説明

コンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法及び電子機器用保護ケース

【課題】コンベヤベルトが受ける圧力や衝撃荷重等から電子機器を保護し、安定したモニタリングを行うことができるコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法及び電子機器用保護ケースを提供する。
【解決手段】電子機器AをベルトBの長さ方向に複数に分割した保護ケース1に収納して未加硫のコンベヤベルトBに埋め込み、これにより電子機器Aの周囲に空間1cを形成し、その後未加硫のベルトBを加硫する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグ(ICタグ、RFIDタグ、無線タグ、電子タグ、トランスポンダ等とも呼称される)のような情報チップやセンサ等をコンベヤベルトに埋設して、コンベヤベルトの亀裂、異常な伸びや温度等を検出することにより、切断等の事故の兆候を検知するコンベヤベルトのモニタリングシステムに関連するものであり、詳しくは、コンベヤベルトに埋設する情報チップやセンサ等の電子機器の保護ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤベルトの表層部に、トランスポンダ及び温度センサや圧力センサをコンベヤベルトの長さ方向に所定の間隔で連続的に埋設し、コンベヤベルトから所定距離を離間させて配置した送受信装置からトランスポンダ及び温度センサや圧力センサに非接触的にエネルギーを供給して、トランスポンダが発信した自己の識別情報や温度センサ及び圧力センサの計測値を前記送受信装置で受信するコンベヤベルトのモニタリングシステムが公知となっている。送受信装置で受信した計測値はデータ処理装置に送られて解析され、その解析結果に応じた信号が制御機構に送信されてコンベヤベルトの稼動と停止とを制御している。
【0003】
ちなみに、コンベヤベルトに異常が発生する場合、通常、その周辺で温度や圧力が上昇する現象が生じる。したがって、送受信装置で受信した計測値が異常な値を示したときは、定常的な値と比較してコンベヤベルトに異常が発生しているかどうかをデータ処理装置において判断する。そして、温度と圧力が一定の閾値を超えている場合は、制御機構に停止の信号を送信してコンベヤベルトを停止させる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−52039号公報(第5〜7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トランスポンダのような電子機器をコンベヤベルトに埋設しているとプーリを通過する度に、コンベヤベルトの厚み方向に生じる周長差やプーリから受ける圧力によって電子機器に変形が生じる。また、運搬物がコンベヤベルトに積み込まれる際に、運搬物による衝撃が電子機器に加わる場合もある。このような外力を受けることによって電子機器が短期間で破損したり故障したりし、安定したモニタリングが行えない問題がある。
【0005】
そこで本発明は、コンベヤベルトが受ける圧力や衝撃荷重等から電子機器を保護し、安定したモニタリングを行うことができるコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法及び電子機器用保護ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載しているコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、電子機器をコンベヤベルトに埋設する方法であって、前記電子機器をベルト長さ方向に複数に分割した保護ケースに収納して未加硫のコンベヤベルトに埋め込み、これにより前記電子機器の周囲に空間を形成し、その後前記未加硫のコンベヤベルトを加硫することを特徴としている。
【0007】
この請求項1のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法によれば、前記空間によって前記コンベヤベルトが変形した際の前記電子機器への影響を少なくすることができるとともに、前記コンベヤベルトにかかる圧力や衝撃等の荷重が前記電子機器に加わらないようにすることができる。
【0008】
そして、前記保護ケースは前記ベルト長さ方向において複数に分割されているため、前記コンベヤベルトがプーリを通過する際、前記コンベヤベルトの曲がりに追随して湾曲しながら前記空間を保持することができ、且つ、プーリ通過の際に生じる前記保護ケースと前記コンベヤベルトとの間のせん断応力を緩和することができる。
【0009】
なお、上記のように前記保護ケースを複数に分割していると、前記コンベヤベルトが搬送面側又は非搬送面側のいずれに曲げられる場合にも対応可能になる。
【0010】
請求項2に記載しているコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、電子機器をコンベヤベルトに埋設する方法であって、ベルト幅方向と平行な複数の切込みを外周面に沿って前記コンベヤベルトの非搬送面側の一部を残して形成した保護ケースに前記電子機器を収納し、前記保護ケースを未加硫のコンベヤベルトに埋め込むことで前記電子機器の周囲に空間を形成し、その後未加硫の前記コンベヤベルトを加硫することを特徴としている。
【0011】
この請求項2のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法によれば、前記空間によって前記コンベヤベルトが変形した際の前記電子機器への影響を少なくすることができるとともに、前記コンベヤベルトにかかる圧力や衝撃等の荷重が前記電子機器に加わらないようにすることができる。
【0012】
そして、前記保護ケースには前記ベルト幅方向と平行な複数の前記切込みを外周面に沿って形成しているため、前記コンベヤベルトがプーリを通過する際、前記コンベヤベルトの曲がりに追随して湾曲しながら前記空間を保持することができ、且つ、プーリ通過の際に生じる前記保護ケースと前記コンベヤベルトとの間のせん断応力を緩和することができる。また、前記切込みは前記コンベヤベルトの非搬送面側の一部を残して形成しているため、未加硫の前記コンベヤベルトを加硫する際、前記保護ケースがバラバラになるおそれがない。
【0013】
請求項3に記載しているコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、前記保護ケース内に緩衝材を設けることを特徴としている。この請求項3のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法によれば、前記緩衝材を設けることによって前記電子機器が前記保護ケース内面にぶつかって破損することを防止でき、且つ、振動や前記コンベヤベルトが受けた衝撃等を緩和することができる。
【0014】
請求項4に記載しているコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、保護ケースを、コンベヤベルトの耳部であってベルト厚み方向における心体層の中心に埋設することを特徴としている。この請求項4のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法によれば、前記ベルト厚み方向において引張荷重と圧縮荷重とが相殺されるニュートラルライン上に前記保護ケースが位置するため、プーリ通過時の前記保護ケースの変形量を少なくすることができる。
【0015】
請求項5に記載している電子機器用保護ケースは、電子機器を収納してコンベヤベルトに埋設する保護ケースであり、内側を前記電子機器の収納部にし、同収納部を前記電子機器と前記保護ケースの内面との間に空間を形成することができる大きさにし、ベルト長さ方向に複数に分割することを特徴としている。
【0016】
この請求項5の電子機器用保護ケースによれば、前記コンベヤベルトに埋設した前記電子機器の周囲に前記空間を形成することができるため、前記コンベヤベルトの曲がりによる影響をなくすことができ、且つ、前記コンベヤベルトが受ける圧力や衝撃荷重等を緩和することができる。
【0017】
また、前記保護ケースを前記ベルト長さ方向に複数に分割することで、前記コンベヤベルトの曲がりに追随して湾曲しながら前記空間を保持することができ、且つ、プーリ通過の際に生じる前記保護ケースと前記コンベヤベルトとの間のせん断応力を緩和することができる。また、前記保護ケースを上記のように分割していると、前記コンベヤベルトが搬送面側又は非搬送面側のいずれに曲げられた場合でも対応することができる。
【0018】
請求項6に記載している電子機器用保護ケースは、電子機器を収納してコンベヤベルトに埋設する保護ケースであり、内側を前記電子機器の収納部とし、同収納部を前記電子機器と前記保護ケースの内面との間に空間を形成することができる大きさにし、ベルト幅方向と平行な複数の切込みを外周面に沿って前記コンベヤベルトの非搬送面側の一部を残して形成することを特徴としている。
【0019】
この請求項6の電子機器用保護ケースによれば、前記コンベヤベルトに埋設した前記電子機器の周囲に前記空間を形成することができるため、前記コンベヤベルトの曲がりによる影響をなくすことができ、且つ、前記コンベヤベルトが受ける圧力や衝撃荷重等を緩和することができる。また、前記コンベヤベルトがプーリを通過するなどして非搬送面側に曲げられた場合でも、前記コンベヤベルトの曲がりに追随して湾曲しながら前記空間を保持することができ、且つ、プーリ通過の際に生じる前記保護ケースと前記コンベヤベルトとの間のせん断応力を緩和することができる。
【0020】
請求項7に記載している電子機器用保護ケースは、収納部に緩衝材を設けることを特徴としている。この請求項7の電子機器用保護ケースによれば、前記緩衝材を設けることで前記電子機器に加わる衝撃や振動等を緩和することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1及び請求項2のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、電子機器を長持ちさせることができるため、長期間安定したモニタリングが可能になる。また特に、請求項1のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法においては、コンベヤベルトが搬送面側又は非搬送面側のいずれに曲げられても対応可能であるため、変角部を有するベルトコンベヤであっても長期間安定したモニタリングが可能になる。
【0022】
請求項3のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、電子機器を長持ちさせることができるとともに衝撃や振動等による誤作動を防止することができ、長期間安定したモニタリングが可能になる。
【0023】
請求項4のコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法は、保護ケースにかかる負担が軽減されるため電子機器を長期間保護することが可能になり、モニタリングを長期間安定して行うことができる。
【0024】
請求項5及び請求項6の電子機器用保護ケースは、コンベヤベルトに埋設する電子機器を長持ちさせることでき、長期にわたって安定した監視が行えるモニタリングシステムの構築が可能になる。
【0025】
請求項7の電子機器用保護ケースは、衝撃や振動等による誤作動が発生しにくく、長期にわたって安定した監視が行えるモニタリングシステムの構築が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明にかかるコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法及び電子機器用保護ケースの実施形態を図1〜4に基づいて説明する。
【0027】
図1(a)は電子機器用保護ケース1(以下、単に保護ケース1ともいう)の斜視図を示している。保護ケース1は、内側がRFタグやセンサ等の電子機器Aを収納する収納部1aになっている厚みが薄い平板状に形成されている。保護ケース1は、外からの圧力に対して収納部1aの形状を保持できるように、剛性の高い鋼板等で形成されている。なお、保護ケース1の材質は、収納部1aの形状を保持でき且つゴムとの接着性が良いものであればよく、例えば、硬質樹脂などを用いることも可能である。そして、保護ケース1は平面視対向する一組の辺と直交する方向において均等に五分割され、五個の分割片1b・1b・1b・・・で構成されている。つまり、各分割片1b・1b・1b・・・の内側空間によって電子機器Aの収納部1aが構成されている。この収納部1aは電子機器Aと保護ケース1の内面との間に空間1cを形成することができる大きさになっている。
【0028】
この収納部1aに電子機器Aを収納した保護ケース1を、加硫前のコンベヤベルトB(以下、単にベルトBとも言う)のエンドレス部のゴム生地にあらかじめ埋め込んで加硫することによってベルトBに埋設する(図1(b)、(c))。保護ケース1をゴム生地に埋め込む際、分割方向がベルトBの長さ方向と一致するように配置する。そして、埋設場所は図1(b)及び(c)のベルトBの幅方向断面図に示すように、搬送面B1側のカバーゴムB3や非搬送面B2側のカバーゴムB4及び耳部B5などのいずれでも良いが、特に耳部B5は、プーリ通過時に厚み方向において生じる引張荷重と圧縮荷重とが相殺される心体層B6の中心に位置させることができるため、保護ケース1の変形量が少なくなり最適である。図1(b)は帆布B7によって心体層B6を構成しているベルトBであり、図1(c)はスチールワイヤB8によって心体層B6を構成しているベルトBである。なお、保護ケース1の外表面をブラスト処理しておけば、ゴムとの接着強度を増すことができる。
【0029】
このようにして、ICタグ等の情報チップやベルトBの温度や圧力、伸びなどの測定を行うセンサをベルトBに埋設し、情報チップから送信される識別情報や測定値などを受信装置で受信して解析し、ベルトBの切断事故などのトラブルを回避するモニタリングを行う。ICタグ等の個別認識が可能な情報チップを埋設しておけば、エンドレス部が複数箇所ある長距離コンベヤ用ベルトBにおいて、トラブルの兆候がある箇所を容易に特定することができる。
【0030】
保護ケース1に収納されている電子機器Aは周囲に空間1cが設けられた状態になるため、この空間1cによってプーリ通過時のベルトBの曲がりによる影響をなくすことができ、且つ、ベルトBが受ける圧力や衝撃荷重等を緩和することができる。
【0031】
そして、保護ケース1は図2(a)に示すように、プーリ通過の際は、ベルトBの搬送面B1側において分割片1b・1b・1b・・・の間が開き、ベルトBの曲がりに追随して湾曲しながら空間1cを保持する。このように、ベルトBの曲がりに追随して変形するので、保護ケース1とゴムとの間に生じるせん断応力が緩和される。また、保護ケース1は五個の分割片1b・1b・1b・・・によって構成されているため、図2(b)に示すように、ベルトBが搬送面B1側に曲げられるような場合にも対応することができる。したがって、変角部を有するベルトコンベヤ用ベルトとしても用いることができる。
【0032】
次に、電子機器Aを保護ケース1に収納してベルトBに埋設し、このベルトBを走行させて電子機器Aの耐久テストを行った結果を説明する。電子機器Aとしては45mm角で厚み0.5mmのICタグを使用し、保護ケース1は平面視50mm角の正方形型のものを使用した。そして、カバーゴムB3に埋設する厚み3mmの保護ケース1と、耳部B5に埋設する厚み5mmの保護ケース1との二つのサイズを用意した。そして、ICタグを格納した3mm厚の保護ケース1を、搬送面B1側のカバーゴムB3と非搬送面B2側のカバーゴムB4とにそれぞれ埋設するとともに、ICタグを格納した5mm厚の保護ケース1を耳部B5に埋設した。耳部B5に埋設した保護ケース1は、ベルトBの厚み方向においてベルトBの心体層B6の中心に位置するように配置した(図1(b)参照)。
【0033】
そして、図3(a)に示すように、ICタグを埋設し無端状にしたベルトBを、約300mm離間した直径500mmの二本のプーリP・P間に巻き掛けて300m/minのスピードで走行させながら、ベルトBから所定の距離を設けて配置した送受信装置(図示せず)とICタグとで通信を行い、通信不能となるまでの屈曲回数(プーリP・Pを通過した回数)を調べた。なお、比較例としてICタグをそのままベルトBに埋設した場合の耐久テストも行った。
【0034】
その結果、保護ケース1に収納して埋設したICタグは全て、屈曲回数が300万回に達しても通信可能であったが、そのまま埋設したICタグは、搬送面B1側は10万回で通信不能となり、非搬送面B2側は1万回で通信不能となった。なお、耳部B5に埋設したICタグは、300万回に達しても通信可能であった。この耐久テストの結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

したがって、電子機器Aを保護ケース1に収納してベルトBに埋設すれば、ベルトBの曲がりによる変形やベルトB内に生じる圧力から電子機器Aが保護されることがわかる。特に、プーリP・Pと心体層B6との間に挟まれた状態となる非搬送面B2側のカバーゴムB4により高い圧力が発生していることが予想されるので、電子機器Aを非搬送面B2側のカバーゴムB4に埋設する場合には、保護ケース1に収納して埋設することが適切である。また、耳部B5に埋設すれば電子機器Aが破損しにくいことがわかるので、保護ケース1に収納してベルトBに埋設すれば電子機器Aをより長持ちさせることができ、長期間安定したモニタリングが可能になる。
【0036】
次に、耐衝撃テストを行った結果を説明する。
【0037】
衝撃テストは、電子機器Aを保護ケース1に収納してベルトBに埋設し、自由落下式の衝撃試験機でベルトBに衝撃荷重を与え、その後電子機器Aが正常に作動するかどうかを送受信装置で電子機器Aと通信を行うことにより調べた。電子機器A及び保護ケース1は上記耐久テストと同じものを使用し、保護ケース1を埋設する箇所も同一とした。衝撃試験機は図3(b)に示すように、30kgのハンマーHを所定の高さから自由落下させ、支持台にセットした試験片Tに衝撃荷重を与える仕組みになっている。試験片Tには、ICタグ(電子機器A)が埋設されている部分を切り出した縦50mm×横300mm×厚み20mmのベルト片を用いた。また、比較例としてICタグをそのままベルトBに埋設した場合についてもテストを行った。
【0038】
その結果、保護カバー1に収納して埋設したICタグは衝撃荷重負荷後においても通信可能であったのに対して、そのまま埋設したICタグは衝撃荷重負荷後には通信不能となった。この結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

したがって、電子機器Aを保護ケース1に収納して埋設すれば、運搬物を載せ込む際にベルトBに加わる衝撃荷重などから電子機器Aを保護できることがわかる。
【0040】
ところで、図4(a)に示すように、上記実施形態において保護ケース1内面に緩衝材1fを設けると、ベルトに加わる衝撃等から電子機器Aを保護することができる他に、走行しているベルトBの振動を吸収することができるため、振動による誤作動を抑えることができる。緩衝材1fとしては耐熱性を備えたものが良く、例えば、不織布(アラミド、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等を使用したもの)、ゴム発泡体(クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等を使用したもの)などを用いることができる。
【0041】
保護ケース1としては上記分割型のもの以外にも、図4(b)に示すように、複数の切込みを1d・1d・1d・・・を設けた形状のものを用いることもできる。この保護ケース1は、ベルトBの幅方向と平行な複数の切込み1d・1d・1d・・・が外周面に沿ってベルトBの非搬送面B2側に位置する面1eを残した状態で形成されている。そして、切込み1d・1d・1d・・・が開くことにより、ベルトBの曲がりに追随して湾曲するようになっている。この保護ケース1は分割されていないため未加硫のベルトBを加硫する際、ゴムの流れによってバラバラになるおそれがない。切込み1d・1d・1d・・・は図4(c)のように、面1eの中心部付近のみを残した状態で形成することもできる。こうすれば、ベルトBのねじれに対応することが可能になる。なお、保護ケース1の断面形状は矩形状に限ることなく、円形や半円形などにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)本発明にかかる電子機器用保護ケースを示す斜視図。(b)電子機器用保護ケースをベルト(帆布により心体層を構成している)に埋設した状態を示すベルト幅方向断面図。 (c)電子機器用保護ケースをベルト(スチールワイヤにより心体層を構成している)に埋設した状態を示すベルト幅方向断面図。
【図2】(a)電子機器用保護ケースが搬送面側に湾曲した状態を示すベルト長さ方向の一部断面図。(b)電子機器用保護ケースが非搬送面側に湾曲した状態を示すベルト長さ方向の一部断面図。
【図3】(a)発明を実施するための最良の形態に記載している耐久テストに用いた装置の概略図。(b)発明を実施するための最良の形態に記載している耐衝撃テストに用いた装置の概略図。
【図4】(a)本発明にかかる電子機器用保護ケースの内面に緩衝材を設けた状態を示す断面図。(b)本発明にかかる電子機器用保護ケースの別の実施形態を示す斜視図。(c)本発明にかかる電子機器用保護ケースのさらに別の実施形態を示す底面図。
【符号の説明】
【0043】
1 電子機器用保護ケース(保護ケース1)
1a 収納部
1b 分割片
1c 空間
1d 切込み
1f 緩衝材
B コンベヤベルト(ベルト)
6 心体層
5 耳部
A 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器をコンベヤベルトに埋設する方法であって、
前記電子機器をベルト長さ方向に複数に分割した保護ケースに収納して未加硫のコンベヤベルトに埋め込み、これにより前記電子機器の周囲に空間を形成し、その後前記未加硫のコンベヤベルトを加硫することを特徴とするコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法。
【請求項2】
電子機器をコンベヤベルトに埋設する方法であって、
ベルト幅方向と平行な複数の切込みを外周面に沿って前記コンベヤベルトの非搬送面側の一部を残して形成した保護ケースに前記電子機器を収納し、前記保護ケースを未加硫のコンベヤベルトに埋め込むことで前記電子機器の周囲に空間を形成し、その後前記未加硫のコンベヤベルトを加硫することを特徴とするコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法。
【請求項3】
前記保護ケース内に緩衝材を設けることを特徴とするコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法。
【請求項4】
保護ケースを、コンベヤベルトの耳部であってベルト厚み方向における心体層の中心に埋設することを特徴とするコンベヤベルトにおける電子機器の埋設方法。
【請求項5】
電子機器を収納してコンベヤベルトに埋設する保護ケースであり、
内側が前記電子機器の収納部になっており、同収納部は前記電子機器と前記保護ケースの内面との間に空間を形成することができる大きさになっていて、ベルト長さ方向に複数に分割されていることを特徴とする電子機器用保護ケース。
【請求項6】
電子機器を収納してコンベヤベルトに埋設する保護ケースであり、
内側が前記電子機器の収納部になっており、同収納部は前記電子機器と前記保護ケースの内面との間に空間を形成することができる大きさになっていて、ベルト幅方向と平行な複数の切込みが外周面に沿って前記コンベヤベルトの非搬送面側の一部を残して形成されていることを特徴とする電子機器用保護ケース。
【請求項7】
前記収納部に緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の電子機器用保護ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−7078(P2009−7078A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167413(P2007−167413)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】