説明

コンベヤ設備

【課題】本発明は、物品の搬送能力を高く保ち、仕分けをおこなえる間隔を確保できるコンベヤ設備を提供することを目的とする。
【解決手段】コンベヤ設備10は、物品12の搬送経路に沿って搬入用コンベヤ14、加速用コンベヤ16、搬出用コンベヤ18が並べられている。コンベヤ設備10は、物品12の大きさおよび間隔を測定する測定装置20、加速用コンベヤ16における物品12の位置を検出する検出装置22、および加速用コンベヤ16を制御する制御装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送途中で物品同士の間隔を調節できるコンベヤ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のコンベヤ設備が開発・開示されている(下記の特許文献1など)。コンベヤ設備は、物品の搬送経路を合流させたり分岐させたりして、物品が仕分けされるように構成されている。
【0003】
例えば、図10のコンベヤ設備100は、2本の搬送経路が1本に合流し、物品の側方の位置合わせをおこない、所望の経路に分岐されるとする。そのため、直線的に物品を搬送する通常のコンベヤ24,28a,28b以外に、合流コンベヤ26、幅寄せコンベヤ30、仕分け用コンベヤ38が使用される。
【0004】
物品12を搬送する通常のコンベヤ24,28a,28bは、ベルトコンベヤやローラコンベヤなどである。ベルトやローラの駆動源としてモータなどが備えられている。
【0005】
合流コンベヤ26は、物品12を搬送経路の側方から中央に移動させながら搬送する。物品12が中央に到達した後で通常のコンベヤ28aに物品12を渡すようにする。2本の搬送経路から搬送されてきた物品12を1本の搬送経路で搬送させることができる。
【0006】
幅寄せコンベヤ30は、搬送方向に対して斜方向に物品12を移動させながら搬送し、フレーム36で物品12の一面の位置を揃える。物品12の一面の位置が一定になるため、物品12の他面の位置を検出することによって、物品12の幅を求めることができる。
【0007】
仕分け用コンベヤ38は、複数のスラット40が搬送方向に沿って並べられており、搬送方向に沿って周回する。スラット40に載せられた物品12もスラット40と一緒に搬送方向に移動する。スラット40の一端にシュー46が配置されており、物品12を仕分ける地点になったとき、シュー46がスラット40に沿って移動する。シュー46が物品12を横押しして、物品12は搬送方向に対して斜め方向に移動し、分岐先のコンベヤに載せられる。
【0008】
シュー46がスラット40に沿って移動するため、シュー46で物品12を挟み込まないように、搬送方向と物品12の分岐方向の角度、物品12の大きさなどに応じて、仕分け用コンベヤ38における物品同士の最小間隔が決められる。最小間隔よりも物品12の間隔が狭い場合、物品12を仕分けることができない。仕分けできなければ戻しコンベヤでコンベヤ設備100の上流に搬送し、再び仕分けをおこなう。再仕分けをおこなうと仕分け効率が悪化するため、仕分けコンベヤ38で仕分けできる最小間隔を確保して、再仕分けをおこなわないようにする。
【0009】
しかし、各コンベヤ24,26,28a,28b、30,38間での物品12の乗り移りなどで物品12が滑る場合がある。合流コンベヤ26や幅寄せコンベヤ30では物品12を斜方向に搬送するため、物品12が滑る場合がある。このような物品12の滑りによって、物品同士の間隔が狭くなる。コンベヤ設備100の上流で仕分け用コンベヤ38の最小間隔で物品12を搬送した場合、物品12の間隔が狭くなると、仕分けできなくなる。この狭くなる分を考慮して広い間隔で物品12を搬送した場合、コンベヤ設備全体の搬送能力が低下する。
【0010】
引用文献1には、前方と後方の物品の間隔を調節するインダクションコンベヤを開示している。インダクションコンベヤは、前方の物品が仕分け用コンベヤに乗り移った後に、後方の物品に対して加速と減速をおこなって物品の間隔を調節する。しかし、物品に対して加速と減速をおこなうことによって物品が滑り、物品の間隔がずれるおそれがある。1台のインダクションコンベヤで物品に対して加速と減速をおこなうと、その制御が難しくなる。そのため、物品の間隔を広げなければならないおそれもある。物品の搬送能力が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−136021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、物品の搬送能力を高く保ち、仕分けをおこなえる間隔を確保できるコンベヤ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のコンベヤ設備は、物品を搬送する搬入用コンベヤと、搬入用コンベヤの下流側において、搬入用コンベヤよりも高速で物品を搬送する搬出用コンベヤと、搬入用コンベヤと搬出用コンベヤの間に設けられる複数の加速用コンベヤとを備える。これらのコンベヤは、搬送方向に沿って並べられる。またコンベヤ設備は、搬入用コンベヤで搬送される物品の大きさおよび間隔を測定する測定装置と、加速用コンベヤにおける物品の位置を検出する検出装置とを備える。さらにコンベヤ設備は、物品の大きさおよび間隔から、加速をおこなう加速用コンベヤを決定し、検出装置で検出された物品の位置に応じて、加速用コンベヤの加速および減速を制御する制御装置を備える。
【0014】
搬入用コンベヤから搬出用コンベヤまで物品が搬送される。この搬送途中に設けた加速用コンベヤで物品を加速させて、物品の搬送速度を速くする。加速をおこなうために、物品の大きさや間隔、物品の位置を検出する。
【0015】
前記制御装置は、物品の重心が前記決定された加速用コンベヤに載せられたときに、該決定された加速用コンベヤを搬出用コンベヤの速度まで加速させ、前記決定された加速用コンベヤよりも下流側の全ての加速用コンベヤは、物品が載せられるまでに搬出用コンベヤの速度まで加速させ、物品の後端または重心が加速した加速用コンベヤを通過したときに、該通過した加速用コンベヤを搬入用コンベヤの速度まで減速させる。
【0016】
前記制御装置は、前記決定された加速用コンベヤの下流側の加速用コンベヤが加速中に、該下流側の加速用コンベヤに物品の前端が載せられたとき、該下流側の加速用コンベヤの加速度を高めて搬出用コンベヤの速度にする。
【0017】
前記制御装置は、前記加速用コンベヤの減速を新たな物品の重心が載せられるまでに完了させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、加速用コンベヤによって物品の間隔を調節することができる。物品の間隔が狭くなっていても仕分け用コンベヤで仕分けができる間隔にすることができる。加速用コンベヤよりも上流側で物品の間隔を狭くできるため、コンベヤ設備全体の物品の搬送能力を高くできる。
【0019】
また、物品の加速をおこなうのは1回であり、加速をおこなった後は搬送速度を維持する。加速と減速を複数回行うことはない。物品の位置ずれが起こりにくく、物品の仕分けがおこないやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のコンベヤ設備の構成を示す図である。
【図2】2個の物品の位置関係を示す図である。
【図3】コンベヤ設備の上流側および下流側の一例を示す図である。
【図4】仕分け用コンベヤの構成を示す図である。
【図5】分岐の構成を示す図である。
【図6】物品の搬送速度の変化を示すグラフである。
【図7】加速を始めるタイミングを示す図であり、(a)で加速をおこなわず、(b)で加速をおこない、(c)で減速する図である。
【図8】高速で加速を開始するタイミングを示す図である。
【図9】2台の加速用コンベヤを同時に加速させるタイミングを示す図である。
【図10】従来のコンベヤ設備の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のコンベヤ設備について図面を用いて説明する。搬送される物品は、直方体または立方体として説明する。物品の側方が搬送方向と一致している。物品は、搬送方向下流側を前端、搬送方向上流側を後端とする。
【実施例1】
【0022】
図1に示す本発明のコンベヤ設備10は、物品12の搬送経路に沿って搬入用コンベヤ14、加速用コンベヤ16、搬出用コンベヤ18が並べられている。コンベヤ設備10は、物品12の大きさおよび間隔を測定する測定装置20、加速用コンベヤ16における物品12の位置を検出する検出装置22、および加速用コンベヤ16を制御する制御装置を備える。本説明では、2つの物品12A,12Bが搬入用コンベヤを搬送されているとする(図2)。先行する物品を12A、後方の物品を12Bとして、特に物品12A,12Bを区別しない場合は、符号12で説明する。
【0023】
図3に示すように、搬入コンベヤ14の上流は、例えば、2本の搬送経路が1本になり、物品12の一側面の位置が揃えられる構成とする。搬入コンベヤ14の上流は、2本の搬送経路のそれぞれで物品12を搬送するコンベヤ24、搬送経路を合流させる合流コンベヤ26、合流コンベヤ26の下流側のコンベヤ28、物品12の一側方の位置を揃える幅寄せコンベヤ30を備える。
【0024】
物品12を搬送するコンベヤ24,28は、ベルトコンベヤやローラコンベヤなどである。ベルトやローラの駆動源としてモータなどが備えられている。コンベヤ24,28は、搬送経路に沿って物品を直線的に搬送する。
【0025】
合流コンベヤ26は、物品12を搬送経路の側方から中央に移動させながら搬送方向に搬送する。搬送方向に対して傾斜した複数のローラ32が2列並べられている。ローラ32は互いに搬送経路の中心線に向かって傾斜している。物品12がローラ32の傾斜方向に沿って搬送される。合流コンベヤ26は、幅方向の中央に到達した後で通常のコンベヤ28に物品12を渡すようにする。
【0026】
幅寄せコンベヤ30は、物品12を搬送経路の一側部に移動させながら搬送する。搬送方向に対して傾斜した複数のローラ34と搬送経路の一側部に設けられたフレーム36を備える。物品12は一側部に移動し、フレーム36によって落下することなく搬送される。物品12の一面はフレーム36によって揃えられる。物品12の一面の位置が決定されるため、測定装置20によって物品12の他面の位置を測定することによって、物品12の幅を求めることができる。
【0027】
なお、上記の種々のコンベヤ24,26,28,30は一例である。搬入用コンベヤ14の上流側で物品12の搬送、合流、幅寄せ動作などをおこなう既知の構成であれば、コンベヤ24,26,28,30の順番や組み合わせを変更した場合であっても本発明に適用できる。
【0028】
さらに、搬出用コンベヤ18の下流は、仕分け用コンベヤ38が設けられる(図4)。仕分け用コンベヤ38は、1本の搬送経路から複数の搬送経路に分岐するものである。仕分け用コンベヤ38は、搬送経路に沿って張られた無端チェーンに棒状のスラット40が取り付けられている。
【0029】
搬送経路の上流端と下流端にそれぞれ回転駆動装置と従動回転装置を設け、無端チェーンが回転駆動装置と従動回転装置にかみ合わされている。回転駆動装置はモータなどの動力源を備え、無端チェーンを搬送経路に周回させる。従動回転装置は無端チェーンの動きに応じて回転する。無端チェーンの周回によってスラット40が搬送経路を周回する。物品12は、複数のスラット40にまたがって載せられ、搬送される。
【0030】
仕分け用コンベヤ38の上流部分には物品12を検出する非接触スイッチ42を設けている。また、従動回転装置の回転速度にあわせてパルスを発生するパルスエンコーダが設けられている。1パルスあたりの物品12の移動距離は設計時に既知である。パルス数を計数することによって、非接触スイッチ42からの物品12の移動距離を求め、物品12の位置を求めることができる。また、パルス数をカウントする以外に、スラット40に被検出部材を取り付け、それらを接触または非接触で検出してカウントすることによって、物品12の位置を求めても良い。物品12が分岐する位置まで到達したときに、分岐用コンベヤ44に物品が導かれる。
【0031】
物品12を分岐用コンベヤ44に導くために、スラット40の一端部にはシュー46が配置されている。シュー46はスラット40に沿って移動することができる。シュー46を直進させるための直進レール48、斜方向に移動させるための斜方向レール50、各レール48,50を選択するための分岐装置52が設けられる(図5)。シュー46の下部(スラット40の物品載置側の反対側)に各レール48,50に案内されるローラを設けておく。分岐装置52は、機械的または磁力によってローラをいずれかのレール48,50に案内する。ローラが斜方向に案内されたとき、シュー46がスラット40に沿って移動して、シュー46が物品12を横押しする。
【0032】
物品12を横押しした先には分岐用コンベヤ44が設けられている。分岐用コンベヤ44は複数であり、分岐用コンベヤ44ごとに分岐装置52や各レール48,50を設けておく。物品12の搬送先に応じて分岐用コンベヤ44が選択される。分岐用コンベヤ44は、ベルトコンベヤやローラコンベヤである。分岐用コンベヤ44の代わりに傾斜によって物品12を滑り落とすシュートであっても良い。
【0033】
本発明における搬入用コンベヤ14と搬出用コンベヤ18は物品12を直線的に搬送する通常のコンベヤである。搬入用コンベヤ14と搬出用コンベヤ18はベルトコンベヤやローラコンベヤなどである。搬出用コンベヤ18は搬入用コンベヤ14よりも物品12の搬送速度が高速になっている。搬出用コンベヤ18は仕分け用コンベヤ38と同じ物品12の搬送速度である。
【0034】
搬入用コンベヤ14には、パルスエンコーダを取り付ける。例えば、ベルトコンベヤであれば、ベルトにモータの動力を伝える回転駆動装置と、ベルトの動きに応じてベルトを支えながら回転する従動回転装置が設けられる。従動回転装置の回転軸にパルスエンコーダを取り付ける。パルスエンコーダは回転速度に応じてパルスを生成する。1パルスあたりの物品12の移動距離は設計時に既知である。測定装置20の位置は設計時に既知であり、測定装置20で物品12を検出した後のパルス数によって、物品12の移動距離が求められる。どの物品12がどの加速用コンベヤ16に載せられたかを求めることができる。パルスエンコーダが生成したパルスは、制御装置に送る。制御装置でパルス数を計数して、物品12の位置を求めるためである。
【0035】
測定装置20は、搬入用コンベヤ14で搬送される物品12の大きさおよび物品同士の間隔を測定する。測定装置20は、測長用センサ54と幅計測用センサ56である。
【0036】
測長用センサ54は、発光素子58と受光素子60を搬入用コンベヤ14の両側方に並べている。発光素子58はレーザーダイオードや発光ダイオードである。受光素子60はフォトダイオードやフォトトランジスタである。発光素子58の光が搬入用コンベヤ14に対して直交するようにする。物品12が通過すると光が遮られる。予め物品12の搬送速度は設定されているため、遮光時間から物品12の搬送方向の長さが求められる。また、受光時間から物品同士の間隔が求められる。
【0037】
幅計測用センサ56も、測長用センサ54と同様の発光素子と受光素子を備える。発光素子と受光素子は、搬送方向の側方側に配置される。配置されるのは、幅寄せコンベヤ30のフレーム36がある側方とは反対側である。幅寄せコンベヤ30によって、物品12の一面が揃えられている。物品12の他面に光を照射したとき、物品12の他面の位置に応じて反射光が変化するため、反射光に応じて他面までの距離を求める。幅計測用センサ56の位置および幅寄せコンベヤ30のフレーム36の位置は設計時に既知である。幅計測用センサ56から物品12の一面までの距離WDは一定である(図2)。さらに受光した光の変化によって幅計測用センサ56から物品12の他面までの距離が求められるため、それらの距離の差分から物品12の幅WA,WBを求めることができる。
【0038】
光の反射を利用せず、搬送方向に対して光を斜方向に発光し、その光の遮光によって物品12の幅を求めるようにしても良い。搬送方向に対する光の角度、物品12の搬送速度および遮光時間から物品12の幅を求める。また、デジタルカメラで物品12を撮影し、画像処理によって物品12の大きさおよび物品同士の間隔を求めても良い。
【0039】
測長用センサ54の受光素子58および幅計測用センサ56の受光素子の受光した信号は、制御装置に送信される。制御装置によって後述する演算をおこなうためである。
【0040】
後述する制御装置は、測長用センサ54または幅計測用センサ56が物品12を検出したタイミングからパルスエンコーダで生成したパルス数を計数する。計数を開始するタイミングは、物品12の前端または後端を検出したときである。
【0041】
加速用コンベヤ16は、搬入用コンベヤ14と搬出用コンベヤ18との間に配置される。加速用コンベヤ16はベルトコンベヤである。複数の加速用コンベヤ16が搬送方向に沿って並べられる。各加速用コンベヤ16の構成は同じであり、例えば搬送方向の長さが300mmである。図1では6台の加速用コンベヤ16が設けられているが、仕分け用コンベヤ38での物品16の搬送速度などに応じて、加速用コンベヤ16の数を適宜変更しても良い。
【0042】
加速用コンベヤ16によって物品12の搬送速度を搬入用コンベヤ14の搬送速度から搬出用コンベヤ18の搬送速度に加速させる。制御装置によって、いずれかの加速用コンベヤ16から下流側の全ての加速用コンベヤ16が加速し、物品12が通過した加速用コンベヤ16から減速する。加速および減速については後述する。
【0043】
検出装置22は、測定装置20と同様に発光素子62と受光素子64を備えたものである。検出装置22は、加速用コンベヤ16同士の間、搬入用コンベヤ14と加速用コンベヤ16との間、加速用コンベヤ16と搬出用コンベヤ18の間において、物品12を検出する。検出装置22は物品12による光の遮光または反射を検知することによって、物品12の有無を検出する。測定装置20によって物品12の大きさが求められており、加速用コンベヤ16の搬送速度が予め設定されているため、検出装置22によって物品12を検出した時間から、通過している物品12の搬送方向における位置が求められる。制御をおこなうために、物品12の前端、中心(重心)、後端を検出することができる。
【0044】
搬出用コンベヤ18で搬送される物品12に対して、物品12同士の間隔を測定する装置66を備える。加速用コンベヤ16によって所定の物品間隔になったことを確認し、仕分け用コンベヤ38で仕分けがおこなえるか否かを判定するためである。測定装置20と同様に発光素子68と受光素子70による光の遮光または反射によって物品12の有無を検知し、物品間隔を求める。
【0045】
物品12を仕分けられる間隔になっていない場合、前方の物品12Aは仕分け用コンベヤ38を直進させて、仕分けしない。後方の物品12Bは、仕分け用コンベヤ38のシュー46を移動させても前方の物品12Aを挟み込むことがないため、後方の物品12Bは仕分けをおこなう。仕分け用コンベヤ38の下流端からコンベヤ設備10の上流まで搬送するリフトを設け、前方の物品12Aを再び上流から搬送する。
【0046】
制御装置は、各コンベヤ14,16,18や各装置20,22,66などの駆動装置を制御するシーケンサーなどと通信線で接続され、通信をおこなう。制御装置は、後述するような演算および制御をおこなうコンピュータなどである。制御装置は、所望の制御をおこなうためのソフトウェアやハードウェアを備える。
【0047】
次に、加速用コンベヤ16が物品12を加速させるために制御装置がおこなう制御について説明する。これらの説明において、搬入用コンベヤ14に2個の物品12A,12Bが搬送されているとする。加速用コンベヤ16は上流側を第1加速用コンベヤ16aとして、順番に第2、第3、第4、第5、第6加速用コンベヤ16b,16c,16d,16e,16fとする。特に区別しない場合は符号を16とする。
【0048】
搬入用コンベヤ14の物品12の搬送速度をV1、搬出用コンベヤ18の物品12の搬送速度をV2とする。加速用コンベヤ16のいずれかによって、物品12の搬送速度をV1からV2に加速する。搬送速度をV2に加速した後は、そのまま搬出用コンベヤ18まで搬送する。加速を1回にして、加速と減速を繰り返さないことにより、物品12がベルトに対して滑るのを防止する。物品12の位置ずれが防止される。
【0049】
加速用コンベヤ16ごとの物品12の速度の変化を図6に示す。遅くとも第5加速用コンベヤ16eで物品12の加速をおこなう。搬送速度がV2になった後は、その搬送速度V2が維持される。第4加速用コンベヤ16dで物品16を加速させた場合、同じ物品16を第5加速用コンベヤ16eで加速するよりも早い時間に搬送速度がV2になる。図6は横軸が時間であり、縦軸が速度である。そのため、図6で示す面積Xの分だけ、同一時間で物品12を搬送できる距離が長くなる。このことをゲイン量とする。
【0050】
第4加速用コンベヤ16dで加速した場合のゲイン量は1倍(基本ゲイン量)である。各加速用コンベヤ16は同構成であり、基本ゲイン量に対して、第3加速用コンベヤ16c、第2加速用コンベヤ16b、第1加速用コンベヤ16aで加速した場合は、それぞれ2倍、3倍、4倍のゲイン量である。いずれの加速用コンベヤ16で加速をおこなうかによって、物品12の間隔を変化させることができる。例えば、物品12Aを第4加速用コンベヤ16dで加速し、物品12Bを第5加速用コンベヤ16eで加速すれば、物品12A,12Bの間隔は、1倍のゲイン量分だけ広がる。本発明では、仕分け用コンベヤ38で仕分けができる間隔になるように、加速用コンベヤ16で物品12の間隔を調節する。
【0051】
制御装置は、加速を開始する位置の加速用コンベヤ16を決定し、決定された加速用コンベヤ16とその加速用コンベヤ16より下流の加速用コンベヤ16を加速させる。下記のようにして制御装置は加速をおこなう加速用コンベヤ16を決定する。
【0052】
仕分け用コンベヤ38の構成および物品12の幅によって、仕分けが可能な物品12の最小間隔が決定される。具体的には、前方の物品12Aが分岐用コンベヤ44に移動させようとしているときに、シュー46が移動する。仕分け用コンベヤ38の搬送方向に対する分岐用コンベヤ44への分岐方向の角度、および後方の物品12Bの幅によって、移動するシュー46に後方の物品12Bを挟む最小間隔が分かる。また、測定装置20によって、物品同士の間隔が求められている。この間隔が最小間隔よりも短い場合に、加速用コンベヤ16は、物品同士の間隔がこの最小距離を確保できるように前方の物品12Aを加速させる必要がある。
【0053】
測定装置20によって物品12の大きさおよび物品同士の間隔が求められる。各物品12A,12Bの搬送方向の長さをLA,LB、物品同士の間隔をC、搬入用コンベヤ14の搬送速度と搬出用コンベヤ18の搬送速度との速度比をVxとする。さらに、同じ加速用コンベヤ16で両方の物品12A,12Bが加速された場合、搬出用コンベヤ18での物品同士の間隔は、数式1のDとなる。
【0054】
【数1】

【0055】
前方の物品12Aの幅をWA、仕分け用コンベヤ38の搬送方向と分岐用コンベヤ44への分岐方向との角度をθとする。仕分け用コンベヤ38において必要な物品同士の間隔は、数式2のEとなる。なおEは、仕分け用コンベヤ38の構造によって決定される最小間隔を最低値として定義しておく。Eが最低値よりも小さい場合、最低値とする。
【0056】
【数2】

【0057】
次に、物品12のゲイン量の可能量を決定する。ゲイン量の可能量は、後方の物品12Bが前方の物品12Aのゲイン量を利用して、数式3から求める。また、数式3では誤差量が含まれるが、誤差量はコンベヤ設備10に応じて適宜設定する。図1では、前方の物品12Aの前には物品12がないため、前方の物品12Aのゲイン量を基準ゲイン量の4倍とする。前方の物品12Aは第1加速用コンベヤ16aで加速され、以降、搬送速度をV2で搬送される。
【0058】
【数3】

【0059】
数式3の結果をゲイン量の倍率に変更し、加速をおこなう加速用コンベヤ16を決定する。ゲイン量の倍率の変更方法は、表1のような変換をおこなう。例えば、数式3の結果が3.1であれば、3倍のゲイン量となり、第2加速用コンベヤ16bで物品12を加速させる。表1において、整数を使用していないのは、物品搬送時に生じる誤差を考慮したものであり、コンベヤ設備10ごとに適宜設定する。
【0060】
【表1】

【0061】
以上のように、加速を開始するための加速用コンベヤ16を決定できる。物品12が搬入用コンベヤ14で搬送されているときに、加速をおこなう加速用コンベヤ16を決定する。制御装置は、決定された加速用コンベヤ16とその下流側の加速用コンベヤ16に加速を指示する信号を送信する。
【0062】
加速をおこなうタイミングは、決定された加速用コンベヤ16に物品12の重心が載せられたときである。第1加速用コンベヤで加速をおこなうとする。図7(a)では物品12の前端が第1加速用コンベヤ16aに載せられるときであり、加速は開始しない。図7(b)のように物品12の重心が第1加速用コンベヤ16aに載せられたときに加速を開始する。
【0063】
物品12の重心は、物品12の搬送方向の中心として処理する。測定装置20で物品12の搬送方向の長さが求められており、物品12を検出してからのパルス数によって物品12の位置も把握される。検出装置22で検出している物品12が、いずれの物品12であるかを認識できる。予め加速用コンベヤ16の搬送速度は設定されており、物品12の長さに応じて物品12を検出する時間が求められる。したがって、検出装置22で物品12の検出を開始してから上記時間の半分になったとき、物品12の搬送方向の中心と判定できる。この中心になったときに、第1加速用コンベヤ16aが加速される。検出装置22から制御装置に受光した信号が送信され、制御装置が搬送方向の中心を求め、中心になったときに加速を指示する信号を送信する。
【0064】
上述した加速における加速度は、物品12が滑らない範囲で決定する。加速度を大きくしすぎると物品12が滑り、物品12の搬送ができなくなる。加速度が小さすぎると加速に時間が掛かり、加速用コンベヤ16が長くなり、物品12の搬送効率が悪くなる。例えば、加速度は地球の重力加速度の0.28倍である。
【0065】
上記のように、制御装置によって、加速を開始する加速用コンベヤ16が決定される。この決定された加速用コンベヤ16よりも下流側の加速用コンベヤ16も加速されて搬出用コンベヤ18の搬送速度V2になる。これらの加速用コンベヤ16は、物品22の前端が載せられるまでに搬出用コンベヤ18の搬送速度V2にする。物品22の前端は検出装置22で検出する。物品12の搬送速度がV2になった後、搬送速度を変化させずに搬出用コンベヤ18に物品12を搬送する。物品12の加速は1回だけであり、物品12が位置ずれを起こしにくい。
【0066】
なお、数式3や表1で誤差量を考慮しており、現実の物品12の重心が物品12の中心からずれていたり、物品12と各コンベヤ14,16,18とで多少の滑りが生じたとしても、所望の間隔を空けることができる。
【0067】
加速用コンベヤ16が物品12の搬送速度をV1からV2に加速した後、次の物品12の加速のために搬送速度をV1に戻す。搬送速度をV2からV1に戻すタイミングは、図7(c)の様に物品12が通過したときである。加速用コンベヤ16aの下流側にある検出装置22で物品12が検出されなくなった瞬間から減速させる。制御装置は検出装置22からの信号受けて、加速用コンベヤ16aに減速を指示する信号を送信する。減速は、加速時よりも短時間でおこなっても良い。
【0068】
以上の工程によって、物品同士の間隔が仕分け用コンベヤ38で仕分けがおこなえる最小間隔以上となる。仕分け用コンベヤ38の直前で物品12の間隔を調整しており、加速用コンベヤ16の上流側で物品12の間隔が狭くなっても、物品12の仕分けが可能である。加速用コンベヤ16の上流側で物品12の間隔を狭くすることもでき、コンベヤ設備全体としての物品12の搬送効率が高まる。物品12が加速されるのは1回であり、物品12の位置ずれも起こしにくく、所望の間隔を取りやすい。
【実施例2】
【0069】
実施例1のように、それぞれの加速用コンベヤ16は物品12の搬送速度を加速・減速させる。しかし、物品12の間隔や物品12の搬送方向の長さによっては、搬出用コンベヤ18の搬送速度になった物品12が、加速の完了していない加速用コンベヤ16に載せられるおそれがあり、このことを防止する必要がある。
【0070】
例えば、図8の様に第2加速用コンベヤ16bが搬出用コンベヤ18の搬送速度V2で物品12を搬送しており、第3加速用コンベヤ16cが搬出用コンベヤ18の搬送速度V2まで加速を完了していないとする。下流側の第3加速用コンベヤ16cは、物品12が載せられるまでに加速を完了させる必要がある。加速の完了した物品12を減速させないためである。
【0071】
加速の完了していない加速用コンベヤ16cの上流側にある検出装置22で物品12の前端を検出したとき、加速度を大きくする。例えば、実施例1の加速度は重力加速度の0.28倍であったが、重力加速度の0.7倍の加速度にする。短時間で加速用コンベヤ16の物品12の搬送速度がV2になる。なお、検出装置22で物品12の前端を検出してから加速が完了する前に物品12の前端部分が加速用コンベヤ16に載せられるおそれがあるが、物品12の重心が載せられていず、一瞬であるため、ほとんど影響はない。物品12の加速後、物品12の搬送速度は搬出用コンベヤ18の搬送速度を維持される。
【0072】
または、実施例1で説明したパルスエンコーダで生成したパルスを使用してもよい。測定装置20で物品12を検出してから、パルスエンコーダが生成したパルス数を計数している。パルス数から物品12の位置を求めることができる。物品12を加速後、低速の加速用コンベヤ16の手前の所定位置に物品12が到達したとき、その低速の加速用コンベヤ16を通常の加速よりも短時間で加速させても良い。短時間で物品12の搬送速度を搬出用コンベヤ18の搬送速度V2にする。物品12の前端が下流側の加速用コンベヤ16に到達したときには、搬出用コンベヤ18の搬送速度V2になっている。高速で加速を開始するための上記所定位置は、物品12の搬送速度および搬入用コンベヤ14と搬出用コンベヤ18の搬送速度の差から決定する。
【0073】
実施例1と同様に、物品12が加速用コンベヤ16を通過した後、搬送速度をV2からV1に減速して、次の物品の加速に備える。
【実施例3】
【0074】
上記の実施例のように、物品12は搬送速度がV1の加速用コンベヤ16に載せられてから加速させ、物品12の位置ずれなどを防止する。そのため物品12の前端が加速用コンベヤ16に載せられる前に、搬送速度がV2または減速中の加速用コンベヤ16の搬送速度をV1にする。減速するまでの時間は設計時に既知であり、パルスエンコーダのパルスによって物品12の位置が把握できる。物品12の前端が加速用コンベヤ16の上流側の所定位置に来たときに、加速用コンベヤ16の搬送速度がV1でなければ、加速用コンベヤ16を駆動させるモータの巻線への電力供給を制御して、強制的に搬送速度をV1に減速する。例えば、物品12の前端が加速用コンベヤ16の上流へ100mmの位置に来たとき、搬送速度は重力加速度の0.7倍で減速されてV1になる。また、加速用コンベヤ16に対して機械的にブレーキをかけても良い。
【0075】
物品12は速度差のある加速用コンベヤ16を乗り移ることはないため、ベルトに対する物品12の滑りを防止でき、物品12の位置ずれを防止できる。物品12の位置ずれが無く、所望の間隔を形成できる。
【実施例4】
【0076】
仕分けをおこなう際の最初の物品12や物品12の間隔が十分に空いており、最大倍率のゲイン量となっても前方の物品12との間隔が仕分け可能な最小間隔よりも広い場合、第1加速用コンベヤ16aから加速をおこなう。搬送速度が早期にV2になるため、物品12の搬送効率が上がる。
【実施例5】
【0077】
各実施例で説明したように、物品12は加速されるだけだが、加速用コンベヤ16は加速と減速を繰り返している。実施例1で説明したように、物品12ごとに加速を開始する加速用コンベヤ16が決定される。ある加速用コンベヤ16において、連続して搬送速度V2で物品12を搬送する場合、先の物品12が通過した後も搬送速度V2を維持しても良い。搬送速度がV2で維持されているため、後の物品12も搬送速度V2で搬送される。
【実施例6】
【0078】
物品12の長さによっては、決定された加速用コンベヤ16に物品12の重心が載る前に、下流側の加速用コンベヤ16に物品12が載る場合がある(図9)。そのような場合、決定された加速用コンベヤ16に物品12の重心が載ったときに、下流側の加速用コンベヤ16と同時に加速を開始する。例えば、図9のように第1加速用コンベヤ16aと第2加速用コンベヤ16bを同時に加速する。
【0079】
また、実施例1では遅くとも第5加速用コンベヤ16eで加速をおこなったが、複数の加速用コンベヤ16を同時に加速できるようにするため、第5加速用コンベヤ16eの下流側に追加で第6加速用コンベヤ16fを設けている。追加で設ける加速用コンベヤは1台に限らず、複数台であっても良い。
【0080】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。各実施例は独立排他的ではなく、組み合わされても良い。
【符号の説明】
【0081】
10:コンベヤ設備
12,12A,12B:物品
14:搬入用コンベヤ
16,16a,16b,16c,16d,16e,16f:加速用コンベヤ
18:搬出用コンベヤ
20:測定装置
22:検出装置
54:測長用センサ
56:幅計測用センサ
58,62,68:発光装置
60,64,70:受光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬入用コンベヤと、
前記搬入用コンベヤで搬送される物品の大きさおよび間隔を測定する測定装置と、
前記搬入用コンベヤの下流側に設けられ、搬入用コンベヤの搬送速度よりも高速で物品を搬送する搬出用コンベヤと、
前記搬入用コンベヤと搬出用コンベヤとの間において搬送方向に沿って並べられ、物品の搬送速度を搬入用コンベヤの速度から搬出用コンベヤの速度まで加速させ、物品の通過後に減速する複数の加速用コンベヤと、
前記加速用コンベヤにおける物品の位置を検出する検出装置と、
前記物品の大きさおよび間隔から、加速をおこなう加速用コンベヤを決定し、検出装置で検出された物品の位置に応じて、加速用コンベヤの加速および減速を制御する制御装置と、
を備えたコンベヤ設備。
【請求項2】
前記制御装置は、
物品の重心が前記決定された加速用コンベヤに載せられたときに、該決定された加速用コンベヤを搬出用コンベヤの速度まで加速させ、
前記決定された加速用コンベヤよりも下流側の全ての加速用コンベヤは、物品が載せられるまでに搬出用コンベヤの速度まで加速させ、
物品の後端または重心が加速した加速用コンベヤを通過したときに、該通過した加速用コンベヤを搬入用コンベヤの速度まで減速させる
請求項1のコンベヤ設備。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記決定された加速用コンベヤの下流側の加速用コンベヤが加速中に、該下流側の加速用コンベヤに物品の前端が載せられたとき、該下流側の加速用コンベヤの加速度を高めて搬出用コンベヤの速度にする
請求項2のコンベヤ設備。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記加速用コンベヤの減速を新たな物品の重心が載せられるまでに完了させる
請求項2または3のコンベヤ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184094(P2012−184094A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49750(P2011−49750)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】