説明

コンポスト装置

【課題】堆肥原料をより好適に好気分解できより良質な堆肥が得られるコンポスト装置を提供する。
【解決手段】堆肥原料を入れるコンポスト容器と、本コンポスト装置内に配置され堆肥原料及び形成された堆肥を支持する基礎構造と、滲出物をコンポスト容器外に出す排出部材と、を備え、基礎構造が、その上方が開口しており排出路形成材が入る空間を形成する湾曲した床と、床に形成された滲出物室と、を有し、形成された滲出物が、床上方の開口及び排出路形成材を介し滲出物室に流れ込み、滲出物室内の滲出物が、排出部材によってコンポスト容器外に出されるコンポスト装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥原料を堆肥化するためのコンポスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
堆肥化は環境に優しい有機廃棄物処分方法である。一般に、良質な堆肥(コンポスト)を得るには堆肥原料を好気性の菌又は細菌により分解するのが望ましいとされている。また、この種の分解即ち好気分解に適した環境を発生させることができれば、堆肥原料を迅速に分解し良質な堆肥を得ることができる。
【0003】
更に、堆肥化途上物から排出される滲出物(リチェート)を収集して再利用するのが望ましいとされている。また、滲出物を単純に地上に排出させるよりは、滲出物を収集して廃棄する方がやはり望ましいことである。
【0004】
そして、様々な用途向けに様々な容積の堆肥化用コンポスト容器が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、堆肥原料をより好適に好気分解できより良質な堆肥が得られるコンポスト装置を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、コンポスト装置内堆肥化途上物から出てくる滲出物を収集可能にすることにある。
【0007】
本発明の第3の目的は、コンポスト容器容積を随時加増可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに、本発明の一実施形態に係るコンポスト装置は、
堆肥原料を入れるコンポスト容器と、
コンポスト容器内に設けられ1個又は複数個の導気口を介しコンポスト容器内に空気を通すことにより好気分解による原料堆肥化を促進する通気器(エアレータ)と、
本コンポスト装置外から通気器に空気を供給する空気流路部と、
生成された堆肥が通気器に蝟集することを妨げることにより通気器から導気口を介しコンポスト容器内に至る気流を確保する蝟集防止(アンチコンパクション)部材と、
を備える。
【0009】
本実施形態においては、例えば、通気器として直立管を設け、その直立管に1個又は複数個の導気口を設ける。
【0010】
本実施形態においては、例えば、管状の通気器に被せたときにその管の外まで外縁部がはみ出すキャップを、蝟集防止部材として通気器に被せる。
【0011】
本実施形態においては、例えば、窪みが設けられた略円盤状部材を蝟集防止部材として用い、その窪みに管状の通気器を入れることによって、その管でその蝟集防止部材を支持させる。
【0012】
特に好ましくは、その下縁部から上端部に向い窄まった周壁の外表面に複数枚の外羽根を設けた略円錐状部材によって、通気器を構成する。この略円錐状部材は、通気管からその内側に入った気流が周壁下縁部から外に出ていくよう、空気流路部に連通する通気管によって支持する。更に、周壁外表面に設けた複数枚の外羽根を蝟集防止部材として機能させる。即ち、外羽根はその配設先の周壁に物質が蝟集し周壁沿い上昇気流を妨げることを防ぎ、ひいては外羽根間気流及び堆肥原料乃至堆肥化途上物内浸透気流が確保されるようにする。
【0013】
好ましくは、通気器及び通気管を複数個設け、それら通気器及び通気管を、下側通気器上に上側通気管が位置し上側通気管上に上側通気器の略円錐状部材が位置するよう配置する。下側通気器の略円錐状部材における外羽根間気流は、上側通気管を経て上側通気器の略円錐状部材の内側に入り、その略円錐状部材の周壁下縁部近辺から外に出て、堆肥原料乃至堆肥化途上物に浸透する。
【0014】
好ましくは、略円錐状部材上端部に複数個の縦鰭を設けそれらによって上側通気管配置用スタッドを形成する。その略円錐状部材における外羽根間気流は、その略円錐状部材の縦鰭間を通って上側通気管ひいては上側通気器の略円錐状部材に流れ込むようにする。
【0015】
好ましくは、各略円錐状部材の周壁内表面に複数枚の内羽根を設け、下側通気管からその略円錐状部材の内側に入った気流をそれらの内羽根によって周壁下縁部方向に下降させる。
【0016】
本実施形態においては、例えば、本コンポスト装置外から空気を受け入れ通気器に導く通気管によって空気流路部を構成する。
【0017】
本実施形態においては、例えば、排出路形成材を載せた床と、床に形成された滲出物室と、を有する基礎構造(ベース)を設け、堆肥化途上物からの滲出物が、排出路形成材を介し滲出物室に入るようにする。
【0018】
本実施形態においては、例えば、滲出物室上に排出口カバーを設ける。排出口カバーには、その排出口カバーを介し滲出物室に滲出物が入るよう、開口を1個又は複数個設けておく。
【0019】
本実施形態においては、例えば、滲出物室からコンポスト容器外に滲出物を出すための排出管を滲出物室に設ける。
【0020】
本実施形態においては、例えば、基礎構造に直立支柱を設けその直立支柱によって通気器を支持させる。
【0021】
本実施形態においては、例えば、容器セグメント追加によってコンポスト容器容積を随時加増できるよう、複数個の容器セグメントの上下連結によってコンポスト容器を形成する。
【0022】
本実施形態においては、例えば、各容器セグメントの周壁に壁面口を設けて管を通し、その管を介し通気器に空気を導入し又は滲出物室から滲出物を排出させる。
【0023】
本実施形態においては、例えば、複数個の容器セグメントのうち最下段の容器セグメントの上縁によって基礎構造を支持し、最下段の容器セグメントの上に二段目の容器セグメントを載せる。
【0024】
本実施形態においては、例えば、最下段容器セグメントに支柱を設けて滲出物室を支持させる。
【0025】
特に好ましくは、堆肥化途上物からの湿気を通す開口が1個又は複数個設けられた床を有する基礎構造を用い、その基礎構造の床の下側に、液体を排出する部材を有する滲出物室を連結する。
【0026】
好ましくは、基礎構造の床を以て滲出物室の天井を兼ねさせる。
【0027】
好ましくは、本コンポスト装置外から通気器に空気を供給する空気流路部を滲出物室に通す。
【0028】
本実施形態においては、例えば、各容器セグメントを三分割形成し、各部分を継ぎ合わせて周壁を形成する。周壁の断面形状は、例えば円、正方形、長方形、卵形等、所望の形状にすることができる。
【0029】
特に好ましくは、各容器セグメントを、互いに向かい合うよう配置された第1及び第2壁と、互いに向かい合うよう第1壁第2壁間に配置された第3及び第4壁とにより形成し、第1及び第2壁を、それぞれ、中央壁部分と、その中央壁部分に対し所定角度をなすよう配置された2個の側壁部分とにより形成する。
【0030】
好ましくは、その構成が実質的に同一の複数個の容器セグメントを、下側容器セグメントとは90°異なる向きで上側容器セグメントが下側容器セグメント上に配置されるよう、上下に積み重ねるようにする。
【0031】
好ましくは、堆肥原料乃至堆肥化途上物に補助空気を送り込む一体型プラグを、本コンポスト装置の奥に向け突出するよう第3及び第4壁に設ける。
【0032】
本実施形態においては、或いは、容器セグメント同士を連結する連結コネクタ部材を各容器セグメントに設ける。
【0033】
本実施形態においては、或いは、各容器セグメントの周壁を、第1部分と、第1部分より内側に位置する第2部分とによって構成し、複数個の容器セグメントを上下に重ねたときに、ある容器セグメントの第1部分内にその隣の容器セグメントの第2部分が入り込み、それら容器セグメントが一体に保持されるようにする。
【0034】
本実施形態においては、例えば、その上に微生物が生息できるよう透水性マットを基礎構造に併設し、その透水性マット及び基礎構造を通り滲出物室に向かう水分に対しその透水性マットを生物利用濾過器(バイオフィルタ)として作用させる。
【0035】
本実施形態においては、例えば、基礎構造及び滲出物室を受け止める桶をコンポスト容器に設け、その桶を、滲出物室やコンポスト容器から滲出物を収集するための滲出物収集桶として使用する。
【0036】
本実施形態においては、例えば、プラスチック繊維から形成された透水性マットや、有機繊維素材例えばココヤシ繊維から形成された透水性マットを用いる。
【0037】
本実施形態においては、例えば、通気器に空気を導入するための管が入る壁面口を、その管を通る空気がコンポスト容器内部での堆肥化現象に伴う発熱で暖められた上で通気器に供給されるよう、基礎構造より上方に設ける。
【0038】
本実施形態においては、例えば、コンポスト容器の周壁にプラグ収容口を設け、そのプラグ収容口内にプラグを配置する。プラグには前面パネル及び気流方向決定器を設け、その気流方向決定器によって、周壁から奥まった場所に前面パネルからの気流を差し向ける。
【0039】
本実施形態においては、例えば、前面パネルに複数個の吸気口を設け、気流方向決定器として、周壁より奥に突出した室を形成する。
【0040】
本実施形態においては、例えば、気流方向決定器に、その中に断熱材が配置された第1房及び第1房から見て上方に傾いた第2房を有する室を設け、第2房を形成する上下の壁のうち下側の壁に導気口を1個又は複数個設け、第2房内の空気が導気口を介し周壁から奥まった場所で堆肥化途上物に入るようにする。
【0041】
本実施形態においては、例えば、前面パネルに排出口を1個又は複数個設ける。
【0042】
本発明の他の実施形態に係るコンポスト装置は、
堆肥原料を入れるコンポスト容器と、本コンポスト装置内に配置され堆肥原料及び形成された堆肥を支持する基礎構造と、滲出物をコンポスト容器外に出す排出部材と、を備え、
基礎構造が、その上方が開口しており排出路形成材が入る空間を形成する湾曲した床と、床に形成された滲出物室と、を有し、
形成された滲出物を、床上方の開口及び排出路形成材を介し滲出物室に流れ込ませ、滲出物室内の滲出物を、排出部材によってコンポスト容器外に出す。
【0043】
本実施形態においては、例えば、基礎構造の床の一部を略椀状に湾曲させ、更に下向きに延ばした部分で滲出物室を形成する。
【0044】
本実施形態においては、例えば、コンポスト容器外の空気をコンポスト容器内に供給する通気器をコンポスト容器に内蔵させ、その空気によってコンポスト容器内堆肥原料の好気分解を促進し堆肥を形成させる。
【0045】
本発明の更に他の実施形態に係るコンポスト容器は、内部空洞を有しコンポスト容器に被せられる蓋を備える。この蓋には、その内部空洞とコンポスト容器内とを連通させるための孔を設ける。この蓋には、更に、コンポスト容器にその蓋を被せると蓋の内部空洞とコンポスト容器の間に位置することとなるよう、断熱材の層を設ける。従って、コンポスト容器に本蓋を被せるとその蓋の外面と断熱材の層の間に内部空洞が位置することとなるので、本蓋の孔を通って内部空洞に入った水蒸気が本蓋の外面上で凝縮し、その面に形成されている排出収集部位に向かって水分が流れ出す。
【0046】
本実施形態においては、例えば、その上に微生物が生息できるよう透水性マットを基礎構造に併設し、その透水性マット及び基礎構造を通り滲出物室に向かう水分に対しその透水性マットを生物利用濾過器として作用させる。
【0047】
本実施形態においては、例えば、基礎構造及び滲出物室を受け止める桶をコンポスト容器に設け、その桶を、滲出物室やコンポスト容器から滲出物を収集するための滲出物収集桶として使用する。
【0048】
本実施形態においては、例えば、プラスチック繊維から形成された透水性マットや、有機繊維素材例えばココヤシ繊維から形成された透水性マットを用いる。
【0049】
本実施形態においては、例えば、通気器に空気を導入するための管が入る壁面口を、その管を通る空気がコンポスト容器内部での堆肥化現象に伴う発熱で暖められた上で通気器に供給されるよう、基礎構造より上方に設ける。
【0050】
本実施形態においては、例えば、容器セグメント個数設定によって所望容積のコンポスト容器を形成できまたコンポスト容器容積を随時加増できるよう、複数個の容器セグメントの上下連結によってコンポスト容器を形成する。
【0051】
本実施形態においては、例えば、複数個の容器セグメントのうち最下段の容器セグメントの上縁によって基礎構造を支持する。
【0052】
本実施形態においては、例えば、通気器として直立管を設け、その直立管に1個又は複数個の導気口を設ける。
【0053】
本実施形態においては、例えば、管状の通気器に被せたときにその管の外まで外縁部がはみ出す蝟集防止部材を、通気器に被せる。
【0054】
本実施形態においては、例えば、窪みが設けられた略円盤状部材を蝟集防止部材として用い、管状の通気器をその窪みに入れ、その管によって蝟集防止部材を支持させる。
【0055】
本実施形態においては、例えば、空気流路部を、本コンポスト装置外から空気を受け入れ通気器に導く通気管によって構成する。
【0056】
本実施形態においては、例えば、滲出物室上に排出口カバーを設ける。排出口カバーには、その排出口カバーを介し滲出物室に滲出物が入るよう開口を1個又は複数個設けておく。
【0057】
本実施形態においては、例えば、滲出物室からコンポスト容器外に滲出物を出すための排出管を、排出部材として設ける。
【0058】
本実施形態においては、例えば、基礎構造に直立支柱を設け、その直立支柱によって通気器を支持させる。
【0059】
本実施形態においては、例えば、容器セグメント追加によってコンポスト容器容積を随時加増できるよう、複数個の容器セグメントの上下連結によってコンポスト容器を形成する。
【0060】
本実施形態においては、例えば、各容器セグメントの周壁に壁面口を設けて管を通し、その管を介し通気器に空気を導入し又は滲出物室から滲出物を排出させる。
【0061】
本実施形態においては、例えば、複数個の容器セグメントのうち最下段の容器セグメントの上縁によって基礎構造を支持し、最下段の容器セグメントの上に二段目の容器セグメントを載せる。
【0062】
本実施形態においては、例えば、最下段容器セグメントに支柱を設け、その支柱により滲出物室を支持させる。
【0063】
本実施形態においては、例えば、各容器セグメントを三分割形成し、各部分を継ぎ合わせて周壁を形成する。周壁の断面形状は、例えば円、正方形、長方形、卵形等、所望の形状にすることができる。
【0064】
本実施形態においては、或いは、容器セグメント同士を連結する連結コネクタ部材を各容器セグメントに設ける。
【0065】
本実施形態においては、或いは、各容器セグメントの周壁を、第1部分と、第1部分より内側に位置する第2部分とによって構成し、複数個の容器セグメントを上下に重ねたときに、ある容器セグメントの第1部分内にその隣の容器セグメントの第2部分が入り込み、それら容器セグメントが一体に保持されるようにする。
【0066】
本実施形態においては、例えば、コンポスト容器の周壁にプラグ収容口を設け、そのプラグ収容口内にプラグを配置する。プラグには前面パネル及び気流方向決定器を設け、その気流方向決定器によって、コンポスト容器の周壁から奥まった場所に前面パネルからの気流を差し向ける。
【0067】
本実施形態においては、例えば、前面パネルに複数個の吸気口を設け、気流方向決定器に形成した室を、コンポスト容器の周壁から奥まった場所に突出させる。
【0068】
本実施形態においては、例えば、気流方向決定器に、その中に断熱材が配置された第1房及び第1房から見て上方に傾いた第2房を有する室を設け、第2房を形成する上下の壁のうち下側の壁に導気口を1個又は複数個設け、第2房内の空気がコンポスト容器の周壁から奥まった場所で導気口を介し堆肥化途上物に入るようにする。
【0069】
本発明の他の実施形態に係るコンポスト装置は、
堆肥原料を入れるコンポスト容器を備え、
そのコンポスト容器が、それぞれ外部に面する周壁を有し上下に積み重なってコンポスト容器を形成する互いに別体の複数個の容器セグメントを有するので、
最上段の容器セグメント上に更に別の容器セグメントを継ぎ足すことによりその容積を加増可能である。
【0070】
好ましくは、コンポスト容器外から空気を供給してコンポスト容器内の堆肥原料乃至堆肥化途上物の好気分解を促進する通気器を設ける。
【0071】
好ましくは、容器セグメントの積み重ね段数を増す際に、既存の通気器の上に別の通気器を配置して通気器合計の寸法を伸ばし、コンポスト容器内に追加される新たな堆肥原料への空気供給ひいてはその好気分解をそれら通気器により促進させる。
【0072】
本発明の好適な実施形態においては、各容器セグメントを、互いに向かい合うよう配置された第1及び第2壁と、互いに向かい合うよう第1壁第2壁間に配置された第3及び第4壁とにより形成し、第1及び第2壁を、それぞれ、中央壁部分と、その中央壁部分に対し所定角度をなすよう配置された2個の側壁部分とにより形成する。
【0073】
好ましくは、その構成が実質的に同一の複数個の容器セグメントを、下側容器セグメントとは90°異なる向きで上側容器セグメントが下側容器セグメント上に配置されるよう、上下に積み重ねる。
【0074】
好ましくは、堆肥原料乃至堆肥化途上物に補助空気を送り込む一体型プラグを、本コンポスト装置の奥に向け突出するよう、第3及び第4壁に設ける。
【0075】
好ましくは、その下側にある基礎構造又は容器セグメントを縁取る棚状張出及び直立フランジに対応して、容器セグメントを構成する各壁の下部に横縁及び下方突出フランジを設ける。
【0076】
好ましくは、上側の容器セグメントを受け止めるため、容器セグメントを構成する各壁の上部に棚状張出及び上方直立フランジを設ける。
【0077】
好ましくは、下側の容器セグメントの上部にある棚状張出及び上方直立フランジ上に上側容器セグメントを据えるため、上側容器セグメントを構成する各壁の下部に横縁及び下方突出フランジを設ける。
【0078】
好ましくは、最下段容器セグメントを基礎構造上に配置し上側容器セグメントを下側容器セグメント上に配置するため、容器セグメントを構成する壁に相互位置決め可能な切欠及び耳を設ける。
【0079】
好ましくは、容器セグメントを構成する各壁を、外側外被と、内側外被と、外側外被と内側外被の間に配置された断熱ブロックとにより形成する。
【0080】
本発明の更に他の実施形態に係るコンポスト容器は、内部空洞を有しコンポスト容器に被せられる蓋を備える。この蓋には、その内部空洞とコンポスト容器内とを連通させるための孔を設ける。この蓋には、更に、コンポスト容器にその蓋を被せると内部空洞とコンポスト容器の間に位置することとなるよう、断熱材の層を設ける。従って、コンポスト容器に本蓋を被せるとその外面と断熱材の層の間に本蓋の内部空洞が位置することとなるので、本蓋の孔を通ってその内部空洞に入った水蒸気が本蓋の外面上で凝縮し、その面に形成されている排出収集部位に向かって水分が流れ出す。
【0081】
本実施形態においては、例えば、その上に微生物が生息できるよう透水性マットを基礎構造に併設し、その透水性マット及び基礎構造を通り滲出物室に向かう水分に対しその透水性マットを生物利用濾過器として作用させる。
【0082】
本実施形態においては、例えば、基礎構造及び滲出物室を受け止める桶をコンポスト容器に設け、その桶を、滲出物室やコンポスト容器から滲出物を収集するための滲出物収集桶として使用する。
【0083】
本実施形態においては、例えば、プラスチック繊維から形成された透水性マットや、有機繊維素材例えばココヤシ繊維から形成された透水性マットを用いる。
【0084】
本実施形態においては、例えば、通気器に空気を導入するための管が入る壁面口を、その管を通る空気がコンポスト容器内部での堆肥化現象に伴う発熱で暖められた上で通気器に供給されるよう、基礎構造より上方に設ける。
【0085】
本実施形態においては、例えば、各容器セグメントを三分割形成し、各部分を継ぎ合わせて周壁を形成する。
【0086】
本実施形態においては、或いは、各容器セグメントの周壁を、第1部分と、第1部分より内側に位置する第2部分とによって構成し、複数個の容器セグメントを上下に重ねたときに、ある容器セグメントの第1部分内にその隣の容器セグメントの第2部分が入り込み、それら容器セグメントが一体に結合されるようにする。
【0087】
好ましくは、各容器セグメントの周壁の第1部分と第2部分を壁の一部分によってつなぐ。
【0088】
本実施形態においては、例えば、最下段容器セグメントの周壁の第1部分の内側に最下段容器セグメント用下端外被を配置し、最上段容器セグメントの周壁の第2部分の回りに最上段容器セグメント用上端外被を配置する。
【0089】
本実施形態においては、例えば、ある容器セグメントの周壁の第1部分とその隣の容器セグメントの周壁の第2部分の間に生じた空間に、断熱材を配する。
【0090】
本実施形態においては、例えば、通気器として直立管を設け、その直立管に1個又は複数個の導気口を設ける。
【0091】
本実施形態においては、例えば、管状の通気器に被せたときにその管の外まで外縁部がはみ出す蝟集防止部材を、通気器に被せる。
【0092】
好ましくは、窪みが設けられた略円盤状部材を蝟集防止部材として用い、管状の通気器をその窪みに入れ、その管によって蝟集防止部材を支持させる。
【0093】
好ましくは、本コンポスト装置外から空気を受け入れ通気器に導く通気管を設ける。
【0094】
好ましくは、排出路形成材を載せた床と、床に形成された滲出物室と、を有する基礎構造を設け、堆肥化途上物からの滲出物が、排出路形成材を介し滲出物室に入るようにする。
【0095】
好ましくは、滲出物室上に排出口カバーを設ける。排出口カバーには、その排出口カバーを介し滲出物室に滲出物が入るよう開口を1個又は複数個設けておく。
【0096】
好ましくは、滲出物室からコンポスト容器外に滲出物を出す排出管を滲出物室に設ける。
【0097】
好ましくは、基礎構造に直立支柱を設けその直立支柱によって通気器を支持させる。
【0098】
本実施形態においては、例えば、コンポスト容器の周壁にプラグ収容口を設け、そのプラグ収容口内にプラグを配置する。プラグには前面パネル及び気流方向決定器を設け、その気流方向決定器によって、コンポスト容器の周壁から奥まった場所に前面パネルからの気流を差し向ける。
【0099】
好ましくは、前面パネルに複数個の吸気口を設け、気流方向決定器に、コンポスト容器の周壁より奥に突出した室を形成する。
【0100】
好ましくは、気流方向決定器の室に、その中に断熱材が配置された第1房及び第1房から見て上方に傾いた第2房を設け、第2房を形成する上下の壁のうち下側の壁に導気口を1個又は複数個設け、第2房内の空気がコンポスト容器の周壁から奥まった場所で導気口を介し堆肥化途上物に入るようにする。
【0101】
本発明の更に他の実施形態に係るコンポスト装置用基礎構造は、
その上部に開口があり排出路形成材が載る空間を形成する湾曲した床と、
堆肥化中に発生する滲出物が排出路形成材を介し入ってくるよう床に形成された滲出物室と、
滲出物室内の滲出物を基礎構造外に排出する排出部材と、
を備える。
【0102】
好ましくは、基礎構造の床の一部を略椀状に湾曲させ、更に下向きに延ばした部分で滲出物室を形成する。
【0103】
本発明の更に他の実施形態に係るコンポスト装置用蓋は、
その中で堆肥化途上物が堆肥化する堆肥化室及び開口部を有するコンポスト装置の蓋として使用され、
当該開口部の閉止に使用されその裏面に孔がある蓋部材と、蓋部材の裏面に沿って配置された断熱材と、を備え、
断熱材と蓋外面との間に空洞が形成されており、
蓋裏面孔を介し蓋空洞内に入った水蒸気が蓋外面に接して凝縮しその面から収集されるよう、構成される。
【0104】
本発明の更に他の実施形態に係るコンポスト装置は、
その周壁によって形成された堆肥化室内に堆肥原料が入るコンポスト容器と、コンポスト容器の周壁上にあるプラグ収容口内に配置されたプラグと、を備え、
プラグが、
(i)コンポスト容器の周壁外からプラグ内に空気を導入するための吸気口が1個又は複数個設けられた前面パネルと、
(ii)コンポスト容器の周壁の外表面に対し奥まった位置にて空気が堆肥化途上物に入りその空気がその中を上昇していくよう上記周壁に囲まれた堆肥化室内に空気を差し向ける気流方向決定器と、
を有する。
【0105】
本実施形態においては、例えば、気流方向決定器に、その中に断熱材が配置された第1房と、第1房に連通する第2房とを設け、第2房を形成する上下の壁のうち少なくとも下側の壁に第2房が先窄まりになるよう上向きのテーパを付し、本コンポスト装置を地面上に水平に据えたときに吸気口より高い位置になるよう、第2房を形成する下側の壁に導気口を設ける。
【0106】
本実施形態においては、例えば更に、導気口より下方にその下縁が位置することとなるよう、第1房と第2房を仕切る隔壁を設ける。
【0107】
本実施形態においては、例えば、第2房の上側及び下側の壁を共に傾斜させてもよいが、隔壁を使用して上側の壁を実質的に横壁(天井)にするとよい。
【0108】
特に好ましくは、コンポスト容器の周壁の一部分を構成する部分壁とプラグを一体化し、プラグ収容口を、その部分壁を収容できるよう且つ当該部分壁を収容したときプラグが周壁の内表面から奥まった場所に届くよう、設ける。
【0109】
好ましくは、気流方向決定器を、ほぼ真横に延びる上側の壁と、コンポスト容器の周壁から斜め上に延びる下側の壁と、前面パネルとなる部分を含み当該上側の壁と当該下側の壁の間に位置し且つ当該前面パネルとなる部分に複数個の吸気口が形成された外壁とによって構成し、これらの壁により略三角形断面部分を有する室を形成する。
【0110】
好ましくは、気流方向決定器の上側の壁に、前面パネルを超えて外側に張り出した廂を設け、その廂によって吸気口をカバーしその閉塞を防ぐ。
【0111】
好ましくは、堆肥原料の堆肥化によって生じた重いガスを本コンポスト装置から排出するための排出口を、プラグ下部に設ける。
【0112】
本実施形態においては、或いは、気流方向決定器を、堆肥化室内の上記周壁から奥まった場所までその一部が入り込むようプラグを貫通する傾斜管によって構成し、その傾斜管の開放端によって吸気口を形成し、傾斜管のうち堆肥化室内に延びた部分の下面上、傾斜管の内側端に近接した位置に導気口を設け、開放端の位置がこの導気口より低くなるよう傾斜端を傾斜させる。
【0113】
好ましくは、傾斜管の下方に、横方向に延びる水平管を設ける。
【0114】
好ましくは、略円錐状部材の周壁の内表面上に内羽根を間隔配置し、それら内羽根上に横縁を形成する。
【0115】
好ましくは、略円錐状部材の上端部に複数個の縦鰭を設け、それら縦鰭上に別の管を配置したとき、略円錐状部材の周壁外表面に沿って外羽根間を上昇した気流がそれら縦鰭間を通ってその管に入るようにする。
【0116】
好ましくは、その上に上記別の管が配置される横縁を外羽根上に形成し、当該別の管を縦鰭上に据える。
【0117】
好ましくは、縦鰭を外羽根と一続きに設け、横縁を外羽根と縦鰭の境目部分に形成し、その横縁上に別の管を載せる。
【0118】
好ましくは、別の管の上に別の略円錐状部材を配置することによって別の通気器を形成する。
【発明の効果】
【0119】
堆肥やその原料が通気器の周囲に蝟集すると、それによって通気器の導気口が閉鎖されコンポスト容器内への空気流入が妨げられる。本発明ではこの蝟集を防止する蝟集防止部材を設けているため、通気器からコンポスト容器内に至る良質な気流が発生し、コンポスト容器内に追加された堆肥原料を好適に好気分解できる条件が成り立ち、通気器を中心に堆肥が次々と形成されていく。
【0120】
また、複数個の容器セグメントによってコンポスト容器を形成する構成においては、例えば容器セグメント積み上げ個数を選択することにより特定容積のコンポスト容器を形成できる。従って、堆肥化途上物の嵩が増す等したためコンポスト容器の容積を増加させたい場合は、最上段容器セグメントに別の容器セグメントを追加し、更に別の容器セグメントを追加し、等々の措置を執ることにより、コンポスト装置容積を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンポスト装置の断面図である。
【図2】図1に示したコンポスト装置を構成する容器セグメントのうち1個の斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るコンポスト装置の斜視図である。
【図4】図3に示したコンポスト装置の一部分を詳細に示す切欠斜視図である。
【図5】図3に示したコンポスト装置の一部分を詳細に示す切欠斜視図である。
【図6】図3に示したコンポスト装置にて使用する断熱材片の斜視図である。
【図7】本発明の好適な実施形態に係るコンポスト装置と併用できる堆肥化促進器の展開図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るコンポスト装置の断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るコンポスト装置の容器セグメントの正面図である。
【図10】図9に示したコンポスト装置の直線X−X沿い部分断面図である。
【図11】図9に示したコンポスト装置の構成部品の斜視図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係るコンポスト装置の部分断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るコンポスト装置の斜視図である。
【図14】図13に示したコンポスト装置の部分分解図である。
【図15】図13に示したコンポスト装置にて使用される通気器の側面図である。
【図16】図15に示した通気器の斜め下からの斜視図である。
【図17】図15に示した通気器の斜め上からの斜視図である。
【図18】通気器の機能を示す斜視図である。
【図19】図13に示したコンポスト装置の基礎構造の斜め上からの斜視図である。
【図20】図19に示した基礎構造の斜め下からの斜視図である。
【図21】図13に示したコンポスト装置の滲出物室の斜め上からの斜視図である。
【図22】図21に示した滲出物室の斜め下からの斜視図である。
【図23】図13に示したコンポスト装置の底面図である。
【図24】図13に示したコンポスト装置の平板壁の外側からの斜視図である。
【図25】図24に示した平板壁の内側からの斜視図である。
【図26】図24及び図25に示した平板壁の側面図である。
【図27】図26に示した平板壁の構成部品及び断熱ブロックの斜視図である。
【図28】図27に示した部品の斜視図である。
【図29】図26に示した平板壁の構成部品を示す斜視図である。
【図30】図29に示した部品の正面図である。
【図31】図13に示したコンポスト装置の三面壁の内側からの斜視図である。
【図32】図31に示した三面壁の外側からの斜視図である。
【図33】更に別の平板壁及びそのプラグを示す斜視図である。
【図34】図33に示した平板壁の構成部品の外側からの斜視図である。
【図35】図33及び図34に示した平板壁と併用される別の平板壁の内側からの斜視図である。
【図36】図35に示した平板壁の外側からの斜視図である。
【図37】図13に示したコンポスト装置の蓋の平面図である。
【図38】図37に示した蓋の下側からの斜視図である。
【図39】蓋の別例構成を示す斜視図である。
【図40】図39に示した蓋の構成部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0122】
以下、本発明の好適な実施形態について別紙図面を参照しつつ説明する。
【0123】
図1に、本発明の第1実施形態に係るコンポスト装置10を示す。この図に示すように、本コンポスト装置10は、複数個の容器セグメント12a、12b及び12cによって形成されたコンポスト容器12を備えている。後に詳細に説明する通り、使用者は、使用する容器セグメントの個数(容器セグメント段数)を随意に決定することができ、また新たな段の容器セグメントの追加によってコンポスト容器12に新たな容積を随時付け足すことができる。後に詳細に説明する通り、容器セグメント段数は一段でもよいが二段以上でコンポスト容器12を構成した方がよいであろう。
【0124】
これらの容器セグメントはおおよそ円筒状の部材であり、それらを次から次へと積み上げることによって、コンポスト容器12が形成されている。また、容器セグメントの周壁を連ねたものが、コンポスト容器12の周壁になっている。容器セグメント同士の位置関係を固定する手法としては、ひとまとまりに積み上げた容器セグメントを鞘(シース)14内に納め、その鞘14によってそれらの容器セグメントを保持する、という手法を用いてもよいし、各容器セグメントに連結部材を設けて容器セグメント間を連結する、という手法を用いてもよい。連結部材としては、例えば各容器セグメントの壁部下端に小さな突起15を、また各容器セグメントの壁部上端に窪み17を設けるとよい。突起15及び窪み17の位置及び形状を合わせておけば、窪み17に突起15を嵌めることにより両容器セグメントを連結できる。
【0125】
更に、コンポスト容器12内には基礎構造20が配置されており、基礎構造20は一段目(最下段)容器セグメント12aによって支えられている。連結部材として突起15及び窪み17を設ける場合は、各突起15を対応する窪み17に嵌めることができるよう、例えば、突起15を通すための開口を基礎構造20に設けるようにする。基礎構造20の上部は開口22となっており、基礎構造20の下部にある床24は、容器セグメント12bを受け止めるための受け面25と、その下に突出しており丸いお椀のように湾曲している椀状部26とを、有している。椀状部26には排出口28が形成されており、この排出口28の下側には滲出物室29が設けられている。滲出物室29は、床24の椀状部26に連なる円錐壁30、並びにそれを終端する床31を有している。床31の下には、滲出物室29及び基礎構造20を支持する又はその助力になる支柱34を設けるとよい。床31に下向き突起33を設け、またその下の支柱34に突起33が嵌る窪みを設けて、当該支持に役立ててもよい。更に、支柱34の下端に、その支柱34を地面に据えるためのカップ35を設けるとよい。
【0126】
この滲出物室29の上方には排出口カバー36が設けられている。この排出口カバー36には、堆肥化途上物Cからしみ出る滲出物が滲出物室29内に入るように、複数個の滲出口37が設けられている。滲出物室29は排出管37を有しており、その排出管37は容器セグメント12aに設けられた壁面口38を通って外に延びている。従って、随時、コンポスト容器10外に受け容器39を配置し、その中に滲出物を集めて肥料等として用い或いは廃棄することができる。
【0127】
更に、基礎構造20内には滴状又はそれに類する形状の排出路形成材40を入れてある。堆肥化したい廃棄物をコンポスト容器12内に装填すると、その廃棄物は排出路形成材40の上に載る。廃棄物の重みは基礎構造20が受け止める。その堆肥原料の好気分解により生成された滲出物は、排出路形成材40をしみ通り滲出口37を通って滲出物室29内に集まる。
【0128】
次に、二段目容器セグメント12bは、前述の通り一段目容器セグメント12aと同じ構成であるが、その壁面口38に通された通気管42がT字カプラ43に連結されている点で異なっている。T字カプラ43の下部には支柱44が、上部には通気器46がそれぞれ嵌っている。支柱44は排出口カバー36上にあり、通気管42及びT字カプラ43を支持している。通気器46は、コンポスト容器12内に空気を供給しコンポスト容器12内堆肥原料の好気分解を促進するため、1個又は複数個の(好ましくは複数個の)導気口47を有している。即ち、コンポスト容器12外の空気は、T字カプラ43によって形成され通気管42からT字カプラ43を通り通気器46に至る流路を介し、コンポスト容器12内に入り込む。
【0129】
更に、本実施形態における通気器46は直立管状であり、その上には蝟集防止キャップ49が被されている。蝟集防止キャップ49は、堆肥化途上物Cが通気器46の周囲に蝟集して導気口47からの空気導入を邪魔し、ひいてはコンポスト容器12内堆肥原料乃至堆肥化途上物Cの適正な好気分解を妨げることを、防いでいる。蝟集防止キャップ49は、例えば窪み51を有する略円盤状のキャップとし、その窪み51に通気器46たる管の上端を嵌め込めるようにしておく。こうした構成の蝟集防止キャップ49は通気器46の脇まで傘のように張り出すこととなるので、通気器46周辺で生成された堆肥が通気器46に蝟集することを好適に防ぐことができ、従って、通気器46を介しコンポスト容器12内堆肥原料乃至堆肥化途上物Cに至る空気流路を確保して適正な好気分解を促進することができる。
【0130】
また、通気管42の下面に導気口52を設けてもよい。通気管42の下面は比較的堆肥化途上物Cが蝟集しにくい場所であるので、この場所に導気口52を設ければ、当該導気口52を介しコンポスト容器12内に空気が入る。入った空気は、通気管42の下方に拡散し濾過用の排出路形成材40中を一旦下降した後、図1中の堆肥化途上物C中を上昇していく。
【0131】
更に、一段目容器セグメント12aにおいては、基礎構造20より上方の空間と、基礎構造20より下方の空間58とが、基礎構造20によって効果的に分離されている。従って、通気管42を介しコンポスト容器12内に入った空気は全て、通気器46を通りコンポスト容器12内に導入されることとなる。また、壁面口38が地面より高い位置にあるため、コンポスト容器12の一番下に壁面口を設けて外気を取り込んだ場合に比べ、僅かではあれ暖かいゾーンから外気を取り込むことができる。これは、とりわけ寒天下で好気分解を進めるのに役に立つ。
【0132】
また、容器セグメント12a及び12bによって組み上げたコンポスト容器12が満杯に近くなったら、別の容器セグメント例えば12cを二段目容器セグメント12bの上に追加すればよい。その際には、通気器46から蝟集防止キャップ49を取り外して別のT字カプラをつなぎ、そのT字カプラの上側の窪みに新たな通気器を嵌め込み、その新たな通気器の上に蝟集防止キャップ49を被せるようにする。通気管42については、二段目容器セグメント12bから引き抜いて三段目容器セグメント12cの壁面口に通し、位置を合わせて新たなT字カプラに連結するようにしてもよいし、二段目容器セグメント12b側に古い通気管42を残したまま三段目容器セグメント12cに新たな通気管を組み込むようにしてもよい。
【0133】
こうして三段目容器セグメント12cを追加することでコンポスト容器12の容積が増えるため、コンポスト容器12内に新たな堆肥原料を追加し、それを好気分解させることができる。四段目以降の容器セグメント及び通気器の追加も、同じ要領で随時行うことができる。
【0134】
そして、コンポスト容器12の最上段容器セグメントは蓋60によって閉蓋する。蓋60は、断熱性素材によって形成し、最上段容器セグメント上に被せるだけにするのが望ましい。この蓋60には、コンポスト容器12内のガスを逃がす脱気口61を設けることができる。脱気口61を設けることによって、臭気を減らすと共にそのガスを燃焼に供することができる。更に、必要ならガス収集袋62を設けてガスを収集することもできる。また、管状の通気器46及びその蝟集防止キャップ49を、自然分解する素材によって形成しておけば、時間経過によって自動的にそれらを瓦解(ブレークダウン)させることができる。更に、図7に示す堆肥化促進器80を堆肥化途上物C中に投入して堆肥化を促進することもできる。即ち、この堆肥化促進器80には空洞部82が設けられているので、これを何個か投入することで堆肥化途上物C中に気泡群を配置することができ、それによって好気分解を更に進めることができる。すりつぶした卵殻等の肥料をこの堆肥化促進器80に付加混入させておけば、細菌の活動も強まる。更に、堆肥化途上物C中の瓦解させづらい物体例えば肉片を瓦解させる能力のある細菌を、培養及び乾燥粉末化して堆肥化促進器80に添加しておくことによって、狙った種類の物体を好適に瓦解させることができる。
【0135】
図2に二段目容器セグメント12bを例として示すように、各容器セグメント12a、12b及び12cは、例えば複数個のセグメント壁12b’、12b’’及び12b’’’によって構成する。これらのセグメント壁12b’、12b’’及び12b’’’同士の連結は、例えば連結するセグメント壁のうち一方に連結用の突起85を設け、他方にその突起85に相応する形状の溝88を設けることによって行う。
【0136】
また、堆肥化促進器80のうち何個かは、同図に示すように細い通気管86とつなぎ、通気器46からその堆肥化促進器80へと空気を送り込めるようにするとよい。
【0137】
更に、本発明を実施するに当たっては、容器セグメント群を筒状の鞘14に差し込むのに代えて、シート状の鞘14を容器セグメント群に巻き付け、Velcro(登録商標)等の適切な留め具89によって端部をつなぐようにしてもよい。
【0138】
図3〜図6に本発明の第2実施形態を示す。本実施形態の構成は第1実施形態とほぼ同じであるが、容器セグメント12a、12b及び12cの形態に違いがある。図4に示すように、一段目容器セグメント12aのうち周壁を形成する部分は、一段目外被102から境界部105を介して二段目外被103に連なる構造を有している。また、二段目外被103は一段目外被102より内側に引っ込んでおり、境界部105は緩やかに傾斜している。
【0139】
従って、一段目容器セグメント12aの二段目外被103が二段目容器セグメント12bの一段目外被102によって覆われるよう、一段目容器セグメント12a上に二段目容器セグメント12bを載せることによって、両容器セグメント12a及び12bを効果的に連結乃至締結することができる。その際、一段目外被最下部107は僅かに拡がっているので一段目容器セグメント12aの一段目外被102と境界部105の境目にある膨らみ109に二段目容器セグメント12bの一段目外被最下部107を係止することができ、二段目外被最上部110は僅かにすぼんでいるので二段目容器セグメント12bの境界部105と二段目外被103の境目にある膨らみ111を一段目容器セグメント12aの二段目外被最上部110で受け止めることができる。
【0140】
なお、本実施形態における容器セグメントはそれぞれ単体の円筒であり、第1実施形態のように3個のセグメント壁をつないで形成したものではない。
【0141】
また、下端外被112は必要に応じ設ければよい。下端外被112は容器セグメント12a、12b及び12cの膨らみ109から二段目外被最上部110までの部分と実質的に同じ形状であるので、隣り合っている外被即ち一段目容器セグメント12aの一段目外被102をこの下端外被112上に据えることができる。
【0142】
更に、図4に示した要領に従い容器セグメント群からコンポスト容器12を組み立てると、外被と外被の間に隙間115ができる。この隙間115の中にはポリスチレン等から形成された断熱材片90を詰め込むことができる。
【0143】
また、図5に示すように、コンポスト容器上端は上端外被120によって終端する。この上端外被120は、大まかには各容器セグメントの一段目外被最下部107から膨らみ110までの部分と同じ形状であり、最上段容器セグメント12cの二段目外被103に寄り添うように据える。上端外被120と最上段容器セグメント12cの二段目外被103との間に生じる隙間115にも、断熱材片90を詰め込むとよい。
【0144】
本実施形態はとりわけ気候寒冷域で有用である。その理由は、第1及び第2実施形態の何れにおいてもコンポスト容器12が断熱されており、そのコンポスト装置10が寒冷環境で使用されているときでもコンポスト装置10内部で必要な熱を保てることにある。即ち、図1に示した第1実施形態においては、容器セグメントを断熱構造乃至断熱素材にすることができ、また図3及び図4に示した第2実施形態では、前述の通り容器セグメント同士の重なり部分に生じる隙間115に断熱材片90を詰め込むことができるため、良好な断熱性が得られる。
【0145】
更に、複数個の容器セグメントからコンポスト容器12を組み立てるようにしているため、容器セグメント使用個数を抑えることでコンポスト容器12内の堆肥化途上物上方空間を狭くすることができる。堆肥化途上物上方空間が狭ければ、広い場合に比べ、堆肥化途上物発生熱の上方空間加熱による損失が少なくなる。堆肥膨張時や堆肥原料追加時には、前述の通り、別の容器セグメントを上に積んでコンポスト容器12の容積を増せばよい。このようにすることで、堆肥化途上物上方空間を小さく抑えその空間による熱損失を最小限に抑えることができる。
【0146】
更に、ガスを逃がすため蓋60に設けた脱気口61に荷重圧弁を設ければ、急激に空気が抜けることがなくなり従って熱損失も少なくなる。
【0147】
本発明を実施するに当たっては、更に、通気管42を介し通気器46に空気を供給するのに代え又はこれと共に、滲出物を排出するための排出管37を通気管として用い、これを介しコンポスト容器12内に空気を導入することもできる。即ち、コンポスト容器12外の空気を排出管37を介し滲出物室29内に入れることもできる。滲出物室29内の空気は排出路形成材40の隙間をかいくぐって上昇する。支柱44を中空とし、その支柱44の中空部及びT字カプラ43を通して通気器46に空気を送ることもできる。
【0148】
図8に、本発明の第3実施形態に係るコンポスト装置を示す。この図においては、図4に示した第2実施形態の構成部材と同様の部材に同一の参照符号を付してある。第2実施形態と同じく本実施形態においても、複数個の容器セグメントを組み合わせてコンポスト容器側壁を形成する手法を採っているため、容器セグメント段数増減でコンポスト容器高さ寸法を変化させることができる。各容器セグメントの構成は第2実施形態におけるそれと概ね同様であるが、境界部におけるストレートさが増した形状である点で異なっている。即ち、下の段の容器セグメントの二段目外被103だけでなくその段の境界部105も、上の段の一段目外被102の内側に入り込んでいる。各境界部105のすぐ上に設けられているリップ状の棚状張出210は、一段目外被102と二段目外被103の隙間に湿気及び水分が入り込むことを防いでいる。前掲実施形態と同じく最下段容器セグメント12aは下端外被112によって終端されており、下端外被112には棚状張出210と同様の機能の棚状張出113が設けられている。上端外被120の機能は前掲実施形態における上端外被120と同様である。
【0149】
本実施形態における容器セグメント12a等々はそれぞれ一品で完結した円筒ではなく、三部分に分かれている。即ち、先に図2を参照して説明したように、それら三部品をつないで円筒状の容器セグメント12a等々を形成するようにしている。なお、先に示した各実施形態でも同様であるが、容器セグメントを円筒状にする必要はなく、角筒状、卵(楕円)筒等、他種形状にすることもできる。
【0150】
本実施形態における基礎構造は、側壁241及び床242を有する収集桶240として構成されている。側壁241には通気管243が通っており、この通気管243は滲出物室29に連通している。本実施形態における滲出物室29は底部開口244を有しており、滲出物は滲出物室29から排出され収集桶240内に溜まっていく。収集桶240には短い排出管247が設けられており、収集桶240内に溜まった滲出物はこの排出管247から排出されるので、外部で滲出物を収集することができる。
【0151】
本実施形態においては、椀状部26に更に複数個の開口を設け、水分が椀状部26を通り収集桶240内に速やかに排出されるようにすることもできる。
【0152】
本実施形態における通気器46は先に示した各実施形態と同様の構成であるので、ここでは模式的に示してある。また、先に示した各実施形態と同じく、本実施形態における通気器46にも蝟集防止キャップ49が被せられている。
【0153】
椀状部26及び排出口カバー36は例えば透水性マット175によって覆うようにする。本実施形態では、透水性マット175は椀状部26及び排出口カバー36全体を完全に覆っている。この透水性マット175はプラスチック繊維又はココヤシ繊維等の有機繊維素材によって形成するのが望ましい。透水性マット175は、堆肥化途上物から収集桶240内に排出される水分に対し、生物利用濾過器として機能する。即ち、こうした透水性マット175上では微生物が生息できるので、透水性マット175を介して排水することにより、収集桶240に行き着く前にその水分を透水性マット175上の微生物によって浄化することができる。
【0154】
透水性マット175の厚みは随意に決めることができる。必要なら、コンポスト容器内の堆肥の嵩が増すにつれて、コンポスト容器内に入れる透水性マット175の枚数を増やすこともできる。
【0155】
本実施形態の変形例としては、通気管243を滲出物室29に連通させるのではなく、図1に示した第1実施形態と同じく中空の支柱44に連通させる構成があろう。この構成は、気候が寒冷な場合に有益である。それは、通気管243内を通る空気がコンポスト容器内の暖かい堆肥化途上物によって暖められやすく、通気器46内を通り堆肥化途上物に供給されるこの暖まった空気によって、好気分解が促進されるからである。
【0156】
その変形例に対する更なる変形の例としては、通気管243をより細い複数本の管に分岐させ、それらの細い管を中空の支柱44につなぐ構成があろう。そのようにすると吸気部実質表面積が増すため、コンポスト容器内に放出される前にその空気に対し堆肥化途上物から伝達される熱量も増すこととなる。
【0157】
また、本実施形態における蓋60は先に示した各実施形態と同様の単なる断熱タイプの蓋としてもよいし、或いは図示のように蓋60の裏面282の中央に孔280を設け、蓋60の外面285と裏面282の間に室283を設けてその中に断熱材281の層を形成するようにしてもよい。断熱材281によって蓋裏面282は割合暖かく保たれ、コンポスト容器内部空間と同じ温度になる一方、断熱材281より上の空間及び蓋外面285はコンポスト容器内部空間より低温になる。排出口280を通って立ち上ってきた蒸気はこの低温領域に入り、低温の蓋外面285と接触して凝縮し、湿気となって蓋外面285の排出口287から排出される。この水分は外部で収集できる。
【0158】
本実施形態においては、更に、上端外被120の上端面に細い溝を設け、それを利用して蓋60を被せるようにすることもできる。更に、この溝の中に水を溜めれば蓋60を取り巻く封止水路となり、ひいては断熱物室283及びコンポスト容器の外気に対する封止が更に強固になる。
【0159】
本実施形態においては、周壁を構成するパネル状外被とパネル状外被の間に生まれる隙間に、先の各実施形態と同じく断熱材が詰め込まれている。棚状張出210は、この隙間の中に水分が侵入することを防ぐだけでなく、容器セグメント同士乃至外被同士を連結する際の位置決め手段としても機能させることができる。この位置決めを通じ、それらの容器セグメントの封止をより強固にし、またコンポスト容器の強度をより高めることができる。
【0160】
また、水分用の排出管247が収集桶240の床242よりかなり上方に配置されているため、桶240内の物質を沈殿させその上澄み即ち割合清浄な水分を排出管247から排出させることができる。必要なら、排出管247からの排水を更に濾過し、病原体が除去された浄化水を得ることもできる。更に、本実施形態を変形し、収集桶240内に浄化水貯留部を形成するようにしてもよい。その場合、浄化水貯留部を形成する領域と、収集桶240内の他の領域との間に濾過器を配置し、収集桶240内の他の領域から浄化水貯留部内に入る液体をその通過途中にある濾過器によって濾過するようにする。
【0161】
そして、基礎構造の椀状部26に複数個の孔を設けてガスが上昇できるようにし、コンポスト容器内の堆肥原料を生物利用濾過器として機能させることもできる。即ち、本装置の下部にある収集桶240内の液体から発生した臭気が漏れ出すことを、コンポスト容器内の堆肥及びその原料による上昇ガス浄化効果により、防ぐことができる。
【0162】
また、本実施形態を変形し、実質的に滲出物室なしのコンポスト装置にすることもできる。例えば、収集桶240の床242を廃止したコンポスト装置を、その側壁241が地面に直に接するように地面上に据えるようにすれば、滲出物室29からの滲出物を底部開口244を介し地面に直に排出することができる。
【0163】
また、本実施形態における蓋60を凝縮物を収集できない単純な蓋に変形してもよい。例えば、蓋孔280を廃止して蓋60の全体を断熱材によって形成するとよい。或いは、断熱材281の層を蓋裏面282の下面に設けてもよい。更に或いは、断熱材281の層を蓋外面285の下面だけに設けてもよい。但し、その場合は、蓋60の断熱物室283内が暖かめになるので、得られる凝縮物の量はかなり少なくなるであろう。
【0164】
そして、以上説明した本発明の好適な実施形態においては、周壁を構成する容器セグメントの個数が3個の例を示したが、2個としてもよいし4個以上としてもよい。更に、各容器セグメントを構成するセグメント壁の個数が3個の例を示したが、2個としてもよいし4個以上としてもよい。
【0165】
図9〜図11に、本発明の第4実施形態に係るコンポスト装置を示す。本実施形態は前述の各実施形態及びその変形例の何れとも併用できるが、恐らくは、図8に示した第3実施形態に係るコンポスト装置を正方形又は長方形断面にしたものと併用するのが最もよいであろう。なお、第3実施形態の構成部材と同様の部材には同一の参照符号を付すこととする。
【0166】
本実施形態においては、一段目容器セグメント12aに方形のプラグ収容口300が設けられており、そのプラグ収容口300がプラグ302によって閉止されている。また、本実施形態における通気管243は先に示した実施形態と同じく収集桶240内を走っているが、先に示した実施形態と違いU字コーナ243aを有しており、そのU字コーナ243aによって通気器の管44と直結されている。そのため、先に示した各実施形態のように収集桶240内に空気を届けるに留まらず、通気器の管44にも直に空気を届けることができる。また、収集桶240の床242は、図11にも示すように、先に示した実施形態とは異なる形状である。
【0167】
図10及び図11から好適に読み取れるように、プラグ302は、前面パネル303、床307、内壁308、天井309、第1傾斜壁310及び第2傾斜壁311を備えており、それらにより画定された断熱物室305内に断熱材304が入れられている。概略、断熱物室305の一部は断熱材304が入る第1房313となっており、他の一部は気流方向決定器室たる第2房315となっている。また、プラグ302内特に第1房313内に断熱材304を容易且つ迅速に入れられるようにするため、プラグ302は、その前面パネル303を取り外せるように構成されている。但し、前面パネル303をプラグ302の残りの部分と一体に形成してもよい。更に、傾斜壁310及び311にはテーパが付されていて、第2房315は先窄まりになっている。第2房315の先端にある境目312即ち第1傾斜壁310と第2傾斜壁311の境目312は丸みを帯びている。
【0168】
断熱材304は、その本来の機能である断熱機能だけでなく、吸気口316から入り第2房315内に向かう空気を濾過する濾過器としての機能も有している。
【0169】
前面パネル303には、更に複数個の吸気口316が設けられている。この吸気口316の下側には、更に、重いガス及び水分を排出するための排出口317が1個又は複数個設けられている。
【0170】
更に、第2傾斜壁311には複数個の導気口320が設けられている。プラグ302内の空気は、この導気口320を介し、外被102及び112によって形成される周壁から奥まった位置で、堆肥化途上物中に脱出していく。
【0171】
また、図11から明らかなように、本コンポスト装置を地面上に水平に設置した状態では、導気口320の位置が吸気口316の位置より僅かに高い位置になる。
【0172】
更に、通気器の管44には導気口327が設けられている。その位置は、蝟集防止キャップ49より僅かに低い位置である。
【0173】
前面パネル303は例えばクリップとして構成され、プラグ302の残りの部分に嵌められている。こうしたプラグ302に断熱材304を入れる際には、まず前面パネル303を開け、その後断熱材304を所定位置に入れ、そして前面パネル303を元通りの位置に嵌め込めばよい。また、プラグ302の両端は、それぞれカバープレート340(図11参照)によって閉止されている。
【0174】
プラグ302が所定位置に装着されている状態では、吸気口316から空気が入って断熱物室305内に流れ込む。この気流は、例えば、矢印Aで示されているように、オープンセルフォームからなる多孔質の断熱材304を通り、大略容器セグメント12aによって形成されている堆肥化室301内に導気口320から放出され、その堆肥化室301内の堆肥化途上物Cにたどり着く。導気口320は、第2傾斜壁311即ち下側の壁に形成されているため、堆肥化途上物Cがすぐ近くに迫って塞がれてしまうことがない。更に、この導気口320につながる第2房315は、コンポスト容器周壁のうち容器セグメント12aによって形成されている部分の内表面から堆肥化室301の奥に向かって張り出しているので、導気口320を介した堆肥化途上物C中への空気放出は堆肥化途上物C中の奥まった場所で生じ、更にその空気はその位置から堆肥化途上物C中を通って上昇していくことになる。このような仕組みとすることで、下端外被112沿いの空間即ちコンポスト容器周壁と堆肥化途上物Cの隙間を空気がまっすぐ上昇してしまい堆肥化途上物C中を通らなくなる「煙突」効果を、幾分抑えることができる。
【0175】
また、本実施形態では第1傾斜壁310上に堆肥化途上物Cが蝟集する。この場所に堆肥化途上物Cがあると、下端外被112を含む周壁の内面に沿って空気が上昇するのに邪魔になり、堆肥化途上物C中の奥まった場所を上昇するように空気が追いやられるので、その気流によって堆肥化途上物Cの好気分解が更に促進されることになる。
【0176】
更に、導気口320が吸気口316より高い位置にあるので、空気より軽いガスもまた、堆肥化途上物C中を上昇していくことになる。堆肥化途上物C中では堆肥バイオマス(生物資源)によりそのガスがある程度浄化される分、臭気も減少する。また、吸気口316から臭気ガスが漏れ出すこともない。
【0177】
また、断熱材304がオープンセルフォーム状であれば、プラグ302内における空気乱流の発生が妨げられ、吸気口316を介した軽量ガスの漏出もやはり妨げられる。断熱材304は、更に、吸気口316及び排出口317から堆肥化途上物C中に虫が入ることを防いでいる。
【0178】
排出口317からは、内壁308に沿って堆肥化室301の底に溜まった二酸化炭素が逃げるので、二酸化炭素が堆肥化室301の底に溜まること、ひいては導気口320を介した堆肥化途上物C中への空気流入がその二酸化炭素により妨げられることもない。排出口317からは、プラグ302内で凝縮した水分も、プラグ302外に排出できる。
【0179】
プラグ302は、コンポスト装置の高さ方向に沿って何個でも設けることができる。例えば先に示した各実施形態のようにコンポスト装置を複数個の容器セグメント12a、12b及び12cによって構成する場合、各容器セグメントにプラグ302を設ければ、コンポスト容器の高さ方向に沿って複数個のプラグ302が配置されることになる。また、そのコンポスト装置に容器セグメントを追加してコンポスト容器容積を増すたびに、プラグ302の個数が増えることになる。
【0180】
こうしたプラグ302を設ける場合は、通気器の管44を設けてもよいし設けなくてもよい。また、プラグ302を大きくすること、とりわけ堆肥化途上物C中への傾斜壁310及び311の突出長を長くすることにより、下端外被112からどれだけ内側に導気口320を配置するかを所望の通りに設定することができる。
【0181】
また、コンポスト装置から一ユニットであるプラグ302を取り外すとプラグ収容口300が開くので、そこから内部の堆肥化した物質を取り出すことができる。堆肥を取り出した後、プラグ302を元と同じ位置及び姿勢で再挿入すれば、コンポスト装置内に次の堆肥原料を装填し堆肥化を開始させることができる。
【0182】
また、本実施形態を変形し、断熱物室305内の第1房313と第2房315とを、天井309から下に延ばした隔壁360によって区画するようにしてもよい。この変形例においては、断熱物室305内における第2房315内への空気の流れ方が、隔壁360の下縁361の下方を気流が通り、隔壁下縁361より高い位置にある導気口320へと空気が流れるような、流れ方になる。このような隔壁360を設ければ、その隔壁360が邪魔になり、空気より軽いガスが第2房315から吸気口316を通り外気に流れ出すことが少なくなるので、第1傾斜壁310の傾きをなくし天井309に連なる横壁(天井)にすることができる。
【0183】
第1傾斜壁310をこうして横壁化すれば(或いは更に第2傾斜壁311も横壁化すれば)、図11に示した壁傾斜型の構成に比べプラグ収容口300からプラグ302を容易に取り外せるようになる。即ち、図10及び図11に示した構成では、壁310(及び311)が傾斜しているため、僅かではあるがプラグ302をよじらないと傾斜壁310(及び311)がプラグ収容口300に引っかかり、プラグ302を取り外すことができない。これに対して、壁310(及び311)を横壁化した変形例では、真横に引き出すだけで、プラグ302をプラグ収容口300から取り外すことができる。
【0184】
図12に、本発明の第5実施形態に係るコンポスト装置を示す。図中、前述の部材と同様の部材には同一の参照符号を付してある。本実施形態においては、プラグ400がブロック状の断熱材410によって構成されている。図示していないが、この断熱材410には随意にプラスチック製の掩蔽カバーを被せることができる。更に、断熱材410内には傾斜管401が通っている。傾斜管401の両端のうち外側にある端405は開通しており、内側にある端407は閉じている。更に、傾斜管401の下面、閉鎖端407の近傍には導気口406が設けられている。従って、開放端405から入った空気は傾斜管401内を通って導気口406から出ることになる。また、導気口406を設ける位置が傾斜管401の下面であるため、堆肥化室301内の堆肥化途上物によって導気口406が塞がれることもない。
【0185】
傾斜管401の下方には、概ね水平な管402が配置されている。この水平管402の両端は共に開放端であり、堆肥化室301の底に溜まった二酸化炭素は、この水平管402を介して排出される。また、管401及び402に装着されているガーゼ式濾過器403及び404は、堆肥化室301内に虫が入り込むことを防ぐためのものである。プラグ400は例えば図11に示したプラグ302と同じサイズにすることができる。更に、その開放端405及び導気口406の機能は図11に示した吸気口316及び導気口320の機能と同じである。更に、必要なら各プラグ400に複数本の傾斜管401を設けてもよい。そして、水平管402の両開放端の機能は、図11に示した排出口317の機能と同じである。
【0186】
図13〜図40に、本発明の第6実施形態に係るコンポスト装置を示す。図13にその斜視外観を示すように、本実施形態に係るコンポスト装置500は、基礎構造501、蓋502並びに2個の容器セグメント503及び504を備えている。そのうち一段目容器セグメント503は、三面壁である第1壁505及び第2壁506並びに平板壁である第3壁507及び第4壁から構成されている。後により詳細に説明するように、互いに向かい合っている第3壁507及び第4壁には、それぞれ、プラグが一体に設けられている。一段目容器セグメント503は、こうした4個のセグメント壁505、506、507及び508から成り立っている。
【0187】
また、二段目容器セグメント504は、三面壁である第1壁510及び第2壁512並びに平板壁である第3壁509及び第2壁511から構成されており、第2壁512は第1壁510と向かい合っている。即ち、二段目容器セグメント504はこれら4個のセグメント壁509、510、511及び512から成り立っている。
【0188】
上の説明から明らかな通り、一段目容器セグメント503における三面壁平板壁位置関係と、二段目容器セグメント504における三面壁平板壁位置関係は互い違いになっていて、一段目容器セグメント503における三面壁位置と二段目容器セグメント504における三面壁位置は食い違っている。例えば、一段目容器セグメント503の三面第1壁505は二段目容器セグメント504の平板第3壁509の下にある。即ち、三面壁平板壁位置関係に関しては、二段目容器セグメント504はほぼ、一段目容器セグメント503を90°回転させたものになっている。
【0189】
図14はコンポスト装置500の分解図である。この図においては、一段目容器セグメント503の三面第1壁505及び平板第3壁507、並びに二段目容器セグメント504の三面第1壁510を省略してある。
【0190】
この図に示す通り、基礎構造501は周壁513及び天井514を有しており、基礎構造天井514は支柱515によって貫かれており、そして基礎構造周壁513には切欠516及び吸気口517が設けられている。
【0191】
支柱515には一段目通気管520が差し込まれており、この一段目通気管520によって一段目通気器521が支持されている。おおよそ円錐状の一段目通気器521については後により詳細に説明する。また、一段目通気器521上には二段目通気管522が配置されており、この二段目通気管522によって二段目通気器523が支持されている。二段目通気器523は一段目通気器521と同じ形状である。
【0192】
図15に示すように、一段目通気器521はほぼ円錐状の壁525を有しており、この円錐壁525の下縁には複数個の切欠526が形成されている。円錐壁525には複数枚の外羽根527が設けられており、それらの外羽根527の外縁528は、一段目通気器521の上端529aのすぐ手前まで、円錐壁525に対してほぼ平行になっている。一段目通気器521の上端529aにおいては、これらの外羽根527が、その外縁530がほぼ上下に延びた(従ってもはや円錐壁525に対して平行ではない)縦鰭531aに変態しており、それらの縦鰭531aによってほぼ円筒状のスタッド531が形成されている。このスタッド531は円錐壁525の上端532より上まで延びており、円錐壁525の上端532はほぼ平坦な天井533によって閉止されている。
【0193】
図16に最もよく表されているように、円錐壁525の内面にも複数枚の羽根534が設けられている。この内羽根534の位置は対応する外羽根527の位置に合わせてある。
【0194】
外羽根527の外縁528と縦鰭531aの外縁530の境目の部分には横縁529が形成されている。図15に示した通り、この横縁529はほぼ真横に延びている。
【0195】
図16に最もよく表されているように、内羽根534の縦縁535はほぼまっすぐ上下に延びており、その先には横縁538が形成されている。その横縁538の上には、縦縁535に対してほぼ平行に、別の縦縁539が延びている。横縁538は、一段目通気管520上に一段目通気器521を載せる際に一段目通気器521に載る部分である。
【0196】
スタッド531上には、図18に示すように二段目通気管522を嵌める。その際、二段目通気管522は、外羽根527の外縁528と縦鰭531aの外縁530の間に形成されている横縁529の上に、着座する。
【0197】
図19及び図20に示すように、基礎構造501の天井514の下面には一対の肋状突起540(図20参照)が設けられており、それらによって形成される中央流路541が吸気口517から支柱515へと延びている。
【0198】
また、滲出物室545は図21及び図22に示すように細長い六角形であり、排出口547及び導入口548を有している。この導入口548とほぼ円形の開口550との間には、流路549が設けられている。
【0199】
図23に示すように、滲出物室545は、基礎構造天井514下でその円形口550が支柱515の一部と重なるように、またその排出口547が基礎構造501の基礎構造周壁513に設けられた切欠516内に位置することとなるように、基礎構造501上に配置される。
【0200】
滲出物室545は、基礎構造天井514が滲出物室545の天井になるよう、図示しないが枠545b上の孔545a内に位置するクリップにより、基礎構造501上に固定されている。
【0201】
基礎構造501には複数個の補強隆起551が設けられている。それらの補強隆起551には複数個のスロット552が形成されており、それらのスロット552は滲出物室545内への液体流入口になっている。基礎構造501の下側には、構造強度を確保向上させるため、更に複数個の補強肋状突起553が設けられている。
【0202】
従って、堆肥原料をコンポスト装置500内で分解させると、堆肥化途上物からしみ出る湿気がスロット552を介して滲出物室545内に導かれ、更にその排出口547から外部に排出されることになる。なお、排出口547には、図示しないホースを随時つなぐことができるよう、図示しないホース栓を嵌めておくとよい。
【0203】
これと並行するように、吸気口517から空気が入り、肋状突起540と肋状突起540の間を通って支柱515に達し、更に支柱515及び一段目通気管520内を上昇して一段目通気器521内に達する。また、基礎構造501下の流路549を通って入る空気は、円形口550から支柱515更には一段目通気管520に入り、そこから同じく一段目通気器521に流れ込む。これら、一段目通気器521に流れ込んだ空気は、そこから内羽根534と内羽根534の間を通って下向きに流れ出す。この気流は内羽根534によって方向規制されつつ下方に流れていき、一段目通気器521の下縁とりわけ切欠526に達すると、一段目通気器521から流れ出して堆肥化途上物中を上昇し始める。
【0204】
外羽根527は、この上昇気流を導くと共に蝟集防止装置としても動作する。即ち、一段目通気器521の周囲に堆肥化途上物が蝟集し上昇気流を妨げることを防ぐ蝟集防止装置として、作動する。こうして外羽根527によって円錐壁525上への堆肥化途上物の蝟集が防止されるため、円錐壁525沿いに空気を流し外羽根527と外羽根527の間を上昇させることができるだけでなく、一段目通気器521を取り巻く堆肥化途上物中に空気を供給することもできる。
【0205】
円錐壁525に沿って流れ外羽根527と外羽根527の間を上昇していった空気のうち一部は、図18中に一群の矢印で示したように、縦鰭531aと縦鰭531aの間を通り二段目通気管522の下端から二段目通気管522内に入っていく。即ち、二段目通気管522はその下端が一段目通気器521の横縁529上に座し、一段目通気器521の外羽根527と外羽根527の隙間に連通しているので、空気の一部が一段目通気器521の縦鰭531aと縦鰭531aの隙間を通って上方に流れうる。
【0206】
具体的には、図18に示すように、気流はまず矢印Aに沿って一段目通気管520内を上昇していき、一段目通気管520の上端に達すると円錐壁525によって形成される内部室680内に入り、矢印Bで示すように一段目通気器521の内面に沿って下降し、更に矢印Cで示すように一段目通気器521の外面にある外羽根527と外羽根527の間を上昇し(ここで一部の空気は堆肥化途上物にしみ込んでいき)、次いで矢印Dで示すように縦鰭531aと縦鰭531aの間を通って横縁529から二段目通気管522内に入り、そして矢印Eで示すように二段目通気管522内を上昇して二段目通気器523に向かっていく。二段目通気器523上の外羽根527も同じく二段目通気器523近傍への堆肥化途上物の蝟集を妨げるので、当該蝟集により二段目通気器523から堆肥化途上物中への気流入が妨げられることもない。
【0207】
図24〜図30に平板壁509及び511の構成を示す。これらの平板壁509及び511は先の説明から明らかなように同一の構造である。平板壁509及び511は外側外被550及び内側外被551を有しており、図25に最もよく表されているように、内側外被551には複数個の肋状突起552が内向きに突設されている。また、略皿状の外側外被550には断熱ブロック553が嵌め込まれている。外側外被550の上部フランジ554には、内側外被551に設けられている複数本のピン558を差し込めるよう、複数個のボス555が設けられている。ピン558は概ね可撓性であるので、それをボス555内に差し込むことにより外側外被550と内側外被551を連結することができる。また、図29に示すように内側外被551も略皿状であり、内側外被551に設けられている複数本のピン561を差し込める複数個のボス560を備えている。図28に示したのは外側外被550からパッド状の断熱ブロック553を取り外した状態である。
【0208】
コンポスト装置500内の堆肥化途上物が収縮するとそれによって空間が生まれる。その空間を通り平板壁509及び511の内面沿いに上昇気流が生じる可能性があるが、本実施形態では肋状突起552を内方突出させてあるため、平板壁509及び511の内面に沿って直接気流が上昇することを妨げることができる。即ち、肋状突起552が突出していることにより気流は平板壁509及び511の内面及びその近辺から離れる方向に追いやられ、堆肥化途上物中に向かう方向に差し向けられる。
【0209】
図示したように、コンポスト装置内面に全周に亘り一連の肋状突起552を延設してあるため、壁内面沿い上昇気流の発生を妨げることができ、前述のように気流を分散させることができる。
【0210】
図24、図25、図26及び図29並びに拡大図である図30に最もよく表されているように、平板壁509及び511の上部には、複数個のL字状の耳602が設けられている。
【0211】
図31及び図32に三面壁505、506、510及び512の構成を示す。三面壁505、506、510及び512は、それぞれ、大きな中央壁部分566の脇に小さな側壁部分564及び565を設けた構成であり、何れも平板壁509及び511と同様に内側外被、外側外被及び断熱ブロックから構成されている。外被同士の連結形態も図24〜図29を参照して説明したものと同様である。
【0212】
三面壁505、506、510及び512は、上部にある横方向の棚状張出597及びその内側にある直立壁フランジ598を有している。棚状張出597の両端には開口604が設けられており、前述した通り平板壁509及び511に設けられている耳602を、この開口604に嵌めることができる。
【0213】
図33及び図34に示すように、平板壁507及び508に設けられている一体型プラグ570は、コンポスト装置500の容器内に向け内向きに突出している。この一体型プラグ570はおおよそ三角形断面であり、上部横壁571、下部傾斜壁572、複数個の垂直側壁573及び前方壁637を有している。上部横壁571には廂670が設けられており、それに連なる前方壁637には複数個の吸気口574が設けられている。このプラグ572の動作は、図11及び図12を参照して説明したプラグのそれと同様である。
【0214】
図34に示すように、平板壁507及び508の内側外被557には、複数個の内部隔壁578を有する一体型プラグ570が設けられている。また、図35に、外側外被579及び断熱ブロック580を示す。平板壁507及び508の内側外被577と外側外被579は図24〜図29を参照して説明したものと同様にして連結されている。図中、前述の部材と同様の部材には同一の参照符号を付してある。
【0215】
図35に示す外側外観から明らかなように、外側外被579には取っ手627が設けられているので、平板壁507及び508の操作や位置決めは容易に行うことができる。また、取っ手627を使用して平板壁507を取り外すことにより、コンポスト装置500の中の堆肥を取り出して空にすることができる。また、取っ手627は一体型プラグ570に至る空気流路627’にもなっている。この図に示すように、空気流路627’は箱状部分628によって囲まれており、その箱状部分628の中には例えば発泡体等の通気性素材が装填されている。この通気性素材は、空気流路627’を通ってコンポスト装置500内に虫が入ることを防ぐためのものである。また、図36にも示すように、原料堆肥化中に発生する重いガスをコンポスト装置500から排出するため、排出管629が設けられている。
【0216】
図14及び図19に最もよく表されているように、基礎構造501は、概ね横方向に延びた棚状張出591と、直立フランジ592とにより、縁取られている。基礎構造501上への容器セグメント503の組付は、三面第1壁505の外側フランジ595が基礎構造501を縁取る棚状張出591の上に載り、横縁596が直立フランジ592の上端の上に載るよう、図31に示した三面第1壁505を載せることによって行う。その際、三面第1壁505に設けられている一対の耳609が、図19に示すように基礎構造501に設けられている複数個の切欠610のうち対応するものに嵌る。三面第2壁506も三面第1壁505と同様の構造であり、その耳609を切欠610’に嵌めることで同様に据え付けることができる。基礎構造501上への平板壁507及び508の据え付けも同様にして行われるが、これらの場合は複数個の耳607が複数個の切欠608’のうち対応するものに嵌る。この組立手順では図19中の切欠608を使用する必要がないが、容器セグメント503の組付向きが90°違う場合は、切欠608’に代わり切欠608が使用されることになる。
【0217】
図25に最もよく表されているように、平板壁509及び511の下部には横縁599があり、またその横縁599からはフランジ600が下向きに突出している。横縁599は下側にある三面壁505及び506のうち対応するものの直立壁フランジ598上に、またフランジ600は直立壁フランジ598の外側にある棚状張出597上に、それぞれ据わる。同図中、内側外被550に設けられている耳601は、図31に示すように三面第1壁505に設けられている切欠603に嵌める。
【0218】
同様に、容器セグメント503上への平板壁509及び511の据え付けは、下側にある平板壁507及び508のうち対応するものの横方向棚状張出640、並びに下側にある三面壁505及び506のうち対応するものの横方向棚状張出597の上に、上に据える三面壁505及び506の外側フランジ595を載せることによって行う。上側の三面壁510及び512の各耳609は、下側の三面壁505及び506の切欠641及び642に嵌る。
【0219】
即ち、各耳を対応する切欠の上に位置決めして各壁を下向きにスライドさせることにより、各耳が対応する切欠に嵌るように各壁を配置することができる。同様に、各耳が対応する切欠から外れるまで各壁を上向きにスライドさせ、その壁を引っ張ることにより、各壁をコンポスト装置500から取り外すことができる。
【0220】
図37及び図38に蓋502の構成を示す。蓋502の下面には円形隆起590が設けられており、更にその内側には半環状隆起590aが設けられている。半環状隆起590aの役割は、蓋502の下面に発生した凝縮物を滴りやすくし、堆肥化途上物中に戻すことにある。蓋502は一片からなる構造物として形成してもよいし、二片の支材の間に断熱ブロックを挟み込んだ構成としてもよい。
【0221】
また、蓋502は、セグメント壁509、510、511及び512のうち対応するものと番う壁によって縁取られており、また各壁にはセグメント壁509、510、511及び512のうち対応するものに設けられた切欠に嵌るように耳が設けられている。
【0222】
図39に蓋502の別例構成を示す。この例においては、コンポスト装置500の縁に蓋502を架けられるよう、蓋502に懸架腕630が設けられている。図40に示すように、この懸架腕630は、3個の耳631を背壁632に連結した構成を有している。背壁632には複数個のクリップ633が取り付けられており、蓋502の下面に設けられている図示しないスロットにこれらのクリップ633を差し込むことにより、懸架腕630を蓋502上の所定位置に固定することができる。また、懸架腕630の位置は、コンポスト装置500の内壁面上にある肋状突起542と抵触、干渉しないような位置にしてある。
【0223】
本実施形態においても、コンポスト装置500の容積を増すには、単に、図14に示した二段目の容器セグメント504の上に三段目、四段目等々の容器セグメントを載せ、また二段目の通気器523の上に三段目、四段目等々の通気管を載せその上に三段目、四段目等々の通気器を載せればよい。このように容器セグメント及び通気器を随意に三段以上に増やすことができ、またそれは一段目上への二段目の追加と同じ要領で行える。追加された通気器は、先に述べた一段目及び二段目と同じ要領で動作する。逆に、二段目容器セグメント504並びにその通気管522及び通気器523を取り除き、一段目容器セグメント503の上に蓋502を載せることによって、容器セグメントが一段しかないコンポスト装置500を実現することもできる。
【0224】
以上、本発明についてその特定の実施形態群を参照しつつ説明を行った。本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)であれば、以上の説明を参照しつつ本発明の技術的範囲及び根幹思想の範囲内で上記実施形態群に種々の変形を施すことができよう。本発明の技術的範囲は上記実施形態群に限定されるものではなく、当該変形物も本発明の技術的範囲に属するものである。
【0225】
また、本願明細書及び特許請求の範囲においては、「備える」「有する」「含む」「設ける」「ある」等の語を、特に断りや強い暗示がない限り開放的な意味で使用している。即ち、「備える」等の目的語になっている事物以外の事物を「備える」等する構成も、本発明の実施形態に該当しうるものとする。
【符号の説明】
【0226】
10 コンポスト装置、12 コンポスト容器、12a,12b,12c 容器セグメント、12b’,12b’’,12b’’’ セグメント壁、14 鞘(シース)、15 突起、17 窪み、20 基礎構造、22 開口、24 床、25 受け面、26 椀状部、28 排出口、29 滲出物室、30 円錐壁、31 床、33 突起、34 支柱、35 カップ、36 排出口カバー、37 滲出口(排出管)、38 壁面口、39 受け容器、340 排出路形成材、42 通気管、43 T字カプラ、44 支柱(管)、46 通気器、47 導気口、49 蝟集防止キャップ、51 窪み、52 導気口、58 空間、60 蓋、61 脱気口、80 堆肥化促進器、82 空洞部、85 突起、86 通気管、88 溝、89 留め具、90 断熱材片、102 一段目外被、103 二段目外被、105 境界部、107 一段目外被最下部、109 膨らみ、110 二段目外被最上部、111 膨らみ、112 下端外被、113 棚状張出、115 隙間、120 上端外被、175 透水性マット、210 棚状張出、240 収集桶、241 側壁、242 床、243 通気管、243a U字コーナ、244 底部開口、247 排出管、280 孔(蓋孔)、281 断熱材、282 裏面(蓋裏面)、283 室(断熱物室)、285 外面、287 排出口、300 プラグ収容口、301 堆肥化室、302 プラグ、303 前面パネル、304 断熱材、305 断熱物室、307 床、308 内壁、309 天井、310 第1傾斜壁、311 第2傾斜壁、312 境目、313 第1房、315 第2房、316 吸気口、317 排出口、320 導気口、327 導気口、340 カバープレート、360 隔壁、361 下縁(隔壁下縁)、400 プラグ、401 管(傾斜管)、402 管(水平管)、403,404 ガーゼ式濾過器、405 端(開放端)、406 導気口、407 端、410 断熱材、500 コンポスト装置、501 基礎構造、502 蓋、503 一段目容器セグメント(容器セグメント)、504 二段目容器セグメント(容器セグメント)、505 第1壁(三面壁、三面第1壁)、506 第2壁(三面壁、三面第2壁)、507 第3壁(平板壁、平板第3壁)、508 第4壁(平板壁)、509 第3壁(平板壁、平板第3壁、セグメント壁)、510 第1壁(三面壁、三面第1壁、セグメント壁)、511 第2壁(平板壁、セグメント壁)、512 第2壁(三面壁、セグメント壁)、513 周壁、514 天井、515 支柱、516 切欠、517 吸気口、520 一段目通気管、521 一段目通気器、522 二段目通気管、523 二段目通気器、525 壁(円錐壁)、526 切欠、527 外羽根、528 外縁、529 横縁、529a 上端、530 外縁、531 スタッド、531a 縦鰭、532 上端、533 天井、534 羽根(内羽根)、535 縦縁、538 横縁、539 縦縁、540 肋状突起、541 中央流路、542 肋状突起、545 滲出物室、545a 孔、545b 枠、547 排出口、548 導入口、549 流路、550 開口(円形口、外側外被)、551 補強隆起(内側外被)、552 スロット(肋状突起)、553 補強肋状突起(断熱ブロック)、554 上部フランジ、555,560 ボス、557 内側外被、558,561 ピン、564,565 側壁部分、566 中央壁部分、570 一体型プラグ、571 上部横壁、572 下部傾斜壁(プラグ)、573 垂直側壁、574 吸気口、577 内側外被、578 内部隔壁、579 外側外被、580 断熱ブロック、590 円形隆起、590a半環状隆起、591 棚状張出、592 直立フランジ、595 外側フランジ、596 横縁、597 棚状張出(横方向棚状張出)、598 直立壁フランジ、599 横縁、600 フランジ、601,602 耳、604 開口、607,609,631 耳、608,608’,603,610,610’,641,642 切欠、627 取っ手、627’ 空気流路、628 箱状部分、629 排出管、630 懸架腕、632 背壁、633 クリップ、637 前方壁、640 横方向棚状張出、670 廂、680 内部室、C 堆肥化途上物(堆肥原料乃至堆肥化途上物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥原料を入れるコンポスト容器と、本コンポスト装置内に配置され堆肥原料及び形成された堆肥を支持する基礎構造と、滲出物をコンポスト容器外に出す排出部材と、を備え、
基礎構造が、その上方が開口しており排出路形成材が入る空間を形成する湾曲した床と、床に形成された滲出物室と、を有し、
形成された滲出物が、床上方の開口及び排出路形成材を介し滲出物室に流れ込み、滲出物室内の滲出物が、排出部材によってコンポスト容器外に出されるコンポスト装置。
【請求項2】
請求項1記載のコンポスト装置であって、上記床が、略椀状に湾曲した部分と、下向きに延び滲出物室を形成する部分と、を有するコンポスト装置。
【請求項3】
請求項1記載のコンポスト装置であって、コンポスト容器が、コンポスト容器外の空気をコンポスト容器内に供給する通気器を内蔵しており、その空気によってコンポスト容器内堆肥原料の好気分解を促進し堆肥を形成させるコンポスト装置。
【請求項4】
堆肥原料を入れるコンポスト容器を備え、
コンポスト容器が、それぞれ外部に面する周壁を有し上下に積み重なってコンポスト容器を形成する互いに別体の複数個の容器セグメントを有し、
最上段の容器セグメント上に更に別の容器セグメントを継ぎ足すことによりコンポスト容器の容積を加増可能なコンポスト装置。
【請求項5】
請求項4記載のコンポスト装置であって、堆肥原料に空気を供給してその好気分解を促進する通気器を備え、容器セグメントの積み重ね段数を増す際には、既存の通気器の上に別の通気器を配置して通気器合計の寸法を伸ばし、コンポスト容器内に追加される新たな堆肥原料への空気供給ひいてはその好気分解をそれら通気器により促進するコンポスト装置。
【請求項6】
請求項4記載のコンポスト装置であって、各容器セグメントが、互いに向かい合うよう配置された第1及び第2壁と、互いに向かい合うよう第1壁第2壁間に配置された第3及び第4壁と、を有し、第1及び第2壁が、それぞれ、中央壁部分と、その中央壁部分に対し所定角度をなすよう配置された2個の側壁部分と、を有するコンポスト装置。
【請求項7】
請求項6記載のコンポスト装置であって、その構成が実質的に同一の複数個の容器セグメントが、下側容器セグメントとは90°異なる向きで上側容器セグメントが下側容器セグメント上に配置されるよう、上下に積み重ねられたコンポスト装置。
【請求項8】
請求項6記載のコンポスト装置であって、堆肥原料乃至堆肥化途上物に補助空気を送り込む一体型プラグが、本コンポスト装置の奥に向け突出するよう第3及び第4壁に設けられたコンポスト装置。
【請求項9】
請求項7記載のコンポスト装置であって、下側容器セグメント又は基礎構造を縁取る棚状張出及び直立フランジに対応して、容器セグメントを構成する各壁の下部に横縁及び下方突出フランジが設けられたコンポスト装置。
【請求項10】
請求項9記載のコンポスト装置であって、上側容器セグメントを受け止めるため、下側容器セグメントを構成する各壁の上部に棚状張出及び上方直立フランジが設けられたコンポスト装置。
【請求項11】
請求項10記載のコンポスト装置であって、下側容器セグメントの上部にある棚状張出及び上方直立フランジ上に上側容器セグメントを据えるため、当該上側容器セグメントを構成する壁の下部に横縁及び下方突出フランジが設けられたコンポスト装置。
【請求項12】
請求項11記載のコンポスト装置であって、最下段容器セグメントを基礎構造上に配置し下側容器セグメント上に上側容器セグメントを配置するため、容器セグメントを構成する壁に相互位置決め可能な切欠及び耳が設けられたコンポスト装置。
【請求項13】
請求項12記載のコンポスト装置であって、容器セグメントを構成する各壁が、外側外被と、内側外被と、外側外被と内側外被の間に配置された断熱ブロックと、を有するコンポスト装置。
【請求項14】
請求項4記載のコンポスト装置であって、
コンポスト容器が、プラグ収容口が設けられた周壁及びプラグ収容口内に配置されたプラグを有し、
プラグが、前面パネル及び気流方向決定器を有し、
気流方向決定器が、上記周壁から奥まった場所に前面パネルからの気流を差し向けるコンポスト装置。
【請求項15】
その周壁によって形成された堆肥化室内に堆肥原料が入るコンポスト容器と、コンポスト容器の周壁上にあるプラグ収容口内に配置されたプラグと、を備え、
プラグが、
(i)上記周壁外からプラグ内に空気を導入するための吸気口が1個又は複数個設けられた前面パネルと、
(ii)上記周壁の外表面に対して奥まった位置にて空気が堆肥化途上物に入りその空気がその中を上昇していくよう上記周壁に囲まれた堆肥化室内に空気を差し向ける気流方向決定器と、
を有するコンポスト装置。
【請求項16】
請求項15記載のコンポスト装置であって、気流方向決定器が、その中に断熱材が配置された第1房と、第1房に連通する第2房と、を有し、第2房を形成する上下の壁のうち少なくとも下側の壁に第2房が先窄まりになるよう上向きのテーパが付されており、本コンポスト装置を地面上に水平に据えたときに上記吸気口より高い位置になるよう、第2房を形成する下側の壁に導気口が設けられたコンポスト装置。
【請求項17】
請求項16記載のコンポスト装置であって、第1房と第2房を仕切る隔壁を備え、上記導気口より下方にその隔壁の下縁が位置するコンポスト装置。
【請求項18】
請求項15記載のコンポスト装置であって、プラグが、上記周壁の一部分を構成する部分壁と一体化されており、プラグ収容口が、上記部分壁を収容できるよう且つ当該部分壁を収容したときプラグが上記周壁の内表面から奥まった場所に届くよう、設けられたコンポスト装置。
【請求項19】
請求項18記載のコンポスト装置であって、気流方向決定器が、ほぼ真横に延びる上側の壁と、上記周壁から斜め上に延びる下側の壁と、前面パネルとなる部分を含み当該上側の壁と当該下側の壁の間に位置し且つ当該前面パネルとなる部分に複数個の吸気口が形成された外壁と、を有し、これらの壁により略三角形断面部分を有する室が形成されたコンポスト装置。
【請求項20】
請求項19記載のコンポスト装置であって、気流方向決定器の上側の壁が、前面パネルを超えて外側に張り出した廂を有し、その廂によって吸気口をカバーし吸気口の閉塞を防ぐコンポスト装置。
【請求項21】
請求項15記載のコンポスト装置であって、堆肥原料の堆肥化によって生じた重いガスを本コンポスト装置から排出するための排出口が、プラグ下部に設けられたコンポスト装置。
【請求項22】
請求項15記載のコンポスト装置であって、気流方向決定器が、堆肥化室内の上記周壁から奥まった場所までその一部が入り込むようプラグを貫通する傾斜管を有し、傾斜管が、上記吸気口を形成する開放端と、内側端と、を有し、傾斜管のうち堆肥化室内に延びた部分の下面上、内側端に近接した位置に導気口が設けられており、開放端の位置がこの導気口より低くなるよう傾斜管を傾斜させたコンポスト装置。
【請求項23】
請求項22記載のコンポスト装置であって、傾斜管の下方に設けられ横方向に延びる水平管を備えるコンポスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−144430(P2012−144430A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47702(P2012−47702)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2007−534964(P2007−534964)の分割
【原出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(507116536)グローバル エンバイロメント マネージメント (エフ ゼット シー) (2)
【Fターム(参考)】