説明

コージェネレーションシステム

【課題】コージェネレーションシステムの発電効率を向上させる。
【解決手段】本発明は、コージェネレーションシステムであって、エンジンと、エンジンによって駆動される第1発電機と、エンジンの排気エネルギーから動力を回収する排気タービンと、排気タービンによって駆動される第2発電機と、を備えるコージェネレーションシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コージェネレーションシステムを開示している。コージェネレーションシステムは、エンジンによって発電機を駆動して電力を発生させている。電力として取り出すことができない捨てられるエネルギーを回収する方法としては、エンジンの排気や冷却水から熱エネルギーを取り出し、給湯や暖房に利用する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−14074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電効率を向上させるためには、エンジン、発電機、及びインバータの効率を改善することが考えられる。
【0005】
しかし、エンジン、発電機、及びインバータの効率向上には限界がある。例えば、熱効率を向上させるために膨脹比を大きくしたミラーサイクルエンジンや、空燃比を理論空燃比より薄くしたリーンバーンエンジンが実用化されているが、エンジン単体での熱効率はせいぜい38%、小型のエンジンでは35%程度である。これらのエンジンでは、ともにエンジン出力が低下するので、出力低下分を補うため、エンジンの排気量を増大させる必要がある。排気量の増大によって摩擦損失が増大するので、エンジンの熱効率を大きく改善することはできない。
【0006】
発電機やインバータの効率は、それぞれ94%程度であり、両者を掛け合わせた効率は86.5%程度である。
【0007】
特に、需要が多い小型のエンジンを備えた家庭用のコージェネレーションシステムでは、店舗や工場向けの大型のエンジンを備えたシステムと比較してエンジン単体の熱効率が低いので、その分だけ発電効率が低くなる。
【0008】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、コージェネレーションシステムの発電効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、コージェネレーションシステムであって、エンジンと、エンジンによって駆動される第1発電機と、エンジンの排気エネルギーから動力を回収する排気タービンと、排気タービンによって駆動される第2発電機と、を備えるコージェネレーションシステムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、エンジンの排気が有するエネルギーを排気タービンで回生し、回生されたエネルギーによって第2発電機を駆動するので、排気として捨てられていたエネルギーから電力を生み出すことができる。よって、コージェネレーションシステム全体の発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態におけるコージェネレーションシステムの構成を示すシステム図である。
【図2】図2は、図1のシリンダヘッド部分の断面を示す断面図である。
【図3】図3は、排気ポートライナの鋳込み前の形状を示す図である。
【図4】図4は、排気ポート内の圧力特性を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態におけるコージェネレーションシステム100の構成を示すシステム図である。コージェネレーションシステム100は、エンジン4と、排気チャンバ23と、排気タービン18と、第1発電機21と、第2発電機14と、第1インバータ26と、第2インバータ28と、コンバイン27と、エンジンコントローラ(ECU)2と、を備える。
【0014】
エンジン4は、都市ガス、LPG、ガソリン、軽油などの燃料の燃焼によって回転駆動する。排気チャンバ23は、エンジン4と排気タービン18との間に設けられ、エンジン4の排気ガスの圧力を一時的に蓄圧する。排気タービン18は、エンジン4の排気ガスの圧力によって回転駆動する。第1発電機21は、エンジン4の駆動力によって回転駆動して電力を発生させる。第2発電機14は、排気タービン18の駆動力によって回転駆動して電力を発生させる。第1インバータ26は、第1発電機21によって発電された電力の電圧及び周波数を所定の値に変換する。第2インバータ28は、第2発電機14によって発電された電力の電圧及び周波数を所定の値に変換する。コンバイン27は、第1インバータ26と第2インバータ28とにおける変換後の電力を合算して出力する。エンジンコントローラ2は、エンジン4の吸入空気量、燃料供給量、及び点火時期を制御する。
【0015】
エンジン4は、第1発電機21を駆動する。第1発電機21によって発電された電力は、第1インバータ26によって電圧及び周波数が所定の値に変換される。第1発電機21の出力が直流の場合には、第1インバータ26は、電圧のみを所定の値となるように整流する。
【0016】
エンジン4の燃焼室におけるシリンダヘッド側には、吸気バルブ7、排気バルブ9、及び点火プラグ8が配設される。本実施形態では、点火プラグ8を2個装着しているが、個数はこれに限らず、適宜設定可能である。点火プラグ8を2個装着することで、火炎の伝播距離を短縮して急速燃焼を実現することが可能である。さらに、燃焼室を球殻形状とすることで、急速燃焼をより確実に実現することができる。
【0017】
エアクリーナ1で濾過された空気は、スロットルバルブを備えたミキサー3において理論空燃比となるようにガス燃料が調量され、空気とガス燃料との混合気体としてエンジン4に供給される。
【0018】
排気チャンバ23に取つけられた酸素センサ(O2センサ)11又は空燃比センサ(A/Fセンサ)11は空燃比を検出し、エンジンコントローラ2に入力する。クランク位置センサ5は、エンジン4のクランクシャフトと一体に回転する回転円盤6の回転速度に基づいてクランク角や回転速度を検出し、エンジンコントローラ2に入力する。エンジンコントローラ2は、入力された値に基づいて、吸入空気量、燃料供給量、及び点火時期を演算し、エンジン4の運転変数を管理する。
【0019】
使用する燃料がガソリンやアルコールのような液体燃料の場合には、ミキサー3をスロットルチャンバとして機能させ、燃料をミキサー3とエンジン4とを接続する吸気マニホールド内のブランチに噴射させる。ミキサー3はキャブレターであってもよい。エンジン4がディーゼルエンジンの場合は、ミキサー3及び点火プラグ8は不要であり、燃料は直接シリンダ内に噴射される。
【0020】
排気バルブ9が開くと、排気はシリンダヘッド内に設けられた排気ポート10を通り、排気チャンバ23に流入する。排気チャンバ23は、排気の流れに沿って上流側から、広がり角θiで徐々に拡径するテーパ面を有する入口部22と、排気ポート10より大きな流路断面積を有する胴部40と、絞り角θoで徐々に縮径するテーパ面を有する出口部37と、から構成される。
【0021】
排気チャンバ23の入口部22の広がり角θiは30°以内に設定され、排気チャンバ23の出口部37の絞り角θoも30°以内に設定される。入口部22と出口部37との中間に位置する胴部40の容積は、エンジン4の排気量の5〜10倍に設定される。排気チャンバ23は、排気ポート10から流れ込む排気の圧力を一時的に蓄圧することで、排気圧力の脈動を低減させることができる。
【0022】
排気チャンバ23は二重構造であり、外周側の外板12と内周側の内板24との間に断熱層13を形成している。断熱層13は空気のみが充填される空気層としてもよいが、断熱材を充填することで断熱効果をさらに向上させることができる。断熱層13の断熱効果が高いほど、排気タービン18に到達するまでの間における排気温度の低下を抑えることができる。
【0023】
上述のように、排気チャンバ23の入口部22及び出口部37の形状変化を緩やかにすることで、排気の流れによって生じる渦による排気圧力の低下を防ぐことができる。さらに、排気チャンバ23を断熱構造とすることで、排気の冷却による排気圧力の低下を抑制することができる。
【0024】
排気バルブ9から吐出される排気は大きな脈動流であり、特にシリンダ数が少ないエンジンの場合は排気の圧力変化が著しい。そこで、上記のように排気チャンバ23を設けることにより排気が連続流に近くなる。排気バルブ9が開く直前のシリンダ内のガス圧力は0.2〜0.8MPa(2〜8気圧)である。排気チャンバ23は排気を一時的に蓄圧する蓄圧室として機能するが、排圧は問題を生じる程は上昇しない。排気バルブ9から吐出された瞬間の排気チャンバ23内の圧力は、容積が少ない直管を用いた場合よりわずかに高い程度である。排気バルブ9が閉じた後の排気チャンバ23内の圧力は、直管を用いた場合より高くなるが、排気バルブ9が閉じているのでポンピングロスは生じない。
【0025】
排気チャンバ23において、排気エネルギーの損失が最小に抑えられ、圧力脈動が平滑化されて連続流に近くなった排気は、排気タービン18に流入する。排気タービン18に流入する排気は、脈動流であるより連続流である方が、排気タービン18のトルク変動を抑えることができ、第2発電機14を駆動するのにより望ましい。排気タービン18を駆動することでエネルギーが減少した排気は、三元触媒19で浄化されマフラー20に導かれる。
【0026】
排気タービン18以降の三元触媒19やマフラー20の周りにジャケットを設けて内部に冷却水を流し、排気から熱エネルギーを回収してもよい。さらに、エンジン4の冷却水から熱エネルギーを回収してもよい。これらの回収された熱エネルギーは、給湯や暖房などに利用することができる。
【0027】
排気タービン18の出力軸39の回転は、減速機17に伝えられる。出力軸39の回転速度は10万rpmにも及ぶため、減速機17において1/10以下の回転速度に減速する。減速機17において減速された回転駆動力は、カプラー16を介してフライホイール15に伝えられる。カプラー16は、排気タービン18の熱が第2発電機14に伝達されることを抑制する。カプラー16はさらに、排気タービン18の回転軸39と第2発電機14の回転軸38との軸心のずれを吸収する。
【0028】
フライホイール15は、排気圧力の変動により生じる排気タービン18の回転ムラが、第2発電機14の回転軸であるロータ38に伝わることを抑制し、ロータ38の回転速度の変動を抑制する。
【0029】
本実施形態では上記のように、排気チャンバ23によって排気圧力の脈動を小さくしながら、さらにフライホイール15によって機械的に第2発電機14の回転変動を抑えることができる。第2発電機14のロータ38に高価なネオジウム鉄を用いる代わりに安価なフェライトを使用し、ロータ38の回転慣性を大きくすることでフライホイール15を採用しない構成とすることも可能である。コージェネレーションシステム100において使用されるエンジン4は、加減速が激しい自動車用エンジンとは異なり、エンジン4の回転速度がほぼ一定に保持される。したがって、回転部の質量を大きくしても発電効率にはほとんど影響を与えない。
【0030】
第2発電機14で発電された電力は、第2インバータ28によって所定の電圧及び周波数に変換され、コンバイン27において第1発電機21で発電された電力と合算され、出力される。電力検出器25は、コンバイン27から出力された電力を検出し、信号をエンジンコントローラ2に伝達する。エンジンコントローラ2は、電力検出器25によって検出された電力が目標電力より大きい場合、エンジン4への燃料供給量を減らし、電力検出器25によって検出された電力が目標電力より小さい場合、燃料供給量を増大させる。
【0031】
排気タービン18に流入する排気は、できるだけ流速が大きく一様な圧力であることが望ましい。図2は、図1のシリンダヘッド29部分の断面を示す断面図である。図2に示すように、排気ポート10の内壁に沿って排気ポートライナ33を設け、シリンダヘッド29に直接排気を触れさせない構造としてもよい。排気ポートライナ33の外径は排気ポート10の内径よりやや小さく設定される。これにより、シリンダヘッド29と排気ポート10との間に空間32が形成されるので、排気ポート10を通過する排気の温度低下を小さくすることができる。排気チャンバ23の断熱層13と同様に、シリンダヘッド29と排気ポート10との間の空間32に断熱材を充填すると、排気温度の低下をさらに抑えることができる。
【0032】
図3は、排気ポートライナ33の鋳込み前の形状を示す図である。図3に示すように、排気バルブ9と当接するシート面(着座面)35を加工する前の排気バルブシート36に、板金製の排気ポートライナ33をロー付けする。次に、シリンダヘッド29の鋳造時、排気ポートライナ33の周りに鋳砂の層を作った状態で、排気バルブシート36及び排気ポートライナ33をシリンダヘッド29と一体的に鋳造する。最後に、排気バルブ9と当接するシート面(着座面)をバルブガイド30と同心になるように加工する。これにより、排気ポートライナ33を簡便にシリンダヘッド29内に配設できる。
【0033】
図4は、排気ポート10内の圧力特性を比較して示す図である。図4を参照しながら、本実施形態における排気ポート10内の排気圧力の平滑化と排気圧力の保持効果とについて説明する。排気ポート10内の排気圧力は、排気タービン18入口の圧力とほぼ等しい。
【0034】
図4は、上から順に、(1)、(2)、(3)の各条件下での排気の圧力特性を模式的に示す。(1)は、排気ポート10が直管のみで構成され、排気タービン18が配設されない場合を示す。(2)は、排気ポート10が直管のみで構成され、排気タービン18が装着された場合を示す。(3)は、排気ポート10の下流側に本実施形態の排気チャンバ23が装着され、さらに排気タービン18が装着された場合を示す。図中の横軸は4サイクルエンジンの各行程を示し、縦軸は排気ポート10内の排気圧力を示す。図中のP1、P2、P3は、それぞれ各条件下における排気の最高圧力を示し、Pm1、Pm2、Pm3は、それぞれ各条件下における次の排気行程までの排気圧力の平均値を示す。
【0035】
図4の(1)について説明する。(1)では、排気ポート10が直管であるので排気系の抵抗が小さく、排気ポート10内の排気圧力は、排気バルブ9の開弁によるブローダウンの直後に最大値P1となる。ブローダウンによって排気が勢いよく排出されるので、排気の慣性により排気ポート10内の排気圧力はわずかに負圧となる。その直後、排気ポート10の下流側端部から排気の一部が上流側に戻りわずかに正圧となる。
【0036】
排気ポート10内の排気圧力は、わずかな負圧及び正圧を繰り返して収束していき、次に排気バルブ9が開く時、ほぼゼロとなる。これは、いわゆる慣性効果である。(1)では、直管に抵抗体となる排気タービン18が装着されないので、排気抵抗が小さく、排気圧力の最大値P1は上記した(1)〜(3)の条件の中で最も低くなる。同様に、排気、吸入、圧縮、及び膨脹、の各サイクル中の平均圧力であるPm1は、上記した(1)〜(3)の条件の中で最も低くなる。
【0037】
次に、図4の(2)について説明する。(2)では、直管に、排気の流れにとって抵抗体となる排気タービン18が装着されるので、排気抵抗が大きく、かつ排気タービン18より上流側に排気を溜めることができる容積が小さい。したがって、排気ポート10内の排気圧力の最大値P2は、(1)〜(3)の中で最も高くなる。その後、(1)と同様に排気圧力は急速に低下していくが、抵抗体となる排気タービン18があることで、排気圧力の低下速度は(1)より緩慢になり、排気圧力の平均値Pm2は(1)と(3)とのほぼ中間の値となる。
【0038】
次に、図4の(3)について説明する。(3)では、排気ポート10と排気タービン18との間に排気チャンバ23を装着しているので、その圧力緩衝作用によりブローダウン直後の排気圧力の最大値P3は(2)よりも低くなる。すなわち、ブローダウンによる急激な排気圧力の上昇は排気チャンバ23によって吸収され、排気ポート10内の急激な圧力変動が抑制される。さらに、排気タービン18によって排気の流れが絞られるので、排気圧力は比較的高く維持される。よって、排気圧力の平均値Pm3は(1)〜(3)の中で最も高くなる。
【0039】
以上説明した排気圧力特性をまとめると、P2>P3>P1、Pm3>Pm2>Pm1となる。
【0040】
上述のように排気チャンバ23を設けることにより、排気圧力の変動を抑制することに加えて、蓄圧効果を得ることができる。よって、排気チャンバ23の下流側に配設される排気タービン18に安定的に作動ガスを供給でき、排気タービン18のトルク変動を抑制することができる。さらに、排気タービン18を駆動するために排気の有する熱エネルギーの一部が使用されるので、マフラー20から吐出される排気温度を低下させることができる。
【0041】
本実施形態は、シリンダ数が少ないエンジンにおいて特に有効であるが、4シリンダ(4気筒)以上の多気筒エンジンにおいても効果を奏する。発電用の動力源は自動車用の動力源とは異なり、高い応答性を必要としない。むしろ発電電力の変動を抑制することの方が重要である。
【0042】
本実施形態では、エンジンコントローラ2がエンジン4を理論空燃比で運転させる。これについて以下詳細に説明する。
【0043】
エンジン4を理論空燃比で運転させるとシリンダ内のガス温度が高くなり、排気温度も高くなる。しかし、排気温度が高ければ三元触媒19における排気の浄化性能を向上させることができる。さらに、エンジン4の出力が大きくなるので、空燃比を極限まで薄くして燃焼させる超リーンバーンエンジンや、圧縮比より膨張比を大きくしたミラーサイクルエンジンのように、排気量を増大させることで出力の低下を補償させる必要はない。
【0044】
一方、エンジン4を理論空燃比で運転させると排気とともに捨てられるエネルギーが大きくなる。そこで、この捨てられるエネルギーの一部を回生できれば総合効率は向上する。エンジン4が理論空燃比で運転する場合、エンジン4の熱効率は33%程度が限度である。この場合の排気損失は約35%である。排気損失のうち、排気タービン18で32%、すなわち0.35×0.32=0.112(11.2%)の動力を回生できる。
【0045】
これにより、燃料の有するエネルギーのうち、動力として発電に使用できるエネルギーの割合は、従来の33%から33%+11.2%=44.2%へと増大する。33%を基準にすれば、発電に使える動力は44.2/33=1.34倍となる。第2発電機14における発電効率や第2インバータ28の変換効率を一定であると仮定すると、コージェネレーションシステム100としての総合発電効率は、34.2%向上することになる。
【0046】
本実施形態は、排気温度が低いリーンバーンエンジン、高膨張比のミラーサイクルエンジン、あるいはディーゼルエンジンにも適用することができる。これらのエンジンの場合、理論空燃比で運転するエンジン4と比べて排気のもつエネルギーが小さくなるので、排気エネルギーの回生効果は理論空燃比で運転する場合より小さくなる。さらに、本実施形態を従来型の発電・給湯を行う熱電併給型コージェネレーションシステムに適用すれば、大幅に総合効率を改善することができる。
【0047】
本実施形態では、排気の温度が高いシリンダヘッド29直後の排気ポート10に排気ポートライナ33を内設するので、熱害を小さくすることができる。さらに、前述のように第2発電機14の回転慣性を大きくすることが発電には有効であるので、高価なネオジウム鉄などを用いる必要がなく、コストの上昇を抑えることができる。
【0048】
以上のように本実施形態では、エンジン4の排気が有するエネルギーを排気タービン18で動力として回生し、回生された動力によって第2発電機14を駆動するので、排気として捨てられていたエネルギーから電力を生み出すことができ、コージェネレーションシステム100全体の発電効率を向上させることができる。
【0049】
さらに、排気が有するエネルギーから動力を回生することで排気温度を低下させることができるので、排気から熱回収を行わないコージェネレーションシステムにおける熱害を防止することができる。
【0050】
さらに、エンジン4の空燃比は理論空燃比となるようにエンジンコントローラ2によって制御されるので、エンジン4の出力低下を防いで第1発電機21による発電量を確保することができる。エンジン4を理論空燃比で運転すると排気温度が上昇して排気エネルギーが増大するが、その分だけ排気タービン18で回生できる動力が増大するので、コージェネレーションシステム100全体としての発電効率を高く維持することができる。
【0051】
さらに、排気ポートの下流側に排気を蓄圧する蓄圧室として機能する排気チャンバ23を備えるので、排気圧力の脈動を抑制して、より連続流に近い排気を排気タービン18へと送ることができる。さらに、排気工程時に吐出された排気が一時的に排気チャンバ23に蓄圧されることで、次回の排気工程までの間における排気圧力の低下を抑制することができる。よって、排気タービン18に流れ込む排気の圧力変動を抑制して安定的に排気を供給することができるので、排気タービン18によって駆動される第2発電機14の発電効率を向上させることができる。
【0052】
さらに、排気ポート10の外周に排気ポートライナ33を設け、排気チャンバ23の外周に断熱層13を設けるので、排気の有する熱エネルギーの損失を最小限に抑えることができる。よって、より多くの熱エネルギーが排気タービン18へと送られ、排気から回生できるエネルギー量をより高く維持することができる。
【0053】
さらに、排気タービン18と第2発電機14との間にフライホイール15を設けるので、第2発電機14のロータ38の慣性モーメントが大きくなり、排気の圧力変動に起因する排気タービン18の回転ムラが生じても、第2発電機14の回転変動を抑制することができる。よって、第2発電機14を安定的に回転させることができるので、第2発電機14の発電効率を向上させることができる。
【0054】
さらに、第1発電機21によって発電され第1インバータ26において変換された電力と、第2発電機14によって発電され第2インバータ28において変換された電力とを、コンバイン27を介して合算して出力するので、コージェネレーションシステム100全体としての発電効率を向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 エンジンコントローラ(コントローラ)
4 エンジン
9 排気バルブ
10 排気ポート(排気通路)
13 断熱層(断熱部)
14 第2発電機
15 フライホイール(回転質量体)
18 排気タービン
21 第1発電機
23 排気チャンバ
26 第1インバータ(第1出力電圧変換部)
27 コンバイン(電力合算部)
28 第2インバータ(第2出力電圧変換部)
33 排気ポートライナ(断熱部)
38 第2発電機の回転軸
39 排気タービンの出力軸
100 コージェネレーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コージェネレーションシステムであって、
エンジンと、
前記エンジンによって駆動される第1発電機と、
前記エンジンの排気エネルギーから動力を回収する排気タービンと、
前記排気タービンによって駆動される第2発電機と、
を備えることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコージェネレーションシステムであって、
前記エンジンの空燃比を制御して理論空燃比とするコントローラを備える、
ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコージェネレーションシステムであって、
前記エンジンの排気ポートと前記排気タービンとの間に設けられ、前記エンジンから吐出される排気の圧力を一時的に蓄圧する排気チャンバを備える、
ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のコージェネレーションシステムであって、
前記エンジンの排気ポートと、前記排気チャンバと、のうち少なくとも一方の外周に設けられ、排気の熱が外部に逃げることを抑制する断熱部を備える、
ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のコージェネレーションシステムであって、
前記排気タービンの出力軸と前記第2発電機との間に設けられ、前記第2発電機の回転軸に慣性モーメントを生じさせる回転質量体を備える、
ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載のコージェネレーションシステムであって、
前記第1発電機によって発電された電力を出力電圧に変換する第1出力電圧変換部と、
前記第2発電機によって発電された電力を前記出力電圧に変換する第2出力電圧変換部と、
前記第1出力電圧変換部によって変換された電力と、前記第2出力電圧変換部によって変換された電力と、を合算して出力する電力合算部と、
を備えることを特徴とするコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100794(P2013−100794A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246005(P2011−246005)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(500482968)株式会社ワイ・ジー・ケー (5)
【Fターム(参考)】