説明

コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む水膨潤性材料を製造する方法

本発明は、コーティングされた水膨潤性ポリマー類、好ましくはヒドロゲル形成性ポリマー類を含む固体、通常は粒子状の水膨潤性材料を製造する方法を対象とし、このポリマー類はコーティング剤でコーティングされ、このコーティング剤は、ポリマー類が液体、例えば水又は塩水に膨潤する場合に破裂しないようなものである。本明細書において、コーティング剤は湿潤状態で伸張可能であり、そこに、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する湿潤伸張可能な材料を含む。通常は、コーティング剤はそこにエラストマーポリマー材料を含む。本発明はまた、本発明の方法によって得ることのできる固体(粒子状)水膨潤性材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水膨潤性材料、通常は固体の粒子状の水膨潤性材料を製造する方法を対象とし、その材料は、コーティングされた水膨潤性、好ましくはヒドロゲル形成性ポリマー類を含み、ここでコーティングは、ポリマー類が0.9%塩水に膨潤したときに実質的に破裂しないようなものであり、コーティングは湿潤状態で大いに伸張可能である。コーティングが、好ましくはエラストマーポリマー材料を含む。本発明はまた、本発明の方法によって得ることのできる固体(粒子状)水膨潤性材料、並びにこうした固体(粒子状)水膨潤性材料を含む製品、例えば使い捨て吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつのような使い捨て吸収性物品の重要な構成要素は、吸収性ゲル化材料、AGM、又は超吸収性ポリマー類、又はSAP’sとも呼ばれる水膨潤性ポリマー類、通常はヒドロゲル形成水膨潤性ポリマー類を含む吸収性コア構造である。このポリマー材料は、多量の体液、例えば尿をその物品が使用中に吸収し、閉じ込めることができ、それによって再ぬれを低減し、皮膚を良好に乾燥させることを確実にする。
【0003】
特に有用な水膨潤性ポリマー材料又はSAP’sは、不飽和カルボン酸類又はそれらの誘導体、例えばアクリル酸、アクリル酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム及び/又はカリウム)又はアンモニウム塩類、アルキルアクリレート類などを、比較的少量の二官能性又は多官能性モノマー類、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はトリアリルアミンの存在下で最初に重合させることによって製造されることが多い。二官能性又は多官能性モノマー材料は、ポリマー鎖をわずかに架橋させるように作用し、それによってポリマー鎖は水不溶性になるが、水膨潤性になる。これらのわずかに架橋された吸収性ポリマー類は、ポリマー主鎖に付いた複数の中和されたカルボキシレート基を含有する。こうしたカルボキシレート基は、架橋ポリマー網状組織が体液を吸収するための浸透性推進力を生むと一般に考えられている。
【0004】
さらに、ポリマー粒子は、特に乳児用おむつでの適用において、それらの特性を向上させるために、外側表面に表面架橋された層を形成するように処理されることが多い。
【0005】
使い捨ておむつのような吸収性部材及び吸収性物品の吸収体として有用な水膨潤性(ヒドロゲル形成)ポリマー類は、適切に高い収着能、並びに適切に高いゲル強度を有することが必要である。収着能は、吸収性物品の使用中に遭遇する著しい量の水性体液を吸収性ポリマーが吸収できるように十分高くなければならない。ゲルの他の特性と共に、ゲル強度は、吸収性物品に適用された応力の下で膨潤したポリマー粒子が変形に耐える傾向に関連する。ゲル強度は、粒子が変形せず、いわゆるゲルブロッキングを生じるような許容できない程度にまで毛管空隙を埋めないように、吸収性物品中で十分高くなければならない。このゲルブロッキングは流体の取り込み割合又は流体分配を妨げる、すなわち一旦ゲルブロッキングが生じると、吸収性物品において相対的に乾燥した領域又は区域へ流体が分配されるのを実質的に妨げることがあり、水膨潤性ポリマー粒子が完全に飽和する前に、又は流体が吸収性物品の残りの部分に「ブロッキング」粒子を通って拡散し得る若しくは吸い上げ得られる前に、吸収性物品からの漏れが生じ易くなる。そのため、水膨潤性ポリマー類が(吸収性構造又は物品に導入される場合)、高い湿潤多孔性を維持し、変形に対する高い耐性を有することによって、膨潤したゲル床を通る流体輸送のための高い透過性を得ることが重要である。
【0006】
比較的高い透過性を有する吸収性ポリマー類は、内部架橋又は表面架橋のレベルを増加させることによって製造でき、その架橋が、着用者によって生じる圧力のような外部圧力による変形に対する膨潤ゲルの耐性を増大させるが、残念ながらこれも通常はゲルの吸収能を低下させる。
【0007】
本発明者らは、表面架橋された水膨潤性ポリマー粒子が、表面架橋「シェル」によって束縛され、十分に吸収及び膨潤できないことが多く、及び/又はシェルが膨潤応力又は荷重下での実施に関連する応力に耐える程十分に強くないことを見出した。
【0008】
本発明者らは、当該技術分野において使用される表面架橋「コーティング」を含む水膨潤性ポリマー類のコーティング又はシェルが、ポリマーが顕著に膨潤する場合に破断する、又は「コーティング」が長期間膨潤状態にあった後に破断することを見出した。本発明者らはまた、それらの結果として、当該技術分野において既知のコーティング及び/又は表面架橋された水膨潤性ポリマー類又は超吸収性材料が使用中に顕著に変形し、それによって特に圧力下では、湿潤状態でのゲル床の多孔性及び透過性が相対的に低くなることを見出した。本発明者らは、これが、こうしたポリマー材料の最適な吸収性、液体分配又は貯蔵性能に不利益になり得ることを見出した。
【0009】
そのため、本発明者らは、湿潤状態で抵抗力を働かせることができ、通常の使用中条件下でポリマー類が体液に膨潤した場合に実質的に破裂しないコーティングを有するコーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む水膨潤性材料が必要であることを見出した。本発明の背景において、本発明者らは、尿などの体液の良好な類似物として、「0.9%塩水」とも呼ばれる0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用できることを見出した。そのため、本発明者らは、材料が0.9%塩水に膨潤するときにコーティングが実質的に破裂しないコーティングされた水膨潤性材料を得ることが必要であることを見出した。
【0010】
本発明者らは、今般、伸張可能なコーティング剤、例えば弾性的に伸張可能なエラストマーコーティングでコーティングされた水膨潤性ポリマー類を含み、ヒドロゲルポリマー類の内部コアが膨潤する場合に、そのコーティングが伸張でき、すなわち破断することなく実質的に原形を保つことができるような新規な水膨潤性材料を製造する方法及び新規な水膨潤性材料を開発した。
【0011】
さらに、本発明者らは、一部の材料は、乾燥状態では良好な伸張性(伸び)を有するが、湿潤状態ではそうではないので、全ての伸張可能な材料がコーティング剤としてあらゆる用途にて好適ではないことを見出した。そのため、本発明者らは、湿潤伸張可能なコーティング剤を有する水膨潤性ポリマー類を提供することが重要であることを見出した。
【0012】
本発明者らはさらに、コーティング剤を適用し、続いて処理する方法が、湿潤状態での高い伸張性(伸び)を付与するために重要な場合があることを見出した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む水膨潤性材料製造する方法に関し、この方法は:
a)水膨潤性ポリマー類を得る工程;及び
b)工程a)と同時に又は工程a)に続いて、前記水膨潤性材料に対して少なくとも1重量%の本明細書に記載されるコーティング剤を前記水膨潤性ポリマー類の少なくとも一部に適用し、前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む前記水膨潤性材料を得る工程;を含み、本発明の一実施形態では:
c)工程b)で得られる前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類をアニーリング及び/又は硬化する工程を含み、
ここで、工程b)の前記コーティング剤は、湿潤伸張可能であり、本明細書にて定義される湿潤伸び試験によって測定される場合に、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する材料を含む。
【0014】
好ましくは、コーティング剤が、同じ試験によって測定できる場合に、少なくとも400%、又はより好ましくは500%の破断湿潤伸びを有する材料を含む。
【0015】
前記試験について、コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料のフィルム又はアニーリングフィルム又は硬化フィルム及び/又はアニーリングされかつ硬化されたフィルムは、本明細書に記載される方法によってまず調製されて、次いで試験される。そのため、アニーリングフィルムは、本明細書の方法が必須工程としてアニーリング工程c)を有する場合に試験され;硬化フィルムは、本明細書の方法が必須工程として硬化工程を有する場合に試験され;アニーリングされかつ硬化された(好ましくはこの順序で)フィルムは、本明細書の方法が必須工程としてアニーリング工程と硬化工程との両方を、好ましくはこの順序で有する場合に試験される。
【0016】
そのため、例えば、アニーリング工程を有するが硬化工程は有さない本明細書の方法で使用される又は有用な湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、アニーリングフィルムの形態で試験される場合に、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力、好ましくは少なくとも400%、又はさらに少なくとも500%の湿潤伸びを有し;アニーリング工程及び/又は硬化工程を含まない本明細書の方法で使用される又は有用な湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、アニーリング又は硬化されていないフィルムの形態で試験される場合、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力、好ましくは少なくとも400%、又はさらに少なくとも500%の湿潤伸びを有する。
【0017】
換言すれば、本発明の第1の態様において、本発明の方法は上記で定義される通りであり、工程b)で使用される湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、アニーリングも硬化もされていないそれらのフィルムが、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力、好ましくは少なくとも400%、又はさらに少なくとも500%の湿潤伸びを有するようなものである。本発明の第2の独立した実施形態において、本方法は、アニーリング及び/又は硬化工程が必須であることを除いて上記で定義される通りであり、工程b)で使用される湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、アニーリング及び/又は硬化されたそれらのフィルムが、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力、好ましくは少なくとも400%、又はさらに少なくとも500%の湿潤伸びを有するようなものである。
【0018】
好ましくは、本方法は、工程b)又はc)の前に、それと同時に又はその後に工程d)を含み、前記水膨潤性ポリマー類又はコーティングされた水膨潤性ポリマー類を固体形態で得る。
【0019】
本発明はまた、本発明の方法によって得ることのできる水膨潤性材料に関する。
【0020】
得られたコーティングは、本明細書に記載されるように、実質的に均一であるのが好ましい。
【0021】
好ましくは、水膨潤性ポリマー類及びコーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む得られる水膨潤性材料は、固体であり、好ましくは粒子状の形態である。
【0022】
好ましい方法において、工程b)は:コーティング剤を少なくとも2回適用することを含み;従ってそれによって得ることのできる好ましい材料は、1を超えるコーティング層を含む。
【0023】
コーティング剤は、粉末の形態であり、又は本方法にて適用されるときに工程b)のコーティング剤は流体であり、好ましくは溶液、分散液、又はホットメルトの形態であるのが好ましい場合がある。しかし、コーティング剤はまた、例えば気相又は蒸気相から適用されてもよい。
【0024】
工程b)は、流動床若しくはウルスター(Wurster)コーターにて、又はプラウ−シェア(plough-share)ミキサー、例えばレーディゲ(Loedige)ミキサーにて行われるのが好ましい。
【0025】
アニーリング又は硬化工程の間、コーティングされたポリマー類は乾燥されてもよく、あるいは工程b)と同時に又は工程b)の後、又は工程c)の後に別個の乾燥工程が行われてもよい。
【0026】
水膨潤性ポリマー類は、好ましくはヒドロゲル形成ポリマー類、好ましくは(部分的に中和された)ポリアクリレート類である。
【0027】
水膨潤性ポリマー類は、コーティング工程b)の前に(表面)架橋されてもよく、及び/又は本方法は、コーティングされたポリマー類をさらに(表面)架橋に供するようなものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(水膨潤性材料)
本発明の水膨潤性材料は、水を吸収することによってそれが水に膨潤するようにし;それによって水膨潤性材料はゲルを形成してもよい。それはまた、他の液体を吸収し、膨潤してもよい。故に、本明細書にて使用される場合、「水膨潤性」とは、材料が少なくとも水に膨潤するが、通常は別の液体又は溶液、好ましくは水ベースの液体、例えば0.9%の塩水(0.9%NACl溶液)にも膨潤することを意味する。
【0029】
本発明の水膨潤性材料は、以下に記載されるように本発明の方法によってコーティングされる水膨潤性ポリマー類を含む。コーティング剤は、好ましくは水膨潤性材料の1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%、又はさらに1重量%〜20重量%、又はさらに2重量%〜15重量%のレベルで存在する。
【0030】
コーティング剤は、得られるコーティング層が好ましくは薄くなるように適用され;好ましくはコーティング層は、1ミクロン〜100ミクロン(μm)、又はさらに1〜50ミクロン又はさらに20ミクロンまで、又はさらに2〜10ミクロンの平均キャリパー(厚さ)を有する。
【0031】
コーティングは、キャリパー及び/又は形状に関して均一であるのが好ましい。好ましくは、平均キャリパーは、最小キャリパーと最大キャリパーとの比が、1:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:2となるようにする。
【0032】
本発明の水膨潤性材料はまた、他の構成成分、例えば充填剤、流動助剤、処理助剤、固化防止剤、臭気抑制剤、着色剤、湿潤べたつきを付与するためのコーティング、親水性表面コーティングなどを含んでもよい。
【0033】
水膨潤性材料はまた、コーティングされていない水膨潤性ポリマー類も含んでもよい。しかし、コーティングされた水膨潤性ポリマー類は、好ましくは少なくとも20重量%(水膨潤性材料に対して)、より好ましくは50重量%〜100重量%、又はさらに80重量%〜100重量%、最も好ましくは90重量%〜100重量%のレベルで存在する。
【0034】
水膨潤性材料は、本明細書に記載される方法によって得ることができ、それは好ましくは、得られる材料が固体となるようなものであり;これは、ゲル、フレーク、繊維、疑集体、大きいブロック、顆粒、粉末粒子、球体、及び超吸収体又は本明細書に記載される水膨潤性ポリマー類又は超吸収体に関して当該技術分野において既知のその他の形態を含む。
【0035】
好ましくは、材料は、例えばEP−A−0691133に記載される方法によって測定されることができる場合、10μm〜2mm、又はさらに50ミクロン〜1mm、又は好ましくは100μm〜800μmの質量平均粒径を有する粒子の形態である。
【0036】
本発明の一実施形態において、本発明の水膨潤性材料は、10μm〜1200μm、又はさらに50μm〜800μmの粒径、及び100μm〜800μm、又はさらに600μmの質量平均粒径を有する(自由流動性)粒子の形態である。
さらに又は本発明の別の実施形態において、水膨潤性材料は本質的に球体である粒子を含む。
【0037】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、本発明の水膨潤性材料は、大部分(例えば、少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、又はさらに少なくとも95%)の粒子が、50μm〜800μm、好ましくは100μm〜600μm、より好ましくは200μm〜500μmの粒径を有する比較的狭い範囲の粒径を有する。
【0038】
本発明の水膨潤性材料は、好ましくは20重量%未満の水、又はさらに10重量%未満、又はさらに8重量%未満、又はさらに5重量%未満の水を含むか、又はさらには水を含まない。水膨潤性材料の水含量は、Edana試験、番号ERT430.1−99(1999年2月)によって測定されることができ、その試験は、水膨潤性材料を105℃で3時間乾燥させ、乾燥後の水膨潤性材料の重量損失によって水分含量を測定することを含む。
【0039】
本発明の材料は、いわゆるコア−シェル粒子の形態であってもよく、以下でより詳細に記載されるように、水膨潤性ポリマー(類)は、内部構造又はコアに存在し、コーティング剤は、水膨潤性ポリマー類の周りにコーティングシェルを形成する。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態において、コーティングは、水膨潤性ポリマー(コア)の周りの本質的に連続なコーティング層又はシェルであり、このコーティング層は、ポリマー(類)全体を覆い、すなわちポリマーの表面(コア表面)の領域は全く曝露されない。ここで、最大接線応力は、以下で記載されるように、水膨潤性材料が液体に膨潤する場合に、「コア」の水膨潤性ポリマーの周りに働くと考えられている。特にこの実施形態において、コーティング材料及び得られるコーティングは、好ましくは極めて透水性であり、例えば水膨潤性材料への(コアへの)液体の素早い浸透/吸収を可能にする。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、コーティングシェル又は層は、多孔質であり、例えば繊維性網状組織形態のような水が浸透する孔を含む網状組織の形態であり、例えばそれは本明細書に定義される粒子と連結し、境界を規定する。
【0042】
換言すれば、本明細書の方法にて形成され、得られたコーティング又はコーティング層又はシェルは、通過可能に(pathwise)連結されるのが極めて好ましく、より好ましくはコーティング層は通過可能に連結され、水膨潤性ポリマー(類)をカプセル化する(完全に取り囲む)(例えば、E.W.ウェインステイン(E.W.Weinstein)ら、マスワールド−「カプセル化」及び「通過可能な連結」のためのタングステンウェブリソース(A Wolfram Web Resource for‘encapsulation’and‘pathwise connected’)を参照のこと)。
【0043】
コーティング層は、好ましくは水膨潤性ポリマー(類)の(「コア」の)表面上の通過可能に連結した完全な表面である。この完全な表面は、コーティング剤が存在し、通過可能に連結した、例えば網状組織のような第1の領域からなり、それは、例えばミクロ細孔であるコーティング剤が存在しない第2の領域を含んでいてもよく、その第2の領域は連結していない部分(disjoint union)である。好ましくは、各第2の領域、例えばミクロ細孔は、0.1mm未満、又はさらに0.01mm未満、好ましくは8000μm未満、より好ましくは2000μm未満、さらにより好ましくは80μm未満の表面積を有する。
【0044】
第2の領域が存在せず、コーティング剤が水膨潤性ポリマー(類)の周りに完全なカプセルを形成することが最も好ましい。
【0045】
水膨潤性材料は、水膨潤性ポリマー類を2回以上コーティングすることによって得られることができるコーティング剤の2以上の層(シェル)を含むのが好ましい場合がある。これは、本明細書の同じコーティング剤であってもよく、又は異なるコーティング剤であってもよい。
【0046】
本発明の方法によって製造される特に好ましい水膨潤性材料は、以下に概要されるシリンダー遠心分離保持能(Cylinder Centrifugation Retention Capacity)、CCRC試験によって測定される高い収着能を有する。
【0047】
本発明の方法によって製造される特に好ましい水膨潤性材料は、液体に関して高い透過性を有し、例えば米国特許第5,599,335号、米国特許第5,562,646号及び米国特許第5,669,894号(これら全て本明細書に参考として組み込まれる)に開示されているSFC試験によって測定されることができる。
【0048】
さらに、本発明の方法によって製造される特に好ましい水膨潤性材料は、高い湿潤多孔性を有する(すなわち、これは、ある量の本発明の水膨潤性材料が一旦液体を吸収し、膨潤したら、それは通常は(ヒドロ)ゲル又は(ヒドロ)ゲル床を形成し、これは特にコーティングされていない水膨潤性ポリマー類に比べて、以下に議論されるSFC試験(又は本明細書に参考として組み込まれる、米国特許第5,562,646号に開示されているPHL試験;水膨潤性材料及び水膨潤性ポリマー類が、試験方法に記載されるのとは異なる圧力で試験される場合、この試験に使用される重量に準拠して調整されるべきである)によって測定されることができる場合、特定の湿潤多孔性を有することを意味する)。
【0049】
50%、又はさらに少なくとも100%、又はさらに少なくとも150%。
【0050】
本発明の方法によって製造される最も好ましい水膨潤性材料は、高い透過性(SFC)及び高い湿潤多孔性(コーティング剤の使用によって増大する)と組み合わせて、例えば以下で概要されるCCRC試験によって好ましくは測定されるような高い収着能を有する。
【0051】
(水膨潤性ポリマー類)
本明細書の水膨潤性ポリマー類は、好ましくは固体であり、好ましくは粒子、フレーク、繊維、疑集粒子の形態であり;最も好ましくは、水膨潤性ポリマー類は水膨潤性材料について上記で特定されるような質量平均粒径及びコーティングの厚さ(キャリパー)を有する粒子であり;コーティングが非常に薄い場合、例えば1〜20ミクロンである場合、質量平均粒径/分布は上記で引用される通りである。
【0052】
本明細書で使用するとき、「水膨潤性ポリマー」という用語は、実質的に水不溶性、水膨潤性であり、好ましくは水ゲル化し、ヒドロゲルを形成するポリマーのことを指し、少なくとも10g/g未満の、以下で定義されるシリンダー遠心分離保持能(CCRC)を通常は有する。こうしたポリマー類はまた、当該技術分野において(超)吸収性ポリマー類(SAP)又は吸収性ゲル化物質(AGM)と呼ばれることが多い。
【0053】
こうしたポリマー類は、通常は(わずかに)架橋したポリマー類、好ましくはわずかに架橋した親水性ポリマー類である。こうしたポリマー類は、一般に非イオン性、カチオン性、双性イオン性、又はアニオン性であってもよいが、好ましいポリマー類はカチオン性又はアニオン性である。酸ポリマー類が特に好ましく、それは多数の酸官能基、例えばカルボン酸基、又はそれらの塩類、好ましくはナトリウム塩類を含有する。本明細書に用いるのに好適な酸ポリマー類の例としては、重合可能な酸含有モノマー類、又は重合後に酸基に変換され得る官能基を含有するモノマー類から調製されるものが挙げられる。こうしたモノマー類としては、オレフィン性不飽和カルボン酸、及びこれらの無水物類、並びにこれらの混合物が挙げられる。酸ポリマー類はまた、オレフィン性不飽和モノマー類から調製されないポリマー類を含むことができる。こうしたポリマー類の例としてはまた、多糖類系ポリマー類、例えばカルボキシメチルデンプン及びカルボキシメチルセルロース、及びポリ(アミノ酸)系ポリマー類、例えばポリ(アスパラギン酸)が挙げられる。ポリ(アミノ酸)吸収性ポリマー類の記載に関しては、例えば米国特許第5,247,068号(ドナシー(Donachy)ら、1993年9月21日発行)を参照のこと。
【0054】
上記で引用された特許及び以下で引用される文献の全ては、本明細書に参考として組み込まれる。
【0055】
本明細書で吸収性ポリマー類を調製するのに、一部の非酸モノマー類は、普通は僅かな量で包含され得る。こうした非酸モノマー類には、例えば、次の種類の官能基:カルボキシレート又はスルホネートエステル類、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、第四級アンモニウム塩基、及びアリール基(例えば、スチレンモノマーに由来するようなフェニル基)を含有するモノマー類を挙げることができる。他の任意の非酸モノマー類としては、不飽和炭化水素類、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらの非酸モノマー類は周知の物質であり、例えば、1978年2月28日に発行された米国特許第4,076,663号(マスダ(Masuda)ら)、及び1977年12月13日に発行された米国特許第4,062,817号(ウエスターマン(Westerman))により詳細に記載されている。
【0056】
本明細書で有用なオレフィン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物のモノマー類には、アクリル酸自体で代表されるアクリル酸類、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、a−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン及びマレイン酸無水物が挙げられる。
【0057】
好ましい水膨潤性ポリマー類は、カルボキシル基、例えば上述のカルボン酸/カルボキシレート含有基を含有する。これらのポリマー類には、加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、部分的に中和され加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、部分的に中和されたデンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、加水分解された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー類、加水分解されたアクリロニトリル又はアクリルアミドコポリマー類、前述のコポリマー類のいずれかのわずかに架橋した網状組織ポリマー類、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸のわずかに架橋した網状組織ポリマー類が挙げられる。これらのポリマー類は単独で、又は2以上の異なるポリマー類の混合物の形態で用いることができる。これらのポリマー材料の例は、米国特許第3,661,875号、米国特許第4,076,663号、米国特許第4,093,776号、米国特許第4,666,983号、及び米国特許第4,734,478号に開示されている。
【0058】
本明細書の水膨潤性ポリマー類を製造するために使用される最も好ましいポリマー材料は、ポリアクリレート類/アクリル酸類及びそれらの誘導体、好ましくは部分的に中和されたポリアクリル酸類及び/又は、それらのデンプン誘導体の(わずかに)架橋された網状組織ポリマー類である。
【0059】
部分的に中和されたポリマーアクリル酸が本明細書の方法にて使用されるのが好ましい場合がある。
【0060】
本明細書で有用な水膨潤性ポリマー類は、重合及び/又は架橋技術のいずれかによって形成されることができる。これらのポリマー類の典型的な製造方法は、米国再発行特許第32,649号(ブランツ(Brandt)ら、1988年4月19日発行)、米国特許第4,666,983号(ツバキモト(Tsubakimoto)ら、1987年5月19日発行)、及び米国特許第4,625,001号(ツバキモト(Tsubakimoto)ら、1986年11月25日発行);米国特許第5,140,076号(ハラダ(Harada));米国特許第6,376,618B1号、米国特許第6,391,451号及び米国特許第6,239,230号(ミッチェル(Mitchell));米国特許第6,150,469号(ハラダ(Harada))に記載されている。架橋は、好適な架橋モノマー類の導入によって、重合中に影響を受ける場合がある。あるいは、ポリマー類は、好適な反応性架橋剤との反応によって、重合後に架橋されることができる。最初に形成されたポリマー類の表面架橋は、吸収能力、多孔性及び透過性をある程度制御するのに好ましい方法である。
【0061】
水膨潤性ポリマー類はまた、本明細書の方法のコーティング工程の前に、その工程と同時に、その工程後に表面架橋されてもよい。本発明に基づいた吸収性ポリマー類の表面架橋を行うのに好適な一般方法は、米国特許第4,541,871号(オバヤシ(Obayashi)、1985年9月17日発行);国際公開特許第92/16565号(スタンレー(Stanley)、1992年10月1日公開);国際公開特許第90/08789号(タイ(Tai)、1990年8月9日公開);国際公開特許第93/05080号(スタンレー、1993年3月18日公開);米国特許第4,824,901号(アレクサンダー(Alexander)、1989年4月25日発行);米国特許第4,789,861号(ジョンソン(Johnson)、1989年1月17日発行);米国特許第4,587,308号(マキタ(Makita)、1986年5月6日発行);米国特許第4,734,478号(ツバキモト(Tsubakimoto)、1988年3月29日発行);米国特許第5,164,459号(キムラ(Kimura)ら、1992年11月17日発行);公開されたドイツ特許出願第4,020,780号(ダーメン(Dahmen)、1991年8月29日公開);米国特許第5,140,076号(ハラダ(Harada));米国特許第6,376,618B1号、米国特許第6,391,451号及び米国特許第6,239,230号(ミッチェル(Mitchell));米国特許第6,150,469号(ハラダ(Harada));及び公開された欧州特許出願509,708(ガートナー(Gartner)、1992年10月21日公開)に開示されている。
【0062】
最も好ましくは、水膨潤性ポリマー類は、約50%〜95%(モルパーセンテージ)、好ましくは約75%の中和された(わずかに)ポリアクリル酸[すなわち、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸)]を含む。架橋は、ポリマーを実質的に水不溶性にし、部分的に、吸収性ポリマー類の吸収能力及び抽出可能なポリマー含量の特性を決定する。このようなポリマー類を架橋する方法及び典型的な架橋剤は、米国特許第4,076,663号に詳細に記載されている。
【0063】
水膨潤性ポリマーは1種(すなわち、均質)であるのが好ましいが、水膨潤性ポリマー類の混合物も本明細書で使用できる。例えば、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類とポリアクリル酸のわずかに架橋した網状組織のポリマー類との混合物を本明細書に用いることができる。異なる物理的特性、さらに所望により異なる化学的特性、例えば異なる平均粒径、吸収能力、吸収速度、SFC値、例えば本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,714,156号に開示されているようなものを有する(コーティングされた)ポリマー類の混合物も使用できる。
【0064】
本明細書の水膨潤性ポリマー類は、好ましくはコーティングの前に、少なくとも30g/g、好ましくは少なくとも40g/g、より好ましくは少なくとも50g/g、さらにより好ましくは少なくとも80g/g、又はさらに少なくとも100g/gのシリンダー遠心分離保持能(CCRC)を有する。
【0065】
水膨潤性ポリマー類は、好ましくは低量の抽出可能物、好ましくは15%(ポリマー類の重量に対して;1時間の試験値)、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の抽出可能物又はさらに3%未満の抽出可能物を有する。抽出可能物及びそれらのレベル及びそれらの測定は、例えば米国特許第5,599,335号;米国特許第5,562,646号又は米国特許第5,669,894号にさらに記載される。
【0066】
(コーティング剤及びそれらの湿潤伸張可能な材料)
湿潤伸張可能な材料及び好ましくはコーティング剤全体として、少なくとも1MPa、又はさらに少なくとも3MPa、より好ましくは少なくとも5MPa、又はさらに少なくとも8MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する。これは、湿潤引張試験方法によって測定されることができる(ここで、破断湿潤伸びを測定するために湿潤伸張可能な材料の湿潤状態のフィルムを特定条件に供し;そのため湿潤伸張可能な材料は、フィルムに形成されることができる材料である、すなわちフィルム形成性である)。
【0067】
また、湿潤伸張可能な材料及び好ましくはそのコーティング剤全体として、本明細書にて以下で記載される湿潤伸び及び湿潤引張試験方法によって測定される場合に、好ましくは少なくとも400%、又はより好ましくは少なくとも500%の破断湿潤伸びを有する。好ましくは、コーティング剤及び/又はそれらの湿潤伸張可能な材料は、少なくとも800%、又はさらに少なくとも100%、又はさらに少なくとも1100%、又はさらに少なくとも1200%、又はさらに少なくとも1600%の破断湿潤伸びを有する。
【0068】
本発明の趣旨上、湿潤伸張可能な材料及びコーティング剤から形成されるコーティングは、通常は、液体(例えば、水;塩水溶液)吸収によって体積が(実質的に)拡張することなしに、それらの表面積が(湿潤状態で)拡張すると理解されるべきである。故に湿潤伸張可能なポリマー材料及びコーティング剤は、通常は、実質的に非水膨潤性である。湿潤伸張可能な材料及び/又はコーティング剤は、例えば本明細書にて以下に記載される方法によって測定され得る場合に、非水膨潤性であるのが好ましい場合がある。本発明者らは、水又は塩水溶液に実質的に膨潤しない材料から形成されるコーティング又はフィルムは、通常は、水又は塩水溶液に顕著に膨潤する材料に比べて、高い湿潤伸びを有することを見出した。これは実際、コーティング剤が、以下で記載されるような「ポリマー材料の水膨潤性を測定する方法」によって測定され得る場合に、好ましくは1g/g未満、又はさらに0.5g/g未満、又はさらに0.2g/g未満、又はさらに0.1g/g未満の水膨潤性能を有することを意味する。
【0069】
湿潤伸張可能な材料は、好ましくはエラストマーポリマーである(エラストマーポリマーは、応力によって変形される場合に、変形応力が取り除かれたときに部分的に又は完全にその機械的特性を回復するポリマーである)。エラストマーポリマー材料のコーティングは、伸張された場合の回復力を提供するので、コーティング(シェル/層)が水膨潤性ポリマーの周りに接線応力を提供することができ、それによって風船の弾性膜のような作用を示すので、本発明の水膨潤性材料に変形耐性を付与するのを助けると考えられている。
【0070】
通常は、湿潤伸張可能な材料及び/又はコーティング剤は、10MPa未満の、400%伸びでの割線湿潤弾性率を有する。
【0071】
本明細書の特に好ましい湿潤伸張可能な材料/コーティング剤は、フィルムに形成することができ、少なくとも0.25MPa、好ましくは少なくとも約0.50MPa、より好ましくは少なくとも約0.75、又はさらに少なくとも2.0MPa、最も好ましくは少なくとも約3.0MPaの、400%伸びでの湿潤正割線弾性率(SM湿潤400%)を有する。
【0072】
本明細書の好ましい湿潤伸張可能な材料は、1.4以下、好ましくは1.2以下、又はさらに1.0以下の、[400%伸びでの湿潤正割線弾性率(SM湿潤400%)]対[400%伸びでの乾燥割線弾性率(SM乾燥400%)]の比を有し、その比が少なくとも0.6又はさらに少なくとも0.7であるのが好ましい場合がある。
【0073】
コーティング剤は、本明細書の水膨潤性ポリマー類上に得られたコーティングが透水性であるが、水溶性でなく、好ましくは水分散性でもないようにするのが好ましい。コーティングの透水性は、コーティングされた水膨潤性材料が本明細書で定義されるような十分高い自由膨潤速度、好ましくは少なくとも0.05g/g/秒、好ましくは少なくとも0.1g/g/秒、より好ましくは少なくとも0.2g/g/秒の自由膨潤速度(FSR)を有するように十分高くなければならない。
【0074】
コーティング剤から形成されたコーティングは、水蒸気が通過できるように、少なくともある程度通気性であるのが好ましい。それに加えて、コーティング剤又はそれらの湿潤伸張可能な材料は、特定キャリパーを有するそれらの特定フィルムが、以下で記載されるように、MVTR試験において、少なくとも適度に通気性であり、800g/m/日から、又はさらに1200g/m/日から1400g/m/日までの水蒸気透過率(MVTR)を有するが、好ましくは通気性で、少なくとも1500g/m/日で、200g/m/日までのMVTRを有し、又はさらにより好ましくはコーティング剤又は材料は、極めて通気性であり、2100g/m/日以上のMVTRを有する。
【0075】
本明細書の好ましいコーティング剤としては、天然又は合成エラストマーポリマー材料、好ましくは天然ゴム、合成ゴム及び35℃にて弾性である熱可塑性エラストマーポリマー類群から選択されるエラストマーポリマー材料が挙げられる。
【0076】
また湿潤伸張可能な材料、又はコーティングは全体として、20℃以下、好ましくは0℃以下の第1ガラス転移温度を有するのが好ましい。
【0077】
本明細書の好ましいコーティング剤は、例えば溶液、分散液から(スプレーとして)又はホットメルトとして、例えば以下に記載される処理条件の下で適用される場合、当該技術分野において既知のいずれかのフィルム形成方法によってフィルムを形成するポリマー類を含む。
【0078】
湿潤伸張可能であるが、乾燥状態にて粘着性(tacky)でもなく、べたつき(sticky)もないエラストマーフィルムを形成するポリマー類がさらに好ましい。乾燥状態では粘着性でもなく、べたつきもないが、湿潤状態ではべたつきがある又は粘着性であるコーティング剤が特に好ましい。
【0079】
本明細書のコーティング剤に有用な湿潤伸張可能なポリマー類は、所望により、自己架橋可能である、すなわちポリマー網状組織にて共有架橋(covalent crosslinks)を形成して、ポリマーを熱硬化性樹脂にすることができるポリマー類である。あるいは、架橋剤は、アニーリング工程c)の議論の項で以下に記載されるように、活性後に架橋を生じるように、例えば高温にて、ポリマー類に添加されてもよい。
【0080】
コーティング剤の湿潤伸張可能なポリマー類が重合反応によって既に製造されているような方法にてコーティング剤を適用するのが一般に好ましいが、これは本件では一概に必要であるとは限らず、コーティング剤はまた、重合可能な前駆体材料から形成されてもよく、コーティングされた水膨潤性粒子(例えば、工程b)を製造する方法の間に、例えば水膨潤性ポリマー類の表面での界面重合などによって、又は当該技術分野において既知の化学蒸着法(CVD)を介する前駆体重合可能な材料を析出させ、続いてそれらを重合して、コーティング剤の湿潤伸張可能な材料を形成することによって重合される。表面架橋単独では付加的なポリマーコーティング層を導かず、むしろ水膨潤性ポリマーの既に重合された表面に追加の架橋を形成するので、本発明の一部であるとは理解されないことに留意すべきである。
【0081】
好ましい実施形態において、本明細書のコーティング剤に有用な湿潤伸張可能なポリマー類は、水膨潤性ポリマー類と反応性であってもよく、好ましくはそれに加えてカルボキシル化湿潤伸張可能なポリマー(エラストマー)材料である。
【0082】
本明細書の好ましい湿潤伸張可能な材料は層分離性であり、少なくとも2つの相及び少なくとも第1のガラス転移温度Tg及び第2のガラス転移温度Tgを有し、TgとTgとの差は少なくとも30℃である。相分離は、ブロックコポリマーの異なるユニット又はセグメントの熱力学的不相溶性、あるいはブレンドに使用されるポリマー類の不相溶性によって生じる。ブロックコポリマーの不相溶性領域は、分離して、一種類のユニットだけのブロックの凝集体を含むドメインを形成する。相分離性ポリマー類は、2つのガラス転移温度Tgを示し、それはポリマー鎖の分子運動によって生じ、試験方法及び試験速度に左右される。Tg未満において、ポリマーはガラス状で脆性である一方、Tgを超えればポリマー鎖の分子運動が生じる可能性があり、材料はゴム状である(例えば、熱可塑性エラストマー:包括的レビュー(Thermoplastic Elastomers:A Comprehensive Reivew)、レッグN.R.(Legge,N.R.)、ホールデンG.(Holden,G.)、シュレーダーH.E.(Schroeder,H.E.)編、1987年、第2章を参照のこと)。
【0083】
本明細書に記載される好ましい湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、室温未満の第1のTg、及び室温を超える第2のTgを有する。ポリマーのTgは、本明細書にて後述されるように、示差走査熱量測定DSCを用いて通常通り測定されることができ、不活性参照物質(例えば、インジウム)に対してポリマーの比熱の変化を測定する。
【0084】
相分離性ポリマー(類)がコーティング剤中に又はコーティング剤として使用される場合、任意のアニーリング工程は、最も高いTgから少なくとも20℃高い温度で行われる。ポリマー又はポリマー混合物が結晶性又は半結晶性である場合、任意のアニーリング工程は、最も高いTgを超えて、好ましくは最も高いTgから少なくとも20℃以上高い温度で行われるが、いずれにせよ融解温度Tmより少なくとも20℃低い温度で行われる。適切なアニーリング温度を決定するために、加熱によって生じるポリマー転移の熱分析は、本明細書に記載されるように、示差走査熱量計DSCのような技術を用いて行われることができる。
【0085】
本発明の趣旨上、湿潤伸張可能な材料自体(すなわち、コーティング剤に導入される前又は水膨潤性ポリマー類上のコーティングに形成される前)は、本明細書に記載される特性を有するが、通常は、湿潤伸張可能な材料は、コーティング剤及び/又はコーティングにおいてもこうした特性を維持し、そのため得られたコーティング(又はフィルムの形態で試験される場合はコーティング剤)は好ましくは同じ特性を有するはずであると理解されるべきである。
【0086】
そのため、湿潤伸張可能な材料は、それぞれは異なるTgを有し、相分離性混合物を形成する2以上の異なるポリマー類の混合物であってもよい。
【0087】
好ましい相分離性の湿潤伸張可能な材料は、少なくとも次のA群から選択される(コ)ポリマーと、次のB群から選択される(コ)ポリマーとの混合物を含む:
A:ポリエチレン(コ)ポリマー類、ポリプロピレン(コ)ポリマー類、ポリブチレン(コ)ポリマー類、ポリイソプレン(コ)ポリマー類、ポリブタジエン(コ)ポリマー類、ポリエチレン−co−ポリプロピレン、ポリエチレン−co−ポリブチレン、ポリエチルエチレン−co−ポリプロピレン、ポリエーテル(コ)ポリマー類、ポリエステル(コ)ポリマー類;これらは全て、所望によりグラフトしていてもよく、及び/又は化学的置換基(例えば、ヒドロキシル基又はカルボキシレート)で部分的に変性されていてもよい;
B:ポリビニル(コ)ポリマー類(例えば、スチレン、ビニルアセテート、ビニルホルムアミド)、ポリウレタン(コ)ポリマー類、ポリエステル(コ)ポリマー類、ポリアミド(コ)ポリマー類、ポリジメチルシロキサン類、タンパク質類;これらは全て、所望によりグラフトしていてもよく、及び/又は化学的置換基(例えば、ヒドロキシル基又はカルボキシレート類)で部分的に変性されていてもよい。
【0088】
より好ましくは、湿潤伸張可能なものは、1以上の相分離性ブロックコポリマー(類)を含み、それぞれは2以上のTgを有し、好ましくは少なくとも8.3E−20g(50kDa)、好ましくは少なくとも1.2E−19g(70kDa)の重量平均分子量Mwを有する。
【0089】
好ましくは、湿潤伸張可能な材料は、25℃未満、好ましくは20℃未満、より好ましくは0℃未満、又はさらに−20℃未満のTgを有する1以上の第1の(ソフト)相(類)と、少なくとも50℃、又はさらに少なくとも55℃であるが、より好ましくは60℃を超える、又はさらに70℃を超える、あるいは特定実施形態では100℃を超えるTgを有する1以上の第2の(ハード)相(類)とを有するが、ただしTgとTgとの温度差は、少なくとも30℃、好ましくは少なくとも50℃、又はさらに少なくとも60℃、あるいは特定実施形態では少なくとも90℃である。
【0090】
こうしたブロックコポリマーは、少なくとも第1の重合されたホモポリマーセグメント(ブロック)及び少なくとも第2の重合されたホモポリマーセグメント(ブロック)を有し、それらは互いに重合され、ここで好ましくは第1の(ソフト)セグメントは、25℃未満、又はさらに20℃未満、又はさらに0℃未満のTgを有し、第2の(ハード)セグメントは、少なくとも50℃、又は55℃以上、好ましくは60℃以上又はさらに70℃以上のTgを有する。
【0091】
(少なくとも50℃のTgを有する)第2のハードセグメントの総重量平均分子量は、好ましくは少なくとも4.6E−20g(28kDa)、又はさらに少なくとも7.5E−20g(45kDa)である。
【0092】
第1のセグメントの好ましい重量平均分子量は、少なくとも8.3E−22g(500Da)、好ましくは少なくとも(1.7E−21g(1000Da)、又はさらに少なくとも3.3E−21g(2000Da)であるが、好ましくは1.3E−20g(8000Da)未満、又はさらに8.3E−21g(5000Da)未満である。
【0093】
ブロックコポリマーは、異なるソフトセグメントの混合物及び/又は異なるハードセグメントの混合物を含み、例えばそれぞれが異なるTgを有するが、全て25℃未満、又はさらに20℃未満、又はさらに0℃未満である異なるソフトセグメントの混合物、あるいは例えばそれぞれが異なるTgを有するが、全て50℃を超えるハードセグメントの混合物を含むのが好ましい場合がある。
【0094】
25℃未満、又はさらに20℃未満、又はさらに0℃未満のTgを有する第1セグメントの(ブロックコポリマーにおける)正確な重量レベルは、得られるコーティングの必要とされる引張り強度によって決まり、例えばブロックコポリマーにおける第1のセグメントの重量レベルを減少させることによって、引張り強度を増加させてもよい。しかし、第1のセグメントの重量パーセンテージが非常に低い場合、MVTRは所望される値よりも低くなる場合がある。
【0095】
しかし、第1の(ソフト)セグメントの総量は、通常は、ブロックコポリマー全体の20重量%〜95重量%、又はさらに20重量%〜70重量%、又はより好ましくは30重量%〜60重量%、又はさらに30重量%〜40重量%である。さらに、ソフトセグメントの総重量レベルが70重量%を超える場合、個々のソフトセグメントは8.3E−21g(5000Da)未満の重量平均分子量を有するのがさらにより好ましい。
【0096】
本明細書で有用なブロックコポリマー類は、分子間水素結合を有するブロックコポリマー類であるのが好ましい。
【0097】
本明細書で有用なブロックコポリマー類は:ポリウレタン(コ)ポリエーテル類、ポリウレタン(コ)ポリエステル類、ポリウレタン/尿素−co−ポリエーテル類又は−co(ポリ)エステル類、ポリスチレンブロックコポリマー類、水素添加ポリスチレンブロックコポリマー類、ポリエステル(コ)ポリエーテル類、ポリエステル(コ)ポリエーテル類、ポリアミド−co−ポリエーテル類又は−co(ポリ)エステル類、ポリオキシエチレン−co−ポリエピクロロヒドリンから選択されるのが好ましい。
【0098】
ポリウレタン−co−ポリ(エチレングルコール)、ポリウレタン−co−ポリ(テトラメチレングリコール)、及びポリウレタン−co−ポリ(プロピレングリコール)及びこれらの混合物が好ましい。
【0099】
ポリウレタン(ハード)セグメントは、ジイソシアネートと、ジオール、例えばブタンジオール、又はシクロヘキサンジオールとの重合反応から、あるいは好ましくは芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、又はこれらの混合物との重合反応から得られるのが好ましい。
【0100】
本明細書のブロックコポリマー類のポリウレタンセグメントを形成するために使用される好ましいジイソシアネートは、メチレンビス(フェニルイソシアネート)である。
【0101】
次いでハードセグメントは、マクロジオールと反応して、好ましい相分離性ポリウレタンブロックコポリマーを形成する。
【0102】
エラストマー相分離性材料は、ポリ(エチレングリコール)が得られるコーティングの通気性を高めるので、(20℃未満のTgを有する第1の(ソフト)セグメントとして)ポリ(テトラメチレングリコール)、又はより好ましくはポリ(エチレングリコール)セグメントを有するブロックコポリマーを含むのが好ましい場合がある。また、こうした第1の(ソフト)セグメントの分子量パーセンテージ(上述されるようにブロックコポリマー全体の重量に対する)は、必要とされる通気性を提供するために選択されることができる、例えばこうしたセグメントのパーセンテージが高いと、より通気性の高いコーティングが得られる。
【0103】
好ましいブロックコポリマー類は、ベクター(Vector)4211、ベクター4111、セプトン(Septon)2063、セプトン2007、エスタン(Estane)58245、エスタン4988、エスタン4986、エスタンT5410、イログラン(Irogran)PS370−201、イログランVP654/5、ペレタン(Pellethane)2103−70A、エラストラン(Elastollan)LP9109である;エスタンは、ノベオン社(Noveon Inc.)(米国オハイオ州44 141−3247、クリーブランド(Cleveland)、ブレックスビルロード(Brecksville Road)9911)の商標名である。ベクターは、デクスコ・ポリマーズ(Dexco Polymers)(米国テキサス州77079、ヒューストン、ウィックチェスターレーン(Wickchester Lane)12012)の商標名である;セプトンは、セプトン社(Septon Company of America)、クラレグループ社(Kuraray Group Company)(米国テキサス州77507、パサデナ(Pasadena)、チョートロード(Choate Road)11414)の商標名である;イログランは、ハンツマン・ポリウレタンズ(Huntsman Polyurethanes)(米国ニューハンプシャー州03038、デリー(Derry)、ケンダルポンドロード(Kendall Pond Road)52)の商標名である;ペレタンは、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(米国ミシガン州48674、ミッドランド(Midland)、ダウセンター(Dow Center)2040)の商標名である;エラストランは、BASF(ミシガン州48192、ワイアンドット(Wyandotte)、ビドルアベニュー(Biddle Avenue)1609)の商標名である。
【0104】
本明細書のコーティング剤に有用な別の部類の好ましい材料は、市販の湿潤伸張可能なエラストマーラテックス材料、例えば、ヒストレッチ(Hystretch)、ビナムール(Vinamul)、デュロセットエリート(Dur-O-Set Elite)、ジェンフロ(GenFlo)及びアクリゲン(AcryGen)シリーズ、特にヒストレッチV43、ヒストレッチV60、ヒストレッチV23、ビナムール3301、ビナムール・デュロセットエリート・ウルトラ、ビナムール・デュロセットエリート21、ロベンヌ(Rovene)4151、ロベンヌ5550、ジェンフロ3075、ジェンフロ3088、ジェンフロ3000、サンクリル(Suncryl)CP−75、アクリゲンDV242DX、アクリゲン1900Dである。
【0105】
ヒストレッチは、ノベオン社(Noveon Inc.)(米国オハイオ州44 141−3247、クリーブランド(Cleveland)、ブレックスビルロード(Brecksville Road)9911)の商標名である。ビナムール及びデュロセットエリートは、ビナムール・ポリマーズ(Vinamul Polymers)(オランダ、6161RDヘレーン、De Asselen Kuil20)の商標名である。ロベンヌは、マルラード・クリーク・ポリマーズ(Mallard Creek Polymers)(米国ノースカロライナ州28262、シャーロット(Charlotte)、マルラードクリークロード(Mallard Creek Road)14700)の商標名である。ジェンフロ、アクリゲン及びサンクリルは、オムノバ・ソリューションズ(Omnova Solutions Inc.)(米国オハイオ州44305−4418、アクロン(Akron)、ギルクリストロード(Gilchrist Road)2990)の商標名である。
【0106】
特に好ましいコーティング剤は、例えば、米国特許第4,734,445号;米国特許第4,835,211号、米国特許第4,785,030号;EP0 799 258B1(これらは全て本明細書に参考として組み込まれる)に記載される表面親水性弾性ラテックス(SHEL)を含む。こうした特に好ましいSHEL材料は、通常は、(1)水、水混和性溶媒及びこれらの混合物から成る群から選択される液相;並びに(2)液相中に分散する有効量のラテックス粒子を含む。こうした粒子は、エラストマー疎水性コアと、そのエラストマーコアと一体化した外側親水性シェルを含む。粒子の親水性シェルは、結局それらから形成されたフィルムの親水性表面に変換され、有利なことにまた液相中のコロイドとして粒子を安定化する。シェルは、連結基L−を介してコアに結合する親水性部分−Xを含む。液相を取り除いた場合、粒子は、実質的に永久的に親水性の表面を有するエラストマーフィルムを形成する。SHEL組成物は、親水性表面と、可撓性、弾性及び強度のような他の特性と組み合わせた表面親水性とを有するエラストマーフィルムを形成する望ましい特性を有する。
【0107】
湿潤伸張可能な材料の混合物がコーティング剤に存在してもよい。
【0108】
湿潤伸張可能な材料に加えて、コーティング剤はまた他の構成成分を含んでもよい。
【0109】
本明細書のコーティング剤に使用するための好ましいポリマーエラストマー材料は、ひずみ硬化及び/又はひずみ結晶化である。ひずみ硬化は、ゴム状安定期の後に生じ、ひずみの増大に伴う応力の素早い増加である。ひずみ硬化は、フィルムに配向を生じ、引き延ばし方向の伸張に対する耐性を大きくすることができる。
【0110】
ひずみ結晶化である一部のエラストマーポリマー類が存在するが、この特性はまた、ポリマーに物質を添加又はブレンドすることによって付与することができる。本明細書においてコーティング剤は、湿潤伸張可能な材料のひずみ硬化及び/又はひずみ結晶化を増大させる追加の構成成分、例えば有機又は無機充填剤を含んでいてもよい。無機充填剤の非限定例としては、種々の非水溶性塩類、及びその他の(好ましくはナノ粒子)物質、例えば化学的に変性されたシリカ、例えば合成ゴムのための充填剤として入手可能な活性シリカ又は半活性シリカと呼ばれるものが挙げられる。こうした充填剤の例は、ウルトラシル(UltraSil)VN3、ウルトラシルVN3P、ウルトラシルVN2P、及びウルトラシル7000GR(デグサ(Degussa AG)(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン、D−60287、ヴァイスフラウエンシュトラッセ(Weiβfrauenstraβe)9から入手可能)である。
【0111】
好ましい充填剤は、本明細書に記載される方法において流動剤として有用な有機又は無機化合物であり、それらは通常、コーティングされた水膨潤性材料又はコーティングされる水膨潤性ポリマー類のべたつき感を低減する。こうした流動助剤の例は、半活性又は疎水性シリカ、ユリアホルムアルデヒド、(ナトリウム)シリケート、珪藻土、粘土類である。
【0112】
コーティング剤及び/又は湿潤伸張可能な材料は、好ましくは親水性であり、特に表面親水性である。表面親水性は、当業者に既知の方法によって決定されてもよい。好ましい手法において、親水性コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料は、吸収される液体(0.9%塩水;尿)によってぬれる材料である。それらは、90°未満の接触角を特徴とする場合がある。接触角は、例えば、Kruess(ドイツ)から入手可能な、ビデオーベースの接触角測定装置Kruss G10−G1041を用いて、又は当該技術分野において既知の他の方法によって測定されることができる。
【0113】
得られた水膨潤性材料は親水性であるのが好ましい場合もある。水膨潤性材料の親水性は、同時係属中の出願EP03014926.4に記載されるように測定されてもよい。
【0114】
湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤自体が親水性でない場合、例えば界面活性剤、プラズマコーティング、プラズマ重合、又は当業者に既知のその他の親水性表面処理で処理することにより、親水性にすることができる。
【0115】
親水性コーティング剤を製造するために添加される、又は得られるコーティングされた水膨潤性ポリマー類に後で添加される好ましい化合物は、例えば:N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸、N−アセチル−グリシン、β−アラニン、アルミニウム−ヒドロキシ−アセテート、N−アミジノ−グリシン、2−アミノエチル−リン酸水素塩、2−アミノエチル−硫酸水素塩、アミノ−メタンスルホン酸、マレイン酸(Maleinic acid)、アルギニン、アスパラギン酸、ブタン−二酸、ビス(1−アミノグアニジニウム)サルフェート、2−オキソ−プロピオン酸、トリ−カルシウムジシトレート(dicitrae)、カルシウムグルコネート、カルシウムサッカラート、カルシウム−チトリプレックス(Titriplex)(登録商標)、カルニチン(Carnitin)、セロビオース、シトルリン(Citrullin)、クレアチン(Creatin)、ジメチルアミノ酢酸、THAM−1,2−ジスルホン酸、エチレンジアンモニウムサルフェート、フルクトース、フマル酸、ガラクトース、グルコサミン、グルコン酸、グルタミン、2−アミノ−グルタル酸、グルタル酸、グリシン、グリシルグリシン、イミノ二酢酸、マグネシウムグリセロホスフェート、シュウ酸、テトラヒドロキシ−アジピン酸(adipinic acid)タウリン、N−メチル−タウリン、N−トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N−(トリス−(ヒドロキシメチル)−メチル)−2−アミノエタンスルホン酸である。
【0116】
あるいは、コーティング剤は、親水性を向上させる量のナノ粒子を含む親水性向上組成物で親水性にすることができる。親水性を向上させる量とは、その組成物が適用される基材をより親水性にするのに十分な、親水性向上組成物中に存在するナノ粒子の量を意図している。こうした量は、当業者に容易に確かめられ、それは、使用される物質、使用されるナノ粒子、得られた水膨潤性材料の所望の親水性が挙げられるが、これらに限定されない多くの要因に基づく。
【0117】
ナノ粒子は、ナノメートルの桁を有する一次粒径、すなわち直径を有する粒子である。すなわち、ナノ粒子は約1〜約750ナノメートル(nm)の範囲の粒径を有する。約2nm〜約750nmの範囲の粒径を有するナノ粒子は経済的に生産できる。ナノ粒子の粒径分布の非限定例は、約2nm〜約750nm未満、あるいは約2nm〜約200nm未満、あるいは約2nm〜約150nm未満の範囲内に入るものである。
【0118】
ナノ粒子の粒径は、ナノ粒子の最大直径であり、当業者に既知のいずれかの方法によって測定されてもよい。
【0119】
種々の種類のナノ粒子の平均粒径は、ナノ粒子の粒径の個々の粒径とは異なっていてもよい。例えば、層状合成シリケートは約25nmの平均粒径を有し得るが、その粒径分布は一般に約10nm〜約40nmの間で変化し得る。(本明細書で記載される粒径は、それらが水性媒体に分散されている場合の粒子に関するものであり、平均粒径は粒子数分布の平均に基づくものであることを理解されるべきである。)ナノ粒子の非限定例としては、約2〜約750ナノメートルの粒径を有する結晶性又は非晶質粒子を挙げることができる。ベーマイトアルミナは2〜750nmの平均粒径分布を有することができる。
【0120】
親水性向上組成物はナノ粒子からなってもよく、その場合ナノ粒子は、表面処理剤に、又は例えば工程b)の方法に直接添加される。
【0121】
あるいは、ナノ粒子は他のキャリア成分、例えば溶媒又は分散化(disperent)液と共に組成物に存在し、好ましい一実施形態では、ナノ粒子は液体中の分散液として工程b)に適用される。親水性向上組成物がナノ粒子から成ってはおらず、他の成分を含む場合、ナノ粒子は親水性向上組成物に、組成物の約0.0001重量%〜約50重量%、好ましくは約0.001重量%〜約20重量%又はさらに15重量%まで、より好ましくは約0.001重量%〜約10重量%のレベルで存在するのが好ましい。
【0122】
有機又は無機ナノ粒子のいずれかが、親水性向上組成物に使用されてもよく、無機ナノ粒子が好ましい。無機のナノ粒子は、一般に、酸化物類、ケイ酸塩類、炭酸塩類、及び水酸化物類として存在する。幾つかの層状粘土鉱物類及び無機金属酸化物類は、ナノ粒子の例であることが可能である。本明細書で使用されるのに好適な層状の粘土鉱物には、地質学的分類のスメクタイト類、カオリン類、イライト類、緑泥石類、アタパルジャイト類、及び混合層状粘土類のものが挙げられる。これらの分類に属する具体的な粘土類の典型的な例は、スメクタイト類(smectices)、カオリン類、イライト類、クロライト類、アタパルジャイト類及び混合層状粘土類である。スメクタイト類としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、葉蝋石、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、ノントロナイト、タルク、バイデライト、ボルコンスコイト(volchonskoite)が挙げられる。カオリン類には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、アナウキシト(anauxite)、ハロイサイト、インデライト、及びクリソタイルが挙げられる。イライト類は、ブラバイサイト(bravaisite)、白雲母、パラゴナイト(paragonite)、金雲母及び黒雲母、及びバーミキュライトを含む。クロライト類には、コレンサイト(corrensite)、ペニナイト(penninite)、ドンバサイト(donbassite)、スドイト(sudoite)、ペナイン(pennine)及びクライノクロア(clinochlore)が挙げられる。アタパルジャイト類には、海泡石及びポリゴルスカイト(polygorskyte)が挙げられる。混合層状粘土類には、アレバルダイト(allevardite)及びバーミキュライトバイオタイトが挙げられる。このような層状粘土鉱物類の変異型及び同型の置換体は、独特の用途を提供する。
【0123】
層状粘土鉱物類は、天然に存在する物又は合成物のいずれかであってよい。コーティング組成物の非限定的な一実施形態の例は、天然又は合成のヘクトライト類、モンモリロナイト類、及びベントナイト類を使用する。別の実施形態では市販のヘクトライト粘土類が使用され、市販のヘクトライト類の代表的な供給源は、サザン・クレー・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc.)(米国)からのラポナイト(LAPONITE)(商標);R.T.バンダービルト(R.T.Vanderbilt)(米国)からのビーガムPro(Veegum Pro)及びビーガムF(Veegum F);及びバロイド・ディビジョン、ナショナル・リード社(Baroid Division,National Read Comp.)(米国)からのバラシム(Barasyms)、マカロイド(Macaloids)及びプロパロイド(Propaloids)である。
【0124】
本明細書の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は合成ヘクトライト、ケイ酸リチウムマグネシウムを含む。このような好適なケイ酸リチウムマグネシウムの1つは、次の式を有するラポナイト(LAPONITE)(商標)である:
[MgLiSi20OH4−yz−
式中、w=3〜6、x=0〜3、y=0〜4、z=12−2w−xであり、全体として負の格子電荷は、対イオンによって平衡を保たれており、対イオンは、Na、K、NH、Cs、Li、Mg++、Ca++、Ba++、N(CH、及びこれらの混合物から成る群から選択される。(ラポナイト(LAPONITE)(商標)がカチオン性有機化合物で「変性」されている場合、「対イオン」は、いずれかのカチオン性有機基(R)とみなすことができる。)
【0125】
他の好適な合成ヘクトライトには、ラポナイト(LAPONITE)(商標)の同型置換型、例えばラポナイトB(商標)、ラポナイトS(商標),ラポナイトXLS(商標)、ラポナイトRD(商標)、ラポナイトXLG(商標)、及びラポナイトRDS(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
ナノ粒子はまた、酸化チタンシリカ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない無機酸化物類を包含する、他の無機物質であってもよい。他の好適な無機酸化物類としては、アルミナ及びシリカの種々の他の無機酸化物類がある。
【0127】
本明細書の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は、水分散性の無機金属酸化物であるベーマイトアルミナ([Al(O)(OH)])を含み、これは、約2nm〜約750nm以下の平均粒径分布を包含する、種々の粒径又は粒径の範囲を有するように調製できる。例えば、ノース・アメリカン・セイソル社(North American Sasol,Inc.)から、平均粒径分布が25nm前後のベーマイトアルミナのナノ粒子が商標名ジスペラル(Disperal)P2(商標)として、また平均粒径分布が140nm前後のナノ粒子が商標名ジスパール(Dispal)(登録商標)14N4−25として入手可能である。
【0128】
本明細書の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は、二酸化チタン、ベーマイトアルミナ、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウム類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0129】
親水性向上組成物中でのナノ粒子の混合物の使用もまた、本明細書の範囲内である。
【0130】
所望により、水に加えて又は水の代わりに、キャリアは低分子量の有機溶媒を含むことができる。好ましくは、溶媒は水への溶解度が高く、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノールなど、及びこれらの混合物である。低分子量のアルコール類は、ナノ粒子分散液の表面張力を減少させて基材の湿潤性を改善することができる。このことは特に基材が疎水性である場合に役立つ。低分子量のアルコール類はまた、処理された基材を速く乾燥させるのにも役立つ。任意の水溶性低分子量溶媒は、あらゆる好適なレベルで使用することができる。キャリアは、コーティング組成物の約10重量%〜約99重量%、あるいは約30重量%〜約95重量%を包含するが、これらに限定されない、組成物のいかなる好適な量をも構成することができる。
【0131】
親水性向上組成物はまた、有機、例えばいわゆるナノラテックスであるラテックスナノ粒子を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「ナノラテックス」とは、粒径が約750nm以下のラテックスである。「ラテックス」とは、通常は球形の水不溶性ポリマー粒子の分散液である。ナノラテックスは、エマルション重合によって形成してもよい。「エマルション重合」とは、界面活性剤を用いてラテックスのモノマー類を水に分散させ、安定したエマルションを形成した後で、重合化する方法である。約2〜約600nmの範囲のサイズを取り得る粒子が通常生成される。ナノラテックスが湿潤伸張可能な材料、例えばフィルム形成エラストマーポリマー類である場合、それらは本発明の趣旨上、コーティング剤として考えられ、親水性向上組成物(の一部)とは考えられない。
【0132】
界面活性剤は、本明細書のコーティング剤の追加成分として、又は本明細書の処理工程a)又はb)の追加成分、例えば基材上のコーティング剤の分散を促進するための湿潤剤として特に有用である。界面活性剤は、コーティング組成物が疎水性基材を処理するために使用される場合には、包含されるのが好ましい。
【0133】
好適な界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性(amphoteric)界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物を含む群から選択することができる。本明細書の組成物に有用な界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986年)、アルレッド・パブリッシング社(allured Publishing Corporation)出版;マカッチャンの「機能性材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992年);米国特許第5,707,950号及び同第5,576,282号;及び米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に開示されている。
【0134】
コーティング組成物に界面活性剤が使用される場合、界面活性剤はコーティング組成物を適用するのに又は適用を促進するのに有効な量で添加されてよい。界面活性剤は、存在する場合、典型的には組成物の約0.0001重量%〜約60重量%、好ましくは約0.001重量%〜約35重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約25重量%のレベルで組成物中に使用される。
【0135】
典型的には約0.001重量%〜約60重量%のレベルにおいて本明細書で有用な、好ましい非イオン性界面活性剤を包含する界面活性剤の非限定例としては、非イオン性及び両性イオン性界面活性剤、例えばいわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシレート類を包含するC12〜C18アルキルエトキシレート類(「AE」)及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(特にエトキシレート類及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン類及びスルホベタイン類(「スルタイン類」)、C10〜C18アミンオキシド類などが挙げられる。他の部類の有用な界面活性剤は、シリコーン界面活性剤及び/又はシリコーン類である。それらは、単独で、及び/又は本明細書で記載したアルキルエトキシレート界面活性剤と組み合わせて使用できる。シリコーン界面活性剤の非限定例は、以下の一般式を有する、ジメチルポリシロキサン疎水性部分と1以上の親水性ポリアルキレン側鎖とを有するポリアルキレンオキシドポリシロキサン類である:
−(CHSiO−[(CHSiO]−[(CH)(R)SiO]−Si(CH−R
式中、a+bは約1〜約50であり、各Rは同じか又は異なっており、メチル、及び一般式:−(CHO(CO)(CO)を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から成る群から選択され、式中、nは3又は4であり、cの合計(すべてのポリアルキレンオキシ側基に対する)は1〜約100、あるいは約6〜約100の値を有し、dの合計は0〜約14であり、あるいはdは0であり、c+dの合計は約5〜約150、あるいは約9〜約100の値を有し、各Rは同じか又は異なっており、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基から、あるいは水素及びメチル基から成る群から選択される。各ポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基である少なくとも1つのR基を有する。シリコーン超湿潤剤は、ダウ・コーニング(Dow Corning)から、シリコーングリコールコポリマー類(例えば、Q2−5211及びQ2−5212)として入手可能である。
【0136】
界面活性剤の混合物を使用することもまた、本発明の範囲内である。
【0137】
コーティング剤は、流体形態、例えば溶融物(又はいわゆるホットメルト)、溶液又は分散液で適用されるのが好ましい。水ベースの溶液又は分散液が好ましい。故に、本発明の背景において、当該技術分野において通常使用されるように、本明細書で言及されるラテックスは、通常は、特定ラテックスポリマー類の水ベース分散液として適用され、ここでポリマーラテックス粒子(通常は球形)は、水ベースの液体に懸濁又は分散(安定)する。
【0138】
そのため、コーティング剤はまた、溶媒又は分散化液、例えば水、THF(テトラヒドロフラン)、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジクロロメタン、シクロヘキサン、あるいは湿潤伸張可能な材料(例えばエラストマーポリマー)を溶解又は分散でき、続いて(乾燥)コーティングシェル又は層を形成するなどのように蒸発されることができるその他の溶媒又は分散化液を含んでもよい。
【0139】
当業者に既知のように、特に水分散液中に低量のポリマーを有するラテックス分散液では粘度が低下し、コーティング剤の良好な展着が可能になる。一方、水分散液中に多量のポリマーが存在し、フィルムの質及び凝集を助け、ドライオフ又は蒸発される必要がある液体量を最小限にするのが好ましい。そのため、当業者は、十分高いが所望のコーティングが得られない程低く過ぎないようにする方法を知っている。
【0140】
好ましくは、コーティング剤は、0重量%〜95重量%の水のような分散化液又は溶媒を含む。コーティング剤は、少なくとも(コーティング剤の)10重量%、より好ましくは20重量%〜80重量%、又はさらに30重量%〜70重量%の湿潤伸張可能な材料を含むのが好ましく、残りのパーセンテージは、本明細書に記載される前記液体及び/又は充填剤/又は親水性助剤、展着助剤などである。
【0141】
上記で概要されたように、湿潤状態で都合の良い機械的特性を提供することに加えて、本発明の好ましいコーティング剤はまた、それらの特性を顕著に低下させることなく、吸収性物品又は構造への加工に耐えるために、機械的磨耗に対する高い耐性のようなその他の所望の特性を有するのが好ましい。それらはまた、無色又は白色及び不透明であるのが好ましく、さらに例えば臭いを制御し、香料を放出するなどのような他の物質を含有してもよい。
【0142】
(固体の水膨潤性材料を製造する本発明の方法)
本発明の方法は、
a)水膨潤性ポリマー類を得る工程;及び
b)工程a)と同時に又は工程a)に続いて、コーティング剤を前記水膨潤性ポリマー類の少なくとも一部に適用し、ここで前記コーティング剤は本明細書にて定義される通りである工程を含み;一実施形態においては、
c)工程b)で得られた前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類をアニーリング及び/又は硬化して、本明細書の前記水膨潤性材料を得る工程を含む。
【0143】
工程a)において、本明細書で上述されるように水膨潤性ポリマー類を「得ること」は、市販の水膨潤性ポリマー類を使用すること、又は水膨潤性ポリマー類を前駆体から既知のいずれかの方法によって形成することを含む。それはまた、例えば工程a)及びb)を同時に行うという可能性、及び工程a)が、関連するポリマー前駆体を反応させて、コーティング工程b)と同一反応条件/媒体で水膨潤性ポリマーを形成することを含む可能性を包含し:例えば、ポリマー前駆体及びコーティング剤は共に混合できる。任意の処理工程は、工程a)及び/又はb)の前に、又は同時に行ってもよく、例えば水膨潤性ポリマーは、工程b)の前に表面架橋されてもよく、又はコーティング剤若しくは水膨潤性ポリマー類は、工程b)の前に親水性処理に供されて、より親水性にされてもよいことに留意すべきである。
【0144】
一般に、工程a)は、水膨潤性ポリマー類を固体形態、例えば粒子状の形態で得ることを含む。
【0145】
コーティング工程b)は、既知の方法のいずれかによって行われてもよく、例えば水膨潤性ポリマー類(又はそれらの前駆体)をコーティング剤、又はそれらの溶融物若しくは溶液若しくは分散液に混合又は分散することによって;コーティング剤、又はそれらの溶融物(ホットメルト)若しくは溶液若しくは分散液をポリマー類に噴霧することによって;コーティング剤、又はそれらの溶融物若しくは分散液若しくは溶液、及び水膨潤性ポリマー類(又はそれらの前駆体)を流動床又はウルスター(Wurster)コーターに送入することによって;コーティング剤、又はそれらの溶融物若しくは溶液若しくは分散液、及び水膨潤性ポリマー類(又はそれらの前駆体)を凝集させることによって;(粒子状)水膨潤性ポリマー類をコーティング剤、又はそれらの溶融物若しくは分散液若しくは溶液にディップコーティングすることによって行ってもよい。他の好適な混合器として、例えばツインドラムミキサー、いわゆる「ジクザグ」ミキサー、プラウ−シェア(plough-share)ミキサー、例えばLodigeミキサー、コーンスクリューミキサー、又は同軸回転ブレードを有する垂直円筒形ミキサーが挙げられる。好ましいコーティング方法の例は、例えば米国特許第5,840,329号及び米国特許第6,387,495号に記載されている。
【0146】
本発明の代替実施形態において、コーティング工程b)は、発泡体の形態、好ましくは連続気泡発泡体の形態のコーティング剤を適用することによって行われ、多孔質コーティングを導いてもよい。さらなる代替実施形態では、コーティング工程は、例えばメルトブロウンマイクロファイバーの形態のコーティング剤を適用することにより、繊維性網状組織を水膨潤性材料の表面に形成することによって行ってもよく、それによって(本明細書に記載されるように)本質的に連結したコーティングを形成する。
【0147】
コーティング剤を適用するために、それは水及び/又は有機溶媒、所望により水混和性溶媒のような溶媒を含んでもよい。好適な有機溶媒は、例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、アミド類及びケトン類である。好適な水混和性溶媒は、例えば、脂肪族アルコール類、多価アルコール類、エーテル類、アミド類及びケトン類である。
【0148】
コーティング剤が(市販の)ラテックス分散液の形態である場合、例えばコーティング層の良好なフィルム形成を助けるために、コーティング工程b)に続いて、又は工程b)の前に、処理助剤(例えば凝集助剤)を添加するのがさらに好ましい場合がある。
【0149】
本発明者らは、特定実施形態において、結果としてコーティング剤をアニーリング及び/又は硬化する後続の熱処理が、湿潤状態での高い伸張性を付与するのに重要であることを見出した。一部の湿潤伸張可能な材料はそれ自体既に高い湿潤伸びを有する場合もあるが(例えば当業者に既知のように、例えばポールA.ステュワード(Paul A.Steward)ら、コロイド及び界面科学の進展(Advances in Colloid and Interface Science)86(2000年)195〜267「ポリマーラテックスフィルム形成及び特性の文献レビュー(Literature Review of polymer latex film formation and properties)」にさらに説明されるように、分散液からフィルムが形成された後、所望により続いて、材料を凝集させるのに十分高い中程度の温度にて乾燥する)、アニーリング及び/又は硬化工程(両方とも熱処理工程)を適用するのが有用な場合がある。
【0150】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、特に、高度に親水性であり及び/又は(通常球状の)ポリマー粒子の周りに形成される親水性シェルを有するラテックス材料に関して、追加の温度処理アニーリング工程は、それがポリマー鎖のより効率的な粒子間鎖拡散を可能にし、鎖のもつれを導き、それによって粒子境界の「不鮮明化」が生じるので有益であると考えられている。熱処理アニーリング工程は、鎖の相互拡散の程度を増大させ、フィルム強度を向上させると考えられている。それが親水性セル壁を壊し、粒子間の鎖拡散を促進する場合に、フィルムの湿潤強度を向上させる場合がある(例えば、M.ジョアニコット(M.Joanicot)ら、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1996年、29、4976〜4984「ラテックスフィルムの相互拡散(Interdiffusion in latex films)」を参照のこと)。
【0151】
コーティングされた水膨潤性ポリマー類をアニーリング及び/又は硬化する追加工程c)は、当該技術分野において既知の方法によって行われてもよい。アニーリング工程c)は、通常は、さらに強化された又はより連続の若しくはより完全に連結したコーティングを得る工程(通常は熱処理)を含み;硬化は、通常は、コーティング内での化学反応を行うこと、例えばコーティング中のポリマー類の架橋を行うことを含む。アニーリング及び硬化は、当業者に既知の現象であり、当業者は使用されるコーティング剤に適切なアニーリング及び/又は硬化温度を選択する方法を知るであろう。例えば、硬化可能なラテックスエマルションから形成されるコーティングのアニーリング温度は、硬化が生じる温度未満、例えば架橋が生じる温度未満になるように選択される。
【0152】
いずれにせよ、当業者はコーティングの分解が生じないようにアニーリング又は硬化温度を選択する。
【0153】
アニーリング及び/又は硬化工程は、アニーリング及び硬化の両方が生じる1つの熱処理工程であってもよい。
【0154】
あるいは、アニーリング(例えば熱処理)工程又は硬化(例えば、熱処理)工程のいずれかが生じてもよく、又はあるいはアニーリング工程及び硬化工程の両方が別の処理工程として生じてもよい。後者の場合、まずアニーリングが生じた後、硬化が生じるのが好ましい。
【0155】
第1の実施形態において、アニーリング及び/又は硬化工程は、少なくとも50℃、又はさらに少なくとも70℃、又はさらに少なくとも100℃、又はさらに少なくとも120℃、又はさらに少なくとも130℃、又はさらに少なくとも140℃の温度で、好ましくは少なくとも15分間、又はさらに少なくとも30分間、又はさらに少なくとも1時間、又はさらに少なくとも2時間で行われてもよい。
【0156】
好ましい実施形態において、湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、半結晶性又は結晶性であり、特定の融解温度Tmを有し、その場合任意のアニーリング工程はTm未満、好ましくはTmより少なくとも20℃低い温度で行われる。
【0157】
別の好ましい実施形態において、湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤は、本明細書に記載されるように、2以上Tgを有する相分離性である。この場合、アニーリング工程は、通常は、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を最も高いTgを超える温度(であるが、ポリマーの融解温度及びポリマーの分解温度未満である)に供することによって行われ、こうした温度は、本明細書に記載されるように、当該技術分野において既知の熱分析技術によって決定されることができる。
【0158】
通常は、2つのTgの温度差は少なくとも30℃であり、アニーリング温度は最も高い温度より少なくとも20℃高い又はさらに少なくとも50℃高いが、ただしTm未満である。
【0159】
例えば、アニーリング熱処理は、少なくとも70℃、又はさらに少なくとも100℃、又はさらに少なくとも120℃、又はさらに少なくとも130℃で、200℃まで、又はさらに250℃まで、又はさらに300℃までの温度に、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を加熱することを含む。例えばアニーリング工程は、少なくとも5分間、又はさらに少なくとも10分間、又はさらに少なくとも15分間、又はさらに少なくとも30分間、又はさらに少なくとも1時間、又はさらに少なくとも2時間で行われてもよい。
【0160】
(アニーリングされた)コーティングは、所望により硬化されて、例えば(さらに)共有架橋を導入し、湿潤伸張性をさらに増大させてもよい。
【0161】
好ましい硬化温度は、使用されるコーティング剤及び/又は湿潤伸張可能な材料に左右され、好ましい硬化温度は、通常はアニーリング温度より高い。例えば、硬化工程は、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を少なくとも140℃、又はさらに少なくとも160℃の温度に、少なくとも10分間、少なくとも30分間、又はさらに少なくとも1時間、又はさらに少なくとも2時間供し、硬化、例えばコーティング剤の湿潤伸張可能なポリマー類をさらに重合する又は架橋するなどの化学反応を行うことを含む。
【0162】
上述したように、アニーリング工程及び/又は硬化工程は、通常は、工程b)で得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー類の熱処理を含み;それは、例えば、放射線加熱、オーブン加熱、対流加熱;共沸加熱によって行われてもよく;(所望により、コーティングされたポリマー類を真空下に置くことも含む);それは、例えば流動床乾燥器のような乾燥ために使用される従来の設備で行われてもよい。
【0163】
同様に真空を適用する、又はアニーリングを不活性ガス下で行う(酸化を避けるために)のが好ましい場合がある。
【0164】
硬化及び/又はアニーリング工程の間、コーティングされた水膨潤性ポリマー類はまた同時に乾燥されてもよい。しかし、以下に記載されるように、好ましい実施形態において、コーティングされた水膨潤性ポリマー類は別の乾燥工程に供され、その工程は、アニーリング/硬化処理として上述される処理のいずれかを含んでいてもよいが、通常はアニーリング時間より長い時間で行われる。
【0165】
通常は、コーティング剤が(水ベースの)ラテックス分散液又は溶液の形態で適用される場合、乾燥工程でもあるアニーリング又は硬化工程は所望される2つの主要な効果を有する。まず第1に、存在する液体(例えば水)の大部分は、コーティングされた水膨潤性ポリマー類からコーティング層を通して乾燥又は硬化/アニーリング工程の間に除去されるので、コーティングは、例えばコーティングに「孔」を形成することによって透水性になり、それはさらに使用中、液体(尿)を後に吸収するのに有用である。第2に、コーティング自体は、凝集して湿潤伸張可能なフィルム、好ましくは弾性フィルムを形成する。通常は、温度及び時間は、良好なコーティング(フィルム)形成及び良好な凝集を可能にして、例えば機械的に強いコーティング(フィルム)を形成するように調整される。乾燥時間は、長いのが好ましく、例えば2時間を超え、通常は4時間を超え、好ましくは48時間までであり、その結果コーティング剤は完全に凝集できる(例えば、その結果コーティングのラテックス「粒子」が固体コーティングフィルムを形成するために変形される)。
【0166】
好ましくは、コーティング剤がフィルム形成剤であるか、又はフィルム形成性の湿潤伸張可能な材料を含む場合、アニーリング及び/又は硬化温度はまた、通常はコーティング剤又はその材料の最小フィルム形成温度(MFFT)を超える。
【0167】
得られた水膨潤性材料は好ましくは固体であり、そのため工程a)の水膨潤性ポリマー類又は工程b)で得られるコーティングされたポリマー類が固体でない場合、後続の処理工程は、工程b)で得られるコーティングされたポリマー類を固化する必要があり、例えば当該技術分野において既知のいわゆる固化又は好ましくは粒子形成工程を必要とする。これは、好ましくは工程c)の前に、又は同時に行われてもよい。
【0168】
固化工程は、本明細書に記載されるように、温度を上昇させるか、及び/又は真空を適用することによって、例えば水膨潤性ポリマー類及び/又は工程b)のコーティングされたポリマー類(工程bがいずれかの成分の分散液、懸濁液又は溶液を含む場合)を乾燥させることを含む。固化工程はまた、例えば溶融物を使用する場合は、冷却工程を含んでいてもよい。
【0169】
続いて、いずれかの既知の粒子形成方法も本明細書で使用してもよく、それにはアグロメレーション、押出成形、粉砕、及び所望により続いて必要とされる粒径分布を得るためにふるいにかけられることを含む。
【0170】
本発明者らは、水膨潤性ポリマー類のコアに湿潤伸張可能なコーティングを与える別の好ましい方法を見出したが、それはすなわち水膨潤性ポリマー(コア)の外側表面積より顕著に大きい表面積を有するコーティングを与えることによるものであり、その結果ポリマー類が膨潤したときにコーティングが「開いて」、伸びる。本発明者らは、こうしたコーティングされた水膨潤性ポリマー類を与える非常に簡便で都合の良い方法を見出したが、それはすなわち液体(例えば水)の吸収のために膨潤した状態にある水膨潤性ポリマー類にコーティング剤を適用し、次いで液体又はその一部を取り除くことによるものであり、その結果、本発明者らは、(コアの)水膨潤性ポリマー類は再び収縮するが、コーティングはその元の表面積を維持すると考える。この場合コーティングの表面積はポリマーコアの表面積より大きく、コーティングは通常しわが寄る。コーティングは、水膨潤性ポリマー類が水を吸収し、膨潤するときに、水膨潤性ポリマー類の膨潤によるコーティングのひずみ/応力を受けることなく、しわを伸ばすことができる。そのため、コーティング剤は、ひずみ又は応力にそれほど曝されることなく、破裂の危険性もなく、湿潤伸張可能になる。
【0171】
そのため、極めて好ましい方法は、水膨潤性ポリマー類(粒子)を得て、それらを液体(水)中の湿潤伸張可能な材料の分散液又は溶液に通常攪拌下で含浸する工程を含む。水膨潤性ポリマー類は液体を吸収し、それによって湿潤伸張可能な材料は自動的に水膨潤性ポリマー類(粒子)表面に「移動」する。水膨潤性ポリマー類の量並びに水及び湿潤伸張可能な材料の量は、水膨潤性ポリマー類が、分散液に存在するおよそ全ての水を吸収でき、これが達成されるときにラテックスでコーティングされた水膨潤性ポリマー類がゲル「粒子」の形態であるように、調整することができる。得られたコーティングは、通常はゼロひずみ/応力下にある。
【0172】
本方法はまた、いずれかの工程にてさらなる処理助剤、例えば造粒助剤、流動助剤、乾燥助剤を添加することを含んでもよい。特定種類のコーティング剤について、コーティングされた水膨潤性ポリマー類は潜在的に凝集体を形成し得る。当該技術分野において既知のいずれかの流動助剤は、(例えば、以下で議論されるように、コーティング工程の前又は間、あるいは好ましくは乾燥及び/又はアニーリング及び/又は架橋工程の間)添加されてもよく、例えばデグサ(Degussa)から入手可能なアエロジル(Aerosil)200は良好な流動助剤であることを見出した。
【0173】
本方法は、上述されるように、コーティング工程b)を促進するために、展着助剤及び/又は界面活性剤の添加を含むのが極めて好ましい場合がある。
【0174】
コーティング剤がラテックス分散液の形態である場合、追加の展着助剤又は界面活性剤の選択は、分散液の所望の安定性によって左右される。例えば分散液がアニオン性乳化剤も含有する場合、アニオン性界面活性剤は、ラテックス分散液の安定性に負の影響を与えることのない展着助剤として使用されてもよい。
【0175】
あるいは、続いてカチオン性界面活性剤を使用してラテックス分散液中のポリマーを水膨潤性ポリマーの表面に沈殿させるのが望ましい場合もある。好ましい展着助剤は、ラテックス分散液に添加される場合に、既に乾燥されたラテックスフィルム上のラテックス分散液の接触角を小さくするものである。展着剤/界面活性剤の特定の選択は、当業者によって容易に認識されることができ、それは本明細書にて上述されるものを含む。
【0176】
(使用)
本発明の水膨潤性材料は、多数の用途に有用であり、その用途には、例えば好ましくは陰唇間製品、生理用ナプキン、パンティライナー、好ましくは成人失禁製品、乳児用おむつ、おむつ(nappies)及びトレーニングパンツのような使い捨て吸収性物品などの吸収性構造におけるものが挙げられる。しかし、本発明は本明細書に列挙されるこうした吸収性構造には関係しない。
【0177】
(本方法の実施例及び方法によって製造される材料)
本発明の処理工程a)に使用するのに特に有用な水膨潤性ポリマー類の調製
実施例1.1:球状水膨潤性ポリマー粒子の調製方法:
球状コアポリマー粒子は、UMSICHT(フラウンホーファー研究所(Fraunhofer Institut Umwelt,Sicherheits-,Energietechnik))(ドイツ、オーバーハウゼン)から得てもよく、又は以下の適合された手順に従って製造してもよい:
40gの氷結アクリル酸(AA)をビーカーに入れ、1712mgのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)を酸の中に溶解させる。別個に13.224gの固体NaOHを58.228gの水に溶解させ、冷却する。次いでNaOH溶液をアクリル酸に除々に添加し、得られた溶液を4〜10℃にチルドする。
【0178】
第2のビーカーにて400mgのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)及び400mgのメタ重亜硫酸ナトリウムを混合し、99.2mlの水に溶解する。この溶液も4〜10℃にチルドする。
【0179】
2つの同じぜん動ポンプを用い、両方の溶液を合わせ、ショートスタテティックミキサーユニットに同じ速度でポンプ輸送し、その後それらを個々の液滴として、加熱された長さ約2mのガラス管にある60〜80℃のホットシリコーンオイル(Roth M50、カタログ番号4212.2)に滴下する。ポンプ速度は、個々の液滴が管中のオイルの中に沈むと共に、ミキサーユニットにおける早期の重合を回避するように調整される。重合は、オイルを通る液滴の降下の間に進み、粒子(ゲル化ポリマー液滴)が形成され、それは管の最下部に取り付けられた加熱された1lの三角フラスコにて回収することができる。
【0180】
添加終了後、オイルを冷却させ、オイルを排出させることによって球体を回収する。過剰のオイルを、i−プロパノールで洗浄することによって除去し、粒子(球体)を、過剰のi−プロパノールに12〜24時間曝すことによってプレ乾燥させる。i−プロパノールによる追加の洗浄は、微量のシリコーンオイルを除去するために必要な場合がある。次いで、粒子(球体)を、一定重量になるまで60〜100℃で真空オーブンにて乾燥させる。
【0181】
MBAAの量は、得られたポリマー類から必要とされる特性に応じて調整されてもよく、例えば0.3モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約50g/gのCCRC(当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される方法によって測定される場合、0.9%塩水溶液の吸収)を有し;1.0モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約19g/gのCCRCを有し;2.0モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約9g/gのCCRCを有する。
【0182】
全ての化合物は、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)によって得られ、さらに精製することなく使用した。
【0183】
実施例1.2:本明細書で有用な水膨潤性ポリマー類の調製方法:
300gの氷結アクリル酸(AA)に、適量のコア架橋剤(例えば、メチレンビスアクリルアミド、MBAA)を添加し(上記参照)、室温で溶解させる。2500mlの樹脂製ケトル(温度計、注射器の針、及び所望により機械的攪拌器を導入するのに適した、隔膜で閉じられた4つ口のガラスカバーを備える)にこのアクリル酸/架橋剤溶液を入れる。通常は、内容物全体を混合できる磁性攪拌器を添加する。水の量は、重合成分全ての総量が1500g(すなわち、AAの濃度が20w/w%である)に等しくなるように計算される。300mgの反応開始剤(ワコ・ケミカルズ(Waco Chemicals)からの「V50」)を、約20mlのこの計算された量の脱イオン水に溶解させる。大部分の水を樹脂製ケトルに添加し、混合物をモノマー及び水が十分に混合されるまで攪拌する。次いで反応開始剤溶液を残りの水と共に混合する。樹脂製ケトルを閉じ、圧力解除を、例えば2つの注射器の針を隔膜に通すことによって行う。次いで溶液を、約300RPMにて攪拌しつつ、80cmの注入針によってアルゴンを勢いよくパージする。アルゴンパージを継続させるが、攪拌は約8分後に停止させる。溶液は、通常は全部で12〜20分後にゲル化し始める。この時点で、持続性の泡がゲル表面に形成され、アルゴン注入針がゲル表面の上方に上昇する。アルゴンパージを低流量で継続する。温度をモニターし、通常は、1時間以内に温度が20℃から60℃〜70℃まで上昇する。温度を60℃未満に下げた後、ケトルを循環オーブンに移し、60℃にて15〜18時間維持する。
【0184】
この後、樹脂製ケトルを冷却させ、得られたゲルを平らなガラス皿に取り出す。次いでゲルをはさみで小片(例えば2mmの最大寸法よりも小さいもの)に破断又は切断し、6lのガラスビーカーに移す。ポリマーの75%の酸基を中和するのに必要な量のNaOH(50%)を、DI水を用いて2.5lに希釈し、ゲルに素早く添加する。液体が全て吸収されるまでゲルを攪拌し;次いでそれを覆い、60℃のオーブンに移し、2日間平衡にさせる。
【0185】
この後、ゲルを冷却させ、次いで2つの平らなガラス皿に分割し、真空オーブンに移し、そこで真空下100℃にて乾燥させる。ゲルが一定重量になったら(普通は3日間)、機械的ミル(例えばIKAミル)を用いて粉砕し、必要とされる粒径、例えば150〜800μmの水膨潤性ポリマー粒子を得るためにふるい分ける。
(この時点で、本明細書で使用する水膨潤性ポリマーの主要パラメータが決定されてもよい)。
【0186】
MBAAの量は、得られたポリマー類から必要とされる特性に応じて調整されてもよく、例えば0.01モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約90g/gのCCRC(当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される方法によって測定される場合、0.9%塩水溶液の吸収)を有し;0.03モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約73g/gのCCRCを有し;0.1モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約56g/gのCCRCを有し;2.0モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約16g/gのCCRCを有する;
5.0モル%(AA1モルあたり)のMBAAが使用される場合、得られる水膨潤性ポリマー粒子は、約8g/gのCCRCを有する。
(全ての化合物は、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)によって得られ、精製することなく使用した。)
【0187】
実施例1.3:表面架橋処理工程:
この実施例は、本発明の処理工程b)に供される前の水膨潤性ポリマー類の表面架橋を例示する。150mlのガラスビーカーは、プラスチックブレードをもつ機械的攪拌器を備え、粒子形態の乾燥水膨潤性ポリマー4gを入れる。機械的攪拌器は、ポリマー類の良好な流動化が300〜500RPMで得ることができるように選択される。50〜200μlの注射器に、デナコール(Denacol)(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の1,2−プロパンジオール4%溶液を入れ、別の300μl注射器に脱イオン水を入れる。
【0188】
水膨潤性ポリマー類は、300RPMにてビーカーで流動化され、表面架橋剤を30秒以内に添加する。混合を全部で3分間続ける。攪拌を続けつつ、次いで300μlの水を3〜5秒以内に添加し、攪拌を300〜500RPMでさらに3分間続ける。この後、混合物をガラスバイアル瓶に移し、アルミニウム箔で密閉し、1時間平衡化する。次いでバイアル瓶を140℃のオーブンに移し、この温度を120分間維持する。この後、バイアル瓶を冷却させ、内容物を取り出し、表面架橋された水膨潤性ポリマーを得る。凝集体を穏やかな機械的作用によって注意深く破断してもよい。得られた表面架橋水膨潤性ポリマー粒子は、次いで所望の粒径にふるい分けられてもよい。
【0189】
次の実施例は、本発明の方法のコーティング工程b)を例示するために使用されるコーティング方法を示す。
【0190】
実施例2.1:水ベースのラテックス分散液に水膨潤性材料を直接混合することによってコーティングされた水膨潤性材料を得る方法。
【0191】
以下は、本発明の水膨潤性材料を製造するのための好ましい方法であり、それはコーティング工程の前、又はコーティング工程と同時に、水膨潤性ポリマー類を膨潤することを含む。
【0192】
コーティングされる水膨潤性ポリマー類の量、コーティングレベル及び水膨潤性ポリマー類の膨潤に必要な水が選択される。
【0193】
次いで、コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料の希釈された分散液を、例えば本明細書に記載されるようにラテックスとして調製する。これは、市販のコーティング剤又は湿潤伸張可能な材料及び水(必要ならば)を、例えばガラスビーカーにて磁性攪拌器を用い、約300rpmで約5分間、攪拌下で混合することによって行われる。分散液の表面にフィルムが形成されないように、いつも注意を払う必要がある。ラテックス分散液では通常、分散液は、最大70重量%の湿潤伸張可能なポリマーを含有する。
【0194】
コーティング方法が良好であることをモニターするために、染色のための色、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)を分散液に添加してもよい。
【0195】
次いで、ダブルクロステフロンブレードを備えた機械的攪拌器を使用し、渦が見えるように分散液を攪拌して、水膨潤性ポリマー(粒子)を連続的な攪拌下で素早く添加する。水膨潤性ポリマー類が分散液から水を吸収し始めたら(通常約15秒後)、混合物はゲル化し始め、最終的に渦がなくなる。次いで、およそ全ての遊離液体を吸収したとき、攪拌を停止し、得られたコーティング水膨潤性ポリマー類を乾燥してもよく、又は本明細書に記載されるいずれかの方法によって後処理してもよい。
【0196】
実施例2.2:水膨潤性材料を直接混合することによってコーティングされた水膨潤性材料を得る方法:
次は、本発明の水膨潤性材料を製造するのための好ましい方法であり、それはコーティング工程の前、又は同時に水膨潤性ポリマー類を膨潤することを含んでもよい。
【0197】
コーティングされる水膨潤性ポリマー類の量、コーティングレベル及び水膨潤性ポリマー類の膨潤に必要な水が選択される。
【0198】
次いで、コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料の溶液を、例えば本明細書に記載される熱可塑性ポリマーから調製する。これは、市販のコーティング剤又は湿潤伸張可能な材料を、例えばガラスビーカーにて、1時間〜24時間、有機溶媒(例えば、THF又は水とTHFとの混合物)に溶解させることによって行われる。
【0199】
コーティング方法が良好であることをモニターするために、染色のための色、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)を分散液に添加してもよい。
【0200】
次いで、ポリマー溶液を水膨潤性ポリマーに添加し、それを攪拌又は機械的に攪拌してコーティングを得る。次いで、遊離液体を水膨潤性ポリマー類が吸収したとき、攪拌を停止し、得られたコーティング水膨潤性ポリマーを乾燥させてもよく、又は本明細書に記載されるいずれかの方法によって後処理してもよい。
【0201】
実施例2.3:個々にコーティングされた水膨潤性材料を得る方法:
本発明の代替の好ましいコーティング方法は次の通りである:
(固体、粒子状)水膨潤性ポリマー類を、好ましくはある角度(30〜45°)にした表面に置く。
【0202】
分散液の形態のコーティング剤を、例えばピペットを使用することによって、又は噴霧することによって、ポリマー類上に滴下する。ここで、空泡が形成されてはならない。そのため、フィルムは水膨潤性ポリマー類の表面に形成される。
【0203】
これらのコーティングされた水膨潤性ポリマー類を、次いで室温(20℃)若しくは例えば40℃/80%湿度にて、2日間まで、又は例えばオーブン(必要により真空オーブン)で低温(80℃まで)にて乾燥させる。
【0204】
コーティングされた水膨潤性材料は、次いで本明細書に記載されるようにアニーリング又は硬化されることができる。
【0205】
それはまた、次いで所望の形態、例えば粒子に形成されてもよい。
【0206】
実施例2.4:代替の好ましいコーティング方法
別の好ましい方法において、水膨潤性ポリマー類の分散液をまず調製し、コーティング剤をそこに添加する。
【0207】
例えば、200グラムの水膨潤性ポリマー(架橋されたポリアクリル酸ベースのポリマー類、例えば上述の方法によって調製されるもの)をプラスチックビーカーに入れ、ヘプタンがビーカー中のポリマー類表面より約1〜2mm高くなるまでn−ヘプタンを添加し;これは通常約100gのn−ヘプタンである。
【0208】
家庭用ミキサー(例えば、クリームを泡立たせるためのもの)を用い、構成成分を高速で混合する。湿潤伸張可能なコーティング材料の水分散液の形態、例えば上述のラテックス分散液の形態のコーティング剤を、例えばピペットを用いて水膨潤性ポリマー類の入ったビーカーに添加する。塊が形成されないように混合物を連続的に攪拌する。
【0209】
得られた材料を、薄層(例えば1cm未満)として表面全体に広げることができ、少なくとも12時間、又は(真空)オーブンにて(約70℃までのいずれかの温度で)空気乾燥させる。次いで乾燥された材料をさらにアニーリング又は硬化させてもよい。
【0210】
冷却又は後続工程後、得られた材料を所望の粒径に機械的に減少させる又はふるい分ける。
【0211】
実施例2.5:流動床ウルスターコーターを用いてコーティングされた水膨潤性材料を得る方法
工程b)はまた、流動床又はウルスターコーターにて行われてもよい。
【0212】
例えば、ラクソ・ウルスター・モデル(Lakso Wurster Model)101(ラクソ社(The Lakso Company)(マサチューセッツ州レオミンスター(Leominster))を使用してもよく、又はガラット(Glatt)GPCG−3造粒機−コーターを使用してもよい(ガラット社(Glatt Ingenieurtechnik GmbH)(ドイツ、ワイマール99427、ノードストラッセ(Nordstrasse))から供給)。コーティング設備は、空気流の下で、例えば約30分間、例えば70℃に予め加熱されるのが好ましい場合がある。
【0213】
例えば、通常は20〜35gの水膨潤性ポリマーを容器に入れる。
【0214】
コーティング剤、好ましくは流体形態のコーティング剤、例えば以下に列挙されるポリマー溶液/分散液を、攪拌プラットフォーム上の容器に入れ、低速で磁性バーを用いて攪拌し、空気が入るのを防ぐ。重量を記録することができる。
【0215】
ぜん動ポンプを較正し、次いで所望の流量(例えば5g/分)に設定し、コーティング剤の流動方向を前方に設定する。所望の入口空気流及び温度を50m/hr及び60℃に設定する。次いで、「霧化」空気供給源及びポンプを始動させる。システムの出口温度を、システムに入る溶媒流量を調整することによって45℃に維持する。
(より速い速度を使用して、コーターの入口により近いコーティング剤を前進させ、次いで実験のために正しい速度を設定する。)
【0216】
実験は、通常はべたつきが粉末の効率良い流動化を妨げるときに完了する(10〜60分)。
【0217】
次いでコーティング剤流れを直ちに停止させ、流れを逆にする。実験に使用されるコーティング剤の重量を記録する。
【0218】
所望により、得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー類をコーター内で乾燥させてもよく、それはまた、粒子表面のべたつきを低減するのを助ける場合がある(乾燥時間は通常は5〜60分)。
【0219】
次いで、コーター内の材料を秤量する。
【0220】
一般に、必要により、例えば1を超えるコーティング剤が適用される場合、又は流動助剤、例えば0.5〜2%の疎水性シリカを添加する場合、材料をコーティング容器に戻し、本方法を継続してもよい。
【0221】
コーティング方法を視覚化するために、又は審美目的のために、着色剤又は染色溶液、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)をコーティング剤に添加してもよい(空泡を巻き込んでいない、5ml〜25mlの脱イオン水(15〜25℃)中、0.25gのニュー・フクシン・レッド)。染色溶液を約10mlのコーティング剤に攪拌下で滴下することができ、次いでこれは残りのコーティング剤に攪拌されることができる(70mlまでのコーティング剤については十分である)。
【0222】
次の水膨潤性材料は、流動床コーター又はウルスターコーターを用いて上記の方法によって製造され;それぞれの場合に、25gのコーティングされていない水膨潤性ポリマー類(日本触媒からGV−A640として入手可能(lot0019H0000ISA0331))を使用し、特定量のラテックスを特定の重量%固形分濃度で使用した。
【0223】
コーティングされたサンプルを2日間35℃で乾燥させた後、例示されたラテックスコーティングされた材料それぞれを、真空中、140℃で2時間硬化させた。
【表1】

【0224】
次の水膨潤性材料は、流動床コーター又はウルスター(Wurster)コーター、例えばラクソ・ウルスター・モデル(Lakso Wurster Model)101(ラクソ社(Lakso Company)(マサチューセッツ州レオミンスター(Leominster))を用い、以下の方法によって製造され:それぞれの場合、500gのコーティングされていない水膨潤性ポリマー類(BASFからASAP500ベースポリマーとして入手可能)を使用し、特定量のポリマーを特定重量%固形分濃度で使用した。ぜん動ポンプを較正し、次いで所望の流量(例えば5g/分)に設定し、コーティング剤の流動方向を前方に設定する。所望の入口空気流及び温度を50m/hr及び60℃に設定する。次いで、「霧化」空気供給源及びポンプを始動させる。システムの出口温度を、システムに入る溶媒流量を調整することによって45℃に維持する。(より速い速度を使用して、コーターの入口により近いコーティング剤を前進させ、次いで実験のために正しい速度を設定する。)実験は、通常はべたつきが粉末の効率良い流動化を妨げるときに完了する(10〜60分)。サンプルを27℃の真空オーブンにて12〜24時間乾燥させた。
【表2】

【0225】
ヒストレッチ及びエスタンは、ノベオン社(Noveon Inc.)(オハイオ州44141−3247、クリーブランド、ブレックスビルロード(Brecksville Road)9911)の商標名である。ビナムールは、ビナムール・ポリマーズ(Vinamul Polymers)(オランダ、6161RDヘレーン、De Asselen Kuil20)の商標名である。ロベンヌは、マルラード・クリーク・ポリマーズ(Mallard Creek Polymers)(ノースカロライナ州28262、シャーロット(Charlotte)、マルラードクリークロード(Mallard Creek Road)14700)の商標名である。ジェンフロ及びサンクリルは、オムノバ・ソリューションズ(Omnova Solutions Inc.)(オハイオ州44305−4418、アクロン(Akron)、ギルクリストロード(Gilchrist Road)2990)の商標名である。ベクターは、デクスコ・ポリマーズ(Dexco Polymers)(米国テキサス州77079、ヒューストン、ウィックチェスターレーン(Wickchester Lane)12012)の商標名である。セプトンは、米国セプトン社(Septon Company of America)、クラレグループ社(Kuraray Group Company)(米国テキサス州77507、パサデナ(Pasadena)、チョートロード(Choate Road)11414)の商標名である。イログランは、ハンツマン・ポリウレタンズ(Huntsman Polyurethanes)(米国ニューハンプシャー州03038、デリー(Derry)、ケンダルポンドロード(Kendall Pond Road)52)の商標名である。
【0226】
実施例2.6:好ましい後続乾燥処理工程
本発明の方法は、溶液、懸濁液若しくは分散液若しくは溶液を使用する工程、例えば水膨潤性ポリマー類が液体(水)を含む工程、又はコーティング剤が分散液、懸濁液若しくは溶液の形態である工程を含んでもよい。
【0227】
次は、工程b)のコーティングされた水膨潤性ポリマー類を乾燥させる好ましい処理工程である:
液体、例えば水を含むコーティングされた水膨潤性材料をある表面に置き、例えばそれを約1cm以下の厚さの層の形態でパイレックスガラスパンに広げる。これを約70℃で少なくとも12時間(真空下)で乾燥させる。
【0228】
コーティングされた水膨潤性ポリマー類に存在する液体の量は既知である場合、その液体重量を含むコーティングされた水膨潤性材料を乾燥前に測定し、次いで続いて乾燥後に、当該技術分野において既知のように、得られた水膨潤性材料(コーティングされた水膨潤性ポリマー類)の残存湿分を測定することができる。通常は、得られた水膨潤性材料/コーティングされた水膨潤性ポリマー類を(材料の重量に対して)5%未満の湿分含量になるまで乾燥させる。
【0229】
特定種類のコーティング剤について、コーティングされた水膨潤性ポリマー類は潜在的に凝集体を形成する場合がある。流動助剤を、コーティング工程の前又はコーティング工程中に添加してもよく、好ましくはコーティング剤溶液中の分散液として添加してもよく、又は好ましくは当該技術分野において既知のように、乾燥及び/又はアニーリング工程(所望により架橋工程)中に、例えば、アエロジル(Aerosil)200(デグサ(Degussa)から入手可能)を添加してもよい。
【0230】
上記乾燥工程はまた、コーティングされた水膨潤性ポリマー類をテフロンコーティングされたメッシュに非常に薄い層(例えば5mm未満)に広げることによって行われ、例えば層を通る対流を可能にしてもよい。
【0231】
コーティングされた水膨潤性ポリマー類又は材料は続いて、例えば120℃の真空オーブンにて2時間、又は使用されるポリマーにとって適切な温度にてアニーリングされてもよく、その温度は本明細書に記載される方法に従ってそのポリマーについて生じる熱転移によって決定される。
【0232】
代替方法として、液体(水)を含有するコーティングされた水膨潤性ポリマー類はまた、例えば120℃、又はそのポリマーに生じる熱転移によって決定されるような、使用されるポリマーに適切な温度にて、真空オーブンに2時間材料を置くことによって、1つの工程で直接乾燥及びアニーリングされてもよい。
【0233】
実施例2.7:流動床における乾燥方法
実施例2.5で使用されるようなラクソ・ウルスター・コーター及び当該技術分野において既知のその他の流動床乾燥機はまた、方法の工程b)によって形成されるコーティングされた材料を乾燥するために使用されてもよい。例えば、実施例2.5の条件を使用して、コーティングされた材料を導入する(そのため、コーティングされた材料を乾燥させるためだけのウルスターコーティング装備を使用する)。
【0234】
実施例2.8:共沸蒸留及び乾燥方法
ぬれたコーティングされたポリマー類を、コーティング剤を溶解させない好適な液体、例えばシクロヘキサン(コーティング剤がシクロヘキサンに可溶性でない場合)から共沸蒸留により低温で乾燥又は脱水してもよい。例えば、コーティングされたポリマー類を、テフロンブレード及びデジタル攪拌モーターを有するトゥルボア(Trubore)機械的攪拌器、浸漬温度計、並びに目盛り付きサイドアーム及び水冷コンデンサを有するバレット(Barrett)型湿分受容器を備えた2リットルの樹脂製ケトルに移す。およそ1リットルのシクロヘキサンを樹脂製ケトルに添加する。攪拌しながら、加熱マントルを使用して攪拌されたシクロヘキサン/ゲル系の温度を上昇させて還流する。加熱及び還流を系の温度がシクロヘキサンの沸点(およそ80℃)に到達するまで続け、追加のごく微量の水をサイドアームに供給する。系を冷却し、次いでろ過して脱水又は乾燥されコーティングされた水膨潤性ポリマー類を得て、それを室温(20℃)で真空下、一晩さらに乾燥させてもよい。
【0235】
本明細書で使用する試験方法:
(特に限定されない限り、本明細書の数値パラメータを得る各試験は、3つの値の平均を得るために3回行われる)。
【0236】
(コーティング剤のフィルムの調製)
本明細書に使用されるコーティング剤又は湿潤伸張可能なポリマー材料を、湿潤伸び試験を含む以下の試験方法の一部に供するために、前記コーティング剤又はそれらの湿潤伸張可能なポリマー材料から得られたフィルムを必要とする。
【0237】
本明細書の試験方法にて評価するための(乾燥)フィルムの好ましい平均(以下に示すような)キャリパーは、およそ60μmである。
【0238】
フィルムを調製するための方法は、一般に当業者に既知であり、通常は、溶媒キャスト、ホットメルト押出成形又はメルトブロウンしたフィルムを含む。こうした方法によって調製されたフィルムは、フィルムが引き延ばされる又は引張られる方向として定義される機械方向を有していてもよい。機械方向に垂直な方向は、横断方向と定義される。
【0239】
本発明の趣旨上、以下の試験方法に使用されるフィルムは、コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料が以下に列挙されるいずれかの溶媒の溶液又は分散液に製造できない場合を除いて、溶媒キャストによって形成され、製造できない場合、フィルムは、以下に記載されるようにホットメルト押出成形によって製造される。(後者は、室温で2〜48時間溶解若しくは分散させるように試みた後、溶解しないポリマーからの粒子状物質が、材料若しくはコーティング剤及び溶媒の混合物にてなおも目に見える場合、又は溶液若しくは分散液の粘度が高すぎてフィルムキャストできない場合である。)
【0240】
本発明の第1の実施形態において、アニーリング及び/又は硬化工程のみが任意であり、フィルムはアニーリング及び/又は硬化工程を経ずに調製されることを理解されるべきである。本発明の第2の実施形態では、アニーリング及び硬化工程が必須であり、この場合試験されるフィルムは、アニーリング及び/又は硬化工程をも含む以下の方法によって製造される。
【0241】
得られたフィルムは、滑らかな表面を有さなければならず、空泡又はクラックのような目に見える欠陥があってはならない。
【0242】
湿潤伸張可能なポリマー材料又はコーティング剤からの本明細書の溶媒キャストフィルムの調製例:
本明細書の試験に供されるフィルムは、次のように前記材料又はコーティング剤の溶液又は分散液からフィルムをキャストすることによって調製できる:
溶液又は分散液は、湿潤伸張可能な材料又はコーティング剤を、水中、又はこれが不可能な場合、THF(テトラヒドロフラン)中、又はこれが不可能な場合、ジメチルホルムアミド中、又はこれが不可能な場合、メチルエチルケトン中、又はこれが不可能な場合、ジクロロメタン中、又はこれが不可能な場合、トルエン中、又はこれが不可能な場合、シクロヘキサン中、10重量%で溶解又は分散することによって調製される(及びこれが不可能な場合、以下のホットメルト押出成形方法を使用する)。
【0243】
次に、分散液又は溶液を、アルミニウムフィルムカバーを備えたテフロンボートに注ぎ、溶媒又は分散剤を、ポリマーの最小フィルム形成温度を超える温度、通常は約25℃にて、長時間、例えば少なくとも48時間又は7日間までゆっくり蒸発させる。(乾燥のために、乾燥中は乾燥フィルムを、例えばアルミホイルでカバーすることによってゆっくり蒸発させることが重要である。)次いで、フィルムを真空オーブンに25℃にて6時間置き、残存溶媒の除去を確実にする。
【0244】
本明細書のホットメルト押出成形フィルムを調製する方法は次の通りである:
溶媒キャスト方法が不可能な場合、本明細書のコーティング剤又は湿潤伸張可能な材料のフィルムを、材料が流動可能となるのに十分高い温度にて操作する一組の回転単一スクリュー押出成形設備を用いてホットメルトから押出成形してもよい。コーティング剤又は材料が融解温度Tmを有する場合、押出成形は、ポリマーの前記Tmより少なくとも20℃高い温度で行うべきである。コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料が非晶質である(すなわち、ポリマーがTmを有していない)場合、定常剪断粘度測定を行い、ポリマーの秩序から無秩序への転移又は粘度が極端に降下する温度を測定することができる。押出成形温度は、材料又はコーティング剤の分解温度未満でなければならない。フィルムを押出成形機から引き込む方向は、機械方向と定義され、引き延ばし方向に垂直な方向は横断方向と定義される。
【表3】

【0245】
(フィルムのアニーリング)
本明細書の方法が必須工程としてアニーリング工程を含む場合、試験方法に使用されるフィルムはアニーリングされる。コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料が2以上のTgを有する場合、(上述にように調製され乾燥された)こうしたフィルムのアニーリングは、以下の試験方法の目的のために、フィルムの使用されるコーティング剤又は使用される湿潤伸張可能な材料の最も高いTgより20℃高い温度にて、真空オーブン中にフィルムを置くことによって行われるべきであり、これは2時間行われる。
【0246】
コーティング剤又は湿潤伸張可能な材料がTmを有する場合、(上述にように調製され、乾燥された)こうしたフィルムのアニーリングは、以下の試験方法の目的のために、フィルムのコーティング剤又は湿潤伸張可能な材料のTmより20℃低い温度にて、真空オーブン中にフィルムを置くことによって行われるべきであり、これは2時間行われる。
【0247】
コーティング剤が(最も高い)Tg及びTmを有する場合、(上述のように調製され、以下の方法によって試験される)フィルムのアニーリングは、(最も高い)Tgを超え、Tmより少なくとも20℃低く、(最も高い)Tgより20℃高い(20℃に近い)温度にて行う。例えば、135℃のTm及び100℃の(ハードセグメントの)最も高いTgを有する湿潤伸張可能な材料は、115℃でアニーリングされる。
【0248】
アニーリング工程において、Tgに到達したとき、フィルムに泡を生じさせ得る気体の放出を回避するために最も高いTgを超えたら、温度をゆっくり上昇させるべきである。例えば、70℃のハードセグメントTgを有する材料は、90℃で10分間アニーリングされてもよく、続いてアニーリング温度に到達するまで除々に温度を上昇させる。
【0249】
(フィルムの硬化)
必須工程として硬化工程を含む方法に水膨潤性材料を使用する場合、試験方法にて使用されるフィルムは硬化される。(上述のように調製され乾燥された)フィルムのこうした硬化は、以下の試験方法の目的のために、140℃にて2時間真空オーブン中にフィルムを置くことによって行われるべきである。
【0250】
(フィルムの除去)
乾燥され、所望によりアニーリングされたフィルムをフィルム形成基材から取り除くのが困難な場合、それらを加温水浴に30秒から1分間置き、基材からフィルムを除去してもよい。次に、続いてフィルムを25℃で6〜24時間乾燥させる。
【0251】
(湿潤伸び試験及び湿潤引張応力試験)
この試験方法は、四角形の平坦なサンプル1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)に単軸ひずみを適用し、サンプルを伸張するのに必要な力を測定することによって、本明細書で使用される水伸張可能な材料又はコーティング剤のフィルムの破断湿潤伸び(=破断伸張性)及び引張特性を測定するために使用される。適用可能な場合、本明細書のフィルムサンプルに横断方向にひずみを与える。
【0252】
試験を行うための好ましい設備の一部は、25N又は50Nのロードセルを用いる、MTSシステムズ(MTS Systems Corporation)(米国ミネソタ州エデンプライリ(Eden Prairie)テクノロジードライブ(Technology Drive)14000)から入手可能なコンピュータインターフェース及びテストワークス(Testworks)4ソフトウェアを搭載したMTSシナジ(Synergie)100又はMTSアリアンス(Alliance)のような引張り試験機である。これは定速伸張を測定し、ここで引張りグリップは等速で動き、応力測定機構は応力の増大につれて無視できる程度の距離(0.13mm未満)を移動する。ロードセルは、試験されるサンプルの測定される荷重(例えば応力)がロードセルの能力の10〜90%になるように選択される。
【0253】
各サンプルは、ダイを用いて個々のサンプルにフィルムを切断するためにアンビル液圧プレスダイを用いて、フィルムからダイカットされるが、上記で定義されるようにそれぞれ2.5×2.5cm(1×1インチ)である。(そのため、フィルムがいずれにも配向していない方法で製造される場合、フィルムはいずれの方向で試験されてもよい。)試験試料(最小で3つ)は、空泡、ホール、内包物及び切れ目のような目に見える欠陥が実質的にないものが選択される。それらはまた、平滑で、実質的に欠陥のない端部を有していなければならない。
【0254】
各乾燥試料の厚さを、約700Pa(0.1psi)の圧力を用いて、ミツトヨ(Mitutoyo)キャリパーゲージのような低圧キャリパーゲージにより0.001mmの精度で測定する。サンプルの3つの異なる領域を測定し、平均キャリパーを決定する。各試料の乾燥重量を、標準化学てんびんを用いて0.001gの精度で測定し、記録する。乾燥試料を、本明細書に使用される乾燥伸び、乾燥割線弾性率、及び乾燥引張応力値を決定するためにさらに調製されることなく試験する。
【0255】
湿潤試験に関して、予め計量した乾燥フィルム試料を、塩水溶液[蒸留水中の0.9%(w/w)NaCl]に室温(23℃+/−2℃)にて24時間含浸させる。フィルムを120メッシュの耐食性金属スクリーンを備えたバスに固定し、サンプルが丸まったり、互いにくっついたりするのを防止する。フィルムをバスから取り出し、バウンティ(Bounty)(著作権)タオルのような吸収性ティッシュを用いて拭き取り乾燥させ、余分な、又は吸収されなかった溶液を表面から取り除く。湿潤キャリパーを、乾燥サンプルについて記述されたように測定する。湿潤試料を、さらに調製することなく引張試験のために使用する。試験を、調製が完了した後5分以内に完了すべきである。湿潤試料を、湿潤伸び、湿潤正割線弾性率及び湿潤引張応力を決定するために評価する。
【0256】
本発明の趣旨上、破断するための(又は破断)伸びは、破断するための(又は破断)湿潤伸びと呼ばれ、破断時の引張応力は、破断湿潤応力と呼ばれる。(破断時、破断するための伸び%は、本明細書で使用される破断湿潤伸張性である。)
【0257】
引張り試験は、テストワークス(Testworks)4ソフトウェアを備えたMTSアリアンス(Alliance)引張り試験機のような、コンピュータインターフェースを備えた定速伸張の引張り試験機にて行われる。ロードセルは、測定される応力がセル能の10〜90%になるように選択される。平坦な1インチ平方のゴム面をもつグリップを搭載した空気圧つかみ具を設定し、1インチのゲージ(gaue)長さを得る。観測可能な緩みを排除するために十分であるが、0.05N未満である張力を試料にかける。試料が完全に破断するまで、25cm/分(10インチ/分)の一定のクロスヘッド速度で伸張する。試料がグリップ接触面で破断し、又はグリップ内での滑りが検出される場合、そのデータは無視し、新しい試料で試験を繰り返し、グリップ圧を適切に調整する。フィルム変動を考慮して、サンプルは3つのものについて行われる。
【0258】
得られた引張り応力変位データを、初期サンプル寸法を用いて応力ひずみ曲線に変換し、そこから本明細書で使用する伸び、引張り応力及び弾性率を得る。破断引張り応力を、試料が破断したときに測定される最大応力として定義され、MPa単位で報告する。破断点を、測定された応力がその最大値の90%になる応力ひずみ曲線の点として定義する。破断伸びを、その破断点におけるひずみとして定義し、初期ゲージ長さと比較してパーセンテージで報告する。400%伸びでの割線弾性率を、0%と400%のひずみ時における応力ひずみ曲線を横切る線の傾きとして定義する。3つの応力−ひずみ曲線が、評価される伸張可能なフィルムコーティングそれぞれについて得られる。本明細書で使用する伸び、引張り応力及び弾性率は、各曲線から得られるそれぞれの値の平均値である。
【0259】
400%伸びでの乾燥割線弾性率(SM乾燥400%)は、上述の方法によって得ることのできる(ただし、0.9%NaCl溶液には含浸しない)乾燥フィルムを、上述した同じ引張り試験に供し、次いで上記で行ったように、ゼロ切片及び400%時の応力ひずみ曲線と交差する線の傾きを計算することによって計算される。
【0260】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg’s)を、示差走査熱量測定(DSC)によって本発明の目的のために測定する。熱量計は、試験されるサンプルの予想されるTgの範囲を含む温度範囲、例えば−90℃〜250℃にわたって少なくとも20℃/分の速度で加熱/冷却が可能でなければならず、熱量計は約0.2μWの感度を有していなければならない。TAインスツルメンツ(TA Instruments)Q1000DSCは、本明細書で言及されるTgの範囲を測定するために非常に適している。対象とする材料は、温度プログラム、例えば−90℃での平衡、20℃/分で120℃までのランプ、5分間の等温維持、20℃/分で−90℃までのランプ、5分間の等温維持、20℃/分で250℃までのランプを用いて分析されることができる。第2の加熱サイクルからのデータ(熱流量対温度)を使用して、標準半外挿熱容量温度アルゴリズム(standard half extrapolated heat capacity temperature algorithm)によってTgを計算する。通常は、3〜5gのサンプル材料をけん縮ふたを有するアルミニウムDSCパン中で計量(+/− 0.1g)する。
【0261】
本明細書で使用するとき、TgはTgより低い温度である。
【0262】
(ポリマー分子量)
多角度光散乱検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−MALS)を使用して、本明細書の相分離性ポリマー類の分子量を決定してもよい。本明細書で言及される分子量は、重量平均モル質量(Mw)である。DAWN DSPレーザーホトメーター(ワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology))、オプティラボDSP干渉屈折計(ワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology))、及び標準HPLCポンプからなる、こうした測定を行う好適なシステム、例えばウォーターズ(Waters)600Eシステムは全て、ASTRAソフトウェア(ワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology))によって行われる。
【0263】
いかなるクロマトグラフ分離でもそうであるように、溶媒、カラム、温度及び溶出プロファイル及び条件の選択は、試験される特定ポリマーに左右される。次の条件は、本明細書に言及される相分離性ポリマー類に一般に適用可能であることを見出した:テトラヒドロフラン(THF)は溶媒及び移動相として使用され;1mL/分の流量は、連続に置かれ、40〜45℃に加熱された(オプティラボ屈折計(Optilab refractometer)は同じ温度に保持される)2つの300×7.5mm、5μmのPLgel、Mixed−C GPCカラム(ポリマーラボ(Polymer Labs))に通し;THF溶液中、100μmの0.2%ポリマーを分析するために注入する。dn/dc値は、利用可能な文献から得られるか、又はASTRAユーティリティを用いて計算される。重量平均モル質量(Mw)は、Zimmフィット法を用いてASTRAソフトフェアを用いることによって計算される。
【0264】
(水蒸気透過率方法(MVTR方法))
MVTR方法は、特定温度及び湿度下でフィルムを通過する水蒸気の量を測定する。通過した蒸気は、CaCl乾燥剤によって吸収され、重力測定的に測定される。サンプルを、ポジティブコントロールとして使用される確立された透過性を有する参照フィルムサンプル(例えば、エクソン(Exxon)エグザイア(Exxaire)ミクロ孔質材料#XBF−110W)と共に3回評価する。
【0265】
この試験は、デルリン(Delrin)(マクマスターカー(Mcmaster-Carr)カタログ番号8572K34)からの機械加工されたフランジカップ、及び無水CaCl(和光純薬(Wako Pure Chemical Industries)(ヴァージニア州リッチモンド(Richmond);カタログ030−00525)を使用する。
【0266】
カップの高さは55mmであり、内径30mm、外径45mmである。カップは、このカップを完全に封止するためのシリコーンガスケットとネジ(thumb screws)用の3つの穴を有するふたとを備える。
【0267】
乾燥剤粒子は、8番シーブを通過するが、10番シーブは通らない大きさである。明らかな欠陥のない、およそ3.8cm×6.4cm(1.5インチ×2.5インチ)のフィルム試料を分析に使用する。
【0268】
カップには最上部の1cm以内にCaClを入れる。カップを軽く台に10回叩き、CaClの表面を水平にする。CaClの量は、フィルム表面とCaClの最上部とのヘッドスペースが1.0cmになるまで調整する。フィルムを開口部(30mm)にわたってカップの最上部に置き、シリコーンガスケット、保持リング及びネジを用いて固定する。適切に設置されたら、試料はしわが寄ることも、伸びることもないはずである。
【0269】
フィルムは、カップ開口部A0.0007065mを完全に覆わなければならない。
【0270】
サンプルアセンブリを化学てんびんで計量し、±0.001gで記録する。アセンブリを一定温度(40±3℃)及び湿度(75±3%RH)のチャンバーに5.0時間±5分間置く。サンプルアセンブリを取り出し、サランラップ(Saran Wrap)(登録商標)で覆い、ゴムバンドで固定する。サンプルを室温で30分間平衡化し、プラスチックラップを取り除き、アセンブリを再計量し、重量を±0.001gで記録する。吸収された湿分Mは、最初のアセンブリ重量と最終のアセンブリ重量との差である。g/m/24時間(g/m/日)単位のMVTRは次のように計算される:
MVTR=Ma/(A×0.208日)
繰り返した結果を平均し、100g/m/24時間単位で四捨五入し、例えば2865g/m/日は、本明細書において2900g/m/日とし、275g/m/日は300g/m/日とする。
【0271】
(非水膨潤性であると考えられる、本明細書に使用される湿潤伸張可能な材料の水膨潤性能を測定する方法)
本明細書の湿潤伸張可能な材料は、非水膨潤性及び/又は吸収性であり、これはその材料が通常、1g水/g材料未満、又はさらに0.5g/g未満又はさらに0.2g/g未満、又はさらに0.1g/g未満で吸収することを意味する。
【0272】
水吸収性を次のように測定することができる。
【0273】
特定の予め計量された量の水伸張可能な材料(サンプル)(重量M(サンプル)を有する)を、過剰量の脱イオン水に含浸し、約2.5時間水を「吸収」させる。
【0274】
サンプルを水からゆっくり取り除き;可能であれば、過剰の水をサンプルからティッシュタオルで数秒間拭き取る。次いでサンプルを再び計量し、湿潤状態のサンプルの重量M(サンプル−湿潤)を測定する。
【0275】
サンプルの水吸収能X(ACサンプル)は次の式によって決定される:
X(ACサンプル)={M(サンプル湿潤)−M(サンプル)}/M(サンプル)
値Xを、乾燥フィルムサンプルのグラムあたりに吸収された流体のグラムとして報告する。
【0276】
決定された水吸収性は、本明細書において湿潤伸張可能な材料の水膨潤性(又は膨潤)能とも呼ばれる。
【0277】
(シリンダー遠心分離保持能)
シリンダー遠心分離保持能(CCRC)方法は、250gの加速度にて遠心分離された後水膨潤性材料又はポリマー類(サンプル)の流体保持能力を測定する。遠心分離前に、サンプルを、メッシュボトムとオープントップを有する硬質サンプルシリンダーにて過剰の塩水溶液に膨潤させる。
【0278】
この方法は特に、40g/gを実質的に超える流体保持能力を有する材料に適用可能であり、結果としてティーバッグ方法による評価にはあまり適していない(例えば、EDANA441.2−02、米国特許第6,359,192B1号、米国特許第5,415,643号)。2つのサンプル試料を試験される材料それぞれについて評価し、その平均値を報告する。
【0279】
CCRCは、サンプル材料(1.0+/−0.001g)を予め計量された(+/−0.01g)のプレキシガラスサンプル容器に入れることによって、室温で測定できるが、この容器は、最上部が開放され、最下部がステンレススチールメッシュ(400)で閉じられており、塩水は容易にシリンダーに流入できるが、評価される吸収性粒子は保持される。サンプルシリンダーは、丸くなった端部をもつ高さ寸法が67mmの方形プリズムに近い。ベース寸法(78×58mmOD、67.2×47.2MM ID)は、本明細書にてシリンダースタンドと称されるモジュラー管アダプター寸法に正確に合い、遠心分離器(ヘレウス・メガフュージ(Heraeus Megafuge)1.0;ヘレウス番号75003491、VWR番号20300−016の方形ローターバケット(ヘレウス番号75002252、VWR番号20300−084)に収まる。
【0280】
ロードされたサンプルシリンダーをメッシュ表面にわたってサンプルを均一に分配するようにゆっくり振とうし、次いで塩水溶液を含むパンに直立させる。塩水溶液のメッシュボトムを通る自由流動が確実になるようにシリンダーを配置すべきである。シリンダーは、互いに触れてはならず、パンの壁にもあたってはならず、又はパンボトムを封止してはならない。サンプル材料は、封圧されることなく、試験下にある特定材料のCCRC飽和又は平衡時間の80%に対応する時間、過剰の塩水に膨潤させる。
【0281】
シリンダーを溶液から直ちに取り除く。各シリンダーは、シリンダースタンドに(メッシュ側を下にして)置き、得られたアセンブリは、2つのサンプルアセンブリが遠心分離器ローターにてバランスのとれた位置にあるようにローターバスケットにロードされる。
【0282】
シリンダースタンドの最下部にて250±5gの遠心分離加速度を得るのに必要なローター速度を達成した後、サンプルを3分間(±10秒)遠心分離する。適用される遠心力により吸収体から追い出された溶液は、シリンダースタンドの開口部によって、サンプルからその溶液が含まれるべきローターバケットの最下部に流される。ローターを休止させた後サンプルシリンダーを即座に取り出し、0.01g単位で計量する。
【0283】
サンプル材料のグラムあたりに吸収される塩水溶液のグラムとして表されるシリンダー遠心分離保持能は、次のようにそれぞれの場合について計算される:
【数1】

式中:
CS:遠心分離後のサンプルを有するシリンダー質量[g]
Cb:サンプルのない乾燥シリンダー質量[g]
:塩水溶液を含まないサンプルの質量[g]
本明細書にて言及されるCCRCは、0.01g/gの単位で報告される2つのサンプルの平均である。
【0284】
飽和時間は、膨潤時間の増加(60分の増加量)に対するCCRC値のプロットから決定される。本明細書で使用するとき、飽和時間は、飽和又は平衡CCRC値に到達するのに必要な膨潤時間として定義される。飽和値は、曲線上の3つの連続点のCCRC値の標準偏差(SD)を順次計算することによって決定される(計算された第1のSDは時間点1〜3に対応し、第2のSDは時間点2〜4に対応し、第3のSDは時間点3〜5に対応するなど)。飽和値は、2未満の標準偏差を有する3つの連続CCRC値の最大値として定義される。
【0285】
(塩水流伝導度(SFC))
透過性の尺度及び多孔性の指標は、米国特許第5,562,646号(ゴールドマン(Goldman)ら、1996年10月8日発行)に記載されるように、ゲル床の塩水流伝導度によって与えられる(ただしここでは、0.9%NaCl溶液がジェイコ(Jayco)溶液の代わりに使用される)。
【0286】
(抽出可能物又は抽出可能なポリマー値)
本明細書で有用な特に好ましい水膨潤性材料及び水膨潤性ポリマー類の別の重要な特性は、抽出可能なポリマー材料又はそこに存在する抽出可能物のレベルである。抽出可能ポリマーのどのようなレベルがなおも許容可能であるかという評価及び説明は、米国特許第4,654,039号に詳細に開示及び説明されている。一般則として、抽出可能量はできるだけ低くあるべきであり、低ければ低いほど、抽出可能材料が起こし得る望ましくない反応は少なくなる。10重量%未満、又はさらに5重量%未満、又はさらに3重量%未満の抽出可能物のレベルが好ましい(1時間の試験の値)。
【0287】
(本明細書の水膨潤性材料の自由膨潤速度を測定する方法)
この方法は、攪拌又は封圧なしに、0.9%の塩水溶液への本明細書の水膨潤性材料の膨潤速度を測定するのに役立つ。特定量の流体を吸収するのにかかる時間量を記録し、これは、毎秒水膨潤性材料のグラムあたりに吸収される流体(0.9%塩水)のグラム、例えばg/g/秒として報告する。
【0288】
塩水溶液を、9.0グラムのNaClを1000mlの蒸留された脱イオン水に添加することによって調製し、これは全てのNaClが溶解するまで攪拌する。
【0289】
サンプル材料(1.0g+/−0.001g)を計量し、25mlのビーカーの最下部に平らに置く。塩水溶液(同様に23℃)の20.0mlアリコートをビーカーに即座に注ぐ。塩水溶液を供給した後直ぐにタイマーを始動させ、流体相の最後の一部が膨潤サンプルと凝集したときに停止する。
【0290】
これは、特にビーカー壁との界面におけるバルク塩水表面からの光反射の損失によって容易に示される。経過時間t(秒)を記録する。g液体/gサンプル 材料/秒単位の自由膨潤速度は、次のように計算される:FSR=20/t。試験は3つのものについて行い、その平均をサンプル材料の自由膨潤速度に使用する。
【0291】
(コーティングキャリパー及びコーティングキャリパー均一性の測定)
本明細書で使用するとき、水膨潤性ポリマー類又は材料上の湿潤伸張可能なコーティングは、通常は、当業者に既知の標準走査電子顕微鏡、好ましくは環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)によって調べることができる。次の方法において、ESEM評価はまた、コーティングされた水膨潤性ポリマー類/材料の平均コーティングキャリパー及びコーティングキャリパー均一性を材料の断面にわたって測定するために使用される。
【0292】
設備モデル:ESEM XL 30FEG(電界放射銃)
ESEM設定:低倍(35×)での画像も得るために金で覆われたサンプルを用いる高真空モード、及びそのままのラテックスシェルの画像を得るために(金での覆いは必要でない)、LFD(約80%の気体状二次電子+20%の二次電子を検出する大電界検出器)とPLA(圧力制限開口)のないブレット(bullet)とを用いるESEMドライモード。
【0293】
フィラメント張力:高真空モードでは3KV、及びESEMドライモードでは12KV。
【0294】
ESEMドライモードでのチャンバー圧力:ゼラチン状サンプルでは40Pa〜133Pa(0.3Torr〜1Torr)及び他のサンプルでは107Pa〜133Pa(0.8〜1Torr)。
【0295】
コーティングされた水膨潤性材料又はポリマー類のサンプル又はコーティングされていないポリマーのサンプルを、周囲条件(20℃、80%相対湿度)にて約1時間後、標準ESEM条件/設備を用いて観察することができる。
【0296】
次いで、同じサンプルを高真空モードで観察することができる。次いでサンプルをテフロンブレード(テフロンブレードは、参照コードT5332にてAGARサイエンティフィック・カタログ(AGAR scientific catalogue)(ASSING)から入手可能である)を用いて断面カットにより切断することができ、真空モードで再び観察されることができる。
【0297】
コーティングは、コーティングされていない水膨潤性ポリマー類とは異なるモルホロジーを有し、コーティングは、特に断面図を観察する場合に、ESEM画像にてはっきりと見ることができる。
【0298】
平均コーティングキャリパーを、水膨潤性材料又はコーティングされた水膨潤性ポリマーの少なくとも5個の粒子にて分析し、5個の平均キャリパー、粒子あたりの平均(各粒子の断面を分析し、少なくとも3つの異なる領域にてコーティングのキャリパーを測定することによる)を測定し、こうした5個の平均キャリパーの平均をとることによって測定する。
【0299】
コーティングの均一性は、少なくとも5個の異なる粒子の断面カットのESEMにより、コーティングの最小及び最大キャリパーを決定し、(5個の)平均最小及び平均最大キャリパー、並びにそれらの比を測定することによって測定される。
【0300】
コーティングがESEMにおいてはっきりと見ることができない場合、適用されたコーティングに特有の当業者に既知の染色技術を用いて、例えばESEM方法を用いる前に、四酸化オスミウム、過マンガン酸カリウムなどを用いてコントラストを向上させてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む水膨潤性材料を製造する方法であって、前記方法が:
a)水膨潤性ポリマー類を得る工程;及び
b)工程a)と同時に又は工程a)に続いて、得られる前記水膨潤性材料の少なくとも1重量%のコーティング剤を前記水膨潤性ポリマー類の少なくとも一部に適用し、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む前記水膨潤性材料を得る工程
を含み、
ここで、工程b)の前記コーティング剤が、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する材料を含む、方法。
【請求項2】
コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む水膨潤性材料を製造する方法であって、前記方法が:
a)水膨潤性ポリマー類を得る工程;及び
b)工程a)と同時に又は工程a)に続いて、得られる前記水膨潤性材料の少なくとも1重量%のコーティング剤を前記水膨潤性ポリマー類の少なくとも一部に適用する工程;及び
c)工程b)で得られた前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類をアニーリング及び/又は硬化し、コーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む前記水膨潤性材料を得る工程
を含み、
ここで、工程b)の前記コーティング剤が、湿潤伸張可能であり、少なくとも1MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する材料を含む、方法。
【請求項3】
工程a)の前記水膨潤性ポリマー類が粒子状形態である、粒子状の水膨潤性材料を製造するための請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記湿潤伸張可能な材料及び前記コーティング剤が、少なくとも400%、好ましくは少なくとも500%、より好ましくは800%の湿潤伸びを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記湿潤伸張可能な材料及び前記コーティング剤が、少なくとも3MPa、より好ましくは少なくとも5MPaの湿潤状態での破断引張応力を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記湿潤伸張可能な材料及び/又は前記コーティング剤が、湿潤状態で、少なくとも0.5MPa、好ましくは少なくとも0.75MPa、より好ましくは少なくとも約2MPa、最も好ましくは少なくとも約3MPaの400%伸びにおける湿潤割線弾性率(SM湿潤400%)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)の前記コーティング剤が、溶液、分散液、又はホットメルトの形態である流体形態にて適用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アニーリング工程が存在し、前記アニーリング工程が、工程b)で得られる前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類を少なくとも70℃、又はさらに少なくとも80℃の熱処理に供することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングされた水膨潤性ポリマー類又は前記アニーリングされコーティングされた水膨潤性ポリマー類を少なくとも140℃の温度にて、好ましくは少なくとも2時間の熱処理工程に供することを含む前記硬化工程を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水膨潤性ポリマー類が、少なくとも30g/g、好ましくは少なくとも50g/gのCCRC値を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング剤及び/又は前記湿潤伸張可能な材料が、通気性である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)の前記水膨潤性ポリマー類が液体を含有し、少なくとも部分的に膨潤しており、前記液体を、前記液体の重量で0.5g/g〜約20g/g(前記水膨潤性ポリマー類の重量あたりの液体グラム)、好ましくは1g/g〜約10g/gのレベルで含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング剤が、0℃未満の第1ガラス転移温度Tgを有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1〜13請求項のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできるコーティングされた水膨潤性ポリマー類を含む、水膨潤性材料。
【請求項15】
前記コーティング剤が、親水性である、請求項14に記載の水膨潤性材料。
【請求項16】
前記コーティング剤が、少なくとも一部の前記水膨潤性ポリマー類の周りに連続シェルを形成し、前記シェルが、1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μmの平均キャリパーを有する、請求項14又は15に記載の水膨潤性材料。
【請求項17】
前記シェルが均一で、最小キャリパーと最大キャリパーとの比が、1:1〜1:3、好ましくは1:1〜1:2である、請求項16に記載の水膨潤性材料。

【公表番号】特表2007−501079(P2007−501079A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522782(P2006−522782)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025640
【国際公開番号】WO2005/014062
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.パイレックス
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】