説明

コンベヤベルト

【課題】ベルト強力を維持しつつ、スチールコードの小径化を図ること。
【解決手段】ストランド13a、13bは、3本のコアフィラメント14aが撚り合わされて構成されたコア部15に、複数本のシースフィラメント14bが、該コア部15の周囲に少なくとも1層のシース層16を形成するように撚り合わされてなるコンベヤベルトを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示すような、本体ゴム内に、ベルト長手方向に延在するスチールコードが埋設されたコンベヤベルトが知られているが、この種のコンベヤベルトでは、スチールコードは、複数本のストランドが撚り合わされて構成されている。該スチールコードとしては、いわゆる7×7構造、または7×19構造が採用されており、前記ストランドは、1本のコアフィラメントに複数本のシースフィラメントが、コアフィラメントの周囲に1層または2層のシース層を形成するように撚り合わされてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−248427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコンベヤベルトでは、ベルト強力を維持しつつ、スチールコードを小径化することについて改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ベルト強力を維持しつつ、スチールコードの小径化を図ることができるコンベヤベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るコンベヤベルトは、複数本のストランドが撚り合わされて構成されベルト長手方向に延在するスチールコードが、本体ゴム内に埋設されてなるコンベヤベルトであって、前記ストランドは、3本のコアフィラメントが撚り合わされて構成されたコア部に、複数本のシースフィラメントが、該コア部の周囲に少なくとも1層のシース層を形成するように撚り合わされてなることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ストランドが、3本のコアフィラメントが撚り合わされて構成されたコア部に、複数本のシースフィラメントが、該コア部の周囲に少なくとも1層のシース層を形成するように撚り合わされてなるので、コア部の外周側に位置し、撚り合わされたコアフィラメント同士のストランド軸回りの隙間内に、複数本のシースフィラメントのうち、コア部に隣接するシース層を形成するシースフィラメントを進入させ易くすることが可能になり、コア部にシースフィラメントを密に撚り合わせることができる。
【0008】
これにより、コード軸に直交するスチールコードの横断面視に占めるフィラメントの割合を高めることが可能になり、フィラメントを小径にしてスチールコードを小径化しても、ベルト強力を維持することができる。
【0009】
またこのように、フィラメントおよびスチールコードの小径化を図ることにより、スチールコードに柔軟性を具備させることが可能になり、コンベヤベルトをベルト長手方向に湾曲させるときに、曲率半径が小さくなるように湾曲させ易くすることができる。
したがって、例えば本体ゴムが無端帯状に形成されている場合には、当該コンベヤベルトを小径なプーリに巻回すること等が可能になり、当該コンベヤベルトの設置時の環境に制約を生じ難くして、その適用範囲を多岐にわたらせることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るコンベヤベルトによれば、ベルト強力を維持しつつ、スチールコードの小径化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンベヤベルトの部分断面を含む斜視図である。
【図2】図1に示すコンベヤベルトに備えられたスチールコードの拡大断面図である。
【図3】図2に示すスチールコードに係る変形例の拡大断面図である。
【図4】図2に示すスチールコードに係る変形例の拡大断面図である。
【図5】図2に示すスチールコードに係る変形例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るコンベヤベルトを説明する。
図1に示すように、コンベヤベルト10は、本体ゴム11内に、ベルト長手方向Lに延在するスチールコード12が埋設された構成となっている。
【0013】
本体ゴム11は、無端帯状に形成され、図示しない駆動プーリおよび従動プーリに巻回されている。なお本体ゴム11は、例えば天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)もしくはクロロプレンゴム(CR)等、またはこれらを2種以上混合したゴム材料で形成されている。
【0014】
スチールコード12は、ベルト幅方向Hに間隔をあけて複数配設されている。
ここで図2に示すように、スチールコード12は、複数本のストランド13a、13bが撚り合わされてなり、本実施形態では、1本のコアストランド13aに6本のシースストランド13bが、該コアストランド13aの周囲を囲うように撚り合わされた構成となっている。
【0015】
そして本実施形態では、各ストランド13a、13bは、3本のコアフィラメント14aが撚り合わされてなるコア部15に、複数本のシースフィラメント14bが、該コア部15の周囲に1層のシース層16を構成するように撚り合わされて構成されている。
【0016】
図示の例では、全てのストランド13a、13bにおいて、シース層16を構成するシースフィラメント14bの本数は同一とされ、シース層16は、8本のシースフィラメント14bにより構成されている。これにより、スチールコード12は、いわゆる7×(3+8)構造となっている。
また、各フィラメント14a、14bの線径は同等となっている。なお各フィラメント14a、14bには、例えばブラスメッキ処理や亜鉛メッキ処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0017】
以上説明したように、本実施形態に係るコンベヤベルト10によれば、各ストランド13a、13bが、3本のコアフィラメント14aが撚り合わされて構成されたコア部15に、複数本のシースフィラメント14bが、該コア部15の周囲に1層のシース層16を形成するように撚り合わされてなるので、コア部15の外周側に位置し、撚り合わされたコアフィラメント14a同士のストランド軸回りの隙間17内に、シース層16を形成するシースフィラメント14bを進入させ易くすることが可能になり、コア部15にシースフィラメント14bを密に撚り合わせることができる。
【0018】
これにより、コード軸に直交するスチールコード12の横断面視に占めるフィラメント14a、14bの割合を高めることが可能になり、フィラメント14a、14bを小径にしてスチールコード12を小径化しても、ベルト強力を維持することができる。
なお図2は模式的に描いたものであり、複数のシースフィラメント14bのうちの一部は、複数の前記隙間17のうちの1つに進入している。
【0019】
またこのように、フィラメント14a、14bおよびスチールコード12の小径化を図ることにより、スチールコード12に柔軟性を具備させることが可能になり、コンベヤベルト10をベルト長手方向Lに湾曲させるときに、曲率半径が小さくなるように湾曲させ易くすることができる。
したがって、本実施形態のように本体ゴム11が無端帯状に形成されている場合には、当該コンベヤベルト10を小径なプーリに巻回すること等が可能になり、当該コンベヤベルト10の設置時の環境に制約を生じ難くして、その適用範囲を多岐にわたらせることができる。
【0020】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、全てのストランド13a、13bにおいて、シース層16を構成するシースフィラメント14bの本数は同一とされているものとしたが、これに限られず、シース層を構成するシースフィラメントの本数がストランド毎に異なっていてもよい。
【0021】
また前記実施形態では、各ストランド13a、13bのシース層16は、8本のシースフィラメント14bにより構成されているものとしたが、これに限られるものではなく、図3に示すスチールコード20のように、シース層16が9本のシースフィラメント14bにより構成されたいわゆる7×(3+9)構造であってもよい。さらに、シース層16を構成するシースフィラメント14bの本数は、これらに限られない。
なお図3は模式的に描いたものであり、複数のシースフィラメント14bのうちの一部は、複数の前記隙間17のうちの1つに進入している。
【0022】
また前記実施形態では、コア部15の周囲に1層のシース層16が形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、コア部の周囲に少なくとも1層のシース層が形成されていればよい。例えば図4および図5に示すスチールコード30、40のように、2層のシース層18、19が形成されていてもよく、3層以上のシース層が形成されていてもよい。
なお、図4に示すスチールコード30は、2層のシース層18、19のうち、コア部15に隣接する第1シース層18が、9本のシースフィラメント14bにより構成されるとともに、第1シース層18の周囲を囲う第2シース層19が、12本のシースフィラメント14bにより構成されており、いわゆる7×(3+9+12)構造となっている。
また、図5に示すスチールコード40は、第1シース層18が、9本のシースフィラメント14bにより構成されるとともに、第2シース層19が、15本のシースフィラメント14bにより構成されており、いわゆる7×(3+9+15)構造となっている。
以上のように、複数層のシース層を形成することにより、前記横断面視に占めるフィラメント14a、14bの割合をより高めることが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
なお、図4および図5は模式的に描いたものであり、複数のシースフィラメント14bのうちの一部は、複数の前記隙間17のうちの1つに進入している。
また、第1シース層18および第2シース層19を構成するシースフィラメント14bの本数は、これらのスチールコード30、40に採用した本数に限られない。
【0023】
また前記実施形態では、各フィラメント14a、14bの線径は同等となっているものとしたが、互いに異なっていてもよい。
さらに前記実施形態では、本体ゴム11は、無端帯状に形成されているものとしたが、ベルト長手方向Lに両端部を有する有端帯状に形成されていてもよい。
さらにまた、本体ゴム11には、例えばコンベヤベルト10の曲げ剛性を向上させる補強層などが埋設されていてもよい。
【0024】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0025】
L ベルト長手方向
10 コンベヤベルト
11 本体ゴム
12、20、30、40 スチールコード
13a、13b ストランド
14a コアフィラメント
14b シースフィラメント
15 コア部
16、18、19 シース層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のストランドが撚り合わされて構成されたベルト長手方向に延在するスチールコードが、本体ゴム内に埋設されてなるコンベヤベルトであって、
前記ストランドは、3本のコアフィラメントが撚り合わされて構成されたコア部に、複数本のシースフィラメントが、該コア部の周囲に少なくとも1層のシース層を形成するように撚り合わされてなることを特徴とするコンベヤベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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