説明

コーティング材料の製造方法

本発明は、コーティング材料の製造方法、およびこのコーティング材料の使用に関する。耐スリキズ性コーティングの製造に用いることができ、コーティング粉末として使用することもできる新規なコーティング材料を製造する方法を提供するために、少なくとも1つの官能基を含む1以上の有機分子、オリゴマーまたはポリマーが有機側鎖上に少なくとも1つの有機官能基を含む1以上のシランと反応して、当該有機分子、オリゴマーまたはポリマーと当該シランとの間の共有結合を形成し、その結果として触媒によって直接硬化できる高分子量シランをもたらすことが本発明の範囲内で提案される。驚くべきことに、(最大でもわずかに前架橋しただけの)有機官能化シラン、例えばNCO−官能基を有するシランを適切な反応パートナーと反応させることによって、コーティング粉末、高固形分バインダーまたは100%樹脂の形態で,コーティング材料として使用することができる新規な種類の化合物を生成することができることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング材料の製造方法、および当該コーティング材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機官能基(OH−、COOH−、NCO−)を介して適切な化合物および/または触媒と架橋するポリシロキサンベースのコーティング粉末は公知である。この種のコーティング系は、金属に対する防食コーティングとして使用され、例えば、特許文献1に公知である。
【0003】
これらのコーティング系は、良好な耐腐食性を示すが、ほとんどは中程度の耐摩耗性のみしか示さない。
【0004】
別のコーティング粉末は、適切な触媒によって架橋されたエポキシ変性またはアクリレート変性ポリマーを含み、例えば自動車用途の仕上げ塗装として使用される。しかしながら、例えば特許文献2に公知であるこれらのコーティング系は、中程度の耐化学薬品性および中程度の耐スリキズ性しか示さない。
【0005】
耐スリキズ性バインダーとして、例えば特許文献3は、またイソシアネート(HDI)とアミノ官能性シランとの反応(これらは、例えば、適切な触媒によって架橋される)を記載する。しかしながら、これらは非プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒混合物にしか溶解しない。
【0006】
特許文献4は、少なくとも1種の環状オレフィン付加ポリマーを含み、かつとりわけ有機カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸、アンモニア、一級〜三級アミン化合物、または四級水酸化アンモニウム化合物を含有する組成物を記載する。この組成物は、光透明性、耐溶剤性、耐熱性、ならびに金属および無機物質への良好な接着性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,376,607 B1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,376,608 B1号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/042658 A1号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0042461 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐スリキズ性コーティングの製造に用いられ得るコーティング粉末の形態の新規なコーティング材料を製造する方法を発明することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、少なくとも1つの官能基を含む1以上の有機分子、オリゴマーまたはポリマーが有機側鎖上に少なくとも1つの有機官能基を含むシランと反応して、当該有機分子、オリゴマーまたはポリマーと当該シランとの間の共有結合を形成し、その結果として触媒によって直接硬化できる高分子量シランをもたらすコーティング材料の製造方法によって、本発明に従って成就される。
【0010】
本発明によれば、得られる組成物は、コーティング粉末または流動性樹脂の形態にある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
驚くべきことに、(最大でもわずかに前架橋しただけの)有機官能化シラン、例えばNCO−官能基を有するシランを適切な反応パートナーと反応させることによって、コーティング粉末、高固形分バインダーまたは100%樹脂の形態で,コーティング材料として使用することができる新規な種類の化合物を生成することができることが見出された。先行技術によれば、シランは、予め縮合した種から出発するゾル−ゲルプロセスを介して加工される。前縮合反応(Vorkondensationsreaktion)がほぼまたは完全に回避される本発明の方法は、ポットライフに関してもはやまったく制限がなく、加えてより良好なコーティング材料特性(特に耐スリキズ性)が実現できるという利点を有する。得られる高分子量シランは、80℃を超える温度で再融解する固体の形態にあってもよいし、またはまだ流動性のある100%樹脂の形態にあってもよい。
【0012】
本発明は、上記分子、オリゴマーまたはポリマー上の少なくとも有機官能基の20%、好ましくはすべてについて、その反応性をシラン上の有機官能基との反応によって失わせることを想定している。
【0013】
前者の変更態様は、残りの官能基が例えば抗菌性、耐バクテリア性、ホルモンまたは酵素の機能を果たすか、または何らかの別な方法で生化学的に作用する場合に、特に有用である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、当該有機分子、オリゴマーまたはポリマーが、アルコール、ポリオール、アミン、イソシアネート、硫化水素化合物、ホスフェート、無水物、カルボン酸、メタクリレート、アクリレート、アミノ酸またはDNA、ホルモン、酵素、ペプチド、糖類、多糖類、生物医学的活性成分および天然物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、有機側鎖上に官能基を有するシランがモノアミン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、ジアミン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、トリアミン官能化シラン、sec−アミン官能化シラン、tert−アミン官能化シラン、quat−アミン官能化シラン、ダイポーダルアミン(Dipodal−Amin)官能化シラン、無水物官能化シラン、アクリレート官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)およびメタクリレート官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、エポキシ官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、ハロゲン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、イソシアネート官能化シランおよびマスクしたイソシアネート官能化シラン、リン酸官能化シラン、硫黄官能化シラン、ビニル官能化およびオレフィン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)ならびにトリメトキシシリルプロピル変性ポリエチレンイミンからなる群から選択されることを特徴とする。
【0016】
以下のシランは、特に適切である:3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミンプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルアミノ−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニル(トリス)メトキシエトキシ)シラン、ビニルメトキシメチルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィドシラン、ビス−トリエトキシシリル−プロピルジスルフィドシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、メタクリル−オキシメチルトリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、メタクリルオキシメチル−トリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリアセトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルメチル−O−メチルカルバメート、N−ジメトキシ−(メチル)シリルメチル−O−メチル−カルバメート、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、ジシクロペンチルジメトキシシランおよび塩化3−(トリメトキシシリル)−プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、トリス(3−トリメトキシシリル)イソシアヌレート、3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−テトラスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−ジスルフィド、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン。
【0017】
水分含量が多くとも1%であり、上記反応は水の非存在下で行われることが特に好ましいことは本発明の範囲内である。通常、空気中の湿分は上記反応を妨害しない。
【0018】
得られる組成物(ここでもシランである)は、少なくとも500g/molのモル質量を有することが有利であると判明した。
【0019】
これに関して、本発明は、シラン(1種または複数種)が最大5%、好ましくは1%まで前架橋されていること、特に好ましくは、その前架橋が非無機的であることを想定している。
【0020】
上記有機分子はアルコール、アミン、イソシアネート、硫化水素化合物、ホスフェート、無水物、カルボン酸、アミノ酸、ホルモン、酵素、ペプチド、糖類、多糖類、および天然物からなる群から選択されることもまた本発明の範囲内である。
【0021】
本発明の1つの実施形態は、当該反応生成物がプロトン性または非プロトン性の溶媒に溶解されることを特徴とする。
【0022】
これにより、後で湿式化学コーティングプロセスによる塗布が可能になる。
【0023】
例えば、溶媒、特にアルコール、酢酸エステル、エーテルまたは反応希釈剤を加えることが有利であることがある。
【0024】
本発明では、少なくとも50℃に加熱することによって溶解を行うことが好都合である。
【0025】
本発明の開発点は、20重量%まで、好ましくは0.5〜50重量%のシラン、特にアミノシラン、またはルイス酸もしくはルイス塩基、特に遷移金属錯体、遷移金属塩または遷移金属粒子(好ましくはミクロン粒子もしくはナノ粒子)を、触媒として使用することにある。
【0026】
これに関して、遷移金属錯体、塩または粒子がチタン、アルミニウム、スズまたはジルコニウムの錯体であることが好ましい。
【0027】
無機または有機粒子、特にミクロン粒子、サブミクロン粒子またはナノ粒子、が充填剤として添加されることが想定される。
【0028】
本発明はまた、艶消し剤、湿式分散剤(Netzdispergiermittel)、UV吸収剤、UV安定剤、HALS安定剤、フリーラジカル捕捉剤、消泡剤、ワックス、殺生物剤、保存料、無機または有機の充填剤、テフロン(登録商標)粒子、ワックスまたは色素の添加を想定している。
【0029】
当該コーティング材料が、静電的に、摩擦電気的に、または湿式化学プロセスによって(特に噴霧、浸漬、フラッディング(Fluten)、ロールコーティング、ブラッシング、印刷、スピンコーティングによって)、ドクターナイフによって、または真空下で気化させることによって、基材に塗布することができることは、さらに本発明の範囲内である。
【0030】
本発明によれば、これに関して上記基材は、金属、プラスチック、セラミック、コーティング物質、織物、布地、天然物(木材および皮革)、ガラス、鉱物、特に合成もしくは天然の石(大理石および花崗岩など)、または複合材料からなる。
【0031】
本発明に係る方法の開発点は、塗布後、当該コーティング材料は室温〜1,200℃、好ましくは50℃〜250℃の範囲の温度で硬化でき、硬化は、好ましくは熱的に、マイクロ波照射によって、またはUV照射によってもたらされることにある。
【0032】
本発明の別の開発点は、硬化は、有機酸もしくは有機塩基の添加によって、またはUV光を用いて、ラジカル重合またはカチオン重合のための光開始剤を添加した後のラジカル重合またはカチオン重合によって室温でもたらされることにある。
【0033】
本発明の範囲はまた、耐スリキズ性の、防食性の、易洗浄性の、耐指紋性の、反射防止性の、防曇性の、スケール防止性の、防汚性の、拡散障壁性の、木材保護および放射線防護用のコーティングを製造するための、または自浄性の、抗菌性の(antibakterielle)、抗菌性の(antimikrobielle)、耐化学薬品性の、トライボロジーコーティングまたは親水性コーティングとしての、ならびに(特に、組織成長を促進するため、および血液凝固に影響を及ぼすため、ならびに組織および移植片の処置のための)生物医学的用途における、本発明に従って製造されたコーティング材料の使用を包含する。
【0034】
本発明は、実施例を参照して詳細に後述される。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
(段階1)
11.8gのヘキサンジオールおよび49.5gのICTES(イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)を撹拌し、一緒に80℃の温度まで加熱し、0.1gのジブチルスズジラウレートを加えた。次いでこの混合物を50℃まで放冷し、その後、方法Aおよび方法Bに従ってさらに処理した。
【0036】
(段階2、方法A(コーティング粉末処方))
この温度で、10gの反応生成物を0.1gのアルミニウムアセチルアセトナート(2−ブタノールに50%まで溶解した)と混合した。次いでこの混合物を室温までゆっくりと冷却した。後に結晶化したこの樹脂を、次に特製の粉砕機で50μm未満の粒径まで粉砕し、ふるいにかけた。Byk359(0.8%)を流動性調整剤としてこの粉末に加え、そして充分に混合した。このようにして生成した粉末を、次いで静電的または摩擦電気的な噴霧によって、カラーコーティングした鋼板に塗布し、強制的に空気循環させてオーブン中で130℃で乾燥した。
【0037】
(段階2、方法B(高固形分処方))
80gの上記反応生成物を20gの1−メトキシ−2−プロパノールに溶解させた。この溶液に、0.2gのアルミニウムアセチルアセトナートを加えた。黒色顔料のベースコーティングを備えた鋼板に噴霧塗布した後、このコーティング材料を対流式オーブン中で150℃で20分間硬化させた。
【0038】
方法Aおよび方法Bによって得たコーティングを備えた試験片は、スチールウールに対する優れた耐スリキズ性、および耐化学薬品性を示した:36%硫酸で30分間より長く処理しても損傷はなかった(エッチングされなかった)。
【0039】
(実施例2)
(段階1)
33.6gの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパンおよび49.47gのICTES(イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)を撹拌し、一緒に80℃の温度まで加熱し、0.1gのジブチルスズジラウレートを加えた。次いでこの混合物を50℃まで放冷し、その後段階2でさらに処理した。
【0040】
(段階2)
5gの(段階1からの)上記反応生成物を1gのイソプロパノールに溶解し、0.1gのジルコニウムアセチルアセトナートと混合した。この得られたコーティング溶液を使用して、フラッディングによりポリカーボネート基材をコーティングし、次いで対流式オーブンで130℃で60分間硬化した。このコーティング溶液を塗布する前に、このポリカーボネート基材をプライマー(エタノール中の0.5% 3−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液)でフラッディングによりコーティングし、室温で5分間放置して流し落とした。
【0041】
このコーティングは、例えば鍵またはねじ回しによる局所的な引っかきに対する非常に高い抵抗性を示した。QUV試験では、このコーティングは、1,000時間後にも光学的に目に見える黄変を示さなかった。
【0042】
(実施例3)
(段階1)
1モルのFluorolink D(Ausimontから入手したHOCHCF−O−(CFCFO)−(CFO)−CF−CHOH)を、2モルのイソシアナトプロピルトリエトキシシラン(ICTES)とともに、均一な透明な混合物が得られるまで少なくとも80℃に加熱した。次いで2滴のジブチルスズジラウレートを加え、この混合物をさらに3時間撹拌した。この後、この混合物を室温まで冷却した。
【0043】
(段階2)
3gのこのワックスのような混合物を0.1gの乳酸ジルコニウムおよび9gのエタノールと混合した。次いで、脱脂した、油分を含まないステンレス鋼板上にこの混合物を噴霧し、乾燥器中、180℃で1時間硬化した。
【0044】
ニベアクリーム(Nivea Cream)を塗った指と接触させた後には、このコーティングした表面は、未処理の表面よりも明らかに少ない目に見える指紋を示した。1時間後、乾いた紙タオルでこの指紋をふき取った。基準の試験片と再度比較すると、上記指紋は、より効果的に取り除かれ、残留した指紋はなかった。未処理の表面では、ふき取り後も依然として指紋は目に見えた。次に、この表面を調理用油および水で処理した。未処理のステンレス鋼の表面と比較すると、この表面は顕著な液滴の形成を示した。液滴は乾いた布で非常に容易に取り除くことができ、残留物は何もなかった。
【0045】
(実施例4)
1モルのH[O(CHOH(BASFから入手したポリTHF2000)を、2モルのイソシアナトプロピルトリエトキシシラン(ICTES)とともに、均一な、透明な混合物が得られるまで加熱した。次いで2滴のジブチルスズジラウレートを加え、この混合物をさらに8撹拌した。この後、この混合物を室温まで冷却した。
【0046】
次に、この混合物を、浸漬によってポリカーボネートプレートに塗布し、次いで130℃で乾燥した。このコーティングした試験片を沸騰水のポットの上方15cmの距離に平らに置き、20秒間観察した。この試験では、プレートのコーティングした側にはミスト形成は起こらなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング材料の製造方法であって、少なくとも1種の官能基を含む1以上の有機分子、オリゴマーまたはポリマーが、有機側鎖上に少なくとも1種の有機官能基を含む1以上のシランと反応して、前記有機分子、オリゴマーまたはポリマーと前記シランとの間の共有結合を形成し、その結果として触媒によって直接硬化できる高分子量シランをもたらすことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記得られる組成物がコーティング粉末または流動性のある樹脂の形態にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分子、オリゴマーまたはポリマー上の前記有機官能基の少なくとも20%、好ましくはすべてが、シラン上の有機官能基との反応によってその反応性を失うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機分子、オリゴマーまたはポリマーが、アルコール、ポリオール、アミン、イソシアネート、硫化水素化合物、ホスフェート、無水物、カルボン酸、メタクリレート、アクリレート、アミノ酸またはDNA、ホルモン、酵素、ペプチド、糖類、多糖類、生物医学的活性成分および天然物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機側鎖上に官能基を有する前記シランが、モノアミン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、ジアミン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、トリアミン官能化シラン、sec−アミン官能化シラン、tert−アミン官能化シラン、quat−アミン官能化シラン、ダイポーダルアミン官能化シラン、無水物官能化シラン、アクリレート官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)およびメタクリレート官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、エポキシ官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、ハロゲン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)、イソシアネート官能化シランおよびマスクしたイソシアネート官能化シラン、リン酸官能化シラン、硫黄官能化シラン、ビニル官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)およびオレフィン官能化シラン(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)ならびにトリメトキシシリルプロピル変性ポリエチレンイミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記得られる組成物が少なくとも500g/molのモル質量を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記得られる組成物がプロトン性溶媒または非プロトン性溶媒に溶解されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
20重量%まで、好ましくは0.5〜50重量%のシラン(特にアミノシラン)、あるいはルイス酸またはルイス塩基、特に遷移金属錯体、遷移金属塩もしくは遷移金属粒子(好ましくはミクロン粒子もしくはナノ粒子の形態にある)が触媒として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記遷移金属錯体、塩または粒子が、チタン、アルミニウム、スズまたはジルコニウムの錯体であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
無機粒子または有機粒子、特にミクロン粒子、サブミクロン粒子またはナノ粒子が充填剤として添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
艶消し剤、湿式分散剤、UV吸収剤、UV安定剤、HALS安定剤、フリーラジカル捕捉剤、消泡剤、ワックス、殺生物剤、保存料、無機もしくは有機の充填剤、フルオロカーボン粒子、ワックスまたは色素が添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング材料が、静電的に、摩擦電気的に、または湿式化学プロセスによって(特に噴霧、浸漬、フラッディング、ロールコーティング、ブラッシング、印刷、スピンコーティングによって)、ドクターナイフによって、または真空下で気化させることによって、基材に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基材が、金属、プラスチック、セラミック、コーティング物質、織物、布地、天然物(木材および皮革など)、ガラス、鉱物、特に合成もしくは天然の石(大理石および花崗岩など)、または複合材料からなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
塗布後、前記コーティング材料が室温〜1,200℃、好ましくは室温〜250℃の範囲の温度で硬化でき、硬化は、好ましくは熱的に、マイクロ波照射、電子線照射、UV照射、またはこれらの組み合わせによってもたらされることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
硬化が、有機酸もしくは有機塩基の添加によって、またはUV光を用いて、ラジカル重合またはカチオン重合のための光開始剤を添加した後のラジカル重合またはカチオン重合によって室温でもたらされることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
耐スリキズ性の、防食性の、易洗浄性の、耐指紋性の、反射防止性の、防曇性の、スケール防止性の、防汚性の、木材保護用の、拡散障壁性の、および放射線防護用のコーティングを製造するための、または自浄性の、抗菌性の(antibakterielle)、抗菌性の(antimikrobielle)、耐化学薬品性の、トライボロジー用途の、または親水性コーティングとしての、ならびに(特に、組織成長を促進するため、および血液凝固に影響を及ぼすため、ならびに組織および移植片の処置のための)生物医学的用途における、請求項1から請求項15に記載の方法に従って製造されたコーティング材料の使用。

【公表番号】特表2010−524670(P2010−524670A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504438(P2010−504438)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000586
【国際公開番号】WO2008/131715
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(507408187)ナノ−エックス ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】