説明

コンベヤベルトにより商品を移送するコンベヤ装置用の軸受

【課題】コンベヤベルトにより商品を移送するコンベヤ装置の搬送ビーム内に挿入された増設部や螺子が腐食した場合等に、搬送ビームと軸受装置との固締を簡単に取り外せるようにする。
【解決手段】コンベヤ装置は、一対の搬送ロープ6、6aに各々案内された走行ローラ5、5aと、それを両端部に有す搬送ビーム2と、その下面に固締したコンベヤベルト1とから成り、走行ローラ5、5aは軸受装置を有し、その軸受ジャーナルと搬送ビーム2とを連結する増設部8が、上方に開口する樋状の形状であり、2本の螺子によって取り外し可能に固締されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトにより商品を移送するコンベヤ装置用の軸受に係り、コンベヤベルトを偏向ドラムにより装置両端部にて案内し、コンベヤベルトの移動方向に対し横断方向に配向した搬送ビームの下面に固締し、コンベヤベルトの移動方向に互いに所定距離に配置してある。搬送ローラがいずれの場合も軸受ジャーナル上に装着した搬送ビームの両端に配設してあり、コンベヤベルトの前進ストランドと後退ストランドとに宛がったコンベヤ装置の二対の搬送ロープ又は搬送レールに沿って転動する。個々の軸受装置の軸受ボルトは、搬送ビームの宛がい端に取り外し可能に固締した増設部を用いて設計してある。
【0002】
(関連出願)
本出願の原出願は、2007年7月24日出願のオーストリア特許出願公開第1173/2007号に基づく米国特許法第119条による優先権を主張するものであり、この先願はその全体を本願明細書に取り込むものとする。
【背景技術】
【0003】
この種のコンベヤ装置は、例えば先に本出願人に譲渡された公開を経た米国登録特許(特許文献1)とその対応欧州特許出願(特許文献2)に公知であり、搬送ビームはその端面に軸穴が設計してあり、この軸穴へは軸受装置の軸受ジャーナルから突出するボルト状増設部を挿入することができ、螺子ボルトにより搬送ビームへ固締してある。軸受装置を交換する必要がある限り、螺子ボルトは取り外さねばならず、軸受ジャーナルから突出する増設部は搬送ビーム内に配設された軸穴から引っ張り出さねばならない。
【0004】
しかしながら、搬送ビームに対するこの軸受装置の公知の固締は要件に合致しておらず、何故なら軸受ジャーナルの搬送ビーム内に挿入するボルト状増設部や螺子ボルトが著しい腐食にさらされ、かくして搬送ビームと増設部との間に存する固締を解放して軸受装置を搬送ビームから取り外し新規の軸受装置と交換するのに困難を生ずる。
【0005】
【特許文献1】公開を経た米国登録特許第6,935,490B2号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1452466A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が礎とする目的は、それ故にコンベヤベルトにより商品を移送するコンベヤ装置用軸受を提供することにあり、この軸受装置では搬送ビームに対する軸受装置の固締がたとえ不利な条件の下でも何時でも簡単な方法で取り外せるよう設計する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これら及び他の目的に鑑み、本発明によれば、コンベヤベルトの移動方向を横断する方向に配向した搬送ビームの下面に固締され、コンベヤベルトの移動方向に互いに離間させた無端コンベヤにより商品を移送するコンベヤ装置用の軸受装置組立体が提供され、それは、搬送ビームの両端各部の軸受ジャーナルに装着した搬送ローラで、コンベヤベルトの前進ストランドと後退ストランドを形成するコンベヤ装置の二対の搬送ロープ又は搬送レールに沿って転動する前記搬送ローラを備え、軸受ジャーナルが、対応する搬送ビームの個別端部に取り外し可能に固締されてこれを抱持する上方に開口する樋として形成した増設部を有する。
【0008】
換言すれば、本発明の目的は、上方に開口する樋として増設部を設計し、この樋上に搬送ビームの宛がい端を配置できるようにし、これに取り外し可能に固締することで達成される。
【0009】
好ましくは、搬送ビームはその断面が六角形の設計を有し、樋状増設部の内面は断面がほぼ台形状設計を有する。さらに、好ましくは、樋状増設部は軸受の軸と搬送ビームの中心軸とが少なくともほぼ同軸となるよう軸受ジャーナルに対しオフセットさせる。さらに、好ましくは搬送ビームの端部は螺子ボルトにより樋状増設部へ接続する。
【0010】
本発明の特徴と考えられる他の特徴は、添付特許請求の範囲に記載してある。
【0011】
本発明は、商品を移送するコンベヤ装置用の軸受にて実施する者として例示し説明するが、それでもそれを図示の細部に限定する意図はなく、何故なら本発明の趣旨から逸脱することなく、かつ特許請求の範囲の等価物の範囲及び領域内で様々な改変と構造的変形を施すことができるからである。
【0012】
しかしながら、本発明の構成ならびに動作方法は、その追加の目的ならびに利点と併せ、添付図面を読むときに具体的実施形態の下記の説明から最もよく理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここで、図面の各図を詳細に、先ず特にその図1を参照するに、商品を移送するコンベヤ装置内のコンベヤベルト1の一部が図示してある。コンベヤベルト1は、その二つの側方縁部に波形端部11が形成してあり、これがコンベヤベルトをコンベヤ装置両端部にて偏向ドラムにより案内できるようにしている。さらにこのことから明らかな如く、コンベヤベルト1は複数の補強ロープ12用いて構成してあり、このロープは互いに近接配置してあり、このお陰で前記コンベヤベルトは大きな搬送容量を有する。コンベヤベルト1はその移動方向に対し横断方向に延びる搬送ビーム2の下面に固締してあり、いずれの場合も弾性封止帯片3はコンベヤベルト1と搬送ビーム2との間に配置してある。搬送ビーム2に対するコンベヤベルト1の固締は、例えばコンベヤベルト1と搬送ビーム2とを挿通する螺子ボルト4により行われる。コンベヤベルト1と搬送ビーム2との間に配置した封止帯片3が、コンベヤベルト1と搬送ビーム2との間にいずれの場合も空隙が形成され、その中に搬送対象商品が貫入され、コンベヤベルト1が増大する摩耗にさらされる結果を伴なう状況を排除している。
【0014】
走行ローラ5,5aは、搬送ビーム2の両端に位置してある。走行ローラ5,5aは、一対の搬送ロープ6,6aと搬送レールに沿って案内される。この場合、移送対象商品を積載したコンベヤベルト1のストランドとコンベヤベルト1の非積載ストランドの両方にいずれの場合も一対の搬送ロープ6,6aや搬送レールが宛がってあり、これに沿ってコンベヤベルト1が端末ステーション内に配置された偏向ドラム或いは駆動ドラム間を転動して移動する。
【0015】
搬送ビーム2に対する走行ローラ5,5aの固締は、軸受装置の増設部8により行われる。増設部8は、搬送ビーム2の宛がい端に固締してある。
【0016】
ここで、図2を参照するに、走行ローラ5,5aはいずれの場合も、走行ローラ5,5a内に配置した2個の軸受リング71,72と、これらの軸受リング71,72内に挿入した軸受ジャーナル73或いは軸受ボルト73からなる軸受装置7が宛がってある。軸受ボルト73は、キャップ75により覆われた固定螺子74により軸方向に固定してある。さらに、潤滑剤供給用のダクト76が軸受ボルト73内に挿入してある。軸受ボルト73は軸方向に突出する増設部8を用いて設計してあり、この増設部は上方に開口する樋として設計してあって、その内面は搬送ビーム2下面の外面に対向させ同一設計としてある。この場合、個々の搬送ビーム2の宛がい端を樋状設計内へ上方から挿入し、その中で2本の螺子81によより固締し、この螺子を搬送ビーム2の自由端に挿通させ、増設部8内に螺入させる。
【0017】
軸受装置7が取り外せるようこの固締を解放すべく、二つの螺子81を取り外し、そこで搬送ビーム2から下方へ増設部8を取り去ることができる。
【0018】
搬送ビーム2に対する軸受装置7のこの種の固締のお陰で、軸受装置7の固締時の先行技術に属する欠点は排除される。
【0019】
増設部8を用いて設計した軸受ジャーナル7の設計が、図3と図3Aから再度見て取ることができる。搬送ビーム2が中実輪郭として六角形断面を有するため、樋形状増設部8の内面は断面がほぼ台形となるよう対応設計してある。
【0020】
さらに、増設部8がその軸を横断して軸受ジャーナル73に対しオフセットさせてあるため、搬送ビーム2の中心軸と軸受ジャーナル7の回転軸はほぼ同軸的に挿通させてある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明になる移送装置の一部の不等角投影図である。
【図2】本発明になる軸受装置を示す一部断面側面図である。
【図3】本発明になる軸受の本発明になる増設部を用いて設計した軸受ジャーナルの不等角投影図である。
【図3A】その断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コンベヤベルト
2 搬送ビーム
3 封止帯片
4 螺子
5,5a 走行ローラ
6,6a 搬送ロープ
7 軸受装置
71,72 軸受リング
73 軸受ジャーナル(軸受ボルト)
74 固定螺子
75 キャップ
76 ダクト
8 増設部
81 螺子
11 波形端部
12 補強ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトの移動方向を横断する方向に配向した搬送ビームの下面に固締され、前記コンベヤベルトの移動方向に互いに離間させた無端コンベヤにより商品を移送するコンベヤ装置用の軸受装置組立体であって、
前記搬送ビームの両端各部の軸受ボルトに装着した搬送ローラで、前記コンベヤベルトの前進ストランドと後退ストランドを形成する前記コンベヤ装置の二対の搬送ロープ又は搬送レールに沿って転動する前記搬送ローラを備え、
前記軸受ジャーナルを、対応する前記搬送ビームの個別端部に取り外し可能に固締されてこれを抱持する上方に開口する樋として形成した増設部を有する、ことを特徴とする軸受装置組立体。
【請求項2】
前記搬送ビームは六角形断面を有しており、前記増設部の前記上方に開口する内面はその断面がほぼ台形形状をなす、請求項1記載の軸受装置組立体。
【請求項3】
前記樋増設部は前記軸受ジャーナルに対しオフセットさせ、軸受の軸と前記搬送ビームの中心軸とが少なくともほぼ同軸となるようにした、請求項1記載の軸受装置組立体。
【請求項4】
前記搬送ビームを前記樋増設部へ接続する1又は複数の螺子ボルトを備える、請求項1記載の軸受装置組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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