説明

コーティング材料、その製造法および堅固に付着する耐蝕性被覆を得るための該コーティング材料の使用

化学線で硬化可能であり、有機溶剤を本質的に含まないかまたは完全に含まず、5未満のpH値を有する油中水型分散液の形の液状のコーティング材料であって、
(A)化学線で活性化可能である少なくとも1個の基を含有する、低分子量、オリゴマーおよびポリマーの有機化合物からなる群から選択された少なくとも1つの成分、ならびに空気乾燥性アルキド樹脂および酸化乾燥性アルキド樹脂、
(B)ポリ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(b1)、
(C)モノ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(c1)、および
(D)ポリ燐酸を基礎とする少なくとも1つの酸性の耐蝕性顔料を含有する、上記コーティング材料。上記コーティング材料の製造法およびコイルコーティングプライマーとしての上記コーティング材料の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学線で硬化可能な新規のコーティング材料に関する。更に、本発明は、化学線で硬化可能なコーティング材料を製造するための新規方法に関する。更に、本発明は、新規のコーティング材料の使用または新規方法により製造された、堅固に付着する耐蝕性被覆、殊にコイル−コーティング、特にプライマー層を形成させるためのコーティング材料の使用に関する。
【0002】
堅固に付着する耐蝕性被覆を、殊に通常の公知の商業用金属、例えば亜鉛、アルミニウムまたは光沢金属、電気メッキされた金属、電気亜鉛めっきされた金属および燐酸塩処理された金属からなる金属ストリップまたはコイル上でコイル−コーティング法(Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, 第617頁, >>Walzlackierung<< および第55頁, >>Bandbeschichtung<<)により達成させるために、金属ストリップの表面を前処理に掛けることが必要とされる。しかし、これは、コイル−コーティング法の範囲内で付加的な処理工程であるが、しかし、この処理工程は、経済的理由および技術的理由から断念してよい。
【0003】
プライマー層は、公知のように金属表面とその上にある被覆との間で付着補助に使用される。また、このプライマー層は、或る一定の範囲内で耐蝕に貢献することもできる。通常、このプライマー層は、顔料添加された、溶剤含有の熱的に硬化可能なコーティング材料から形成される。しかし、これには、放出された溶剤を吸い取りかつ廃棄物除去するための費用のかかる装置が必要とされ、コイルは、高い温度(”peak metal temperatures”, PMT)に加熱されなければならず、塗布されたコーティング材料は、コイル−コーティング法に必要とされる速度で硬化される。従って、溶剤を含まず、化学線で急速に硬化可能なコーティング材料をプライマー層の形成に使用することが著しく望まれている。
【0004】
顔料を含有せず、溶剤を含有しない、化学線で硬化可能なコーティング材料(100%系)は、原則的に公知である。しかし、このコーティング材料は、十分な耐蝕性のために本来必要とされるであろう程度に高く顔料添加される場合には、このコーティング材料は、粘稠になり、コイル−コーティング法の場合には、ロール塗布により問題なしにかまたは概して塗布される。その代わりに、よりいっそう高い塗布温度および/または比較的費用のかかる、シートダイを備えた押出装置を使用しなければならず、これら2つのことは、コイル−コーティング法にとって欠点である。
【0005】
白色腐蝕生成物の形成からの良好な保護、即ち酸化亜鉛および雰囲気中の二酸化炭素および水からの炭酸亜鉛の形成からの良好な保護、溶剤を含まない放射線硬化可能な単独のコーティング材料による亜鉛の形成または亜鉛めっきされた表面の形成からの良好な保護を保証するために、このコーティング材料は、金属表面上での燐酸亜鉛層の急速な形成を促進させなければならない。しかし、これは、4未満のpH値の場合に限定されるであろう。
【0006】
しかし、さらに、通常の公知のクロム酸塩を含まない、燐酸塩および珪酸塩を基礎とする耐蝕性の顔料は、もはや使用することができないであろう。それというのも、この顔料は、塩基性であり、コーティング材料の高い粘度およびチキソトロピー挙動を惹起するからである。
【0007】
これとは異なり、通常の公知の放射線硬化可能な水性分散液は、常にアミンで中和され、このことは、白色腐蝕生成物の形成を促進する。この水性分散液は、約35〜40質量%の範囲内の比較的低い固体含量を有し、このことは、水の急速な蒸発(”フラッシュ−オフ(flash-off)”)のために特に高いエネルギー費用をまねく。とりわけ、生じる被覆は、熱可塑性のままであり、したがってプライマー層として不適当である。
【0008】
アクリレート基含有のオリゴマーを基礎とする、通常の公知の放射硬化可能な水性分散液は、実際に弱酸性であり、約50質量%の範囲内の若干高い固体含量を有するが、しかし、界面活性化合物、例えば湿潤剤および乳化剤の極めて高い含量を有する。この水性分散液は、中間層の付着力および耐蝕作用を減少させ、根本においては、顔料の表面反応性を高めかつ分散を改善するための添加剤としてのみ使用することができる。
【0009】
ポリアクリル酸を基礎とする通常の公知の放射線硬化可能な分散液は、数多くの遊離カルボキシル基を含有し、したがって直ちに酸性の水性媒体中で凝集する。
【0010】
本発明の課題は、公知技術水準の欠点をもはや有さず、簡単に製造することができ、高度に反応性であるにも拘わらず貯蔵安定性であり、特に簡単に問題なしに殊にコイル−コーティング法の範囲内で適用することができ、低い硬化温度で極めて急速に放出なしに揮発性の有機化合物を硬化させることができ、前処理されていない金属表面上、殊に商業用金属、例えば亜鉛、アルミニウムまたは光沢金属、電気メッキされた金属、電気亜鉛めっきされた金属および燐酸塩処理された金属上に特に高い付着力、中間層の上に存在する被覆に対して特に高い中間層付着力および殊に白色腐蝕生成物の形成に対して優れた耐蝕作用を有する被覆、殊にコイル−コーティング、特にプライマー塗膜を供給する、新規の顔料添加された、化学線で硬化可能な、有機溶剤を本質的に含まないかまたは完全に含まないコーティング材料を提供することである。
【0011】
それに応じて、
(A)化学線で活性化可能である少なくとも1個の基を含有する、低分子量、オリゴマーおよびポリマーの有機化合物からなる群から選択された少なくとも1つの成分、ならびに空気乾燥性アルキド樹脂および酸化乾燥性アルキド樹脂、
(B)ポリ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(b1)、
(C)モノ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(c1)、および
(D)ポリ燐酸を基礎とする少なくとも1つの酸性の耐蝕性顔料を含有することによって特徴付けられる、化学線で硬化可能であり、有機溶剤を本質的に含まないかまたは完全に含まず、5未満のpH値を有する油中水型分散液の形の液状の新規のコーティング材料が見出された。
【0012】
以下、この新規のコーティング材料は、>>本発明によるコーティング材料<< と呼ばれる。
【0013】
更に、
(1)少なくとも1つの顔料(D)を少なくとも1つのエステル(B)の一部分、少なくとも1つのエステル(C)、水ならびに単数の成分(A)または複数の成分(A)の一部分を混合し、生じる混合物を微粉砕装置上で微粉砕し、それによって練り顔料(1)を生じ、
(2)単数の成分(A)または複数の成分(A)の他の部分ならびに少なくとも1つのエステル(C)の他の部分を互いに混合し、生じる混合物を均一化し、それによって完全な混合物(2)を生じ、
(3)その後に練り顔料(1)および完全な混合物(2)を互いに混合し、生じる混合物を均一化し、それによってコーティング材料(3)を生じることによって特徴付けられる、コーティング材料の成分を混合し、生じる混合物を均一化することによって本発明によるコーティング材料を製造するための新規方法が見出された。
【0014】
以下、この新規方法は、>>本発明による方法<< と呼ばれる。
【0015】
公知技術水準に関連して、意外なことに、本発明の基礎となる課題が本発明によるコーティング材料および本発明による方法により解決されることができたことは、予想することができなかった。
【0016】
殊に、意外なことに、本発明により意図された、本発明によるコーティング材料の耐蝕作用は、元来、完全に別の使用目的、例えば水ガラス(Th. Staffel, F. Wahl, S. Weber und R. Glaum, >>Kaelte und Feuchte - na und? Polymer Aluminiumphosphate als Wasserglashaerter<<, Farbe & Lack, Jahrgang 108, Heft 10, 第103頁〜第109頁, 2002)の硬化のために設けられていた顔料(D)により達成させることができたことは、意外なことであった。
【0017】
更に、なお本発明による被覆剤が公知技術水準の欠点をもはや有さず、簡単に製造することができ、高度に反応性であるにも拘わらず貯蔵安定性であり、特に簡単に問題なしに殊にコイル−コーティング法の範囲内で適用することができ、低い硬化温度で極めて急速に放出なしに揮発性の有機化合物を硬化させることができ、前処理されていない金属表面上、殊に商業用金属、例えば亜鉛、アルミニウムまたは光沢金属、電気メッキされた金属、電気亜鉛めっきされた金属および燐酸塩処理された金属上に特に高い付着力、中間層の上に存在する被覆に対して特に高い中間層付着力および殊に白色腐蝕生成物の形成に対して優れた耐蝕作用を有する被覆、殊にコイル−コーティング、特にプライマー塗膜を供給することは、驚異的なことであった。
【0018】
本発明によるコーティング材料は、液状であり、即ちこの本発明によるコーティング材料は、実際に固体の非液状の成分を含有するが、しかし、室温で製造、貯蔵および塗布の通常の公知の条件下で液状であり、したがってこの本発明によるコーティング材料は、コイル−コーティング法で使用される通常の公知の塗布方法により加工されることができる。
【0019】
本発明によるコーティング材料は、油中水型分散液として存在し、この場合非連続的な水相は、連続的な有機相中で微細に分散されている。水相の小液滴の直径は、幅広く変動可能である:有利に、この直径は、10nm〜1000μm、殊に100nm〜800μmである。本発明によるコーティング材料の成分は、親水性または疎水性に相応して(Roempp Online, 2002, >>Hydrophobie<<, >>Hydrophilie<<)水相上および有機相上に分布しているかまたは別個の固体相として存在する。
【0020】
本発明によるコーティング材料またはその水相は、5未満のpH値、有利に4未満のpH値、殊に3〜3.5のpH値を有する。
【0021】
本発明によるコーティング材料は、有機溶剤を本質的に含まないかまたは完全に含まず、即ち有機溶剤の含量は、5質量%未満、特に3質量%未満、有利に1質量%未満である。殊に、この含量は、有機溶剤のための通常の公知の定性的および定量的な検出方法の検出限界を下廻る。
【0022】
本発明によるコーティング材料は、殊に化学線で活性化可能である1個または少なくとも2個の基を含有する、低分子量、オリゴマーおよびポリマーの有機化合物からなる群から選択された少なくとも1つの成分、特に少なくとも2つ、殊に少なくとも3つの成分、ならびに空気乾燥性アルキド樹脂および酸化乾燥性アルキド樹脂を含有する。
【0023】
化学線は、電磁線、例えば近赤外(NIR)、可視光線、UV線、X線またはγ線、殊にUV線、ならびに粒子線、例えば電子線、α線、β線、プロトン線または中性子ビーム、殊に電子線である。
【0024】
化学線で活性化可能な基は、少なくとも1個、殊に1個の化学線で活性化可能な結合を含有する。この化学線で活性化可能な結合は、化学線での照射の際に反応性になり、この種の別の活性化された結合との、ラジカル機構および/またはイオン機構により進行する重合反応および/または架橋反応を生じる1個の結合である。適当な結合の例は、炭素−水素−単結合または炭素−炭素−単結合、炭素−酸素−単結合、炭素−窒素−単結合、炭素−燐−単結合もしくは炭素−珪素−単結合または炭素−炭素−二重結合、炭素−酸素−二重結合、炭素−窒素−二重結合、炭素−燐−二重結合もしくは炭素−珪素−二重結合または炭素−炭素−三重結合である。これらの結合の中、炭素−炭素−二重結合および炭素−炭素−三重結合が好ましく、したがって本発明により有利に使用される。特に好ましいのは、炭素−炭素−二重結合であり、そのために炭素−炭素−二重結合は、特に有利に使用される。この炭素−炭素−二重結合は、略記するために、以下、”二重結合”と呼ばれる。
【0025】
特に、二重結合は、一般式I:
【0026】
【化1】

で示される基中に含有されている。
【0027】
一般式I中で、変数は、次の意味を有する:
Rは、カルボキシル基の炭素原子に対する炭素−炭素単結合および二価の有機基、有利に炭素−炭素単結合を表わし;および
、RおよびRは、水素原子および有機基を表わし;
この場合基R、R、RおよびRの少なくとも2個は、環状に互いに結合されていてよい。
【0028】
適当な二価の有機基Rの例は、アルキレン基、シクロアルキレン基および/またはアリーレン基を有するかまたはこれらアルキレン基、シクロアルキレン基および/またはアリーレン基からなる。好適なアルキレン基は、1個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を含有する。好適なシクロアルキレン基は、4〜10個、殊に6個の炭素原子を含有する。好適なアリーレン基は、6〜10個、殊に6個の炭素原子を含有する。
【0029】
適当な有機基R、RおよびRの例は、アルキル基、シクロアルキル基および/またはアリーレン基を有するかまたはこれらアルキル基、シクロアルキル基および/またはアリーレン基からなる。好適なアルキル基は、2〜6個の炭素原子を含有する。好適なシクロアルキル基は、4〜10個、殊に6個の炭素原子を含有する。好適なアリール基は、6〜10個、殊に6個の炭素原子を含有する。
【0030】
有機基R、R、RおよびRは、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。しかし、置換基は、本発明による方法の実施を損ねてはならないしおよび/または化学線での基の活性化を損ねてはならない。好ましくは、有機基R、R、RおよびRは、非置換である。
【0031】
一般式Iの特に好適な基の例は、ビニル基、1−メチルビニル基、1−エチルビニル基、プロペン−1−イル基、スチリル基、シクロヘキセニル基、エンドメチレンシクロヘキシル基、ノルボルネニル基およびジクロペンタジエニル基、殊にビニル基である。
【0032】
それに応じて、化学線で活性化可能な特に好ましい基は、(メタ)アクリレート基、エタクリレート基、クロトネート基、シンナメート基、シクロヘキセンカルボキシレート基、エンドメチレンシクロヘキサンカルボキシレート基、ノルボルネンカルボキシレート基およびジシクロペンタジエンカルボキシレート基、殊に(メタ)アクリレート基である。
【0033】
好適な低分子量の化合物(A)の例は、通常の公知の反応性希釈剤である(Roempp Online, 2002, >>Reaktivverduenner<<)。特に、反応性希釈剤は、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、N−(2−メチルアクリロイルエト−1−イル)エチレン尿素、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートから選択される。殊に、記載された反応性希釈剤(A)の全ての反応性希釈剤が使用される。
【0034】
オリゴマーの有機化合物(A)は、一般に2〜15個の構成単位を含有し;ポリマーの有機化合物(A)は、一般に10個を上廻るモノマーの構成単位を含有する(Roempp Online, 2002, >>Oligomere<<, >>Polymere<<)。
【0035】
オリゴマーおよびポリマーの有機化合物(A)は、多種多様のオリゴマーおよびポリマーの種類に由来することができる。適当なオリゴマーおよびポリマーの種類の例は、エチレン系不飽和モノマーのランダムに形成されたか、交互に形成されたおよび/またはブロック状に形成された直鎖状および/または分枝鎖状および/または櫛状に形成されたポリ付加樹脂、重縮合樹脂および(コ)ポリマーである。この概念については、補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, 第457頁, >>Polyaddition<< および >>Polyadditionsharze (Polyaddukte)<< ならびに第463頁および第464頁, >>Polykondensate<<, >>Polykondensation<< および >>Polykondensationsharze<< に指摘されている。
【0036】
好適なポリ付加塩および/または重縮合樹脂(A)の例は、ポリエステル、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂−アミン−付加物、ポリ尿素、ポリアミドまたはポリイミドである。
【0037】
好適な(コ)ポリマー(A)の例は、(メタ)アクリレート(コ)ポリマーおよびポリビニルエステル、殊に(メタ)アクリレート(コ)ポリマーである。
【0038】
特に好ましくは、オリゴウレタンおよびポリウレタン(A)が使用される。これらのオリゴウレタンおよびポリウレタン(A)は、通常の公知のジイソシアネートおよびポリイソシアネートならびに少なくとも1個、殊に1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも1個、殊に1個の、化学線で硬化可能な前記の基を含有する化合物から得ることができる。
【0039】
ジイソシアネートおよびポリイソシアネートとして、原則的に塗工液両分野で使用される、通常の公知の全ての脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、脂肪族−芳香族および/または脂環式−芳香族のジイソシアネートおよびポリイソシアネートならびにポリイソシアネート付加物がこれに該当し、この場合これらのジイソシアネートおよびポリイソシアネートならびにポリイソシアネート付加物は、塗料用ポリイソシアネートとも呼ばれる。
【0040】
適当なジイソシアネートの適当な例は、イソホロンジイソシアネート(=5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエチ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1,3−ジイソシアナトシクロブタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンの異性体混合物をホスゲン化することによってかまたはドイツ連邦共和国特許出願公開第4414032号明細書A1、英国特許第1220717号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1618795号明細書A1またはドイツ連邦共和国特許出願公開第1793785号明細書A1に記載の市販のビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンを分別結晶させることによって得ることができる、30質量%まで、特に25質量%、殊に20質量%のトランス/トランス含量の液状ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネートまたはHenkel社から商品名DDI 1410の商品名で販売されおよび特許明細書WO 97/49745AおよびWO 97/49747Aに記載されているような二量体脂肪酸に由来するジイソシアネート、殊にヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアナトノニル)−1−ペンチル−シクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくは1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサンもしくは1,3−ビス(2−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−イソシアナトプロピ−1−イル)シクロヘキサンまたは1,2−ビス(4−イソシアナトブチ−1−イル)シクロヘキサン、1,4−ビス(4−イソシアナトブチ−1−イル)シクロヘキサンもしくは1,3−ビス(4−イソシアナトブチ−1−イル)シクロヘキサン、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(=1,3−ビス−(2−イソシアナトプロピ−2−イル)−ベンゼン)、トルイレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0041】
前記ジイソシアネートを基礎とする適当なポリイソシアネートの例は、ポリオールを過剰量の少なくとも1つの前記ジイソシアネートと反応させることによって得ることができるイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー、および/またはイソシアヌレート基、ビウレット基、アロファネート基、イミノオキサジアジンジオン基、ウレタン基、尿素基および/またはウレットジオン基を含有するポリイソシアネートである。好ましくは、統計的平均で1分子当たり2〜5個のイソシアネート基および100〜10000mPas、有利に100〜5000mPasの粘度を有するポリイソシアネートが使用される。更に、ポリイソシアネートは、通常の公知方法で親水性に変性されていてもよいし、疎水性に変性されていてもよい。
【0042】
適当な製造方法の例は、例えばカナダ国特許第2163591号明細書、米国特許第4419513号明細書、米国特許第4454317号明細書、欧州特許出願公開第0646608号明細書、米国特許第4801675号明細書、欧州特許出願公開第0183976号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4015155号明細書A1、欧州特許出願公開第0303150号明細書A1、欧州特許出願公開第0496208号明細書A1、欧州特許出願公開第0524500号明細書A1、欧州特許出願公開第0566037号明細書A1、米国特許第5258482号明細書A1、米国特許第5290902号明細書A1、欧州特許出願公開第0649806号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4229183号明細書A1または欧州特許出願公開第0531820号明細書A1の記載から公知である。
【0043】
更に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19828935号明細書A1に記載されているような高粘稠なポリイソシアネートもこれに該当する。
【0044】
適当なイソシアネート反応性官能基の例は、ヒドロキシル基、チオール基ならびに第1アミノ基および第2アミノ基、殊にヒドロキシル基である。
【0045】
イソシアネート反応性官能基および化学線で活性化可能な基を含有する特に好適な化合物の例は、1分子当たり少なくとも1個のヒドロキシル基またはアミノ基を有するモノマー、例えば
− 酸でエステル化されているアルキレングリコールに由来するかまたはα,β−オレフィン系不飽和カルボン酸とアルキレンオキシド、例えば酸化エチレンまたは酸化プロピレンとの反応によって得ることができる、アクリル酸、メタクリル酸または別のα,β−オレフィン系不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、殊にヒドロキシアルキル基が20個までの炭素原子を有するような、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、2−ヒドロキシプロピルエタクリレート、3−ヒドロキシプロピルエタクリレート、3−ヒドロキシブチルエタクリレート、4−ヒドロキシブチルエタクリレート、2−ヒドロキシエチルクロトネート、2−ヒドロキシプロピルクロトネート、3−ヒドロキシプロピルクロトネート、3−ヒドロキシブチルクロトネート、4−ヒドロキシブチルクロトネート、2−ヒドロキシエチルマレイネート、2−ヒドロキシプロピルマレイネート、3−ヒドロキシプロピルマレイネート、3−ヒドロキシブチルマレイネート、4−ヒドロキシブチルマレイネート、2−ヒドロキシエチルフマレート、2−ヒドロキシプロピルフマレート、3−ヒドロキシプロピルフマレート、3−ヒドロキシブチルフマレート、4−ヒドロキシブチルフマレートまたは2−ヒドロキシエチルイタコネート、2−ヒドロキシプロピルイタコネート、3−ヒドロキシプロピルイタコネート、3−ヒドロキシブチルイタコネート、4−ヒドロキシブチルイタコネート;またはヒドロキシシクロアルキルエステル、例えば1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノアクリレート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノアクリレートもしくはメチルプロパンジオールモノアクリレート、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノメタクリレート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノメタクリレートもしくはメチルプロパンジオールモノメタクリレート、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノエタクリレート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノエタクリレートもしくはメチルプロパンジオールモノエタクリレート、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノクロトネート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノクロトネートもしくはメチルプロパンジオールモノクロトネート、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノマレイネート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノマレイネートもしくはメチルプロパンジオールモノマレイネート、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノフマレート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノフマレートもしくはメチルプロパンジオールモノフマレートまたは1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンモノイタコネート、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールモノイタコネートもしくはメチルプロパンジオールイタコネート;環式エステルからの反応生成物、例えばε−カプロラクタムとそのヒドロキシルアルキルエステルまたはヒドロキシシクロアルキルエステルとからの反応生成物;
− オレフィン系不飽和アルコール、例えばアリルアルコール;
− ポリオール、例えばトリメチロールプロパンモノアリルエーテルもしくはトリメチロールプロパンジアリルエーテルまたはペンタエリトリットモノアリルエーテル、ペンタエリトリットジアリルエーテルもしくはペンタエリトリットトリアリルエーテル;
− アクリル酸および/またはメタクリル酸と1分子当たり5〜18個のC原子を有する、α位で分枝鎖状のモノカルボン酸、殊にヴェルサチック(Versatic(登録商標))酸のグリシジルエステルとの反応生成物、またはこの反応生成物の代わりに、この場合に1分子当たり5〜18個のC原子を有する、α位で分枝鎖状のモノカルボン酸、殊にヴェルサチック(Versatic(登録商標))酸のグリシジルエステルとの反応中または反応後に反応される等量のアクリル酸および/またはメタクリル酸;
− アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アリルアミンまたはN−メチルイミノエチルアクリレート;および/または
− ヒドロキシ官能性シランをエピクロロヒドリンと反応させ、引続きこの反応生成物を(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよび/またはヒドロキシシクロアルキルエステルおよび/またはさらにヒドロキシル基含有モノマーと反応させることによって得ることができるアクリルオキシシラン含有ビニルモノマーである。
【0046】
殊に、4−ヒドロキシブチルアクリレートが使用される。
【0047】
ジイソシアネートおよびポリイソシアネートと少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を有する化合物との反応は、方法論的な特殊性を提供するのではなく、例えば国策特許出願WO 96/23836Aの記載と同様に実施される。
【0048】
空気乾燥性アルキド樹脂(A)および酸化乾燥性アルキド樹脂(A)、例えば亜麻仁油−アルキド樹脂、大豆油−アルキド樹脂、サフラン油−アルキド樹脂またはリシン(Ricinen)−アルキド樹脂は、自体公知の化合物であり、例えばRoempp Online, 2002, >>Alkydharze<< に記載されている。好ましいのは、20〜60%、殊に25〜60%の油長または油含量のアルキド樹脂である。アルキド樹脂(A)の不飽和脂肪酸エステル中に存在するオレフィン系不飽和二重結合の45〜65等量、殊に48〜60等量が共役している。このアルキド樹脂は、油長または油含量のために、中油アルキド樹脂(mitteloeliges Alkydharz)または中脂肪アルキド樹脂(mittelfettes Alkydharz)とも呼ばれる。
【0049】
アルキド樹脂(A)の不飽和脂肪酸基は、植物油および動物油中、例えばヒマシ油、脱水されたヒマシ油(Castor Oil)、ヤシ油、パーム油、落花生油、綿実油、大豆油、サフラン油、ヒマワリ油、OH−ヒマワリ油、亜麻仁油、エルカ酸富有のナタネ油およびエルカ酸貧有のナタネ油、キリ油、オリチシカ油、食用油脂、獣脂、マッコウ鯨油およびニシン油中に存在するかまたはこれらから取得することができる不飽和脂肪酸、例えばラウロレイン酸(ドデセン酸)、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、油酸(オクタデセン酸)、ガドレイン酸(エイコセン酸)、エルカ酸(ドコセン酸)、リシノール酸(12−ヒドロキシ−オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデセン酸)、リノレン酸(オクタデカトリエン酸)、エラエオステアリン酸、エイコサペンテン酸またはドコサヘキサエン酸に由来する。
【0050】
不飽和脂肪酸は、市販の製品であり、例えばUNIQEMA社によってPrifac(登録商標)またはDedico(登録商標)の名称で、Henkel社によってIsomerginsaeure(登録商標)の名称で、またはAkzo社によってNouracid(登録商標)の名称で販売されている。
【0051】
脂肪酸基(油長)および共役結合した二重結合を有する脂肪酸基の含量は、当業者によれば、簡単に脂肪酸の量により全体的に調節されることができ、および共役結合された二重結合なしのオレフィン系不飽和脂肪酸と共役結合された二重結合を有するオレフィン系の不飽和脂肪酸との比により調節されることができる。
【0052】
周知のように、アルキド樹脂(A)は、ポリオールおよび多価カルボン酸ならびに前記の酸化乾燥性脂肪酸から製造される。
【0053】
適当な多価アルコールの例は、グリセリン、ペンタエリトリット、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパンである。
【0054】
適当な多価カルボン酸の例は、テトラヒドロフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸、メチルナジン酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸および3,6−エンドメチレンテトラヒドロフタル酸ならびに前記酸の相応する無水物である。
【0055】
また、アルキド樹脂(A)は、少なくとも1つの変性成分、例えば油、天然樹脂、フェノール樹脂、アクリレート樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはイソシアネートで変性されていてもよい。
【0056】
アルキド樹脂(A)は、市販製品であり、例えばAlkydal(登録商標)R35の名称でBayer AG社から販売されており、Italkyd(登録商標)R35の名称でMulti Resin社から販売されている。特に、アルキド樹脂(A)は、前記の範囲内で溶剤不含であるかまたは例えば有機溶剤の蒸留によって遊離される。
【0057】
特に好ましい本発明によるコーティング材料は、前記の反応希釈剤(A)、オリゴマーおよびポリマー(A)ならびにアルキド樹脂(A)を含有する。
【0058】
本発明によるコーティング材料は、ポリ燐酸の少なくとも1つ、殊に1つの酸性エステルおよび少なくとも1個、殊に1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(b1)を含有する。化学線で活性化可能な適当な基の例は、前記されている。五酸化二燐に対するポリ燐酸の含量は、幅広く変動することができ;好ましくは、60〜95質量%、有利に70〜95質量%、殊に70〜90質量%である。
【0059】
更に、本発明によるコーティング材料は、モノ燐酸の少なくとも1つ、殊に1つの酸性エステルおよび少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(c1)を含有する。化学線で活性化可能な適当な基の例は、前記されている。
【0060】
好適な化合物(b1)および(c1)は、一般式II:
【0061】
【化2】

〔式中、変数R、R、RおよびRは前記の意味を有し、変数Rは、ヒドロキシル基含有の単結合の有機基を表わす〕で示されるカルボン酸エステルからなる群から選択されている。
【0062】
特に、単結合の有機基Rは、ヒドロキシル基含有のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基からなる群から選択された少なくとも1個の基を含有するかまたは前記群から選択された少なくとも1個の基からなる。好ましくは、アルキル基Rが使用される。特に好ましくは、ヒドロキシル基含有アルキル基Rは、ヒドロキシルエチル基、2−ヒドロキシプロピル基もしくは3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基またはω−ヒドロキシオリゴカプロラクチル基である。
【0063】
特に好適な化合物(b1)の例は、有利に250〜500の数平均分子量を有する4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびオリゴカプロラクトンモノアクリレートである。ポリ燐酸の特に好適なエステル(B)の例は、4−アクリロイルブチ−1−ポリホスフェートおよびω−アクリロイル−オリゴカプロラクトン−1−イル−ポリホスフェートである。
【0064】
特に好適な化合物(c1)の例は、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートである。モノ燐酸の特に好適なエステル(C)の例は、2−メタクリロイルエチ−1−イル−ホスフェートおよび3−メタクリロイルプロピ−1−イル−ホスフェートである。エステル(C)は、Sipomer(登録商標)の名称でRhodia社から湿潤剤または乳化剤として販売されている。
【0065】
とりわけ、本発明によるコーティング材料は、ポリ燐酸を基礎とする少なくとも1つ、殊に1つの酸性の耐蝕性顔料を含有する。好ましくは、ポリ燐酸アルミニウムおよびポリ燐酸亜鉛が使用される。ポリ燐酸アルミニウムは、通常の公知の製品であり、例えばTargon(登録商標)HSの名称でBK Giulini社から販売されている。ポリ燐酸亜鉛は、ポリ燐酸および酸化亜鉛から得ることができる。好ましくは、このポリ燐酸亜鉛は、水性懸濁液として使用される。
【0066】
更に、本発明によるコーティング材料は、なお少なくとも1つの添加剤、殊に少なくとも2つの添加剤を有効量で含有することができる。
【0067】
特に、添加剤(E)は、ポリ燐酸、乾燥剤、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の光学的に効果を与える顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の導電性顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の磁気的に遮断する顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の蛍光顔料、透明および不透明の有機および無機の充填剤、ナノ粒子、抗沈降剤、成分(A)とは異なるオリゴマーおよびポリマーの結合剤、UV吸収剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、光開始剤、脱気剤、スリップ添加剤、重合抑制剤、消泡剤、成分(C)とは異なる乳化剤および湿潤剤、付着助剤、流展剤、皮膜形成助剤、レオロジー調節添加剤および難燃剤からなる群から選択されている。
【0068】
特に好ましいコーティング材料は、ポリ燐酸、乾燥剤、光開始剤、抗沈降剤としてのナノ粒子、例えばアエロジル(Aerosile)、ならびに成分(C)とは異なる乳化剤および湿潤剤を含有する。
【0069】
前記成分に対する本発明によるコーティング材料の顔料は、広範囲に変動可能であり、個々の場合の要件に左右される。
【0070】
有利に、本発明によるコーティング材料は、固体、即ちコーティング材料から得られたコーティングを構成する成分の総和に対して有機結合した五酸化二燐を1〜10質量%、有利に1.5〜8質量%、殊に2〜6質量%含有する。特に、本発明によるコーティング材料は、固体に対して有機結合した五酸化二燐を5〜30質量%、有利に8〜25質量%、殊に10〜20質量%含有する。
【0071】
特に、本発明によるコーティング材料の固体含量は、それぞれ全体量に対して70〜99質量%、有利に75〜95質量%、殊に70〜95質量%である。特に、本発明によるコーティング材料の含水量は、それぞれ全体量に対して1〜30質量%、有利に5〜25質量%、殊に5〜30質量%である。
【0072】
特に、顔料(D)と成分(A)との量比は、(D):(A)=1:0.5〜1:10、有利に1:1〜1:8、殊に1:1.5〜1:6である。
【0073】
特に好ましい本発明によるコーティング材料は、それぞれ固体に対して、
− 特にアルキド樹脂(A)5〜35質量%、有利に6〜30質量%、殊に7〜25質量%、
− 特にオリゴウレタン(A)5〜35質量%、有利に6〜30質量%、殊に7〜25質量%、
− 特にイソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、N−(2−メタクリロイルエチ−1−イル)エチレン尿素、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートからなる反応性希釈剤(A)の混合物特に15〜40質量%、有利に70〜35質量%、殊に20〜30質量%、
− 特にエステル(B)1〜10質量%、有利に2〜8質量%、殊に3〜7質量%、
− 特にエステル(C)0.1〜3質量%、有利に0.2〜2質量%、殊に0.3〜1.5質量%、
− 特に顔料(D)5〜40質量%、有利に6〜35質量%、殊に7〜30質量%、
− 特に(C)とは異なる湿潤剤(E)0.1〜3質量%、有利に0.2〜2質量%、殊に0.3〜1.5質量%、
− 特にナノ粒子(E)0.01〜1質量%、有利に0.02〜0.8質量%、殊に0.03〜0.7質量%、
− 特にポリ燐酸(E)1〜10質量%、有利に1.5〜9質量%、殊に2〜8質量%、
− 特に光開始剤(E)1〜10質量%、有利に1.5〜9質量%、殊に2〜8質量%おおよび
− 特に乾燥剤(E)0.1〜3質量%、有利に0.2〜2.5質量%、殊に0.3〜2質量%を含有する。
【0074】
成分(I)および(II)は、特に前記成分を適当な混合装置中、例えば攪拌釜、撹拌機ミル、押出機、混練機、ウルトラターラックス(Uitra Turrax)、インライン−ディスソルバー、静的混合装置、マイクロミキサー、歯車型ディスパジェイター(Zahnkranzdispergator)、圧力放圧ノズルおよび/またはマイクロ流動化装置中で混合することによって製造される。この場合には、有利に550nm未満の波長λの光を排除しながらかまたは光を完全に排除しながら作業され、成分(I)および場合によっては化学線で活性化可能な成分(II)の早期の架橋は、回避される。
【0075】
本発明によるコーティング材料は、特に前記成分を適当な混合装置中、例えば攪拌釜、撹拌機ミル、押出機、混練機、ウルトラターラックス(Uitra Turrax)、インライン−ディスソルバー、静的混合装置、マイクロミキサー、歯車型ディスパジェイター(Zahnkranzdispergator)、圧力放圧ノズルおよび/またはマイクロ流動化装置中で混合することによって製造される。この場合には、有利に550nm未満の波長λの光を排除しながらかまたは光を完全に排除しながら作業され、早期の架橋は、回避される。
【0076】
本発明によるコーティング材料にとっては、本発明によるコーティング材料を本発明による方法により製造することは、有利である。本発明による方法の場合には、
(1)少なくとも1つの顔料(D)は、少なくとも1つのエステル(B)の一部分、少なくとも1つのエステル(C)、水ならびに1つの成分または複数の成分(A)の一部分と混合され、生じる混合物は、微粉砕装置上で微粉砕され、それによって練り顔料(1)が生じ、
(2)単数の成分(A)または複数の成分(A)の他の部分ならびに少なくとも1つのエステル(C)の他の部分が互いに混合され、生じる混合物が均一化され、それによって完全な混合物(2)が生じ、
(3)その後に練り顔料(1)および完全な混合物(2)が互いに混合され、生じる混合物が均一化され、それによってコーティング材料(3)が生じる。
【0077】
混合および均一化のためには、前記の混合装置が使用されうる。特に、練り顔料(1)は、1〜10、有利に1.5〜8、殊に2〜4のヘーグマン自由度(Hegman-Freiheit)になるまで粉砕される。この場合には、通常の公知の微粉砕装置、例えばパールミルおよび攪拌型ミルが使用されうる。
【0078】
特に、練り顔料(1)および完全な混合物(2)は、(1):(2)=3:1〜0.33:1、有利に2.5:1〜1:1、殊に2:1〜1.2:1の量比で互いに混合される。
【0079】
特に、練り顔料(1)を製造するために、成分(A)としては、少なくとも1つの前記アルキド樹脂および少なくとも1つ、殊に少なくとも2つの前記の低分子量有機化合物が使用される。
【0080】
特に、完全な混合物(2)を製造するために、成分(A)としては、少なくとも1つの前記アルキド樹脂、少なくとも1つ、殊に少なくとも2つの前記の低分子量有機化合物および少なくとも1つ、殊に1つの前記のオリゴマーまたはポリマーの有機化合物が使用される。
【0081】
更に、練り顔料(1)および完全な混合物(2)の製造のために、少なくとも1つの前記の添加剤(E)が使用されうる。特に、練り顔料(1)を製造するために、添加剤(E)としては、少なくとも1つ、殊に1つの、エステル(C)とは異なる乳化剤または少なくとも1つ、殊に1つの、ナノ粒子が使用される。好ましくは、完全な混合物(2)の製造のために、添加剤(E)としては、ポリ燐酸、少なくとも1つ、殊に1つの光開始剤および少なくとも1つ、殊に1つの乾燥剤が使用される。
【0082】
本発明による方法の場合、成分(A)〜(E)は、有利に本発明によるコーティング材料の成分の前記の好ましい量比が生じるような量で使用される。
【0083】
本発明によるコーティング材料は、有利に全ての種類のコーティングの製造に適している。殊に、本発明によるコーティング材料は、コイル−コーティング塗料として適している。更に、本発明によるコーティング材料は、有利に全ての商業用金属上、殊に光沢鋼、電気メッキされた鋼、電気亜鉛めっきされた鋼および燐酸塩処理された鋼、亜鉛およびアルミニウム上、コーティング上、殊にプライマー塗膜上ならびにSMC(Sheet Moulded Compounds)およびBMC(Bulk Moulded Compounds)上にコーティングを得るのに適している。この場合、本発明によるコーティングは、有利にクリヤコート、トップコート、一時的または永続的な保護コート、プライマーコート、シーリングコートおよびアンチフィンガープリントコートが適当であるが、しかし、殊にプライマーコートが好適である。
【0084】
意外なことに、本発明によるコーティング、殊に本発明によるプライマーコーティングは、前処理されていない金属表面上、例えば前処理されていないHDG(hot dipped galvanized)鋼上でも、殊に付着力、融通性、硬さ、耐化学薬品性、層間付着性および耐蝕作用に関連して戸外で使用するための建築部材についてのUsinor社の仕様書の種類IVの要件を全面的に満たす。
【0085】
方法論的に本発明によるコーティング材料の塗布は、特殊性を有さず、通常の塗布方法、例えば噴霧、ナイフコーティング、ブラッシング、流し塗り、浸漬、滴下またはロール塗布によって行なうことができる。一般に、本発明によるコーティング材料の早期の架橋を回避させるために、化学線を遮断しながら作用することが望ましい。塗布後、本発明によるコーティング材料中に含有されている水は、簡単に蒸発させることができ、このことは、フラッシュオフ(flash-off)とも呼ばれる。これは、好ましくは金属支持体の短時間の誘導加熱によって行なわれる。
【0086】
本発明によるコーティング材料を化学線で硬化させるためには、照射源、例えば水銀高圧蒸気ランプもしくは水銀低圧蒸気ランプまたは電子ビーム源が当てはまる。更に、化学線を用いて硬化させるのに適した方法および装置の例は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19818735号明細書A1、第10欄、第31行〜第11欄、第22行、R. Stephen Davidson, >>Exploring the Science, Technology and Applications of U.V. and E.B. Curing<<, Sita Technology Ltd., London, 1999, Chapter I, >>An Overview<<, 第16頁, 10図またはDipl.-Ing. Peter Klamann, >>eltosch System-Kompetenz, UV-Technik, Leitfaden fuer Anwender<<, 第2頁, 1998年10月に記載されている。
【0087】
有利に照射の場合には、100〜6000mJcm−2、特に200〜3000mJcm−2、有利に300〜2500mJcm−2、特に有利に500〜2000mJcm−2の放射線量が使用される。
【0088】
この場合、放射線の強さは、幅広く変動することができる。この放射線の強さは、一面で殊に放射線量により左右され、他面、照射時間により左右される。照射時間は、所定の放射線量の場合に照射装置中での支持体のベルト速度または前進速度により左右され、逆の場合も同様である。特に放射線の強さは、1×10〜3×10、有利に2×10〜2×10、特に有利に3×10〜2.5×10、殊に5×10〜2×10Wm−2である。
【0089】
本発明によるコーティング材料の特殊な利点は、放射線硬化が空気中での酸化硬化によって補助されうることである。本発明によるコーティング材料のなおもう1つの特殊な利点は、本発明によるコーティング材料が部分的にのみ硬化され、この状態で少なくとも1つの他のコーティング材料、殊に化学線で硬化可能なコーティング材料で上塗りされることができ、その後に全ての塗布された層が共通に化学線で硬化されることにある。それによって、処理時間は、さらに短縮され、層間付着性は、さらに改善される。総じて、本発明によるコーティング材料を使用することにより、コイル−コーティング法で金属フィルムをPMT上で240℃以上で加熱することは、もはや不要である。また、揮発性有機化合物の吸引取出しおよび廃棄は、不必要であり、したがって装置的、安全技術的およびエネルギー的な費用は、著しく減少させることができる。
【0090】
生じる本発明によるコーティングは、高度な融通性、損傷なしの極めて強い変形可能性、耐化学薬品性、耐候安定性、耐凝縮水安定性および耐塩水安定性ならびに支持体および別のコーティングに対する高い付着性を有する。この本発明によるコーティングは、前記の全ての特徴となお優れた目視的外観とを併せ備えている。
【0091】
実施例
例1
コーティング材料1の製造
コーティング材料1を製造するために、最初に28%の油長、10000〜12000ダルトンの質量平均分子量ならびに存在する二重結合の数に対して48〜62等量%の共役結合された二重結合の含量を有する、ヘキサヒドロフタル酸および変性されたヒマワリ油を基礎とする5未満の分子量の不均一性を有するアルキド樹脂18.9質量部(Henkel社のEdenor(登録商標)6010)、イソボルニルアクリレート12.6質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート2質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレートのポリ燐酸エステル9質量部(4−ヒドロキシブチルアクリレート80質量部と84質量%の五酸化二燐の含量を有するポリ燐酸20質量部;過剰量の4−ヒドロキシブチルアクリレート:20質量%)、脱イオン水17.5質量部、Laromer(登録商標)PE 55WN 7質量部(トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートからなるモノマー混合物、水中で50%、BASF AG社)、3−メタクリロイルプロピ−1−イル−ホスフェート2質量部(Sipomer(登録商標)DV 6661、Rhodia社の市販の湿潤剤)およびAerosil(登録商標)200(Degussa社の市販の抗沈降剤)からなる混合物を得た。この混合物をウルトラターラックス(Uitra Turrax)中で20分間1800の回転数で均質化した。
【0092】
この混合物にポリ燐酸アルミニウム30質量部(BK Giulini社のTargon(登録商標)HS)を添加した。生じる練り顔料をパールミル中で2〜4μmのヘーグマン自由度(Hegman-Freiheit)に微粉砕した。
【0093】
これと同時に、上記のアルキド樹脂7.2質量部、イソボルニルアクリレート4.8質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレートの上記のポリ燐酸エステル35質量部、ポリ燐酸5.5質量部(五酸化二燐の含量:84質量%)、ジフェニルメタンジイソシアネートを基礎とする変性されたポリイソシアネート−プレポリマー(Bayer AG社のDesmodur(登録商標)2010)と4−ヒドロキシブチルアクリレートから得られたオリゴウレタン28質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート12質量部、Irgacure(登録商標)184 5.5質量部(Ciba Specialty Chemicals社の市販の光開始剤)、オクタン酸コバルト1.25質量部およびN−(2−メタクリロイルエチ−1−イル)エチレン尿素2.5質量部からなる完全な混合物を得た。
【0094】
練り顔料62.5質量部を完全な混合物37.5質量部と混合し、その後に生じるコーティング材料1を均質化した。
【0095】
コーティング材料1は、85質量%の固体含量、1:3の顔料/結合剤比、3のpH値、固体に対して4質量%の量の有機結合した五酸化二燐および固体に対して17質量%の量の無機結合した五酸化二燐を有していた。コーティング材料1は、化学線の遮断下に少なくとも1ヶ月間完全に貯蔵安定性であった。このコーティング材料1は、有利にプライマーコーティングを得るのに適していた。
【0096】
例2
コーティング材料2の製造
例1を繰り返したが、しかし、
− 脱イオン水17.5質量部の代わりに9質量部および
− ポリ燐酸アルミニウム30質量部の代わりにポリ燐酸亜鉛40質量部(水中で変形部75質量%)を使用した。
【0097】
コーティング材料2は、同様に85質量%の固体含量、1:3の顔料/結合剤比、3のpH値、固体に対して4質量%の量の有機結合した五酸化二燐および固体に対して17質量%の量の無機結合した五酸化二燐を有していた。コーティング材料2は、化学線の遮断下に少なくとも1ヶ月間完全に貯蔵安定性であった。このコーティング材料2は、有利にプライマーコーティングを得るのに適していた。
【0098】
例3〜8
例1の記載のコーティング材料1を用いてのプライマーコーティングの形成
支持体として、Chemetall社のHGD(hot dipped galvanized)鋼からなる前処理されていない鋼薄板を使用した。
【0099】
例3の場合には、コーティング材料1を4〜6μmの層厚で塗布した。このコーティング材料1中に含有されている水を80℃で1分間蒸発させた。生じる層を1000mJcm−2の線量のUV線で硬化した。
【0100】
例4の場合には、コーティング材料1を1〜2μmの層厚で塗布した。このコーティング材料1中に含有されている水を80℃で1分間蒸発させた。生じる層を300mJcm−2の線量のUV線で部分的に硬化した。部分的に硬化された層をコーティング材料1で4〜6μmの層厚で被覆した。このコーティング材料1中に含有されている水を同様に80℃で1分間蒸発させた。引続き、双方の層を1000mJcm−2の線量のUV線で完全に硬化した。
【0101】
例5の場合には、コーティング材料1を1〜2μmの層厚で塗布した。このコーティング材料1中に含有されている水を80℃で1分間蒸発させた。生じる層を300mJcm−2の線量のUV線で部分的に硬化した。部分的に硬化された層をBASF AG社のCD97シリーズの市販の溶剤不含のUV硬化可能なクリヤラッカーで4〜5μmの層厚で被覆した。引続き、双方の層を1000mJcm−2の線量のUV線で完全に硬化した。
【0102】
例3〜5の全てのコーティングは、優れた目視的な全外観を示した。
【0103】
例6〜8については、例3〜5のコーティングをBASF Coatings AG社のCD27シリーズの市販の溶剤不含のコイルコーティングトップコート材料で被覆した。トップコート層を熱的に硬化した。
【0104】
例3〜8の被覆された試験体パネルを引掻き、塩水噴霧試験に掛けた。例3〜5の試験体パネルは、168時間後も白色の発錆または層間剥離のような不利な変化を全く示さなかった。これは、プライマーコーティングが優れた耐蝕作用を有することを強調するものである。
【0105】
例3〜7の全てのコーティングは、問題なく損傷なしに変形することができた(T字型屈曲試験:T1〜1.5)。例8のコーティングの変形可能性は、十分に良好であった(T字型屈曲試験:T0〜0.5)。
【0106】
例3〜7のコーティングは、戸外で使用するための建築部材についてのUsinor社の仕様書の種類IVの要件を満たした。
【0107】
例9〜14
例2の記載のコーティング材料2を用いてのプライマーコーティングの形成
例9〜14のために、例3〜8を繰り返したが、例1に記載のコーティング材料1の代わりに例2に記載のコーティング材料2を使用した。例3〜8の場合と同様に優れた結果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学線で硬化可能であり、有機溶剤を本質的に含まないかまたは完全に含まず、5未満のpH値を有する油中水型分散液の形の液状のコーティング材料において、
(A)化学線で活性化可能である少なくとも1個の基を含有する、低分子量、オリゴマーおよびポリマーの有機化合物ならびに空気乾燥性アルキド樹脂および酸化乾燥性アルキド樹脂からなる群から選択された少なくとも1つの成分、
(B)ポリ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(b1)、
(C)モノ燐酸の少なくとも1つの酸性エステルならびに少なくとも1個のヒドロキシル基および化学線で活性化可能な少なくとも1個の基を含有する少なくとも1つの化合物(c1)、および
(D)ポリ燐酸を基礎とする少なくとも1つの酸性の耐蝕性顔料を含有することを特徴とする、コーティング材料。
【請求項2】
固体に対して有機的に結合したPを1〜10質量%含有する、請求項1記載のコーティング材料。
【請求項3】
固体に対して無機的に結合したPを5〜30質量%含有する、請求項1または2記載のコーティング材料。
【請求項4】
顔料(D)と成分(A)との量比が1:0.5〜1:10である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項5】
70〜99質量%の固体含量を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項6】
顔料(D)が酸性のポリ燐酸アルミニウムおよびポリ燐酸亜鉛からなる群から選択されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項7】
低分子量の有機化合物(A)が反応性希釈剤である、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項8】
オリゴマーまたはポリマーの化合物(A)がオリゴウレタンまたはポリウレタンである、請求項1から7までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項9】
空気乾燥性アルキド樹脂(A)および酸化乾燥性アルキド樹脂(A)がアルキド樹脂(A)に対して20〜60%の油長を有し、この場合飽和脂肪酸エステル中に存在するオレフィン系不飽和二重結合45〜65当量%が共役している、請求項1から8までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項10】
化学線で活性化可能な基が化学線で活性化可能な少なくとも1個の結合を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項11】
化学線が電磁線または粒子線である、請求項10記載のコーティング材料。
【請求項12】
電磁線が近赤外(NIR)、可視光線、UV線、X線およびγ線ならびに粒子線、電子線、プロトン線、α線、β線および中性子ビームを含む、請求項11記載のコーティング材料。
【請求項13】
化学線で活性化可能な結合が炭素−炭素二重結合および/または炭素−炭素三重結合である、請求項1から12までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項14】
化学線で活性化可能な結合が炭素−炭素二重結合である、請求項13記載のコーティング材料。
【請求項15】
化学線で活性化可能な結合が一般式I:
【化1】

〔式中、変数は次の意味を有する:
Rは、カルボキシル基の炭素原子に対する炭素−炭素単結合および二価の有機基を表わし、
、RおよびRは、水素原子および有機基を表わし、
この場合基R、R、RおよびRの少なくとも2個は、環状に互いに結合されていてよい〕で示される基中に含有されている、請求項14記載のコーティング材料。
【請求項16】
化合物(b1)および(c1)が一般式II:
【化2】

〔式中、変数R、R、RおよびRは前記の意味を有し、変数Rは、ヒドロキシル基含有の単結合の有機基を表わす〕で示されるカルボン酸エステルからなる群から選択されている、請求項1から15までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項17】
単結合の有機基Rがヒドロキシル基含有のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基からなる群から選択された少なくとも1個の基を含有するかまたは前記群から選択された少なくとも1個の基からなる、請求項16記載のコーティング材料。
【請求項18】
化学線で活性化可能な基が(メタ)アクリレート基である、請求項13から17までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項19】
化合物(b1)および(c1)がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択されている、請求項13から18までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項20】
少なくとも1つの添加剤(E)を含有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項21】
添加剤(E)がポリ燐酸、乾燥剤、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の光学的に効果を与える顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の導電性顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の磁気的に遮断する顔料、顔料(D)とは異なる有機および無機の彩色および無彩色の蛍光顔料、透明および不透明の有機および無機の充填剤、ナノ粒子、成分(A)とは異なるオリゴマーおよびポリマーの結合剤、UV吸収剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、光開始剤、脱気剤、スリップ添加剤、重合抑制剤、消泡剤、成分(C)とは異なる乳化剤および湿潤剤、付着助剤、流展剤、皮膜形成助剤、レオロジー調節添加剤および難燃剤からなる群から選択されている、請求項20記載のコーティング材料。
【請求項22】
コーティング材料の成分を混合し、生じる混合物を均一化することによって請求項1から21までのいずれか1項に記載のコーティング材料を製造する方法において、
(1)少なくとも1つの顔料(D)を少なくとも1つのエステル(B)の一部分、少なくとも1つのエステル(C)、水ならびに単数の成分(A)または複数の成分(A)の一部分を混合し、生じる混合物を粉砕装置上で粉砕し、それによって練り顔料(1)を生じ、
(2)単数の成分(A)または複数の成分(A)の他の部分ならびに少なくとも1つのエステル(C)の他の部分を互いに混合し、生じる混合物を均一化し、それによって完全な混合物(2)を生じ、
(3)その後に練り顔料(1)および完全な混合物(2)を互いに混合し、生じる混合物を均一化し、それによってコーティング材料(3)を生じることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載のコーティング材料を製造する方法。
【請求項23】
練り顔料(1)と完全な混合物(2)を(1):(2)=3:1〜0.33:1の量比で互いに混合する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
練り顔料(1)の製造のために成分(A)として少なくとも1つのアルキド樹脂および少なくとも1つの低分子量の有機化合物を使用する、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
完全な混合物(2)の製造のために成分(A)として少なくとも1つのアルキド樹脂、少なくとも1つの低分子量の有機化合物および少なくとも1つのオリゴマーまたはポリマーの有機化合物を使用する、請求項22から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
練り顔料(1)および完全な混合物(2)の製造のために、少なくとも1つの添加剤(E)を使用する、請求項22から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
練り顔料(1)の製造のために成分(E)としてエステル(C)とは異なる少なくとも1つの乳化剤または(C)とは異なる湿潤剤ならびに少なくとも1つの種類のナノ粒子を使用する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
完全な混合物(2)の製造のために添加剤(E)としてポリ燐酸、少なくとも1つの光開始剤および少なくとも1つの乾燥剤を使用する、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
コイル−コーティングを形成させるための請求項1から21までのいずれか1項に記載のコーティング材料または請求項22から28までのいずれか1項に記載の方法により製造されたコーティング材料の使用。
【請求項30】
コイル−コーティングが堅固に付着された耐蝕性のプライマー層である、請求項29記載の使用。

【公表番号】特表2006−509060(P2006−509060A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556112(P2004−556112)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012319
【国際公開番号】WO2004/050776
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【Fターム(参考)】