説明

コンベヤベルトを介して商品を搬送する搬送装置

【課題】コンベアベルトの戻りストランドに対して方向転換手段を必要としない搬送装置を提供する。
【解決手段】偏向ドラムにガイドされ、前進ストランド1aと戻りストランド1bに沿って延びるコンベヤベルトと、一つ以上の支柱及び支柱に支えられた一対の第1の支持ケーブル21・21aと、一対の第2の支持ケーブル22・22aと、一対の第3の支持ケーブル23・23aを保持する第1の支持ケーブルに連結された支持手段4とを備え、コンベヤベルトの各端部には支持ローラ13、13aを備えた搬送バー10を有し、前進ストランドの支持ローラは第2の支持ケーブルに沿って、戻りストランドの支持ローラは第3の支持ケーブルに沿って転がる。支柱の間で懸垂曲線に沿って走行するように第2の支持ケーブルを支える第1の支持フレーム41と、装置の進路に渡りほぼ直線的に走行するように第3の支持ケーブルを支える第2の支持フレーム42とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンベヤベルトにより商品を搬送する搬送装置に関し、コンベヤベルトは装置の両端にある偏向ドラムの上でガイドされ、コンベヤベルトには一対の第1の支持ケーブルが形成され、それらのケーブルは装置に設けられた支柱により支えられ、それらのケーブルには一対の第2の支持ケーブルと一対の第3の支持ケーブルに対する支持手段が結びつけられる。コンベヤベルトはクロスバーで構成され、クロスバーはそれらの端部のそれぞれに取り付けられた走行ローラを保持する。さらに、荷重の掛かるコンベヤベルトの前進ストランドの走行ローラは第2の支持ケーブルに沿って転がり、荷重の掛からないコンベヤベルトの戻りストランドの走行ローラは第3の支持ケーブルに沿って転がる。
【背景技術】
【0002】
そのような搬送装置は例えば同一出願人による特許文献1およびその欧州対応版の特許文献2で知られている。その搬送装置は一対の第1の支持ケーブルを有し、それらは支柱により支えられ、それらには支持フレームが結びつけられ、支持フレームは一対の第2の支持ケーブルと一対の第3の支持ケーブルを支える。本願におけるコンベヤベルトはコンベヤベルトの移動方向に対して横方向に向いた支持バーを用いて設計され、またそれらの端部のそれぞれには支持ローラが配置され、荷重の掛かるコンベヤベルトの前進ストランドの支持ローラは第2の支持ケーブルに沿って転がり、荷重の掛からないコンベヤベルトの戻りストランドの支持ローラは第3の支持ケーブルに沿って転がるというのが実情である。
【0003】
長さが長いこともあるそのような搬送装置は装置の進路にわたり一対の第1の支持ケーブルを支える支柱を有する。これらの支柱の間で、全ての支持ケーブルとコンベヤベルトは懸垂曲線に沿って走行する。本願におけるコンベヤベルトはそれが支柱の上を走行する際に非常に大きい荷重を受けるので、それが支柱の領域において支持ローラによりガイドされる必要がある。この荷重は荷重の掛かるコンベヤベルトの前進ストランドの場合と、荷重の掛からないコンベヤベルトの戻りストランドの場合の両方において生じるので、コンベヤベルトの両方のストランドは従って支柱の領域において支持ローラの上でガイドされなければならない。コンベヤベルトの戻りストランドを支持することもできるように、コンベヤベルトは搬送装置において積み下ろし場所の下流で上方向に方向転換されなければならない。しかしながら、これは、個々の方向転換手段が積み下ろし場所の下流でかつ積み込み場所の上流に設けられねばならないことを意味し、これはさらなる設計費用を生じ、また搬送装置の動作中のさらなる保守費用を生じる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6935490B2号公報
【特許文献2】欧州特許第1452466A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、発明の目的は今まで知られている装置と、この一般的なタイプの方法との前述の不便さを克服し、戻りストランドが支持ローラにより支持されず、その場合、何れの方向転換手段も必要のない搬送装置に備えたコンベヤベルトを介して商品を搬送する搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述および他の目的を考慮して、発明によれば、商品を搬送する搬送装置において、前記装置の末端において偏向ドラムの周りにガイドされ、前進ストランドと戻りストランドに沿って延びる無限コンベヤベルトと、一つ以上の支柱および前記支柱により支えられる一対の第1の支持ケーブルと、一対の第2の支持ケーブルと一対の第3の支持ケーブルを保持する前記第1の支持ケーブルに結びつけられた支持手段とを備える搬送装置であって、前記コンベヤベルトが各端部に支持ローラが取り付けられた支持バーを含み、前記コンベヤベルトの前記前進ストランドの前記支持ローラが前記第2の支持ケーブルに沿って転がり、前記コンベヤベルトの前記戻りストランドの前記支持ローラが前記第3の支持ケーブルに沿って転がり、前記支持手段が、前記支柱の間で懸垂曲線に沿って走行する前記第2の支持ケーブルを保持する第1の支持フレームと、前記装置の進路にわたり実質的に直線的に走行する前記第3の支持ケーブルを保持する第2の支持フレームとを含む搬送装置が提供される。
【0007】
言い換えれば、発明の目的は、第2の支持ケーブルを、それらが支柱の間で懸垂曲線に沿って同様に走行するように支える第1の支持フレームを設け、第3の支持ケーブルを、それらが装置の進路にわたりほぼ直線的に走行するように支える第2の支持フレームを設けることにより達成される。
【0008】
第2の支持ケーブルが懸垂曲線に沿って同様に走行するので、それらは支持機能を同様に果たすことができる。対照的に、第3の支持ケーブルはほぼ直線的に走行するので、それらは荷重の掛からないコンベヤベルトの戻りストランドに対するガイド機能を主として果たす。戻りストランドはその結果ほぼ直線的に走行するので、それは支持ローラの上でガイドされる必要がない。この理由により、さらにコンベヤベルトが積み下ろし場所の下流で上方向に方向転換される必要がなく、その場合、何れの方向転換手段も必要がない。
【0009】
第1の支持ケーブルに直接結びつけられた第1の支持フレームは好ましくは少なくともほぼ同じ高さを有し、その結果、装置に沿った第2の支持ケーブルの高さの輪郭は第1の支持ケーブルの輪郭にほぼ等しい。さらに、好ましくは第2の支持フレームは少なくともほぼ同じ高さを有し、それらは支持要素により第1の支持フレームに結びつけられ、これらの支持要素は装置の進路にわたり異なる長さを有し、この場合、第3の支持ケーブルは装置の進路にわたりほぼ直線的に走行する。代案として、第2の支持フレームは第1の支持ケーブルに同様に結びつけられる。
【0010】
さらなる好ましい実施例によれば、第1の支持ケーブルは複数の平行な支持ケーブルにより形成される。さらに、第2の支持ケーブルが互いに隣り合って少なくともほぼ水平方向に配列された複数の支持ケーブルにより形成されることも可能であり、支持バー上に設けられた支持ローラは互いに軸方向にずらされ、それにより、第1の支持バーの支持ローラは第2の対の支持ケーブルの第1の支持ケーブルに沿って転がり、次の支持バーの支持ローラは第2の対の支持ケーブルの第2の支持ケーブルに沿って転がる。
【0011】
発明に特徴的であると考えられる他の特徴は添付の特許請求の範囲に記載される。
【0012】
発明は本願においてはコンベヤベルトにより商品を搬送する搬送装置において具現化されるように図解および記述されたが、それにもかかわらず、示された詳細にそれを限定するつもりはない。なぜなら、発明の精神から逸脱することなく、特許請求の範囲の範囲内で種々の変形と構造的変更を成し得るからである。
【0013】
発明の構造と動作方法はそのさらなる目的と利点と共に、添付図面と関連して読まれたときに以下の詳細な実施例の説明から最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
さて詳細な図面の図、まず特にその図1および図1Aを参照すれば、積み込み場所Aから積み下ろし場所Bに商品を搬送する搬送装置の模式図が示される。このために積み込み場所Aから積み下ろし場所Bに少なくとも一対の第1の支持ケーブル2沿って移動し、また逆に後者から積み込み場所Aに移動する連続コンベヤベルト1が設けられる。コンベヤベルト1の前進ストランド1aはここでは搬送装置の進路にわたり、少なくとも一つの支柱3に配置された支持ローラ31の上でガイドされる。さらに、上をコンベヤベルト1が移動する偏向ドラム11および12は積み込み場所Aと積み下ろし場所Bに配置される。少なくとも一対の支持ケーブル2とコンベヤベルト1の前進ストランド1aはここでは懸垂曲線に沿って走行する。
【0015】
このタイプの既知の搬送装置の場合、コンベヤベルトの前進ストランドとコンベヤベルトの戻りストランドの両方が少なくとも一つの支柱の上でガイドされる。このタイプの先行技術の搬送装置の場合、コンベヤベルトは、下側のみ平面をもつ一方で商品を収容するために上が開いているチャンバを用いて設計されるので、そのような搬送装置の場合、積み下ろし場所(そこではコンベヤベルトが偏向ドラムの上でガイドされ、その結果として搬送チャンバが下方向に開いている)の下流に方向転換手段を設けることが必要であり、この方向転換手段は、その底面によりコンベヤベルトが、少なくとも一つの支柱上に設けられた支持ローラの上でガイドできるようにコンベヤベルトを上方向に方向転換する。さらには、次いで同様に、積み下ろし場所の上流に再びコンベヤベルトを方向転換する方向転換手段を設けることが必要であり、コンベヤベルトは方向転換したらすぐ積み下ろし場所に配置された偏向ドラムの上でガイドされ、こうして積み込み場所で積み込むことができる。
【0016】
対照的にこの出願による搬送装置が積み下ろし場所と積み込み場所にある方向転換手段を不要にできるためには、発明による搬送装置のコンベヤベルトの戻りストランド1bは少なくとも一つの支柱3の上でガイドされるのではなく、異なる長さの支持手段4を介して少なくとも一対の第1の支持ケーブル2に結び付けられ、それにより、それは積み下ろし場所Bと積み込み場所Aの間をほぼ直線的に走行する。
【0017】
図2および2Aから分かるように、搬送装置は第1の支持ケーブル21および21aの対を含み、それにコンベヤベルト1の二つのストランド1aおよび1bに対する支持手段4が結び付けられる。支持手段4は第1の支持フレーム41を備え、これらのフレームは第1の支持ケーブル21および21aに結び付けられ、これらのフレームには第2の支持ケーブル22および22aの対が結び付けられ、これらのケーブルを介してコンベヤベルト1の前進ストランド1aが移動する。このために、コンベヤベルト1の上には間隔を空けた搬送バー10が設けられ、これらの搬送バーには支持ローラ13および13aが取り付けられ、これらの支持ローラは、コンベヤベルト1の前進ストランド1aの場合は二つの支持ケーブル22および22aの上を転がる。
【0018】
さらに、第2の支持フレーム42が何れの場合もチェーンまたはケーブルのような支持要素40により第1の支持フレーム41に結び付けられ、これらの第2の支持フレームは一対の第3の支持ケーブル23および23aを支え、これらのケーブルに沿ってコンベヤベルト1の戻りストランド1bの支持ローラ13および13aが転がる。
【0019】
支持ケーブル21および21aと支持ケーブル22および22aは搬送装置の長手方向の広がりにわたり円錐曲線に沿って走行する。搬送装置の長手方向の広がりにわたり設けられた間隔を空けた支持要素40は異なる垂直長さをもつので、対照的に、支持ケーブル23および23aは積み下ろし場所Bと積み込み場所Aの間をほぼ直線的に走行し、その結果、コンベヤベルト1の戻りストランド1bの移動は、偏向点においてコンベヤベルトが支持ローラの上でガイドされねばならなくなるような如何なる偏向も受けない。
【0020】
保守職員を保護するために、支持フレーム41および42は柱51と緊張したケーブル52から成るレール5を用いて設計されることがさらに指摘されねばならない。
【0021】
図3は、第1の支持ケーブル21および21a、また第2の支持ケーブル22および22aが支柱3により支えられ、また支柱3には支持ローラ31が取り付けられ、それを介してコンベヤベルト1の漸進ストランド1aがガイドされて、支柱3の領域で支持されることを示す。
【0022】
図4は図2および2Aによる搬送装置の変形を説明するために本願では以下に使用される。
【0023】
この実施例の場合、第1の支持ケーブルは何れの場合も二つの支持ケーブル21、21’および21a、21a’により形成され、それに支持フレーム41が結び付けられる。さらに、支持フレーム41により支えられる第2の対の支持ケーブルは同様に何れの場合も二つの支持ケーブル22、22’および22a、22a’により形成され、これらは互いに隣り合って水平方向に配置される。さらに、コンベヤベルト1の連続する支持ローラ13および13aは互いに軸方向にずらされ、それにより、第1の支持ローラ13、13aは何れの場合も支持ケーブル22および22aに沿って転がり、第2の支持ローラ13、13aは何れの場合も支持ケーブル22’および22a’に沿って転がる。さらに、下に配置された支持フレーム42は同様に何れの場合も支持ケーブル40により二対の第1の支持ケーブル21、21’および21a、21a’に結び付けられる。しかしながら、これらの支持フレーム42は二つの個々の支持ケーブル23および23aのみを支え、何れの場合もこの上を第2の支持ローラ13および13aが転がる。コンベヤベルト1の戻りストランド1bは荷重には掛からないので、それが関連する支持ケーブル23および23aの上でガイドされるのが各第2の支持ローラ13および13aのみであるかどうかは重要ではない。
【0024】
コンベヤベルト1の戻りストランド1bには荷重が掛からないので第3の支持ケーブル23および23aはほんのわずかしか支持機能を果たさず、その結果、それらはほぼ直線的に走行できる。従って、コンベヤベルト1の戻りストランド1bがほぼ直線的に走行し、その理由により、それが支持ローラの上でガイドされる必要がないのも実情である。これは、積み下ろし場所においてコンベヤベルト1を方向転換する必要がなく、その理由により、積み下ろし場所と積み込み場所に方向転換手段を設ける必要がないことを意味する。その結果、そのような搬送装置の設計は実質的に簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】発明による搬送装置の側面図を示す。
【図1A】装置の長手方向に見た、図1による搬送装置の詳細を示す。
【図2】図1に対して拡大された尺度の、図1による搬送装置の一部の側面図である。
【図2A】装置の長手方向に見た図である。
【図3】図1による搬送装置のさらなる詳細の側面図である。
【図4】図1による搬送装置の変形の軸測投象図である。
【符号の説明】
【0026】
1 コンベヤベルト
1a 前進ストランド
1b 戻りストランド
2 支持ケーブル
3 支柱
4 支持手段
10 搬送バー
11 偏向ドラム
12 偏向ドラム
13 支持ローラ
13a 支持ローラ
21 第1の支持ケーブル
21a 第1の支持ケーブル
22 第2の支持ケーブル
22a 第2の支持ケーブル
23 第3の支持ケーブル
23a 第3の支持ケーブル
40 支持要素
41 支持フレーム
42 支持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を搬送する搬送装置において、
前記装置の末端において偏向ドラムの周りにガイドされ、前進ストランドと戻りストランドに沿って延びる無限コンベヤベルトと、
一つ以上の支柱および前記支柱により支えられる一対の第1の支持ケーブルと、
一対の第2の支持ケーブルと一対の第3の支持ケーブルを保持する前記第1の支持ケーブルに結びつけられた支持手段と
を備える搬送装置であって、
前記コンベヤベルトが各端部に支持ローラが取り付けられた支持バーを含み、前記コンベヤベルトの前記前進ストランドの前記支持ローラが前記第2の支持ケーブルに沿って転がり、前記コンベヤベルトの前記戻りストランドの前記支持ローラが前記第3の支持ケーブルに沿って転がり、
前記支持手段が、前記支柱の間で懸垂曲線に沿って走行する前記第2の支持ケーブルを保持する第1の支持フレームと、前記装置の進路にわたり実質的に直線的に走行する前記第3の支持ケーブルを保持する第2の支持フレームとを含む
搬送装置。
【請求項2】
前記第1の支持フレームが前記第1の支持ケーブルに直接結び付けられ、実質的に一様な高さを有し、それにより、前記装置に沿う前記第2の支持ケーブルの高さの輪郭が前記装置の進路にわたり前記一対の第1の支持ケーブルの高さの輪郭に実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2の支持フレームが実質的に一様な高さを有し、前記第2の支持フレームが結合要素を介して前記第1の支持フレームまたは前記第1の支持ケーブルに結び付けられ、前記結合要素が前記装置の進路にわたり互いに異なる長さを有し、前記第3の支持ケーブルが前記装置の進路にわたり実質的に直線的に走行することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1の支持ケーブルが複数の互いに平行な支持ケーブルであることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の支持ケーブルが互いに隣り合って実質的に水平方向に設けられた複数の支持ケーブルであり、前記支持ローラが、互いに軸方向にずらされた連続する支持バー上に設けられ、それにより、第1の前記支持バーの前記支持ローラが前記第2の支持ケーブルの第1の支持ケーブルに沿って転がり、次の前記支持バーの前記支持ローラが前記第2の支持ケーブルの水平方向に隣接する第2の支持ケーブルに沿って転がることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−51664(P2009−51664A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−330413(P2007−330413)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(500579431)インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (31)
【Fターム(参考)】