説明

コーティング剤

【課題】本発明が解決しようとする課題は、各種基材表面の錆びの発生を防止可能なレベルの優れた防食性を有し、かつ変色(黄変)を引き起こさない塗膜を形成可能なコーティング剤を提供することである。
【解決手段】本発明は脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と、親水性基含有ポリオール(a2)と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上とを含むポリオール(A)、脂肪族ポリイソシアネート(B)、及び、鎖伸長剤(C)を反応させて得られるウレタン樹脂(D)が水系媒体中に分散してなることを特徴とするコーティング剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種基材の表面保護や意匠性付与を目的とした塗膜を形成可能な水性コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング剤は、各種基材表面に意匠性を付与する役割のほかに、基材表面を外的要因から保護する役割を有しており、近年は、形成する塗膜の高耐久化の要求が高まっている。高耐久性の塗膜を形成可能なコーティング剤としては、例えば、ジイソシアネート、及び、1,4−シクロヘキサンジメタノールとグリコール系ポリエーテルとカルボキシル基含有ジオールまたはトリオールを反応させて得られたプレポリマーを鎖延長剤と乳化させて得られる防錆用水系ポリウレタン樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ここで防錆性とは、主に金属を含む基材が大気中の湿気や水及び塩水等と接触した際に引き起こされる基材の腐食を防止する性質であり、近年、特に求められている物性のひとつである。
【0004】
前記防錆用水系ポリウレタン樹脂であれば、優れた防錆性を有する塗膜を形成可能であるものの、基材の保護をより一層確実なものとするために、非常に高いレベルの防錆性等の防食性を有する塗膜を形成可能なコーティング剤が求められるなかで、前記ポリウレタン樹脂では、その要求性能にあと一歩及ぶものではなかった。
【0005】
また、前記した湿気や水等は、基材の腐食だけではなく、塗膜の変色を引き起こす場合がある。コーティング剤によって形成される塗膜は、前記したように基材への意匠性付与という役割も有しているから、コーティング剤には、できるかぎり変色を引き起こさない塗膜を形成できることもまた望まれている。
【0006】
しかし、優れた防食性を有し、かつ変色(黄変)を引き起こしにくい塗膜を形成可能なコーティング剤は、依然として見出されていないのが実情である。
【0007】
【特許文献1】特開2004−256790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、各種基材表面の錆びの発生を防止可能なレベルの優れた防食性を有し、かつ変色(黄変)を引き起こさない塗膜を形成可能なコーティング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、脂肪族環式構造とポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール由来の構造とが共存したポリウレタン樹脂含有のコーティング剤であれば、湿気や塩水等の影響からの基材の腐食を防止可能な、非常に優れた防食性を備え、かつ変色しにくい塗膜を形成できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と、親水性基含有ポリオール(a2)と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上とを含むポリオール(A)、脂肪族ポリイソシアネート(B)、及び、鎖伸長剤(C)を反応させて得られるウレタン樹脂(D)が水系媒体中に分散してなることを特徴とするコーティング剤に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコーティング剤は、非常に優れた防食性に優れ、かつ変色を引き起こしにくい塗膜を形成でき、更には、金属基材等に対する密着性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、発明を実施するための最良の形態について記述する。
本発明のコーティング剤は、脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と、親水性基含有ポリオール(a2)と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上と、必要に応じてその他のポリオール等とを含むポリオール(A)、脂肪族ポリイソシアネート(B)、及び、鎖伸長剤(C)を反応させて得られるウレタン樹脂(D)が水系媒体中に分散したものである。本発明のコーティング剤は、必要に応じて、前記ポリウレタン樹脂以外のその他の成分を含有していても良い。
【0013】
はじめに、本発明で使用するウレタン樹脂(D)について説明する。
【0014】
本発明で使用するウレタン樹脂(D)は、防食性に優れた塗膜を形成する観点から、後述する脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)由来の脂肪族環式構造と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上のポリオール由来の構造とを有する。
また、前記ウレタン樹脂(D)は、水系媒体中に安定して分散するうえで親水性基を有するものであり、具体的には、後述する親水性基含有ポリオール(a2)由来の親水性基を有する。
【0015】
前記ウレタン樹脂(D)中に含まれる、親水性基としては、例えばアニオン性基やカチオン性基やノニオン性基が挙げられ、なかでもカルボキシル基やカルボキシレート基、スルホン酸基及びスルホネート基等のアニオン性基を使用することがより好ましい。また、前記親水性基がアニオン性基やカチオン性基である場合は、ウレタン樹脂(D)全体に対して50〜1000mmol/kgの範囲で存在することが好ましい。また、親水性基がノニオン性基である場合には、前記ポリウレタン樹脂(D)に対して1〜10質量%の範囲で存在することが好ましい。
【0016】
前記ウレタン樹脂(D)としては、ポリオール(A)と脂肪族ポリイソシアネート(B)とを反応させウレタンプレポリマーを製造した後、鎖伸長剤(C)を用いてそれを高分子量化したものを使用することが好ましく、具体的には、5000〜200000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが、防食性等の耐久性に優れた塗膜を形成するうえで好ましい。
【0017】
前記ウレタン樹脂(D)は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、50〜500の範囲の分子量を有する脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と、親水性基含有ポリオール(a2)と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上と、必要に応じてその他のポリオール等とを含むポリオール(A)と脂肪族ポリイソシアネート(B)とを反応させることでウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマー中の親水性基を必要に応じて中和したものを、水系媒体中に混合し水性化する際に鎖伸長剤(C)と混合し、反応させることによって製造することができる。
【0018】
ここで、前記ポリオール(A)に含まれる脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)としては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等を使用することができ、なかでも、50〜500の分子量を有するような比較的低分子量のポリオールを使用することが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することが、防食性に優れた塗膜を形成可能なコーティング剤を得るうえでより好ましい。
【0019】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)は、前記ポリオール(A)全体に対し5〜50質量%使用することが防食性に優れた塗膜を形成可能なコーティング剤を得るうえでより好ましい。
【0020】
また、前記ポリオール(A)に含まれる親水性基含有ポリオール(a2)としては、例えば、アニオン性基含有ポリオール、カチオン性基含有ポリオール、及びノニオン性基含有ポリオールを使用することができ、なかでもアニオン性基含有ポリオールを使用することが好ましい。
【0021】
前記アニオン性基含有ポリオールとしては、例えばカルボキシル基含有ポリオールや、スルホン酸基含有ポリオールを使用することができる。
【0022】
前記カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2’−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基含有ポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールも使用することもできる。
【0023】
前記スルホン酸基含有ポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
【0024】
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
【0025】
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li等を含む金属等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるコーティング剤の水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3.0(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.9〜2.0(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
【0026】
また、前記カチオン性基含有ポリオールとしては、例えば3級アミノ基含有ポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
【0027】
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
【0028】
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
【0029】
また、前記ノニオン性基含有ポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
【0030】
前記親水性基含有ポリオール(a2)の使用量は、得られるウレタン樹脂(D)中に付与すべき親水性基量を考慮して決定する必要があるが、概ね、0.1〜10質量%であることが好ましい。
【0031】
また、前記ポリオール(A)としては、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上を使用することが重要である。特に、本発明のコーティング剤を用いて形成する塗膜の基材密着性を向上させたい場合には、ポリエステルポリオール(a3)を使用することが好ましく、耐久性を向上させたい場合には、ポリカーボネートポリオール(a4)を使用することが好ましい。
【0032】
前記ポリエステルポリオール(a3)やポリカーボネートポリオール(a4)由来の構造が、前記ポリオール(a1)由来の脂肪族環式構造とウレタン樹脂(D)中で共存することによって、防食性の非常に優れた塗膜を形成可能なコーティング剤を得ることができる。
【0033】
前記ポリエステルポリオール(a3)は、例えば低分子量ポリオールとポリカルボン酸とを反応させること方法や、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応する方法等で製造することができる。
【0034】
前記低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、テトラエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル(分子量300〜6000)、ジプロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ビスフェノ−ルA、水素添加ビスフェノ−ルA、ハイドロキノンおよびそれらのアルキレンオキシド付加体等を使用することができる。
【0035】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
【0036】
また、前記ポリカーボネートポリオール(a4)としては、例えば、炭酸と脂肪族ポリオールとをエステル化反応して得られるもの等を使用することができる。具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のようなジオールと、ジメチルカーボネートやジフェニルカーボネートやホスゲン等との反応生成物などが挙げられる。
【0037】
前記ポリエステルポリオール(a3)やポリカーボネートポリオール(a4)は、前記ポリオール(A)全体に対して50〜95質量%使用することが好ましい。
【0038】
また、前記ポリオール(A)としては、前記(a1)〜(a4)以外に、その他のポリオールを併用してもよい。
【0039】
前記その他のポリオールとしては、例えば脂肪族環式構造や親水性基等を有さないポリオール等を使用することができる。なお、前記その他のポリオールとしてポリエーテルポリオールを使用することもできるが、耐久性や基材密着性が低下する傾向が見られる場合があるため、できるだけ使用しないことが好ましい。
【0040】
また、前記ポリオール(A)と反応する脂肪族ポリイソシアネート(B)としては、鎖状のポリイソシアネートや脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート等を、単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。
【0041】
前記脂肪族ポリイソシアネート(B)としては、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートを使用することが好ましく、これにより本発明のコーティング剤によって形成される塗膜の防食性を一層向上させることができ、かつ塗膜の変色を防止することができる。
【0042】
また、前記脂肪族ポリイソシアネート(B)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、芳香族ポリイソシアネートを併用しても良い。
前記ポリイソシアネートとしては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等を使用することができる。
【0043】
前記ポリオール(A)と脂肪族ポリイソシアネート(B)との反応は、公知慣用の方法であればよく、例えば、前記ポリオール(A)が有する水酸基に対する、前記脂肪族ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基の当量割合が、1.05〜3の範囲で行うことが好ましく、1.1〜2の範囲で行うことがより好ましい。
【0044】
前記ウレタン樹脂(D)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を、単独で使用または2種以上を使用することができる。特に、メチルエチルケトンやN−メチルピロリドンを使用することが、ウレタン樹脂(D)を溶解しやすいため好ましい。
【0045】
前記ウレタン樹脂(D)を製造する際に使用する鎖伸長剤としては、ポリアミンや、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
【0046】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類を使用することができる。
【0047】
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を、本発明のコーティング剤の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
【0048】
前記鎖伸長剤(C)は、ポリアミンが有するアミノ基と過剰のイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3〜1.0(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。鎖伸長剤(C)を前記した範囲で使用することにより、得られるコーティング剤が形成する塗膜の耐久性や防食性を向上させることができる。
【0049】
また、本発明のコーティング剤の製造に使用するウレタン樹脂(D)の水性化は、たとえば、次のような方法で行うことができる。
【0050】
〔方法1〕ポリオール(A)と脂肪族ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られたウレタンプレポリマー(D’)の親水基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水を投入して水溶解または水分散せしめ、その後に前記と同様の鎖伸長剤を用いて鎖伸長することによりウレタン樹脂(D)を水溶解または水分散させる方法。
【0051】
〔方法2〕ウレタンプレポリマー(D’)と前記と同様の鎖伸長剤とを、反応容器中に一括又は分割して仕込み、鎖伸長反応させることでウレタン樹脂(D)を製造し、次いで得られたポリウレタン樹脂中の親水基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水を投入して水分散せしめる方法。
【0052】
前記〔方法1〕〜〔方法2〕では、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
【0053】
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。なかでも本発明のコーティング剤の優れた保存安定性を維持する観点から、基本的にアニオン性又はノニオン性の乳化剤を使用することが好ましい。また、本発明のコーティング剤の混和安定性を維持可能な範囲であれば、例えばカチオン性の乳化剤と両性の乳化剤とを併用してもよい。
【0054】
また、本発明のコーティング剤を製造する際には、ウレタン樹脂(D)の水分散性を助ける助剤として、親水基含有化合物を使用してもよい。
【0055】
かかる親水基含有化合物としては、アニオン性基含有化合物、カチオン性基含有化合物、両性基含有化合物、又はノニオン性基含有化合物を用いることができるが、本発明のコーティング剤の優れた保存安定性を維持する観点から、ノニオン性基含有化合物を使用することが好ましい。
【0056】
前記ノニオン性基含有化合物としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、及びエチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する化合物を使用することができる。
【0057】
例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素原子を含有する数平均分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどの化合物を使用することが可能である。
【0058】
また、本発明のコーティング剤は、用途等に応じて各種添加剤を併用することができる。かかる添加剤としては、例えばホウ酸、リン酸、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、オキサゾリン化合物や各種架橋剤、フィラーの分散剤、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、無機顔料、樹脂ビーズ等のブロッキング防止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘性調整剤、及び各種レベリング剤等を塗料安定性を損なわない範囲内で使用することができるが、なかでもセミカルバジド基を有する安定剤、フェノール由来の構造を有する酸化防止剤、ヒンダードアミン由来の構造を有する安定剤を組み合わせ使用することが、耐侯安定性を向上させる観点からより好ましい。
【0059】
前記セミカルバジド基を有する安定剤としては、例えばビュレット−トリ(ヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1,1−テトラメチル−4,4(メチレン−ジ−P−フェニレン)セミカルバジドを、単独または2種以上併用して使用することができる。
【0060】
前記セミカルバジド基を有する安定剤は、前記ウレタン樹脂(D)の100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することがより好ましい。セミカルバジド基を有する安定剤を前記した範囲で使用することにより、本発明のコーティング剤が形成する塗膜の耐久性及び耐光性を向上させることができる。
【0061】
また、フェノール由来の構造を有する酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタンデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−O-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プオピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プオピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3−5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリフェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を、単独または2種以上併用して使用することができる。
【0062】
前記フェノール由来の構造を有する酸化防止剤は、前記ウレタン樹脂(D)の100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することがより好ましい。フェノール由来の構造を有する酸化防止剤(D)を前記した範囲で使用することにより、本発明のコーティング剤が形成する塗膜の耐久性及び耐光性を向上させることができる。
【0063】
また、ヒンダードアミン由来の構造を有する安定剤としては、例えばN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチルー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等を、単独または2種以上併用して使用することができる。
【0064】
前記ヒンダードアミン由来の構造を有する安定剤は、前記ウレタン樹脂(D)の100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することがより好ましい。ヒンダードアミン由来の構造を有する安定剤を前記した範囲で使用することにより、本発明のコーティング剤が形成する塗膜の耐久性及び耐光性を向上させることができる。
【0065】
前記した添加剤は、例えば前記ウレタン樹脂(D)の製造途中で、適宜混合することができる。なかでも、前記ウレタン樹脂(D)を水中に溶解または分散する前に、ウレタン樹脂(D)の有機溶剤溶液と安定剤前記添加剤とを混合することが、分散安定性に優れたコーティング剤を製造するうえで好ましい。
【0066】
本発明のコーティング剤は、各種基材表面に非常に優れた防食性を有する塗膜を形成することが可能である。
【0067】
前記基材としては例えば、自動車、家電、建材製品等の用途に使用される亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板等のめっき鋼板や、ステンレス鋼板、アルミ板、銅板、アルミ合金板、電磁鋼板等の金属基材や、プラスチック基材や、コンクリート等の無機物からなる基材等を使用することができる。
【0068】
また、本発明のコーティング剤は、前記した各種基材のなかでも、とりわけ金属基材の表面に耐候性等を付与する際に使用する、いわゆる金属表面処理用コーティング剤として使用することが好ましい。
【0069】
本発明のコーティング剤は、例えばロールコーター法、スプレー法、ディッピング法、はけ塗り法等の方法で、前記した基材表面に塗装することができる。塗装後は、必要に応じて、例えば60〜200℃の範囲で数秒〜10分程度加熱乾燥することによって、基材表面に所望の塗膜を形成することが可能である。
【0070】
前記塗膜の膜厚は、金属の使用される用途等に応じて適宜調整可能であるが、通常0.5μm〜20μm程度であることが好ましい。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により、一層、具体的に説明する。
【0072】
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸13質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21質量部、及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート43質量部、イソホロンジイソシアネート36質量部を、メチルエチルケトン59質量部とメチルピロリドン119質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0073】
次いで、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液中に、トリエチルアミンを10質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水331質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記水分散体に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分30質量%のコーティング剤(I)を得た。
【0074】
[実施例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリカーボネートジオール(「ニッポラン980R」日本ポリウレタン工業株式会社製、水酸基当量1000g/当量)100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸13質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート43質量部、及びイソホロンジイソシアネート36質量部を、メチルエチルケトン59質量部とメチルピロリドン119質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0075】
次いで、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液中に、トリエチルアミンを10質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水331質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記水分散体に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分30質量%のコーティング剤(II)を得た。
【0076】
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG2000」三菱化学工業株式会社製、水酸基当量1000g/当量)100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸13質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21質量部、及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート43質量部、イソホロンジイソシアネート36質量部を、メチルエチルケトン59質量部とメチルピロリドン119質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0077】
次いで、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液中に、トリエチルアミンを10質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水331質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記水分散体に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分30質量%のコーティング剤(III)を得た。
【0078】
[比較例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸13質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21質量部、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート85質量部を、メチルエチルケトン61質量部とメチルピロリドン85質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0079】
次いで、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液中に、トリエチルアミンを10質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水377質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記水分散体に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分30質量%のコーティング剤(IV)を得た。
【0080】
[防食性の評価方法]
1.耐塩水性
表面処理されていない亜鉛めっき鋼板の表面を、イソプロピルアルコールとトルエンとを用いて脱脂した後、実施例及び比較例で得られたコーティング剤を、乾燥塗膜の膜厚が3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、100℃に調整した乾燥機を用いて5分間乾燥させた。
前記方法で得られた、表面に塗膜が形成された鋼板(試験板)の塗面にカッターナイフで傷をつけ、50時間の塩水噴霧試験(SST;スガ試験機(株)製)を行い、白錆の発生程度を面積で評価した。
塗膜の面積に対する、白錆の発生した面積の割合が概ね75%以下であれば、実用上十分なレベルの耐塩水性を有するものといえる。
【0081】
2.耐水性
ポリプロピレンフィルムからなる基材上に実施例及び比較例で得られたコーティング剤を乾燥塗膜の膜厚が150μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、キャスト法により室温23℃、湿度65%の環境下で乾燥させた。
乾燥後、前記塗膜を108℃で2時間、加熱処理した後、140℃で5分間熱処理を行い、室温23℃及び湿度65%の環境下で1日以上エージングした後、前記基材から剥離したものを試験用フィルムとした。
前記方法で得られた試験用フィルムを、40℃の水中に24時間浸漬し、浸漬後のフィルムの白化の程度を、下記の指標で評価した。
【0082】
[判定基準]
○: 白化が目視で確認出来ないレベル
△: 白化が目視で若干確認できるレベル
×: 明らかな白化が目視で確認できるレベル
【0083】
3.耐湿熱性:
ポリプロピレンフィルムからなる基材上に実施例及び比較例で得られたコーティング剤を乾燥塗膜の膜厚が150μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、キャスト法により室温23℃、湿度65%の環境下で乾燥させた。
乾燥後、前記塗膜を108℃で2時間、加熱処理した後、140℃で5分間熱処理を行い、室温23℃及び湿度65%の環境下で1日以上エージングした後、前記基材から剥離したものを試験用フィルムとした。
前記方法で得られた試験用フィルムを、室温70℃で湿度95%の環境下に200時間放置する耐湿熱性試験を行い、試験後のフィルムの状態を下記の指標で評価した。
【0084】
[判定基準]
○: フィルム強度100%Mが評価前と同水準
△: フィルム強度100%Mが評価前の51%以上の水準で保持
×: フィルム強度100%Mが評価前の50%以下の水準で保持
【0085】
[耐黄変性の評価方法]
ポリプロピレンフィルムからなる基材上に実施例及び比較例で得られたコーティング剤を乾燥塗膜の膜厚が150μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、キャスト法により室温23℃、湿度65%の環境下で乾燥させた。
乾燥後、前記塗膜を108℃で2時間、加熱処理した後、140℃で5分間熱処理を行い、室温23℃及び湿度65%の環境下で1日以上エージングした後、前記基材から剥離したものを試験用フィルムとした。
前記方法で得られた試験用フィルムを、150℃下に1時間放置する耐熱変色試験を行い、試験後のフィルムの黄変の程度を、下記の指標で評価した。
【0086】
[判定基準]
○: 黄変が目視で確認出来ないレベル
△: 黄変が目視で若干確認できるレベル
×: 明らかな黄変が目視で確認できるレベル
【0087】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と、親水性基含有ポリオール(a2)と、ポリエステルポリオール(a3)及びポリカーボネートポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上とを含むポリオール(A)、脂肪族ポリイソシアネート(B)、及び、鎖伸長剤(C)を反応させて得られるウレタン樹脂(D)が水系媒体中に分散してなることを特徴とするコーティング剤。

【公開番号】特開2009−67966(P2009−67966A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240782(P2007−240782)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】