コンベヤチェーン
【課題】チェーンリンクの柔軟性を高め、かつチェーンリンクとピンとの間の相対運動を高めるとともに、チェーンあるいはチェーン構成部品の磨耗の作用を低減または制御する。
【解決手段】搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション510は、両端にアパーチャ513bが開いている少なくとも2つのチェーンリンク512,514と、チェーンリンクのアパーチャに挿入されることによりチェーンリンクを互いに接続するピン516とを備える。ピンは両端部516cと、両端部間に延びるシャフト部とを備え、シャフト部はチェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンはチェーンリンクに対するシャフト部の磨耗面を調整するためにチェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間516eで選択的に調整可能であり、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【解決手段】搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション510は、両端にアパーチャ513bが開いている少なくとも2つのチェーンリンク512,514と、チェーンリンクのアパーチャに挿入されることによりチェーンリンクを互いに接続するピン516とを備える。ピンは両端部516cと、両端部間に延びるシャフト部とを備え、シャフト部はチェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンはチェーンリンクに対するシャフト部の磨耗面を調整するためにチェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間516eで選択的に調整可能であり、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、搬送システム用のチェーンに関し、より詳細には、中に延びるボルトまたはピンにより画成される軸を中心としたセンターリンクと一対のサイドリンクとの間の枢動(pivotable movement)を可能にする、ボルト式またはピン式チェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達用または材料管理および処理システム用のチェーン、例えば、処理工場、倉庫等で経路に沿って複数のトロリー等を移動させる機能を果たすチェーンは、チェーンが所望の経路に沿って進む際に曲がる。チェーンは所望の経路に沿って送られると、経路に沿って横方向に向きを変え、かつ/または上方または下方にカーブするように曲がることができる。チェーンが曲がる際に、チェーンのリンクはチェーンの継手を画成するピンまたはボルトに対して動くことができる。リンクおよびピンまたはボルトの相対運動は、構成部品の磨耗につながり、最終的にリンクおよび/またはピンまたはボルトの故障につながる可能性がある。構成部品の1つまたは複数の粗加工表面(溝加工、掻き傷等による)および/または構成部品の潤滑不足等によりピンとリンクとの間の摩擦が大きくなると、磨耗が大きくなる可能性がある。
【0003】
いくつかの状況では、チェーンは、水平面から上下約45〜60°傾斜するよう調整せねばならない場合がある。このように傾斜が急であることにより、チェーンリンクがカーブに沿って曲がる、すなわち屈曲する際に、チェーンリンク同士が結合して(binding)しまう可能性がある。チェーンのサイドリンクとセンターリンクとの間の鍛造したIピンに形成された玉をIピンチェーンに設けることが知られている。Iピンは、ピンの中心部に玉または球形物(spherical shape)を有するように鋳造されることができ、これによりセンターリンクをサイドリンク間の玉を中心として枢動可能にすることができる。Iピンは、チェーンのサイドリンクおよびセンターリンクに対して固定され、これは一般に「リベットレスチェーン」として既知である。玉によりチェーンのさらなる柔軟性をもたらすことができるが、チェーンリンクがピンに対して動くとセンターチェーンリンクに接触して依然として磨耗する。
【0004】
ここで、チェーンの進行方向をどの方向にも小さい曲率半径で変更可能にできる構造を有する曲線搬送用チェーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、潤滑油を溜め得るチェーンは、各チェーンプレートに皿状の凹部や貫通部を形成することで形状が複雑かつ高単価となり、重合部に凹部を形成することで、ガタ付き易く騒音を発生するため、結合ピンに向けて潤滑油を供給することが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、ピンにボルト式のものを用いるものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−007224号公報
【特許文献2】特開平10−045227号公報
【特許文献3】米国特許第5,305,872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、従来技術の欠点を克服する改良されたチェーンが当該技術分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チェーンリンクの柔軟性を高め、かつチェーンリンクとピンとの間の相対運動を高めるとともに、チェーンの磨耗を低減または制御し、あるいはチェーン構成部品の磨耗の作用を低減または制御することを目的とする。
【0008】
本発明の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクのアパーチャに挿入されることによりチェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。ピンは、両端部と、両端部間に延びるシャフト部とを備える。シャフト部は、チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンは、チェーンリンクに対するシャフト部の磨耗面を調整するためにチェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間で選択的に調整可能である。ピンは、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【0009】
ピンの端部の少なくとも1つは、チェーンリンクの少なくとも1つのアパーチャの対応する壁部と選択的に係合する少なくとも3つの係合部を画成することができ、それによりピンは、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合には、係合部の少なくともいくつかを壁部の少なくともいくつかと係合させることにより、チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【0010】
本発明のこれらおよび他の目標、利点、目的、および特徴は、図面とともに以下の明細書を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】両ねじスタッド型ピンを有する、本発明による玉およびソケットボルトチェーンまたはチェーンセクションの分解斜視図である。
【図2】図1のチェーンセクションの上面図である。
【図3】図1および図2のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図4】本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの分解斜視図である。
【図5】図4のチェーンセクションの上面図である。
【図6】図4および図5のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図7】本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの上面図である。
【図8】図7のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図9】本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの分解斜視図である。
【図10】図9の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図11】サイドリンクの1つを取り外した、本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの斜視図である。
【図12】図11のチェーンセクションの上面図である。
【図13】両方のサイドリンクを示す、図11および図12のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図14】ボルト式ピンがチェーンリンクに対して回転可能な別のボルト式チェーンセクションの上面図である。
【図15】図14のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図16】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外した、ピンがチェーンリンクに回転可能に受け入れられている本発明による玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図17】図16のチェーンセクションの上面図である。
【図18】両方のサイドリンクを示す、図16および図17のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図19】Iピンがチェーンリンクに対して回転可能な別のIピンチェーンセクションの上面図である。
【図20】図19のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図21】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ピンがチェーンリンクに選択的に回転不可能に位置する本発明による別の玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図22】図21のチェーンセクションの上面図である。
【図23】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ピンがチェーンリンクに選択的に回転不可能に位置する別の玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図24】図23のチェーンセクションの上面図である。
【図25】両方のサイドリンクを示す、図23および図24のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図26】ピンがほぼ円筒状のシャフト部を有する、図23〜図25のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの上面図である。
【図27】図26のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図28】ボルト式ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ボルト式ピンがチェーンセクションに回転不可能に位置する、図23〜図27のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの斜視図である。
【図29】図28のチェーンセクションの上面図である。
【図30】図28および図29のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図31】ボルト式ピンがほぼ円筒状のシャフト部を有する、図28〜図30のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの上面図である。
【図32】図31のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図33】ピンのシャフト部の周りに玉部材が成形されている、本発明による玉およびソケットチェーンセクションの分解斜視図である。
【図34】図33のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図35】本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図36】ピンのシャフト部および玉部材の周りにスリーブが成形されている、本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図37】ピンのほぼ円筒状のシャフト部の上にほぼ円筒状のスリーブが成形されている、本発明によるチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図38】センターリンクの各端にプラスチックインサートを有する、本発明による別のチェーンセクションのセンターリンクおよびピンの斜視図である。
【図39】センターリンクの各端にプラスチックインサートを有し、ピンのシャフトに玉部材が形成されている、本発明による別のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図40】センターリンクの各端に丸形のプラスチックインサートを有し、かつピンの凹状または狭小シャフトを有する、本発明による別のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面およびそれに示される例示的実施形態を参照すると、材料管理または処理システム等のような搬送システムに沿って製品を搬送するためのチェーンまたはチェーンセクション10は、一対のサイドリンク12a、12b、およびセンターリンク14(図1〜図3)を含む。センターリンク14は、両ねじスタッドまたはスタッド型ピン16によりサイドリンク12aと12bとの間に保持され、ピン16は、センターリンク14の中心領域14aおよび各サイドリンク12a、12bの開口13を通って延び、対応する締結具またはナット18によりそこに保持される。スタッド16は、スタッド16のシャフト部16aのほぼ中間点または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材20を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0013】
スタッド16は、中心部またはシャフト部16aと、一対の対向するねじ部または締結部または端部16bとを含む。ねじ部16bは、シャフト部16aよりも小さい直径を有し、中心部16aの端部が、締結具18をスタッド16に締め付けた際の締結具18に対する、またはサイドリンク12a、12bそれぞれの内側に対して当接する、当接面16cを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。スタッド16は、材料管理システム等のチェーンの従来のスタッドまたはピンと同様に、鋼、ステンレス鋼、または鉄等の金属材料を含んでもよい。
【0014】
玉部材20は、スタッド16の一部として一体形成されてもよく、またはシャフト部16aにプレス嵌めまたは他の方法で固定されて、スタッド16の中心領域に玉部材20の位置を維持してもよい。しかしながら、そうでなければ、玉部材20をスタッド16のシャフト部16aに緩く嵌め、スタッド16に沿って摺動させるかスタッド16の周りを回転させることもでき、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。玉部材20は、金属材料あるいはプラスチックまたはポリマー材料を含んでもよい。センターリンク14は、ほぼ楕円形または細長いリングであり、その各端に内側に湾曲したまたは凹状の合わせ面または係合面14b(図2および図3)を含み、ここに玉部材20を係合させて部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材20でセンターリンク14を保持する。
【0015】
したがって、玉部材20は、玉部材20に沿った凹状面14bの摺動係合によるセンターリンク14の枢動を可能にする。これにより、ボルト式チェーン10にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、ボルト式チェーン10を搬送経路のより急な垂直カーブに適応させる(negotiate)ことができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて関節運動する(articulate through)場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとスタッドまたはピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0016】
次に図4〜図6を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション110は、一対のサイドリンク112a、112b、およびセンターリンク114を含む。センターリンク114は、ボルトまたはボルト式ピン116によりサイドリンク112a、112bの対応する端部間に保持され、ボルト116は、対応する開口113とセンターリンク114の中心領域114aとを通って延びる。ボルト116は、シャフト部116aと、ナット18を螺合するよう受け入れてチェーンリンクを互いに保持するねじ部またはねじ端116bと、ねじ端116bとは反対側の端のヘッドまたはヘッド部116cとを含む。ボルト116はさらに、ほぼ球状またはほぼ環状の玉部材120を含み、玉部材120はボルト116のシャフト部116a上に摺動することができる。センターリンク14と同様に、センターリンク114は、その各端に曲面または凹状面114bを有するほぼ細長いリングであり、玉部材120を係合させて部分的に受け入れて、玉部材120上にセンターリンク114を維持する。
【0017】
玉部材120は、ボルト116に沿って緩く嵌めて、チェーンリンクの組み立てを容易にし、かつチェーンリンクが搬送経路に適応して移動する(negotiate through)際に玉部材120が、したがってセンターリンク114がサイドリンク間で動くようにすることができる。任意選択で、玉部材120は、シャフト部116aをぴったりと受け入れてもよく、またはシャフト部116aにプレス嵌めされて玉部材120がボルト116のシャフト部116a上の所定位置に保持されるようにしてもよい。玉部材120はボルト116の磨耗面を画成するため、玉部材120はシャフト部116a上に取り外し可能に位置して、ボルト式ピン全体を交換せずに玉部材および磨耗面を交換できることによりチェーン構成部品の保守および交換費用が削減されるようにしてもよい。
【0018】
任意選択で、図7および図8に示すように、チェーンまたはチェーンセクション110’は、サイドリンク112a、112b、およびセンターリンク114を含む。センターリンク114は、ボルトまたはボルト式ピン116’によりサイドリンク112a、112bの対応する端部間に保持され、ボルト116’は、対応する開口113とセンターリンク114の中心領域114aとを通って延びる。ボルト116’は、シャフト部116a’と、ナット118’を螺合するよう受け入れてチェーンリンクを互いに保持するねじ部またはねじ端116b’と、ねじ端116b’とは反対側の端のヘッドまたはヘッド部116c’とを含む。ボルト116’はさらに、スリーブ部あるいはスペーサ−玉−スペーサ(spacer-ball-spacer)組立体または部材または部119(図8)を含み、これは、ほぼ球状または環状の玉部材または玉部120’と、玉部材120’の両端に位置するほぼ円筒状のスペーサまたはスリーブ121とを含んでもよい。上述のように、センターリンク114は、その各端に曲面または凹状面114bを有するほぼ細長いリングであってよく、玉部材120’を部分的に受け入れて、玉部材120’上にセンターリンク114を維持する。
【0019】
スリーブ部119は、ボルト116’のシャフト部116a’上に摺動されてもよく、またはシャフト部116a’上に成形されてもよい。スリーブ部119は、鋼等の金属材料を含んでもよく、テフロン(登録商標)材料またはダイヤモンドライクコーティング(diamond like coating/DLC)あるいは他の適当な低摩擦材料等の低摩擦係数材料または滑らかな材料を用いるなどして処理またはコーティングしてもよく、これによりスリーブ部119が、ボルトすなわちピン116のシャフト部116aに沿って高い耐久性を有する滑り磨耗面(slick wear surface)または係合面を提供するようにする。任意選択で、スリーブ部119は、ポリマー材料を含んでもよく、金属材料を含んでもよいシャフト部116a上に摺動または成形されてもよい。
【0020】
スリーブ部119は、ボルト116’に沿って緩く嵌めて、チェーンの組み立てを容易にし、かつチェーンリンクが搬送経路に従って移動する際に玉部材120’およびスペーサまたはスリーブ121に、したがってセンターリンク114にサイドリンク間を移動させるようにすることができる。スリーブ部119は、玉部材120’の一端または両端でシャフト116a’の周りにまたはシャフト116a’に沿って位置する中空のスペーサリングまたはスリーブ121を含んで、ピン116a’のシャフト116a’のほぼ中心領域に玉部材120’を維持してもよい。スペーサ−玉−スペーサ構成または組立体は、単一部材として形成してもよく(図8に示すように)、またはシャフト部116a’上に摺動する別個の構成部品(1つまたは2つのスペーサおよび玉部材)であってもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。スペーサ−玉−スペーサ構成を単一構造体にすることにより、ボルトの組み立ておよび磨耗面/玉部材の保守および交換(必要な場合)を実質的に簡略化することができる。
【0021】
このようなスペーサ−玉−スペーサ構成は、ピンのシャフトの中心領域に玉部材を維持するのに役立つとともに、シャフトを中心とした玉部材のほぼ自由な回転運動を可能にする。これは、チェーンがその搬送経路に沿って曲がり移動する際に、玉部材をセンターリンク114の窪み114bと位置合わせして保つのに役立つ。スペーサ−玉−スペーサ組立体はピン全体を交換せずに交換することができるため、このスペーサ−玉−スペーサ構成により、ピンの磨耗部が低費用で交換できるようにもなる。例えば、ナットを取り外して、スペーサ−玉−スペーサ構造体(好ましくは単一構造体)をボルトから摺動させて外して交換することができ、それにより、ボルト式ピン全体を交換せずにボルト式ピンに新たな磨耗面(新たな玉部材)が設けられる。これは、特にピンがステンレス鋼または他の高価な材料で形成されている場合があり、したがって交換に費用がかかる可能性がある用途において、大幅な費用節減をもたらすことができる。
【0022】
次に図9および図10を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション210は、一対のサイドリンク215、212、およびセンターリンク214を含む。センターリンク214は、ねじまたはボルト式ピン216によりサイドリンク215と212との間に保持され、ピン216は、センターリンク214の中心領域214aと、サイドリンク215の開口215aおよびサイドリンク212の開口213とを通って延び、対応する締結具またはナット218によりそれらの中を通して保持される。ねじ式ピン216は、ねじ式ピン216のほぼ中間部または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材220を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン210は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージのセットのうち1つのセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0023】
ねじ式ピン216は、中心部またはシャフト部216aと、シャフト部216aの一端にねじ部216bと、シャフト216aの他端にヘッドまたはヘッド部216cとを含む。ねじ部216bは、中心部またはシャフト216aよりも小さい直径を有し、シャフト216の端部がナット218をねじ式ピン216に締め付けた際の締結具またはナット218に対して当接する、またはサイドリンク212の内側に対して当接する、当接面216dを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。
【0024】
図9および図10において見られるように、ねじ式ピン216のヘッド216cは、ほぼ矩形のヘッドであり、ヘッド216cの一部がシャフト216aの端から横方向外側に逆方向に延びる。サイドリンク215は一対のスロット開口215aを含み、スロット開口215aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために、ヘッド216cが図9に示す向きから約90°回転するとヘッド216cを受け入れるサイズにされてもよい。あるいは、サイドリンク215は、サイドリンク212と同様の円形アパーチャまたは通路を含んでもよく、これは、ねじ部216bおよびシャフト216aをこのようなアパーチャまたは開口に挿入して、チェーンセクションを組み立てることができるからである。サイドリンク215は各端に、チェーンセクションが組み立てられるとねじ式ピン216のヘッド216cが収まる窪み領域またはポケット215bを含む。窪み領域215bは、突起端部215cおよび突起内側部215dにより画成され、これらはヘッド216cの側部と係合して、サイドリンクおよびセンターリンクに対するピンの回転を実質的に妨げる。
【0025】
センターリンク214は、上述のセンターリンク14および114とほぼ同様であってもよく、開口214aを画成し、センターリンクの各端に玉部材220を部分的に受け入れる内側曲面または凹状面214bを有して、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材220でセンターリンク214を保持する、ほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。
【0026】
玉部材220は、ねじ式ピン216のシャフト216a上に緩く摺動し、シャフト216aに沿って摺動または回転することができてもよく、またはシャフト216aにプレス嵌めされるかあるいはシャフト216aに対してほぼ固定されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。あるいは、ねじ式ピンおよび玉部材は、単一部品として鍛造または他の方法で一体形成されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0027】
チェーン10および110それぞれの玉部材20および120と同様に、チェーン210の玉部材220は、玉部材220に沿った凹状面214bの摺動係合によるセンターリンク214の枢動を可能にする。これにより、チェーン210にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン210はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができる、ハーフリベットレス・ハーフボルト式のピン(half rivetless-half bolted pin)を備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のボルト式チェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとボルトとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0028】
本発明のねじ式ピンは、ほぼ矩形のヘッドを有するように図示されているが、別法として丸形ヘッド(図9および図10には示さない)を有してもよく、これは、ほぼ平坦または窪んだサイドリンクに収まって、それによりサイドリンクおよびセンターリンクに対してねじ式ピンが回転することを可能にし、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0029】
次に図11〜図13を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション310は、一対のサイドリンク315、312、およびセンターリンク314を含む。センターリンク314は、ねじ式ピンまたはボルト式ピン316によりサイドリンク315と312との間に保持され、ピン316は、センターリンク314の中心領域314aと、サイドリンク315の開口315aおよびサイドリンク312の開口313とを通って延び、対応する締結具またはナット318によりその中を通して保持される。ねじ式ピン316は、ねじ式ピン316のシャフト部316aのほぼ中間部または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材320を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン310は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージのうち1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンのリンケージの他のセクションまたはセットもほぼ同一である。
【0030】
ねじ式ピン316は、中心部またはシャフト部316aと、シャフト部316aの一端にねじ部またはねじ端316bと、シャフト部316aの他端にヘッド部316cとを含む。ねじ部316bはシャフト部316aよりも小さい直径を有し、シャフト部316aの端部が締結具またはナット318をねじ式ピン316に締め付けた際の締結具またはナット318に対して当接する、またはサイドリンク312の内側に対して当接する、当接面316dを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。ヘッド部316cは、締結具318がボルトに締結されている間にボルトが回転することを容易に防止するように、六角形ヘッド等を含んでもよい。
【0031】
図11〜図13において見られるように、ねじ式ピン316のヘッド316cはほぼ円形のヘッドである。サイドリンク315は一対のスロット開口315aを含み、スロット開口315aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするためにヘッド316cを受け入れるようなサイズにされてよい大きい内側開口(inward opening)315bと、ヘッド316cを保持するようにヘッド316cよりも小さい直径を有する小さい外側開口(outward opening)315cとを含む。小さい開口315cは、大きい開口315bに隣接して狭小スロット領域を画成して、シャフト部316aをスロット領域に沿って摺動させてヘッド部316cを小さい外側開口315cに配置し、それによりヘッド部316cが小さい開口315cに保持されるが、これについては以下で説明する。あるいは、サイドリンク315は、サイドリンク312と同様の円形アパーチャまたは通路を含んでもよく、これは、ねじ部316bおよびシャフト316aをこのようなアパーチャまたは開口に挿入して、チェーンセクションを組み立てることができるからである。
【0032】
サイドリンク315は、各端の小さい開口315cの円周の少なくとも一部に(at and at least partially around)、チェーンセクションが組み立てられるとねじ式ピン316のヘッド316cが収まる窪み区域または領域またはポケット315dを含む。ヘッド部316cの下部または合わせ面316d(図13)は、湾曲しているか丸みがあることが好ましく、一方、窪み領域315dは、ヘッド部316cの合わせ面316dと窪み領域315dとをほぼ均一に係合させて合わせるように対応して形成される。対応して形成された合わせ面および窪み領域は、ピン316とリンク315との間の実質的に滑らかな回転を促し、チェーンがその搬送経路に沿って進む際にサイドリンク315、312およびセンターリンク314に対してボルト式ピン316が自由に回転できるようにする。
【0033】
センターリンク314は、上述のセンターリンクとほぼ同様であってもよく、開口314aを画成し、センターリンクの各端に玉部材320を部分的に受け入れる内側曲面または凹状面314bを有して、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材320でセンターリンク314を保持する、ほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。
【0034】
上述の玉部材およびチェーンと同様に、チェーン310の玉部材320は、玉部材320に沿った凹状面314bの摺動係合によるセンターリンク314の枢動を可能にする。これにより、チェーン310にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン310はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができる、ハーフリベットレス・ハーブボルト式のピンを備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のボルト式チェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとボルトとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0035】
玉部材320は、ねじ式ピン316のシャフト316a上に緩く摺動し、シャフト316aに沿って摺動または回転することができてもよく、またはシャフト316aにプレス嵌めされるかあるいはシャフト316aに対してほぼ固定されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。あるいは、ねじ式ピンおよび玉部材は、単一部品として鍛造または他の方法で一体形成されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、玉部材320は、シャフト部316a上に緩く摺動してもよく、玉部材320の片側または両側でシャフト316aに沿ってまたはシャフト316aの周りに位置する中空のスペーサリングまたはスリーブ(図13に全体的に321で示されるような)を含んで、ピン316のシャフト316aのほぼ中心領域に玉部材320を維持してもよい。スペーサ−玉−スペーサ構成または組立体は、単一部材として形成してもよく、またはシャフト部316a上に摺動する別個の構成部品(2つのスペーサおよび玉部材)であってもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。スペーサ−玉−スペーサ構成を単一構造体にすることにより、ボルトの組み立ておよび玉部材の保守および交換(必要な場合)を実質的に簡略化することができる。
【0036】
ボルト式ピン116’に関して上述したように、このようなスペーサ−玉−スペーサ構成は、ピンのシャフトの中心領域に玉部材を維持するのに役立つとともに、シャフトを中心とした玉部材のほぼ自由な回転運動を可能にする。これは、チェーンがその搬送経路に沿って曲がり移動する際に、玉部材をセンターリンク314の窪み314bと位置合わせして保つのに役立つ。スペーサ−玉−スペーサ組立体はピン全体を交換せずに交換することができるため、このスペーサ−玉−スペーサ構成により、ピンの磨耗部が低費用で交換できるようにもなる。ナットを取り外して、スペーサ−玉−スペーサ構造体(好ましくは単一構造体)をボルトから摺動させて外して交換することができ、それにより、ボルト式ピン全体を交換せずにボルト式ピンに新たな磨耗面(新たな玉部材)が設けられる。これは、特にピンがステンレス鋼または他の高価な材料で形成されている場合があり、したがって交換に費用がかかる可能性がある用途において、大幅な費用節減をもたらすことができる。
【0037】
図14および図15を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション310’は、一対のサイドリンク315、312、およびセンターリンク314’を含む。センターリンク314’は、ねじ式ピン316’によりサイドリンク315と312との間に保持され、ピン316’は、センターリンク314’の中心領域314’aと、サイドリンク315の開口315aおよびサイドリンク312の開口313とを通って延び、対応する締結具またはナット318によりそれらの中を通して保持される。ねじ式ピン316’は、ほぼ円筒状のシャフト部316a’を含み、一方センターリンク314’は、シャフト部316a’と係合するほぼ平坦なまたは湾曲した、非凹状(non-concaved)面314b’を含む。チェーン310’は、それ以外の点では上述のチェーン310とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。ヘッド部316c’は、湾曲しているか丸みがある合わせ面316d’を含んでもよく、一方サイドリンク315は、上述のように、小さいスロット開口315cにおいて対応して形成された合わせ面315dを含んで、チェーンリンクに対するピン316’のほぼ滑らかな回転を促してもよい。任意選択で、ねじ式ピン316’は、上記または下記のように、シャフト部316a’の周りに形成または位置するほぼ円筒状のスリーブ部(図14および図15には示さない)を含んでもよい。
【0038】
さらに、丸形ヘッドピンに、ピンの各端に丸形ヘッドと、ヘッドまたはヘッド部間のシャフト部に玉部材とを設けてもよいことが、さらに想定される。ヘッド部は、サイドリンクの拡大されたほぼ円形の開口に挿入されて、サイドリンクの端に向かって外側に、狭小開口まで摺動することができる。狭小開口は、円形ヘッドが通って移動することを実質的に妨げ、それによりセンターリンクおよびピンに対してサイドリンクを保持する。サイドリンクは、狭小開口の周りに窪み区域を含み、丸形ヘッドをそこに受け入れて、サイドリンクの拡大開口に向かったサイドリンクに対するピンの長手方向移動を実質的に妨げる。ピンはこのようにして、サイドリンクおよびセンターリンクに対して回転することができるとともに、チェーンにさらなる柔軟性を与えてチェーンの磨耗を低減することができる。
【0039】
例えば、図16〜図18を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション410は、一対のサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414を含む。センターリンク414は、ピン416によりサイドリンク412aと412bとの間に保持され、ピン416は、センターリンク414の中心領域414aと、各サイドリンク412a、412bの開口413とを通って延びる。開口413は、大きいほぼ円形の内側開口413aと小さいほぼ円形の外向スロットまたは開口413bとを含む。ピン416の各ヘッド部416cは、各サイドリンク412a、412bの大きい開口413aよりも小さく、小さい端部開口413bよりも大きく、ピン416をサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414に保持する。ピン416は、ピン416のシャフト部416bのほぼ中間点または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材420を含む。センターリンク414は、上述のセンターリンクとほぼ同様であってよく、その各端に内側曲面または凹状面414bを有するほぼ楕円形または細長いリングであってよく、玉部材420を部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材420でセンターリンク414を保持する。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン410は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージのセクションまたはセットもほぼ同一である。
【0040】
ピン416は、中心部またはシャフト部416aと、シャフト部416aの各端にヘッド部416cとを含む。ヘッド部416cは、ほぼ円形であり、傾斜または湾曲した下面部または合わせ面416d(図18)を含み、合わせ面416dは、シャフト部416aの各端からほぼ半径方向外側に延びて、ヘッド部416cがシャフト部416aよりも大きい直径を有するようになる。
【0041】
図16および図17において見られるように、各サイドリンク412a、412bは、一対のスロット開口413を含み、スロット開口413は、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために大きい内側開口413aを通してヘッド416cを受け入れるようなサイズにされてよい。開口413aに挿入されると、ピン416およびヘッド部416cは、シャフト416aが外側スロットまたは開口413bに入るまで外側に移動することができる。次に、ヘッド部416cは、外側開口413bの湾曲した窪み部413c内に少なくとも部分的に収まることができ、ピン416およびサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414が全体で合わせて固定されるようになる。湾曲した窪み部または窪み領域413cは、ヘッド部416cの合わせ面416dにほぼ対応して形成され、ピンのヘッド部とサイドリンクとのほぼ均一な係合およびほぼ滑らかな回転を促す。窪み部413cおよびヘッド部416cの合わせ面416dはほぼ円形であり、対応して形成されているため、ピン416は、チェーンが搬送経路に沿って移動する際にサイドリンク412a、412bに対して回転することができ、それにより、ピン416の磨耗がほぼ均一に分布されて、ピン416のライフサイクルが延びる。
【0042】
上述の他の玉部材と同様に、チェーン410の玉部材420は、玉部材420に沿った凹状面414bの摺動係合によるセンターリンク414の枢動を可能にする。これにより、チェーン410にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン410はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができるピンを備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0043】
次に図19および図20を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション410’は、一対のサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414’を含む。センターリンク414’は、回転可能なピン416’によりサイドリンク412aと412bとの間に保持され、回転可能なピン416’は、センターリンク414’の中心領域414a’と、各サイドリンク412a、412bの開口413とを通って延びる。ピン416’はほぼ円筒状のシャフト部416a’を含み、センターリンク414’は、シャフト部416a’と係合するほぼ平坦なまたは非凹状の面414b’を含む。ピン416’の両ヘッド部416c’は、ほぼ丸形かつほぼ円形の合わせ面416d’を備え、サイドリンク412a、412bは、合わせ面416d’と係合する、対応して形成された窪み区域または領域または係合面413cを含み、ピン416’とサイドリンク412a、412bとの間のほぼ滑らかな回転を促す。チェーン410’は、それ以外の点では上述のチェーン410とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。任意選択で、ピン416’は、上記または下記のように、シャフト部416a’の周りに形成または位置するほぼ円筒状のスリーブ部(図19および図20には示さない)を含んでもよい。
【0044】
チェーンセクションのピンのヘッド部は非円形であってもよく、サイドリンクの少なくとも1つの窪み部はそれに対応して非円形であってもよく、ヘッド部、したがってピンが、サイドリンクに対して回転不可能に固定されてもよいことが、さらに想定される。例えば、ヘッド部およびサイドリンクの窪み領域は、2つ以上の側部を有するように形成されて、ヘッドと窪み領域との非回転的な係合をもたらしつつ、ヘッドおよびボルトまたはピンを手動で回転させて、シャフトおよび玉部材とセンターリンクとの磨耗面係合を調整または変更できるようにしてもよい。例えば、ボルト式ピンのピンまたはボルト部(シャフトおよびヘッド)は、60°または90°、あるいは他のいくらかの量だけ(ヘッドおよび窪み領域の側部の数に応じる)ラチェット式に動く(ratcheted)かまたは回転して、シャフトおよび玉部材に新たな磨耗面(センターリンクと係合し、リンクが曲がって互いに対して回転する際に磨耗する部分)を提供することができる。本発明の調整可能またはダイヤル回転可能な(dialable)ピン構造は、このようにしてピンのライフサイクルを著しく延ばすことができる。これは、玉部材(またはスペーサ−玉−スペーサ組立体)を必要に応じて交換することができ、かつ/またはピンを選択的に回転させて必要に応じて新たな磨耗面を提供することができ、これによりピンまたはボルト式ピンの全体的な寿命を実質的に延ばすことができるからである。
【0045】
各磨耗面は、ピンの回りを約60°、90°、または120°等にわたって覆うことができ、それによりピンは必要に応じてその量だけ回転して、ピンの周りに6つ、4つ、または3つの異なる磨耗面または磨耗面部分を提供して、したがって各磨耗面部分の磨耗量または磨耗時間を制御することを容易にすることができる。これは、チェーンが精密なピッチ設計である(チェーンの長さが小さい公差範囲で指定されている)ために、ピンの1つまたは複数の過度の磨耗がピッチに影響を与える可能性があり、これによりチェーン(複数可)が結合する可能性がある(2つのこのようなチェーンの間に何かが接続されているかまたは挟まった(cradled)状態で、これらのチェーンが互いに並んで移動している場合)か、または他の点でチェーンまたはコンベヤに悪影響を与える可能性があるような用途で、特に有用であり得る。この場合、このようなチェーンのピンをダイヤル回転または回転させて、各ピンに新たな磨耗面を提供し、それによりピンをその元の公差に効果的にリセットし、したがってチェーンをその元の指定長にリセットすることができる。例えば、各ピンを第2の位置または第3の位置または任意の他の位置にダイヤル回転させて、新たな磨耗面を磨耗位置に移動させてもよい。場合によっては、適切な調整を行うために第1のピンまたはピンのセットのみをリセットする必要があるかもしれない。任意選択で、ピンまたはシャフト部(または磨耗面)の磨耗度を監視または測定してもよく、ピンを選択的に回転させてピンの磨耗面の磨耗を制限してもよい。ピンのヘッド部の各ステーションまたはローブに、磨耗面のどの部分(複数可)がすでに選択されたか、または使用されたかを示すために印または番号を付けてもよいことが、さらに想定される。
【0046】
例えば、図21および図22を参照すると、ピン516のヘッド部516cおよびサイドリンク512の開口513bは非円形であってもよく、その場合、ピン516はチェーンまたはチェーンセクション510のサイドリンク512を通ってそこに回転不可能に位置するようになる。例えば、ヘッド部516cを、3つ以上の側部または部分516e(図21および図22に示す湾曲したほぼ等しいサイズの3つの側部等)を有するローブ形または非円形にし、窪み区域513cをヘッド部を受け入れるように対応した形状にしてもよく、サイドリンク512の対応して形成された窪み区域または凹部(impression)513c内のヘッド部516cの合わせ面が、サイドリンク512に対するピン516の回転を実質的に妨げるようにする。例えば、ヘッド部の側部の1つまたは複数が、サイドリンクのアパーチャの側壁の対応する1つまたは複数と係合して、サイドリンクに対するピンの回転を実質的に妨げることができる。シャフト部516aおよび/または玉部材520の磨耗面は、このようにして、窪み513c内にヘッド516cをほぼ固定することによりサイドリンク512に対してほぼ固定することができ、チェーンが搬送経路に沿って進む際にシャフトおよび/または玉部材の一部のみがセンターリンク514の凹状面514bに接触して磨耗するようになる。
【0047】
ピンは、各位置(図21および図22の例示的な実施形態の3つの位置のそれぞれのような、または以下で述べる図23〜図25の例示的な実施形態の6つの位置のそれぞれのような、またはこのような構成に適した任意の他の数の位置のような位置)にある場合にチェーンリンクに対してほぼ回転不可能であってもよく、チェーンリンクに対するピンのシャフト部の磨耗面を調整するように位置間で選択的に調整可能であることにより、磨耗面の一部(複数可)とチェーンリンクとを選択的に係合させてもよい。このような構成は、1回ごとにピンの特定の磨耗面を磨耗させることによりピンの磨耗およびライフサイクルの制御を可能にし、ピンの1つの磨耗面からピンの次の磨耗面への制御された、または手動の、または選択的な回転を可能にする。このように、本発明のピンおよびサイドリンク構成はダイヤル回転可能なピンを提供し、このピンを手動で選択的にダイヤル回転または回転させて、第1の磨耗面が十分に磨耗した後にサイドリンクに対する新たな磨耗面を提供することができる。このような構成により、ピンの各磨耗面または磨耗面部が使用される時間を制御することが容易になる。
【0048】
任意選択で、図23〜図25を参照すると、ピン516’のヘッド部516c’およびサイドリンク512’の開口513b’は非円形であってもよく、その場合、ピン516’がチェーンまたはチェーンセクション510’のサイドリンク512’ を通ってそこに回転不可能に位置するようになる。図23〜図25に示すように、ヘッド部516c’はほぼ六角形であってもよく、その場合、窪み区域513c’はヘッド部を受け入れるように対応した形状であり、サイドリンク512’の対応して形成された窪み区域または凹部513c’内へのヘッド部516c’の嵌め合いが、サイドリンク512’に対するピン516’の6つの位置の回転を実質的に妨げる。シャフト部516a’および/または玉部材520’の磨耗面は、窪み513c’内にヘッド516c’をほぼ固定することによりサイドリンク512’に対してほぼ固定することができ、チェーンが搬送経路に沿って進む際にシャフトおよび/または玉部材の一部のみがセンターリンク514の凹状面514bに接触して磨耗するようになる。続いて、上述のようにピン516’をサイドリンク512’の窪み513c’に対して次の向きに回転させることにより、磨耗面を新たな面に調整またはダイヤル回転させることができる。
【0049】
任意選択で、図26および図27を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション510’’は、ピン516’’を含んでもよく、ピン516’’は、ほぼ円筒状のシャフト部516b’’の両端に整形された(shaped)、またはローブ形の、または六角形のヘッド部516c’’を備えてもよい。センターリンク514’’は、シャフト部516b’’と係合するほぼ平坦なまたは湾曲した、非凹状面514b’’を含む。ピン516’’およびサイドリンク512’は、それ以外の点では上述のピン516’とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0050】
任意選択で、図28〜図30を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション610は、ねじ式ピンまたはボルト616を含んでもよく、ピン616は、シャフト部616aと、一端には整形された、またはローブ形の、または六角形のヘッド部616cと、他端にはナットまたはねじ式締結具等618(図30)を受け入れるねじ部616bとを備えてもよい。ヘッド部616cは、一方のサイドリンク612aの対応して形成または整形された窪み613cに受け入れられることができ、ほぼ円筒状のシャフト部616aおよび/またはねじ式端部616bは、チェーン610の他方のサイドリンク612bの開口613を通って延びることができる。センターリンク614は、ピン616のシャフト部616aに沿って位置する玉部材620と係合する凹状内面614bを含む。玉部材620は、シャフト部616aの一部として形成してもよく、またはシャフト部616a上に摺動させるか、形成するか、または成形してもよく、ピン616は、シャフト部616aに沿ってその上に上記または下記のタイプのスリーブの任意もの等のほぼ円筒状のスリーブ部を含んでよい。チェーン610は、上述のように、それ以外の点では上述のチェーン510とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0051】
任意選択で、図31および図32を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション610’は、ねじ式ピンまたはボルト616’を含んでもよく、ピン616’は、シャフト部616a’と、一端には非円形またはローブ形または六角形のヘッド部616c’と、他端にはナットまたはねじ式締結具等618を受け入れるねじ部616b’とを備えてもよい。ヘッド部616c’は、一方のサイドリンク612aの対応して形成または整形された窪み613cに受け入れられることができ、ほぼ円筒状のシャフト部616a’および/またはねじ式端部616b’は、チェーン610’の他方のサイドリンク612bの開口613を通って延びることができる。センターリンク614’は、ピン616’のシャフト部616a’と係合するほぼ平坦なまたは非凹状の内面614b’を含んでもよい。任意選択で、ピン616’は、シャフト部616a’に沿ってその上に上記または下記のタイプのスリーブ部のようなほぼ円筒状のスリーブ部を含んでよい。チェーン610’は、上述のように、それ以外の点では上述のチェーン610とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0052】
このように、本発明のダイヤル回転可能なピン構成は、これらのチェーンおよびピンのライフサイクルを著しく延ばすことができる。これは、ピンの1つまたは複数が十分に磨耗した場合にピンを交換する必要がないからである。このようなピンヘッドおよびサイドリンク構造は、玉部材等を有するピンで、またはほぼ円筒状のシャフト部を有するが玉部材は有さないピンで実施することができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。また、このようなダイヤル回転可能なピンの概念は、ピンのヘッド(複数可)がローブ形または非円形であるかまたは成形されており(lobed or non-circular shaped or formed)、サイドリンクの一方の対応して形成された窪みと係合するようになっている両頭ピン(double-headed pin)または単頭(single-headed)またはボルト式ピンでの使用に適しており、ボルト式ピンのねじ端は、他方のサイドリンクの円形開口を通って延びることができ、ナットまたは他の締結具により円形開口に固定されることができるが、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0053】
本発明のセンターリンクの玉部材および/または凹状面は、金属材料を含んでもよく、あるいはナイロンまたはプラスチックまたはポリマー材料を含んでもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。選択される材料は、チェーンが使用時に負荷がかかった状態で様々なカーブを進んでいる際の、玉および/または凹状面の磨耗を最小限に抑えることができる、耐久性の高い材料であることが好ましい。
【0054】
したがって、本発明は、チェーンリンクがチェーン経路における急な垂直方向の変化に適応して移動することを容易にするよう柔軟性が改善された、ボルト式またはピン式、あるいは半分ボルト式のチェーンを提供する。本発明の玉部材は、チェーンが搬送経路に適応して移動する際に、センターリンクとサイドリンクとの間で枢動することができる。より詳細には、玉部材は、センターリンクがボルト、スタッド、またはピンの縦軸の周りを従来の方法で枢動することを可能にするとともに、センターリンクが玉部材の周りを、サイドリンクに対する上方または下方の枢動等、他の方向にも枢動できるようにする。本発明の玉部材およびボルトまたはスタッドの組み合わせは、このようにして、チェーン継手で結合または過度の磨耗を生じさせずに、ボルト式チェーンが搬送経路に沿った傾斜に適応することを可能にする。また、本発明の玉およびソケット型接続により、チェーンは両方の軸を中心として曲がることができ、これによりさらに、チェーンがトラックの十分な長さにわたって曲がりながらまたは螺旋状に進む(twist or corkscrew)ことを可能にすることができる。玉部材はボルトまたはスタッドに緩く嵌めてもよいため、本発明の玉部材は、ボルトまたはスタッドの組み立てプロセスを容易にし、ボルト式チェーンの整備または保守のためにチェーンリンクを容易に分解または分断することも促す。このように、本発明は、製造および組み立てが容易な、柔軟性がはるかに高いチェーンを提供する。
【0055】
次に図33および図34を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション710は、一対のサイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含む。センターリンク714は、Iピンまたは他のタイプのピン、ボルト、スタッド等のようなピン716により、サイドリンク712aと712bとの間に保持され、サイドリンク712a、712bは、センターリンク714の中心領域または開口714aと、各サイドリンク712a、712bの開口713aとを通って延びる。ピン716は、各サイドリンク712a、712bの窪み領域713bと係合するピン716の両ヘッド部716aにより、サイドリンク712a、712bを通ってそこに保持される。ピン716は、ピン716のシャフト部716bの周りに成形されるほぼ球状または環状の玉部材720を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン710は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0056】
ピン716のシャフト部716bは、金属材料を含んでもよく、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。シャフト部716bは、シャフト部の低摩擦係数面を提供するように、コーティングまたは処理されてもよく、または材料が堆積されてもよい。例えば、シャフト部は、テフロン(登録商標)製材料、または硬質の炭素またはダイヤモンドのような材料、あるいは任意の他の耐久性のある低摩擦係数材料または滑り材料で処理されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブまたは玉720(以下で説明する)を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブまたは玉720の回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0057】
ピン716の各ヘッド部716aは、ほぼ矩形のヘッドを含んでもよく、ヘッド716aの一部がシャフト部716bの端から外側横方向に、逆方向に延びるようになる。各サイドリンク712a、712bは一対のスロット開口713aを含み、スロット開口713aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために、ヘッド716aが図33および図34に示す向きから約90°回転するとヘッド716aを受け入れるサイズにされてもよい。各サイドリンク712a、712bは、その各端にチェーンが組み立てられるとピン716のヘッド716aが収まる窪み領域またはポケット713bを含む。窪み領域713bは、突起端部713cおよび突起内側部713dにより画成され、これらはヘッド716aの側部と係合して、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714に対するピン716の回転を実質的に妨げる。
【0058】
センターリンク714は、内側開口714aを画成するほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。センターリンク714は、その各端に内側曲面または凹状面714b(図33および図34)を含み、ここに玉部材720を係合させて部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材720でセンターリンク714を保持する。任意選択で、凹状面714bは、上述のピン716のシャフト部716bと同様に、低摩擦係数材料でコーティングまたは処理されて、玉部材720とセンターリンク714との摩擦を低減させることができる。
【0059】
玉部材720は、ピン716のほぼ平滑な金属シャフト部716b上に成形されるプラスチックまたはポリマー部材を含んでもよい。玉部材720は、ピン716が形成された後にシャフト部716bの周りに成形され、次に、シャフト部の周りで冷却および硬化される。シャフト部716bはほぼ平滑な、好ましくは滑る外面を有するため、玉部材720は、玉部材720をシャフト部材716bから外すためにシャフト部716bに対して捻るか、摺動させるか、または他の方法で移動させることができる。次に、玉部材720は、シャフト部716bに沿ってその周りを自由に回転可能かつ移動可能であり、玉部材720とピン716とを相対運動させることができる。このように、玉部材716は、ピン716およびセンターリンク714に対して回転可能な一体形成された玉を提供する。玉部材716は、上述のもののような、玉部材の一端または両端から延びる1つまたは複数のスペーサまたはスリーブ部を含むことにより、シャフト部に沿って玉部材を所定位置に保持することを助ける。
【0060】
玉部材720は、ピン716のシャフト部716bの周りにポリマー材料を射出成形することにより形成してもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。玉部材720は、ナイロン材料または充填ナイロン材料(filled nylon material)、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のある硬質ポリマー材料から形成されてもよい。しかしながら、明らかに、本発明の範囲に影響を与えることなく、他の材料を玉部材720のために用いることもできる。
【0061】
任意選択で、玉部材720は、耐久性および低摩擦係数を有する外面を提供し、玉部材720とセンターリンク714との相対運動を高めることもできる。任意選択で、玉部材720は、上述のシャフト部716bと同様に、滑り材料または低摩擦係数材料でコーティングして、構成部品間の摩擦をさらに低減させることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0062】
玉部材720は、このようにして、玉部材720とピン716のシャフト部716bとの摺動係合および/または凹状面714bと玉部材720との摺動係合により、センターリンク714を枢動させる。これにより、チェーン710にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーン710を搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ピンおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。また、チェーン710はピン716のシャフト716bおよび/またはセンターリンク714に低摩擦係数面を設けることができるため、玉部材720は、センターリンク714とピン716との間の摩擦量を低減することができ、これによりさらに、構成部品の磨耗が低減し、その結果チェーンの保守をさらに減らしてライフサイクルをさらに延ばすことができる。
【0063】
次に図35を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション710’は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含み、これらはピン716’により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0064】
ピン716’は、ピン716と同様のヘッド部716a’および両ヘッド部716a’間に延びるシャフト部716b’を含む。シャフト部716b’は、ほぼ円筒状のシャフト部を含み、その中心領域に切欠セクション(notched section)または狭小セクション716c’を含む。ピン716’の切欠セクション716c’は、シャフト部716b’の周りに円周方向に延びることにより、シャフト部716b’の直径の小さい中心領域を画成することができる。しかしながら、切欠セクション716c’は、任意選択で、シャフト部の中心領域の一部に別個の切欠部または切り込み(indents)または溝を設けてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0065】
上述のピン716と同様に、ピン716’のシャフト部716b’および切欠セクション716c’は、ほぼ平滑な円筒状の外面を提供してもよい。シャフト部716b’は、チェーン710のピン716に関して上述したような、シャフト部の低摩擦係数面を提供するように、コーティングまたは処理されてもよい。低摩係数または滑り面は、成形されたスリーブまたは玉720’(以下で説明する)を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブまたは玉720’の回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、リンク712a、712b、および714は、上述の原理を用いて形成されるような、チェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0066】
ピン716’は、ピン716’のシャフト部716b’の周りにほぼ球状または環状の玉部材720’を含む。玉部材720’は、ピン716’のほぼ平滑なシャフト部716b’上に成形されるプラスチックまたはポリマー部材を含んでもよく、その場合、玉部材720’の内側部分は、ピン716’の切欠セクション716c’内に成形される。玉部材720’は、ピン716’が形成された後にシャフト部716b’の周りに成形され、続いてシャフト部の周りで冷却および硬化される。シャフト部716b’および切欠セクション716c’は、ほぼ平滑で円筒形の外面を有してもよく、これは滑り材料またはコーティングで処理されてよいため、玉部材720’をシャフト部材716b’から外すために、玉部材720’をシャフト部716b’に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができる。次に、玉部材720’は、玉部材720’とピン716’とを相対運動させるように、シャフト部716b’の切欠セクション716c’の周りを自由に回転可能である。切欠セクション716c’は、玉部材720’を所定位置に保持する役割を果たし、ピン716’のシャフト部716b’に沿った玉部材720’の長手方向の移動を制限するか、または実質的に妨げる。
【0067】
玉部材720と同様に、玉部材720’は、ピン716’のシャフト部716b’の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成してもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、玉部材720’は、耐久性があり、かつ玉部材720’とセンターリンク714との相対運動を高めるように低摩擦係数を有する外面を提供してもよい。任意選択で、玉部材720’は、玉部材720に関して上述したような滑りまたは低摩擦係数材料でコーティングされて、構成部品間の摩擦をさらに低減させてもよい。上述のように、センターリンク714の凹状面714bは、玉部材720’と係合するより低い摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0068】
次に図36を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション810は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含み、これらはピン816により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0069】
ピン816は、ピン716と同様に両ヘッド部816aと、両ヘッド部816a間に延びるシャフト部816bとを含む。シャフト部816はほぼ円筒状のシャフト部を含み、そのほぼ中心領域に一体形成される球状または環状の玉部材820を含む。上述のピン716と同様に、ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820は、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。シャフト部816bおよび玉部材820は、チェーン710のピン716に関して上述したように、低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理してもよい。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブ817(以下で説明する)をピン816のシャフト部および玉部材から外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトおよび玉に対するスリーブの回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、リンク712a、712b、および714は、上述の原理を用いて形成されるようなチェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0070】
ピン816は、シャフト部816bおよび玉部材820の周りに成形されたポリマーまたはプラスチックのスリーブ部817を含む。シャフト部816bおよび玉部材820の滑り面は、スリーブ部817がシャフト部816b上に成形された後にスリーブ部817がシャフト部816bを外すことができるようにし、シャフト部816bおよび玉部材820の周りでスリーブ部817が回転できるようにする。任意選択で、スリーブ部817は、スリーブ部817をセンターリンク714の凹状面714bと係合させるための、耐久性が高い滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。図36において見られるように、スリーブ部817は、シャフト部816bに沿ってヘッド部816aまで延び、シャフト部816bとサイドリンク712a、712bの開口713aの端壁713eとを係合させるための、耐久性が高く任意選択の滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。
【0071】
玉部材720および720’と同様に、スリーブ部817は、ピン816が形成された後にシャフト部816b上に成形されてもよい。ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820は、ほぼ平滑な面を提供し、かつスリーブ部817が成形される処理済み滑り面を有することができるため、スリーブ部は、成形されたスリーブ部をシャフト部816bおよび玉部材820から外すために、ピン816に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができ、スリーブ部817はシャフト部816bおよび玉部材820の周りをほぼ自由に回転可能となることができる。チェーン810が組み立てられると、スリーブ部817はそれにより、チェーンがその搬送経路にわたって曲がるすなわち屈曲する際にサイドリンク712a、712b、センターリンク714、およびピン816に対して移動可能となることができる。
【0072】
玉部材720と同様に、スリーブ部817は、ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成されてもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、スリーブ部817は、低摩擦係数を有する外面を提供して(あるいはそのような材料またはコーティングで処理して)、玉部材720に関して上述したようなスリーブ部817とセンターリンク714との相対運動を高めてもよい。上述のように、センターリンク714の凹状面714bは、スリーブ部817と係合するより低摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0073】
次に図37を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション810’は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’を含み、これらはピン816’により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。しかしながら、チェーン810’のセンターリンク714’は、その端部にほぼ直線状であるかまたはわずかに湾曲したピン係合面714b’を有してもよく、凹状のピン係合面を含まない。
【0074】
ピン816’は、ピン716と同様に両ヘッド部816a’と、両ヘッド部816a’間に延びるシャフト部816b’とを含む。シャフト部816’はほぼ円筒状のシャフト部を含み、ほぼ平滑な外面を提供することが好ましい。シャフト部816b’は、チェーン710のピン716に関して上述したように、シャフト部の低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理してもよい。例えば、シャフト部は、構成部品間の摩擦を実質的に低減するために、テフロン(登録商標)製材料、または硬質のダイヤモンドのような材料、あるいは任意の他の低摩擦係数材料または滑り材料で処理されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブ817’を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブの回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’は、上述の原理を用いて形成されるようなチェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0075】
ピン816’は、シャフト部816b’の周りに成形されたポリマーまたはプラスチックのスリーブ部817’を含む。任意選択で、スリーブ部817’は、スリーブ部817’をセンターリンク714’の面または端部714b’と係合させるための、耐久性が高い滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。図37において見られるように、スリーブ部817’は、シャフト部816b’に沿ってヘッド部816a’まで延び、シャフト部816b’とサイドリンク712a、712bの開口713aの端壁713eとを係合させるための、高い耐久性(および任意選択で滑りまたは低摩擦面)を提供するようにしてもよい。上述のように、センターリンク714’の端部は、スリーブ部817’とセンターリンク714’とが係合するためのより低い摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0076】
玉部材720および720’ならびにスリーブ部817と同様に、スリーブ部817’は、ピン816’が形成された後にシャフト部816b’上に成形される。ピン816’のシャフト部816b’は、スリーブ部817b’が成形されるほぼ平滑な滑り面を提供するため、スリーブ部は、スリーブ部をシャフト部816b’から外すために、ピン816’に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができ、スリーブ部817’はシャフト部816b’の周りをほぼ自由に回転可能となることができる。チェーン810’が組み立てられると、チェーンがその搬送経路にわたって曲がるすなわち屈曲する際に、スリーブ部817’はサイドリンク712a、712b、センターリンク714’、およびピン816’に対して移動可能となる。玉部材720と同様に、スリーブ部817’は、ピン816’のシャフト部816b’の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成されてもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により成形されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0077】
図38に示すように、チェーンまたはチェーンセクション910は、ピン916と、サイドリンク(図示せず)と、センターリンク914とを含んでもよい。センターリンク914は各端に、ピン916のシャフト部916bと係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915を含む。プラスチックインサート915は、センターリンク914のプラスチックインサート915とピン916とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914の端部914bに成形することができる。しかしながら、インサート915は、他の成形手段によりセンターリンク914に成形されてもよく、またはセンターリンク914にスナップ嵌めされるか、あるいは取り外し可能に取り付けまたは添装されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0078】
ピン916は、両ヘッド部916aと、両ヘッド部916a間に延びるシャフト部916bとを含む。シャフト部916は、ほぼ円筒状のシャフトを含んでもよく、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。ピン716と同様に、シャフト部916は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0079】
センターリンク914の各端914bは窪み区域914cを含むため、インサート915は概ね窪み区域914c内に成形または保持されることができ、かつ窪み区域914c内にほぼ固定されるかまたは移動不可能となることができる。図示の実施形態では、窪み区域914cは、ほぼ八角形の曲面914eの両端に一対の突起端停止部(raised end stops)914dを提供する。八角形の面914eおよび端停止部914dは、インサート915がセンターリンク914に成形された後に、センターリンク914に対してインサート915が移動するのを実質的に妨げる役割を果たす。八角形の面として図示しているが、明らかに、窪み区域914cに他の形状を設けて、センターリンク914に対してインサート915が移動するのを制限するかまたは実質的に妨げてもよい。
【0080】
インサート915は、ピン916のシャフト部916bと係合するための、耐久性のある低摩擦係数面915aを提供してもよい。低摩擦係数面は、ピン916とセンターリンク914との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減させることができる。インサート915は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料から形成されてもよい。任意選択で、インサート915および/またはピン916のシャフト部916bは、低摩擦係数を提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0081】
円筒状のシャフトピンで実施されるように図示されているが、本発明によるインサートは、上述のタイプの玉部材またはスリーブ等のような、ピンのシャフト部上の玉部材または他のスリーブ等(図38には図示せず)と係合するために、上述のセンターリンク714の凹状面714bと同様の面等の凹状面(同様に図38には図示せず)を含んでもよいことが想定される。インサートは、センターリンクに取り外し可能に取り付けまたは添装されて、センターリンクに交換可能な磨耗面を提供するためにインサートを取り外して交換することを容易にすることができる。
【0082】
次に図39を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション910’は、ピン916’と、サイドリンク912’と、センターリンク914’とを含む。センターリンク914’は、各端に、ピン916’のシャフト部916b’と係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915’を含む。プラスチックインサート915’は、センターリンク914’とピン916’とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915’は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914’の端部914b’に成形することができる。しかしながら、インサート915’は、他の成形手段によりセンターリンク914’に成形されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、インサート915’は、センターリンク914’の端部914b’にスナップ嵌めされるかまたは他の方法で添装されてもよい交換可能なインサートであってもよい。インサート915’は、以下で説明するピン916’の玉部または玉部材920’の外面とほぼ均一に係合する凹状係合面またはソケット915a’を含んでもよい。
【0083】
ピン916’は、両ヘッド部916a’と、両ヘッド部916a’間に延びるシャフト部916b’とを含む。シャフト部916’は、ほぼ円筒状のシャフトを含み、シャフト部916b’のほぼ中心部にほぼ球状の玉部材または玉部920’を含む。玉部材920’ は、ピン916’のシャフトの一部として形成されてもよく、または上述の原理を利用するなどして、ピン916’に摺動または成形または形成されてもよい。シャフト部916b’および玉部材920’の外面は、センターリンク914’においてインサート915’と係合するほぼ平滑な外面を提供することが好ましい。ピン716と同様に、シャフト部916b’およびピン916’の玉部材920’は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910’とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0084】
上述のセンターリンク914と同様に、センターリンク914’の各端914b’は、窪み区域(914c’で全体的に示す)を提供してもよいため、インサート915’は概ね窪み区域914c’内に成形されることができ、かつ窪み区域内にほぼ固定されるかまたは移動不可能となることができる。窪み区域914c’は、上述の窪み区域914cとほぼ同様であってよいため、窪み区域の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。センターリンク914’の窪み区域914c’は、インサート915’のソケットまたは面915a’の曲率にほぼ対応する凹状合わせ面またはソケットを含んでもよい。この場合、インサート915’は、ソケット区域にほぼ均一な厚さを有するように成形することができる。しかしながら、センターリンク914’は、ほぼ平坦な、または他の方法で形成された、インサート915’の合わせ面を有してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0085】
インサート915’は、ピン916’の玉部材または玉部920’と係合する耐久性がある低摩擦係数面915a’を提供してもよい。低摩擦係数により、ピン916’とセンターリンク914’との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減することができる。面915a’および玉部材920’が対応する形状および曲率を有することにより、チェーン910’の柔軟性が改善され、センターリンク914’の端および/またはピン916’のシャフトの磨耗が低減する。インサート915’は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料からできていてもよい。玉およびソケットの構成により、インサート915’に加わる張力および剪断応力が最小限に抑えられ、インサート915’は主に、プラスチックインサートへ与える損傷が少ない圧縮荷重を受けるようになる。任意選択で、インサート915’および/またはピン916’の玉部材920’は、低摩擦係数を提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0086】
任意選択で、図40に示すように、チェーンまたはチェーンセクション910’’は、ピン916’’と、サイドリンク912’’と、センターリンク914’’とを含んでもよい。センターリンク914’’は各端に、ピン916’’のシャフト部916b’’と係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915’’を含む。プラスチックインサート915’’は、センターリンク914’’とピン916’’とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915’’は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914’’の端部914b’’に成形することができる。しかしながら、インサート915’’は、他の成形手段によりセンターリンク914’’に成形してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。インサート915’’は、以下で述べるのように、ピン916’’のシャフト部916b’’の狭い外面とほぼ均一に係合する凸状係合面915a’’を含んでもよい。
【0087】
ピン916’’は、両ヘッド部916a’’と、両ヘッド部916a’’間に延びるシャフト部916b’’を含む。シャフト部916’’は、ほぼ円筒状のシャフトを含み、シャフト部916b’’のほぼ中心部に狭小部916c’’を含む。狭小部916c’’は、インサート915’’の外向曲面(outwardly curved surface)915a’’とほぼ均一に係合する内向曲面(inwardly curved surface)を含む。シャフト部916b’’の外向曲面916c’’は、センターリンク914’’においてインサート915’’の凸状面915a’’と係合するほぼ平滑な外面を提供することができる。ピン716と同様に、シャフト部916’’は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910’’とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0088】
センターリンク914’’は、上述のセンターリンク914、914’とほぼ同様であってよいため、センターリンク914’’の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。インサート915’’をセンターリンク914’’の各端の概ね窪み区域内に成形することができ、窪み区域内にほぼ固定するか、または移動不可能とすることができると言えば十分であろう。任意選択で、インサートは、センターリンクにスナップ嵌めまたは他の方法で添装されるか、あるいは取り外し可能に取り付けされてもよく、センターリンクに取り外し可能かつ交換可能な磨耗面を提供することができる。
【0089】
インサート915および915’と同様に、インサート915’’は、ピン916’’のシャフト916b’’の狭小湾曲部916c’’と係合する耐久性のある低摩擦係数面915a’’を提供してもよい。低摩擦係数により、ピン916’’とセンターリンク914’’との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減することができる。インサート915’’の外向曲面915a’’およびピン916’’の内向曲面916c’’が対応する形状および曲率を有することにより、チェーン910’’の柔軟性が改善され、センターリンク914’’の端部および/またはピン916’’のシャフトの磨耗が低減する。インサート915’’は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料からできていてもよい。任意選択で、インサート915’’および/またはピン916’’の曲面916c’’は、低摩擦係数面またはコーティングを提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0090】
図33〜図40に関して上述したチェーンセクションの実施形態はそれぞれ、楕円形または矩形のヘッド部を含むが、丸形ヘッドのピンを提供してもよく(上述の本発明のチェーンのいずれかのように)、その場合、ピンの各端に丸形ヘッドを有し、ヘッド間のシャフト部に玉部材および/またはスリーブ等を有することが、さらに想定される。この場合、ヘッド部は、サイドリンクの拡大されたほぼ円形の開口に挿入することができ、サイドリンクの各端に向かって狭小開口まで、外側に摺動させることができる。狭小開口は、円形ヘッドが通ることを実質的に妨げ、それによりセンターリンクおよびピンに対してサイドリンクを保持する。サイドリンクは、狭小開口の周りに丸形ヘッドを受け入れる窪み区域を含むことにより、サイドリンクの拡大開口に向かってサイドリンクに対してピンが移動することを実質的に妨げる。ピンはこれにより、サイドリンクおよびセンターリンクに対して回転することができるとともに、チェーンの柔軟性をより高め、かつ/または磨耗を低減することができる。
【0091】
図33〜図40のピンにより連結されるものとして示されているが、本発明のチェーンのリンケージは、他のピン、ボルト、スタッド、ハーフボルト/ハーフピン型のピンまたは締結具、あるいは任意の他の締結または連結手段により別の方法で連結して、サイドリンクとセンターリンクとを互いに保持することができることが、さらに想定される。締結または連結手段は、上述の原理を用いて形成することができる。
【0092】
上述のピンおよびチェーンリンクの実施形態はいずれも、任意の適当な材料を含む磨耗面構成部品を有してもよいことが想定される。例えば、磨耗面構成部品は、鋼または他の金属材料、青銅または他のより軟質な金属材料、エンジニアリングプラスチックまたは他の強度および耐久性のあるポリマー材料等のポリマー材料、セラミック材料、焼結材料、テフロン(登録商標)材料、フルオロカーボン材料等を含んでもよい。また、上述のピンおよびチェーンリンクの実施形態のいずれも、ピンおよび/またはチェーンリンクの磨耗面に(at or on)低摩擦係数または滑りコーティングを含んでよいことが想定される。したがって、コーティングは、磨耗面間の相対運動または回転または摺動を高めることにより、チェーンセクションの性能を高め、かつチェーンセクションの寿命を延ばすことができる。コーティングは、テフロン(登録商標)タイプコーティングまたはダイヤモンドライクコーティング等、あるいはこのような用途に適した任意の他の低摩擦係数または滑りコーティング等を含むことができる。
【0093】
したがって、本発明は、ピンまたはチェーンリンクの金属またはプラスチック(あるいは他の材料)の磨耗面にダイヤモンドライクコーティング(DLC)を施してもよい。磨耗面構成部品は、ほぼ平滑な磨耗面を画成して、チェーンセクションの対応する磨耗面との摺動係合または移動係合を高めることができる。金属磨耗面構成部品(複数可)は、構成部品の研磨、振動等(セラミックチップまたは鋼チップ等の研磨等)のような任意の既知の手段によりほぼ平滑に形成することができ、一方、プラスチック磨耗面構成部品(複数可)は所望の形態に成形し、かつ/または所望の面平滑性を得るように研磨または振動させることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0094】
磨耗面(複数可)のダイヤモンドライクコーティングは、チェーンセクションに高い性能および長い寿命を提供する。このようなダイヤモンドライクコーティングは、用途によっては点荷重および衝撃に敏感な場合があるため、本発明の磨耗面構成部品は、玉部材および対応して形成されるソケットを備えて、このような点荷重状態を低減するかまたは実質的になくすことができる。このような玉およびソケットの構成は、接触面積をより広い面積に広げることにより、このような衝撃またはインパクトまたは点荷重の問題を減らす。
【0095】
したがって、本発明は、玉部材に沿ってセンターリンクを摺動係合させること、およびピンのシャフトの周りでスリーブまたは玉部材を摺動係合させることによりセンターリンクの枢動を可能にする、スリーブおよび/または玉部材、ならびにピンまたはボルトまたはスタッドを提供する。これにより、チェーンにさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンまたはボルトまたはスタッドとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ピンおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0096】
玉部材、および/またはピンの玉部材またはシャフトを覆うスリーブ、および/またはセンターリンクのインサートは、強度が高く耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料を含んでもよい。選択される材料は、チェーンが使用時に負荷がかかった状態で様々なカーブを進んでいる際の玉部材および/または凹状面の磨耗を最小限に抑えることができる、耐久性の高い材料を含んでもよい。材料は、低摩擦係数面を提供するようにも選択または処理またはコーティングされて、構成部品の互いに対する可動性を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することができる。任意選択で、接触面の1つまたは複数は、接触する構成部品間の低摩擦係数面を提供することができる材料で処理またはコーティングされて、チェーンの磨耗をさらに低減することができる。玉部材、スリーブ、インサート、または他の磨耗面構成部品は、任意選択で、鋼等または青銅あるいは他のより軟質な金属(metallic)等のような金属材料を含んでもよく、各磨耗面間の低摩擦係合を高めるようにコーティングまたは処理されてもよい。本発明の玉部材、ピンおよび/またはセンターリンクは低摩擦面を含むことができるため、本発明は、センターリンクとピンとの間の、および/またはサイドリンクとピンとの間の摩擦量を減らして、これによりさらに構成部品の磨耗を低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。本発明の低摩擦面は、使用中にチェーンの継手を潤滑させる(lubrication:注油する)必要を実質的に低減するかまたはなくすことができることが想定される。したがって、本発明は、プラスチック構成部品を有する無潤滑チェーンを提供することができる。
【0097】
本発明は、ピンに形成または成形された単一プラスチック構成部品を提供して、チェーンの性能を高めることもできる。成形された玉部材またはスリーブは、ピンから外すことができるため、ピンと玉部材またはスリーブとの相対運動を可能にするとともに、玉またはスリーブとチェーンリンクとの相対運動も可能にする。成形された玉またはスリーブは、このように、チェーンの金属構成部品間の係合構成部品を提供する一体形成された耐久部材である。任意選択で、金属またはプラスチックの玉またはスリーブは、スタッドまたはボルト型のピンに摺動またはプレスされてもよく、そこから取り外し可能であってもよい。
【0098】
したがって、本発明は、チェーンリンクがチェーン経路における急な垂直方向の変化に適応して移動することを容易にするよう柔軟性が改善されたチェーンを提供する。本発明の玉部材または狭小シャフト部は、チェーンが搬送経路に適応して移動する際に、センターリンクとサイドリンクとの間で枢動することができる。より詳細には、玉部材または狭小シャフト部は、センターリンクがピンの縦軸を中心として従来の方法で枢動することを可能にするとともに、センターリンクがピンに対して(玉部材を中心としてまたは湾曲したシャフト部内で等)、サイドリンクに対する上方または下方の枢動等、他の方向にも枢動できるようにする。本発明の玉部材/湾曲した係合面およびピンの組み合わせは、このようにして、チェーン継手で結合または過度の磨耗を生じさせずに、チェーンが搬送経路に沿った上り傾斜に適応することを可能にする。また、本発明の玉およびソケット型接続により、チェーンは両方の軸を中心として曲がることができ、これによりさらに、チェーンがトラックの十分な長さにわたって曲がりながらまたは螺旋状に進む(twist or corkscrew)ことを可能にすることができる。このように、本発明は、製造および組み立てが容易な、より高い柔軟性およびより長いライフサイクルを有するチェーンを提供する。
【0099】
具体的に説明した実施形態の変更および修正を本発明の原理から逸脱せずに行うことができ、本発明は、特許法の原則に従って解釈されるように、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【0100】
本発明は、添付の請求項だけでなく、下記の項目に記載の概念も、その保護の対象とすることができる。
本発明の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションを画成するように、チェーンリンクを互いに接続するピンは、チェーンセクションの少なくとも1つのリンクと係合する両端部と、両端部間に延びるシャフト部と、シャフト部の周りに少なくとも部分的に沿ったスリーブ部とを備える。スリーブ部は、両端部がチェーンセクションの上記少なくとも1つのリンクと係合すると、チェーンセクションの別のリンクと係合するようにシャフト部に配置される。スリーブ部はシャフト部に対して移動可能である。
【0101】
一形態では、スリーブ部は、ほぼ球状または環状の部材を備え、シャフト部に沿ってほぼ中央に配置されてもよい。スリーブ部は、環状部材の一端または両端にスペーサ部を含んでもよい。ピンのシャフト部は、ほぼ円筒状であってもよく、球状部または玉部または丸形部が形成されていてもよい。別の形態では、シャフト部はほぼ円筒状のシャフト部を備えてもよく、スリーブ部はほぼ円筒状のスリーブ部を備えてもよい。
【0102】
スリーブ部はポリマー材料を含んでもよい。スリーブ部は、ピンのシャフト部上に成形され、ピンはIピンまたはボルト式ピン等であってもよく、スリーブ部は、締結具がピンの締結具端から取り外されると、ボルト式ピンまたはスタッド型ピンのシャフト部の上に摺動されるか、または取り外し可能に位置することができる。
【0103】
任意選択で、スリーブ部は、シャフト部と摺動可能に係合するスリーブ部の内面に低摩擦係数コーティング(low coefficient of friction coating)を含んでもよく、またはスリーブ部は、他のチェーンリンクと係合するスリーブ部の外面に低摩擦係数コーティングを含んでもよい。
【0104】
本発明の別の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、第1のチェーンリンクと、その両端にアパーチャが開いている少なくとも1つの第2のチェーンリンクと、ピンとを備える。第2のチェーンリンクは、アパーチャの少なくとも一部を囲む窪み区域(recessed area)を備える。ピンは、第2のチェーンリンクのアパーチャのそれぞれ1つと第1のチェーンリンクの開口とにピンを挿入することにより、第1のチェーンリンクを第2のチェーンリンクに接続する。ピンは、少なくとも1つのヘッド部とシャフト部とを有し、ヘッド部は合わせ面を画成する。窪み区域は、ピンのヘッド部の合わせ面を回転可能に受け入れる。合わせ面は、窪み区域に対応して形成されて、窪み区域との相対回転を促す。合わせ面は、第2のチェーンリンクの窪み区域と係合し、チェーンセクションが搬送システムに沿って製品を搬送する際に第2のチェーンリンクに対して回転可能である。
【0105】
アパーチャは、窪み区域に隣接した狭小領域(narrowed region)と、狭小領域に隣接した大直径領域(larger diameter region)とを有するスロット開口とを含むことができる。ピンのヘッド部は大直径領域に挿入可能であり、シャフト部は、狭小領域を通って窪み区域まで摺動可能であり、それによりヘッド部の合わせ面が窪み区域と係合してアパーチャ内にピンが保持される。
【0106】
本発明の別の態様によると、チェーンセクションのピンの磨耗面を調整する方法は、その両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクのアパーチャにピンを挿入することによりチェーンリンクを互いに接続するピンとを有するチェーンセクションを設けることを含む。ピンは、両端部と両端部間に延びるシャフト部とを備える。シャフト部は、チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンは、チェーンリンクに対して少なくとも2つの位置のうちの1つに回転不可能に位置する。ピンは、少なくとも2つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。ピンは、チェーンリンクに対する上記少なくとも2つの位置のうちの別の1つに選択的に回転されて、チェーンリンクに対してシャフト部の磨耗面を調整する。
【0107】
ピンの磨耗度は監視されてもよく、ピンは、上記少なくとも2つの位置に対応するピンの磨耗面の磨耗を制限または制御するために選択的に回転されてもよい。ピンは、上記少なくとも2つの位置のうちのどの位置が選択さて使用されているかを示すために印をつけてもよい。
【0108】
本発明のさらに別の形態によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。チェーンリンクの少なくとも1つはピン係合領域を画成する。ピン係合領域は第1の磨耗面を画成する。ピンは、両端部とシャフト部とを有し、第2の磨耗面を画成する。第1および第2の磨耗面の少なくとも1つはポリマー材料を含む。
【0109】
ピン係合領域およびピンの少なくとも1つは、低摩擦係数コーティングを有する。コーティングは、第1および第2の磨耗面の少なくとも一方にダイヤモンドライクコーティングを含んでもよい。
【0110】
本発明の別の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。チェーンリンクの少なくとも1つはピン係合領域を画成する。ピン係合領域は第1の磨耗面を画成する。ピンは、両端部とシャフト部とを有し、第2の磨耗面を画成する。第1および第2の磨耗面の少なくとも一方は交換可能な磨耗面を備え、それにより、交換可能な磨耗面は、交換可能な磨耗面の交換を容易にするように、上記少なくとも1つのチェーンリンクから取り外し可能であり、かつ/またはピンから取り外し可能である。
【0111】
交換可能な磨耗面はポリマー材料を含んでもよい。交換可能な磨耗面は、ピンのシャフト部の周りに位置付け可能なスリーブを備えてもよい。スリーブは環状部材を備えてもよい。交換可能な磨耗面は、上記少なくとも1つのチェーンリンクの端部におけるインサートを備えてもよく、それによりインサートはピンのシャフト部と係合する。ピン係合領域および/またはピンは、第1および/または第2の磨耗面においてテフロン(登録商標)コーティングまたはダイヤモンドライクコーティング(diamond like coating)等の低摩擦係数コーティングを有してもよい。
【0112】
本発明の別の態様によると、チェーンセクションの少なくとも2つのチェーンリンクを接続および保持するピンは、シャフト部と、シャフト部の少なくとも一部の周りに取り外し可能に位置する交換可能な磨耗面部材とを備える。チェーンセクションは、搬送システムに沿って製品を搬送するよう移動可能である。交換可能な磨耗面は、交換可能な磨耗面の交換を容易にするようにピンから取り外し可能である。
【0113】
ピンは、チェーンリンクにおいてピンを保持するように締結具を受け入れる少なくとも1つの締結部を、ピンの少なくとも一端に備えることができる。交換可能な磨耗面は、締結具が締結部から取り外されると、締結部において交換可能な磨耗面をシャフト部から摺動着脱する(sliding the replaceable wear surface off from and onto the shaft portion)することにより、取り外し可能かつ交換可能であってもよい。交換可能な磨耗面は、環状部材またはほぼ円筒状の部材等を備えてもよい。交換可能な磨耗面は、金属材料またはポリマー材料を含んでもよく、低摩擦係数材料またはコーティングでコーティングされてもよい。
【0114】
本発明のさらに別の形態によると、チェーン用のIピンは、両ヘッド部とシャフト部とを含む。単一のポリマースリーブが、Iピンのシャフト部の少なくとも一部の周りに移動可能に位置する。ポリマースリーブは、シャフト部の周りを回転または摺動することができる。
【0115】
スリーブは、シャフト部上に成形されて、成形された後に外す(broken free)ことができ、したがって、Iピンのシャフト部の周りをほぼ自由に回転可能であってよい。スリーブは、Iピンのシャフト部の単一ポリマー構成部品を、チェーンのセンターリンクおよび/またはサイドリンクと係合させる。スリーブは、耐久性のあるポリマー材料で成形されてもよい。
【0116】
任意選択で、Iピンのシャフト部は、シャフト部の周りでスリーブを緩めるかまたは外すことを容易にする平滑外面を有してもよい。低摩擦係数面または材料を、スリーブとピンとの間、および/またはスリーブとチェーンリンクとの間に設けてもよい。
【0117】
一形態では、ポリマースリーブは、ほぼ球状または環状の玉部材をピンのシャフト部に設けるように、ほぼ球状に成形されてもよい。別の形態では、ピンのシャフト部はスリーブがピンの玉部材の上に成形されるように玉部材を含んでもよい。別の形態では、スリーブは、ピンのほぼ円筒状のシャフト部の上に成形されたほぼ円筒状のスリーブであってもよい。
【0118】
本発明の別の態様によると、Iピンを形成する方法は、シャフト部を有するピンを形成すること、およびIピンのシャフト部上にポリマースリーブ部を成形することを含む。スリーブ部は、ほぼ円筒状のスリーブ部であってもよく、ピンのシャフト部上に成形されたほぼ球状の玉部材であってもよい。スリーブ部は、ピンのシャフト部から外すことができるため、スリーブ部はシャフト部に移動可能または摺動可能に位置する。
【0119】
したがって、本発明は、チェーンセクションの柔軟性および磨耗寿命を改善することができるピン部材またはピンを提供する。ピンは、ピンのシャフト部の周りに移動可能なスリーブ部を有することにより、ピンおよびチェーンセクションのチェーンリンクの摩擦および磨耗が低減されてもよい。ピンは、ピンのシャフト部に、またはシャフト部上に、玉部材または環状部材を含んでもよく、センターリンクは、玉部材と係合する凹状係合面を含んで、チェーンセクションの柔軟性を高めてもよい。本発明は、チェーンが搬送経路に沿って進んで曲がる際にチェーンリンク内で回転する回転可能なピンを提供することができる。任意選択で、チェーンは、ピンの磨耗を制御し、ピンのライフサイクルを延ばすように、チェーンリンクに対する2つ以上のほぼ固定された向きの間で選択的に回転またはダイヤル回転(dialed)させることができる。任意選択で、ピンまたはチェーンリンクの1つまたは複数は、ポリマー材料を含む磨耗面を有してもよく、磨耗面はピンとチェーンリンクとの間の摩擦を低減することができる。ポリマー磨耗面は、センターリンクの一端におけるポリマーインサートであってもよく、またはピンのシャフト部の周りに成形されるかまたは位置するポリマースリーブ部であってもよい。ピンは、Iピン型のチェーンピン、ボルト型のチェーンピン、または両ねじ(double ended)スタッド型のチェーンピンを含んでもよく、シャフト部にほぼ球状の玉部材または環状部材を含んで、チェーンセクションの柔軟性を高めてもよい。任意選択で、ピンおよび/またはチェーンリンクは、ピンおよび/またはチェーンリンク全体を交換する必要なく1つまたは複数の磨耗面の交換を容易にするように、交換可能な磨耗面部材を有してもよい。
【符号の説明】
【0120】
510 チェーンセクション、512 サイドリンク、513b 開口、513c 凹部、514 センターリンク、514b 凹状面、516 ピン、516c ヘッド部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、搬送システム用のチェーンに関し、より詳細には、中に延びるボルトまたはピンにより画成される軸を中心としたセンターリンクと一対のサイドリンクとの間の枢動(pivotable movement)を可能にする、ボルト式またはピン式チェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達用または材料管理および処理システム用のチェーン、例えば、処理工場、倉庫等で経路に沿って複数のトロリー等を移動させる機能を果たすチェーンは、チェーンが所望の経路に沿って進む際に曲がる。チェーンは所望の経路に沿って送られると、経路に沿って横方向に向きを変え、かつ/または上方または下方にカーブするように曲がることができる。チェーンが曲がる際に、チェーンのリンクはチェーンの継手を画成するピンまたはボルトに対して動くことができる。リンクおよびピンまたはボルトの相対運動は、構成部品の磨耗につながり、最終的にリンクおよび/またはピンまたはボルトの故障につながる可能性がある。構成部品の1つまたは複数の粗加工表面(溝加工、掻き傷等による)および/または構成部品の潤滑不足等によりピンとリンクとの間の摩擦が大きくなると、磨耗が大きくなる可能性がある。
【0003】
いくつかの状況では、チェーンは、水平面から上下約45〜60°傾斜するよう調整せねばならない場合がある。このように傾斜が急であることにより、チェーンリンクがカーブに沿って曲がる、すなわち屈曲する際に、チェーンリンク同士が結合して(binding)しまう可能性がある。チェーンのサイドリンクとセンターリンクとの間の鍛造したIピンに形成された玉をIピンチェーンに設けることが知られている。Iピンは、ピンの中心部に玉または球形物(spherical shape)を有するように鋳造されることができ、これによりセンターリンクをサイドリンク間の玉を中心として枢動可能にすることができる。Iピンは、チェーンのサイドリンクおよびセンターリンクに対して固定され、これは一般に「リベットレスチェーン」として既知である。玉によりチェーンのさらなる柔軟性をもたらすことができるが、チェーンリンクがピンに対して動くとセンターチェーンリンクに接触して依然として磨耗する。
【0004】
ここで、チェーンの進行方向をどの方向にも小さい曲率半径で変更可能にできる構造を有する曲線搬送用チェーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、潤滑油を溜め得るチェーンは、各チェーンプレートに皿状の凹部や貫通部を形成することで形状が複雑かつ高単価となり、重合部に凹部を形成することで、ガタ付き易く騒音を発生するため、結合ピンに向けて潤滑油を供給することが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、ピンにボルト式のものを用いるものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−007224号公報
【特許文献2】特開平10−045227号公報
【特許文献3】米国特許第5,305,872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、従来技術の欠点を克服する改良されたチェーンが当該技術分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チェーンリンクの柔軟性を高め、かつチェーンリンクとピンとの間の相対運動を高めるとともに、チェーンの磨耗を低減または制御し、あるいはチェーン構成部品の磨耗の作用を低減または制御することを目的とする。
【0008】
本発明の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクのアパーチャに挿入されることによりチェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。ピンは、両端部と、両端部間に延びるシャフト部とを備える。シャフト部は、チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンは、チェーンリンクに対するシャフト部の磨耗面を調整するためにチェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間で選択的に調整可能である。ピンは、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【0009】
ピンの端部の少なくとも1つは、チェーンリンクの少なくとも1つのアパーチャの対応する壁部と選択的に係合する少なくとも3つの係合部を画成することができ、それによりピンは、少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合には、係合部の少なくともいくつかを壁部の少なくともいくつかと係合させることにより、チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。
【0010】
本発明のこれらおよび他の目標、利点、目的、および特徴は、図面とともに以下の明細書を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】両ねじスタッド型ピンを有する、本発明による玉およびソケットボルトチェーンまたはチェーンセクションの分解斜視図である。
【図2】図1のチェーンセクションの上面図である。
【図3】図1および図2のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図4】本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの分解斜視図である。
【図5】図4のチェーンセクションの上面図である。
【図6】図4および図5のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図7】本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの上面図である。
【図8】図7のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図9】本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの分解斜視図である。
【図10】図9の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図11】サイドリンクの1つを取り外した、本発明による別の玉およびソケットボルトチェーンセクションの斜視図である。
【図12】図11のチェーンセクションの上面図である。
【図13】両方のサイドリンクを示す、図11および図12のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図14】ボルト式ピンがチェーンリンクに対して回転可能な別のボルト式チェーンセクションの上面図である。
【図15】図14のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図16】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外した、ピンがチェーンリンクに回転可能に受け入れられている本発明による玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図17】図16のチェーンセクションの上面図である。
【図18】両方のサイドリンクを示す、図16および図17のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図19】Iピンがチェーンリンクに対して回転可能な別のIピンチェーンセクションの上面図である。
【図20】図19のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図21】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ピンがチェーンリンクに選択的に回転不可能に位置する本発明による別の玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図22】図21のチェーンセクションの上面図である。
【図23】ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ピンがチェーンリンクに選択的に回転不可能に位置する別の玉およびソケットIピンチェーンセクションの斜視図である。
【図24】図23のチェーンセクションの上面図である。
【図25】両方のサイドリンクを示す、図23および図24のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図26】ピンがほぼ円筒状のシャフト部を有する、図23〜図25のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの上面図である。
【図27】図26のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図28】ボルト式ピンをさらに詳細に示すためにサイドリンクの1つを取り外して示す、ボルト式ピンがチェーンセクションに回転不可能に位置する、図23〜図27のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの斜視図である。
【図29】図28のチェーンセクションの上面図である。
【図30】図28および図29のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図31】ボルト式ピンがほぼ円筒状のシャフト部を有する、図28〜図30のチェーンセクションと同様の別のチェーンセクションの上面図である。
【図32】図31のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図33】ピンのシャフト部の周りに玉部材が成形されている、本発明による玉およびソケットチェーンセクションの分解斜視図である。
【図34】図33のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図35】本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図36】ピンのシャフト部および玉部材の周りにスリーブが成形されている、本発明による別の玉およびソケットチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図37】ピンのほぼ円筒状のシャフト部の上にほぼ円筒状のスリーブが成形されている、本発明によるチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図38】センターリンクの各端にプラスチックインサートを有する、本発明による別のチェーンセクションのセンターリンクおよびピンの斜視図である。
【図39】センターリンクの各端にプラスチックインサートを有し、ピンのシャフトに玉部材が形成されている、本発明による別のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【図40】センターリンクの各端に丸形のプラスチックインサートを有し、かつピンの凹状または狭小シャフトを有する、本発明による別のチェーンセクションの側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面およびそれに示される例示的実施形態を参照すると、材料管理または処理システム等のような搬送システムに沿って製品を搬送するためのチェーンまたはチェーンセクション10は、一対のサイドリンク12a、12b、およびセンターリンク14(図1〜図3)を含む。センターリンク14は、両ねじスタッドまたはスタッド型ピン16によりサイドリンク12aと12bとの間に保持され、ピン16は、センターリンク14の中心領域14aおよび各サイドリンク12a、12bの開口13を通って延び、対応する締結具またはナット18によりそこに保持される。スタッド16は、スタッド16のシャフト部16aのほぼ中間点または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材20を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0013】
スタッド16は、中心部またはシャフト部16aと、一対の対向するねじ部または締結部または端部16bとを含む。ねじ部16bは、シャフト部16aよりも小さい直径を有し、中心部16aの端部が、締結具18をスタッド16に締め付けた際の締結具18に対する、またはサイドリンク12a、12bそれぞれの内側に対して当接する、当接面16cを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。スタッド16は、材料管理システム等のチェーンの従来のスタッドまたはピンと同様に、鋼、ステンレス鋼、または鉄等の金属材料を含んでもよい。
【0014】
玉部材20は、スタッド16の一部として一体形成されてもよく、またはシャフト部16aにプレス嵌めまたは他の方法で固定されて、スタッド16の中心領域に玉部材20の位置を維持してもよい。しかしながら、そうでなければ、玉部材20をスタッド16のシャフト部16aに緩く嵌め、スタッド16に沿って摺動させるかスタッド16の周りを回転させることもでき、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。玉部材20は、金属材料あるいはプラスチックまたはポリマー材料を含んでもよい。センターリンク14は、ほぼ楕円形または細長いリングであり、その各端に内側に湾曲したまたは凹状の合わせ面または係合面14b(図2および図3)を含み、ここに玉部材20を係合させて部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材20でセンターリンク14を保持する。
【0015】
したがって、玉部材20は、玉部材20に沿った凹状面14bの摺動係合によるセンターリンク14の枢動を可能にする。これにより、ボルト式チェーン10にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、ボルト式チェーン10を搬送経路のより急な垂直カーブに適応させる(negotiate)ことができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて関節運動する(articulate through)場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとスタッドまたはピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0016】
次に図4〜図6を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション110は、一対のサイドリンク112a、112b、およびセンターリンク114を含む。センターリンク114は、ボルトまたはボルト式ピン116によりサイドリンク112a、112bの対応する端部間に保持され、ボルト116は、対応する開口113とセンターリンク114の中心領域114aとを通って延びる。ボルト116は、シャフト部116aと、ナット18を螺合するよう受け入れてチェーンリンクを互いに保持するねじ部またはねじ端116bと、ねじ端116bとは反対側の端のヘッドまたはヘッド部116cとを含む。ボルト116はさらに、ほぼ球状またはほぼ環状の玉部材120を含み、玉部材120はボルト116のシャフト部116a上に摺動することができる。センターリンク14と同様に、センターリンク114は、その各端に曲面または凹状面114bを有するほぼ細長いリングであり、玉部材120を係合させて部分的に受け入れて、玉部材120上にセンターリンク114を維持する。
【0017】
玉部材120は、ボルト116に沿って緩く嵌めて、チェーンリンクの組み立てを容易にし、かつチェーンリンクが搬送経路に適応して移動する(negotiate through)際に玉部材120が、したがってセンターリンク114がサイドリンク間で動くようにすることができる。任意選択で、玉部材120は、シャフト部116aをぴったりと受け入れてもよく、またはシャフト部116aにプレス嵌めされて玉部材120がボルト116のシャフト部116a上の所定位置に保持されるようにしてもよい。玉部材120はボルト116の磨耗面を画成するため、玉部材120はシャフト部116a上に取り外し可能に位置して、ボルト式ピン全体を交換せずに玉部材および磨耗面を交換できることによりチェーン構成部品の保守および交換費用が削減されるようにしてもよい。
【0018】
任意選択で、図7および図8に示すように、チェーンまたはチェーンセクション110’は、サイドリンク112a、112b、およびセンターリンク114を含む。センターリンク114は、ボルトまたはボルト式ピン116’によりサイドリンク112a、112bの対応する端部間に保持され、ボルト116’は、対応する開口113とセンターリンク114の中心領域114aとを通って延びる。ボルト116’は、シャフト部116a’と、ナット118’を螺合するよう受け入れてチェーンリンクを互いに保持するねじ部またはねじ端116b’と、ねじ端116b’とは反対側の端のヘッドまたはヘッド部116c’とを含む。ボルト116’はさらに、スリーブ部あるいはスペーサ−玉−スペーサ(spacer-ball-spacer)組立体または部材または部119(図8)を含み、これは、ほぼ球状または環状の玉部材または玉部120’と、玉部材120’の両端に位置するほぼ円筒状のスペーサまたはスリーブ121とを含んでもよい。上述のように、センターリンク114は、その各端に曲面または凹状面114bを有するほぼ細長いリングであってよく、玉部材120’を部分的に受け入れて、玉部材120’上にセンターリンク114を維持する。
【0019】
スリーブ部119は、ボルト116’のシャフト部116a’上に摺動されてもよく、またはシャフト部116a’上に成形されてもよい。スリーブ部119は、鋼等の金属材料を含んでもよく、テフロン(登録商標)材料またはダイヤモンドライクコーティング(diamond like coating/DLC)あるいは他の適当な低摩擦材料等の低摩擦係数材料または滑らかな材料を用いるなどして処理またはコーティングしてもよく、これによりスリーブ部119が、ボルトすなわちピン116のシャフト部116aに沿って高い耐久性を有する滑り磨耗面(slick wear surface)または係合面を提供するようにする。任意選択で、スリーブ部119は、ポリマー材料を含んでもよく、金属材料を含んでもよいシャフト部116a上に摺動または成形されてもよい。
【0020】
スリーブ部119は、ボルト116’に沿って緩く嵌めて、チェーンの組み立てを容易にし、かつチェーンリンクが搬送経路に従って移動する際に玉部材120’およびスペーサまたはスリーブ121に、したがってセンターリンク114にサイドリンク間を移動させるようにすることができる。スリーブ部119は、玉部材120’の一端または両端でシャフト116a’の周りにまたはシャフト116a’に沿って位置する中空のスペーサリングまたはスリーブ121を含んで、ピン116a’のシャフト116a’のほぼ中心領域に玉部材120’を維持してもよい。スペーサ−玉−スペーサ構成または組立体は、単一部材として形成してもよく(図8に示すように)、またはシャフト部116a’上に摺動する別個の構成部品(1つまたは2つのスペーサおよび玉部材)であってもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。スペーサ−玉−スペーサ構成を単一構造体にすることにより、ボルトの組み立ておよび磨耗面/玉部材の保守および交換(必要な場合)を実質的に簡略化することができる。
【0021】
このようなスペーサ−玉−スペーサ構成は、ピンのシャフトの中心領域に玉部材を維持するのに役立つとともに、シャフトを中心とした玉部材のほぼ自由な回転運動を可能にする。これは、チェーンがその搬送経路に沿って曲がり移動する際に、玉部材をセンターリンク114の窪み114bと位置合わせして保つのに役立つ。スペーサ−玉−スペーサ組立体はピン全体を交換せずに交換することができるため、このスペーサ−玉−スペーサ構成により、ピンの磨耗部が低費用で交換できるようにもなる。例えば、ナットを取り外して、スペーサ−玉−スペーサ構造体(好ましくは単一構造体)をボルトから摺動させて外して交換することができ、それにより、ボルト式ピン全体を交換せずにボルト式ピンに新たな磨耗面(新たな玉部材)が設けられる。これは、特にピンがステンレス鋼または他の高価な材料で形成されている場合があり、したがって交換に費用がかかる可能性がある用途において、大幅な費用節減をもたらすことができる。
【0022】
次に図9および図10を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション210は、一対のサイドリンク215、212、およびセンターリンク214を含む。センターリンク214は、ねじまたはボルト式ピン216によりサイドリンク215と212との間に保持され、ピン216は、センターリンク214の中心領域214aと、サイドリンク215の開口215aおよびサイドリンク212の開口213とを通って延び、対応する締結具またはナット218によりそれらの中を通して保持される。ねじ式ピン216は、ねじ式ピン216のほぼ中間部または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材220を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン210は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージのセットのうち1つのセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0023】
ねじ式ピン216は、中心部またはシャフト部216aと、シャフト部216aの一端にねじ部216bと、シャフト216aの他端にヘッドまたはヘッド部216cとを含む。ねじ部216bは、中心部またはシャフト216aよりも小さい直径を有し、シャフト216の端部がナット218をねじ式ピン216に締め付けた際の締結具またはナット218に対して当接する、またはサイドリンク212の内側に対して当接する、当接面216dを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。
【0024】
図9および図10において見られるように、ねじ式ピン216のヘッド216cは、ほぼ矩形のヘッドであり、ヘッド216cの一部がシャフト216aの端から横方向外側に逆方向に延びる。サイドリンク215は一対のスロット開口215aを含み、スロット開口215aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために、ヘッド216cが図9に示す向きから約90°回転するとヘッド216cを受け入れるサイズにされてもよい。あるいは、サイドリンク215は、サイドリンク212と同様の円形アパーチャまたは通路を含んでもよく、これは、ねじ部216bおよびシャフト216aをこのようなアパーチャまたは開口に挿入して、チェーンセクションを組み立てることができるからである。サイドリンク215は各端に、チェーンセクションが組み立てられるとねじ式ピン216のヘッド216cが収まる窪み領域またはポケット215bを含む。窪み領域215bは、突起端部215cおよび突起内側部215dにより画成され、これらはヘッド216cの側部と係合して、サイドリンクおよびセンターリンクに対するピンの回転を実質的に妨げる。
【0025】
センターリンク214は、上述のセンターリンク14および114とほぼ同様であってもよく、開口214aを画成し、センターリンクの各端に玉部材220を部分的に受け入れる内側曲面または凹状面214bを有して、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材220でセンターリンク214を保持する、ほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。
【0026】
玉部材220は、ねじ式ピン216のシャフト216a上に緩く摺動し、シャフト216aに沿って摺動または回転することができてもよく、またはシャフト216aにプレス嵌めされるかあるいはシャフト216aに対してほぼ固定されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。あるいは、ねじ式ピンおよび玉部材は、単一部品として鍛造または他の方法で一体形成されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0027】
チェーン10および110それぞれの玉部材20および120と同様に、チェーン210の玉部材220は、玉部材220に沿った凹状面214bの摺動係合によるセンターリンク214の枢動を可能にする。これにより、チェーン210にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン210はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができる、ハーフリベットレス・ハーフボルト式のピン(half rivetless-half bolted pin)を備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のボルト式チェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとボルトとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0028】
本発明のねじ式ピンは、ほぼ矩形のヘッドを有するように図示されているが、別法として丸形ヘッド(図9および図10には示さない)を有してもよく、これは、ほぼ平坦または窪んだサイドリンクに収まって、それによりサイドリンクおよびセンターリンクに対してねじ式ピンが回転することを可能にし、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0029】
次に図11〜図13を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション310は、一対のサイドリンク315、312、およびセンターリンク314を含む。センターリンク314は、ねじ式ピンまたはボルト式ピン316によりサイドリンク315と312との間に保持され、ピン316は、センターリンク314の中心領域314aと、サイドリンク315の開口315aおよびサイドリンク312の開口313とを通って延び、対応する締結具またはナット318によりその中を通して保持される。ねじ式ピン316は、ねじ式ピン316のシャフト部316aのほぼ中間部または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材320を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン310は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージのうち1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンのリンケージの他のセクションまたはセットもほぼ同一である。
【0030】
ねじ式ピン316は、中心部またはシャフト部316aと、シャフト部316aの一端にねじ部またはねじ端316bと、シャフト部316aの他端にヘッド部316cとを含む。ねじ部316bはシャフト部316aよりも小さい直径を有し、シャフト部316aの端部が締結具またはナット318をねじ式ピン316に締め付けた際の締結具またはナット318に対して当接する、またはサイドリンク312の内側に対して当接する、当接面316dを提供して、チェーンが組み立てられた際にサイドリンク間の間隔を維持するようにする。ヘッド部316cは、締結具318がボルトに締結されている間にボルトが回転することを容易に防止するように、六角形ヘッド等を含んでもよい。
【0031】
図11〜図13において見られるように、ねじ式ピン316のヘッド316cはほぼ円形のヘッドである。サイドリンク315は一対のスロット開口315aを含み、スロット開口315aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするためにヘッド316cを受け入れるようなサイズにされてよい大きい内側開口(inward opening)315bと、ヘッド316cを保持するようにヘッド316cよりも小さい直径を有する小さい外側開口(outward opening)315cとを含む。小さい開口315cは、大きい開口315bに隣接して狭小スロット領域を画成して、シャフト部316aをスロット領域に沿って摺動させてヘッド部316cを小さい外側開口315cに配置し、それによりヘッド部316cが小さい開口315cに保持されるが、これについては以下で説明する。あるいは、サイドリンク315は、サイドリンク312と同様の円形アパーチャまたは通路を含んでもよく、これは、ねじ部316bおよびシャフト316aをこのようなアパーチャまたは開口に挿入して、チェーンセクションを組み立てることができるからである。
【0032】
サイドリンク315は、各端の小さい開口315cの円周の少なくとも一部に(at and at least partially around)、チェーンセクションが組み立てられるとねじ式ピン316のヘッド316cが収まる窪み区域または領域またはポケット315dを含む。ヘッド部316cの下部または合わせ面316d(図13)は、湾曲しているか丸みがあることが好ましく、一方、窪み領域315dは、ヘッド部316cの合わせ面316dと窪み領域315dとをほぼ均一に係合させて合わせるように対応して形成される。対応して形成された合わせ面および窪み領域は、ピン316とリンク315との間の実質的に滑らかな回転を促し、チェーンがその搬送経路に沿って進む際にサイドリンク315、312およびセンターリンク314に対してボルト式ピン316が自由に回転できるようにする。
【0033】
センターリンク314は、上述のセンターリンクとほぼ同様であってもよく、開口314aを画成し、センターリンクの各端に玉部材320を部分的に受け入れる内側曲面または凹状面314bを有して、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材320でセンターリンク314を保持する、ほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。
【0034】
上述の玉部材およびチェーンと同様に、チェーン310の玉部材320は、玉部材320に沿った凹状面314bの摺動係合によるセンターリンク314の枢動を可能にする。これにより、チェーン310にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン310はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができる、ハーフリベットレス・ハーブボルト式のピンを備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のボルト式チェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のボルト式チェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとボルトとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0035】
玉部材320は、ねじ式ピン316のシャフト316a上に緩く摺動し、シャフト316aに沿って摺動または回転することができてもよく、またはシャフト316aにプレス嵌めされるかあるいはシャフト316aに対してほぼ固定されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。あるいは、ねじ式ピンおよび玉部材は、単一部品として鍛造または他の方法で一体形成されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、玉部材320は、シャフト部316a上に緩く摺動してもよく、玉部材320の片側または両側でシャフト316aに沿ってまたはシャフト316aの周りに位置する中空のスペーサリングまたはスリーブ(図13に全体的に321で示されるような)を含んで、ピン316のシャフト316aのほぼ中心領域に玉部材320を維持してもよい。スペーサ−玉−スペーサ構成または組立体は、単一部材として形成してもよく、またはシャフト部316a上に摺動する別個の構成部品(2つのスペーサおよび玉部材)であってもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。スペーサ−玉−スペーサ構成を単一構造体にすることにより、ボルトの組み立ておよび玉部材の保守および交換(必要な場合)を実質的に簡略化することができる。
【0036】
ボルト式ピン116’に関して上述したように、このようなスペーサ−玉−スペーサ構成は、ピンのシャフトの中心領域に玉部材を維持するのに役立つとともに、シャフトを中心とした玉部材のほぼ自由な回転運動を可能にする。これは、チェーンがその搬送経路に沿って曲がり移動する際に、玉部材をセンターリンク314の窪み314bと位置合わせして保つのに役立つ。スペーサ−玉−スペーサ組立体はピン全体を交換せずに交換することができるため、このスペーサ−玉−スペーサ構成により、ピンの磨耗部が低費用で交換できるようにもなる。ナットを取り外して、スペーサ−玉−スペーサ構造体(好ましくは単一構造体)をボルトから摺動させて外して交換することができ、それにより、ボルト式ピン全体を交換せずにボルト式ピンに新たな磨耗面(新たな玉部材)が設けられる。これは、特にピンがステンレス鋼または他の高価な材料で形成されている場合があり、したがって交換に費用がかかる可能性がある用途において、大幅な費用節減をもたらすことができる。
【0037】
図14および図15を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション310’は、一対のサイドリンク315、312、およびセンターリンク314’を含む。センターリンク314’は、ねじ式ピン316’によりサイドリンク315と312との間に保持され、ピン316’は、センターリンク314’の中心領域314’aと、サイドリンク315の開口315aおよびサイドリンク312の開口313とを通って延び、対応する締結具またはナット318によりそれらの中を通して保持される。ねじ式ピン316’は、ほぼ円筒状のシャフト部316a’を含み、一方センターリンク314’は、シャフト部316a’と係合するほぼ平坦なまたは湾曲した、非凹状(non-concaved)面314b’を含む。チェーン310’は、それ以外の点では上述のチェーン310とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。ヘッド部316c’は、湾曲しているか丸みがある合わせ面316d’を含んでもよく、一方サイドリンク315は、上述のように、小さいスロット開口315cにおいて対応して形成された合わせ面315dを含んで、チェーンリンクに対するピン316’のほぼ滑らかな回転を促してもよい。任意選択で、ねじ式ピン316’は、上記または下記のように、シャフト部316a’の周りに形成または位置するほぼ円筒状のスリーブ部(図14および図15には示さない)を含んでもよい。
【0038】
さらに、丸形ヘッドピンに、ピンの各端に丸形ヘッドと、ヘッドまたはヘッド部間のシャフト部に玉部材とを設けてもよいことが、さらに想定される。ヘッド部は、サイドリンクの拡大されたほぼ円形の開口に挿入されて、サイドリンクの端に向かって外側に、狭小開口まで摺動することができる。狭小開口は、円形ヘッドが通って移動することを実質的に妨げ、それによりセンターリンクおよびピンに対してサイドリンクを保持する。サイドリンクは、狭小開口の周りに窪み区域を含み、丸形ヘッドをそこに受け入れて、サイドリンクの拡大開口に向かったサイドリンクに対するピンの長手方向移動を実質的に妨げる。ピンはこのようにして、サイドリンクおよびセンターリンクに対して回転することができるとともに、チェーンにさらなる柔軟性を与えてチェーンの磨耗を低減することができる。
【0039】
例えば、図16〜図18を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション410は、一対のサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414を含む。センターリンク414は、ピン416によりサイドリンク412aと412bとの間に保持され、ピン416は、センターリンク414の中心領域414aと、各サイドリンク412a、412bの開口413とを通って延びる。開口413は、大きいほぼ円形の内側開口413aと小さいほぼ円形の外向スロットまたは開口413bとを含む。ピン416の各ヘッド部416cは、各サイドリンク412a、412bの大きい開口413aよりも小さく、小さい端部開口413bよりも大きく、ピン416をサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414に保持する。ピン416は、ピン416のシャフト部416bのほぼ中間点または中間領域に位置するほぼ球状または環状の玉部材420を含む。センターリンク414は、上述のセンターリンクとほぼ同様であってよく、その各端に内側曲面または凹状面414bを有するほぼ楕円形または細長いリングであってよく、玉部材420を部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材420でセンターリンク414を保持する。当該技術分野で既知のように、チェーン10と同様に、チェーン410は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセクションまたはセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージのセクションまたはセットもほぼ同一である。
【0040】
ピン416は、中心部またはシャフト部416aと、シャフト部416aの各端にヘッド部416cとを含む。ヘッド部416cは、ほぼ円形であり、傾斜または湾曲した下面部または合わせ面416d(図18)を含み、合わせ面416dは、シャフト部416aの各端からほぼ半径方向外側に延びて、ヘッド部416cがシャフト部416aよりも大きい直径を有するようになる。
【0041】
図16および図17において見られるように、各サイドリンク412a、412bは、一対のスロット開口413を含み、スロット開口413は、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために大きい内側開口413aを通してヘッド416cを受け入れるようなサイズにされてよい。開口413aに挿入されると、ピン416およびヘッド部416cは、シャフト416aが外側スロットまたは開口413bに入るまで外側に移動することができる。次に、ヘッド部416cは、外側開口413bの湾曲した窪み部413c内に少なくとも部分的に収まることができ、ピン416およびサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414が全体で合わせて固定されるようになる。湾曲した窪み部または窪み領域413cは、ヘッド部416cの合わせ面416dにほぼ対応して形成され、ピンのヘッド部とサイドリンクとのほぼ均一な係合およびほぼ滑らかな回転を促す。窪み部413cおよびヘッド部416cの合わせ面416dはほぼ円形であり、対応して形成されているため、ピン416は、チェーンが搬送経路に沿って移動する際にサイドリンク412a、412bに対して回転することができ、それにより、ピン416の磨耗がほぼ均一に分布されて、ピン416のライフサイクルが延びる。
【0042】
上述の他の玉部材と同様に、チェーン410の玉部材420は、玉部材420に沿った凹状面414bの摺動係合によるセンターリンク414の枢動を可能にする。これにより、チェーン410にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。チェーン410はこのように、より急な垂直方向のターンに適応し、かつ/または異なる軸を中心としたターンに適応することができるピンを備える。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ボルトおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0043】
次に図19および図20を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション410’は、一対のサイドリンク412a、412b、およびセンターリンク414’を含む。センターリンク414’は、回転可能なピン416’によりサイドリンク412aと412bとの間に保持され、回転可能なピン416’は、センターリンク414’の中心領域414a’と、各サイドリンク412a、412bの開口413とを通って延びる。ピン416’はほぼ円筒状のシャフト部416a’を含み、センターリンク414’は、シャフト部416a’と係合するほぼ平坦なまたは非凹状の面414b’を含む。ピン416’の両ヘッド部416c’は、ほぼ丸形かつほぼ円形の合わせ面416d’を備え、サイドリンク412a、412bは、合わせ面416d’と係合する、対応して形成された窪み区域または領域または係合面413cを含み、ピン416’とサイドリンク412a、412bとの間のほぼ滑らかな回転を促す。チェーン410’は、それ以外の点では上述のチェーン410とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。任意選択で、ピン416’は、上記または下記のように、シャフト部416a’の周りに形成または位置するほぼ円筒状のスリーブ部(図19および図20には示さない)を含んでもよい。
【0044】
チェーンセクションのピンのヘッド部は非円形であってもよく、サイドリンクの少なくとも1つの窪み部はそれに対応して非円形であってもよく、ヘッド部、したがってピンが、サイドリンクに対して回転不可能に固定されてもよいことが、さらに想定される。例えば、ヘッド部およびサイドリンクの窪み領域は、2つ以上の側部を有するように形成されて、ヘッドと窪み領域との非回転的な係合をもたらしつつ、ヘッドおよびボルトまたはピンを手動で回転させて、シャフトおよび玉部材とセンターリンクとの磨耗面係合を調整または変更できるようにしてもよい。例えば、ボルト式ピンのピンまたはボルト部(シャフトおよびヘッド)は、60°または90°、あるいは他のいくらかの量だけ(ヘッドおよび窪み領域の側部の数に応じる)ラチェット式に動く(ratcheted)かまたは回転して、シャフトおよび玉部材に新たな磨耗面(センターリンクと係合し、リンクが曲がって互いに対して回転する際に磨耗する部分)を提供することができる。本発明の調整可能またはダイヤル回転可能な(dialable)ピン構造は、このようにしてピンのライフサイクルを著しく延ばすことができる。これは、玉部材(またはスペーサ−玉−スペーサ組立体)を必要に応じて交換することができ、かつ/またはピンを選択的に回転させて必要に応じて新たな磨耗面を提供することができ、これによりピンまたはボルト式ピンの全体的な寿命を実質的に延ばすことができるからである。
【0045】
各磨耗面は、ピンの回りを約60°、90°、または120°等にわたって覆うことができ、それによりピンは必要に応じてその量だけ回転して、ピンの周りに6つ、4つ、または3つの異なる磨耗面または磨耗面部分を提供して、したがって各磨耗面部分の磨耗量または磨耗時間を制御することを容易にすることができる。これは、チェーンが精密なピッチ設計である(チェーンの長さが小さい公差範囲で指定されている)ために、ピンの1つまたは複数の過度の磨耗がピッチに影響を与える可能性があり、これによりチェーン(複数可)が結合する可能性がある(2つのこのようなチェーンの間に何かが接続されているかまたは挟まった(cradled)状態で、これらのチェーンが互いに並んで移動している場合)か、または他の点でチェーンまたはコンベヤに悪影響を与える可能性があるような用途で、特に有用であり得る。この場合、このようなチェーンのピンをダイヤル回転または回転させて、各ピンに新たな磨耗面を提供し、それによりピンをその元の公差に効果的にリセットし、したがってチェーンをその元の指定長にリセットすることができる。例えば、各ピンを第2の位置または第3の位置または任意の他の位置にダイヤル回転させて、新たな磨耗面を磨耗位置に移動させてもよい。場合によっては、適切な調整を行うために第1のピンまたはピンのセットのみをリセットする必要があるかもしれない。任意選択で、ピンまたはシャフト部(または磨耗面)の磨耗度を監視または測定してもよく、ピンを選択的に回転させてピンの磨耗面の磨耗を制限してもよい。ピンのヘッド部の各ステーションまたはローブに、磨耗面のどの部分(複数可)がすでに選択されたか、または使用されたかを示すために印または番号を付けてもよいことが、さらに想定される。
【0046】
例えば、図21および図22を参照すると、ピン516のヘッド部516cおよびサイドリンク512の開口513bは非円形であってもよく、その場合、ピン516はチェーンまたはチェーンセクション510のサイドリンク512を通ってそこに回転不可能に位置するようになる。例えば、ヘッド部516cを、3つ以上の側部または部分516e(図21および図22に示す湾曲したほぼ等しいサイズの3つの側部等)を有するローブ形または非円形にし、窪み区域513cをヘッド部を受け入れるように対応した形状にしてもよく、サイドリンク512の対応して形成された窪み区域または凹部(impression)513c内のヘッド部516cの合わせ面が、サイドリンク512に対するピン516の回転を実質的に妨げるようにする。例えば、ヘッド部の側部の1つまたは複数が、サイドリンクのアパーチャの側壁の対応する1つまたは複数と係合して、サイドリンクに対するピンの回転を実質的に妨げることができる。シャフト部516aおよび/または玉部材520の磨耗面は、このようにして、窪み513c内にヘッド516cをほぼ固定することによりサイドリンク512に対してほぼ固定することができ、チェーンが搬送経路に沿って進む際にシャフトおよび/または玉部材の一部のみがセンターリンク514の凹状面514bに接触して磨耗するようになる。
【0047】
ピンは、各位置(図21および図22の例示的な実施形態の3つの位置のそれぞれのような、または以下で述べる図23〜図25の例示的な実施形態の6つの位置のそれぞれのような、またはこのような構成に適した任意の他の数の位置のような位置)にある場合にチェーンリンクに対してほぼ回転不可能であってもよく、チェーンリンクに対するピンのシャフト部の磨耗面を調整するように位置間で選択的に調整可能であることにより、磨耗面の一部(複数可)とチェーンリンクとを選択的に係合させてもよい。このような構成は、1回ごとにピンの特定の磨耗面を磨耗させることによりピンの磨耗およびライフサイクルの制御を可能にし、ピンの1つの磨耗面からピンの次の磨耗面への制御された、または手動の、または選択的な回転を可能にする。このように、本発明のピンおよびサイドリンク構成はダイヤル回転可能なピンを提供し、このピンを手動で選択的にダイヤル回転または回転させて、第1の磨耗面が十分に磨耗した後にサイドリンクに対する新たな磨耗面を提供することができる。このような構成により、ピンの各磨耗面または磨耗面部が使用される時間を制御することが容易になる。
【0048】
任意選択で、図23〜図25を参照すると、ピン516’のヘッド部516c’およびサイドリンク512’の開口513b’は非円形であってもよく、その場合、ピン516’がチェーンまたはチェーンセクション510’のサイドリンク512’ を通ってそこに回転不可能に位置するようになる。図23〜図25に示すように、ヘッド部516c’はほぼ六角形であってもよく、その場合、窪み区域513c’はヘッド部を受け入れるように対応した形状であり、サイドリンク512’の対応して形成された窪み区域または凹部513c’内へのヘッド部516c’の嵌め合いが、サイドリンク512’に対するピン516’の6つの位置の回転を実質的に妨げる。シャフト部516a’および/または玉部材520’の磨耗面は、窪み513c’内にヘッド516c’をほぼ固定することによりサイドリンク512’に対してほぼ固定することができ、チェーンが搬送経路に沿って進む際にシャフトおよび/または玉部材の一部のみがセンターリンク514の凹状面514bに接触して磨耗するようになる。続いて、上述のようにピン516’をサイドリンク512’の窪み513c’に対して次の向きに回転させることにより、磨耗面を新たな面に調整またはダイヤル回転させることができる。
【0049】
任意選択で、図26および図27を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション510’’は、ピン516’’を含んでもよく、ピン516’’は、ほぼ円筒状のシャフト部516b’’の両端に整形された(shaped)、またはローブ形の、または六角形のヘッド部516c’’を備えてもよい。センターリンク514’’は、シャフト部516b’’と係合するほぼ平坦なまたは湾曲した、非凹状面514b’’を含む。ピン516’’およびサイドリンク512’は、それ以外の点では上述のピン516’とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0050】
任意選択で、図28〜図30を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション610は、ねじ式ピンまたはボルト616を含んでもよく、ピン616は、シャフト部616aと、一端には整形された、またはローブ形の、または六角形のヘッド部616cと、他端にはナットまたはねじ式締結具等618(図30)を受け入れるねじ部616bとを備えてもよい。ヘッド部616cは、一方のサイドリンク612aの対応して形成または整形された窪み613cに受け入れられることができ、ほぼ円筒状のシャフト部616aおよび/またはねじ式端部616bは、チェーン610の他方のサイドリンク612bの開口613を通って延びることができる。センターリンク614は、ピン616のシャフト部616aに沿って位置する玉部材620と係合する凹状内面614bを含む。玉部材620は、シャフト部616aの一部として形成してもよく、またはシャフト部616a上に摺動させるか、形成するか、または成形してもよく、ピン616は、シャフト部616aに沿ってその上に上記または下記のタイプのスリーブの任意もの等のほぼ円筒状のスリーブ部を含んでよい。チェーン610は、上述のように、それ以外の点では上述のチェーン510とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0051】
任意選択で、図31および図32を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション610’は、ねじ式ピンまたはボルト616’を含んでもよく、ピン616’は、シャフト部616a’と、一端には非円形またはローブ形または六角形のヘッド部616c’と、他端にはナットまたはねじ式締結具等618を受け入れるねじ部616b’とを備えてもよい。ヘッド部616c’は、一方のサイドリンク612aの対応して形成または整形された窪み613cに受け入れられることができ、ほぼ円筒状のシャフト部616a’および/またはねじ式端部616b’は、チェーン610’の他方のサイドリンク612bの開口613を通って延びることができる。センターリンク614’は、ピン616’のシャフト部616a’と係合するほぼ平坦なまたは非凹状の内面614b’を含んでもよい。任意選択で、ピン616’は、シャフト部616a’に沿ってその上に上記または下記のタイプのスリーブ部のようなほぼ円筒状のスリーブ部を含んでよい。チェーン610’は、上述のように、それ以外の点では上述のチェーン610とほぼ同様であってよいため、詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0052】
このように、本発明のダイヤル回転可能なピン構成は、これらのチェーンおよびピンのライフサイクルを著しく延ばすことができる。これは、ピンの1つまたは複数が十分に磨耗した場合にピンを交換する必要がないからである。このようなピンヘッドおよびサイドリンク構造は、玉部材等を有するピンで、またはほぼ円筒状のシャフト部を有するが玉部材は有さないピンで実施することができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。また、このようなダイヤル回転可能なピンの概念は、ピンのヘッド(複数可)がローブ形または非円形であるかまたは成形されており(lobed or non-circular shaped or formed)、サイドリンクの一方の対応して形成された窪みと係合するようになっている両頭ピン(double-headed pin)または単頭(single-headed)またはボルト式ピンでの使用に適しており、ボルト式ピンのねじ端は、他方のサイドリンクの円形開口を通って延びることができ、ナットまたは他の締結具により円形開口に固定されることができるが、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0053】
本発明のセンターリンクの玉部材および/または凹状面は、金属材料を含んでもよく、あるいはナイロンまたはプラスチックまたはポリマー材料を含んでもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。選択される材料は、チェーンが使用時に負荷がかかった状態で様々なカーブを進んでいる際の、玉および/または凹状面の磨耗を最小限に抑えることができる、耐久性の高い材料であることが好ましい。
【0054】
したがって、本発明は、チェーンリンクがチェーン経路における急な垂直方向の変化に適応して移動することを容易にするよう柔軟性が改善された、ボルト式またはピン式、あるいは半分ボルト式のチェーンを提供する。本発明の玉部材は、チェーンが搬送経路に適応して移動する際に、センターリンクとサイドリンクとの間で枢動することができる。より詳細には、玉部材は、センターリンクがボルト、スタッド、またはピンの縦軸の周りを従来の方法で枢動することを可能にするとともに、センターリンクが玉部材の周りを、サイドリンクに対する上方または下方の枢動等、他の方向にも枢動できるようにする。本発明の玉部材およびボルトまたはスタッドの組み合わせは、このようにして、チェーン継手で結合または過度の磨耗を生じさせずに、ボルト式チェーンが搬送経路に沿った傾斜に適応することを可能にする。また、本発明の玉およびソケット型接続により、チェーンは両方の軸を中心として曲がることができ、これによりさらに、チェーンがトラックの十分な長さにわたって曲がりながらまたは螺旋状に進む(twist or corkscrew)ことを可能にすることができる。玉部材はボルトまたはスタッドに緩く嵌めてもよいため、本発明の玉部材は、ボルトまたはスタッドの組み立てプロセスを容易にし、ボルト式チェーンの整備または保守のためにチェーンリンクを容易に分解または分断することも促す。このように、本発明は、製造および組み立てが容易な、柔軟性がはるかに高いチェーンを提供する。
【0055】
次に図33および図34を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション710は、一対のサイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含む。センターリンク714は、Iピンまたは他のタイプのピン、ボルト、スタッド等のようなピン716により、サイドリンク712aと712bとの間に保持され、サイドリンク712a、712bは、センターリンク714の中心領域または開口714aと、各サイドリンク712a、712bの開口713aとを通って延びる。ピン716は、各サイドリンク712a、712bの窪み領域713bと係合するピン716の両ヘッド部716aにより、サイドリンク712a、712bを通ってそこに保持される。ピン716は、ピン716のシャフト部716bの周りに成形されるほぼ球状または環状の玉部材720を含む。当該技術分野で既知のように、チェーン710は、互いに接続されて搬送システムの周りで一続きのループを成す複数のリンケージを含む。説明を簡単にするために、チェーンのリンケージの1つのセットのみを図示し、本明細書で説明するが、チェーンの他のリンケージもほぼ同一である。
【0056】
ピン716のシャフト部716bは、金属材料を含んでもよく、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。シャフト部716bは、シャフト部の低摩擦係数面を提供するように、コーティングまたは処理されてもよく、または材料が堆積されてもよい。例えば、シャフト部は、テフロン(登録商標)製材料、または硬質の炭素またはダイヤモンドのような材料、あるいは任意の他の耐久性のある低摩擦係数材料または滑り材料で処理されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブまたは玉720(以下で説明する)を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブまたは玉720の回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0057】
ピン716の各ヘッド部716aは、ほぼ矩形のヘッドを含んでもよく、ヘッド716aの一部がシャフト部716bの端から外側横方向に、逆方向に延びるようになる。各サイドリンク712a、712bは一対のスロット開口713aを含み、スロット開口713aは、チェーンリンクの組み立ておよび分解を容易にするために、ヘッド716aが図33および図34に示す向きから約90°回転するとヘッド716aを受け入れるサイズにされてもよい。各サイドリンク712a、712bは、その各端にチェーンが組み立てられるとピン716のヘッド716aが収まる窪み領域またはポケット713bを含む。窪み領域713bは、突起端部713cおよび突起内側部713dにより画成され、これらはヘッド716aの側部と係合して、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714に対するピン716の回転を実質的に妨げる。
【0058】
センターリンク714は、内側開口714aを画成するほぼ楕円形または細長いリングを含んでもよい。センターリンク714は、その各端に内側曲面または凹状面714b(図33および図34)を含み、ここに玉部材720を係合させて部分的に受け入れて、チェーンが搬送経路に沿って移動する際に玉部材720でセンターリンク714を保持する。任意選択で、凹状面714bは、上述のピン716のシャフト部716bと同様に、低摩擦係数材料でコーティングまたは処理されて、玉部材720とセンターリンク714との摩擦を低減させることができる。
【0059】
玉部材720は、ピン716のほぼ平滑な金属シャフト部716b上に成形されるプラスチックまたはポリマー部材を含んでもよい。玉部材720は、ピン716が形成された後にシャフト部716bの周りに成形され、次に、シャフト部の周りで冷却および硬化される。シャフト部716bはほぼ平滑な、好ましくは滑る外面を有するため、玉部材720は、玉部材720をシャフト部材716bから外すためにシャフト部716bに対して捻るか、摺動させるか、または他の方法で移動させることができる。次に、玉部材720は、シャフト部716bに沿ってその周りを自由に回転可能かつ移動可能であり、玉部材720とピン716とを相対運動させることができる。このように、玉部材716は、ピン716およびセンターリンク714に対して回転可能な一体形成された玉を提供する。玉部材716は、上述のもののような、玉部材の一端または両端から延びる1つまたは複数のスペーサまたはスリーブ部を含むことにより、シャフト部に沿って玉部材を所定位置に保持することを助ける。
【0060】
玉部材720は、ピン716のシャフト部716bの周りにポリマー材料を射出成形することにより形成してもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。玉部材720は、ナイロン材料または充填ナイロン材料(filled nylon material)、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のある硬質ポリマー材料から形成されてもよい。しかしながら、明らかに、本発明の範囲に影響を与えることなく、他の材料を玉部材720のために用いることもできる。
【0061】
任意選択で、玉部材720は、耐久性および低摩擦係数を有する外面を提供し、玉部材720とセンターリンク714との相対運動を高めることもできる。任意選択で、玉部材720は、上述のシャフト部716bと同様に、滑り材料または低摩擦係数材料でコーティングして、構成部品間の摩擦をさらに低減させることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0062】
玉部材720は、このようにして、玉部材720とピン716のシャフト部716bとの摺動係合および/または凹状面714bと玉部材720との摺動係合により、センターリンク714を枢動させる。これにより、チェーン710にさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーン710を搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ピンおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。また、チェーン710はピン716のシャフト716bおよび/またはセンターリンク714に低摩擦係数面を設けることができるため、玉部材720は、センターリンク714とピン716との間の摩擦量を低減することができ、これによりさらに、構成部品の磨耗が低減し、その結果チェーンの保守をさらに減らしてライフサイクルをさらに延ばすことができる。
【0063】
次に図35を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション710’は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含み、これらはピン716’により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0064】
ピン716’は、ピン716と同様のヘッド部716a’および両ヘッド部716a’間に延びるシャフト部716b’を含む。シャフト部716b’は、ほぼ円筒状のシャフト部を含み、その中心領域に切欠セクション(notched section)または狭小セクション716c’を含む。ピン716’の切欠セクション716c’は、シャフト部716b’の周りに円周方向に延びることにより、シャフト部716b’の直径の小さい中心領域を画成することができる。しかしながら、切欠セクション716c’は、任意選択で、シャフト部の中心領域の一部に別個の切欠部または切り込み(indents)または溝を設けてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0065】
上述のピン716と同様に、ピン716’のシャフト部716b’および切欠セクション716c’は、ほぼ平滑な円筒状の外面を提供してもよい。シャフト部716b’は、チェーン710のピン716に関して上述したような、シャフト部の低摩擦係数面を提供するように、コーティングまたは処理されてもよい。低摩係数または滑り面は、成形されたスリーブまたは玉720’(以下で説明する)を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブまたは玉720’の回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、リンク712a、712b、および714は、上述の原理を用いて形成されるような、チェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0066】
ピン716’は、ピン716’のシャフト部716b’の周りにほぼ球状または環状の玉部材720’を含む。玉部材720’は、ピン716’のほぼ平滑なシャフト部716b’上に成形されるプラスチックまたはポリマー部材を含んでもよく、その場合、玉部材720’の内側部分は、ピン716’の切欠セクション716c’内に成形される。玉部材720’は、ピン716’が形成された後にシャフト部716b’の周りに成形され、続いてシャフト部の周りで冷却および硬化される。シャフト部716b’および切欠セクション716c’は、ほぼ平滑で円筒形の外面を有してもよく、これは滑り材料またはコーティングで処理されてよいため、玉部材720’をシャフト部材716b’から外すために、玉部材720’をシャフト部716b’に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができる。次に、玉部材720’は、玉部材720’とピン716’とを相対運動させるように、シャフト部716b’の切欠セクション716c’の周りを自由に回転可能である。切欠セクション716c’は、玉部材720’を所定位置に保持する役割を果たし、ピン716’のシャフト部716b’に沿った玉部材720’の長手方向の移動を制限するか、または実質的に妨げる。
【0067】
玉部材720と同様に、玉部材720’は、ピン716’のシャフト部716b’の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成してもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、玉部材720’は、耐久性があり、かつ玉部材720’とセンターリンク714との相対運動を高めるように低摩擦係数を有する外面を提供してもよい。任意選択で、玉部材720’は、玉部材720に関して上述したような滑りまたは低摩擦係数材料でコーティングされて、構成部品間の摩擦をさらに低減させてもよい。上述のように、センターリンク714の凹状面714bは、玉部材720’と係合するより低い摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0068】
次に図36を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション810は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714を含み、これらはピン816により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。
【0069】
ピン816は、ピン716と同様に両ヘッド部816aと、両ヘッド部816a間に延びるシャフト部816bとを含む。シャフト部816はほぼ円筒状のシャフト部を含み、そのほぼ中心領域に一体形成される球状または環状の玉部材820を含む。上述のピン716と同様に、ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820は、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。シャフト部816bおよび玉部材820は、チェーン710のピン716に関して上述したように、低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理してもよい。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブ817(以下で説明する)をピン816のシャフト部および玉部材から外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトおよび玉に対するスリーブの回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、リンク712a、712b、および714は、上述の原理を用いて形成されるようなチェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0070】
ピン816は、シャフト部816bおよび玉部材820の周りに成形されたポリマーまたはプラスチックのスリーブ部817を含む。シャフト部816bおよび玉部材820の滑り面は、スリーブ部817がシャフト部816b上に成形された後にスリーブ部817がシャフト部816bを外すことができるようにし、シャフト部816bおよび玉部材820の周りでスリーブ部817が回転できるようにする。任意選択で、スリーブ部817は、スリーブ部817をセンターリンク714の凹状面714bと係合させるための、耐久性が高い滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。図36において見られるように、スリーブ部817は、シャフト部816bに沿ってヘッド部816aまで延び、シャフト部816bとサイドリンク712a、712bの開口713aの端壁713eとを係合させるための、耐久性が高く任意選択の滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。
【0071】
玉部材720および720’と同様に、スリーブ部817は、ピン816が形成された後にシャフト部816b上に成形されてもよい。ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820は、ほぼ平滑な面を提供し、かつスリーブ部817が成形される処理済み滑り面を有することができるため、スリーブ部は、成形されたスリーブ部をシャフト部816bおよび玉部材820から外すために、ピン816に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができ、スリーブ部817はシャフト部816bおよび玉部材820の周りをほぼ自由に回転可能となることができる。チェーン810が組み立てられると、スリーブ部817はそれにより、チェーンがその搬送経路にわたって曲がるすなわち屈曲する際にサイドリンク712a、712b、センターリンク714、およびピン816に対して移動可能となることができる。
【0072】
玉部材720と同様に、スリーブ部817は、ピン816のシャフト部816bおよび玉部材820の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成されてもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により形成してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、スリーブ部817は、低摩擦係数を有する外面を提供して(あるいはそのような材料またはコーティングで処理して)、玉部材720に関して上述したようなスリーブ部817とセンターリンク714との相対運動を高めてもよい。上述のように、センターリンク714の凹状面714bは、スリーブ部817と係合するより低摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0073】
次に図37を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション810’は、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’を含み、これらはピン816’により互いに保持される。サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’は、チェーン710に関して上述したサイドリンクおよびセンターリンクとほぼ同様であってよいため、これらの構成部品の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。しかしながら、チェーン810’のセンターリンク714’は、その端部にほぼ直線状であるかまたはわずかに湾曲したピン係合面714b’を有してもよく、凹状のピン係合面を含まない。
【0074】
ピン816’は、ピン716と同様に両ヘッド部816a’と、両ヘッド部816a’間に延びるシャフト部816b’とを含む。シャフト部816’はほぼ円筒状のシャフト部を含み、ほぼ平滑な外面を提供することが好ましい。シャフト部816b’は、チェーン710のピン716に関して上述したように、シャフト部の低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理してもよい。例えば、シャフト部は、構成部品間の摩擦を実質的に低減するために、テフロン(登録商標)製材料、または硬質のダイヤモンドのような材料、あるいは任意の他の低摩擦係数材料または滑り材料で処理されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。低摩擦係数または滑り面は、成形されたスリーブ817’を外すことを容易にし、さらに、チェーンがその搬送経路に適応して移動する際に、ピンのシャフトに対するスリーブの回転または移動を促す。Iピンタイプの締結具またはコネクタとして示されているが、サイドリンク712a、712b、およびセンターリンク714’は、上述の原理を用いて形成されるようなチェーンのリンクを接続する任意の他のタイプのピン、ボルト、またはスタッドにより互いに保持されることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0075】
ピン816’は、シャフト部816b’の周りに成形されたポリマーまたはプラスチックのスリーブ部817’を含む。任意選択で、スリーブ部817’は、スリーブ部817’をセンターリンク714’の面または端部714b’と係合させるための、耐久性が高い滑りまたは低摩擦面を提供してもよい。図37において見られるように、スリーブ部817’は、シャフト部816b’に沿ってヘッド部816a’まで延び、シャフト部816b’とサイドリンク712a、712bの開口713aの端壁713eとを係合させるための、高い耐久性(および任意選択で滑りまたは低摩擦面)を提供するようにしてもよい。上述のように、センターリンク714’の端部は、スリーブ部817’とセンターリンク714’とが係合するためのより低い摩擦係数を有する面を提供するように、同様にまたは他の方法でコーティングまたは処理することもできる。
【0076】
玉部材720および720’ならびにスリーブ部817と同様に、スリーブ部817’は、ピン816’が形成された後にシャフト部816b’上に成形される。ピン816’のシャフト部816b’は、スリーブ部817b’が成形されるほぼ平滑な滑り面を提供するため、スリーブ部は、スリーブ部をシャフト部816b’から外すために、ピン816’に対して捻るかまたは他の方法で移動させることができ、スリーブ部817’はシャフト部816b’の周りをほぼ自由に回転可能となることができる。チェーン810’が組み立てられると、チェーンがその搬送経路にわたって曲がるすなわち屈曲する際に、スリーブ部817’はサイドリンク712a、712b、センターリンク714’、およびピン816’に対して移動可能となる。玉部材720と同様に、スリーブ部817’は、ピン816’のシャフト部816b’の周りにポリマー材料を射出成形することにより形成されてもよく、または任意の他の成形プロセスまたは方法により成形されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0077】
図38に示すように、チェーンまたはチェーンセクション910は、ピン916と、サイドリンク(図示せず)と、センターリンク914とを含んでもよい。センターリンク914は各端に、ピン916のシャフト部916bと係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915を含む。プラスチックインサート915は、センターリンク914のプラスチックインサート915とピン916とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914の端部914bに成形することができる。しかしながら、インサート915は、他の成形手段によりセンターリンク914に成形されてもよく、またはセンターリンク914にスナップ嵌めされるか、あるいは取り外し可能に取り付けまたは添装されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0078】
ピン916は、両ヘッド部916aと、両ヘッド部916a間に延びるシャフト部916bとを含む。シャフト部916は、ほぼ円筒状のシャフトを含んでもよく、ほぼ平滑な外面を提供してもよい。ピン716と同様に、シャフト部916は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0079】
センターリンク914の各端914bは窪み区域914cを含むため、インサート915は概ね窪み区域914c内に成形または保持されることができ、かつ窪み区域914c内にほぼ固定されるかまたは移動不可能となることができる。図示の実施形態では、窪み区域914cは、ほぼ八角形の曲面914eの両端に一対の突起端停止部(raised end stops)914dを提供する。八角形の面914eおよび端停止部914dは、インサート915がセンターリンク914に成形された後に、センターリンク914に対してインサート915が移動するのを実質的に妨げる役割を果たす。八角形の面として図示しているが、明らかに、窪み区域914cに他の形状を設けて、センターリンク914に対してインサート915が移動するのを制限するかまたは実質的に妨げてもよい。
【0080】
インサート915は、ピン916のシャフト部916bと係合するための、耐久性のある低摩擦係数面915aを提供してもよい。低摩擦係数面は、ピン916とセンターリンク914との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減させることができる。インサート915は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料から形成されてもよい。任意選択で、インサート915および/またはピン916のシャフト部916bは、低摩擦係数を提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0081】
円筒状のシャフトピンで実施されるように図示されているが、本発明によるインサートは、上述のタイプの玉部材またはスリーブ等のような、ピンのシャフト部上の玉部材または他のスリーブ等(図38には図示せず)と係合するために、上述のセンターリンク714の凹状面714bと同様の面等の凹状面(同様に図38には図示せず)を含んでもよいことが想定される。インサートは、センターリンクに取り外し可能に取り付けまたは添装されて、センターリンクに交換可能な磨耗面を提供するためにインサートを取り外して交換することを容易にすることができる。
【0082】
次に図39を参照すると、チェーンまたはチェーンセクション910’は、ピン916’と、サイドリンク912’と、センターリンク914’とを含む。センターリンク914’は、各端に、ピン916’のシャフト部916b’と係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915’を含む。プラスチックインサート915’は、センターリンク914’とピン916’とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915’は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914’の端部914b’に成形することができる。しかしながら、インサート915’は、他の成形手段によりセンターリンク914’に成形されてもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。任意選択で、インサート915’は、センターリンク914’の端部914b’にスナップ嵌めされるかまたは他の方法で添装されてもよい交換可能なインサートであってもよい。インサート915’は、以下で説明するピン916’の玉部または玉部材920’の外面とほぼ均一に係合する凹状係合面またはソケット915a’を含んでもよい。
【0083】
ピン916’は、両ヘッド部916a’と、両ヘッド部916a’間に延びるシャフト部916b’とを含む。シャフト部916’は、ほぼ円筒状のシャフトを含み、シャフト部916b’のほぼ中心部にほぼ球状の玉部材または玉部920’を含む。玉部材920’ は、ピン916’のシャフトの一部として形成されてもよく、または上述の原理を利用するなどして、ピン916’に摺動または成形または形成されてもよい。シャフト部916b’および玉部材920’の外面は、センターリンク914’においてインサート915’と係合するほぼ平滑な外面を提供することが好ましい。ピン716と同様に、シャフト部916b’およびピン916’の玉部材920’は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910’とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0084】
上述のセンターリンク914と同様に、センターリンク914’の各端914b’は、窪み区域(914c’で全体的に示す)を提供してもよいため、インサート915’は概ね窪み区域914c’内に成形されることができ、かつ窪み区域内にほぼ固定されるかまたは移動不可能となることができる。窪み区域914c’は、上述の窪み区域914cとほぼ同様であってよいため、窪み区域の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。センターリンク914’の窪み区域914c’は、インサート915’のソケットまたは面915a’の曲率にほぼ対応する凹状合わせ面またはソケットを含んでもよい。この場合、インサート915’は、ソケット区域にほぼ均一な厚さを有するように成形することができる。しかしながら、センターリンク914’は、ほぼ平坦な、または他の方法で形成された、インサート915’の合わせ面を有してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0085】
インサート915’は、ピン916’の玉部材または玉部920’と係合する耐久性がある低摩擦係数面915a’を提供してもよい。低摩擦係数により、ピン916’とセンターリンク914’との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減することができる。面915a’および玉部材920’が対応する形状および曲率を有することにより、チェーン910’の柔軟性が改善され、センターリンク914’の端および/またはピン916’のシャフトの磨耗が低減する。インサート915’は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料からできていてもよい。玉およびソケットの構成により、インサート915’に加わる張力および剪断応力が最小限に抑えられ、インサート915’は主に、プラスチックインサートへ与える損傷が少ない圧縮荷重を受けるようになる。任意選択で、インサート915’および/またはピン916’の玉部材920’は、低摩擦係数を提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0086】
任意選択で、図40に示すように、チェーンまたはチェーンセクション910’’は、ピン916’’と、サイドリンク912’’と、センターリンク914’’とを含んでもよい。センターリンク914’’は各端に、ピン916’’のシャフト部916b’’と係合するプラスチックまたはポリマーインサートまたは部材915’’を含む。プラスチックインサート915’’は、センターリンク914’’とピン916’’とを係合させるために、耐久性のある滑りまたは低摩擦材料面でコーティングまたは処理されてもよく、あるいはそのような面を提供してもよい。インサート915’’は、射出成形プロセス等によるなどして、センターリンク914’’の端部914b’’に成形することができる。しかしながら、インサート915’’は、他の成形手段によりセンターリンク914’’に成形してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。インサート915’’は、以下で述べるのように、ピン916’’のシャフト部916b’’の狭い外面とほぼ均一に係合する凸状係合面915a’’を含んでもよい。
【0087】
ピン916’’は、両ヘッド部916a’’と、両ヘッド部916a’’間に延びるシャフト部916b’’を含む。シャフト部916’’は、ほぼ円筒状のシャフトを含み、シャフト部916b’’のほぼ中心部に狭小部916c’’を含む。狭小部916c’’は、インサート915’’の外向曲面(outwardly curved surface)915a’’とほぼ均一に係合する内向曲面(inwardly curved surface)を含む。シャフト部916b’’の外向曲面916c’’は、センターリンク914’’においてインサート915’’の凸状面915a’’と係合するほぼ平滑な外面を提供することができる。ピン716と同様に、シャフト部916’’は、滑りまたは低摩擦係数面を提供するようにコーティングまたは処理されてもよい。しかしながら、他のピン、ボルト、スタッド等をチェーン910’’とともに実施してもよく、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0088】
センターリンク914’’は、上述のセンターリンク914、914’とほぼ同様であってよいため、センターリンク914’’の詳細な説明は本明細書では繰り返さない。インサート915’’をセンターリンク914’’の各端の概ね窪み区域内に成形することができ、窪み区域内にほぼ固定するか、または移動不可能とすることができると言えば十分であろう。任意選択で、インサートは、センターリンクにスナップ嵌めまたは他の方法で添装されるか、あるいは取り外し可能に取り付けされてもよく、センターリンクに取り外し可能かつ交換可能な磨耗面を提供することができる。
【0089】
インサート915および915’と同様に、インサート915’’は、ピン916’’のシャフト916b’’の狭小湾曲部916c’’と係合する耐久性のある低摩擦係数面915a’’を提供してもよい。低摩擦係数により、ピン916’’とセンターリンク914’’との相対運動を高めることができ、これにより、チェーンが搬送経路に適応して移動する際のセンターリンクおよびピンの磨耗を低減することができる。インサート915’’の外向曲面915a’’およびピン916’’の内向曲面916c’’が対応する形状および曲率を有することにより、チェーン910’’の柔軟性が改善され、センターリンク914’’の端部および/またはピン916’’のシャフトの磨耗が低減する。インサート915’’は、充填ナイロン材料等のナイロン材料、PBT材料、あるいはエンジニアリングプラスチック等のような、耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料からできていてもよい。任意選択で、インサート915’’および/またはピン916’’の曲面916c’’は、低摩擦係数面またはコーティングを提供する材料で処理またはコーティングされて、ピンとセンターリンクとの相対運動を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することにより、チェーンの寿命を延ばすことができる。
【0090】
図33〜図40に関して上述したチェーンセクションの実施形態はそれぞれ、楕円形または矩形のヘッド部を含むが、丸形ヘッドのピンを提供してもよく(上述の本発明のチェーンのいずれかのように)、その場合、ピンの各端に丸形ヘッドを有し、ヘッド間のシャフト部に玉部材および/またはスリーブ等を有することが、さらに想定される。この場合、ヘッド部は、サイドリンクの拡大されたほぼ円形の開口に挿入することができ、サイドリンクの各端に向かって狭小開口まで、外側に摺動させることができる。狭小開口は、円形ヘッドが通ることを実質的に妨げ、それによりセンターリンクおよびピンに対してサイドリンクを保持する。サイドリンクは、狭小開口の周りに丸形ヘッドを受け入れる窪み区域を含むことにより、サイドリンクの拡大開口に向かってサイドリンクに対してピンが移動することを実質的に妨げる。ピンはこれにより、サイドリンクおよびセンターリンクに対して回転することができるとともに、チェーンの柔軟性をより高め、かつ/または磨耗を低減することができる。
【0091】
図33〜図40のピンにより連結されるものとして示されているが、本発明のチェーンのリンケージは、他のピン、ボルト、スタッド、ハーフボルト/ハーフピン型のピンまたは締結具、あるいは任意の他の締結または連結手段により別の方法で連結して、サイドリンクとセンターリンクとを互いに保持することができることが、さらに想定される。締結または連結手段は、上述の原理を用いて形成することができる。
【0092】
上述のピンおよびチェーンリンクの実施形態はいずれも、任意の適当な材料を含む磨耗面構成部品を有してもよいことが想定される。例えば、磨耗面構成部品は、鋼または他の金属材料、青銅または他のより軟質な金属材料、エンジニアリングプラスチックまたは他の強度および耐久性のあるポリマー材料等のポリマー材料、セラミック材料、焼結材料、テフロン(登録商標)材料、フルオロカーボン材料等を含んでもよい。また、上述のピンおよびチェーンリンクの実施形態のいずれも、ピンおよび/またはチェーンリンクの磨耗面に(at or on)低摩擦係数または滑りコーティングを含んでよいことが想定される。したがって、コーティングは、磨耗面間の相対運動または回転または摺動を高めることにより、チェーンセクションの性能を高め、かつチェーンセクションの寿命を延ばすことができる。コーティングは、テフロン(登録商標)タイプコーティングまたはダイヤモンドライクコーティング等、あるいはこのような用途に適した任意の他の低摩擦係数または滑りコーティング等を含むことができる。
【0093】
したがって、本発明は、ピンまたはチェーンリンクの金属またはプラスチック(あるいは他の材料)の磨耗面にダイヤモンドライクコーティング(DLC)を施してもよい。磨耗面構成部品は、ほぼ平滑な磨耗面を画成して、チェーンセクションの対応する磨耗面との摺動係合または移動係合を高めることができる。金属磨耗面構成部品(複数可)は、構成部品の研磨、振動等(セラミックチップまたは鋼チップ等の研磨等)のような任意の既知の手段によりほぼ平滑に形成することができ、一方、プラスチック磨耗面構成部品(複数可)は所望の形態に成形し、かつ/または所望の面平滑性を得るように研磨または振動させることができ、これは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0094】
磨耗面(複数可)のダイヤモンドライクコーティングは、チェーンセクションに高い性能および長い寿命を提供する。このようなダイヤモンドライクコーティングは、用途によっては点荷重および衝撃に敏感な場合があるため、本発明の磨耗面構成部品は、玉部材および対応して形成されるソケットを備えて、このような点荷重状態を低減するかまたは実質的になくすことができる。このような玉およびソケットの構成は、接触面積をより広い面積に広げることにより、このような衝撃またはインパクトまたは点荷重の問題を減らす。
【0095】
したがって、本発明は、玉部材に沿ってセンターリンクを摺動係合させること、およびピンのシャフトの周りでスリーブまたは玉部材を摺動係合させることによりセンターリンクの枢動を可能にする、スリーブおよび/または玉部材、ならびにピンまたはボルトまたはスタッドを提供する。これにより、チェーンにさらなる柔軟性が与えられ、チェーンのリンクまたは継手が結合されることなく、チェーンを搬送経路のより急な垂直カーブに適応させることができる。玉部材およびそれに対応して形成される凹状面は、このようにして、ほぼ一定の表面積にわたって負荷を分配することができるため、従来のチェーンが垂直方向の上り傾斜および下り傾斜に応じて間接運動する場合に通常生じる応力集中が低減するか、または実質的になくなる。玉部材と凹状面との係合は、従来のチェーンよりも広い表面積にわたってチェーンリンクとピンまたはボルトまたはスタッドとの間に負荷を分配するよう機能することもできる。これにより、ピンおよびチェーンリンクの磨耗が低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。
【0096】
玉部材、および/またはピンの玉部材またはシャフトを覆うスリーブ、および/またはセンターリンクのインサートは、強度が高く耐久性のあるポリマーまたはプラスチック材料を含んでもよい。選択される材料は、チェーンが使用時に負荷がかかった状態で様々なカーブを進んでいる際の玉部材および/または凹状面の磨耗を最小限に抑えることができる、耐久性の高い材料を含んでもよい。材料は、低摩擦係数面を提供するようにも選択または処理またはコーティングされて、構成部品の互いに対する可動性を高め、かつ構成部品の磨耗を低減することができる。任意選択で、接触面の1つまたは複数は、接触する構成部品間の低摩擦係数面を提供することができる材料で処理またはコーティングされて、チェーンの磨耗をさらに低減することができる。玉部材、スリーブ、インサート、または他の磨耗面構成部品は、任意選択で、鋼等または青銅あるいは他のより軟質な金属(metallic)等のような金属材料を含んでもよく、各磨耗面間の低摩擦係合を高めるようにコーティングまたは処理されてもよい。本発明の玉部材、ピンおよび/またはセンターリンクは低摩擦面を含むことができるため、本発明は、センターリンクとピンとの間の、および/またはサイドリンクとピンとの間の摩擦量を減らして、これによりさらに構成部品の磨耗を低減し、その結果チェーンの保守を減らしてライフサイクルを延ばすことができる。本発明の低摩擦面は、使用中にチェーンの継手を潤滑させる(lubrication:注油する)必要を実質的に低減するかまたはなくすことができることが想定される。したがって、本発明は、プラスチック構成部品を有する無潤滑チェーンを提供することができる。
【0097】
本発明は、ピンに形成または成形された単一プラスチック構成部品を提供して、チェーンの性能を高めることもできる。成形された玉部材またはスリーブは、ピンから外すことができるため、ピンと玉部材またはスリーブとの相対運動を可能にするとともに、玉またはスリーブとチェーンリンクとの相対運動も可能にする。成形された玉またはスリーブは、このように、チェーンの金属構成部品間の係合構成部品を提供する一体形成された耐久部材である。任意選択で、金属またはプラスチックの玉またはスリーブは、スタッドまたはボルト型のピンに摺動またはプレスされてもよく、そこから取り外し可能であってもよい。
【0098】
したがって、本発明は、チェーンリンクがチェーン経路における急な垂直方向の変化に適応して移動することを容易にするよう柔軟性が改善されたチェーンを提供する。本発明の玉部材または狭小シャフト部は、チェーンが搬送経路に適応して移動する際に、センターリンクとサイドリンクとの間で枢動することができる。より詳細には、玉部材または狭小シャフト部は、センターリンクがピンの縦軸を中心として従来の方法で枢動することを可能にするとともに、センターリンクがピンに対して(玉部材を中心としてまたは湾曲したシャフト部内で等)、サイドリンクに対する上方または下方の枢動等、他の方向にも枢動できるようにする。本発明の玉部材/湾曲した係合面およびピンの組み合わせは、このようにして、チェーン継手で結合または過度の磨耗を生じさせずに、チェーンが搬送経路に沿った上り傾斜に適応することを可能にする。また、本発明の玉およびソケット型接続により、チェーンは両方の軸を中心として曲がることができ、これによりさらに、チェーンがトラックの十分な長さにわたって曲がりながらまたは螺旋状に進む(twist or corkscrew)ことを可能にすることができる。このように、本発明は、製造および組み立てが容易な、より高い柔軟性およびより長いライフサイクルを有するチェーンを提供する。
【0099】
具体的に説明した実施形態の変更および修正を本発明の原理から逸脱せずに行うことができ、本発明は、特許法の原則に従って解釈されるように、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【0100】
本発明は、添付の請求項だけでなく、下記の項目に記載の概念も、その保護の対象とすることができる。
本発明の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションを画成するように、チェーンリンクを互いに接続するピンは、チェーンセクションの少なくとも1つのリンクと係合する両端部と、両端部間に延びるシャフト部と、シャフト部の周りに少なくとも部分的に沿ったスリーブ部とを備える。スリーブ部は、両端部がチェーンセクションの上記少なくとも1つのリンクと係合すると、チェーンセクションの別のリンクと係合するようにシャフト部に配置される。スリーブ部はシャフト部に対して移動可能である。
【0101】
一形態では、スリーブ部は、ほぼ球状または環状の部材を備え、シャフト部に沿ってほぼ中央に配置されてもよい。スリーブ部は、環状部材の一端または両端にスペーサ部を含んでもよい。ピンのシャフト部は、ほぼ円筒状であってもよく、球状部または玉部または丸形部が形成されていてもよい。別の形態では、シャフト部はほぼ円筒状のシャフト部を備えてもよく、スリーブ部はほぼ円筒状のスリーブ部を備えてもよい。
【0102】
スリーブ部はポリマー材料を含んでもよい。スリーブ部は、ピンのシャフト部上に成形され、ピンはIピンまたはボルト式ピン等であってもよく、スリーブ部は、締結具がピンの締結具端から取り外されると、ボルト式ピンまたはスタッド型ピンのシャフト部の上に摺動されるか、または取り外し可能に位置することができる。
【0103】
任意選択で、スリーブ部は、シャフト部と摺動可能に係合するスリーブ部の内面に低摩擦係数コーティング(low coefficient of friction coating)を含んでもよく、またはスリーブ部は、他のチェーンリンクと係合するスリーブ部の外面に低摩擦係数コーティングを含んでもよい。
【0104】
本発明の別の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、第1のチェーンリンクと、その両端にアパーチャが開いている少なくとも1つの第2のチェーンリンクと、ピンとを備える。第2のチェーンリンクは、アパーチャの少なくとも一部を囲む窪み区域(recessed area)を備える。ピンは、第2のチェーンリンクのアパーチャのそれぞれ1つと第1のチェーンリンクの開口とにピンを挿入することにより、第1のチェーンリンクを第2のチェーンリンクに接続する。ピンは、少なくとも1つのヘッド部とシャフト部とを有し、ヘッド部は合わせ面を画成する。窪み区域は、ピンのヘッド部の合わせ面を回転可能に受け入れる。合わせ面は、窪み区域に対応して形成されて、窪み区域との相対回転を促す。合わせ面は、第2のチェーンリンクの窪み区域と係合し、チェーンセクションが搬送システムに沿って製品を搬送する際に第2のチェーンリンクに対して回転可能である。
【0105】
アパーチャは、窪み区域に隣接した狭小領域(narrowed region)と、狭小領域に隣接した大直径領域(larger diameter region)とを有するスロット開口とを含むことができる。ピンのヘッド部は大直径領域に挿入可能であり、シャフト部は、狭小領域を通って窪み区域まで摺動可能であり、それによりヘッド部の合わせ面が窪み区域と係合してアパーチャ内にピンが保持される。
【0106】
本発明の別の態様によると、チェーンセクションのピンの磨耗面を調整する方法は、その両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクのアパーチャにピンを挿入することによりチェーンリンクを互いに接続するピンとを有するチェーンセクションを設けることを含む。ピンは、両端部と両端部間に延びるシャフト部とを備える。シャフト部は、チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成する。ピンは、チェーンリンクに対して少なくとも2つの位置のうちの1つに回転不可能に位置する。ピンは、少なくとも2つの位置のそれぞれにある場合はチェーンリンクに対してほぼ回転不可能である。ピンは、チェーンリンクに対する上記少なくとも2つの位置のうちの別の1つに選択的に回転されて、チェーンリンクに対してシャフト部の磨耗面を調整する。
【0107】
ピンの磨耗度は監視されてもよく、ピンは、上記少なくとも2つの位置に対応するピンの磨耗面の磨耗を制限または制御するために選択的に回転されてもよい。ピンは、上記少なくとも2つの位置のうちのどの位置が選択さて使用されているかを示すために印をつけてもよい。
【0108】
本発明のさらに別の形態によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。チェーンリンクの少なくとも1つはピン係合領域を画成する。ピン係合領域は第1の磨耗面を画成する。ピンは、両端部とシャフト部とを有し、第2の磨耗面を画成する。第1および第2の磨耗面の少なくとも1つはポリマー材料を含む。
【0109】
ピン係合領域およびピンの少なくとも1つは、低摩擦係数コーティングを有する。コーティングは、第1および第2の磨耗面の少なくとも一方にダイヤモンドライクコーティングを含んでもよい。
【0110】
本発明の別の態様によると、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションは、少なくとも2つのチェーンリンクと、チェーンリンクを互いに接続するピンとを備える。チェーンリンクの少なくとも1つはピン係合領域を画成する。ピン係合領域は第1の磨耗面を画成する。ピンは、両端部とシャフト部とを有し、第2の磨耗面を画成する。第1および第2の磨耗面の少なくとも一方は交換可能な磨耗面を備え、それにより、交換可能な磨耗面は、交換可能な磨耗面の交換を容易にするように、上記少なくとも1つのチェーンリンクから取り外し可能であり、かつ/またはピンから取り外し可能である。
【0111】
交換可能な磨耗面はポリマー材料を含んでもよい。交換可能な磨耗面は、ピンのシャフト部の周りに位置付け可能なスリーブを備えてもよい。スリーブは環状部材を備えてもよい。交換可能な磨耗面は、上記少なくとも1つのチェーンリンクの端部におけるインサートを備えてもよく、それによりインサートはピンのシャフト部と係合する。ピン係合領域および/またはピンは、第1および/または第2の磨耗面においてテフロン(登録商標)コーティングまたはダイヤモンドライクコーティング(diamond like coating)等の低摩擦係数コーティングを有してもよい。
【0112】
本発明の別の態様によると、チェーンセクションの少なくとも2つのチェーンリンクを接続および保持するピンは、シャフト部と、シャフト部の少なくとも一部の周りに取り外し可能に位置する交換可能な磨耗面部材とを備える。チェーンセクションは、搬送システムに沿って製品を搬送するよう移動可能である。交換可能な磨耗面は、交換可能な磨耗面の交換を容易にするようにピンから取り外し可能である。
【0113】
ピンは、チェーンリンクにおいてピンを保持するように締結具を受け入れる少なくとも1つの締結部を、ピンの少なくとも一端に備えることができる。交換可能な磨耗面は、締結具が締結部から取り外されると、締結部において交換可能な磨耗面をシャフト部から摺動着脱する(sliding the replaceable wear surface off from and onto the shaft portion)することにより、取り外し可能かつ交換可能であってもよい。交換可能な磨耗面は、環状部材またはほぼ円筒状の部材等を備えてもよい。交換可能な磨耗面は、金属材料またはポリマー材料を含んでもよく、低摩擦係数材料またはコーティングでコーティングされてもよい。
【0114】
本発明のさらに別の形態によると、チェーン用のIピンは、両ヘッド部とシャフト部とを含む。単一のポリマースリーブが、Iピンのシャフト部の少なくとも一部の周りに移動可能に位置する。ポリマースリーブは、シャフト部の周りを回転または摺動することができる。
【0115】
スリーブは、シャフト部上に成形されて、成形された後に外す(broken free)ことができ、したがって、Iピンのシャフト部の周りをほぼ自由に回転可能であってよい。スリーブは、Iピンのシャフト部の単一ポリマー構成部品を、チェーンのセンターリンクおよび/またはサイドリンクと係合させる。スリーブは、耐久性のあるポリマー材料で成形されてもよい。
【0116】
任意選択で、Iピンのシャフト部は、シャフト部の周りでスリーブを緩めるかまたは外すことを容易にする平滑外面を有してもよい。低摩擦係数面または材料を、スリーブとピンとの間、および/またはスリーブとチェーンリンクとの間に設けてもよい。
【0117】
一形態では、ポリマースリーブは、ほぼ球状または環状の玉部材をピンのシャフト部に設けるように、ほぼ球状に成形されてもよい。別の形態では、ピンのシャフト部はスリーブがピンの玉部材の上に成形されるように玉部材を含んでもよい。別の形態では、スリーブは、ピンのほぼ円筒状のシャフト部の上に成形されたほぼ円筒状のスリーブであってもよい。
【0118】
本発明の別の態様によると、Iピンを形成する方法は、シャフト部を有するピンを形成すること、およびIピンのシャフト部上にポリマースリーブ部を成形することを含む。スリーブ部は、ほぼ円筒状のスリーブ部であってもよく、ピンのシャフト部上に成形されたほぼ球状の玉部材であってもよい。スリーブ部は、ピンのシャフト部から外すことができるため、スリーブ部はシャフト部に移動可能または摺動可能に位置する。
【0119】
したがって、本発明は、チェーンセクションの柔軟性および磨耗寿命を改善することができるピン部材またはピンを提供する。ピンは、ピンのシャフト部の周りに移動可能なスリーブ部を有することにより、ピンおよびチェーンセクションのチェーンリンクの摩擦および磨耗が低減されてもよい。ピンは、ピンのシャフト部に、またはシャフト部上に、玉部材または環状部材を含んでもよく、センターリンクは、玉部材と係合する凹状係合面を含んで、チェーンセクションの柔軟性を高めてもよい。本発明は、チェーンが搬送経路に沿って進んで曲がる際にチェーンリンク内で回転する回転可能なピンを提供することができる。任意選択で、チェーンは、ピンの磨耗を制御し、ピンのライフサイクルを延ばすように、チェーンリンクに対する2つ以上のほぼ固定された向きの間で選択的に回転またはダイヤル回転(dialed)させることができる。任意選択で、ピンまたはチェーンリンクの1つまたは複数は、ポリマー材料を含む磨耗面を有してもよく、磨耗面はピンとチェーンリンクとの間の摩擦を低減することができる。ポリマー磨耗面は、センターリンクの一端におけるポリマーインサートであってもよく、またはピンのシャフト部の周りに成形されるかまたは位置するポリマースリーブ部であってもよい。ピンは、Iピン型のチェーンピン、ボルト型のチェーンピン、または両ねじ(double ended)スタッド型のチェーンピンを含んでもよく、シャフト部にほぼ球状の玉部材または環状部材を含んで、チェーンセクションの柔軟性を高めてもよい。任意選択で、ピンおよび/またはチェーンリンクは、ピンおよび/またはチェーンリンク全体を交換する必要なく1つまたは複数の磨耗面の交換を容易にするように、交換可能な磨耗面部材を有してもよい。
【符号の説明】
【0120】
510 チェーンセクション、512 サイドリンク、513b 開口、513c 凹部、514 センターリンク、514b 凹状面、516 ピン、516c ヘッド部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションであって、
両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、
前記チェーンリンクの前記アパーチャに挿入されることにより、前記チェーンリンクを互いに接続するピンであって、該ピンは両端部と該両端部間に延びるシャフト部とを有し、該シャフト部は前記チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成し、該ピンは、前記チェーンリンクに対して前記シャフト部の前記磨耗面を調整するように、前記チェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間で選択的に調整可能であり、前記少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合は前記チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である、ピンと
を備える、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項2】
前記ピンの前記端部の少なくとも1つは、前記チェーンリンクの少なくとも1つの前記アパーチャの対応する壁部と選択的に係合する少なくとも3つの係合部を画成し、それにより、前記ピンは、前記少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合は前記チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である、請求項1に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項3】
前記少なくとも3つの係合部は、少なくとも3つのほぼ等サイズの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項4】
前記少なくとも3つの係合部は3つの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項5】
前記少なくとも3つの係合部は6つの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項6】
前記磨耗面は、前記ピンの前記端部の前記少なくとも3つの係合部のそれぞれ1つに対応する、少なくとも3つの磨耗面部を含み、前記ピンは、前記チェーンリンクの前記他方に対して前記磨耗面部を調整するように選択的に回転可能であり、該磨耗面部の1つを前記チェーンリンクの前記他方と選択的に係合させる、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項7】
前記アパーチャの少なくとも1つの壁部は、前記係合部の少なくとも1つと係合して、前記チェーンリンクの前記少なくとも1つに対する前記ピンの回転を制限する、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項1】
搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクションであって、
両端にアパーチャが開いている少なくとも2つのチェーンリンクと、
前記チェーンリンクの前記アパーチャに挿入されることにより、前記チェーンリンクを互いに接続するピンであって、該ピンは両端部と該両端部間に延びるシャフト部とを有し、該シャフト部は前記チェーンリンクの少なくとも1つと係合する磨耗面を画成し、該ピンは、前記チェーンリンクに対して前記シャフト部の前記磨耗面を調整するように、前記チェーンリンクに対して少なくとも3つの位置間で選択的に調整可能であり、前記少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合は前記チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である、ピンと
を備える、搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項2】
前記ピンの前記端部の少なくとも1つは、前記チェーンリンクの少なくとも1つの前記アパーチャの対応する壁部と選択的に係合する少なくとも3つの係合部を画成し、それにより、前記ピンは、前記少なくとも3つの位置のそれぞれにある場合は前記チェーンリンクに対してほぼ回転不可能である、請求項1に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項3】
前記少なくとも3つの係合部は、少なくとも3つのほぼ等サイズの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項4】
前記少なくとも3つの係合部は3つの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項5】
前記少なくとも3つの係合部は6つの係合部を含む、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項6】
前記磨耗面は、前記ピンの前記端部の前記少なくとも3つの係合部のそれぞれ1つに対応する、少なくとも3つの磨耗面部を含み、前記ピンは、前記チェーンリンクの前記他方に対して前記磨耗面部を調整するように選択的に回転可能であり、該磨耗面部の1つを前記チェーンリンクの前記他方と選択的に係合させる、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【請求項7】
前記アパーチャの少なくとも1つの壁部は、前記係合部の少なくとも1つと係合して、前記チェーンリンクの前記少なくとも1つに対する前記ピンの回転を制限する、請求項2に記載の搬送システムに沿って製品を搬送するチェーンセクション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2009−215081(P2009−215081A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122330(P2009−122330)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2003−574540(P2003−574540)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(504341612)フロスト・リンクス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】FROST LINKS, INC.
【住所又は居所原語表記】2900 Northridge Drive, N.W., Grand Rapids, MI 49544, United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2003−574540(P2003−574540)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(504341612)フロスト・リンクス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】FROST LINKS, INC.
【住所又は居所原語表記】2900 Northridge Drive, N.W., Grand Rapids, MI 49544, United States of America
【Fターム(参考)】
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