説明

コンベヤ

【課題】蛇行検出用のセンサを用いずに、ベルトの蛇行を矯正する。また、矯正用ローラを昇降モータ無しで作動させて、ベルトの蛇行を矯正する。
【解決手段】ベルトコンベヤ2のベルト4の、幅方向の両側部に左右一対の検出用ローラ8,9を設け、ベルトの底部の左右に一対の矯正用ローラ10,11を設ける。そして左右一方の検出用ローラがベルトにより押圧されると、矯正用ローラを、一方の検出用ローラ側が高くベルトの底部中央側が低くなるように、傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベルトコンベヤに関し、特にコンベヤの蛇行を矯正することに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤでは、ベルトの横ずれ、即ち蛇行が問題となる。出願人は、ベルトの蛇行の矯正のために、ベルトが横ずれしていることをセンサで検出し、モータで蛇行矯正用のローラを上昇させることを提案した(特許文献1:実開平1−58517)。しかしながら、このようにすると横ずれ検出用のセンサや矯正用のモータが必要で、機構が大がかりになる。そこで発明者はより簡便にベルトコンベヤの蛇行を矯正することを検討して、この発明に到った。
【特許文献1】実開平1−58517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、蛇行検出用のセンサを用いずに、ベルトの蛇行を矯正することにある。
この発明での追加の課題は、矯正用ローラを昇降モータ無しで作動させて、ベルトの蛇行を矯正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、ベルトの蛇行矯正装置付きのコンベヤであって、
前記蛇行矯正装置は、
ベルトの幅方向の両側部で、ベルトの外側に配置された左右一対の検出用ローラと、 ベルト底部の左右に配置され、かつベルトの底部に接触してベルトの蛇行を矯正する、少なくとも左右一対の矯正用ローラと、
左右一方の検出用ローラがベルトにより押圧されると、該一方の検出用ローラと左右が同じ側の矯正用ローラを、前記一方の検出用ローラ側が高く、ベルトの底部中央側が低くなるように、傾斜させるための傾斜手段、
とを備えていることを特徴とする。
好ましくは、前記傾斜手段は、
前記検出用ローラと連動してベルト底部の下方を左右動する左右一対のカムで、ベルトの中央部側で低く左右側で高いカム斜面を備えたものと、
該カム斜面によって昇降することにより、前記矯正用ローラのベルト左右側の高さを規制する支持部材、
とを備えている。
特に好ましくは、前記ベルト底部の下方を左右に横断するフレームを設けると共に、
該フレームに前記一対のカムを左右にスライド自在に取り付け、
前記一対の検出用ローラの支柱の下部を前記左右一対のカムに取り付け、
さらに、前記一対のカムをベルト底部の中央部側へ付勢する、一対の付勢部材を設ける。
【発明の効果】
【0005】
この発明では、ベルトが蛇行し、左右一方の検出用ローラがベルトに押圧されると、傾斜手段により、押圧された側と同じ側の矯正用ローラを、ベルトの外側が高くなるように傾斜させる。これによってベルトには蛇行を解消する力が働く。この発明では、ベルトの蛇行検出用のセンサ無しで、蛇行を解消できる。
【0006】
ここで、検出用ローラがベルトで押圧されると、カムをベルト底部の下方を左右動させ、ベルトの中央部側で低く左右側で高いカム斜面と、カム斜面によって昇降する矯正用ローラの支持部材とを組み合わせて、矯正用ローラを傾斜させることが好ましい。このようにすると、矯正用ローラを駆動するモータが不要になる。このため、蛇行に速やかにかつ確実に応答し、しかも故障の少ない、蛇行矯正装置が得られる。
さらに、ベルト底部の下方を左右に横断するフレームに、一対のカムを左右にスライド自在に取り付け、一対の検出用ローラの支柱の下部を左右一対のカムに取り付け、一対のカムをベルト底部の中央部側へ付勢する、一対の付勢部材を設けることが好ましい。このようにすると、検出用ローラがベルトに押されて移動した際にカムを確実に動作させ、かつ矯正用ローラの傾斜をベルトの蛇行の程度に応じて調節できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0008】
図1〜図4に、実施例のベルトコンベヤ2とその変形とを示す。4は往行側ベルト、5は復行側ベルトで、ベルトの種類は例えばスチールベルトであるが、ゴムベルトでも良い。ただしスチールベルトでは蛇行すると危険なので、この発明に特に適している。この明細書で、左右はベルト4,5の進行方向に水平面内で直角な方向であり、ベルト4,5は例えば水平方向に移動する。
【0009】
往行側ベルト4と復行側ベルト5との間に左右方向に沿ったフレーム6を設けて、往行側ベルト4の左右両外側に一対の検出用ローラ8,9を設ける。また往行側ベルト4の底部に接するように、左右一対の矯正用ローラ10,11を設ける。検出用ローラ8,9の支柱12,13を左右のカム20,21に固定し、カム20.21はそれぞれカム溝22を備え、カム溝22は往行側ベルト4の中央部側で高く左右の端部側で低くなる。さらにフレーム6に設けた突条23により、カム20,21を左右方向にスライド自在にする。
【0010】
矯正用ローラ10,11は、往行側ベルト4の中央部側を柱25で、左右の端部側を柱24で支持され、カム20,21は付勢部材26,27により、往行側ベルト4の底部中央向きに付勢されている。そして往行側ベルト4が正常位置にある場合、ストッパ28により、検出用ローラ8はベルト4に接触しない位置に規制されている。
【0011】
ベルト4,5に沿って、フレーム6〜ストッパ28からなる蛇行矯正装置が複数配置され、その間にアイドラローラや駆動用ローラ等が配置されている。実施例ではカム20,21にカム溝22を設けて柱24をガイドしたが、カム20,21に突起を設けて柱24をガイドしても良い。またカム20,21側に突条を設けて、フレーム6に設けた溝内をスライドさせても良い。
【0012】
実施例の動作を示す。図3のように、往行側ベルト4が例えば左側に蛇行し、左側の検出用ローラ9をスライドさせる。すると支柱13を介してカム21が左側にスライドし、これによって柱24がカム溝22に沿って上昇し、矯正用ローラ11は外側が高く中央部側が低くなるように傾斜する。傾斜の程度はベルト4の蛇行が著しくなるほど大きく、矯正用ローラ11が傾斜することにより、ベルト4の蛇行を解消する。そして蛇行が解消すると、カム21は付勢部材27により復帰し、ストッパ28の位置で停止する。
【0013】
図4に蛇行矯正装置の変形例を示す。40,41は左右一対の矯正用ローラで、ベルト4の左右端部側が高く中央部側が低い円錐状のローラである。42,43は4節リンクで、45,46は検出用ローラ8,9の運動を4節リンク42,43に伝達するためのアーム、47,48は回動軸である。ここでベルト4が蛇行し、例えば検出用ローラ9がベルト4で押されて、回動軸48を中心に回動すると、4節リンク43により矯正用ローラ41が上昇し、ベルト4の蛇行を解消させる。ベルト4の蛇行が解消すると、付勢部材50により矯正用ローラ41はベルト4と接しない位置へ下降する。これらの作用は右側の矯正用ローラ40に付いても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例のコンベヤの部分切欠部付き要部平面図
【図2】実施例のコンベヤの要部鉛直方向断面図
【図3】実施例の動作状態を示す図
【図4】変形例のコンベヤの要部鉛直方向断面図
【符号の説明】
【0015】
2 コンベヤ
4 往行側ベルト
5 復行側ベルト
6 フレーム
8,9 検出用ローラ
10,11 矯正用ローラ
12,13 支柱
20,21 カム
22 カム溝
23 突条
24,25 柱
26,27 付勢部材
28 ストッパ
40,41 矯正用ローラ
42,43 4節リンク
45,46 アーム
47,48 回動軸
50,51 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトの蛇行矯正装置付きのコンベヤであって、
前記蛇行矯正装置は、
ベルトの幅方向の両側部で、ベルトの外側に配置された左右一対の検出用ローラと、 ベルト底部の左右に配置され、かつベルトの底部に接触してベルトの蛇行を矯正する、少なくとも左右一対の矯正用ローラと、
左右一方の検出用ローラがベルトにより押圧されると、該一方の検出用ローラと左右が同じ側の矯正用ローラを、前記一方の検出用ローラ側が高く、ベルトの底部中央側が低くなるように、傾斜させるための傾斜手段、
とを備えていることを特徴とする、ベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記傾斜手段は、
前記検出用ローラと連動してベルト底部の下方を左右動する左右一対のカムで、ベルトの中央部側で低く左右側で高いカム斜面を備えたものと、
該カム斜面によって昇降することにより、前記矯正用ローラのベルト左右側の高さを規制する支持部材、
とを備えていることを特徴とする、請求項1のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記ベルト底部の下方を左右に横断するフレームを設けると共に、
該フレームに前記一対のカムを左右にスライド自在に取り付け、
前記一対の検出用ローラの支柱の下部を前記左右一対のカムに取り付け、
さらに、前記一対のカムをベルト底部の中央部側へ付勢する、一対の付勢部材を設けたことを特徴とする、請求項2のベルトコンベヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161279(P2009−161279A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340150(P2007−340150)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】