説明

コンベヤベルトの耐熱性評価方法

【課題】高い信頼性のある評価結果を得ることができるコンベヤベルトの耐熱性評価方法を提供する。
【解決手段】底面に複数の凸部4及び/又は凹部5が形成された金属製のブロック1を所定の温度まで加熱し、加熱されたブロック1をコンベヤベルト7上に一定時間だけ載置し、その載置されたブロック1をコンベヤベルト7上から除去した後に、コンベヤベルト7の焼損状態を観察及び測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンベヤベルトの耐熱性評価方法に関し、更に詳しくは、高温物を搬送するコンベヤベルトの耐熱性を高い信頼性で評価することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所におけるコークスやセメント工場における焼結品などの高温物を搬送するコンベヤベルトにおいては、高温物との接触部が焼損して、局部的に強度が低下してしまうおそれがある。そのため、あらかじめコンベヤベルトの耐熱性を評価しておくことが重要となる。
【0003】
コンベヤベルトの耐熱性の評価方法として、例えば特許文献1や特許文献2は、所定の重量を有する鉄塊や鉄球などを高温に加熱し、コンベヤベルト上に一定時間だけ載置した後に、コンベヤベルトの焼損の度合いを観察する評価方法を提案している。
【0004】
しかし、このような評価方法では、例えば図6に示すように、搬送物が多数の不定形物6などからなる場合には、実際にコンベヤベルト7へ加わる荷重の分布や、コンベヤベルト7と搬送物の間の空隙率などのパラメータを再現することができないため、評価結果の信頼性が低くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−185615号公報
【特許文献2】特開昭62−259912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い信頼性のある評価結果を得ることができるコンベヤベルトの耐熱性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明のコンベヤベルトの耐熱性評価方法は、コンベヤベルトの耐熱性を評価する方法であって、底面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された金属製のブロックを所定の温度まで加熱し、該加熱されたブロックを前記コンベヤベルト上に一定時間だけ載置し、該載置されたブロックを該コンベヤベルト上から除去した後に、該コンベヤベルトの焼損状態を観察及び測定することを特徴とするものである。
【0008】
それら複数の凸部及び/又は凹部は、互いに回転対称又は線対称となる位置に配置されていることが望ましい。また、ブロックは、水平方向に分割可能な構造にするのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンベヤベルトの耐熱性評価方法によれば、底面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された金属製のブロックを所定の温度まで加熱し、その加熱されたブロックをコンベヤベルト表面に一定時間だけ載置し、ブロックを除去した後にコンベヤベルトの焼損状態を観察及び測定するようにしたので、ブロック底面の凸部及び/又は凹部の形状や大きさを適切に調整することで、搬送物の実際の積載状態を精度よく模擬することができるため、高い信頼性のある評価結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のコンベヤベルトの耐熱性評価試験方法に用いるブロックの例を示す斜視図である。
【図2】ブロックの底面形状の一例であって、(a)は底面図を、(b)は(a)に示すX−X矢視の断面図である。
【図3】ブロックの底面形状の別の例であって、(a)は底面図を、(b)は(a)に示すY−Y矢視の断面図である。
【図4】ブロックをコンベヤベルト上に載置した例を示す断面図である。
【図5】本発明のコンベヤベルトの耐熱性評価試験に用いるブロックの別の例を示す斜視図である。
【図6】コンベヤベルトにおける搬送物の実際の積載状態の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明のコンベヤベルトの耐熱性評価方法に用いるブロックの例を示す。
このブロック1は、比重の大きな金属、例えば鉄やタングステンから製造された立方体又は直方体の形状を有している。ブロック1の上面には把手2が着脱可能に取り付けられ、底面3には複数の凸部及び/又は凹部が形成されている。ブロック1の大きさは耐熱性評価における搬送物6によって変わり、例えば焼結鉱の場合には、幅5cm×奥行5cm×高さ6cm程度の大きさとなる。
【0013】
また、底面3に形成された凸部及び凹部は、搬送物6の実際の積載状態を模擬する形状及び大きさになっており、例えば図2に示すような複数の半球状の凸部4を配列したものや、図3に示すような複数の矩形状の凹部5を配列したもの、又はそれら凸部4と凹部5を組み合わせたものなどがある。
【0014】
このようなブロック1を用いたコンベヤベルトの耐熱性評価試験方法を以下に説明する。
【0015】
最初に、電気炉などによりブロック1を所定の温度(例えば600℃)まで加熱する。そして、高温になったブロック1を、適当な治具により把手2を介して吊り上げたまま移動させ、例えば図4に示すように、コンベヤベルト7(又はコンベヤベルト7の試験片)上に載置する。そのまま一定時間(例えば3分間)載置した後に、ブロック1を吊り上げて移動させ、コンベヤベルト7の焼損状態を観察及び測定する。
【0016】
コンベヤベルトの焼損状態を表す評価項目としては、コンベヤベルト7のカバーゴムの変色・変質、補強層の損傷程度、及び焼損部の深さなどが例示される。なお、上記の評価方法において、ブロック1の加熱及びコンベヤベルト7上への載置を、必要に応じて繰り返し行ってもよい。
【0017】
このようにしてコンベヤベルト7の耐熱性を評価するようにしたので、ブロック1の底面3の凸部及び/又は凹部の形状や大きさを適切に調整することで、搬送物6の実際の積載状態における荷重分布や空隙率などを精度よく模擬することができるため、高い信頼性のある評価結果を得ることができる。
【0018】
評価結果同士の比較を容易にするため、ブロック1の底面3の複数の凸部及び/又は凹部は、互いに回転対称又は線対称となる位置に配置されることが望ましい。そのような評価結果の比較を通じて、コンベヤベルト7の耐熱性に係る基準の策定が行われることになる。
【0019】
また、図5に示すように、ブロック1を水平方向に分割可能な構造にしてもよい。このようにすることで、下側の分割ブロック1aのみを加熱すればよいため、複数種類あるいは複数個の下側の分割ブロック1aを準備しておくことで、複数の条件による評価を効率よく繰り返し実施することができる。なお、下側の分割ブロック1aは、耐熱性評価試験方法に必要な熱容量を保持するのに十分な大きさにしなければならない。
【符号の説明】
【0020】
1 ブロック
1a 下側の分割ブロック
2 把手
3 底面
4 半球状の凸部
5 矩形状の凹部
6 搬送物
7 コンベヤベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトの耐熱性を評価する方法であって、
底面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された金属製のブロックを所定の温度まで加熱し、該加熱されたブロックを前記コンベヤベルト上に一定時間だけ載置し、該載置されたブロックを該コンベヤベルト上から除去した後に、該コンベヤベルトの焼損状態を観察及び測定するコンベヤベルトの耐熱性評価方法。
【請求項2】
前記複数の凸部及び/又は凹部が、互いに回転対称又は線対称となる位置に配置されている請求項1に記載のコンベヤベルトの耐熱性評価試験方法。
【請求項3】
前記ブロックが、水平方向に分割可能な構造である請求項1又は2に記載のコンベヤベルトの耐熱性評価試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−230520(P2010−230520A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78864(P2009−78864)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】