説明

コーティングおよびグレーズを安定させるための高濃度保管安定性水性分散液

分散剤として少なくとも1つの非イオン性湿潤剤および可溶化剤としてポリグリコールを含み、流動性向上剤として0.2重量%から5重量%のオレイン酸も含む47重量%より高い活性物質含量を有する、光安定剤または光安定剤と酸化防止剤の混合物の高濃度保管安定性水性分散液。さらなる構成成分は、アニオン性湿潤剤および殺生物剤であり得る。本発明のこれらの分散液は、コーティング組成物、例えば、架橋性アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂をベースにした結合剤の水性分散液、水性エマルジョンまたは水溶液に、容易に組み入れることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
世論および法律は、コーティング材料の取り扱い業者に対してますます溶媒流出減少を求めている。これらの制限に対して与えられた理由は、一方では環境責任の増加であり、もう一方では職業衛生の立場である。水性コーティング材料は、近年、市場において継続的に成長する地位を獲得している。電気泳動浸漬プライミングおよびこの水性サーフェーサーは、目下、自動車の塗装の最先端を行く最高の技術である。水性コーティングは、近年、ラインの承認を得、現在では既に水性クリアコートでさえラインで使用されている。輸送シーリング系および保護ワックスでさえ、目下、水性ベースで塗布されている。プラスチックまたは金属製の外付け部品のコーティング、農業および建築機械、事務所用家具、電気または電子デバイス、シェルビング部品ならびにランプなどのコーティングのセグメントにおいても、今日では既に水性コーティング材料が利用されている。
【0002】
水溶性結合剤もしくは水で希釈可能な結合剤が使用されている、または水溶性希釈剤と水で希釈可能な結合剤が併用されている水性コーティング系およびグレーズは、本質的に液体である安定剤としか一般には混合することができない。しかし、市販の安定剤の大部分は、固体、粉末状であり、ならびに水に不溶性でなかったとしても水への溶解性が不良である。
【0003】
加えて、液体製品、溶液または分散液は、例えば取り扱い中の除粉の不在、ランピングに起因する湿潤問題の不在、および特に、自動装置での計量の容易さといった類の粉末形態に勝る利点を有する。しかし、長期にわたる保管の過程において、液体調製物の耐久性は、多くの場合、不満足なものであり、結果的に凝集塊または沈殿物の形成が、しばしば観察される。自動計量システムおよび混合システムにおいてよく起きる閉塞の原因は、多くの場合、分散が不十分な粒子である。
【0004】
天然であろうと、合成であろうと、すべての有機材料は、安定剤の添加、特に光安定剤および酸化防止剤の添加によって、環境作用および紫外線による分解から通常は保護しなければならない。
【0005】
光安定剤、特にUV吸収剤の水性分散液は、既にかなり長い間、公知である。これらの使用は、合成繊維、特に未変性または酸変性ポリエステル繊維の染色に本来は関連した先行技術である。対応する市販形態中に存在する活性成分の濃度は、一般には40重量パーセントよりかなり低い範囲内である。加えて、この分散液の保管安定性は、活性物質の沈降により一目瞭然であるとおり、あまり良好ではない。
【背景技術】
【0006】
欧州特許第225287号には、被定義粘度範囲を維持することができるように、安定性のためのさらなるアジュバントとして電解質感受性増粘剤を含む染浴調製物が記載されている。
【0007】
欧州特許第345219号には、合成繊維に対する染色の耐光堅牢度を向上させるための2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの水性分散液が記載されている。必要なアジュバントは、酸性エステル、またはそれの酸化アルキレン付加体との塩である。
【0008】
欧州特許第354174号には、合成繊維材料、特に未変性または酸変性ポリエステル繊維に対する染色の耐光堅牢度を向上させるための2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの水性組成物が記載されている。この調製物は、さらなる成分として、非エーテル架橋型芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物を含む。
【0009】
欧州特許第468921号には、合成繊維材料、特にポリエステル繊維に対する染色の耐光堅牢度を向上させるためのo−ヒドロキシフェニル−トリアジンの水性調製物の生産が記載されている。
【0010】
欧州特許第474595号には、合成繊維材料、特に未変性または酸変性ポリエステル繊維の染色の際に使用するための、単独またはベンゾフェノンとの混合物での、特別に置換された2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの水性分散液が記載されている。
【0011】
欧州特許第490819号には、合成繊維材料、特に未変性または酸変性ポリエステル繊維の染色の際に使用するための、ベンゾトリアゾール化合物と2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物の混合物の水性調製物が記載されている。
【0012】
欧州特許第820978号には、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物の水性調製物での、光安定性を向上させるための、織編生地の処理が記載されている。
【0013】
ドイツ特許A 3511924号には、コーティング分野において使用するための立体障害アミン光安定剤(HALS)の水性調製物が記載されており、前記調製物は、一般に5重量%から50重量%、好ましくは15重量%から40重量%のHALSおよび2重量%から30重量%、好ましくは3重量%から20重量%の非イオン性分散剤を含有する。この活性物質含量は、一例として、32重量%に達する。
【0014】
しかし、この公開特許明細書に従って調製した分散液、特に比較的高い活性物質含量を有するものは、品質低下を伴わない長期保管期間を確保するに足る保管時の安定性がない。
【0015】
英国特許第2 187 746号には、20重量%から45重量%の活性物質含量および7重量%から15重量%の非イオン性分散剤を有する2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾ−トリアゾール(UV吸収剤)の安定な水性分散液が開示されている。このUV吸収剤の粒径は、好ましくは1μm未満である。使用される活性物質含量は、一例として、40重量%に達する。
【0016】
ドイツ特許A 19946519号には、非常に一般的には、ポリマー分散液を安定させるための水性分散液が開示されており、これらを調製するためのプロセスも開示されている。この活性物質含量(フェノール性酸化防止剤の量)は、0.1重量%から59.9重量%であると定義されており、分散させるための界面活性物質の割合は、0.5重量%から15重量%と定義されている。
【発明の開示】
【0017】
本発明の目的は、光安定剤または光安定剤と酸化防止剤との混合物の高濃度水性分散液の保管安定性を向上させることであった。
【0018】
この目的は、47重量%より高い活性物質含量を有し、ならびに分散剤として少なくとも1つの非イオン性湿潤剤および可溶化剤としてポリグリコールを含み、流動性向上剤として0.2重量%から5重量%のオレイン酸も含むことを特徴とする、光安定剤または光安定剤と酸化防止剤との混合物の水性分散液により、本発明に従って達成される。
【0019】
この目的は、さらに、上述の成分を使用して水性分散液を安定させる方法によっても達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、個々のまたは混合された光安定剤と酸化防止剤の分散液を提供すると共に、コーティングおよびグレーズ、特に水性ベースコート、クリアコートおよびグレーズの安定化におけるこれらの使用を提供する。詳細には、本発明は、水性コーティング系およびグレーズを安定させるための、水への溶解性が乏しい乃至はゼロであり、且つ、光安定剤または酸化防止剤として使用される、5μm未満の粒径D50を有する固体の保管安定性水性調製物に関する。本活性物質は、好ましくは、D50=0.5から2μmおよびD90<3.5μmの粒径を有する。
【0021】
本発明は、この高濃度、保管安定性水性分散液が、47重量%より高い、好ましくは47重量%から57重量%、さらに好ましくは47重量%から54重量%、非常に好ましくは50重量%より高く、54重量%以下の活性物質含量を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の高濃度水性分散液は、過度に希釈することなく適切な粘度を確保するために、流動性向上剤として0.2重量%から5.0重量%のオレイン酸を含有する。0.2重量%から4.0重量%の量を使用することが好ましく、0.2重量%から3.0重量%の量を使用することは、特に好ましい。
【0023】
本水性分散液は、好ましくは0.01から2Pa sの粘度を有する。
【0024】
非イオン性湿潤剤に加えて、本発明の高濃度水性分散液は、活性物質の最適な分散を可能にし、従って、確実に保管安定性を向上させるアニオン性湿潤剤も含む。
【0025】
本発明の光安定剤または光安定剤と酸化防止剤との混合物は、水性分散液に加工する過程で溶融すること(これは高温でよく起こる)がないように、少なくとも35℃の融点を有さなければならない。
【0026】
好ましい光安定剤は、下記式IからVIIIを有する生成物である。
【0027】
【化1】




これらの式中、
30は、H、n−アルキル、イソアルキル、非置換もしくは置換アリール、OR35、または構造成分:
【0028】
【化2】

(この場合、R35は、H、n−アルキル、イソアルキル、非置換または置換アリールである)
であり、
31は、H、n−アルキル、イソアルキル、または構造成分:
【0029】
【化3】

であり、
Xは、−O−または−(NR36)−(この場合、R36=H、n−アルキル、イソアルキル]であり、
33=H、n−アルキル、イソアルキル、CN、または基:
【0030】
【化4】

(この場合、Xは、上で定義したとおりである)
であり、ならびに
32およびR38は、次の定義を有する。
【0031】
H、n−アルキル、イソアルキル、非置換および置換アリール、または構造成分:
【0032】
【化5】

(この場合、R39=H、またはC−C18アルキル、C−C18アルキルアリール、−O−C−C18アルキル、またはアセチル)。
【0033】
記号RからR16は、次の定義を有する。
【0034】
、RおよびRは、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分枝鎖C−C12アルキル、シクロアルキル、アラルキル;好ましくはメチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシルまたは基:
【0035】
【化6】

(式中、R’は、水素またはC−C12アルキルである)
である。
【0036】
は、水素、ハロゲン、例えばClもしくはBr、カルボキシルまたはスルホン酸基、直鎖もしくは分枝鎖C−C12アルキル、シクロアルキルまたは低級アルコキシであり;
’、R”およびR”’は、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分枝鎖C−C12アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり;
Tは、水素、C−C12アルキルまたはオキソ基であり;
、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル、非置換アリールまたは低級アルキル置換アリールであり;
は、水素であるか、1個もしくはそれ以上のOH基または1個もしくはそれ以上のアルコキシ基によって、または混成的にOH基とアルコキシ基によって場合により置換されているC−C12の直鎖または分枝鎖、脂肪族または脂環式アルキル基である。
【0037】
10は、OH、C−C12のアルコキシ、ヒドロキシエトキシ、または基:
【0038】
【化7】

(式中、
Yは、直接結合または基:
【0039】
【化8】

であり、
R”は、水素、メチルまたはメトキシである)
であり;
11は、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、フェニル、ヒドロキシまたはヒドロキシエトキシであり;
12は、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、フェニル、ヒドロキシもしくはヒドロキシエトキシまたは基:
【0040】
【化9】

であり;
13、R14、R15およびR16は、全く同様に、または互いに独立して、水素、直鎖もしくは分枝鎖アルキル、OHまたはアルコキシである。
【0041】
本発明に従って利用される立体障害ピペリジン誘導体(HA(L)S)は、耐光堅牢度または機械特性を向上させるために既に使用されている公知安定剤群に属する。この種の立体障害ピペリジン誘導体の例は、式(IXa)から(IXc)のものである。
【0042】
【化10】

これらの式中、互いに独立して、
Aは、−O−または−NR20−であり;
20は、H、C−C18アルキル、または下記の基:
【0043】
【化11】

のうちの一方であり;
17は、HまたはC−C18アルキルであり;
18は、Hまたは脂肪族、脂環式、芳香族もしくはヘテロ芳香族ラジカルであり;
21は、C−C18アルキルであり、または
接続炭素原子に結合している2個のラジカルR21は、C−Cシクロアルキルラジカルであり;
22は、HまたはC−C18アルキル、C−C18アルキルアリールであり;
23は、Hまたはn価の脂肪族、脂環式、芳香族もしくはヘテロ芳香族ラジカルであり;
24は、C−C18アルキルまたは−C(O)−C−C18アルキルであり;
25は、H、C−C18アルキル、C−C18シクロアルキルであり、または
同じ炭素原子に結合している2個のラジカルRは、C−C18シクロアルキルラジカルであり;
nは、0より大きい整数である。
【0044】
さらなる添加剤として、以下の酸化防止剤が、本発明の分散液中に存在してもよい:
1.1 アルキル化モノフェノール類、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、24a−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデク−I’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデク−I’−イル)フェノール、およびこれらの混合物。
【0045】
1.2 アルキルチオメチルフェノール類、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0046】
1.3 ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ステアリン酸3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル、アジピン酸ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)。
【0047】
1.4 トコフェロール類、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、およびこれらの混合物(ビタミンE)。
【0048】
1.5 ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、例えば、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−s−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
【0049】
1.6 アルキリデンビスフェノール類、例えば、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−シクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス)6−t−ブチル−1−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシル−メルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、テレフタル酸ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ペンタン。
【0050】
1.7 O−、N−、およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−ジベンジルエーテル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプト酢酸オクタデシル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ジチオテレフタル酸ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、硫化ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト酢酸イソオクチル。
【0051】
1.8 ヒドロキシベンジル化マロン酸、例えば、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシル、2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロン酸ジオクタデシル、メルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジドデシル、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジ[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]。
【0052】
1.9 芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0053】
1.10 トリアジン化合物、例えば、2.4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、イソシアヌル酸1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、イソシアヌル酸1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、イソシアヌル酸1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)。
【0054】
1.11 ベンジルホスホン酸エステル類、例えば、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジメチル、3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルのCa塩。
【0055】
1.12 アシルアミノフェノール類、4−ヒドロキシラウラミド、4−ヒドロキシステアラニリド、N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチル。
【0056】
1.13 β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサラミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0057】
1.14 β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサラミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0058】
1.15 β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサラミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0059】
1.16 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、一価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサラミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0060】
1.17 β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン。
【0061】
本発明の分散液中に存在してもよいさらなる添加剤は、次のとおりである。
【0062】
2. 金属不活性化剤、例えば、N,N’−ジフェニルオキサラミド、N−サリチラール−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジン、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビスサリチロイルオキサリルジヒドラジド、N,N’−ビスサリチロイルチオプロピオニルジヒドラジド。
【0063】
3. 亜リン酸エステル類および亜ホスホン酸エステル類、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、二亜リン酸ジステアリルペンタエリトリトール、亜リン酸トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、二亜リン酸ジイソデシルペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,6−ジ−t−メチルフェニル)ペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス−イソデシルオキシ−ペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトール、三亜リン酸トリステアリルソルビトール、4,4−ビフェニレン二亜ホスホン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、亜リン酸ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチル、亜リン酸ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチル。
【0064】
4. 過酸化物掃去剤化合物、例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル(例は、ラウリル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステルである)、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、二硫化ジオクタデシル、テトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオン酸ペンタエリトリトール。
【0065】
5. ポリアミド安定剤、例えば、ヨウ化物および/またはリン化合物との組合せで銅塩、ならびに二価マンガンの塩。
【0066】
6. 塩基性補助安定剤、例えば、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、シアヌル酸トリアルキル、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(例は、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ベヘン酸Mg、ステアリン酸Mg、リシノール酸Na、パルミチン酸K、ピロカテコール酸アンチモンまたはピロカテコール酸スズである)。
【0067】
7. 核剤、例えば、4−t−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸。
【0068】
8. 充填剤および補強剤、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物、金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト。
【0069】
9. 他のアジュバント、例えば、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、静電防止剤、発泡剤。
【0070】
本発明の高濃度水性分散液は、50℃で4週間より長い保管安定性を有し、これは、経験では、室温で1年より長い保管に相当することを示す。
【0071】
1つの好ましい実施態様において、本発明の水性分散液は、さらなる成分として殺生物剤を含む。殺生物剤の存在は、真菌および/または細菌の侵襲による分散剤および/または光安定剤の分解(または部分的分解)を防止するか、少なくとも大いに遅速させるので、保管安定性をさらに相当上昇させる。
【0072】
殺生物剤は、例えば、誘導イソチアゾリン−3−オンの類からの化合物である。これらは、これらの溶液、エマルジョンの形態で、または他の化合物との相乗性混合物として使用される。例えば、市販製品:ThorからのACTICIDE(登録商標)、Schulke & MayrからのPARMETOL(登録商標)などの、工業上通例の殺生物剤が好ましい。
【0073】
本発明の特に好ましい水性分散液は、30重量%から40重量%の水中に、47重量%から54重量%の活性物質、5重量%から10重量%の湿潤剤、5重量%から10重量%の可溶化剤、0.2重量%から3重量%のオレイン酸、および1重量%未満の殺生物剤を含有する。
【0074】
本発明の安定剤調製物は、オレイン酸、ポリグリコールおよび分散剤および/またはさらなる通例の添加剤の存在下で、粉末、圧縮成形体または顆粒形態の安定剤を分散させることによって調製することができる。好ましくは、先ず、分散剤および/または添加剤をオレイン酸と混合し、攪拌しながら安定剤を添合し、用いる安定剤の粒子性状のハーシュネスに依存して、攪拌装置、溶解機、ローター・ステーターミル、ボアミル、攪拌機構のボアミル、例えばサンドミルおよびビーズミル、高速ミキサー、混練装置または高速ビーズミルを使用してこの混合物を分散させる。得られた調製物は、場合により、オレイン酸でさらに希釈する。
【0075】
本発明の高濃度水性分散液は、水性コーティング組成物に添合され、この場合、これらは、全配合の0.3重量%から3重量%の量で使用され、また、公知であるすべての結合剤系と相溶性である。そうした系の例は、架橋性アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂をベースにした結合剤の水性分散液、水性エマルジョンまたは水溶液である。
【0076】
下の実施例では、次の生成物を使用する。
UVA1=Tinuvin(登録商標)326 2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UVA2=Tinuvin(登録商標)P 2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−ベンゾトリアゾール
UVA3=Tinuvin(登録商標)328 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール
UVA4=Tinuvin(登録商標)329 ビス−[2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−フェニル]メタン
UVA5=Cyasorb(登録商標)1164P 2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール
UVA6=Tinuvin(登録商標)405 2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール
UVA7=Tinuvin(登録商標)1577 2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
UVA8=Sanduvor(登録商標)3041 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UVA9=Uvinul(登録商標)3040 2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UVA10=Sanduvor(登録商標)3035 2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン
UVA11=Sanduvor(登録商標)VSU N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)エタンジアミド
UVA12=Sanduvor(登録商標)EPU N−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)エタンジアミド
UVA13=Cyasorb(登録商標)UV−3638 桂皮酸2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン]メチル
UVA14
UVA15=Uvinul(登録商標)3035 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル
UVA16=Hostavin(登録商標)B−CAP 2,2’−ビス(1,4−フェニレンジメチリデン)マロン酸テトラエチル
UVA17=Cyasorb(登録商標)UV−3346 ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]
HALS1=Tinuvin(登録商標)770 セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
HALS2=Tinuvin(登録商標)144 プロパン二酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ブチル
HALS3=Sanduvor(登録商標)PR−31 プロパン二酸、[(4−メトキシフェニル)メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル
HALS4=Sanduvor(登録商標)3051 2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ−[5.1.11.2]ヘンエイコサン−21−オン
HALS5=Hostavin(登録商標)N30 2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ−{5.1.11.2]ヘンエイコサン−21−オンとエピクロロヒドリンの反応からのポリマー
HALS6=Chimassorb(登録商標)944 ポリ[(6−イソオクチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]
HALS7=Chimassorb(登録商標)119 1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N”’−[1,2−エタンジイル−ビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]ビス[N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)
HALS8 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ
分散剤混合物M1 オレイル−8−エトキシレート + N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム
分散剤混合物M2 オレイル−10−エトキシレート + N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム
使用したポリグリコールは、470から530g/molの範囲の平均質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルである。
【0077】
(実施例1)
竪型ミルにおいて、
10部のポリグリコール、
8.5部の分散剤混合物M1、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を32.3部の水中で混合する。次に、48部のUVA1を添加し、この混合物を、粒径が5μm未満になるまで5から6時間、ガラスビーズ(直径1mm)で、磨砕する。このようにして得た分散液を濾過によりビーズと分離する。これによって保管安定性分散液(粘度 1.0Pas)を得る。
【0078】
(実施例2)
同じ工程により、
20部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を24.8部の水中で混合し、次に、48部のUVA1を添加した。これによって保管安定性分散液(粘度 1.8Pas)を得る。
【0079】
(実施例3)
同じ工程により、
5部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を39.8部の水中で混合し、次に、48部のUVA1を添加した。これによって保管安定性分散液(粘度 0.8Pas)を得る。
【0080】
(実施例4)
同じ工程により、
10部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を30.8部の水中で混合し、次に、52部のUVA2を添加した。これによって保管安定性分散液(粘度 0.7Pas)を得る。
【0081】
(実施例5)
同じ工程により、
5部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を39.8部の水中で混合し、次に、48部のUVA3を添加した。これによって保管安定性分散液(粘度 0.2Pas)を得る。
【0082】
(実施例6)
同じ工程により、
5部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を37.8部の水中で混合し、次に、50部のUVA4を添加した。これによって保管安定性分散液(粘度 0.4Pas)を得る。
【0083】
(実施例7から28)
実施例3または5、それぞれに従って、同じ工程により、
5部のポリグリコール、
6部の分散剤混合物M2、
1.0部のオレイン酸、および
0.2部の殺生物剤
を37.8部の水中で混合し、次に、48部の以下の安定剤を添加する。
【0084】
(実施例7)
UVA5
【0085】
(実施例8)
UVA6
【0086】
(実施例9)
UVA7
【0087】
(実施例10)
UVA8
【0088】
(実施例11)
UVA9
【0089】
(実施例12)
UVA10
【0090】
(実施例13)
UVA11
【0091】
(実施例14)
UVA12
【0092】
(実施例15)
UVA13
【0093】
(実施例16)
UVA14
【0094】
(実施例17)
UVA15
【0095】
(実施例18)
UVA16
【0096】
(実施例19)
HALS1
【0097】
(実施例20)
HALS2
【0098】
(実施例21)
HALS3
【0099】
(実施例22)
HALS4
【0100】
(実施例23)
HALS5
【0101】
(実施例24)
HALS6
【0102】
(実施例25)
HALS7
【0103】
(実施例26)
UVA17
【0104】
(実施例27)
HALS4+HALS8
【0105】
(実施例28)
HALS4+UVA11
向上した保管安定性の実証
ドイツ特許A 3511924号の実施例1および実施例2に従って調製した各々の分散液のサンプルを、上記実施例22および27それぞれの分散液と共に、室温と50℃でのこれらの保管安定性について試験した。この安定性のために測定したのは、これ以上時間が経過したら生成物が沈降し始めるという時間である。
【0106】
【表1】

【0107】
殺生物剤の添加により向上した保管安定性の実証
実施例1から6をこの配合に殺生物剤を加えずに繰り返す(実施例1aから6a)。
【0108】
室温で6ヶ月保管後、試験品を真菌および細菌の侵襲について調査する。
【0109】
使用した試験システムは、Biotest社からのDiagnostics GK−T/HSであり、これは、片側で全微生物数/TTCを、反対側で酵母菌および糸状菌を、同時に判定することができる。このために、分散液をこの指示体表面の両側に一滴ずつゆっくりと塗布して、この表面を湿潤させるか、分散液に浸漬した無菌接種用ループではけ塗りする。次に、管を封止し、30から35℃で3から5日間、インキュベータでインキュベートする。各パック同封のインストラクションに従って、比較によりこれらの指示体を評価する。適切なインキュベーション時間の後、1mLあたり10より多くのCFU(CFU=コロニー形成単位)が存在する場合には、この分散液は、重度に汚染されており、これは、この分散液のさらにこの先の保管安定性に対して強いマイナス影響(分散液の劣化)をもたらし得る。
【0110】
【表2】

【0111】
塗布例
スチレン変性アクリレートエマルジョンから成る水性樹脂系を次のとおり調製する。
【0112】
106.0部のブチルグリコールおよび
132.1部の脱塩水
から成る混合物を入念に攪拌しながらゆっくりと
761.9部のNeocryl(登録商標)XK−62(Avecia)
に添加する。
【0113】
この系は、実施例に挙げた分散液を、例えば透明溶解性(これは、良好な相溶性および分布の指標である)について試験するための基礎原料として、後続の実験において役立つ。
【0114】
このようにして安定させた「コーティング材料」を、ドクターブレードを使用して100μmの湿潤被膜厚で高透明ポリエステルフィルムおよび/または裏面艶消し着色LENETAチャートに塗布し、熱風乾燥器で、50℃および80℃で乾燥させる。次に、ポリエステルフィルムを、透明性について検査し、LENETAチャートは、あらゆるブルーミング(これは、コーティング材料における不相溶性および含浸の指標の代表である)について検査する。
【0115】
OEM塗布のための水性2K[2成分]PUクリアコートでの応用
次の配合成分に基づき、ポリオール成分を合わせた。
【0116】
Bayhdrol(登録商標)VP LS2271 28.33 (Bayer)
Bayhdrol(登録商標)VP LS2231 31.03 (Bayer)
Byk(登録商標)345 供給されたままの形 0.29 (Byk Chemie)
Byk(登録商標)333 水中25% 0.28 (Byk Chemie)
蒸留水 12.86
ポリオール成分を手で、または高速攪拌機(1000rpm)を使用して激しく、よく攪拌する。個々の配合成分は、所定の順序で混合しなければならない。
【0117】
硬化成分
Desmodur(登録商標)N 3600 17.28 (Bayer)
酢酸ブチルグリコール/Solvesso(登録商標)100(1:1) 7.33 (Exxon Mobile)
硬化成分と混合する前に、実施例に記載の分散液をポリオール成分に添加する。硬化成分との混合は、ポリオール成分の調製後12時間より少しでも早く行なってはならない。ポリオール成分と硬化成分の混合は、
1)手で成分を共に攪拌することにより予備エマルジョンを調製することによって、または
2)実験室用攪拌機により成分を共に攪拌することにより予備エマルジョンを調製することによって、
2段階で遂行する。最終混合は、50barでのジェット分散(例えば、エアレスポンプMerkur 060.020−DP F,Walther,Wuppertal)により、またはDispermate(2000rpmで5分)使用して、遂行する。
【0118】
ブチルグリコールをベースにした液体HALS安定剤の樹脂溶液への添加による比較実験:
Tinuvin(登録商標)292(Ciba) 短時間の後に重度のゲル化
Sanduvor(登録商標)3052(Clariant) 短時間の後に重度のゲル化
ソフトフィールコーティングでの応用
ソフトフィールコーティング材料を次のとおり調製した。
【0119】
【表3】


【0120】
このコーティング材料に0.5重量%の上記分散液を添加する。こうして安定させた「コーティング材料」を、ドクターブレードを使用して(被膜幅80mm)、100μmの湿潤被膜厚で高透明ポリエステルフィルムに塗布し、室温で、および熱風乾燥器内で50℃で乾燥させる。次に、このポリエステルフィルムを透明性について検査する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
47重量%より高い活性物質含量を有し、ならびに分散剤として少なくとも1つの非イオン性湿潤剤および可溶化剤としてポリグリコールを含み、流動性向上剤として0.2重量%から5重量%のオレイン酸も含むことを特徴とする、光安定剤または光安定剤と酸化防止剤の混合物の高濃度、保管安定性水性分散液。
【請求項2】
前記光安定剤または光安定剤と酸化防止剤の混合物が、少なくとも35℃の融点を有する、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記活性物質含量が、47重量%から57重量%に達する、請求項1または2に記載の水性分散液。
【請求項4】
0.01から2Pa sの粘度を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項5】
加えて、前記非イオン性湿潤剤が、アニオン性湿潤剤を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項6】
前記活性物質が、D50は5μm未満であり、好ましくはD50は0.5から2μmであり、およびD90は3.5μm未満の粒径を有する、請求項1から5に記載の水性分散液。
【請求項7】
50℃で4週間より長い保管安定性を有する、請求項1から6に記載の水性分散液。
【請求項8】
さらなる成分として殺生物剤を含むことを特徴とする、請求項1から7に記載の水性分散液。
【請求項9】
30重量%から40重量%の水中に、
47重量%から54重量%の活性物質、
5重量%から10重量%の湿潤剤(分散剤として)、
5重量%から10重量%のポリグリコール(可溶化剤として)、
0.2重量%から3重量%のオレイン酸(流動性向上剤として)、
1重量%未満の殺生物剤
を含有する、請求項1から7に記載の水性分散液。
【請求項10】
第一段階において、分散剤および/またはさらなる添加剤をオレイン酸と混合し、第二段階において、前記オレイン酸、前記分散剤およびポリグリコール、ならびにまたさらなるいずれかの添加剤の存在下で、粉末、圧縮成形体または顆粒形態の光安定剤または光安定剤と酸化防止剤の混合物を添加して、分散させることを特徴とする、光安定剤または光安定剤と酸化防止剤の混合物の水性分散液の保管安定性を向上させる方法。
【請求項11】
コーティング組成物の調製における、上記請求項1から9のいずれか一項に記載の水性分散液の使用。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の水性分散液、および架橋性アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂をベースにした結合剤の水性分散液、水性エマルジョンまたは水溶液を含む、水性分散液の形態のコーティング組成物。

【公表番号】特表2006−523252(P2006−523252A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506484(P2006−506484)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001172
【国際公開番号】WO2004/090069
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(596081005)クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド (27)
【Fターム(参考)】