説明

コンロ用ガス制御装置

【目的】 ハイカロリー型コンロ用バーナによる家屋の壁面温度の上昇防止と、電池電源による作動を可能とする事を目的とするものである。
【構成】 本発明は、ハイカロリー型のコンロ用バーナへのガス流路に、手動操作によりガス供給量を調節する調節弁を設けたものにおいて、ガス流路の適所に自己保持型の電磁開閉弁を装着すると共に、この開閉弁に並列に調節弁により調節する最大ガス量の半分前後のガス量に設定したバイパス通路を接続して成るものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイカロリー型のコンロ用バーナへのガス供給を制御するコンロ用ガス制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンロ用バーナを用いたガステーブルコンロでは、例えば特開平4−187913号公報等にて示される様に、コンロ用バーナの略中央部に鍋等の被調理物の温度を検出する温度センサを設け、被調理物の温度が例えば天ぷら調理の発火温度に達するとバーナを消火する様に構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、一般家庭等で用いられるガステーブルの多くは、本体の天面に左右一対のコンロ用バーナを配置し、かつこの内一方のコンロ用バーナをガス消費量が4,000キロカロリー以上のハイカロリーバーナとしているが、このハイカロリーバーナが家屋の壁面側に設置されると、JIS基準により規定されている壁面温度が135℃以下を満足出来ないという問題があり、設置条件に応じて選択出来る様に、左側のバーナがハイカロリーの機種と、右側のバーナがハイカロリーの機種を用意したり、壁面に防熱板を設置して対応している。
【0004】そこで本発明は、電池電源による作動が可能な様に消費電力を極力押さえながら、ハイカロリーバーナの長時間の強燃焼による壁面温度の上昇等を防止する事を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハイカロリー型のコンロ用バーナへのガス流路に、手動操作によりガス供給量を調節する調節弁を設けたものにおいて、ガス流路の適所に自己保持型の電磁開閉弁を装着すると共に、この開閉弁に並列に、調節弁により調節する最大ガス量の半分前後のガス量に設定したバイパス通路を接続して成るものである。
【0006】又本発明は、コンロ用バーナの点火後所定時間経過すると電磁開閉弁を閉成するタイマー回路を設けて成るものである。
【0007】更に本発明は、コンロ用バーナにより加熱される被調理物の温度を検出する温度センサーを設けると共に、被調理物の温度が予め設定した上限温度に達すると電磁開閉弁を閉成し、予め設定した下限温度に達すると電磁開閉弁を開成する温度制御回路を設けて成るものである。
【0008】
【作用】自己保持型の電磁開閉弁によりコンロ用バーナへのガス量を制御することで、AC電源を用いることなく乾電池による作動を可能とし、台所等への設置を比較的簡単に行う事が出来るものである。
【0009】又、タイマー回路により、コンロ用バーナの点火後所定時間経過すると電磁開閉弁を閉じてコンロ用バーナの火力を強制的に半分前後に減少することで、例えばハイカロリー型のコンロ用バーナが壁面に近接して接近されても、バーナの強火力燃焼による壁面温度の上昇を防止する事が出来るものである。
【0010】更に、温度センサーにより被調理物の温度を検出し、被調理物の温度が上限温度以上に達すると電磁開閉弁を閉じてバーナの火力を低減し、被調理物の温度が下限温度以下に低下すると電磁開閉弁を開いてバーナの火力を強・弱制御することで、電磁開閉弁を利用して被調理物の温度を設定温度に加熱制御を行う事が出来るものである。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を先ず図1に基づき説明すると、(1)はガステーブルコンロのコンロ本体で、天板(2)の左右にコンロ部(3)(4)を装着していると共に、これらのコンロ部間にグリル(5)を内蔵し、かつ実施例では、上記コンロ部(3)に装着したコンロ用バーナ(6)を最大ガス量が例えば4,000キロカロリー前後のハイカロリーバーナとし、コンロ部(4)に装着したコンロ用バーナ(7)を例えば2,000キロカロリー前後の標準バーナとしている。
【0012】(8)は上記コンロ本体(1)の前面に装着した操作パネルで、上記コンロ部(3)(4)の前方に対応位置して左右へのスライド操作により上記コンロ用バーナ(6)(7)とグリル(5)内の図示しないグリル用バーナの火力を調節する操作摘み(9)(10)(11)を装着していると共に、これら操作摘みの下方に位置してプッシュプッシュ操作により上記コンロ用バーナ(6)(7)及びグリル用バーナの点滅操作を行う点火摘み(12)(13)(14)を配置している。
【0013】又例えば上記コンロ用バーナ(6)の略中央部には、サーミスタ等を用いた被調理物の温度を検出する温度センサー(15)を配設していると共に、上記操作パネル(8)の例えば点火摘み(12)の上方には、焼き物調理、炒め物調理、揚げ物調理等の調理モードを設定入力するモード設定スイッチ(16)を配置している。
【0014】図2は上記コンロ用バーナ(6)の点滅操作等を行うバルブ装置で、アルミダイキャストにて形成したバルブ本体(17)内に、電磁安全弁(18)と、主弁(19)を一体的に装着した主弁軸(20)とを軸方向に摺動自在に内装し、この主弁軸の一端を上記電磁安全弁(18)の弁軸(21)先端に対向し、かつ他端をバルブ本体(17)の前面に突出していると共に、上記主弁軸(20)の主弁(19)と他端間に点火弁部(22)を一体に形成し、上面に、上記電磁安全弁(18)の弁体(23)と主弁(19)を通過したガスが流出する主ガス流出孔(24)、及び上記主弁(19)と点火弁部(22)を通過したガスが流出する点火ガス流出孔(25)を開口している。
【0015】(26)は上記バルブ本体(17)の上記主ガス流出孔(24)と点火ガス流出孔(25)の開口面に連結した調節ユニットで、上記主ガス流出孔(24)に連通する主ガス流路(27)の下流部分に火力調節用の調節弁(28)を配設し、かつこの調節弁の下流に図示しないガス噴出用のガスノズルを装着するガス出口(29)を設けていると共に、上記主ガス流路(27)の調節弁(28)上流に自己保持型(開弁及び閉弁時にのみ通電が必要で、開弁及び閉弁後は通電しなくてもその状態を保持する)の電磁開閉弁(30)を配設している。
【0016】尚上記電磁開閉弁(30)は、上記主ガス流路(27)の途中に形成した副弁座(31)を開閉する副弁(32)を備えていると共に、上記調節ユニット(26)には、上記副弁座(31)をバイパスするバイパス通路(33)を形成し、かつこのバイパス通路は、通路内を通過するガス流量を予め設定した所定流量(上記最大ガス量の半分前後の例えば2,400キロカロリー前後)に規制するオリフィス通路とし、又一端を上記バルブ本体(17)の点火ガス流出孔(25)に連通し、他端を上記ガス出口(29)に連通した点火ガス流路(34)を形成している。
【0017】(35)は上記バルブ本体(17)の前面にて、上記主弁軸(20)と同一軸線上に位置して軸方向に摺動自在に装着した操作レバーで、これに一体に例えばハート型のガイド溝(36)を形成していると共に、このガイド溝内にピン(37)の先端を係入し、このピンと上記ガイド溝(36)との組み合わせにより、操作レバー(35)の軸方向への押し操作によりプッシュプッシュ操作する様に構成している。
【0018】(38)は上記調節弁(28)を回転操作して上記主ガス流路(27)から調節弁(28)を経てガス出口(29)に至るガス量を調節する調節レバーで、先端に上記操作摘み(9)を固定している。
【0019】図3は、上記コンロ用バーナ(6)(7)やグリル用バーナの燃焼制御を行う燃焼制御回路(39)を示すもので、例えばマイクロコンピュータにて構成した演算回路(40)の入力に、上記各バーナ(6)(7)の燃焼炎に加熱されて起電力を生じる熱電対(41)の起電力を検出して炎の有無信号を出力する炎検出回路(42)と、上記点火摘み(12)(13)(14)による点火操作や消火操作を検出する点火スイッチ(43)及びコックスイッチ(44)の開閉状態を検出するスイッチ検出回路(45)と、上記モード設定スイッチ(16)の入力操作を検出して設定された調理モードを検出するモード設定回路(46)と、上記温度センサー(15)の出力より被調理物の温度を検出する温度検出回路(47)と、乾電池(48)により構成した電源を供給すると共に電源電圧等を検出する電源回路(49)等を接続し、かつ出力に、上記電磁安全弁(18)を作動する安全弁駆動回路(50)と、同じく上記電磁開閉弁(30)を作動する開閉弁駆動回路(51)と、各バーナの燃焼部に放電を生じて点火する点火器(52)を作動する点火器駆動回路(53)等を接続している。
【0020】又上記演算回路(40)には、上記スイッチ検出回路(45)や炎検出回路(42)の出力により、コンロ用バーナ(6)が点火されてから予め設定された所定時間(例えばコンロ用バーナの最大ガス消費量が4,600キロカロリー前後の場合で約15分、同じく4,000キロカロリー前後の場合で約20分)経過すると、上記開閉弁駆動回路(51)にオフ信号を出力するタイマー回路(54)と、上記温度検出回路(47)により検出した被調理物の温度を上記モード設定回路(46)により設定された調理温度と比較して上記電磁開閉弁(30)を開閉制御する温度制御回路(55)とを備えている。
【0021】尚上記温度制御回路(55)は、上記モード設定回路(46)が例えば揚げ物調理と判定した場合、温度センサー(15)により検出する被調理物の温度が上限温度の例えば190℃以上に達すると電磁開閉弁(30)を閉じてコンロ用バーナ(6)を弱燃焼とし、これにより被調理物の温度が下限温度の例えば170℃以下に低下すると電磁開閉弁(30)を開いてコンロ用バーナ(6)を強燃焼とするものである。
【0022】又上記温度制御回路(55)は、被調理物の温度が上記上限温度に達してコンロ用バーナ(6)を弱燃焼としても、被調理物の温度が更に上昇して予め設定したハイカット温度(例えば250℃)以上に上昇すると、電磁安全弁(18)を閉じてコンロ用バーナ(6)の燃焼を停止する。
【0023】一方上記タイマー回路(54)は、上記設定された所定時間内に上記温度制御回路(55)により被調理物の温度が上限温度に達して電磁開閉弁(30)を閉じた場合には、その時間設定を無効とする様に構成している。
【0024】而して、コンロ用バーナ(6)の動作について説明すると、点火摘み(12)の押し込み操作により点火操作を行うと、演算回路(40)はスイッチ検出回路(45)の出力によりこれを検出して点火器駆動回路(53)により点火器(52)を作動すると共に、安全弁駆動回路(50)と開閉弁駆動回路(51)より各々電磁安全弁(18)と電磁開閉弁(30)に開弁保持用の電力を供給し、かつバルブ本体(17)の主ガス流出孔(24)と点火ガス流出孔(25)、及び調節ユニット(26)の主ガス流路(27)とバイパス通路(33)、並びに点火ガス流路(34)を介してガス出口(29)よりコンロ用バーナ(6)にガス供給を行ってこれを点火する。
【0025】尚上記点火摘み(12)の点火操作時には、この点火摘みの押し込みにより操作レバー(35)が軸方向に摺動し、この操作レバーにより主軸弁(20)が摺動して電磁安全弁(18)の弁体(23)を開弁セットすると同時に主弁(19)が開き、主ガス流出孔(24)よりガスが供給されると共に、点火弁部(22)も開いて、点火ガス流出孔(25)よりガスが供給される。
【0026】一方上記演算回路(40)は、スイッチ検出回路(45)により点火摘み(12)の点火操作を検出すると、電磁安全弁(18)に通電して開弁セットすると同時に電磁開閉弁(30)に通電してこれらを開き、上記主ガス流出孔(24)より供給されるガスを、主ガス流路(27)とバイパス通路(34)を経た後調節弁(28)を介してガス出口(29)に供給すると同時に、上記点火ガス流出孔(25)より供給されたガスが、点火ガス流路(34)を経てガス出口(29)に供給される。
【0027】又コンロ用バーナ(6)が点火すると、炎検出回路(42)の出力により演算回路(40)がこれを検出し、電磁安全弁(18)への保持電力の供給を継続し、一方炎検出回路(46)より炎無しの信号が出力されると、電磁安全弁(18)及び電磁開閉弁(30)への電力供給を停止して生ガスの噴出を防止する。
【0028】そして演算回路(40)は、温度制御回路(55)により温度検出回路(47)を通して検出した被調理物の温度と、モード設定回路(46)により判定した調理の種類に応じて設定した上限温度とを比較し、被調理物の温度が上限温度に達すると電磁開閉弁(30)を閉じてコンロ用バーナ(6)を弱燃焼とし、この弱燃焼により被調理物の温度が下限温度に低下すると電磁開閉弁(30)を開いてコンロ用バーナ(6)を強燃焼し、以降これを繰り返す。
【0029】一方タイマー回路(54)は、上記コンロ用バーナ(6)の燃焼を開始して所定時間以内に上記の様に被調理物の温度が上限温度に達しない場合には、オフ信号を出力して開閉弁駆動回路(51)を通して電磁開閉弁(30)を閉じ、強制的にコンロ用バーナ(6)を弱燃焼する。
【0030】これにより、調節弁(28)が全開状態でコンロ用バーナ(6)が最大火力で燃焼していても、温度制御回路(55)、又はタイマー回路(54)により強制的にバーナの火力を減少することで、コンロ本体(1)のコンロ用バーナ(6)側に家屋の壁が隣接していても、壁面の温度上昇による火災の発生等を未然に防止する。
【0031】尚上記実施例では、温度制御回路(55)によるコンロ用バーナ(6)の燃焼制御とタイマー回路(54)による強制弱燃焼とを組み合わせているが、温度制御回路(55)を設けず、タイマー回路(54)のみによってコンロ用バーナ(6)を点火して所定時間経過するとバーナを必ず弱燃焼する様に構成しても良く、これにより、ハイカロリー型のコンロ用バーナ(6)の配置を左右どちらか一方に限定したり、左右のバーナをハイカロリー型に構成して、バーナ側に家屋の壁面が近接しても、壁面の温度上昇を確実に防止する事が出来る。
【0032】
【発明の効果】本発明の構成により、ハイカロリー型コンロ用バーナへのガス流路の適所に自己保持型の電磁開閉弁を装着すると共に、この開閉弁に並列にバイパス通路を接続したことで、乾電池による電源でバーナの火力調節を行う事が出来、台所等への設置時における作業性を向上出来る。
【0033】又本発明は、コンロ用バーナの点火後所定時間経過すると電磁開閉弁を強制的に閉じるタイマー回路を設けたことで、ハイカロリー型のコンロ側に家屋の壁面が近接していても、強燃焼での連続燃焼による壁面温度の上昇を確実に防止し、これにより例えばどちらか一方のバーナをハイカロリー型とした、コンロ用バーナを左右一対備えたガステーブルコンロでは、ハイカロリー型のバーナの配置をどちらか一方に固定する事も可能となり、この場合、部品点数の削減等によるコストダウンを計る事が出来るものである。
【0034】更に本発明は、温度センサーにより被調理物の温度を検出し、検出した温度に応じて自己保持型の電磁開閉弁を開閉してバーナの火力を強・弱燃焼することで、被調理物の温度を所定温度に加熱制御することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例を示す正面図である。
【図2】同じくバルブ装置の側面縦断面図である。
【図3】同じく燃焼制御回路のブロック図である。
【符号の説明】
6 ハイカロリー型のコンロ用バーナ
15 温度センサー
28 調節弁
30 電磁開閉弁
34 バイパス通路
54 タイマー回路
55 温度制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハイカロリー型のコンロ用バーナへのガス流路に、手動操作によりガス供給量を調節する調節弁を設けたものにおいて、上記ガス流路の適所に自己保持型の電磁開閉弁を装着すると共に、この開閉弁に並列に上記調節弁により調節する最大ガス量の半分前後のガス量に設定したバイパス通路を接続した事を特徴とするコンロ用ガス制御装置。
【請求項2】 上記コンロ用バーナの点火後所定時間経過すると、上記電磁開閉弁を閉成するタイマー回路を設けた事を特徴とする、上記請求項1に記載のコンロ用ガス制御装置。
【請求項3】 上記コンロ用バーナにより加熱される被調理物の温度を検出する温度センサーを設けると共に、上記被調理物の温度が予め設定した上限温度に達すると上記電磁開閉弁を閉成し、予め設定した下限温度に達すると上記電磁開閉弁を開成する温度制御回路を設けた事を特徴とする、上記請求項1に記載のコンロ用ガス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−219463
【公開日】平成8年(1996)8月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−23901
【出願日】平成7年(1995)2月13日
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)