説明

コンベア設備

【課題】簡単かつコンパクトに構成でき、被搬送物を徐々に減速して確実に搬送できるコンベア設備を提供する。
【解決手段】傾斜ローラコンベア21を、ローラ25に対して駆動ベルト40を当接させるベルト駆動形式に構成するとともに、搬送方向において複数に分割し、これら分割コンベア部21A,21Bを、下流側ほど低速として駆動するように構成した。各分割コンベア部では、駆動ベルトによりローラ群を所定の回転速度で駆動回転させることで、それぞれの搬送速度によって被搬送物を駆動搬送可能にできる。簡単かつコンパクトに構成できるものでありながら、傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送は、被搬送物の形状や重量などに関係なく、常に所定の速度で衝突させることなく、かつ段階的に減速させて確実に行えるとともに、高速で搬入された被搬送物を所定の速度に徐々に減速でき、以て傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送を、衝撃を少なくして円滑にかつ損傷させることなく行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば主搬送経路上で搬送されている被搬送物を、この主搬送経路の側部外方に設けた分岐搬送経路に移す転換設備の前記分岐搬送経路などに採用し得るコンベア設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、上位の入口部と下位の出口部との間に、第1ローラコンベアとシュートと第2ローラコンベアとが傾斜して配設されている。そして、ローラコンベアの少なくとも一方が、或いはローラコンベアの各々が複数のローラを備え、すなわちローラコンベアは複数のグループにより形成されるとともに、各グループが複数のローラを備え、これらローラが異なる速度で駆動されるように構成されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−25919号公報(第3−4頁、図1、図3)
【特許文献2】特開平5−278833号公報
【特許文献3】特開平5−278834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成によると、各グループのローラを異なる速度で駆動させることで、構造が複雑にかつ大型化することになる。
そこで本発明の請求項1記載の発明は、簡単かつコンパクトに構成し得るものでありながら、被搬送物を徐々に減速して確実に搬送し得るコンベア設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のコンベア設備は、傾斜ローラコンベアを、ローラに対して駆動ベルトを当接させるベルト駆動形式に構成するとともに、搬送方向において複数に分割し、これら分割コンベア部を、下流側ほど低速として駆動するように構成したことを特徴としたものである。
【0005】
したがって請求項1の発明によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、ローラ群に下方から当接させている駆動ベルトによって、ローラ群を所定の回転速度で駆動回転させて、それぞれの搬送速度によって被搬送物を駆動搬送可能とし得る。この状態で被搬送物を、上流側分割コンベア部のローラ上に移すことにより、この上流側分割コンベア部において、駆動回転しているローラ群によって被搬送物を搬送し得る。その際に上流側分割コンベア部では、搬入した被搬送物にブレーキをかけることになって搬送速度を減速し得、そして、減速した搬送速度で駆動搬送し得る。次いで被搬送物を、上流側分割コンベア部から下流側分割コンベア部へと駆動搬送し得、その際に下流側分割コンベア部においては、上流側分割コンベア部の搬送速度よりも低速の搬送速度に減速して駆動搬送したのち、その終端から搬出し得る。
【0006】
また本発明の請求項2記載のコンベア設備は、上記した請求項1記載の構成において、分割コンベア部はそれぞれ駆動手段を有し、下流側ほど低速として各別に駆動するように構成したことを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項2の発明によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、それぞれの駆動手段により駆動ベルトを回動して、ローラ群を所定の回転速度で駆動回転させることになり、以て各分割コンベア部においては、それぞれの搬送速度によって被搬送物を駆動搬送し得る。
【0008】
そして本発明の請求項3記載のコンベア設備は、上記した請求項1記載の構成において、傾斜ローラコンベアは共通の駆動手段を有し、分割コンベア部間を変速連動機構により連動して、下流側ほど低速として駆動するように構成したことを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項3の発明によると、傾斜ローラコンベアの駆動手段を、複数の分割コンベア部に対して共通化することで、全体構成をより簡素化し得るとともに、安価に提供し得る。
【0010】
さらに本発明の請求項4記載のコンベア設備は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、傾斜ローラコンベアは搬送方向において2段に分割し、上手分割コンベア部の搬送速度を下手分割コンベア部の搬送速度に対して、2倍以下の高速に設定したことを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項4の発明によると、傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送を、衝撃を少なくして円滑にかつ損傷させることなく行えるものでありながら、上流側分割コンベア部から下流側分割コンベア部への駆動搬送の乗り移りを円滑にかつ確実に行えることになる。
【0012】
しかも本発明の請求項5記載のコンベア設備は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、傾斜ローラコンベアの上手には、主搬送経路上から側部外方に分岐された被搬送物を受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの下手には搬出コンベアが配設されていることを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項5の発明によると、主搬送経路上で搬送してきた被搬送物を、分岐移動させて搬入コンベアに移したのち、この搬入コンベアから傾斜ローラコンベアに移し、そして傾斜ローラコンベアから搬出コンベアへと搬送し得る。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の請求項1によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、駆動ベルトによりローラ群を所定の回転速度で駆動回転させることで、それぞれの搬送速度によって被搬送物を駆動搬送可能にできる。この状態で被搬送物を、上流側分割コンベア部のローラ上に移すことにより、この上流側分割コンベア部において、駆動回転しているローラ群によって被搬送物を搬送できる。その際に上流側分割コンベア部では、搬入した被搬送物にブレーキをかけることになって搬送速度を減速でき、そして、減速した搬送速度で駆動搬送できることにより、上流側分割コンベア部に高速で搬入した被搬送物を所定の搬送速度に減速して、上流側分割コンベア部で駆動搬送できる。次いで被搬送物を、上流側分割コンベア部から下流側分割コンベア部へと駆動搬送でき、その際に下流側分割コンベア部においては、上流側分割コンベア部の搬送速度よりも低速の搬送速度に減速して駆動搬送したのち、その終端から搬出できる。
【0015】
以上のように、簡単かつコンパクトに構成できるものでありながら、傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送は、被搬送物の形状や重量などに関係なく、常に所定の速度で衝突させることなく、かつ段階的に減速させて確実に行うことができるとともに、高速で搬入された被搬送物を所定の速度に徐々に減速でき、以て傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送を、衝撃を少なくして円滑にかつ損傷させることなく行うことができる。
【0016】
また上記した本発明の請求項2によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、それぞれの駆動手段により駆動ベルトを回動して、ローラ群を所定の回転速度で駆動回転できることになり、以て各分割コンベア部においては、それぞれの搬送速度によって被搬送物を駆動搬送できる。
【0017】
そして上記した本発明の請求項3によると、傾斜ローラコンベアの駆動手段を、複数の分割コンベア部に対して共通化することで、全体構成をより簡素化できるとともに、より安価に提供できる。
【0018】
さらに上記した本発明の請求項4によると、傾斜ローラコンベアでの被搬送物の駆動搬送を、衝撃を少なくして円滑にかつ損傷させることなく行うことができるものでありながら、上流側分割コンベア部から下流側分割コンベア部への駆動搬送の乗り移りを円滑にかつ確実に行うことができる。
【0019】
しかも上記した本発明の請求項5によると、主搬送経路上で搬送してきた被搬送物を、分岐移動させて搬入コンベアに移したのち、この搬入コンベアから傾斜ローラコンベアに移すことができ、そして傾斜ローラコンベアで減速したのち搬出コンベアへと搬送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、たとえば主搬送経路上で搬送されている被搬送物を、この主搬送経路の側部外方に設けた分岐搬送経路に移したりするのに使用される転換設備に採用した状態として、図1〜図6に基づいて説明する。
【0021】
図2、図3において、転換設備1は、支持体2群を循環移動させることで、始端部の支持体2群上に供給したケース状のコンテナ(被搬送物の一例)Aを主搬送経路5上で搬送し得るとともに、各支持体2に左右移動自在に設けた横押し体3を、搬送方向に移動しながら主搬送経路5を横切らせることで、横押し体3群をコンテナAに横押し作用させて、このコンテナAを、その向きを変えながら、主搬送経路5に対して左右に傾斜状で分岐移動させるように構成されている。
【0022】
このように分岐移動させたコンテナAを受け取って分岐搬送経路上で搬送するコンベア設備10の一例として、主搬送経路5側から順に、分岐コンベア11と、カーブコンベア(搬入コンベアの一例)12と、傾斜ローラコンベア21と、搬出コンベア41とからなる構成が設けられている。
【0023】
ここで前記分岐コンベア11は駆動ローラ形式であって、主搬送経路5側から分岐される始端部を終端部に対して上位とした状態で、後述する傾斜ローラコンベア21の所定の傾斜角度θと同様(同じ角度、または少し急角度、緩角度)に傾斜して形成されている。またカーブコンベア12は遊転ローラ形式であって、前記分岐コンベア11に連なる状態で傾斜して形成されている。そして傾斜ローラコンベア21は駆動形式であって、前記カーブコンベア12に連なる状態で所定の傾斜角度θで形成されている。さらに搬出コンベア41はフリーローラ形式であって、水平状に近い緩やかな傾斜角度θαで配設されている。
【0024】
図1〜図4において、前記カーブコンベア12は、左右一対の円弧状フレーム13と、円弧状フレーム13間においてコンベア幅方向の3箇所(複数箇所)に配設された円弧状の中間フレーム14と、前記円弧状フレーム13における円弧方向の複数箇所に、その長さ方向を円弧中心に向けた状態として配設された外側ローラ15、ならびに内側ローラ16などにより構成されている。ここで外側ローラ15や内側ローラ16は、円弧状フレーム13や中間フレーム14に遊転自在に支持されている。
【0025】
図1、図4〜図6において、前記傾斜ローラコンベア21のフレーム本体22は、傾斜した左右一対のコンベヤフレーム23と、両コンベヤフレーム23の下部間に設けられた連結フレーム24などにより構成されている。両コンベヤフレーム23間には、長さ方向における複数箇所(多数箇所)に位置されてローラ25が遊転自在に配設されている。すなわち各ローラ25は、前記コンベヤフレーム23に形成された六角孔(または切り欠き部)にローラ軸26の六角軸部が位置されることで、両コンベヤフレーム23間で遊転自在に支持されている。これにより、ローラ25群の上方に傾斜搬送経路28が形成される。
【0026】
ここで前記傾斜ローラコンベア21は、上位で傾斜される上流側分割コンベア部21Aと下位で傾斜される下流側分割コンベア部21Bとに、搬送方向において2つ(複数)に分割されている。これら分割コンベア部21A,21Bは、上流側分割コンベア部21Aの方が搬送経路を長くされ、下流側分割コンベア部21Bが低速で駆動されることを除いて、同様に構成されている。そして両分割コンベア部21A,21Bには、前記フレーム本体22内でかつ一方のコンベヤフレーム23側に位置されて、それぞれ駆動手段31A,31Bが配設されている。
【0027】
すなわち、ローラ25群の下方で傾斜搬送経路28の方向における両端にはそれぞれ反転輪体32が配設されている。そして、両コンベヤフレーム23の下部間にボックス状の駆動部フレーム33が設けられ、この駆動部フレーム33に減速機付きのモータ34が搭載されるとともに、モータ34の出力軸には駆動輪体35が設けられている。さらにモータ34の近くにおいて、一方のコンベヤフレーム23には一対の反転案内輪体36が設けられるとともに、駆動部フレーム33には位置調整自在なテンション案内輪体37が設けられている。また、両反転輪体32間において、ローラ25群の下方には多数の上位案内輪体38が設けられ、そして上位案内輪体38群の下方には複数の下位案内輪体39が設けられている。
【0028】
無端ベルトなどからなる駆動ベルト40は、両反転輪体32と上位案内輪体38群とに亘って上方から掛けられて、前記ローラ25群に下方から当接して配設されている。そして、下位案内輪体39群に上方から掛けられるとともに、両反転案内輪体36、テンション案内輪体37に掛けられたのち、駆動輪体35に掛けられることで、回動力が付与される構成になっている。以上の32〜40などにより駆動手段31A,31Bの一例が構成され、そして21A,21B〜40などにより傾斜ローラコンベア21の一例が構成される。
【0029】
このように構成された傾斜ローラコンベア21は、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAを下流側分割コンベア部21Bの搬送速度VBに対して2倍以下の高速として駆動されるように、すなわち[2VB>VA>VB]として駆動されるように、その駆動手段31A,31Bのモータ34が設定されている。ここで、たとえば上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAが70〜120m/minに対して、下流側分割コンベア部21Bの搬送速度VBが50〜60m/minとして設定されている。
【0030】
前記搬出コンベア41は、左右一対のコンベアフレーム42と、コンベアフレーム42の長さ方向の複数箇所において両コンベアフレーム42間で遊転自在に支持されたローラ43などによってフリーローラ形式に構成されている。なお、分岐コンベア11、カーブコンベア12、傾斜ローラコンベア21、搬出コンベア41などは、脚体45などを介して床46上に所定の姿勢(角度など)で配設されている。
【0031】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
主搬送経路5上で搬送してきたコンテナAを、その向きを変えながら、主搬送経路5に対して左右に傾斜状で分岐移動させて分岐コンベア11上に移し得る。そしてコンテナAを、分岐コンベア11により駆動搬送してカーブコンベア12に移し、このカーブコンベア12によりカーブ経路上で滑走搬送し得る。次いでコンテナAを、カーブコンベア12から傾斜ローラコンベア21に移し、そして傾斜ローラコンベア21から搬出コンベア51へと駆動搬送し得る。
【0032】
すなわち、傾斜ローラコンベア21の両分割コンベア部21A,21Bにおいては、それぞれの駆動手段31A,31Bにおけるモータ34の駆動により駆動輪体35を回転させることで、駆動ベルト40を回動し得る。その際に駆動ベルト40は、傾斜搬送経路28の方向での両端部分では反転輪体32に反転案内され、反転輪体32間の作用経路部においては上位案内輪体38群により支持案内され、またリターン経路部においては下位案内輪体39群により支持案内され、駆動輪体35の近くでは反転案内輪体36やテンション案内輪体37により支持案内される。
【0033】
図1、図5において、上述したようにして回動させている駆動ベルト40は、作用経路部において前記ローラ25群に下方から当接し得、以て駆動ベルト40によってローラ25群を、ローラ軸26の周りに所定の回転速度で駆動回転させることになる。これにより両分割コンベア部21A,21Bにおいては、それぞれの搬送速度VA,VBによってコンテナAを駆動搬送可能とされている。
【0034】
この状態で、カーブコンベア12によりカーブ経路上で滑走搬送されてきたコンテナAを、傾斜ローラコンベア21における上流側分割コンベア部21Aのローラ25上に移すことにより、この上流側分割コンベア部21Aにおいて、駆動回転しているローラ25群によってコンテナAを搬送し得る。その際に、主搬送経路5上から分岐移動してカーブコンベア12で搬送しているコンテナAの搬送速度VXは、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAよりも高速であり、すなわち[VX>VA]であり、ここでは、たとえば上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAが70〜120m/minに対して、カーブコンベア12の搬送速度VXは120〜180m/minである。
【0035】
したがって、カーブコンベア12から上流側分割コンベア部21Aに搬入されたコンテナAにブレーキをかけることになって、その搬送速度はVXからVAへと減速されることになる。そして上流側分割コンベア部21Aでは、その搬送速度VAで駆動搬送し得る。これにより、上流側分割コンベア部21Aに高速で搬入されたコンテナAを所定の搬送速度VAに減速して、上流側分割コンベア部21Aで駆動搬送し得る。
【0036】
次いでコンテナAを、上流側分割コンベア部21Aから下流側分割コンベア部21Bへと駆動搬送し得、その際に下流側分割コンベア部21Bにおいては、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAよりも低速の搬送速度VBに減速されて駆動搬送し得る。そして、下流側分割コンベア部21Bにおいて滑走搬送させたのち、その終端から搬出コンベア41に搬送し得ることになる。
【0037】
以上のように、傾斜ローラコンベア21(傾斜搬送経路28)でのコンテナAの駆動搬送は、コンテナAの形状や重量などに関係なく、常に所定の速度で衝突させることなく、かつ段階的に減速させて確実に行えるとともに、高速で搬入されたコンテナAは所定の速度に減速し得、以て傾斜ローラコンベア21でのコンテナAの駆動搬送を、衝撃を少なくして円滑にかつ損傷させることなく行えることになる。特に上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAを下流側分割コンベア部21Bの搬送速度VBに対して2倍以下の高速として駆動したときには、上流側分割コンベア部21Aから下流側分割コンベア部21BへのコンテナAの乗り移りを円滑にかつ確実に行えることになる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図7〜図9に基づいて説明する。
【0038】
上述した実施の形態1が、分割コンベア部21A,21Bがそれぞれ駆動手段31A,31Bを有する構成に対して、この実施の形態2では、傾斜ローラコンベア21は共通の駆動手段を有し、分割コンベア部21A,21B間を変速連動機構により連動して、下流側ほど低速として駆動するように構成している。
【0039】
すなわち、上流側分割コンベア部21Aに対応してのみ駆動手段31Aが設けられ、そして上流側分割コンベア部21Aにおける下流端の反転輪体32に一体状として、この反転輪体32の外径32Dよりも小さな外径51dの伝動輪体部(変速連動機構の一例)51が設けられ、この伝動輪体部51に下流側分割コンベア部21Bの駆動ベルト40が巻回されている。なお、下流側分割コンベア部21Bは、下流端の反転輪体32、反転案内輪体36、テンション案内輪体37、上位案内輪体38、下位案内輪体39などを有するが、上流端の反転輪体32やモータ34や駆動輪体35は省略されている。
【0040】
以下に、上記した実施の形態2における作用を説明する。
カーブコンベア12から上流側分割コンベア部21Aに搬入されたコンテナAにブレーキをかけることになって、その搬送速度はVXからVAへと減速されることになる。そして上流側分割コンベア部21Aでは、その搬送速度VAで駆動搬送し得る。次いでコンテナAを、上流側分割コンベア部21Aから下流側分割コンベア部21Bへと駆動搬送し得る。その際に下流側分割コンベア部21Bにおいては、反転輪体32の外径32Dよりも小さな外径51dの伝動輪体部51を介して駆動ベルト40が減速駆動されていることから、すなわち、1回転したときの反転輪体32の外周長さ(ベルト送り長さ)よりも短い伝動輪体部51の外周長さ(ベルト送り長さ)により駆動ベルト40が減速駆動されていることから、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAよりも低速の搬送速度VBに減速されて駆動搬送し得る。
【0041】
このように実施の形態2によると、傾斜ローラコンベア21の駆動手段を、複数の分割コンベア部21A,21Bに対して共通化することで、全体構成をより簡素化し得るとともに、安価に提供し得る。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を、図10〜図12に基づいて説明する。
【0042】
この実施の形態3も、実施の形態2と同様にして、傾斜ローラコンベア21は共通の駆動手段を有し、分割コンベア部21A,21B間を変速連動機構により連動して、下流側ほど低速として駆動するように構成している。すなわち、分割コンベア部21A,21Bに対して、駆動ベルト40を共通とした駆動手段31を有し、そして上流側分割コンベア部21Aにおけるローラ25に一体状として、このローラ25の外径25Dよりも小さな外径52dの受動輪体部(変速連動機構の一例)52が形成され、この受動輪体部52に駆動ベルト40が下方から当接されている。
【0043】
以下に、上記した実施の形態3における作用を説明する。
駆動手段31の駆動ベルト40を回動させることで、両分割コンベア部21A,21Bのローラ25を回転し得る。その際に、上流側分割コンベア部21Aでは小さな外径52dの受動輪体部52を介して駆動され、そして下流側分割コンベア部21Bでは大きい外径25Dのローラ25を介して駆動されている。したがって、両分割コンベア部21A,21Bの各ローラ25においては、駆動ベルト40の移動量(移動長さ)に対して回転量(送り長さ)が異なることから、下流側分割コンベア部21Bでは、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAよりも低速の搬送速度VBに減速して駆動搬送し得る。
【0044】
このように実施の形態3によると、傾斜ローラコンベア21の駆動手段31を、複数の分割コンベア部21A,21Bに対して共通化することで、全体構成をより簡素化し得るとともに、安価に提供し得る。
【0045】
上記した実施の形態1〜3では、傾斜ローラコンベア21を、搬送方向において2つに分割した形式が示されているが、これは2つ以上に分割して、下流側ほど低速として回転駆動するように構成した形式などであってもよい。
【0046】
上記した実施の形態1〜3では、傾斜ローラコンベア21の上手に、主搬送経路5上から側部外方に分岐されたコンテナAを受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの21下手には搬出コンベアが配設された形式が示されているが、これは搬入コンベアと搬出コンベアとのいずれか一方または両方を省略した形式や、搬入コンベアと搬出コンベアに代えて別の装置(ロボットなど)を備えた形式などであってもよい。
【0047】
上記した実施の形態1〜3では、被搬送物としてコンテナAが示されているが、これは種々な被搬送物に対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、コンベア設備の一部切り欠き側面図である。
【図2】同コンベア設備を組み込んだ転換設備の概略側面図である。
【図3】同コンベア設備を組み込んだ転換設備の概略平面図である。
【図4】同コンベア設備の一部切り欠き平面図である。
【図5】同コンベア設備における傾斜ローラコンベア部分の一部切り欠き側面図である。
【図6】同コンベア設備における傾斜ローラコンベアの要部の縦断正面図である。
【図7】本発明の実施の形態2を示し、コンベア設備の一部切り欠き側面図である。
【図8】同コンベア設備における傾斜ローラコンベア部分の一部切り欠き側面図である。
【図9】同コンベア設備における傾斜ローラコンベアの要部の横断平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3を示し、コンベア設備の一部切り欠き側面図である。
【図11】同コンベア設備における傾斜ローラコンベア部分の一部切り欠き側面図である。
【図12】同コンベア設備における傾斜ローラコンベアの要部の横断平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 転換設備
2 支持体
3 横押し体
5 主搬送経路
10 コンベア設備
11 分岐コンベア
12 カーブコンベア(搬入コンベア)
21 傾斜ローラコンベア
21A 上流側分割コンベア部
21B 下流側分割コンベア部
25 ローラ
25D ローラ25の外径
28 傾斜搬送経路
31 駆動手段
31A 駆動手段
31B 駆動手段
32 反転輪体
32D 反転輪体32の外径
34 モータ
40 駆動ベルト
41 搬出コンベア
51 伝動輪体部(変速連動機構)
51d 伝動輪体部51の外径
52 受動輪体部(変速連動機構)
52d 受動輪体部52の外径
A コンテナ(被搬送物)
VA 上流側分割コンベア部21Aの搬送速度
VB 下流側分割コンベア部21Bの搬送速度
VX カーブコンベア(搬入コンベア)12の搬送速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜ローラコンベアを、ローラに対して駆動ベルトを当接させるベルト駆動形式に構成するとともに、搬送方向において複数に分割し、これら分割コンベア部を、下流側ほど低速として駆動するように構成したことを特徴とするコンベア設備。
【請求項2】
分割コンベア部はそれぞれ駆動手段を有し、下流側ほど低速として各別に駆動するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンベア設備。
【請求項3】
傾斜ローラコンベアは共通の駆動手段を有し、分割コンベア部間を変速連動機構により連動して、下流側ほど低速として駆動するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンベア設備。
【請求項4】
傾斜ローラコンベアは搬送方向において2段に分割し、上手分割コンベア部の搬送速度を下手分割コンベア部の搬送速度に対して、2倍以下の高速に設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベア設備。
【請求項5】
傾斜ローラコンベアの上手には、主搬送経路上から側部外方に分岐された被搬送物を受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの下手には搬出コンベアが配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベア設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−145455(P2007−145455A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339545(P2005−339545)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】