説明

コンベヤ

【課題】ゾーンアキュムレーターにより搬送品のぶつかり合いをなくした、バックライン圧力が皆無のコンベヤを提供する。
【解決手段】外側に位置するベルト10と、ベルト10の内側に配置されるベルト12を備え、複数のローラー16が外側に位置するベルト10に回転自由に設けられている。ローラー16の周側面が前記外側に配置されるベルト10の外側面と内側面の両面から突き出ており、外側面に突き出たローラー16の周側面が搬送品18の下側に接触し、さらに内側のベルト12の外側面は外側のベルト10の内側面から突き出ているローラー16の周側面と接触するように構成されている。内外両ベルト10,12の相対的な動きで、内側のベルト12に接触のローラー16が回転する。ベルト10,12の駆動進行方向は、同じ方向又は相対的に異なる方向であり、内外二つのベルト10,12の相対進行速度により、ローラー16の回転方向と回転速度がきまる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には動力駆動されるコンベヤに関し、さらに詳しくは、動力駆動されるローラートップ・コンベヤベルトに関するものであり、これらローラーは、搬走路にそって前記ローラートップベルトの下側に位置する駆動ベルトにより駆動回転されるようになっている構成を備えている。
【背景技術】
【0002】
一つの加工製造ステーションから他方のステーションなどへ製品その他の品物を搬送するためには、一般にベルトコンベヤが用いられている。下流側のステーションにおける搬送されてくる搬送品の処理能力を上回る搬送品が送られてくると、上流側のステーションからの搬送品の流れに渋滞現象が発生する。このような搬送品の流れが順調に流れないと、搬送品の渋滞で搬送するコンベヤベルトの搬送面と渋滞して搬送面に滞っている搬送品との間に有害な摩擦が生じ、コンベヤベルトのベル搬送面を傷めたり、搬送品同士がへし合い押し合いしてしまう。渋滞して流れなくなってしまった搬送品の先頭にいる搬送品に作用する圧力を一般に業界用語としてバックライン圧力と言う。このようなバックライン圧力が搬送品に作用すると、搬送品を搬送しているコンベヤベルトや該ベルトを駆動する駆動機構を損傷させたり、故障させたりするおそれがあり、さらには、コンベヤベルトのベルト面を搬送品の滞留により摩耗させてしまう。不要な摩擦作用と前記バックライン圧力を減らすために、自由に回転する複数のローラーをもち、これらローラーを搬送品の下側に配置するようになっているローラートップベルトが使用されている。しかしながら、このようなローラートップベルトであってもそれ自体だけではバックライン圧力を完全になくすことができない。搬送品が供給されるコンベヤの上流側と搬送品を受ける下流側の状況に応じて、一連のそれぞれ別個に駆動される複数のコンベヤを停止させたり、駆動させたりするようになっている搬送品の一時保留箇所(ゾーンアキュムレーション)を設けてバックライン圧力を減らすようにしている。しかしながら、このような一時保留箇所には、多数の駆動機構とセンサとが必要になり、コウスト高になるのみならず、搬送品を一時停止させ、さらに、一時停止を解除してさらに搬送進行させることで搬送品同士が軽くぶつかり合うようなことになる。
【0003】
したがって、ゾーンアキュムレーター(一時保留の搬送品を送り出す機構)による搬送品のぶつかり合いをなくしたバックライン圧力が皆無のコンベヤが要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、本発明の課題は、ゾーンアキュムレーター(一時保留の搬送品を送り出す機構)による搬送品のぶつかり合いをなくしたバックライン圧力が皆無のコンベヤを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記要求は、この発明の要旨を構成するコンベヤによって充足される。
すなわち、本願のコンベヤは、外側と内側にループ状の無端ベルトが位置されている。そして、複数のローラーが外側に位置するループ状のベルトに回転自由に設けられていて、これらローラーの周側面が前記外側に配置されるループ状のベルトの外側面と内側面の両面か突き出ており、外側面に突き出た前記ローラーの周側面が搬送品に下側に接触するようになっている。さらに前記内側のループ状のベルトの外側面は、搬走路にそう前記外側のループ状のベルトの内側面から突き出ている前記ローラーの周側面と接触するように構成されている。前記内外両ベルトの相対的な動きで、内側のベルトに接触の前記ローラーが回転する。前記内外両ベルトは、それぞれ別個の駆動機構により同一の速度又は異なる速度で駆動され、さらには、それらベルトの駆動進行方向は、同じ方向又は相対的に異なる方向である。
【発明の効果】
【0006】
バックライン圧力がゼロ又はゼロ近くにすることが可能であるので、搬送品とコンベヤベルト搬送面との間の摩擦が少なくなるか、摩擦がほとんどなくなる状態になり、それにより、コンベヤベルトの搬送面(上面側)の損傷がなくなり、コンベヤベルトの耐久性を高め、耐用時間を長くすることができ、コンベヤベルトの交換を頻繁に行わずにすむことができ、経済面などで顕著な効果をあげることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明のコンベヤの一つの実施例を図1〜図3に示す。このコンベヤは、ローラートップベルト10を備え、このローラートップベルトは、第1のループとして配置され、この第1のループの内側に第2のループとなる第2のベルト12が配置されている。このローラートップベルトは、厚さ方向において、外側面14と内側面15を有している。複数のローラー16が前記ローラートップベルトに設けられており、それぞれのローラの周面は、前記外側面14と内側面15から突き出るようになっている。前記外側面で搬送される搬送品18は、搬走路の搬送品搬送セグメント(図1における外側面の上側水平セグメント)における前記ベルトの外側面から突き出ている前記複数のローラーの突き出ている面に支持されている。搬送品搬走路にそって前記ローラートップベルトは、それ自体内側のベルト12の外側面で支持されている。このベルト12の外側面は、前記ローラートップベルトの内側面15から下方へ突き出ている前記複数のローラーの突き出ている部分に接触している。
【0008】
前記ローラートップベルトは、ベルト駆動方向22に向けて駆動走行されるようになっており、シャフト26に装着の一つ又は複数の駆動スプロケット24(又は駆動ドラム)とモータ28を含み、さらに必要に応じてギヤボックスを含んでいて通常の結合機構を介して駆動軸に結合している第1の駆動構造により双方向へ動かされるようになっている。スプロケット周縁の複数の歯が前記ローラートップベルトの内側の駆動構造部に係合している。前記シャフトは、その両端が在来の通常の手段でシャフトベアリングに回転自由に支持されている。前記ローラートップベルトの駆動シャフトは、搬走路の一方の端部にあるのが通常である。搬走路の他方の端部におけるシャフト26の複数のアイドラースプロケット25がループを作り、搬走路をきめる。戻りパスにおける複数の戻しローラー30又はシューズにより、ベルトの垂れ下がりを少なくし、戻り路にそう搬走路をきめる。
【0009】
内側の駆動ベルト12も同じようにモータ28’により駆動されるシャフトに装着の一つ又は複数のスプロケット24’を含む駆動構造により駆動される。このベルトのループの他方の端部に複数のアイドラースプロケット25’がシャフト26’を介して設けられており、さらに戻り路にそって複数のローラー30’が設けられている。前記二つの駆動構造手段によって、外側のループ状になったベルトと内側のループ状になったベルトとが第1の速度と第2の速度で同じ方向又は逆の方向へ駆動される。
【0010】
前記二つのベルトは、プーリー駆動に代えてのスプロケット鼓動構造をもつラベルトであってもよいが、例えば、アメリカ合衆国ルイジアナ州ハラハン在のイントラロックス会社で製造、市販のようなモジュラー・プラスチックコンベヤベルトを使用することが好ましい。このようなモジュラー・プラスチックベルトは、複数のプラスチックベルト・モジュールが連なっているもので、これらモジュールは、ポリプロピレン、アセタール及び複合マテリアルズのような熱可塑性ポリマーの射出成形品のものが一般的である。前記モジュールの個々は、列状になって連なっており、通常は、煉瓦積みのパターンであるが、他のパターンでもよい。図3に示すように、ヒンジアイ32が一列に並んだモジュールの両側縁にそって位置し、これらヒンジアイに後続のモジュールのヒンジアイが挟まり合い、これらヒンジアイにヒンジピン34が通されて互いに連結されて、連結部36が構成され、この連結部の部分で前記ベルトが曲がり、前記スプロケット、ドラム、シュー又はプーリーまわりにそって動くようになっている点は、在来のモジュール・コンベヤベルトの構造と全く同じである。図2は。モジュラー・プラスチックコンベヤベルトを使用するコンベヤのこの発明の一例を説明するもので、外側ベルト10は、前記イントラロックス・シリーズ400ローラートップベルトのようなローラートップベルトであり、円筒形のローラー16がアクスル17を軸として回転し、該アクスルは、ベルト駆動方向に直交している。内側のベルト12は、イントラロックス・シリーズ1100フラットトップベルトである。駆動ベルト12の外側面20は、上側になっているローラートップベルトの複数のローラー16を回転させるが、この回転運動は、上下二つのベルトの駆動速度が異なっている場合のみに行われる。即ち、前記下側の駆動ベルトと上側のベルトのローラーとが接触して生じる摩擦力は、前記ローラーの少なくとも外周面を例えばウレタンや熱可塑性エラストマーなどの摩擦係数が大きなもので作ることにより高まる。さもなければ、フラット・フリクション・トップ・モジュラーコンベヤベルトにおけるように、前記内側のベルトの外側面を摩擦係数の高い素材で作ったり、これら素材で被覆したりしてもよい。
【0011】
実際の使用にあたっては、前記二つ重ねになったベルトコンベヤシステムは、バックライン圧の蓄積が完全になくなる。前記ローラートップベルト(外側のベルト)を第1の速度で(例えば、図1で左方向へ)駆動し、内側のベルトを矢印38で示すように下げて前記複数のローラーと接触しないようにすると、搬送品18は、前記ローラーが回転しないことで、左方向へ搬送される。この搬送品がゲート、搬送品の渋滞又は他の障害により図1で左方向への前進が妨げられた場合、前記上側のローラートップベルトは走行を続けるが、該ベルトは、ゼロではないが低いバックライン圧の状態で動くことで、止まってしまった搬送品の下で前記複数のローラーは回転する。内側の駆動ベルト12が矢印38で示すように上げられて、前記上側のローラートップベルトの複数のローラーの内側の面に接触するようにし、上側のベルトと同じ方向で、しかも2倍早い速度で動かされると、搬送品は、バックライン圧が完全にゼロの状態で搬送品が同じ位置に留まる。前記ローラートップベルトの速度の2倍早い速度で前記下側の駆動ベルトが直線方向に走行すると、前記ローラートップベルトに載せられている搬送品は、一つだけであっても殆ど動かずに留まっている。このように、バックライン圧力がゼロ又はゼロ近くになれば、搬送品とコンベヤベルト搬送面との間の摩擦が少なくなるか、摩擦がほとんどなくなる状態になるので、コンベヤベルトの搬送面(上面側)の損傷がなくなり、コンベヤベルトの耐久性を高め、耐用時間を長くすることができ、コンベヤベルトの交換を頻繁に行わずにすむことができ、経済的の面などで顕著な効果をあげることができる。
【0012】
バックライン圧力を弱いものにするか、又は、全くなくしてしまう他に、この発明のコンベヤは、別な面でもすぐれた機能を発揮する。例えば、内側のベルトが停止状態になっていると、外側のループ状になっているベルトの複数のローラーは、停止している内側ベルトの外側面に接触しているから、前記外側のベルトの進行により前方へ回転する。これらローラーの前方への回転により、搬送品の搬送速度が早まり、前記ベルトそれ自体の進行速度よりも早く進む。したがって、このようなコンベヤの機能により、第1の搬送品とこれに続く後続の搬送品との間に間隔があき、搬送品同士のぶつかり合いがなくなる。当然のことながら、内側の駆動ベルトが外側のベルトの進行方向と反対の方向へ駆動されると、前記ローターの回転速度は加速され、搬送品の搬送速度が加速される。さらに、前記ローラートップベルトの駆動される速度の2倍早い速度で、内側のベルトが駆動され、前記内外両方のベルトの駆動される進行方向が同じである場合には、前記ローラの上に載せられている搬送品は、前記ローラートップベルトの進行方向とは反対の方向へ搬送されることになる。
【0013】
前記したように、前記複数のローラーに対する前記駆動ベルトの作用は、前記ローラートップベルトから前記駆動ベルトを離すことで機能しなくなる。また、この機能をさせないようにする別の手段は、前記内外両方のベルトを同じ進行方向で同じ速度で進行させるようにすることである。前記二つのベルトの相対運動がおきないから、内側ベルトは、前記ローラーを回転させなくなる。これら二つの手段で前記ローラーは、単なる遊びローラーになる。
【0014】
図3に示すように、前記内外二つのベルトは、別々の駆動モータ28,28’により駆動されることが好ましい。これら駆動モータが別々であっても、少なくとも一方の駆動モータは、調節可能であることが好ましい。プログラムできるロジックコントローラ又は汎用コンピュータ又は特注コンピュータのようなコントローラ40を用いて、前記内外二つのベルトの相対駆動速度(相対進行速度)を制御する。各駆動モータへの信号及び制御ライン42,43で前記コントローラを動かし、前記内外二つのベルトの運行状態及び進行速度を制御する。このようにして、前記内外二つのベルトの進行速度がダイナミックに制御でき、さらにはまた、例えば、主従の関係にあるように、一方のベルトの速度が他方のベルトの所定の又は測定された速度に合わせ相対的に制御できる。簡単な方法では、前記二つのベルトの一方を第1の速度で進行させ、例えば、チェーン減速の手段などで他方のベルトの進行速度を遅くさせ、前記二つのベルトの駆動進行速度に差をもたせるようにできる。
【0015】
このように、搬送する搬送品を逆方向へバックさせたり、加速させたり、減速させたりすることを無理なく行え、さらに、バックライン圧力を皆無(ゼロ)にすることで正確な搬送品のコントロールができるコンベヤを提供することができるものである。
【0016】
この発明を好ましい実施例により説明したが、この発明の技術的範囲内での種々の変形が可能である。例えば、前記ローラーをアクスルに取り付けた円筒状のものにする代わりに球形のものにしたり、長くしたループ状の外側のベルトの内側に複数の内側のループ状のベルトを搬走路の搬送品にそって連続して設けることもできる。このように種々の改変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一つの実施例におけるコンベヤの側面図。
【図2】図1のコンベヤの一部の説明図。
【図3】図1のコンベヤの斜視方向から見た説明図。
【符号の説明】
【0018】
10 ローラートップベルト
12 第2のベルト、内側の駆動ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を備えるコンベヤ:
外側のループ状のベルトで、このベルトの外側面と内側面との両面それぞれから周側面が突き出ている複数の回転可能なローラーを有するもの;
前記外側のループ状のベルトの内側に位置し、前記外側のループ状のベルトの搬送方向にそって前記外側のベルトの内側の面から突き出ている前記複数のローラーの周側面に接触可能な内側のループ状のベルト;及び
前記外側のループ状のベルトと前記内側のループ状のベルトそれぞれを同一方向又はそれぞれ反対方向へ双方のベルトを同一速度又は異なる前記ベルトの一方を第1の速度、前記ベルトの他方を第2の速度として速度を変えて駆動する駆動手段。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記外側のループ状のベルトを第1の速度で駆動する第1の駆動手段及び前記内側のループ状のベルトを第2の速度で駆動する第2の駆動手段を備えている請求項1によるコンベヤ。
【請求項3】
前記第2の駆動手段が前記外側のベルトの前記ローラーが回転しないように、前記内側のループ状のベルトが前記ローラーに接触しなくなる機構を備えている請求項2によるコンベヤ。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記外側のループ状のベルトを第1の速度で駆動する第1の駆動手段及び前記内側のループ状のベルトを第2の速度で、かつ、外側のループ状のベルトと同じ進行方向へ駆動する第2の駆動手段を備えている請求項1によるコンベヤ。
【請求項5】
前記第1の速度と第2の速度が調節可能である請求項1によるコンベヤ。
【請求項6】
前記第1の速度と第2の速度がそれおれ異なる請求項1によるコンベヤ。
【請求項7】
前記第2の速度が第1の速度よりも早い速度である請求項1によるコンベヤ。
【請求項8】
前記第2の速度が第1の速度のファンクションとして変化する速度である請求項1によるコンベヤ。
【請求項9】
前記外側のエンドレスベルトがローラートップ・モジュラーコンベヤベルトである請求項1によるコンベヤ。
【請求項10】
前記内側のエンドレスベルトがフラットなフリクション・トップ・モジュラーコンベヤベルトである請求項1によるコンベヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−27905(P2006−27905A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205152(P2005−205152)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(591050693)レイトラム リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】