説明

コンベヤベルト

【課題】電子部品を熱から保護できるとともに、電子部品内蔵装置の破損及びゴムベルトの破断を生じにくくできて耐久性に優れたコンベヤベルトを提供する。
【解決手段】電子部品4と電子部品4を覆うセラミック筐体5とを備えた電子部品内蔵装置3が埋め込まれたコンベヤベルト1において、電子部品内蔵装置3におけるセラミック筐体5が一方向に長い形状に形成され、電子部品内蔵装置3は、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるようにコンベヤベルト1のゴムベルト20に埋め込まれたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトの性状を検出するためのベルトモニタリングシステムに用いられるコンベヤベルトであって、トランスポンダ等の電子部品を内蔵した電子部品内蔵装置が埋め込まれたコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスポンダ、温度センサ、圧力センサなどの電子部品がゴムベルトに埋め込まれたコンベヤベルトが知られている(例えば、特許文献1など参照)。
また、トランスポンダとトランスポンダを覆うセラミック筐体とを備えた電子部品内蔵装置が埋め込まれたタイヤやゴム支承が知られている(例えば、特許文献2乃至4など参照)。
【特許文献1】特開2006−52039号公報
【特許文献2】特開平9−237398号公報
【特許文献3】特開2006−103124号公報
【特許文献4】特開平10−25710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加硫時の熱対策を目的としてセラミック筐体を備えた上記電子部品内蔵装置をゴムベルトに埋め込んでコンベヤベルトを形成することが考えられる。しかしながら、コンベヤベルトは、ベルトコンベヤ装置に使用された場合にベルトコンベヤ装置の機体のプーリやキャリアのような部位で屈曲するので、屈曲によって、電子部品内蔵装置のセラミック筐体および電子部品が破損したり、セラミック筐体の破損部位を起点としてゴムベルトに亀裂が生じ易くなってゴムベルトが破断する等の課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、電子部品を熱から保護できるとともに、電子部品内蔵装置の破損及びゴムベルトの破断を生じにくくできて耐久性に優れたコンベヤベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるコンベヤベルトは、電子部品と電子部品を覆うセラミック筐体とを備えた電子部品内蔵装置が埋め込まれたコンベヤベルトにおいて、電子部品内蔵装置におけるセラミック筐体が一方向に長い形状に形成され、電子部品内蔵装置は、セラミック筐体の長手方向がコンベヤベルトの幅方向に沿って延長する向きとなるようにコンベヤベルトのゴムベルトに埋め込まれたことを特徴とする。
電子部品内蔵装置は、ベルトコンベヤ装置の機体により屈曲する部分を避けて設けられたことも特徴とする。
電子部品内蔵装置は、コンベヤベルトの幅方向の中間部に設けられたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、セラミック筐体が電子部品内蔵装置内の電子部品を熱から保護し、かつ、セラミック筐体の長手方向がコンベヤベルトの幅方向に沿って延長する向きとなるようにコンベヤベルトのゴムベルトに電子部品内蔵装置が埋め込まれたので、電子部品内蔵装置の破損及びゴムベルトの破断を生じにくくできて耐久性に優れたコンベヤベルトを得ることができる。
電子部品内蔵装置がベルトコンベヤ装置の機体により屈曲する部分を避けて設けられたので、コンベヤベルトが機体により屈曲しても、電子部品内蔵装置の破損及びゴムベルトの破断を生じにくくできて耐久性に優れたコンベヤベルトを得ることができる。
電子部品内蔵装置がコンベヤベルトの幅方向の中間部に設けられたことで、電子部品内蔵装置がコンベヤベルトの幅方向の側部に設けられた場合に比べて、電子部品内蔵装置がコンベヤベルトの屈曲の影響を受けにくくなり、電子部品内蔵装置の破損及びゴムベルトの破断を生じにくくできて耐久性に優れたコンベヤベルトを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図4は最良の形態を示し、図1はコンベヤベルトの平面を示し、図2はコンベヤベルトの断面を示し、図3はコンベヤベルトを示し、図4はコンベヤベルトの製造方法を示す。
【0007】
コンベヤベルト1の構造を説明する。図3に示すように、コンベヤベルト1は、電子部品内蔵装置3を埋め込んだ電子部品内蔵装置付きゴムベルト2が無端状に形成されたものである。
図1;2に示すように、電子部品内蔵装置3は、ICタグ(トランスポンダ)のような電子部品4とこの電子部品4を覆うセラミック筐体5とにより形成される。即ち、換言すれば、電子部品内蔵装置3は、例えば、セラミックコーティングを施したICタグにより形成される。このICタグとしては、例えば、特許文献1乃至4に開示されたトランスポンダと同じ構成のものを用いればよい。このようなICタグを備えた電子部品内蔵装置3がゴムベルト20(図2参照)に埋め込まれて形成されたコンベヤベルト1をベルトモニタリングシステムに用いることによって、コンベヤベルト1の製造履歴管理や修理履歴管理が可能となる。
【0008】
尚、電子部品内蔵装置3としては、特許文献1に開示されたトランスポンダ(ICタグ)と温度センサと圧力センサとこれら電子部品4の全てを覆うセラミック筐体5とにより形成された電子部品内蔵装置3を用いても良い。このような温度センサや圧力センサを備えた電子部品内蔵装置3がゴムベルト20(図2参照)に埋め込まれて形成されたコンベヤベルト1をベルトモニタリングシステムに用いることによって、ベルトコンベヤ装置におけるコンベヤベルト1のキャリアローラの回転不良やコンベヤベルト1の温度を検出することが可能となる。また、特許文献2に開示されたトランスポンダ(ICタグ)と圧電素子とこれら電子部品4の全てを覆うセラミック筐体5とにより形成された電子部品内蔵装置3を用いてもよい。また、特許文献3に開示されたトランスポンダ(ICタグ)と圧電素子又は熱電素子とこれら電子部品4の全てを覆うセラミック筐体5とにより形成された電子部品内蔵装置3を用いてもよい。
【0009】
セラミック筐体5は、厚さが薄く、一方向に長い長方形の平板状に形成される。セラミック筐体5の寸法は、例えば、厚さ1.0mm、長方形の長辺の長さ100mm、長方形の短辺の長さ15mmに形成される。
【0010】
電子部品内蔵装置3は、コンベヤベルト1の中心線Cに沿ったコンベヤベルト1の幅方向Bの中央部Dにおいて、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるように、コンベヤベルト1のゴムベルト20に埋め込まれる。即ち、コンベヤベルト1は、電子部品内蔵装置3が、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるように、かつ、コンベヤベルト1の中心線Cに沿ったコンベヤベルト1の幅方向Bの中間部Dに埋め込まれた構成を備える。
【0011】
図2に示すように、電子部品内蔵装置付きゴムベルト2のゴムベルト20は、例えば、上面または下面を形成するカバーゴム21;22と、それらの間に設けられた補強層23とにより構成される。補強層23は帆布あるいはスチールを用いる。
【0012】
コンベヤベルト1の製造方法を説明する。例えば、図4に示すように、カバーゴム21を巻いた巻枠8から巻き出されたカバーゴム21と補強層23を巻いた巻枠9から巻き出された補強層23とカバーゴム22を巻いた巻枠10から巻き出されたカバーゴム22とが重ねられた状態で圧着ローラ11;11に通された後に、これらカバーゴム21と補強層23とカバーゴム22とが互いに圧着されて形成されたゴムベルトが加硫機12に送られて加硫されるゴムベルト製造工程において、カバーゴム21と補強層23とカバーゴム22とが圧着ローラ11;11により圧着される前に、カバーゴム21、補強層23、カバーゴム22のいずれかの上に電子部品内蔵装置3が設置された後に、カバーゴム21と補強層23とカバーゴム22とが圧着ローラ11;11に通されることによって、電子部品内蔵装置3が埋め込まれた状態のゴムベルト2が形成される。この際、電子部品内蔵装置3は、図1に示すように、コンベヤベルト1の中心線Cに沿ったコンベヤベルト1の幅方向Bの中央部Dにおいて、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるように設置される。電子部品内蔵装置3の設置作業は、専用のロボット、あるいは、作業員による手作業によって行う。
【0013】
そして、電子部品内蔵装置3が埋め込まれた状態のゴムベルト2が加硫機12に送られて加硫される。尚、セラミック筐体5に前処理(セラミックに接着剤をぬる)を施し、ゴム中に埋め込み、加硫する事で、加硫接着する。この際、セラミック筐体5が電子部品内蔵装置3内の電子部品4を熱から保護するので、熱による電子部品4の損傷を防止できる。
【0014】
以上により、図1に示すように、電子部品内蔵装置3が、コンベヤベルト1の中心線Cに沿ったコンベヤベルト1の幅方向Bの中間部Dに、電子部品内蔵装置3のセラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるように、ゴムベルト20に埋め込まれた電子部品内蔵装置付きゴムベルト2が製造される。電子部品内蔵装置付きゴムベルト2は巻枠16で巻き取られる。
【0015】
このように形成された電子部品内蔵装置付きゴムベルト2が帯状となるように任意の長さに切断され、その帯状の電子部品内蔵装置付きゴムベルト2の一端と他端とがつなぎ合わされて無端状のコンベヤベルト1が形成される(図3参照)。
【0016】
最良の形態1によれば、電子部品内蔵装置3のセラミック筐体5が、加硫時において電子部品4を熱から保護するので、電子部品内蔵装置3の破損を防止できる。また、電子部品内蔵装置3は、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるようにコンベヤベルト1のゴムベルト20に埋め込まれたので、電子部品内蔵装置3がコンベヤベルト1の屈曲時の影響を受けにくくなるので、電子部品内蔵装置3の破損やコンベヤベルト1の破断を生じにくくできる。さらに、電子部品内蔵装置3がコンベヤベルト1の幅方向Bの中間部Dに設けられたことで、電子部品内蔵装置3がコンベヤベルト1の幅方向Bの側部に設けられた場合に比べて、コンベヤベルト1の屈曲の影響を受けにくくなる。
【0017】
最良の形態2
図5に示すように、キャリア30のような機体レイアウトを備えたベルトコンベヤ装置に用いるコンベヤベルト1の場合、コンベヤベルト1がキャリア30を通過する際に屈曲する部分31を避けて電子部品内蔵装置3を埋め込まれた構成のコンベヤベルト1とすればよい。例えば、最良の形態1と同様に、電子部品内蔵装置3が、コンベヤベルト1の幅方向Bの中間部Dに設けられ、かつ、セラミック筐体5の長手方向Aがコンベヤベルト1の幅方向Bに沿って延長する向きとなるようにゴムベルト20に埋め込まれたコンベヤベルト1とすればよい。32はローラである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のコンベヤベルト1は、コンベヤベルト1の製造履歴管理や修理履歴管理、コンベヤベルト1のキャリアローラ(リターンローラ)の回転不良、コンベヤベルト1の温度管理、その他のコンベヤベルト1の情報を管理するためのベルトモニタリングシステムに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンベヤベルトの平面図(最良の形態1)。
【図2】コンベヤベルトの断面図(最良の形態1)。
【図3】コンベヤベルトを示す図(最良の形態1)。
【図4】コンベヤベルトの製造方法を示す図(最良の形態1)。
【図5】コンベヤベルトの断面図(最良の形態2)。
【符号の説明】
【0020】
1 コンベヤベルト、2 電子部品内蔵装置付きゴムベルト、3 電子部品内蔵装置、4 電子部品、5 セラミック筐体、20 ゴムベルト、31 屈曲する部分、
A セラミック筐体の長手方向、B コンベヤベルトの幅方向、
D コンベヤベルトの幅方向の中間部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と電子部品を覆うセラミック筐体とを備えた電子部品内蔵装置が埋め込まれたコンベヤベルトにおいて、電子部品内蔵装置におけるセラミック筐体が一方向に長い形状に形成され、電子部品内蔵装置は、セラミック筐体の長手方向がコンベヤベルトの幅方向に沿って延長する向きとなるようにコンベヤベルトのゴムベルトに埋め込まれたことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
電子部品内蔵装置は、ベルトコンベヤ装置の機体により屈曲する部分を避けて設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
電子部品内蔵装置は、コンベヤベルトの幅方向の中間部に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベヤベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−208893(P2009−208893A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53405(P2008−53405)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】