説明

コンベヤ用走行フレーム装置

【課題】洗浄等のメンテナンスが容易になり、清潔な状態を保つことができ、特に食品等を搬送するのに好適なコンベヤ用走行フレーム装置を提供する。
【解決手段】フレーム材10の内側に突出し、連結クランプ20が把持する連結突起11を設ける。連結突起11からコンベヤチェーン30を支持する支持片12を設ける。支持片12の上端部に嵌合する走行レール40を設ける。走行レール40の上にコンベヤチェーン30のトッププレート31を着脱自在に載せる。連結突起11を把持するように設けた一対の連結板21で連結クランプ20を構成する。連結板21の板面を垂直にした状態で連結ボルト22にて連結する。コンベヤチェーン30から流れ落ちる流体物が該連結板21の間から下に流れ落ちるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、洗浄等のメンテナンスが容易になり、清潔な状態を保つことができ、特に食品等を搬送するのに好適なコンベヤ用走行フレーム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤ用走行フレーム装置に使用されるフレーム材等にあっては、鉄材やステンレススチール材、あるいはアルミ材などが利用されていた。ところが、鉄材やステンレススチール材では、適切な加工精度、剛性を得るためには厚い板材を使う必要があったので、コスト削減や軽量化に限界が生じていた。
【0003】
一方、アルミ製のフレーム材にあっては、搬送環境に於いて、湿気や水が存在すると酸化アルミニウム化合物質が発生する虞がある。この酸化アルミニウム化合物質は有害であり、食品加工分野だけでなく、他の産業分野で働く環境においても衛生面上好ましくない。
【0004】
そこで、当出願人は、このような課題を解消し、比較的薄いフレーム材でも、強度、剛性が高く、軽量で、高い加工精度のフレーム材の提供が可能になるコンベヤ用走行フレーム装置を先に提案している(特許文献1)。
【0005】
このコンベヤ用走行フレーム装置によると、搬送コンベヤに使用される走行フレーム装置や、ガイドレール、あるいは、受けレール等として最適なフレーム材が提供されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3498179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1のコンベヤ用走行フレーム装置によると、フレーム材の内側に屈曲形成された走行レールに、コンベヤチェーンの側面を嵌合させて装着しているので、このコンベヤチェーンを装着した後、このコンベヤが汚れた場合には、コンベヤ終端でコンベヤチェーンを切り離し、コンベヤからコンベヤチェーンを取り出す必要があった。このため、コンベヤチェーンを洗浄する作業が極めて困難になる課題があった。
【0008】
例えば、牛乳などの食品を搬送する場合、牛乳がこぼれてコンベヤチェーンやフレーム材などを汚してしまうことが想定される。このような場合、コンベヤチェーンの表面の汚れを拭き取ることは可能でも、コンベヤチェーンの裏面及びフレーム内側に付着した汚れを拭き取ることは極めて困難な作業になっている。
【0009】
しかも、ベルトの下方には、フレーム材を連結するクランプなどの部材があり、コンベヤチェーンから流れ落ちた牛乳などでクランプが汚れてしまうと、もはやフレーム材を分解して掃除する以外に手段はないのが現状である。
【0010】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、洗浄等のメンテナンスが容易になり、清潔な状態を保つことができ、特に食品等を搬送するのに好適なコンベヤ用走行フレーム装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、コンベヤチェーン30の搬送方向に沿って配置され、該コンベヤチェーン30の左右両端部を支持する左右一対のフレーム材10と、該左右のフレーム材10をフレーム材10の内側で連結する連結クランプ20とを備えたコンベヤ用走行フレーム装置において、
フレーム材10は、各フレーム材10の内側に突出し、連結クランプ20が把持する連結突起11が設けられ、該連結突起11から屈曲形成され鉛直上方を向いてコンベヤチェーン30の両端部を支持する支持片12が設けられ、
該支持片12の上端部に嵌合する走行レール40を設けると共に、該走行レール40の上にコンベヤチェーン30の上面から左右に張り出したトッププレート31を着脱自在に載せてコンベヤチェーン30が走行するように構成し、
連結クランプ20は、連結突起11を把持する把持部21Aを左右両端部に設けた一対の連結板21の板面を垂直にした状態で連結ボルト22が水平に貫通して連結するように構成され、コンベヤチェーン30から流れ落ちる流体物が該連結板21の間から下に流れ落ちるように構成したしたことにある。
【0012】
第2の手段において、前記連結クランプ20は、前記連結突起11に外嵌して該連結突起を把持する形状の把持部21Aを左右両端部に設けた一対の連結板21と、
これら連結板21の板面間に配置される固定管23と、
連結板21の一方から固定管23内を貫通し他方の連結板21の板面から突出する連結ボルト22と、該連結ボルト22の端部にネジ止めせしめる固定ナット24と連結板21との間に介されて左右のフレーム材10を押圧する固定バネ板25とで構成されたものである。
【0013】
第3の手段において、前記フレーム材10は、前記連結突起11から下方に屈曲延長され、且つフレーム材10の内側に向けてL型に屈曲された係止突片14を形成し、該係止突片14で、前記コンベヤチェーン30の下面から左右に張り出したタブ32を係止するように構成し、前記連結突起11から前記支持片12に至る屈曲部、及び係止突片14の屈曲部に、液体を排出せしめる水抜き孔15を適宜穿設したことにある。
【0014】
第4の手段は、前記コンベヤチェーン30及び前記走行レール40を合成樹脂材にて形成したことにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によると、コンベヤチェーン30がフレーム材10の支持片12に着脱自在に載置するように構成しているから、コンベヤチェーン30が汚れても、フレーム材10から外してコンベヤチェーン30の裏面の汚れまで拭き取ることができる。したがって、洗浄等のメンテナンスが容易になる。しかも、コンベヤチェーン30から流れ落ちる流体物は、連結クランプ20の連結板21の間から下に流れ落ちるように構成しているので、清潔な状態を保つことができる。この結果、特に食品等を搬送するのに好適なコンベヤ用走行フレーム装置を提供することができる。
【0016】
請求項2のように、連結クランプ20は、連結突起11に外嵌して把持する把持部21Aを設けた連結板21と、2枚の連結板21の間に配置される固定管23と、これら2枚の連結板21の一方から固定管23内を貫通し他方の連結板21の側面から突出する連結ボルト22と、該連結ボルト22の端部にネジ止めする固定ナット24と連結板21との間に介されて左右のフレーム材10を押圧せしめる固定バネ板25とで構成されているので、簡単な構成で左右のフレーム材10を確実に連結することができる。
【0017】
また、2枚の連結板21の間に固定管23を配置して、この内部に連結ボルト22を挿通するように構成しているので、コンベヤチェーン30から流れ落ちる流体物が2枚の連結板21の間から下に流れるときに、連結ボルト22のネジ山に残留する虞を解消する。しかも、洗浄の際も簡単に汚れを落とすことができるので、清潔な使用を可能にしている。
【0018】
さらに、連結ボルト22の端部にネジ止めする固定ナット24と連結板21との間に介されて左右のフレーム材10を押圧せしめる固定バネ板25を備えているので、左右のフレーム材10を強固に連結することが可能になり、走行時の振動にも耐え得る高い強度の連結力を発揮するものである。
【0019】
請求項3のごとく、フレーム材10に係止突片14を形成し、該係止突片14で、前記コンベヤチェーン30のタブ32を係止するように構成しているので、フレーム材10の上部から下部に移動して天地が逆になったコンベヤチェーン30を係止突片14が支持することができる。
【0020】
そして、連結突起11から支持片12に至る屈曲部や係止突片14の屈曲部に、液体を排出せしめる水抜き孔15を適宜穿設しているので、フレーム材10の各屈曲部分に流れた流体物は、この水抜き孔15から排出されるので、フレーム材10を清潔な状態に保つことができる。
【0021】
請求項4のごとく、コンベヤチェーン30及び前記走行レール40を合成樹脂材にて形成したことにより、特に、拭き取りや洗浄等のメンテナンスが容易になり、食品を搬送するのに好適なコンベヤ用走行フレーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す使用状態の正断面図である。
【図2】本発明のコンベヤチェーンを外した状態を示す正断面図である。
【図3】本発明の連結クランプの一実施例を示す使用状態の斜視図である。
【図4】本発明の連結クランプの一実施例を示す使用状態の平面図である。
【図5】本発明のコンベヤチェーンを外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によると、洗浄等のメンテナンスが容易になり、清潔な状態を保つことができ、特に食品等を搬送するのに好適になるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明の基本構成は、コンベヤチェーン30を支持するフレーム材10と、このフレーム材10相互を連結する連結クランプ20とで構成されている(図1参照)。
【0025】
フレーム材10は、コンベヤチェーン30の左右両端部を支持する左右一対の部材で、コンベヤチェーン30の搬送方向に沿って配置される。このフレーム材10には、各フレーム材10の内側に突出し、連結クランプ20が把持する連結突起11が設けられている。図示例の連結突起11は、断面略C字形状を成し、連結クランプ20に近いほど縦幅が広く、連結クランプ20から遠ざかるほど縦幅が狭くなっている(図1参照)。
【0026】
さらに、連結突起11から屈曲形成され鉛直上方を向いた支持片12を設けている。この支持片12は、コンベヤチェーン30の両端部を支持するものである。したがって、コンベヤチェーン30を簡単に持ち上げることができる(図2参照)。一方、連結突起11から下方には、フレーム材10の内側に向けてL型に屈曲された係止突片14を屈曲延長している。そして、この係止突片14で、コンベヤチェーン30の下面から左右に張り出したタブ32を係止する。このタブ32は、コンベヤチェーン30が反転して転地が逆になったときに係止突片14に係止されるものである。
【0027】
フレーム材10の各屈曲部には、水抜き孔15を開穿している。すなわち、連結突起11から支持片12に至る屈曲部や、係止突片14の屈曲部に開穿している(図1参照)。水抜き孔15は、これらの屈曲部から液体を排出せしめるようにしている。図示例では、連結突起11から係止突片14に至る屈曲部にも水抜き孔15を開穿してある。
【0028】
また、支持片12の上端部に嵌合する合成樹脂製の走行レール40を設けてあり、この走行レール40の上にコンベヤチェーン30の左右両端部を着脱自在に載せた状態でコンベヤチェーン30が走行するものである(図1参照)。図示例では、フレーム材10の支持片12に、上端部を外側下向きに折り返して肉厚に形成した折り返し片13が設けられ、該折り返し片13に走行レール40を嵌合している。
【0029】
一方、連結クランプ20は、該左右のフレーム材10をフレーム材10の内側で連結する部材である。この連結クランプ20は、連結突起11を把持するように設けた一対の連結板21の板面を垂直にした状態で連結するもので、連結ボルト22がこれらの板面を水平に貫通して連結するように構成している(図3参照)。この結果、コンベヤチェーン30から流れ落ちる流体物は、該連結板21の間から下に流れ落ちることになる。
【0030】
この連結クランプ20は、さらに、連結板21、連結ボルト22、固定管23、固定ナット24、固定バネ板25にて構成されている(図4参照)。
【0031】
連結板21は、連結突起11に外嵌して該連結突起を把持する形状の把持部21Aを左右両端部に設けた板状の部材である。図示の把持部21Aは、連結突起11に外嵌する略C字形状を成している(図1参照)。
【0032】
固定管23は、2枚の連結板21の間に配置されるもので、連結板21相互の間隔を一定にすると共に、この連結板21の板面中央部を貫通する連結ボルト22を被覆するものである(図4参照)。この固定管23によって連結板21相互の間隔を維持すると共に、連結ボルト22のネジ山が露出するのを防止している。
【0033】
固定ナット24と固定バネ板25は、連結ボルト22の端部に装着する部材である。この連結ボルト22は、2枚の連結板21の一方から固定管23内を貫通し、他方の連結板21の側面から突出するもので、この連結ボルト22の突出した端部に装着される(図3参照)。この固定バネ板25は、平面W字上に屈曲された弾性板状を成し、固定ナット24と連結板21との間に装着されている。そして、この固定バネ板25を連結板21と連結ボルト22に装着した固定ナット24にて圧着すると、固定バネ板25の両端部が広がって、左右のフレーム材10を押圧するものである。
【0034】
コンベヤチェーン30は、フレーム材10に支持される部材であり、使用目的より材質やサイズ等を任意に変更できるものである。図示例のコンベヤチェーン30は、軽量で汚れ難くするために、合成樹脂材で形成している。このとき、コンベヤチェーン30の上面から左右に大きく張り出したトッププレート31と、コンベヤチェーン30の下面から左右に小さく張り出したタブ32とを有している(図2参照)。そして、トッププレート31は、走行レール40の上に載置され、タブ32は、フレーム材10の内側に向けてL型に屈曲された係止突片14に係止されるものである。
【0035】
本発明のメンテナンス時には、コンベヤチェーン30を走行レール40から持ち上げるだけで、フレーム材10の内部やコンベヤチェーン30の裏面を洗浄することができる(図5参照)。また、フレーム材10内部の連結クランプ20が汚れた場合でも、この状態で簡単に洗浄することが可能になり、常に清潔な状態を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の実施例において、特に食品用に好適なコンベヤ用走行フレーム装置として説明しているが、本発明の用途はこのような用途に限定されるものではなく、頻繁なメンテナンスが必要なコンベヤ用走行フレーム装置や、清潔な使用が求められる各種のコンベヤ用走行フレーム装置などに利用することができる。また、本発明のコンベヤ用走行フレーム装置の各構成や材質等は図示例等に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は任意である。
【符号の説明】
【0037】
10 フレーム材
11 連結突起
12 支持片
13 折り返し片
14 係止突片
15 水抜き孔
20 連結クランプ
21 連結板
21A 把持部
22 連結ボルト
23 固定管
24 固定ナット
25 固定バネ板
30 コンベヤチェーン
31 トッププレート
32 タブ
40 走行レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤチェーンの搬送方向に沿って配置され、該コンベヤチェーンの左右両端部を支持する左右一対のフレーム材と、該左右のフレーム材をフレーム材の内側で連結する連結クランプとを備えたコンベヤ用走行フレーム装置において、
フレーム材は、各フレーム材の内側に突出し、連結クランプが把持する連結突起が設けられ、該連結突起から屈曲形成され鉛直上方を向いてコンベヤチェーンの両端部を支持する支持片が設けられ、該支持片の上端部に嵌合する走行レールを設けると共に、該走行レールの上にコンベヤチェーンの上面から左右に張り出したトッププレートを着脱自在に載せてコンベヤチェーンが走行するように構成し、
連結クランプは、連結突起を把持する把持部を左右両端部に設けた一対の連結板の板面を垂直にした状態で連結ボルトが水平に貫通して連結するように構成され、コンベヤチェーンから流れ落ちる流体物が該連結板の間から下に流れ落ちるように構成したしたことを特徴とするコンベヤ用走行フレーム装置。
【請求項2】
前記連結クランプは、前記連結突起に外嵌して該連結突起を把持する形状の前記把持部を左右両端部に設けた一対の連結板と、これら連結板の板面間に配置される固定管と、連結板の一方から固定管内を貫通し他方の連結板の板面から突出する連結ボルトと、該連結ボルトの端部にネジ止めせしめる固定ナット及び連結板の間に介されて左右のフレーム材を押圧する固定バネ板とで構成された請求項1記載のコンベヤ用走行フレーム装置。
【請求項3】
前記フレーム材は、前記連結突起から下方に屈曲延長され、且つフレーム材の内側に向けてL型に屈曲された係止突片を形成し、該係止突片で、前記コンベヤチェーンの下面から左右に張り出したタブを係止するように構成し、前記連結突起から前記支持片に至る屈曲部、及び係止突片の屈曲部に、液体を排出せしめる水抜き孔を適宜穿設した請求項1記載のコンベヤ用走行フレーム装置。
【請求項4】
前記コンベヤチェーン及び前記走行レールは合成樹脂材にて形成された請求項1記載のコンベヤ用走行フレーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86904(P2013−86904A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227909(P2011−227909)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(506179929)ツバキ山久チエイン株式会社 (16)
【Fターム(参考)】