラケット11の第1〜第3の集電子19c,20c,21cに接触すればよく、その長さは限定されない。
【0053】
また、上記実施形態では、第1〜第3の接触用固定端子30〜32を第1〜第3の収容部37a〜37cに収容しているが、第1〜第3の接触用固定端子30〜32は第1〜第3の集電子19c,20c,21cに対応する位置に配置されていればよく、第1〜第3の収容部37a〜37cに収容されていなくてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、コンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rにスラットコンベアを用いているが、ローラーコンベアであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…コンベア式立体駐車装置、2…入出庫バース、3…駐車フロア、5…リフト装置、6…駐車ます、6f…前輪用コンベア、6r…後輪用コンベア、10…走行台車、11…集電ブラケット、12…充電器、15…脚部、16…柱部、17a〜17c…集電部、19c,20c,21c…第1〜第3の集電子、22…プラグソケット、30〜32…第1〜第3の接触用固定端子(接触用端子)、40…チェーン、44…スラット、50…給電口ソケット、C…車両、L1…第1の配線、L2…第2の配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が入出庫する入出庫バースと、
前記車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、
前記入出庫バースと前記駐車フロアとの間を移動して前記車両を移送する移送体と、
前記車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び前記車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、前記入出庫バースと前記移送体との間及び前記移送体と前記駐車ますとの間で前記車両を移送するコンベア装置と、
前記車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、
前記車両が前記駐車ますにおいて格納位置に到達したときに、前記車両の給電口と電気的に接続される集電子が接触する接触用端子を備え、
前記接触用端子は、前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアの少なくとも一方において、前記車両を前記格納位置に移送する移送方向の終端側で前記車両の車輪との当接面よりも上方に配置されていることを特徴とするコンベア式立体駐車装置。
【請求項2】
前記接触用端子は、第1の接触用端子と第2の接触用端子とを有し、
前記第1の接触用端子は、前記充電器の第1の極性に接続され、
前記第2の接触用端子は、前記充電器の第2の極性に接続されていることを特徴とする請求項1記載のコンベア式立体駐車装置。
【請求項3】
前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、前記チェーン間に架け渡されたスラットとを有し、
前記第1の接触用端子及び前記第2の接触用端子は、前記スラットの延在方向に延在し、前記スラットと略同等の長さを有すると共に、上下方向に並設されていることを特徴とする請求項2記載のコンベア式立体駐車装置。
【請求項4】
前記第1の接触用端子と前記第2の接触用端子とは、絶縁部材を間に挟んで前記上下方向に並設されていることを特徴とする請求項3記載のコンベア式立体駐車装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のコンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケットであって、
前記車両の車輪を挟み込むように前記コンベア装置上に載置可能である脚部と、
前記脚部に立設される柱部と、
前記柱部に設けられ、前記接触用端子と接触する前記集電子を有する集電部とを備え、
前記柱部には、前記集電子に接続される配線が通されると共に、前記配線に接続されるプラグソケットが設けられていることを特徴とする集電ブラケット。
【請求項6】
前記集電部は、前記充電器の第1の極性に接続された第1の接触用端子に接触する第1の集電子を有する第1の集電部と、前記充電器の第2の極性に接続された第2の接触用端子に接触する第2の集電子を有する第2の集電部とを有することを特徴とする請求項5記載の集電ブラケット。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項記載のコンベア式立体駐車装置と、請求項4又は5記載の集電ブラケットとを用いた車両の充電方法であって、
前記入出庫バースにおいて、前記コンベア装置に載置された前記車両の一方輪又は他方輪に前記集電ブラケットを取り付け、前記車両の給電口と前記プラグソケットとをケーブルで接続するステップと、
前記車両を前記移送体によって前記入出庫バースから前記駐車フロアに移送し、所定の駐車ますに前記車両を駐車させるステップと、
前記駐車ますにおいて前記接触用端子に前記集電ブラケットの前記集電子を接触させるステップと、を有することを特徴とする車両の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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