説明

コンベヤ装置

【課題】ローラ体の着脱作業を容易かつ迅速に行えるコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】一方のコンベヤフレーム11に形成したコンベヤ幅方向Aの貫通部15に軸受37を設け、他方のコンベヤフレーム21の上面側に、軸受34の下部分が嵌入自在な凹部25を形成するとともに、軸受の上部分が嵌入自在な押え部材28を着脱自在に設けた。ローラ軸31にローラ32を外嵌して形成したローラ体30は、ローラ軸の両端の軸受をそれぞれコンベヤフレーム側に定着したことで、高速度搬送であっても振動は生じ難いものにできる。ローラ体の取り換えは、ローラ軸の外端部分に対して軸受37を離脱し、そして押え部材を離脱し、ローラ体をコンベヤ幅方向で内側へ移動させることで、ローラ体をコンベヤフレーム間から離脱できる。逆操作によってコンベヤフレーム間にローラ体を組み込める。各ローラ体の着脱作業を、それぞれ独立して容易かつ迅速に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガラス基板(プラズマディスプレイパネル)などの板状体が上下複数段に収納されているボックス体を搬送するのに採用されるコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、次のような構成が提供されている。すなわち、ローラコンベアは、コンベア基台と、多数のローラと、ローラ軸の両端を軸受を介して支持する長尺状の支持フレームと、支持フレームと同様に長尺状の押さえフレームとで構成されている。支持フレームの上部には、軸受と同径の半円弧状の凹部が所定間隔をおいて形成され、また押さえフレームの下部には、軸受と同径の半円弧状の凹部が所定間隔をおいて形成されている。そして、軸受を支持フレームの凹部に支持させた状態で、押さえフレームの凹部を軸受の上部に嵌合させることで、押さえフレームの自重によって軸受を抑え付け、以て軸受が支持フレームの凹部から浮き上がるのを防止した状態で、多数のローラをコンベア基台上に所定間隔をおいて平行に配列している(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−218323号公報(第2−3頁、図2)
【特許文献2】特開2001−171816号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記した従来構成によると、たとえば1個のローラを摩損などで交換する際に、長尺状の押さえフレームを着脱操作しなければならず、その作業は容易に行えないことになる。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、ローラ体の着脱作業を容易かつ迅速に行えるコンベヤ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のコンベヤ装置は、ローラ軸にローラを外嵌して形成したローラ体が、ローラ軸の両端に外嵌した軸受を介して、コンベヤ幅方向で一対のコンベヤフレーム側に回転自在に支持されるコンベヤ装置であって、一方のコンベヤフレームには、コンベヤ幅方向の貫通部が形成されるとともに、この貫通部には、ローラ軸に外嵌自在な軸受が設けられ、他方のコンベヤフレームの上面側には、軸受の下部分が嵌入自在な凹部が形成されるとともに、軸受の上部分が嵌入自在な押え部材が着脱自在に設けられていることを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、組み立て状態においては、被搬送物をローラ体群で支持して搬送し得、その際にローラ体は、ローラ軸の両端に位置した軸受をそれぞれコンベヤフレーム側に定着していることで、例え高速度搬送であったとしても振動は生じ難いものとなる。たとえばローラの損傷によってローラ体を取り換えるとき、まず一方のコンベヤフレーム側の軸受をローラ軸の外端部分に対して離脱させ、そして押え部材を離脱して他方の軸受の上部を開放させる。次いで、他方の軸受を外嵌したままのローラ体をコンベヤ幅方向で内側へ移動させることで、ローラ体を他方のコンベヤフレームの上方で移動し得、以てローラ体をコンベヤフレーム間から離脱し得る。そして、上述とは逆操作によって、コンベヤフレーム間に新たなローラ体を組み込み得、また最初の据付け組み立て時においても同様に行える。
【0007】
また本発明の請求項2記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1記載の構成において、ローラ体群は駆動形式であって、一方のコンベヤフレームに対して外側に突出されたローラ軸の一端に受動輪体が着脱自在に設けられていることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項2の発明によると、組み立て状態においては、受動輪体を介してローラ体群を駆動回転し得る。そしてローラ体を取り換えるとき、ローラ軸から受動輪体を離脱させるとともに、ローラ軸から一方の軸受を離脱させ、そして押え部材を離脱した状態で、ローラ体をコンベヤ幅方向で引き抜き方向に移動させる。また、逆操作によってコンベヤフレーム間に新たなローラ体を組み込んだのち、ローラ軸に受動輪体を着装することで、組み立て状態に戻し得る。
【0009】
そして本発明の請求項3記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1または2記載の構成において、一方のコンベヤフレームの上部には溝部が長さ方向に形成され、この溝部に差し込むことで被搬送物のガイド体が配設されていることを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項3の発明によると、一方のコンベヤフレームの上部に対してガイド体の配設を行え、そして、搬送中の被搬送物がコンベヤ幅方向に幅ずれすることをガイド体によって阻止し得る。このようなガイド体を着脱操作することなく、ローラ体の着脱を行える。
【0011】
さらに本発明の請求項4記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、コンベヤ幅方向の両側それぞれに、コンベヤ幅方向で一対のコンベヤフレームが設けられ、これら両側におけるコンベヤフレーム間でコンベヤ搬送方向の複数箇所にローラ体が配設されていることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項4の発明によると、被搬送物を、コンベヤ幅方向の両側それぞれに配設したローラ体群間で支持して搬送し得る。
しかも本発明の請求項5記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、ローラ体群は駆動形式であって、その駆動手段は、一方のコンベヤフレームに対して外側に突出されたローラ軸の一端に着脱自在に設けられた受動輪体と、駆動部に連動された駆動輪体と、受動輪体群の下方で複数箇所に設けられた案内輪体と、輪体間に設けられた無端回動体とからなり、案内輪体の支持軸が、一対のコンベヤフレーム間に配設されていることを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項5の発明によると、組み立て状態においては、駆動部の駆動により駆動輪体を回転させることで無端回動体を回動し得、以て受動輪体群を介してローラ体群を等速回転し得る。そして、案内輪体を遊転自在に外嵌させた支持軸を兼用してコンベヤフレーム間の幅決めを行えることで、構造簡単にして両コンベヤフレームの姿勢を維持し得る。これにより、コンベヤフレーム間に対してローラ体の離脱や組み込みを行う際に、一方のコンベヤフレーム側の軸受に対するローラ軸の抜き(離脱)差し(組み込み)は、摩擦抵抗などに影響されることなく行える。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の請求項1によると、組み立て状態においては、被搬送物をローラ体群で支持して搬送でき、その際にローラ体は、ローラ軸の両端に位置した軸受をそれぞれコンベヤフレーム側に定着していることで、例え高速度搬送であったとしても振動は生じ難いものにでき、以て被搬送物の搬送は、振動による悪影響を及ぼすことなく安定して行うことができる。たとえばローラの損傷によってローラ体を取り換えるとき、まず一方のコンベヤフレーム側の軸受をローラ軸の外端部分に対して離脱させ、そして押え部材を離脱して他方の軸受の上部を開放させ、次いで、他方の軸受を外嵌したままのローラ体をコンベヤ幅方向で内側へ移動させることで、ローラ体を他方のコンベヤフレームの上方で移動でき、以てローラ体をコンベヤフレーム間から離脱できる。そして、上述とは逆操作によって、コンベヤフレーム間に新たなローラ体を組み込むことができ、また最初の据付け組み立て時においても同様に行うことができる。これにより、各ローラ体の着脱作業を、それぞれ独立して容易かつ迅速に行うことができる。
【0015】
また上記した本発明の請求項2によると、組み立て状態においては、受動輪体を介してローラ体群を駆動回転できる。そしてローラ体を取り換えるとき、ローラ軸から受動輪体を離脱させるとともにローラ軸から一方の軸受を離脱させ、そして押え部材を離脱した状態で、ローラ体をコンベヤ幅方向で引き抜き方向に移動できる。また、逆操作によってコンベヤフレーム間に新たなローラ体を組み込んだのち、ローラ軸に受動輪体を着装することで、組み立て状態に戻すことができる。
【0016】
そして上記した本発明の請求項3によると、一方のコンベヤフレームの上部に対してガイド体の配設を容易に行うことができ、そして、搬送中の被搬送物がコンベヤ幅方向に幅ずれすることをガイド体によって阻止できる。このようなガイド体を着脱操作することなく、ローラ体の着脱を容易かつ迅速に行うことができる。
【0017】
さらに上記した本発明の請求項4によると、被搬送物を、コンベヤ幅方向の両側それぞれに配設したローラ体群間で支持して搬送できる。
しかも上記した本発明の請求項5によると、組み立て状態においては、駆動部の駆動により駆動輪体を回転させることで無端回動体を回動でき、以て受動輪体群を介してローラ体群を等速回転できる。そして、案内輪体を遊転自在に外嵌させた支持軸を兼用してコンベヤフレーム間の幅決めを行えることで、構造簡単にして両コンベヤフレームの姿勢を強固に維持できる。これにより、コンベヤフレーム間に対してローラ体の離脱や組み込みを行う際に、一方のコンベヤフレーム側の軸受に対するローラ軸の抜き(離脱)差し(組み込み)は、摩擦抵抗などに影響されることなく、常に円滑かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、コンベヤ幅方向の両側それぞれにローラ体群が配設された形式に採用した状態として、図に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図4において、コンベヤ装置1は、コンベヤ幅方向(左右方向)Aにおいて振り分けられた左コンベヤ部10Aと右コンベヤ部10Bと、両コンベヤ部10A,10Bを支持するフレーム本体5などにより構成されている。ここでフレーム本体5は、コンベヤ搬送方向(前後方向)Bの複数箇所において両コンベヤ部10A,10Bのコンベヤフレーム(後述する。)の下部間に設けられた連結フレーム6と、各連結フレーム6から垂設されるコンベヤ幅方向Aで一対の脚体7と、コンベヤ幅方向Aで対向された脚体7間に設けられた横フレーム8などにより構成されている。そして各脚体7の下端には、レベル調整自在な着地体9が設けられている。
【0020】
前記左コンベヤ部10Aと右コンベヤ部10Bは、コンベヤ幅方向Aにおいて対称状で同一状に構成され、以下においては同一符号を付して説明する。すなわち図1〜図6において、コンベヤ幅方向Aで一対のコンベヤフレーム11,21が設けられ、その際にコンベヤフレーム11,21はアルミニウムにより一体成形されている。ここで一方(外側)のコンベヤフレーム11には、その下端部に下向き蟻溝部12が形成され、中間下部にコンベヤ幅方向Aの下位貫通孔13が形成され、中間上部にコンベヤ幅方向Aの上位貫通孔14と貫通部15とが形成され、そして上端部には、内側上向き蟻溝部(溝部の一例)16と中間上向き蟻溝部17と外側上向き蟻溝部18とが形成されている。
【0021】
また他方(内側)のコンベヤフレーム21には、その下端部に下向き蟻溝部22が形成され、中間下部にコンベヤ幅方向Aの下位貫通孔23が形成され、そして上端部には上向き蟻溝部24が形成され、さらに上面側には上向き蟻溝部24の一部を削除する状態で凹部25が形成されている。これらコンベヤフレーム11,21は、下向き蟻溝部12,22を利用した連結具(ボルト・ナットなど)19,26を介して連結フレーム6側に連結されている。ここでコンベヤフレーム11,21は、他方のコンベヤフレーム21の凹部25が一方のコンベヤフレーム11の貫通部15と同レベル状に、すなわち、内側のコンベヤフレーム21に対して外側のコンベヤフレーム11を高くして構成されている。
【0022】
両コンベヤフレーム11,21間でコンベヤ搬送方向Bの複数箇所に配設されるローラ体30は、ローラ軸31にローラ32をスライド形式で外嵌したのち、固定具(止めねじ体など)33により固定することで形成されている。なおローラ軸31の他端部分には軸受(ローラベアリング)34が外嵌され、この軸受34は、連結具(ボルトなど)35を介してローラ軸31の他端面に連結された当て板36によって内方への抜け出しが阻止されている。
【0023】
一方のコンベヤフレーム11の貫通部15は、コンベヤ搬送方向Bにおける所定ピッチ置きの複数箇所に形成されるとともに、これら貫通部15には、ローラ軸31の一端部分に外嵌自在な軸受(ローラベアリング)37が設けられている。ここで軸受37は貫通部15に密状に嵌合され、そしてストッパー体38によって抜け出しが阻止されている。また、他方のコンベヤフレーム21の凹部25は、ローラ軸31の他端部分に外嵌した軸受34の下部分が嵌入自在な形状として、前記貫通部17群に対応される状態で所定ピッチ置きの複数箇所に形成されている。そして他方のコンベヤフレーム21の上面側には、その下面側に形成された下向き凹部27が軸受34の上部分に嵌入自在とした押え部材28が設けられ、この押え部材28は、上向き蟻溝部24を利用した連結具(ボルト・ナットなど)29を介してコンベヤフレーム21側に着脱自在に連結されている。なお押え部材28は、樹脂により一体成形されている。
【0024】
したがって、ローラ軸31の一端部分を軸受37に挿入し、そしてローラ軸31の他端部分に外嵌した軸受34の下部分を凹部25に嵌入させるとともに、下向き凹部27に軸受34の上部分を嵌入させた押え部材28を、連結具29を介してコンベヤフレーム21側に連結することで、ローラ体30を、ローラ軸31の両端に外嵌した軸受37,34を介して、コンベヤ幅方向Aで一対のコンベヤフレーム11,21側に回転自在に支持し得る。これにより、ローラ体32群の上面によって搬送面32aが形成され、ここで搬送面32aは、一方のコンベヤフレーム11の上端よりも低く、また他方のコンベヤフレーム21における押え部材28の上端よりも高く位置されるように構成されている。
【0025】
前記ローラ体30群は、駆動手段40によって駆動形式とされている。すなわち駆動手段40は、一方のコンベヤフレーム11に対して外側に突出されたローラ軸31の一端に着脱自在に設けられた受動鎖輪(受動輪体の一例)41と、受動鎖輪41間の適所に設けられたテンション鎖輪(テンション輪体の一例)45と、モータ(駆動部の一例)48に連動された駆動鎖輪(駆動輪体の一例)52と、受動鎖輪41群の下方で複数箇所に設けられた案内鎖輪(案内輪体の一例)53と、駆動鎖輪52にコンベヤ搬送方向Bで対向して設けられた連動用鎖輪(連動用輪体の一例)56と、鎖輪(輪体)41,45,52,53,56間に巻回された無端チェーン(無端回動体の一例)59などにより構成されている。
【0026】
その際に受動鎖輪41は、ローラ軸31の一端に外側から外嵌された状態でキー42を介して固定され、そして連結具(ボルトなど)43を介してローラ軸31の一端面に連結された当て板44によって内方への抜け出しが阻止されている。またテンション鎖輪45は、上位貫通孔14に通されて連結具(ボルトなど)46を介してコンベヤフレーム11に取り付けられた横軸47に遊転自在に設けられている。そしてモータ48は、左コンベヤ部10Aにのみ設けられるものであって、コンベヤフレーム11側に連結した駆動部フレーム50に、位置調整具51を介してコンベヤ搬送方向Bに位置調整自在に設けられるとともに、その駆動軸49に前記駆動鎖輪52が連結されている。
【0027】
また案内鎖輪53は、コンベヤ幅方向Aの支持軸54に遊転自在に設けられている。ここで支持軸54は、中間の径大部54aと両端の径小部54bからなり、径大部54aと径小部54bとの間に段部54cが形成されている。そして支持軸54は、連結具19,26によりコンベヤフレーム11,21を連結フレーム6側に連結させる際に、下位貫通孔13,23に両端の径小部54bを通して段部54cをコンベヤフレーム11,21の側面に当接し得る。この状態で、連結具(ボルトなど)55を介して連結することにより、外端に案内鎖輪53を遊転自在に外嵌させて一対のコンベヤフレーム11,21間に配設し得、このとき径大部54aの長さに応じてコンベヤフレーム11,21の幅決めを行える。
【0028】
前記連動用鎖輪56は、両コンベヤ部10A,10Bにおけるコンベヤフレーム11,21の下方間に亘って配設された連動軸57の両端に連結されており、この連動軸57は、駆動部フレーム50などに軸受体58を介して回転自在に支持されている。前記無端チェーン59は、受動鎖輪41に上側から掛けられ、テンション鎖輪45に下側から掛けられ、駆動鎖輪52から連動用鎖輪56に亘って下側から掛けられ、そして案内鎖輪53に上側または下側から掛けられることで、鎖輪41,45,52,53,56間に亘って巻回されている。前記鎖輪41,45,52,53,56群を外側から覆うカバー体60が設けられ、このカバー体60は、外側上向き蟻溝部18を利用した連結具(ボルト・ナットなど)61を介して一方のコンベヤフレーム11側に連結されている。
【0029】
一方のコンベヤフレーム11の上部には、その長さ方向の両端を除くほぼ全長に亘ってボックス体(被搬送物の一例)70のガイド体63が配設されている。このガイド体63は樹脂によって型レール状に形成され、その下向き凸状部分63aを内側上向き蟻溝部16に対して長さ方向に差し込むことで、一方のコンベヤフレーム11の上部に対して容易に配設し得る。そして、取り付けによって内向きのガイド面63bが、コンベヤフレーム11の内側面よりも内側でかつ搬送面32aに対して上下に亘って位置されるように構成されている。
【0030】
また、一方のコンベヤフレーム11の上部で長さ方向の両端部分には端部ガイド装置65が設けられている。この端部ガイド装置65は、内側上向き蟻溝部16や中間上向き蟻溝部17を利用した連結具(ボルト・ナットなど)68,69を介して一方のコンベヤフレーム11側に連結された支持部材66と、この支持部材66に縦軸心の周りで遊転自在に設けられたガイドローラ67群などにより構成されている。ここでガイドローラ67群によるガイド面は、ガイド体63に接近した位置においてガイド面63bよりも内側となり、ガイド体63から離間した位置においてガイド面63bと同様になるように、傾斜して形成されている。さらにガイドローラ67群は、隣接したもの同士を上下に変位させることで、ガイド方向において密に配設されている。
【0031】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
図1〜図5に示す組み立て状態のコンベヤ装置1においては、駆動手段40におけるモータ48の駆動により駆動鎖輪52を回転させることで、無端チェーン59を回動し得る。その際に無端チェーン59は、作用経路部(上位経路部)においては、受動鎖輪41群に下方から係合案内されるとともにテンション鎖輪45群に上方から係合案内され、またリターン経路部(下位経路部)においては、案内鎖輪53群によって上方または下方から係合案内されるとともに駆動鎖輪52や連動用鎖輪56に係合案内される。その際に、連動軸57を介して、左コンベヤ部10Aと右コンベヤ部10Bは同期駆動され、以て両コンベヤ部10A,10Bのローラ体30群を等速回転し得る。
【0032】
したがって、上手のコンベヤ装置(搬送手段)などから搬入されてきたボックス体70を、両コンベヤ部10A,10Bのローラ体30群による搬送面32a間で支持して搬送し得、そして下手のコンベヤ装置(搬送手段)などに搬出し得る。その際に、搬入されてくるボックス体70を、端部ガイド装置65のガイドローラ67群により案内することで、コンベヤ幅方向Aにおける幅ずれを修正し得、また搬送中にコンベヤ幅方向Aに幅ずれすることをガイド体63のガイド面63bによって阻止し得る。さらにボックス体70をローラ体30群で支持して搬送する際に、ローラ体30は、ローラ軸31の両端に位置した軸受37,34をそれぞれコンベヤフレーム11,21側に定着していることで、例え高速度搬送であったとしても振動は生じ難いものにでき、以てボックス体70の搬送は、振動による悪影響を及ぼすことなく安定して行うことができる。
【0033】
このようなコンベヤ装置1において、たとえばローラ32の損傷によってローラ体30を取り換えるとき、カバー体60を外したのち、ローラ軸31から受動鎖輪41を離脱させる。そして図7に示すように、ストッパー体38を外したのち、軸受37を、一方のコンベヤフレーム11やローラ軸31の外端部分に対して外側へ離脱させる。この後、図6に示すように、連結具29を離脱操作して押え部材28を外し、軸受34の上部を開放させる。次いで図8の仮想線に示すように、軸受34を外嵌したままのローラ体30を、コンベヤ幅方向Aで内側へ移動させる。さらに、ローラ軸31の内端部分を持ち上げ状としてローラ体30を引き抜き移動させることで、図8の実線に示すように、ローラ軸31の外端部分を軸受37に対して完全に引き抜くとともに、ローラ32を他方のコンベヤフレーム21の上方で移動し得、以てローラ体30をコンベヤフレーム11,21間から離脱し得る。
【0034】
なお、上述とは逆操作によって、コンベヤフレーム11,21間に新たなローラ体30を組み込み得、また最初の据付け組み立て時においても同様に行われる。これにより、各ローラ体30の着脱作業を、それぞれ独立して容易かつ迅速に行うことができる。またーラ体30の着脱作業は、ガイド体63などを着脱操作することなく容易かつ迅速に行うことができる。さらにコンベヤフレーム11,21をアルミニウム成形品とし、押え部材28を樹脂成形品としたことで、全体を安価に構成できる。
【0035】
そして、このような離脱や組み込みを行う際に、案内鎖輪53を遊転自在に外嵌させた支持軸54を兼用してコンベヤフレーム11,21間の幅決めを行っていることで、構造簡単にして、コンベヤフレーム11,21の姿勢を強固に維持し得る。これにより、コンベヤフレーム11,21間に対してローラ体30の離脱や組み込みを行う際に、一方のコンベヤフレーム11側の貫通部15やローラ軸31に対する軸受37の抜き(離脱)差し(組み込み)は、摩擦抵抗などに影響されることなく、常に円滑かつ確実に行うことができる。
【0036】
上記した実施の形態1では、押え部材28として、その下面側に半円状の下向き凹部27を形成した形式が示されているが、これは凹部25を深く形成し、下向き凹部27を浅く形成した形式などであってもよい。
【0037】
上記した実施の形態1では、ローラ体30群を駆動形式とした形式が示されているが、これは受動鎖輪41を省略してローラ体30群を非駆動遊転形式とし、傾斜経路に配設されるコンベヤ装置1や、別の移送手段を組み込んだコンベヤ装置1の形式などであってもよい。
【0038】
上記した実施の形態1では、一方のコンベヤフレーム11の上部に形成した内側上向き蟻溝部16に差し込むことでガイド体63を配設した形式が示されているが、これはガイド体63を省略した形式や、フレーム本体5やコンベヤフレーム11に別個に組み立てた形式などであってもよい。
【0039】
上記した実施の形態1では、コンベヤ幅方向Aにおいて振り分けた左コンベヤ部10Aと右コンベヤ部10Bとのそれぞれに、コンベヤ幅方向Aで一対のコンベヤフレーム11,21を設けた形式が示されているが、これはコンベヤフレーム11,21をコンベヤ幅方向Aの両端部に振り分けて設け、これらコンベヤフレーム11,21間でコンベヤ搬送方向Bの複数箇所に、長尺のローラ体を配設した形式などであってもよい。
【0040】
上記した実施の形態1では、駆動手段40として、無端チェーン59を使用したチェーン伝動形式が示されているが、これは無端回動体として無端ベルトを使用したベルト伝動形式の駆動手段などであってもよい。
【0041】
上記した実施の形態1では、被搬送物としてボックス体70が示されているが、これは種々な被搬送物に対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、コンベヤ装置におけるローラ体を配設した部分の縦断背面図である。
【図2】同コンベヤ装置の一部切り欠き側面図である。
【図3】同コンベヤ装置の一部切り欠き平面図である。
【図4】同コンベヤ装置の縦断背面図である。
【図5】同コンベヤ装置におけるガイド体を配設した部分の縦断背面図である。
【図6】同コンベヤ装置における押え部材を配設した部分の分解斜視図である。
【図7】同コンベヤ装置におけるローラ体を配設した部分の着脱開始時の縦断背面図である。
【図8】同コンベヤ装置におけるローラ体を配設した部分の着脱時の縦断背面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 コンベヤ装置
5 フレーム本体
10A 左コンベヤ部
10B 右コンベヤ部
11 コンベヤフレーム
15 貫通部
16 内側上向き蟻溝部(溝部)
21 コンベヤフレーム
25 凹部
27 下向き凹部
28 押え部材
29 連結具
30 ローラ体
31 ローラ軸
32 ローラ
32a 搬送面
34 軸受
37 軸受
38 ストッパー体
40 駆動手段
41 受動鎖輪(受動輪体)
45 テンション鎖輪
47 横軸
48 モータ(駆動部)
49 駆動軸
52 駆動鎖輪(駆動輪体)
53 案内鎖輪(案内輪体)
54 支持軸
54a 径大部
54b 径小部
54c 段部
56 連動用鎖輪(連動用輪体)
57 連動軸
59 無端チェーン(無端回動体)
60 カバー体
63 ガイド体
63a 下向き凸状部分
63b ガイド面
65 端部ガイド装置
67 ガイドローラ
70 ボックス体(被搬送物)
A コンベヤ幅方向
B コンベヤ搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ軸にローラを外嵌して形成したローラ体が、ローラ軸の両端に外嵌した軸受を介して、コンベヤ幅方向で一対のコンベヤフレーム側に回転自在に支持されるコンベヤ装置であって、一方のコンベヤフレームには、コンベヤ幅方向の貫通部が形成されるとともに、この貫通部には、ローラ軸に外嵌自在な軸受が設けられ、他方のコンベヤフレームの上面側には、軸受の下部分が嵌入自在な凹部が形成されるとともに、軸受の上部分が嵌入自在な押え部材が着脱自在に設けられていることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
ローラ体群は駆動形式であって、一方のコンベヤフレームに対して外側に突出されたローラ軸の一端に受動輪体が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤ装置。
【請求項3】
一方のコンベヤフレームの上部には溝部が長さ方向に形成され、この溝部に差し込むことで被搬送物のガイド体が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンベヤ装置。
【請求項4】
コンベヤ幅方向の両側それぞれに、コンベヤ幅方向で一対のコンベヤフレームが設けられ、これら両側におけるコンベヤフレーム間でコンベヤ搬送方向の複数箇所にローラ体が配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項5】
ローラ体群は駆動形式であって、その駆動手段は、一方のコンベヤフレームに対して外側に突出されたローラ軸の一端に着脱自在に設けられた受動輪体と、駆動部に連動された駆動輪体と、受動輪体群の下方で複数箇所に設けられた案内輪体と、輪体間に設けられた無端回動体とからなり、案内輪体の支持軸が、一対のコンベヤフレーム間に配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168998(P2008−168998A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3947(P2007−3947)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】