説明

コンベヤベルトのモニタリングシステム

【課題】検出ユニットの送受信範囲が広く、コンベヤベルトの縦裂きによる検出ユニットの破損の可能性の低いコンベヤベルトのモニタリングシステムを提供する。
【解決手段】コンベヤベルトに、アンテナ11と内部ユニット12からなる検出ユニット2を設け、内部ユニット12を、コンベヤベルトが受ける物理量を検知するセンサ16と、センサ16から得られたデータを格納するメモリ14と、メモリ14に格納されたデータをコンベヤベルトの外に電波で送信する送受信ユニット13とで構成するともに、コンベヤベルトの外に、送受信ユニット13から送信されたデータを受信する装置を設けられている。検出ユニット2のアンテナ11は長尺形状であり、アンテナ11はコンベヤベルトの搬送方向に縦長に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量を検出する検出ユニットをコンベヤベルトに埋設してコンベヤベルトをモニタリングするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤ装置にはコンベヤベルトを支持するためのローラが移送方向に沿って多数配列されている。このローラは運搬物の荷重を直接受けるため磨耗損傷等により回転不良が発生しやすく、ローラに回転不良が発生するとコンベヤベルトを摩耗損傷させてコンベヤベルトの耐久性を著しく低下させる。ローラの回転不良を検知する方法として、保守作業員がコンベヤに沿って巡回し、目視や触診により、またはローラからの異音を聞き分けて不具合なローラを特定する方法が知られているが、鉱山等で使用される機長の長いベルトコンベヤ装置においては、多数のローラが配列されていることから、保守作業員に多くの労力と時間を強いるという問題があった。
そこで、コンベヤベルトの内部にセンサ、CPU、メモリ、バッテリ、送受信ユニットを小型化した検出ユニットを埋め込み、ベルト走行時にセンサからの信号をCPUで処理し、メモリに記録し、検出ユニットが外部の固定受信センサを通過した際に、非接触にデータを送受信できるシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2001−508743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、検出ユニットには、外部の固定受信装置と無線によりデータを送受信するためにアンテナが設けられており、このアンテナには、特許文献1にも示すように、一般に平板環状アンテナが用いられている。
そのため、従来の検出ユニットでは、送受信範囲が、アンテナのコンベヤベルト進行方向の長さしかなく、送受信範囲が狭いために、送受信の精度が低いという問題があった。
また、アンテナが、コンベヤベルトの幅方向に広がるため、コンベヤベルトの縦裂きによりアンテナが断線し、検出ユニットが破損することがあった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、検出ユニットの送受信範囲が広く、コンベヤベルトの縦裂きによる検出ユニットの破損の可能性が低いコンベヤベルトのモニタリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、コンベヤベルトに、アンテナと内部ユニットからなる検出ユニットを設け、前記内部ユニットを、物理量を検知するセンサと、該センサから得られたデータを格納するメモリと、メモリに格納されたデータをコンベヤベルトの外に電波で送信する送信手段とで構成するともに、コンベヤベルトの外に、前記送信手段から送信されたデータを受信する受信手段を設けてコンベヤベルトをモニタリングするシステムであって、前記検出ユニットのアンテナが長尺形状であり、該アンテナが前記コンベヤベルトの搬送方向に縦長に配置されていることを特徴とする。
【0006】
前記アンテナと前記内部ユニットは、前記コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されていることが好ましい。また、前記内部ユニットの構成部品は、前記コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されていることが好ましい。また、前記検出ユニットは、前記コンベヤベルトの幅方向端部に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、検出ユニットのアンテナが長尺形状であり、このアンテナがコンベヤベルトの搬送方向に縦長に配置されているので、検出ユニットの送受信範囲が広くなる。そのため、送受信できる時間が長くなり、信号を確実に受信できるようになるため、送受信の精度の向上させることができる。また、アンテナがコンベヤベルトの幅方向に狭くなっているため、コンベヤベルトの縦裂きによるアンテナの破損可能性を最小限に抑えることができる。
また、本発明は、アンテナと内部ユニットが、コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されているので、コンベヤベルトの縦裂きによる内部ユニットの破損可能性を低く抑えることができる。
また、本発明は、内部ユニットの構成部品が、コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されているので、コンベヤベルトの縦裂きによる内部ユニットの破損可能性を更に低く抑えることができる。
また、本発明は、検出ユニットが、被搬送物による縦裂きが比較的起こり難い場所であるコンベヤベルトの幅方向端部に配置されているので、検出ユニットの破損可能性を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のコンベヤベルトのモニタリングシステムを示す概念図である。図1に示すコンベヤベルトのモニタリングシステムは、無端のコンベヤベルト1に埋設された検出ユニット2と、検出ユニット2とデータの送受信を行う送受信装置5と、送受信装置5に接続されたデータ処理手段とを具えて構成される。図1は、コンベヤベルト1を側面方向から視たものであり、コンベヤベルト1を部分的に表示している。コンベヤベルト1は、矢印Aで示すように、左方から右方へ向かって進行する。検出ユニット2は、コンベヤベルト1の下面1aに埋設されており、送受信装置5のアンテナ7は、コンベヤベルト1の下方に、コンベヤベルト1から所定距離離間して配設されている。
検出ユニット2は、コンベヤベルト1が受ける物理量を連続的に検出し、検出した情報を送受信装置5に送信する機能を有している。
送受信装置5は、検出ユニット2から情報を受信したときは、その情報をデータ処理装置6に送信し、データ処理装置6は定常的な値と比較することによって、異常な事態の発生を判断する。
【0009】
図2は、コンベヤベルトに埋め込まれる検出ユニットの構成を示す図である。検出ユニット2は、アンテナ11と内部ユニット12により構成されており、内部ユニット12は、コンベヤベルトが受ける物理量を検知するセンサ16、センサ16からのデータを処理するCPU15、センサ16から得られたデータを格納するメモリ14、メモリ14に格納されたデータをコンベヤベルトの外に電波で送信する送受信ユニット13およびバッテリ17を備えている。
センサ16は、例えば、圧力センサであり、コンベヤベルト1の表面にかかる圧力を連続的に検出し、CPU15は、コンベヤベルト1の走行時にセンサ16からの信号を処理し、メモリ14に記録する。そして、検出ユニット2は、コンベヤベルト1の外部に配設されている送受信装置5のアンテナ7を通過した際に、送受信ユニット13から電波でデータを送受信装置5に送信する。
【0010】
アンテナ11は、長尺の形状をしており、コンベヤベルト1の搬送方向に縦長に配置されている。このように、長尺形状のアンテナ11をコンベヤベルト1の搬送方向に縦長に配置すると、図3に示すように、コンベヤベルト1の長さ方向の送受信範囲が広くなり、送受信範囲が広くなると、送受信できる時間が長くなり、信号を確実に受信できるようになるため、送受信の精度の向上させることができる。図3において、Bは従来の検出ユニットの送受信範囲を示しており、Cは本発明の検出ユニットの送受信範囲を示している。
なお、送受信の精度の向上を見込むためには、アンテナ11の長手方向の長さと、長手方向に対して直交する方向の長さの比の値は1.5以上であることが好ましい。
【0011】
また、アンテナ11と内部ユニット12は、アンテナ11の長手方向(コンベヤベルトの搬送方向)に直列に配置されている。また、内部ユニット12の構成部品である送受信ユニット13、メモリ14、CPU15、センサ16およびバッテリ17もそれぞれ、内部ユニット12内において、アンテナ11の長手方向(コンベヤベルトの搬送方向)に直列に配置されている。このように、長尺なアンテナの長手方向に構成部品が直列に配置されているので、検出ユニット12自体の形状も長尺形状となっている。
【0012】
このように、アンテナ11と内部ユニット12をアンテナ11の長手方向(コンベヤベルトの搬送方向)に直列に配置し、内部ユニット12の構成部品をアンテナ11の長手方向(コンベヤベルトの搬送方向)に直列に配置すると、検出ユニット12自体が長尺になるため、ベルトの縦裂時において検出ユニットが破損する可能性を最小限に抑えることができる。図4は、従来の検出ユニットと本発明の検出ユニットとの破損可能性を比較して説明する図である。コンベヤベルト1には縦裂4が発生している。点線で示すのが従来の検出ユニット3であり、従来の検出ユニット3と比較して、本発明の検出ユニット2は、コンベヤベルトの幅方向に狭くなっているので、縦裂4で破損する可能性が従来品に比べて低くなる。
【0013】
なお、検出ユニット2が埋め込まれる位置は、コンベヤベルトの幅方向のいずれの位置でもよいが、コンベヤベルトの幅方向端部が好ましい。端部は、被搬送物による縦裂きが比較的起こり難い場所であるためである。検出ユニットをコンベヤベルトの幅方向端部に配置することで、検出ユニットの破損可能性を最小限に抑えることができる。
また、アンテナは、可撓性材料(例えば、ゴムまたは布)により被覆することが好ましい。アンテナを可撓性材料で被覆することにより、コンベヤベルトの屈曲によるアンテナの破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のコンベヤベルトのモニタリングシステムを示す概念図である。
【図2】コンベヤベルトに埋め込まれる検出ユニットの構成を示す図である。
【図3】従来の検出ユニットと本発明の検出ユニットの送受信範囲を示す図である。
【図4】従来の検出ユニットと本発明の検出ユニットとの破損可能性を比較して説明する図である。
【符号の説明】
【0015】
1 コンベヤベルト
2 検出ユニット
3 検出ユニット(従来)
5 送受信装置
6 データ処理手段
7,11 アンテナ
12 内部ユニット
13 送受信ユニット
14 メモリ
15 CPU
16 センサ
17 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトに、アンテナと内部ユニットからなる検出ユニットを設け、前記内部ユニットを、コンベヤベルトが受ける物理量を検知するセンサと、該センサから得られたデータを格納するメモリと、メモリに格納されたデータをコンベヤベルトの外に電波で送信する送信手段とで構成するともに、コンベヤベルトの外に、前記送信手段から送信されたデータを受信する受信手段を設けてコンベヤベルトをモニタリングするシステムであって、
前記検出ユニットのアンテナは長尺形状であり、該アンテナは前記コンベヤベルトの搬送方向に縦長に配置されていることを特徴とするコンベヤベルトのモニタリングシステム。
【請求項2】
前記アンテナと前記内部ユニットは、前記コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤベルトのモニタリングシステム。
【請求項3】
前記内部ユニットの構成部品は、前記コンベヤベルトの搬送方向に直列に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のコンベヤベルトのモニタリングシステム。
【請求項4】
前記検出ユニットは、前記コンベヤベルトの幅方向端部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコンベヤベルトのモニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−47340(P2010−47340A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211436(P2008−211436)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】