説明

コンベヤ装置

【課題】 搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置において、装置構成をごくシンプルなものとし、かつ既存のコンベヤ装置を極力流用可能として、装置コストを低廉に抑えることのできるコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】 既存のコンベヤ装置1の本体フレーム3の先端上部に、ヘッドプーリ4を備えかつ所定長さに構成したヘッドプーリユニット5の先端上部を、軸体9を介して上下方向へ回動自在に軸着する。また、この軸体9を支点として本体フレーム3に対してヘッドプーリユニット5の荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニット5の両側下端部にはそれぞれビーム型のロードセル10を備える。そして、搬送物がヘッドプーリユニット5上に搬送されたときのヘッドプーリユニット5の荷重の作用によって生じるロードセル10の歪み量と、搬送物の搬送速度とに基づいて搬送物の重量値を演算して求めるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種搬送物を連続的に搬送するコンベヤ装置に関し、特に搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂や粉体材料等の各種搬送物を連続的に搬送するコンベヤ装置において、搬送物の重量を搬送中に計量可能としたコンベヤ装置がある。このような、搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置として、例えば、特許文献1には、架台上に傾斜配置したコンベヤ装置の下方端部を水平軸にて枢支する一方、上方部をロードセルにて支承し、該ロードセルにて得られるコンベヤ上の搬送物の瞬間荷重と、コンベヤの走行速度とからコンベヤ上の搬送物の重量を演算して求め、これを表示するようにしたものが記載されている。
【特許文献1】実開昭55−32438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような搬送物の計量機能を備えた従来のコンベヤ装置においては、コンベヤ本体と、これを載置する架台、及び演算表示装置等を一体化して構成しているため、装置が比較的大掛かりなものとなる上、既存のコンベヤ装置の流用も困難であり、ある程度の装置コストを強いられることが予想される。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置において、装置構成をごくシンプルなものとし、かつ既存のコンベヤ装置を極力流用可能として、装置コストを低廉に抑えることのできるコンベヤ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のコンベヤ装置では、一端にテールプーリを備えた本体フレームの他端上部に、一端にヘッドプーリを備えかつ所定長さに構成したヘッドプーリユニットの他端上部を上下方向へ回動自在に軸着すると共に、この軸着部を支点として本体フレームに対してヘッドプーリユニットの荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニットの両側下端部にはそれぞれビーム型のロードセルを備え、搬送物がヘッドプーリユニット上に搬送されたときのヘッドプーリユニットの荷重の作用によって生じる前記ロードセルの歪み量と、搬送物の搬送速度とに基づいて搬送物の重量値を演算して求めるように構成したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載のコンベヤ装置では、前記本体フレームとヘッドプーリユニットとの軸着部は、テールプーリとヘッドプーリ間に巻回した無端ベルトの往行側のベルト線上に配したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明に係る請求項1記載のコンベヤ装置によれば、一端にテールプーリを備えた本体フレームの他端上部に、一端にヘッドプーリを備えかつ所定長さに構成したヘッドプーリユニットの他端上部を上下方向へ回動自在に軸着すると共に、この軸着部を支点として本体フレームに対してヘッドプーリユニットの荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニットの両側下端部にはそれぞれビーム型のロードセルを備え、搬送物がヘッドプーリユニット上に搬送されたときのヘッドプーリユニットの荷重の作用によって生じる前記ロードセルの歪み量と、搬送物の搬送速度とに基づいて搬送物の重量値を演算して求めるように構成したので、搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置を非常にシンプルに、かつ既存のコンベヤ装置の多くをそのまま流用して構成することが可能となり、装置コストを比較的低廉に抑えることができる。
【0008】
また、請求項2記載のコンベヤ装置によれば、記本体フレームとヘッドプーリユニットとの軸着部は、テールプーリとヘッドプーリ間に巻回した無端ベルトの往行側のベルト線上に配したので、ベルト張力の影響を極力受けにくい位置に支点を置け、作用点となる位置に備えたロードセルでは変動誤差の少ない安定した計量を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のコンベヤ装置にあっては、例えば、既存のコンベヤ装置を構成する、一端にテールプーリを備えた本体フレームの他端上部位置に、別途用意した、一端にヘッドプーリを備えかつ適宜長さに構成したヘッドプーリユニットの他端上部を上下方向へ回動自在に軸着すると共に、この軸着部を支点として本体フレームに対してヘッドプーリユニットの荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニットの両側下端部にはそれぞれビーム型のロードセルを備え付ける。なお、本体フレームとヘッドプーリユニットとの軸着部は、テールプーリとヘッドプーリ間に巻回した搬送用の無端ベルトの往行側、即ち上位側のベルト線上に位置するように配しており、ベルト張力の影響を極力受けにくい位置に支点を置くように図っている。
【0010】
そして、このように構成したコンベヤ装置に搬送物を供給し、搬送物がヘッドプーリユニット上に到達すると、その搬送物の重量を含めたヘッドプーリユニットの荷重の作用によって生じるロードセルの歪み量と、コンベヤ装置の搬送速度とに基づいて搬送物の重量値を自動的に演算して求める。このとき、ベルト張力の影響を受けにくい位置に支点を配しているため、作用点側のロードセルでは比較的変動誤差の少ない安定した計量を行うことができる。
【0011】
このように、本発明の搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置は、装置構成が極めてシンプルな上、既存のコンベヤ装置の多くをそのまま流用することができ、設置作業も容易にかつ短時間でできるため、装置コストを比較的低廉に抑えることができて好適である。また、ベルト張力の影響による変動誤差の少ない計量を行え、搬送物の計量を精度よく安定して行うことができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】
図中の1は土砂や粉体材料等の各種搬送物を連続的に搬送するベルトコンベヤ等のコンベヤ装置であって、テールプーリ2を備えた本体フレーム3と、ヘッドプーリ4を備えたヘッドプーリユニット5とを主体に構成しており、テールプーリ2とヘッドプーリ5間には無端ベルト6を巻回している。
【0014】
前記本体フレーム3は、既存のコンベヤ装置の本体フレームをそのまま流用したものであり、その一端にテールプーリ2を備えている一方、他端のヘッドプーリ部分は取り外して接続部7を形成している。なお、この本体フレーム3は、図面に記載のように一体ものであってもよいが、例えば、テールプーリを備えたテールフレームと、キャリヤローラ等を備えた複数の中間フレームとから構成されるものであってもよい。
【0015】
前記ヘッドプーリユニット5は、既存のコンベヤ装置のヘッドプーリを備えたヘッドフレーム部分に代えて配設されるものであって、その一端にヘッドプーリ4を備えている一方、他端には接続部8を形成しており、元々のヘッドフレーム部分と略同じ長さとなるように構成している。
【0016】
そして、前記本体フレーム3の接続部7の上部位置に、図3に示すように、ヘッドプーリユニット5の接続部8の上部を対向させ、図2に示すように、軸体9にて上下方向へ回動自在に軸着している。また、前記軸体9を支点とし、本体フレーム3の接続部7に対してヘッドプーリユニット5の荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニット5の両側下端部には、それぞれ一般的に計量用に用いられているビーム型のロードセル10の基端部を固着していると共に、該ロードセル10の先端部は本体フレーム3の接続部7の両側下端部とボールジョイント11を介して揺動自在に連結しており、搬送物がヘッドプーリユニット5上に到達すれば、搬送物を含めたヘッドプーリユニット5の荷重が前記ロードセル10に作用し、それによって生じるロードセル10の歪み量に応じ、適宜演算処理を経て搬送物の重量が計量されるように構成している。
【0017】
なお、前記本体フレーム3とヘッドプーリユニット5との軸着部である軸体9は、図2に示すように、無端ベルト6の往行側、即ち上位側のベルト線上に位置するように配しており、このようにベルト張力の影響を極力受けにくい位置に支点を置くことにより、作用点側のロードセル10では比較的変動誤差の少ない安定した計量を行うことができるように図っている。
【0018】
このように、コンベヤ装置1の大半部分を構成する本体フレーム3は、既存の一般的なコンベヤ装置の本体フレームをそのまま流用したものであり、残りのヘッドフレーム部分のみをヘッドプーリユニット5に置き換えているだけなので装置コストの低廉化が期待できると共に、交換作業も極めて容易で、かつ短時間で行え、作業コストの低廉化も十分に期待することができる。
【0019】
なお、本実施例においては、コンベヤ装置1の本体フレーム3のヘッドフレームに代えて、前記の通り構成したヘッドプーリユニット5を軸着するようにしたが、例えば、既存のヘッドフレームをそのまま流用し、このヘッドフレームを本体フレーム3に対して上下方向へ回動自在に軸着する一方、この軸着部を支点として、ヘッドフレームの荷重が作用する作用点であるヘッドフレーム両側下端部にロードセルを備えるようにすれば、前記同様に搬送物の重量を計量可能となり、装置コストのより一層の低廉化が期待できる。
【0020】
12はコンベヤ装置1の近傍に設置した表示装置であって、前記ロードセル10からの出力線を接続しており、この出力線を介して送られてくる各ロードセル10の歪み量に応じた出力信号に基づき、ヘッドプーリユニット5の荷重による元々の歪み量を考慮した上で各種演算処理を行い、それによって求められる、例えば、搬送物の時間あたりの搬送量や、その積算値である総搬送量等を表示するようにしている。このとき、上記演算処理が正確に行われるように、コンベヤ装置1の起動信号が取り込まれれば演算処理を開始する一方、停止信号が取り込まれれば演算処理を停止するようにしている。
【0021】
なお、上記演算処理を行うにあたり、ロードセル10から得られる歪み量に加えて、無端ベルト6の速度値が必須となるが、例えば、本実施例のように、速度がほぼ一定に保たれるという条件の下であれば、表示装置12にこの速度値を予め設定入力しておけば足りる。また、無端ベルト6の速度が一定でなく大きく変動するようであれば、例えば、コンベヤ装置1の適所にベルト速度計測用のセンサ等を備え付け、該センサからの信号線を表示装置12に接続し、表示装置12ではこの速度値とロードセル10からの歪み量とに基づいて上記演算処理を行うようにすればよい。
【0022】
そして、このように構成した搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置1にて搬送される土砂や粉体材料等の各種搬送物の重量を計量するときには、予め、無端ベルト6の速度値を表示装置12に設定入力した後、コンベヤ装置1を一定速度で駆動運転させる。そして、このコンベヤ装置1に前記搬送物の供給を開始すると、搬送物は一定速度で無端ベルト6上を搬送されていき、やがて搬送物がヘッドプーリユニット5上に到達すると、搬送物の重量分を加えたヘッドプーリユニット5の荷重が、軸体9を支点として作用点のロードセル10へと作用し、それに応じてロードセル10では所定量の歪みが生じる。こうして生じたロードセル10の歪み量は、信号に変換されて表示装置12に取り込まれ、予め設定入力しておいた速度値とに基づいて所定の演算処理を行い、例えば、時間あたりの搬送量や、その積算値である総搬送量等を求めて表示する。このとき、支点位置をベルト張力の影響を受けにくい位置に配しているため、作用点側のロードセル10で生じる歪み量は比較的変動誤差の少ない安定したものが得られ、その結果、上記各搬送量の演算を精度よく行うことができる。
【0023】
このように、本発明の搬送物の計量機能を備えたコンベヤ装置は、装置構成が極めてシンプルなものであって、既存のコンベヤ装置の多くをそのまま流用することができ、設置作業も容易にかつ短時間でできるため、装置コスト並びに作業コストも比較的低廉に抑えることができて好適である。また、ベルト張力の影響による変動誤差の少ない計量を行え、搬送物の計量を精度よく安定して行うことができて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る、コンベヤ装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の本体フレームとヘッドプーリユニットとを離間させた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1…コンベヤ装置 2…テールプーリ
3…本体フレーム 4…ヘッドプーリ
5…ヘッドプーリユニット 6…無端ベルト
9…軸体 10…ロードセル
12…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にテールプーリを備えた本体フレームの他端上部に、一端にヘッドプーリを備えかつ所定長さに構成したヘッドプーリユニットの他端上部を上下方向へ回動自在に軸着すると共に、この軸着部を支点として本体フレームに対してヘッドプーリユニットの荷重が作用する作用点であるヘッドプーリユニットの両側下端部にはそれぞれビーム型のロードセルを備え、搬送物がヘッドプーリユニット上に搬送されたときのヘッドプーリユニットの荷重の作用によって生じる前記ロードセルの歪み量と、搬送物の搬送速度とに基づいて搬送物の重量値を演算して求めるように構成したことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
前記本体フレームとヘッドプーリユニットとの軸着部は、テールプーリとヘッドプーリ間に巻回した無端ベルトの往行側のベルト線上に配したことを特徴とする請求項1記載のコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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