コンロ用パッキン
【課題】 取り付けが容易でかつ取り付け状態が安定するコンロ用パッキンを提供する。
【解決手段】 コンロ用パッキン1は、一定の断面形状を有し、軸方向への伸縮性を有する変形自在の棒形状の弾性部材10と、接続具20とから構成されたリング状の弾性体よりなる。コンロ用パッキン1の長さはフレーム33の隅部分37の合計長さよりも短く設定されている。取り付けに当たっては、まず(1)を参照して、接続具20の周辺の弾性部材10をフレーム33に引っ掛ける。次に(2)を参照して、弾性部材10を引いてコンロ用パッキン1の長さが隅部分37の合計長さ以上になるようにコンロ用パッキン1を引き伸ばす。最後に(3)を参照して、弾性部材10の位置を隅部分37に合わせた状態で弾性部材10に対する引く力を解除して、コンロ用パッキン1にて隅部分37の全てを一体的に塞ぐと共に、コンロ用パッキン1を緊張状態でコンロ31に取り付ける。
【解決手段】 コンロ用パッキン1は、一定の断面形状を有し、軸方向への伸縮性を有する変形自在の棒形状の弾性部材10と、接続具20とから構成されたリング状の弾性体よりなる。コンロ用パッキン1の長さはフレーム33の隅部分37の合計長さよりも短く設定されている。取り付けに当たっては、まず(1)を参照して、接続具20の周辺の弾性部材10をフレーム33に引っ掛ける。次に(2)を参照して、弾性部材10を引いてコンロ用パッキン1の長さが隅部分37の合計長さ以上になるようにコンロ用パッキン1を引き伸ばす。最後に(3)を参照して、弾性部材10の位置を隅部分37に合わせた状態で弾性部材10に対する引く力を解除して、コンロ用パッキン1にて隅部分37の全てを一体的に塞ぐと共に、コンロ用パッキン1を緊張状態でコンロ31に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンロ用パッキンに関し、特にドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板とコンロのトッププレートとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、コンロがカウンターに嵌め込まれた状態を示した斜視図であり、図12は、図11で示したXII−XIIラインの拡大模式端面図である。
【0003】
これらの図を参照して、コンロ(IHクッキングヒーター)31は、トッププレート32の外周に設けられたフレーム33が、カウンター35の天板36の上面に掛止することで、カウンター35に嵌め込まれた状態で固定される。この時、フレーム33と天板36の上面とが直接接触することで互いに傷が付くのを防止するために、フレーム33と天板36の上面との間にゴムパッキン38等が配置されている。これにより、フレーム33と天板36の上面とが直接触れ合う事はなくなるが、フレーム33と天板36の上面との間の隅部分に隙間40が生じてしまう。そして、この隙間40に汚れ等が入り込んだ場合、汚れ等が取り除きにくくて不衛生になるという問題が生じていた。
【0004】
そこで、特許文献1に示されているような台所用隙間テープが提案されている。
【0005】
図13は、特許文献1に示されている台所用隙間テープの使用状態を示した拡大端面模式図であって、図12に対応する図である。
【0006】
図を参照して、台所用隙間テープ61は、片面に接着剤が塗布され、長尺の帯形状に形成されたものである。使用に当たっては、台所用隙間テープ61に長手方向に伸びる折り目をつけ、その折り目の上部である第1接着部63をフレーム33の外面に沿うように、折り目の下部である第2接着部64を天板36の上面にそれぞれ貼り付ける。すると、隙間40の入口が塞がれ、隙間40に汚れ等が入り込まなくなる。
【0007】
しかし、上記のような台所用隙間テープ61は、内部への汚れの進入を防止するものの、第1接着部63と第2接着部64とによって形成された角部66に汚れが溜まる。又、平面視におけるフレーム33のコーナー部には構造上連続的に貼り付けにくい。更に、一度剥がれると接着剤が剥れて接着力が低下するため、新しいものに貼り替える必要がある。更に、フレーム33及び天板36において台所用隙間テープ61が貼り付けられていた部分には、台所用隙間テープ61の接着剤が残り、新たな汚れの原因となりやすい。
【0008】
そこで、特許文献2に示されているようなコンロ用パッキンが提案されている。
【0009】
図14は、特許文献2に示されているコンロ用パッキンの斜視図であり、図15は、図14で示したコンロ用パッキンの使用状態を示した斜視図であり、図16は、図15で示したXVI−XVIラインの拡大端面模式図であって、従来の台所用隙間テープの図13に対応する図である。
【0010】
これらの図を参照して、コンロ用パッキン71は、スチレン系樹脂よりなる溶融素材を押出成形して一定の断面形状を有する変形自在の棒形状に形成された弾性体よりなり、全体が一定の粘着性を有する。その断面形状は、第1突起部73と、第1突起部73の上部に接続された第2突起部74と、第1突起部73の側部に接続された載置部75と、第2突起部74の上方端部から載置部75の側方端部に向かってなだらかに傾斜する傾斜部76とを有している。尚、コンロ用パッキン71の長さは、一本のコンロ用パッキン71でコンロ(IHクッキングヒーター)31の外周全体を連続的に囲えるように、コンロ31の外周の合計長さよりも長く形成されている。
【0011】
使用に当たっては、図15及び図16を参照して、コンロ31のトッププレート32の外周に設けられたフレーム33とカウンター35の天板36の上面との間の隙間40に第1突起部73を挿入してコンロ用パッキン71を設置する。
【0012】
コンロ用パッキン71の設置に当たっては、コンロ用パッキン71の弾性変形を利用して第1突起部73を隙間40に押し込み、載置部75を天板36に載せ、更に、第2突起部74をフレーム33の外面に沿わせて、傾斜部76の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン71を押し付ける。すると、第2突起部74がフレーム33に、載置部75が天板36に、それぞれ密着する。又、フレーム33から天板36に向かって、傾斜部76によるなだらかな傾斜が形成される。
【0013】
コンロ用パッキン71をコンロ31の外周全体へ設置するに当たっては、コンロ用パッキン71をフレーム33の側面の一箇所からフレーム33に沿わせて設置していく。フレーム33のコーナー部においては、コンロ用パッキン71を軽く引っ張りながら設置していくと、コンロ用パッキン71がフレーム33のコーナー部の形状に沿って綺麗に設置される。
【0014】
尚、上述の通り、コンロ用パッキン71はコンロ31の外周の合計長さよりも長く形成されているため、コンロ用パッキン71をコンロ31の外周のほぼ全周に設置し終わったときに残るコンロ用パッキン71の長さは、まだコンロ用パッキン71が設置されていないコンロ31の部分の長さよりも長くなっている。そこで、コンロ用パッキン71の残りの部分の端面が、コンロ用パッキン71の設置開始時点における最初の端面に繋がるように、コンロ用パッキン71の残りの部分の一部を切り落としてコンロ用パッキン71の長さを調節する。そして、コンロ用パッキン71の残りの部分を設置し、コンロ用パッキン71の最初の端面と残りの部分の端面とを突き合わせて、コンロ用パッキン71の設置を完了する。
【0015】
このように構成すると、コンロ用パッキン71の粘着力によりコンロ用パッキン71とフレーム33等との密着性が高まる。又、粘着力によって載置部75と天板36との摩擦力も増大するため、隙間40からコンロ用パッキン71がずれにくくなる。したがって、フレーム33のコーナー部においてもその状態が維持される。
【0016】
又、コンロ用パッキン71には、図13に示す従来の台所用隙間テープ61に形成されていた角部66に代わり、傾斜部76によるなだらかな傾斜が形成されるので、凹み部分が生じず、コンロ用パッキン71自体にも汚れが溜まりにくくなる。
【0017】
更に、コンロ用パッキン71は素材自体が粘着性を有するため、取り外したり洗ったりすることでは粘着力が低下せず、繰り返しの使用が可能となる。
更に、接着剤を使用しないので、接着剤が残って生じる新たな汚れの原因となることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実開昭58−140148号公報
【特許文献2】特開2009−293822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、近年、フレームとカウンターの天板との間に生じる隅部分の隙間を小さくする、又は全く無くす新たなコンロが開発されている。
【0020】
図17は、新たなコンロに図14で示した従来のコンロ用パッキンを設置した状態を示す拡大端面模式図であって、従来のコンロ用パッキンの図16に対応する図である。
【0021】
図を参照して、コンロ31において、ゴムパッキン38が、薄いゴムパッキン39に置き換えられている。尚、他の部分は図16に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0022】
この置き換えにより、フレーム33と天板36との隙間40が狭くなり、第1突起部73が隙間40に十分に挿入できなくなる。すると、フレーム33とコンロ用パッキン71との距離が開き、第2突起部74とフレーム33の外面との間に新たな隙間50が生じる。その結果、フレーム33に対するコンロ用パッキン71の密着性が低下し、コンロ用パッキン71の設置状態が不安定なものとなる。特に、隙間40が全く無くなってしまうものに対しては、コンロ用パッキン71をフレーム33に押し付けることすらできなくなるため、コンロ用パッキン71を設置すること自体が困難となる。
【0023】
又、フレーム33の平面視におけるコーナー部が直角のものや、コーナー部の径が小さいものに対して対応しきれない。
【0024】
更に、コンロ用パッキン71の設置方法は、コンロ31の全周の隙間40にコンロ用パッキン71を少しずつ押し込んでいくという手間のかかるものであると共に、分かりにくいものであった。
【0025】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、取り付けが容易でかつ取り付け状態が安定するコンロ用パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板と、コンロのトッププレートの外周に設けられ、天板の上面に掛止してコンロを固定させるフレームとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンであって、リング状であって、少なくともその一部が軸方向への伸縮性を有する弾性体よりなり、弾性体の長さは、フレームの全周囲に応じた隅部分の合計長さに対応するものである。
【0027】
このように構成すると、隅部分の全てが一体的に塞がれる。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、弾性体の長さは、合計長さより短く設定されるものである。
【0029】
このように構成すると、弾性体は緊張状態で取り付けられる。
【0030】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、弾性体は、棒形状の弾性材料と、弾性材料の両端の各々が固定された一対の接続具とから構成されるものである。
【0031】
このように構成すると、フレームの大きさに応じた調整が容易となる。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、弾性体は、同一断面形状を有する棒形状の弾性材料よりなり、その両端同士が一体的に接続されて構成されるものである。
【0033】
このように構成すると、弾性体の断面形状は全て一定となる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、隅部分の全てが一体的に塞がれるので、取り付けが容易でかつ取り付け状態が安定する。
【0035】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、弾性体は緊張状態で取り付けられるので、隅部分への密着状態が向上する。
【0036】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、フレームの大きさに応じた調整が容易となるので、コスト的に有利となると共に取り付け方法が選択できる。
【0037】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、弾性体の断面形状は全て一定となるので、取り付け状態の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図である。
【図2】図1に示したII−IIラインの拡大端面図である。
【図3】図1に示した接続具を分離した状態のコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図である。
【図4】図3に示した“X”部分の拡大模式図である。
【図5】図1に示したコンロ用パッキンの取付過程を示した模式図である。
【図6】図5に示したVI−VIラインの拡大端面模式図及び図1に示したコンロ用パッキンのフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【図7】図1に示したコンロ用パッキンの取付状態を修正する過程を示した模式図である。
【図8】図1に示したコンロ用パッキンの弾性部材を強く引っ張った状態の概略形状を示す平面図である。
【図9】図8に示したIX−IXラインの拡大端面図である。
【図10】図5に示したVI−VIラインに対応する部分における図8に示したコンロ用パッキンの取付状態を示した拡大端面模式図及びフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【図11】コンロがカウンターに嵌め込まれた状態を示した斜視図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの拡大模式端面図である。
【図13】特許文献1に示されている台所用隙間テープの使用状態を示した拡大端面模式図であって、図12に対応する図である。
【図14】特許文献2に示されているコンロ用パッキンの斜視図である。
【図15】図14で示したコンロ用パッキンの使用状態を示した斜視図である。
【図16】図15で示したXVI−XVIラインの拡大端面模式図であって、従来の台所用隙間テープの図13に対応する図である。
【図17】新たなコンロに図14で示した従来のコンロ用パッキンを設置した状態を示す拡大端面模式図であって、従来のコンロ用パッキンの図16に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図であり、図2は、図1に示したII−IIラインの拡大端面図であり、図3は、図1に示した接続具を分離した状態のコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図であり、図4は、図3に示した“X”部分の拡大模式図である。
【0040】
まず、図1及び図2を参照して、コンロ用パッキン1は、一定の断面形状を有し、軸方向への伸縮性を有する変形自在の棒形状の弾性部材10と、接続具20とから構成されたリング状の弾性体よりなるものである。尚、弾性体の長さは、後述するコンロ31のフレーム33の全周囲に応じた隅部分37の合計長さ(約220mm)より短く設定されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0041】
弾性部材10は、断面形状が、後述するフレームの外面に沿う第1突起部11と、後述する天板に載る載置部13と、第1突起部11の下部に接続され、載置部13の側方端部に向かってなだらかに傾斜する傾斜部14と、傾斜部14の内方側に接続され、屈曲自在の屈曲部15と、屈曲部15の内方側に接続された第2突起部12とを備える。載置部13の下面と第2突起部12の下面とは、屈曲部15の下部に形成される凹み16を介して隣接する。このように構成したことによる効果は後述する。尚、第2突起部12の厚みHは0.85mm、幅Lは1.19mmに設定されている。
【0042】
弾性部材10は、第1突起部11の内方側と、第2突起部12の内方側及び下面側と、載置部13の下面側とが、粘着性を有するアクリル系エラストマーで、それら以外の他の部分が非粘着性を有するアクリル系エラストマーでそれぞれ構成され、2色押出成形によって形成される。
【0043】
このように構成すると、後述するフレーム及び天板に接する部分が粘着性を有するため取り付け時のズレが減少するので、コンロ用パッキン1の取り付け状態が安定する。又、他の部分に対して接する部分に所望の部分に粘着性を付与できるので、粘着性能が安定すると共に他の部分への汚れの付着が低減する。更に、弾性部材10の長さが自在となるので、コスト的に有利となる。
【0044】
次に、図3及び図4を参照して、接続具20は互いに対になる雄部21と雌部26とからなり、雄部21に弾性部材10の端部18aが、雌部26に弾性部材10の端部18bが、それぞれ固定されている。雌部26には雄部21の外面に形成された突起体22を脱着自在に嵌合させる嵌合孔27が形成されており、突起体22と嵌合孔27とを介して弾性部材10の端部18a及び18bが接続される。
【0045】
このように構成すると、後述するフレームの大きさに応じた調整が容易となるので、コスト的に有利となると共に取り付け方法が容易になる。
【0046】
尚、このコンロ用パッキン1は、後述するフレームと天板との間に生じる隅部分の隙間が、図2に示した第2突起部12を十分に挿入できる大きさのものに対して取付可能であることは勿論のこと、隙間が無い又は隙間があっても第2突起部12を十分に挿入できないような小さなものに対しても取付可能である。
【0047】
そこでまず、隙間が第2突起部12を十分に挿入できる大きさのものに対しての取付方法について以下説明する。
【0048】
図5は、図1に示したコンロ用パッキンの取付過程を示した模式図である。
【0049】
まず、図5の(1)を参照して、コンロ用パッキン1の接続具20の周辺の弾性部材10の部分をコンロ31のフレーム33の奥側に引っ掛ける(図の上方)。
【0050】
次に、図5の(2)を参照して、図5の(1)の状態から、弾性部材10を手前に引く(図の下方)。すると、上述した通り弾性部材10は軸方向への伸縮性を有するから、弾性部材10が伸びる。そこで、弾性部材10を引き伸ばし、コンロ用パッキン1の長さが隅部分37の合計長さ以上になるようにコンロ用パッキン1の形状を変化させる。
【0051】
最後に、図5の(3)を参照して、弾性部材10の位置を隅部分37に合わせた状態で弾性部材10に対する引く力を解除する。すると、上述した通り、コンロ用パッキン1はリング状であるから、隅部分37の全てが一体的に塞がれるので、取り付け状態が安定する。又、弾性部材10は軸方向への伸縮性を有し、且つ、コンロ用パッキン1の長さは隅部分37の合計長さよりも短く設定されているから、コンロ用パッキン1は緊張状態で取り付けられる。よって、隅部分37への密着状態が向上する。更に、隅部分37の隙間に上述した第2突起部がある程度自動的に挿入されていくので取り付けの手間が減少すると共に、取付方法が簡単で且つ分かりやすくなる。
【0052】
図6は、図5に示したVI−VIラインの拡大端面模式図及び図1に示したコンロ用パッキンのフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【0053】
まず、図6の(1)を参照して、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37の隙間40に、コンロ用パッキン1の第2突起部12を挿入した状態で載置部13を天板36に載せ、傾斜部14の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン1を押し付ける。すると、載置部13の下面がフレーム33側に押し込まれて、コンロ用パッキン1が図の2点鎖線で示した形状から図の実線で示した形状へと変化し、第1突起部11がフレーム33に、載置部13が天板36に、それぞれ密着する。又、フレーム33から天板36に向かって傾斜部14によるなだらかな傾斜が形成される。
【0054】
尚、上述した通り、設置時に載置部13の下面をフレーム33側に押し込めるので、図6の(2)に示すような、フレーム33の平面視におけるコーナー部34の径が小さいものや直角のものでも、コーナー部34に沿った取り付けが容易となる。
【0055】
図7は、図1に示したコンロ用パッキンの取付状態を修正する過程を示した模式図である。
【0056】
まず、図7の(1)を参照して、コンロ用パッキン1の弾性部材10の一部が捻れている。この状態では、隅部分37に塞がれていない部分が生じる。また、この状態では、コンロ用パッキン1はリング状であるため、捻れを解消することができない。
【0057】
そこで、図7の(2)を参照して、コンロ用パッキン1の接続具20を雄部21と雌部26とに分離する。すると、コンロ用パッキン1は全体として一本の棒形状となり、弾性部材10が軸方向に対して捻り自在となるので、捻れの解消が可能となる。
【0058】
最後に、図7の(3)を参照して、捻れが解消された状態で雄部21と雌部26とを再度接続して、コンロ用パッキン1をフレーム33に取り付ける。このようにすると、隅部分37の全てを一体的に塞げ、コンロ用パッキン1の取付状態の修正がなされる。
【0059】
ところで、上記の弾性部材10の取付の方法では、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37に隙間40が無い場合及び隙間40が第2突起部12を十分に挿入できないほど小さい場合は、コンロ用パッキン1の取り付けが出来ない。
【0060】
そこで、コンロ用パッキン1の形状を以下のように変形させて、フレーム33と天板36との間に生じる隙間40が無いものに対してコンロ用パッキン1の取り付けを行う。
【0061】
図8は、図1に示したコンロ用パッキンの弾性部材を強く引っ張った状態の概略形状を示す平面図であり、図9は、図8に示したIX−IXラインの拡大端面図であり、図10は、図5に示したVI−VIラインに対応する部分における図8に示したコンロ用パッキンの取付状態を示した拡大端面模式図及びフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【0062】
まず、図8及び図9を参照して、コンロ用パッキン1の弾性部材10を外方に若干反らすように手80a及び80bで強く引っ張る。すると、上述した通り、弾性部材10は軸方向への伸縮性を有すると共に、屈曲部15が屈曲自在に構成されているため、第2突起部12が第1突起部11の内方側に接するように立ち上がり、図9で示す形状に断面形状が変化する。
【0063】
この引っ張り状態を維持したままで、図5に示した取付方法と同様にコンロ用パッキン1を取り付けていき、図10の(1)に示すように載置部13を天板36に載せ、傾斜部14の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン1を押し付ける。すると、コンロ用パッキン1が図の2点鎖線で示した形状から図の実線で示した形状へと変化し、第2突起部12及び第1突起部11がフレーム33に、載置部13が天板36にそれぞれ密着する。よって、ゴムパッキン39がフレーム33に内蔵されており、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37に隙間が無いもの及び隙間があっても第2突起部12が十分に挿入できないような小さなものに対しても、コンロ用パッキン1が取り付けられる。すなわち、コンロ用パッキン1を上記のように構成すると、隙間40に応じて第2突起部12の位置が変化するので、効率的な取付けが可能となる。
【0064】
又、フレーム33から天板36に向かって傾斜部14によるなだらかな傾斜が形成される。更に、上述した通り、引っ張り状態が維持されたまま設置されるので、図10の(2)に示すような、フレーム33のコーナー部34の径が小さいものでも、コーナー部34に沿った取り付けが容易となる。
【0065】
尚、上記の第1の実施の形態では、弾性部材は接続具によって端部の各々が接続されていたが、その両端同士が一体的に接続されるように構成してもよい。このように構成すると、弾性体の断面形状は全て一定となるので、取り付け状態の品質が向上する。
【0066】
又、上記の第1の実施の形態では、弾性体は棒形状の弾性部材の端部同士を接続してリング状にしたものよりなっていたが、弾性部材自体がリング状に形成されていてもよい。
【0067】
更に、上記の第1の実施の形態では、弾性体の長さは隅部分の合計長さより短く設定されていたが、隅部分の合計長さに対応する範囲の長さに設定されていればよい。
【0068】
更に、上記の第1の実施の形態では、弾性部材は全体が軸方向への伸縮性を有するものであったが、少なくとも一部が軸方向への伸縮性があればよい。
【符号の説明】
【0069】
1…コンロ用パッキン
10…弾性部材
18a、18b…端部
20…接続具
31…コンロ
32…トッププレート
33…フレーム
35…カウンター
36…天板
37…隅部分
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明はコンロ用パッキンに関し、特にドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板とコンロのトッププレートとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、コンロがカウンターに嵌め込まれた状態を示した斜視図であり、図12は、図11で示したXII−XIIラインの拡大模式端面図である。
【0003】
これらの図を参照して、コンロ(IHクッキングヒーター)31は、トッププレート32の外周に設けられたフレーム33が、カウンター35の天板36の上面に掛止することで、カウンター35に嵌め込まれた状態で固定される。この時、フレーム33と天板36の上面とが直接接触することで互いに傷が付くのを防止するために、フレーム33と天板36の上面との間にゴムパッキン38等が配置されている。これにより、フレーム33と天板36の上面とが直接触れ合う事はなくなるが、フレーム33と天板36の上面との間の隅部分に隙間40が生じてしまう。そして、この隙間40に汚れ等が入り込んだ場合、汚れ等が取り除きにくくて不衛生になるという問題が生じていた。
【0004】
そこで、特許文献1に示されているような台所用隙間テープが提案されている。
【0005】
図13は、特許文献1に示されている台所用隙間テープの使用状態を示した拡大端面模式図であって、図12に対応する図である。
【0006】
図を参照して、台所用隙間テープ61は、片面に接着剤が塗布され、長尺の帯形状に形成されたものである。使用に当たっては、台所用隙間テープ61に長手方向に伸びる折り目をつけ、その折り目の上部である第1接着部63をフレーム33の外面に沿うように、折り目の下部である第2接着部64を天板36の上面にそれぞれ貼り付ける。すると、隙間40の入口が塞がれ、隙間40に汚れ等が入り込まなくなる。
【0007】
しかし、上記のような台所用隙間テープ61は、内部への汚れの進入を防止するものの、第1接着部63と第2接着部64とによって形成された角部66に汚れが溜まる。又、平面視におけるフレーム33のコーナー部には構造上連続的に貼り付けにくい。更に、一度剥がれると接着剤が剥れて接着力が低下するため、新しいものに貼り替える必要がある。更に、フレーム33及び天板36において台所用隙間テープ61が貼り付けられていた部分には、台所用隙間テープ61の接着剤が残り、新たな汚れの原因となりやすい。
【0008】
そこで、特許文献2に示されているようなコンロ用パッキンが提案されている。
【0009】
図14は、特許文献2に示されているコンロ用パッキンの斜視図であり、図15は、図14で示したコンロ用パッキンの使用状態を示した斜視図であり、図16は、図15で示したXVI−XVIラインの拡大端面模式図であって、従来の台所用隙間テープの図13に対応する図である。
【0010】
これらの図を参照して、コンロ用パッキン71は、スチレン系樹脂よりなる溶融素材を押出成形して一定の断面形状を有する変形自在の棒形状に形成された弾性体よりなり、全体が一定の粘着性を有する。その断面形状は、第1突起部73と、第1突起部73の上部に接続された第2突起部74と、第1突起部73の側部に接続された載置部75と、第2突起部74の上方端部から載置部75の側方端部に向かってなだらかに傾斜する傾斜部76とを有している。尚、コンロ用パッキン71の長さは、一本のコンロ用パッキン71でコンロ(IHクッキングヒーター)31の外周全体を連続的に囲えるように、コンロ31の外周の合計長さよりも長く形成されている。
【0011】
使用に当たっては、図15及び図16を参照して、コンロ31のトッププレート32の外周に設けられたフレーム33とカウンター35の天板36の上面との間の隙間40に第1突起部73を挿入してコンロ用パッキン71を設置する。
【0012】
コンロ用パッキン71の設置に当たっては、コンロ用パッキン71の弾性変形を利用して第1突起部73を隙間40に押し込み、載置部75を天板36に載せ、更に、第2突起部74をフレーム33の外面に沿わせて、傾斜部76の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン71を押し付ける。すると、第2突起部74がフレーム33に、載置部75が天板36に、それぞれ密着する。又、フレーム33から天板36に向かって、傾斜部76によるなだらかな傾斜が形成される。
【0013】
コンロ用パッキン71をコンロ31の外周全体へ設置するに当たっては、コンロ用パッキン71をフレーム33の側面の一箇所からフレーム33に沿わせて設置していく。フレーム33のコーナー部においては、コンロ用パッキン71を軽く引っ張りながら設置していくと、コンロ用パッキン71がフレーム33のコーナー部の形状に沿って綺麗に設置される。
【0014】
尚、上述の通り、コンロ用パッキン71はコンロ31の外周の合計長さよりも長く形成されているため、コンロ用パッキン71をコンロ31の外周のほぼ全周に設置し終わったときに残るコンロ用パッキン71の長さは、まだコンロ用パッキン71が設置されていないコンロ31の部分の長さよりも長くなっている。そこで、コンロ用パッキン71の残りの部分の端面が、コンロ用パッキン71の設置開始時点における最初の端面に繋がるように、コンロ用パッキン71の残りの部分の一部を切り落としてコンロ用パッキン71の長さを調節する。そして、コンロ用パッキン71の残りの部分を設置し、コンロ用パッキン71の最初の端面と残りの部分の端面とを突き合わせて、コンロ用パッキン71の設置を完了する。
【0015】
このように構成すると、コンロ用パッキン71の粘着力によりコンロ用パッキン71とフレーム33等との密着性が高まる。又、粘着力によって載置部75と天板36との摩擦力も増大するため、隙間40からコンロ用パッキン71がずれにくくなる。したがって、フレーム33のコーナー部においてもその状態が維持される。
【0016】
又、コンロ用パッキン71には、図13に示す従来の台所用隙間テープ61に形成されていた角部66に代わり、傾斜部76によるなだらかな傾斜が形成されるので、凹み部分が生じず、コンロ用パッキン71自体にも汚れが溜まりにくくなる。
【0017】
更に、コンロ用パッキン71は素材自体が粘着性を有するため、取り外したり洗ったりすることでは粘着力が低下せず、繰り返しの使用が可能となる。
更に、接着剤を使用しないので、接着剤が残って生じる新たな汚れの原因となることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実開昭58−140148号公報
【特許文献2】特開2009−293822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、近年、フレームとカウンターの天板との間に生じる隅部分の隙間を小さくする、又は全く無くす新たなコンロが開発されている。
【0020】
図17は、新たなコンロに図14で示した従来のコンロ用パッキンを設置した状態を示す拡大端面模式図であって、従来のコンロ用パッキンの図16に対応する図である。
【0021】
図を参照して、コンロ31において、ゴムパッキン38が、薄いゴムパッキン39に置き換えられている。尚、他の部分は図16に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0022】
この置き換えにより、フレーム33と天板36との隙間40が狭くなり、第1突起部73が隙間40に十分に挿入できなくなる。すると、フレーム33とコンロ用パッキン71との距離が開き、第2突起部74とフレーム33の外面との間に新たな隙間50が生じる。その結果、フレーム33に対するコンロ用パッキン71の密着性が低下し、コンロ用パッキン71の設置状態が不安定なものとなる。特に、隙間40が全く無くなってしまうものに対しては、コンロ用パッキン71をフレーム33に押し付けることすらできなくなるため、コンロ用パッキン71を設置すること自体が困難となる。
【0023】
又、フレーム33の平面視におけるコーナー部が直角のものや、コーナー部の径が小さいものに対して対応しきれない。
【0024】
更に、コンロ用パッキン71の設置方法は、コンロ31の全周の隙間40にコンロ用パッキン71を少しずつ押し込んでいくという手間のかかるものであると共に、分かりにくいものであった。
【0025】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、取り付けが容易でかつ取り付け状態が安定するコンロ用パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板と、コンロのトッププレートの外周に設けられ、天板の上面に掛止してコンロを固定させるフレームとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンであって、リング状であって、少なくともその一部が軸方向への伸縮性を有する弾性体よりなり、弾性体の長さは、フレームの全周囲に応じた隅部分の合計長さに対応するものである。
【0027】
このように構成すると、隅部分の全てが一体的に塞がれる。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、弾性体の長さは、合計長さより短く設定されるものである。
【0029】
このように構成すると、弾性体は緊張状態で取り付けられる。
【0030】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、弾性体は、棒形状の弾性材料と、弾性材料の両端の各々が固定された一対の接続具とから構成されるものである。
【0031】
このように構成すると、フレームの大きさに応じた調整が容易となる。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、弾性体は、同一断面形状を有する棒形状の弾性材料よりなり、その両端同士が一体的に接続されて構成されるものである。
【0033】
このように構成すると、弾性体の断面形状は全て一定となる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、隅部分の全てが一体的に塞がれるので、取り付けが容易でかつ取り付け状態が安定する。
【0035】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、弾性体は緊張状態で取り付けられるので、隅部分への密着状態が向上する。
【0036】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、フレームの大きさに応じた調整が容易となるので、コスト的に有利となると共に取り付け方法が選択できる。
【0037】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、弾性体の断面形状は全て一定となるので、取り付け状態の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図である。
【図2】図1に示したII−IIラインの拡大端面図である。
【図3】図1に示した接続具を分離した状態のコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図である。
【図4】図3に示した“X”部分の拡大模式図である。
【図5】図1に示したコンロ用パッキンの取付過程を示した模式図である。
【図6】図5に示したVI−VIラインの拡大端面模式図及び図1に示したコンロ用パッキンのフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【図7】図1に示したコンロ用パッキンの取付状態を修正する過程を示した模式図である。
【図8】図1に示したコンロ用パッキンの弾性部材を強く引っ張った状態の概略形状を示す平面図である。
【図9】図8に示したIX−IXラインの拡大端面図である。
【図10】図5に示したVI−VIラインに対応する部分における図8に示したコンロ用パッキンの取付状態を示した拡大端面模式図及びフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【図11】コンロがカウンターに嵌め込まれた状態を示した斜視図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの拡大模式端面図である。
【図13】特許文献1に示されている台所用隙間テープの使用状態を示した拡大端面模式図であって、図12に対応する図である。
【図14】特許文献2に示されているコンロ用パッキンの斜視図である。
【図15】図14で示したコンロ用パッキンの使用状態を示した斜視図である。
【図16】図15で示したXVI−XVIラインの拡大端面模式図であって、従来の台所用隙間テープの図13に対応する図である。
【図17】新たなコンロに図14で示した従来のコンロ用パッキンを設置した状態を示す拡大端面模式図であって、従来のコンロ用パッキンの図16に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図であり、図2は、図1に示したII−IIラインの拡大端面図であり、図3は、図1に示した接続具を分離した状態のコンロ用パッキンの概略形状を示す平面図であり、図4は、図3に示した“X”部分の拡大模式図である。
【0040】
まず、図1及び図2を参照して、コンロ用パッキン1は、一定の断面形状を有し、軸方向への伸縮性を有する変形自在の棒形状の弾性部材10と、接続具20とから構成されたリング状の弾性体よりなるものである。尚、弾性体の長さは、後述するコンロ31のフレーム33の全周囲に応じた隅部分37の合計長さ(約220mm)より短く設定されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0041】
弾性部材10は、断面形状が、後述するフレームの外面に沿う第1突起部11と、後述する天板に載る載置部13と、第1突起部11の下部に接続され、載置部13の側方端部に向かってなだらかに傾斜する傾斜部14と、傾斜部14の内方側に接続され、屈曲自在の屈曲部15と、屈曲部15の内方側に接続された第2突起部12とを備える。載置部13の下面と第2突起部12の下面とは、屈曲部15の下部に形成される凹み16を介して隣接する。このように構成したことによる効果は後述する。尚、第2突起部12の厚みHは0.85mm、幅Lは1.19mmに設定されている。
【0042】
弾性部材10は、第1突起部11の内方側と、第2突起部12の内方側及び下面側と、載置部13の下面側とが、粘着性を有するアクリル系エラストマーで、それら以外の他の部分が非粘着性を有するアクリル系エラストマーでそれぞれ構成され、2色押出成形によって形成される。
【0043】
このように構成すると、後述するフレーム及び天板に接する部分が粘着性を有するため取り付け時のズレが減少するので、コンロ用パッキン1の取り付け状態が安定する。又、他の部分に対して接する部分に所望の部分に粘着性を付与できるので、粘着性能が安定すると共に他の部分への汚れの付着が低減する。更に、弾性部材10の長さが自在となるので、コスト的に有利となる。
【0044】
次に、図3及び図4を参照して、接続具20は互いに対になる雄部21と雌部26とからなり、雄部21に弾性部材10の端部18aが、雌部26に弾性部材10の端部18bが、それぞれ固定されている。雌部26には雄部21の外面に形成された突起体22を脱着自在に嵌合させる嵌合孔27が形成されており、突起体22と嵌合孔27とを介して弾性部材10の端部18a及び18bが接続される。
【0045】
このように構成すると、後述するフレームの大きさに応じた調整が容易となるので、コスト的に有利となると共に取り付け方法が容易になる。
【0046】
尚、このコンロ用パッキン1は、後述するフレームと天板との間に生じる隅部分の隙間が、図2に示した第2突起部12を十分に挿入できる大きさのものに対して取付可能であることは勿論のこと、隙間が無い又は隙間があっても第2突起部12を十分に挿入できないような小さなものに対しても取付可能である。
【0047】
そこでまず、隙間が第2突起部12を十分に挿入できる大きさのものに対しての取付方法について以下説明する。
【0048】
図5は、図1に示したコンロ用パッキンの取付過程を示した模式図である。
【0049】
まず、図5の(1)を参照して、コンロ用パッキン1の接続具20の周辺の弾性部材10の部分をコンロ31のフレーム33の奥側に引っ掛ける(図の上方)。
【0050】
次に、図5の(2)を参照して、図5の(1)の状態から、弾性部材10を手前に引く(図の下方)。すると、上述した通り弾性部材10は軸方向への伸縮性を有するから、弾性部材10が伸びる。そこで、弾性部材10を引き伸ばし、コンロ用パッキン1の長さが隅部分37の合計長さ以上になるようにコンロ用パッキン1の形状を変化させる。
【0051】
最後に、図5の(3)を参照して、弾性部材10の位置を隅部分37に合わせた状態で弾性部材10に対する引く力を解除する。すると、上述した通り、コンロ用パッキン1はリング状であるから、隅部分37の全てが一体的に塞がれるので、取り付け状態が安定する。又、弾性部材10は軸方向への伸縮性を有し、且つ、コンロ用パッキン1の長さは隅部分37の合計長さよりも短く設定されているから、コンロ用パッキン1は緊張状態で取り付けられる。よって、隅部分37への密着状態が向上する。更に、隅部分37の隙間に上述した第2突起部がある程度自動的に挿入されていくので取り付けの手間が減少すると共に、取付方法が簡単で且つ分かりやすくなる。
【0052】
図6は、図5に示したVI−VIラインの拡大端面模式図及び図1に示したコンロ用パッキンのフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【0053】
まず、図6の(1)を参照して、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37の隙間40に、コンロ用パッキン1の第2突起部12を挿入した状態で載置部13を天板36に載せ、傾斜部14の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン1を押し付ける。すると、載置部13の下面がフレーム33側に押し込まれて、コンロ用パッキン1が図の2点鎖線で示した形状から図の実線で示した形状へと変化し、第1突起部11がフレーム33に、載置部13が天板36に、それぞれ密着する。又、フレーム33から天板36に向かって傾斜部14によるなだらかな傾斜が形成される。
【0054】
尚、上述した通り、設置時に載置部13の下面をフレーム33側に押し込めるので、図6の(2)に示すような、フレーム33の平面視におけるコーナー部34の径が小さいものや直角のものでも、コーナー部34に沿った取り付けが容易となる。
【0055】
図7は、図1に示したコンロ用パッキンの取付状態を修正する過程を示した模式図である。
【0056】
まず、図7の(1)を参照して、コンロ用パッキン1の弾性部材10の一部が捻れている。この状態では、隅部分37に塞がれていない部分が生じる。また、この状態では、コンロ用パッキン1はリング状であるため、捻れを解消することができない。
【0057】
そこで、図7の(2)を参照して、コンロ用パッキン1の接続具20を雄部21と雌部26とに分離する。すると、コンロ用パッキン1は全体として一本の棒形状となり、弾性部材10が軸方向に対して捻り自在となるので、捻れの解消が可能となる。
【0058】
最後に、図7の(3)を参照して、捻れが解消された状態で雄部21と雌部26とを再度接続して、コンロ用パッキン1をフレーム33に取り付ける。このようにすると、隅部分37の全てを一体的に塞げ、コンロ用パッキン1の取付状態の修正がなされる。
【0059】
ところで、上記の弾性部材10の取付の方法では、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37に隙間40が無い場合及び隙間40が第2突起部12を十分に挿入できないほど小さい場合は、コンロ用パッキン1の取り付けが出来ない。
【0060】
そこで、コンロ用パッキン1の形状を以下のように変形させて、フレーム33と天板36との間に生じる隙間40が無いものに対してコンロ用パッキン1の取り付けを行う。
【0061】
図8は、図1に示したコンロ用パッキンの弾性部材を強く引っ張った状態の概略形状を示す平面図であり、図9は、図8に示したIX−IXラインの拡大端面図であり、図10は、図5に示したVI−VIラインに対応する部分における図8に示したコンロ用パッキンの取付状態を示した拡大端面模式図及びフレームのコーナー部への取付状態を示した模式図である。
【0062】
まず、図8及び図9を参照して、コンロ用パッキン1の弾性部材10を外方に若干反らすように手80a及び80bで強く引っ張る。すると、上述した通り、弾性部材10は軸方向への伸縮性を有すると共に、屈曲部15が屈曲自在に構成されているため、第2突起部12が第1突起部11の内方側に接するように立ち上がり、図9で示す形状に断面形状が変化する。
【0063】
この引っ張り状態を維持したままで、図5に示した取付方法と同様にコンロ用パッキン1を取り付けていき、図10の(1)に示すように載置部13を天板36に載せ、傾斜部14の側からフレーム33及び天板36に向かってコンロ用パッキン1を押し付ける。すると、コンロ用パッキン1が図の2点鎖線で示した形状から図の実線で示した形状へと変化し、第2突起部12及び第1突起部11がフレーム33に、載置部13が天板36にそれぞれ密着する。よって、ゴムパッキン39がフレーム33に内蔵されており、フレーム33と天板36との間に生じる隅部分37に隙間が無いもの及び隙間があっても第2突起部12が十分に挿入できないような小さなものに対しても、コンロ用パッキン1が取り付けられる。すなわち、コンロ用パッキン1を上記のように構成すると、隙間40に応じて第2突起部12の位置が変化するので、効率的な取付けが可能となる。
【0064】
又、フレーム33から天板36に向かって傾斜部14によるなだらかな傾斜が形成される。更に、上述した通り、引っ張り状態が維持されたまま設置されるので、図10の(2)に示すような、フレーム33のコーナー部34の径が小さいものでも、コーナー部34に沿った取り付けが容易となる。
【0065】
尚、上記の第1の実施の形態では、弾性部材は接続具によって端部の各々が接続されていたが、その両端同士が一体的に接続されるように構成してもよい。このように構成すると、弾性体の断面形状は全て一定となるので、取り付け状態の品質が向上する。
【0066】
又、上記の第1の実施の形態では、弾性体は棒形状の弾性部材の端部同士を接続してリング状にしたものよりなっていたが、弾性部材自体がリング状に形成されていてもよい。
【0067】
更に、上記の第1の実施の形態では、弾性体の長さは隅部分の合計長さより短く設定されていたが、隅部分の合計長さに対応する範囲の長さに設定されていればよい。
【0068】
更に、上記の第1の実施の形態では、弾性部材は全体が軸方向への伸縮性を有するものであったが、少なくとも一部が軸方向への伸縮性があればよい。
【符号の説明】
【0069】
1…コンロ用パッキン
10…弾性部材
18a、18b…端部
20…接続具
31…コンロ
32…トッププレート
33…フレーム
35…カウンター
36…天板
37…隅部分
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板と、前記コンロのトッププレートの外周に設けられ、前記天板の上面に掛止して前記コンロを固定させるフレームとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンであって、
リング状であって、少なくともその一部が軸方向への伸縮性を有する弾性体よりなり、
前記弾性体の長さは、前記フレームの全周囲に応じた前記隅部分の合計長さに対応する、コンロ用パッキン。
【請求項2】
前記弾性体の前記長さは、前記合計長さより短く設定される、請求項1記載のコンロ用パッキン。
【請求項3】
前記弾性体は、
棒形状の弾性材料と、
前記弾性材料の両端の各々が固定された一対の接続具とから構成される、請求項1又は請求項2記載のコンロ用パッキン。
【請求項4】
前記弾性体は、
同一断面形状を有する棒形状の弾性材料よりなり、その両端同士が一体的に接続されて構成される、請求項1又は請求項2記載のコンロ用パッキン。
【請求項1】
ドロップイン式のコンロが嵌め込まれるカウンターの天板と、前記コンロのトッププレートの外周に設けられ、前記天板の上面に掛止して前記コンロを固定させるフレームとの間に生じる隅部分を塞ぐために使用するコンロ用パッキンであって、
リング状であって、少なくともその一部が軸方向への伸縮性を有する弾性体よりなり、
前記弾性体の長さは、前記フレームの全周囲に応じた前記隅部分の合計長さに対応する、コンロ用パッキン。
【請求項2】
前記弾性体の前記長さは、前記合計長さより短く設定される、請求項1記載のコンロ用パッキン。
【請求項3】
前記弾性体は、
棒形状の弾性材料と、
前記弾性材料の両端の各々が固定された一対の接続具とから構成される、請求項1又は請求項2記載のコンロ用パッキン。
【請求項4】
前記弾性体は、
同一断面形状を有する棒形状の弾性材料よりなり、その両端同士が一体的に接続されて構成される、請求項1又は請求項2記載のコンロ用パッキン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−7538(P2013−7538A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141433(P2011−141433)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
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