説明

コンロ兼用野外炉

【課題】暖房用の野外炉としても、調理用のコンロとしても、使い勝手がよく、適切かつ十分な火力が得られる構造を実現する。
【解決手段】燃料の燃焼部を囲う部分である本体部分1aを、基部5と、基部5に上下方向の変位を可能に設けられた嵌合部6と、別体の燃料受け皿4から構成する。嵌合部6を上方に引き上げた状態で、嵌合部6の下端縁から内方に突出する状態で設けた下側鍔部7を、基部5の両側面に設けた係止部材3により支承することで、嵌合部6を上方位置に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外で使用され、固形燃料を用いた野外炉、特に、暖房用途だけでなく、調理用途のコンロとしても使用できる、コンロ兼用野外炉に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンピングなどのアウトドア活動において、暖を採る手段として、ファイアプレイスと呼ばれる携帯式の野外炉が用いられている。これは、たき火などのように、土壌の上で薪などの固体燃料を燃焼させることを避けるために、脚構造を有する容器内で、主に薪などの固体燃料を燃焼させるようになっている。
【0003】
このようなファイアプレイスにも、収納や運搬が容易に行えるように、折り畳み性ないしは携帯性が要求される。一方、ファイアプレイスは、主に薪などの大型の固体燃料を大量に燃焼させることが必要となるため、大型の固形燃料の載置性や使用時の安定性さらには耐燃焼性などが要求される。
【0004】
このようなファイアプレイスとして、従来からさまざまな構造のものが提案されている。ファイアプレイスの基本構造としては、特許文献1および非特許文献1に記載のように、矩形状に配置される側板と、底部に配置される火床もしくは灰受け皿と、これらよりもさらに下側に配置され、土壌に直接熱が伝達することを防止するための底板ないしは反射板とが備えられる。主に薪などの大型の固形燃料を用いることから、深さ寸法を十分にとるため、ファイアプレイスの側板はかなり大きいものなっている。これらはそれぞれの側板を取り外すなどして、折り畳み可能であるが、側板の大きさのため折り畳み時にもかなり大きな容量となる。また、ファイアプレイスでも、この上に、焼き網などを載置して、バーベキュー用グリルとして使用することもの可能であるが、ファイアプレイスでは火炎が強く、また、その調整が困難である。焼き網の位置などを調整する機構を追加的に設けることも考えられるが、折り畳み性や携帯性の観点から問題となる。一方、調理用に小型の固形燃料を使用すると、火炎とグリルとの距離が遠くなって十分な火力が得られない可能性がある。
【0005】
一方、本体部分の内部で木炭などの小型の固形燃料を燃焼させ、この本体部分の上部に設置した焼き網などで調理を行える調理用コンロ(バーベキュー用グリル)についても、従来からさまざまな構造のものがある。図9に、特許文献2に記載された、本発明者による調理用コンロの一例を示している。この調理用コンロは、内部に小型の固形燃料を載置できる本体部分1に、折り畳み可能な脚部2を設けることで、不使用時に折り畳み可能となっている。この調理用コンロは、本体部分1の上部に焼き網などを載置して調理を行うグリルとしているが、本体部分1の深さ寸法は、内部に保持した燃料とグリルとの距離を近くし十分な火力を得られるように、比較的短くなっている。
【0006】
このような調理用コンロをファイアプレイスとして兼用したり、もしくは、ファイアプレイスの深さ寸法を短くして、非特許文献2に開示されるような、グリル兼用のものとしたりすることが考えられる。しかしながら、木炭などの小型の固形燃料を使用する限り、使い勝手に問題はないものの、小型の固形燃料では暖炉としての機能を果たせない。一方、これらの本体部分の深さ寸法が小さい容器に、薪などの大型の固形燃料を載置した場合、燃焼中の燃料が本体部部分から突出したり、落下したりするため、ファイアプレイスとしての使い勝手が十分ではないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−075270号公報
【特許文献2】意匠登録1414839号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】コールマンジャパン株式会社ホームページ、ステンレスファイアープレイス/M(http://www.coleman.co.jp/item/IS00060N01229.html)
【非特許文献2】株式会社ユニフレームホームページ、ファイアグリル(http://www.uniflame.co.jp/products/BBQ_Fire/products_list.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような事情を鑑み、固形燃料の寸法にかかわらず、本体部分から燃料が突出したり、落下したりすることを防止し、かつ、暖房用の野外炉としても、調理用のコンロとしても、使い勝手がよく、適切かつ十分な火力が得られる構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンロ兼用野外炉(ファイアプレイス)は、
基部と、この基部に対して上下方向の変位を可能に嵌合された嵌合部とを備え、内部に燃焼部を形成する本体部分と、
この嵌合部の上下方向位置を上方とした状態で、この嵌合部を係止する係止部材と、
前記本体部分を支承する脚構造と、
を備える。
【0011】
使用時には、前記嵌合部の上下方向位置を、上方もしくは下方とすることで、前記本体部分の上下方向寸法を少なくとも2段階に調整できる。なお、脚構造は、使用時に本体部分を地面から離間して支承できるかぎり構造は制限されないが、複数の脚部が本体部分の一部に折り畳み可能な状態で設ける構造が好ましく、4つの脚部が基部の下半部に折り畳み可能に取り付けられている構造がさらに好ましい。
【0012】
前記本体部分は、前記嵌合部の上下方向位置を上方とした状態で、この嵌合部を下方に向けて押圧する弾性体を備えることが好ましい。なお、この弾性体は、前記基部の上端部に設けられ、前記嵌合部の上下方向位置を上方とした状態で、この嵌合部の底部上側面を弾性的に押圧する板バネであることがさらに好ましい。
【0013】
また、前記本体部分が、燃料を載置する燃料受け皿を別体で備え、前記基部の下部に、この燃料受け皿をこの基部の下側に配置した状態で係止する下側係止部が設けられるとともに、この基部の上部に、この燃料受け皿をこの基部の内側に配置した状態で係止する上側係止部とを備えることが好ましい。さらに好ましくは、前記下側係止部は、前記基部の下端部に金属板をL字形に曲げ成形することにより設けた、1対の係止片に、前記燃料受け皿の上端部両側縁から外方に突出した状態で設けた、1対の庇部を係止する構造とする。一方、上側係止部は、基部の上端面から外方に突出した状態で設けた鍔部の上側面と、前記庇部の下側面とを当接させる構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上述のように構成する本発明によれば、固形燃料の寸法にかかわらず、本体部分から燃料が突出したり落下したりすることを防止して、かつ、ファイアプレイスとしてもコンロとしても、適切かつ十分な火力を得られる構造のコンロ兼用ファイアプレイスを実現できる。すなわち、本発明のコンロ兼用ファイアプレイスは、燃焼部を囲む本体部分の上下方向寸法を、少なくとも2段階に調整可能にしている。このため、ファイアプレイスとして、薪などの長さ寸法が長く、太い固形燃料を使用する場合には、本体部分の上下方向寸法を長くすることで、この本体部分から燃焼中の固形燃料が突出したり落下したりすることを防止できる。
【0015】
一方、本体部分の上下方向寸法を短くすることで、燃焼により固形燃料が短くなったり、はじめから長さ寸法の短い木炭などの小型の固形燃料を使用したりした場合でも、燃焼部と外部空間の距離を適宜短くでき、かつ、嵌合部の上端面もしくはその上方に、焼き網などのグリルを設置した場合に、燃焼部とグリルとの距離を適切なものとして、調理用コンロとして十分な火力を得る構造とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の1例を、嵌合部の上下方向位置を上方にし、燃料受け皿を基部の下部に係止した状態で示す正面図である。
【図2】図2は、図1に対応する側面図である。
【図3】図3は、図1の例を、嵌合部の上下方向位置を下方にし、燃料受け皿を基部の下部に係止した状態で示す正面図である。
【図4】図4は、図3に対応する側面図である。
【図5】図5は、図1の例から基部を取り出して示す側面図(A)と、(A)のA部拡大図(B)である。
【図6】図6は、図1の例を、嵌合部の上下方向位置を上方にし、燃料受け皿を基部の上部に係止した状態で示す側面図である。
【図7】図7は、図1の例を、嵌合部の上下方向位置を下方にし、燃料受け皿を基部の上部に係止した状態で示す、図6と同様の図である。
【図8】図8は、図1の例を、各部を折り畳んだ状態で示す正面図(A)と、側面図(B)である。
【図9】図9は、従来構造の1例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態の1例]
図1〜8は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例のコンロ兼用ファイアプレイスは、従来のファイアプレイスや調理用コンロと同様に、それぞれがステンレス鋼などの金属製であり、内部に燃焼部が設けられる本体部分1aと、この本体部分1aを地面から離間させて支承するための4つの脚部2aからなる脚構造とにより構成される。
【0018】
本体部分1aは、基部5と、この基部5に対して上下方向の変位を可能に嵌合された嵌合部6とを備える。本例の場合、基部5と嵌合部6はいずれも矩形の側板を連続させ、平面視で矩形状となるように構成されている。ただし、平面視で円筒状とするなど、その他の形状も採用できる。本例の場合は、筒状(四角筒)の基部5の上半部を、基部5の上半部より若干大きい筒状(四角筒)の嵌合部6に挿通して内嵌させ、両者を分離不可能に組み合わせている。
【0019】
すなわち、この嵌合部6の上下方向位置が下方となっている場合には、嵌合部6の下端縁から内方に突出する状態で設けた、下側鍔部7の下側面と、基部5の上下方向中間部に設けた段差面8とを当接させ、この嵌合部6が、基部5より落下しないようにしている。一方、嵌合部6が上方に引き上げられた場合には、下側鍔部7の上側面と、基部5の上端縁から外方に突出した状態で設けた上側鍔部9の下側面とを当接させることで、嵌合部6の抜け止めを図っている。なお、基部5の上半部側面と、嵌合部6の下端部側面には、燃焼を助けるための空気孔の役割をする複数の穿孔によるパーフォレーション構造が設けられている。
【0020】
なお、嵌合部6を、基部5に対し上下方向の変位を可能に嵌合する構造については上述の例に限られない。たとえば、本体部分1aを、基部に嵌合部を内嵌させる構造とすることもできる。この場合、この嵌合部の上下方向位置を下方とした状態で、基部の下端縁から内方に突出した状態で設けた底部と、この嵌合部の下端縁から外方に突出した状態で設けられた下側鍔部の下側面と当接させることで、嵌合部が落下しないようにする。一方、嵌合部を上方に引き上げた状態で、嵌合部の下側鍔部の上側面と、基部の上端縁から内方に突出する状態で設けられた上側鍔部の下側面とを当接させることで、この嵌合部の抜け止めを図ることができる。
【0021】
本例の場合、嵌合部6の上方位置への支承状態を、係止部材3により保持している。具体的には、基部5の2つの側面において、金属製のロッドを曲げ成形することで略U字形に形成した2つの係止部材3を、U字形の両方の先端部を基部5の下半部の上端側面(左右側面)に回動可能に支持した状態で設けている。そして、嵌合部6を上方に引き上げた状態で、係止部材3のU字形の基部により下側鍔部7の下側面を支承することで、嵌合部6を上方位置に保持する。この状態で、基部5の上側鍔部9の下側面の4箇所位置に設けた、弾性体である板バネ10により、嵌合部6を下方に向け弾性的に押圧している。なお、係止部材3は、この嵌合部6が下方位置にある、すなわち、係止部材3が下側鍔部7を支承していない状態では、このコンロ兼用ファイアプレイスを持ち上げ、移動するためのハンドルとして使用することができる。
【0022】
なお、嵌合部6を上方位置に支承するための構造としては、上述の例に限られず、たとえば金属製のロッドを曲げ成形することにより形成した1対の腕部を、基部の左右側面より上方に向け延出した状態で設け、これら腕部に嵌合部を吊り下げる構造とすることもできる。また、係止部材3を別体で設け、基部5の段差面8と嵌合部6の底面もしくは嵌合部6の下側鍔部7との間に嵌合可能な凸部を有するバー状の係止部材として、この凸部を嵌め込むことで嵌合部6を支承するようにしてもよい。
【0023】
本例の場合、本体部分1aを構成する燃料受け皿4を別体で設け、基部5の上部および下部に係止可能としている。このため、基部5の下部に燃料受け皿4を係止する、下側係止部として、基部5の底部の前後端部に、金属板を曲げ成形することにより断面形状をL字形とした1対の係止片11を、左右方向に伸長するように設けている。そして、係止片11と基部5の底部との間部分に、燃料受け皿4の上端部両側縁から外方に突出する状態で設けた庇部12を挿入することにより、燃料受け皿4を基部5の下部に係止することを可能としている。一方、燃料受け皿4を基部5の上部に係止する場合には、庇部12の下側面と、上側係止部である、基部5の上側鍔部9の上側面とを当接させて、燃料受け皿4が落下しないようにしている。
【0024】
燃料受け皿4を、基部の下部に係止する構造については上述の例に限らず、基部の底部の所定位置に複数個設けた板バネで庇部12を挟んだり、燃料受け皿4と基部5とをネジや各種金具により係止したりする構造としてもよい。また、また、燃料受け皿4を、基部の下部に設けた開口から、水平に挿入して、燃料受け皿4の底面を、基部5の下端部から内方に突出させた底部の上側面で支承するようしてもよい。さらには、燃料受け皿を省略し、基部5の底部を火床とする構造も採り得る。
【0025】
なお、燃料受け皿4には、下方に放射された燃焼による熱を反射させる、熱反射板13をネジやチェーンにより吊り下げることで設けている。この熱反射板13により、熱による燃焼部の下方にある地面の土壌への影響を抑制することが可能となる。ただし、かがり火方式のファイアプレイスのように、脚が十分に長く、燃料受け皿4と地面との間隔が十分に長い場合などにおいては、このような熱反射板13を設けない構造とすることもできる。
【0026】
本例の場合、脚構造として、4つの脚部2aを、基部5の下半部のうちの4箇所位置に折り畳み可能に設けている。このために、これら脚部2aの基端部を、基部5の下半部側面に回動可能に支持している。収納性の観点および紛失を防止する観点からは、このように脚部を折り畳み可能に一体に基部5に固定することが好ましい。
【0027】
なお、本体部分1aを支承する脚構造については、上述の例に限られない。たとえば、金属製のロッドを曲げ成形することにより形成したフレーム構造の脚部や、複数の金属片を折り畳み可能に組み合わせた脚部とし、これらの上部に本体部分を載置する構造とすることができる。また、基部5の底部ないし側面にネジ止めなどにより取り付け固定される脚構造、たとえば、逆T字状の2本の脚の上端部を基部5の下半部の左右側面に設けた脚受け入れ部に内嵌させた上で、ネジ止めすると行った構造も採ることができる。
【0028】
なお、本例のコンロ兼用ファイアプレイスは、その大きさによって制限されることはないが、参考のために、その大きさを例示する。
最大幅(嵌合部の幅):369mm
最大奥行き(嵌合部の奥行き):369mm
嵌合部を上方位置とした場合の高さ:322mm
嵌合部を上方位置とした場合の本体部分の上下方向寸法:200mm
同じく下方位置とした場合の本体部分の上下方向寸法:125mm
【0029】
上述のように構成する本例のコンロ兼用ファイアプレイスによれば、たとえば、薪などの寸法の長い大型の固形燃料を使用しても、燃焼中の固形燃料が本体部分1aから突出したり、落下したりすることを防止できる。すなわち、嵌合部6を係止部材3により上方位置に保持し、固形燃料の燃焼部を囲う部分である、本体部分1aの上下方向寸法を長くすることにより、この固形燃料がこの本体部分1aの上端面から突出するのを防止できる。そして、固形燃料が燃焼により寸法が短くなった場合には、係止部材3の基部と下側鍔部7との係合を外し、この嵌合部6を下方位置にすることで、燃焼部と外部空間の距離を縮めることができる。また、いずれの場合でも、焼き網などを配置してグリルとして、火力に応じた調理を行うことができる。さらに、嵌合部6が下方位置にある場合に、薪などの代わりに木炭などの小型の固形燃料を用いることもできる。
【0030】
また、嵌合部6を上方位置に保持した状態で、基部5の上側鍔部9の下側面に設けた板バネ10により、嵌合部6を下方に向け弾性的に押圧しているため、この嵌合部6が基部5に対してがたつくのを防止できる。すなわち、これら基部5と嵌合部6との嵌合部や、係止部材3と嵌合部6の下側鍔部7との係止部は、嵌合部6の上下方向変位や、係止部材3による下側鍔部7の支承を容易に行えるように、各部の寸法に遊びを設けている。また、本体部分1aの内部で固形燃料を燃焼させることで、この本体部分1aが熱膨張および熱収縮を繰り返し、各部が変形する。この結果、嵌合部6を上方に引き上げ、係止部材3の基部により下側鍔部7を支承しただけでは、嵌合部6が基部5に対してがたついたり、係止部材3と下側鍔部7とが確実に係合できなかったりする可能性がある。本例の場合、係止部材3の基部と板バネ10とで嵌合部6の下側鍔部7を上下方向から狭持することにより、この嵌合部6が基部5に対してがたつくのを防止している。
【0031】
嵌合部6を下方に押圧する構造については、上述のような板バネ10を用いることが、これらが燃焼部の近傍に配置され、きわめて高温となることから、構造的に好ましいといえる。ただし、上述の例に限られることはなく、耐熱性や耐久性がある限り、下端を基部に、上端を嵌合部に接続したバネなどの弾性体により、この嵌合部を下方に向けて引っ張る構造とすることもできる。また、係止部材3のU字形の基部に嵌合部6の側面に沿って上方に伸長する突出部を設け、嵌合部6の側面に板バネなどの係止バネを設けて、この突出部と係合させて、嵌合部6を下方に引っ張るようにしてもよい。
【0032】
本例の場合、燃料受け皿4を、基部5の上部と下部とに係止可能としているため、この燃料受け皿4に保持された固形燃料と、焼き網などを設置することによりグリルとなる、嵌合部6の上端面との距離を適切に調整し、もって火力を調整することができる。すなわち、薪などの大型の固形燃料を使用しるため、燃焼空間を確保する必要がある場合や、燃焼部とグリルとの間の長さを確保し、相対的に弱い火力を得たい場合には、図1〜4に示すように、燃料受け皿4を基部5の下部に設置する。一方、調理に際して、木炭などの小型の固形燃料を使用して強い火力を得たい場合は、図6に示すように、燃料受け皿4を基部5の上部に設置する。この状態で、さらに強い火力を得たい場合には、図7に示すように、係止部材3と下側鍔部7との係合を外すことで、嵌合部6を下方位置にして、燃料と調理部との距離をさらに短くすることもできる。
【0033】
すなわち、本例の場合、火床となる燃料受け皿4の底面と、燃焼部と外部空間の境界であり、かつ、グリルとなる嵌合部6の上端面との距離は、図1および図2に示すように、(1)燃料受け皿の高さ+基部の高さ+嵌合部の高さ、(2)燃料受け皿の高さ+基部の高さ、(3)燃料受け皿の高さ+嵌合部の高さ、(4)燃料受け皿の高さの4通りに、可変となっている。これにより、固形燃料の種類や使用環境に応じて、火力を相対的に変化させることができる。
【0034】
収納および運搬時には、図1および図2に示した状態から、係合部材3と嵌合部6の下側鍔部7との係合を外して、嵌合部6を下方位置に戻し、燃料受け皿4を基部5の底部の係止部から離脱させ、図8に示すように、基部5の上部に係止して、その内側に収納する。そして、脚部4を、折り畳むことにより、コンロ用ファイアプレイス全体をコンパクトに収納することが可能となる。このように、本例の場合、燃料受け皿4のみ別体で設けられているが、収納状態では、各部材が容易に分離しないようにできるため、部品を紛失するのを防止することができるという利点も備えている。
【符号の説明】
【0035】
1、1a 本体部分
2、2a 脚部
3 係止部材
4 燃料受け皿
5 基部
6 嵌合部
7 下側鍔部
8 段差面
9 上側鍔部
10 板バネ
11 係止片
12 庇部
13 熱反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、この基部に対して上下方向の変位を可能に嵌合された嵌合部とを備え、内部に燃焼部を形成する本体部分と、
この嵌合部の上下方向位置を上方とした状態で、この嵌合部を係止する係止部材と、
前記本体部分を支承する脚構造と、
を備え、前記本体部分の上下方向寸法を少なくとも2段階に調整できるコンロ兼用野外炉。
【請求項2】
前記本体部分が、前記嵌合部の上下方向位置を上方とした状態で、この嵌合部を下方に向けて押圧する弾性体を備える、請求項1に記載のコンロ兼用野外炉。
【請求項3】
前記本体部分が、燃料を載置する燃料受け皿を別体で備え、前記基部の下部に、この燃料受け皿をこの基部の下側に配置した状態で係止する下側係止部が設けられるとともに、この基部の上部に、この燃料受け皿をこの基部の内側に配置した状態で係止する上側係止部が設けられている、請求項1または2に記載のコンロ兼用野外炉。
【請求項4】
前記脚構造が、前記基部の4箇所に、折り畳み可能な状態で設けられている、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のコンロ兼用野外炉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−57490(P2013−57490A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197712(P2011−197712)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.