説明

コンベヤベルトおよびコンベヤベルトの製造方法

【課題】加硫の影響を受けることなく、コンベヤベルト内に、モニタリング装置を収納することができるコンベヤベルトを提供することにある。
【解決手段】無端状に延在するゴム弾性体からなり、コンベヤベルトの外周面および内周面の少なくとも一方に開口した収納部3を具えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトに関するものであり、特には、コンベヤベルトの性状を検出するためのICタグ等のモニタリング装置をコンベヤベルト内に収納する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンベヤベルトの性状を検出するためのモニタリング装置を収納する方法としては、例えば、特許文献1には、電子機器をベルト長さ方向に複数に分割した保護ケースに収納して未加硫のコンベヤベルトに埋め込み、これにより前記電子機器の周囲に空間を形成し、その後前記未加硫のコンベヤベルトを加硫することで、コンベヤベルトが受ける圧力や衝撃荷重等から電子機器を保護し、安定したモニタリングを行うことができる技術が提案されている。
【0003】
しかるに、このような技術では、未加硫のコンベヤベルト内にモニタリング装置(電子機器)を埋設するため、加硫の際に熱等でモニタリング装置に障害が発生するおそれがあり、また、保護ケースの製造等のコストは否めなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−7078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、加硫の影響を受けることなく、コンベヤベルト内に、モニタリング装置を収納することができるコンベヤベルトおよび、そのコンベヤベルトの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかるコンベヤベルトは、無端状に延在するゴム弾性体からなるものであって、コンベヤベルトの外周面および内周面の少なくとも一方に開口した収納部を具えてなることを特徴とするものである。
【0007】
このようなコンベヤベルトにおいてより好ましくは、前記収納部には、複数の開口部を設ける。
【0008】
また、このようなコンベヤベルトを加硫成形するに当たり、未加硫ゴムの表面に収納部形成部材を配置し、加硫後、収納部形成部材を取り除くことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンベヤベルトは、コンベヤベルトの外周面および内周面の少なくとも一方に開口した収納部を具えることで、コンベヤベルト内に保護ケース等を設けることなく、モニタリング装置を収納する空間状の収納部を容易に製造することができる。その収納部にはICタグ等を挿入して、コンベヤベルトの性状を測定することができる。
【0010】
また、外周面や内周面に収納部を設けることで、「強力」等を表示する表示媒体の近傍に収納部を配置することができ、モニタリング装置の収納場所を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明のコンベヤベルトの一の実施形態を示す平面図あり、(b)はそのコンベヤベルトの幅方向断面図である。
【図2】本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す幅方向断面図である。
【図3】本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す幅方向断面図である。
【図4】本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す平面図である。
【図5】(a)は本発明のコンベヤベルトの製造方法の未加硫前の一例を示す幅方向断面図であり、(b)は(a)の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明のコンベヤベルトを詳細に説明する。
図1(a)は本発明のコンベヤベルトの一の実施形態を示す平面図であり、(b)はそのコンベヤベルトの幅方向断面図である。
【0013】
図中1は、無端状に延在するゴム弾性体からなるコンベヤベルトの一部を示す。
コンベヤベルト1内には、例えばベルト周方向に対して傾斜した複数層の、有機繊維からなる補強プライ2が埋設される。
【0014】
このようなコンベヤベルト1では、図示しない駆動プーリと遊動プーリとの間に無端状に掛け回されて、駆動プーリが回転駆動して稼動することにより、コンベヤベルト上に投入された搬送物を、コンベヤベルトの外周面で保持して搬送する。
【0015】
そしてこのコンベヤベルト1では、コンベヤベルトの外周面および内周面の少なくとも一方、図では外周面に開口した収納部3を、表示媒体4の近傍に具える。
【0016】
この収納部3は、好ましくは、収納部3の開口部3aが狭く内部が広くなっており、平面視の形状は四角板状に限らず、円盤状などの形状とすることができる。
【0017】
このような収納部3には、例えば製造管理や流通経路または、コンベヤベルトの使用日や使用実績等の使用履歴管理を記録したICタグ5のような情報チップのみならず、圧力センサー等のセンサーを収納することができる。
【0018】
ICタグ5を収納部3に固着する方法として、ICタグ5に接着剤を塗布して収納部3に収納したり、ICタグ5を収納した後に収納部3の開口部3aを接着剤で塞ぐことができる。また、ICタグ5を、コンベヤベルトの収納部3から適時に取り出して、ICタグ5の情報を読み取ることや、ICタグ5を新しいものと交換することができる。
【0019】
図2は、本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す幅方向断面図である。
この実施形態では、収納部3をコンベヤベルトの内周面に設け、この構成とすることで、表示媒体をベルト内周面に設ける場合でも、収納部を表示媒体の近傍に配置し、位置特定しやすい。
【0020】
図3は、本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す幅方向断面図である。
この実施形態では、コンベヤベルト1内には、スチールコード6が周方向に沿って平行に埋設され、図ではコンベヤベルトの外周面に開口した収納部3を具える。
【0021】
図4は、本発明のコンベヤベルトの他の実施形態を示す幅方向断面図である。
この実施形態では、収納部3に、複数の、図では二つの開口部3aを設け、この構成では、収納部3からICタグ5を容易に取り出すことや、収納部3内を容易に掃除することができる。
【0022】
次に、図面を参照しながらコンベヤベルトの製造方法を詳細に説明する。
図5(a)は本発明のコンベヤベルトの製造方法の未加硫前の一例を示す図であり、(b)は(a)の一部の側面図である。
未加硫のゴム弾性体11の、図では外周面(上面)に、未加硫ゴム11と接着しないL型の収納部形成部材13とその上に未加硫ゴムをあらかじめ配置し、加硫後、収納部形成部材13を取り除くことで、コンベヤベルトの外周面に収納部を製造することができる。
この方法では、加硫プレスで圧力をかけたときに、収納部形成部材13がゴム弾性体内に水平に埋めることができ、コンベヤベルトの表面に容易に収納部を製造することができる。
【0023】
収納部形成部材13は、L字型のみならず、U字型、凹型、凸型等の形態で形成することができ、好ましくは、加硫後、収納部形成部材13を取り除く摘み部分を設け、特に好ましくは、L字型の角を面取りした形態であり、収納部形成部材13を容易に加硫後取り除くことができる。
【0024】
また、収納部形成部材13としては、好ましくは、加硫温度に耐えられるよう170℃で溶融しないポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維フィルム状の柔軟性が高い材料であり、より好ましくは170℃で軟化し熱変形を起こさない材料とし、これらは加硫後収納部形成部材13をゴム弾性体から取り出しやすく、再利用も可能になる。
【符号の説明】
【0025】
1 コンベヤベルト
2 補強プライ
3 収納部
3a 開口部
4 表示媒体
5 ICタグ
6 スチールコード
11 未加硫のゴム弾性体
13 収納部形成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に延在するゴム弾性体からなるコンベヤベルトにおいて、
コンベヤベルトの外周面および内周面の少なくとも一方に開口した収納部を具えてなることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
前記収納部は、複数の開口部を設けてなる請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンベヤベルトを加硫成形するに当たり、
未加硫ゴムの表面に収納部形成部材を配置し、加硫後、収納部形成部材を取り除くコンベヤベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105400(P2011−105400A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259101(P2009−259101)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】