説明

コーティング液、光学異方性フィルム、及び画像表示装置

【課題】 溶媒溶解性に優れたリオトロピック液晶性化合物を用いることにより、良好なカラムナー構造を生じるコーティング液を提供する。
【解決手段】 本発明のコーティング液は、π共役系平面骨格部と前記骨格部に結合した1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンとを有するリオトロピック液晶性化合物と、前記リオトロピック液晶性化合物を溶解させる溶媒と、を有する。前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンは、共役二重結合を有し且つ複素環を構成する窒素をカチオンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの形成材料などとして利用できるコーティング液、並びに、この液を用いて形成された光学異方性フィルム及びこのフィルムを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学異方性フィルムの製造方法として、溶液状態で液晶性を示す化合物を溶媒に溶解させたコーティング液を展開面上に塗工し、塗膜を固化する方法(所謂、溶液流延法)が知られている。このような化合物は、リオトロピック液晶性化合物とも呼ばれる。
リオトロピック液晶性化合物は、コーティング液中においてカラムナー構造体(超分子会合体)を形成するので、この化合物を含む塗膜を固化することにより得られたフィルムは、偏光フィルムなどとして利用できる。
【0003】
前記リオトロピック液晶性化合物は、その分子中にπ共役系平面骨格部を有する。そして、溶液状態において、複数のリオトロピック液晶性化合物は、その平面骨格部が互いにスタッキングすることによって、カラムナー構造体を成す。
しかしながら、リオトロピック液晶性化合物は、π共役系平面骨格部を有するので、溶媒に対する溶解性が低い。
【0004】
非特許文献1には、ペリレン系骨格などの平面骨格部を有するリオトロピック液晶性化合物の溶媒溶解性を改善するため、COOH基などの極性基を有する長鎖アルキル基を、前記平面骨格部の端部に置換することが開示されている。
しかしながら、このような長鎖アルキル基を導入すると、前述の平面骨格部のスタッキングが阻害されるおそれがある。このため、長鎖アルキル基が導入されたリオトロピック液晶性化合物を含むコーティング液は、良好なカラムナー構造を生じない場合がある。
【0005】
特許文献1には、ペリレン系骨格などの平面骨格部とスルホン酸基とを有するリオトロピック液晶性化合物が開示されている。かかる化合物は、スルホン酸基の存在により、水系溶媒に対する溶解性が優れている。このようなスルホン酸基を有するリオトロピック液晶性化合物は、ペリレン系化合物などを、発煙硫酸又は濃硫酸で処理することによって合成される。
しかしながら、前記硫酸処理は、硫酸の取り扱いに注意を要する。さらに、平面骨格部の特定の位置にスルホン酸基を導入することは困難である。このようにスルホン酸基を有するリオトロピック液晶性化合物は、その合成が煩雑であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chem. Commun., 2006, 503-505
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−515075(WO1996/016015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、溶媒溶解性に優れたリオトロピック液晶性化合物を用いることにより、良好なカラムナー構造を生じるコーティング液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコーティング液は、π共役系平面骨格部と前記平面骨格部に結合した1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンとを有するリオトロピック液晶性化合物と、前記リオトロピック液晶性化合物を溶解させる溶媒と、を有する。
【0010】
本発明の好ましいコーティング液は、前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、共役二重結合を有し且つ複素環を構成する窒素をカチオンとする。
【0011】
本発明の好ましいコーティング液は、前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンの複素環を構成する窒素カチオンに、アルキル基が結合している。
【0012】
本発明の好ましいコーティング液は、前記アルキル基が炭素数1〜4のアルキル基である。
【0013】
本発明の好ましいコーティング液は、前記1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、前記π共役系平面骨格部の端部に結合している。
【0014】
本発明の好ましいコーティング液は、前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、前記π共役系平面骨格部の一部を成し、π共役系平面骨格を拡張している。
【0015】
本発明の別の局面によれば、光学異方性フィルムが提供される。
この光学異方性フィルムは、前記いずれかのコーティング液を展開面に塗工して塗膜を形成し、この塗膜を固化させることによって得られる。
【0016】
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。
この画像表示装置は、その構成部材として、前記光学異方性フィルムを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコーティング液においては、リオトロピック液晶性化合物が溶媒に良好に溶解しているため、複数のリオトロピック液晶性化合物が良好なカラムナー構造体を成している。かかるコーティング液から形成される塗膜は、リオトロピック液晶性化合物が良好に配向し、この塗膜から光学異方性フィルムを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】1つの実施形態に係る光学異方性フィルムを示す部分断面図。
【図2】1つの実施形態に係る偏光板を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[コーティング液]
本発明のコーティング液は、リオトロピック液晶性化合物と溶媒とを有する。
リオトロピック液晶性化合物は、液温や化合物濃度などを変化させることにより、液中において等方相−液晶相の相転移を生じる性質を有する化合物である。
前記コーティング液は、リオトロピック液晶性化合物がカラムナー構造体(超分子会合体)を形成することにより、液晶相を生じる。前記コーティング液は、例えば、偏光フィルムなどの光学異方性フィルムや有機エレクトロニクス素子の有機半導体層の形成材料として好適である。
【0020】
なお、本明細書において、「XXX〜YYY]という記載は、「XXX以上YYY以下」を意味する。また、本明細書において、「置換若しくは無置換」という記載は、「置換基を有する、又は、置換基を有しない」ことを意味する。
【0021】
(リオトロピック液晶性化合物)
本発明に使用されるリオトロピック液晶性化合物は、その分子中に、π共役系平面骨格部と、前記平面骨格部に結合した1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンと、を有する化合物である。
なお、リオトロピック液晶性化合物は、溶媒に溶解する前には、任意のアニオンが静電的に結合した、塩の形態で安定化している。リオトロピック液晶性化合物を溶媒に溶解させることにより、前記リオトロピック液晶性化合物の塩は電離してカチオンとなる。
【0022】
前記π共役系平面骨格部は、単結合と二重結合が交互に配置された環構造を有する。以下、「π共役系平面骨格部」を「平面骨格部」と記す場合がある。
平面骨格部を有するリオトロピック液晶性化合物は、その複数を溶媒に溶解させることにより、平面骨格部が積み重なるπスタックを生じ、安定的なカラムナー構造体を形成する。
【0023】
平面骨格部としては、ベンゼン環、2以上のベンゼン環が縮合した縮合芳香環、縮合芳香環が2以上結合した多環縮合芳香環、不飽和複素環、2以上の不飽和複素環が縮合した縮合複素環、1以上のベンゼン環又は1以上の縮合芳香環と1以上の複素環とが縮合した縮合複素芳香環、及び、1以上のベンゼン環又は1以上の縮合芳香環と1以上の縮合複素環とが結合した多環縮合複素芳香環などが挙げられる。
【0024】
前記2以上のベンゼン環が縮合した縮合芳香環としては、下記式(1c)で表されるナフタレン類、アントラセン類、フェナントレン類、ピレン類、及び、トリフェニレン類などが挙げられる。
前記縮合芳香環が2以上結合した多環縮合芳香環としては、下記式(1a)で表されるペリレン類、及び、下記式(1b)で表されるものなどが挙げられる。
前記2以上の不飽和複素環が縮合した縮合複素環としては、プリン類、及び、ナフチリジン類などが挙げられる。
前記1以上のベンゼン環又は1以上の縮合芳香環と1以上の複素環とが縮合した縮合複素芳香環としては、インドール類、ベンゾイミダゾール類、キノリン類、キノキサリン類、カルバゾール類、及び、キサンテン類などが挙げられる。
【0025】
前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンは、正の電荷を帯び、且つ、複素環を構成する原子のうちの少なくとも1つが窒素である。前記複素環は、その構成原子として窒素を含んでいることを条件にして、窒素以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、前記複素環は、3員環〜10員環又はこれらの縮合環であるが、中でも、5員環若しくは6員環又はこれらの縮合環であることが好ましい。
以下、「窒素含有複素環カチオン」を「複素環カチオン」と記し、「窒素含有複素芳香環カチオン」を「複素芳香環カチオン」とそれぞれ記す場合がある。
【0026】
前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンを構成する複素環は、飽和又は不飽和でもよい。もっとも、平面骨格部と一体となってπ共役を発達させることができるので、前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンを構成する複素環は、不飽和複素環(共役二重結合を有する複素環)を有することが好ましい。
前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンの価数は、1以上であり、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1又は2である。
【0027】
前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンのカチオン種は特に限定されないが、溶媒溶解性を高めることができるので、前記カチオン種は、複素環を構成する窒素であることが好ましい。前記複素環を構成する窒素がその複素環中に複数存在する場合には、それらの少なくとも1つの窒素がカチオンであり、好ましくは、そのうちの1つの窒素がカチオンである。このカチオンとなる窒素は、第3級又は第4級である。
【0028】
前記1つ又は複数の複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、前記平面骨格部の中央部に結合していてもよいし、又は、前記平面骨格部の端部に結合していてもよい。複素環カチオン又は複素芳香環カチオンをπ共役系拡張部として機能させることができることから、前記1つ又は複数の複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、少なくとも前記平面骨格部の一方の端部に結合していることが好ましく、特に、少なくとも前記平面骨格部の両端部にそれぞれ結合していることがより好ましい。
リオトロピック液晶性化合物の平面視形状が長方形である場合には、前記1つ又は複数の複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、少なくとも前記平面骨格部の長軸方向の一方の端部に結合していることが好ましく、特に、少なくとも前記長軸方向の両端部にそれぞれ結合していることがより好ましい。
【0029】
前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、前記平面骨格部に単結合を介して結合していてもよいし、又は、前記平面骨格部に2箇所以上の独立した結合部を介して結合していてもよい。前記複素環カチオン又は複素芳香環カチオンが前記平面骨格部に2箇所以上の独立した結合部を介して結合することにより、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンが前記平面骨格部の一部を成す。このように複素環カチオン又は複素芳香環カチオンが平面骨格部と一体となってπ共役系平面骨格を拡張できるので、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、前記平面骨格部に2箇所以上の独立した結合部を介して結合していることが好ましい。
【0030】
前記複素環カチオンを構成する複素環としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イミダゾリン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、プリン、及び、ナフチジンなどが挙げられる。これらは、置換基を有していてもよいし、又は、置換基を有していなくてもよい。
前記複素芳香環カチオンを構成する複素芳香環としては、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及び、アクリジンなどが挙げられる。これらは、置換基を有していてもよいし、又は、置換基を有していなくてもよい。
【0031】
上記のようなリオトロピック液晶性化合物は、例えば、下記式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表される化合物である。これらの式で表されるリオトロピック液晶性化合物は、平面骨格部の化学構造がシンプルでありながらも高い平面性を有する。さらに、これらの式で表されるリオトロピック液晶性化合物は、前記平面骨格部の端部に窒素カチオンを有するので、溶媒溶解性に優れる上、溶液状態で平面骨格部がスタッキングを生じやすい構造である。
【0032】
【化1】

【0033】
式中、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(このアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4)、置換又は無置換のアルコキシ基(このアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜4)、アセチル基、カルボニル基、ハロゲン原子、置換又は無置換のエステル基(このエステル基は、好ましくは炭素数1〜4)、アミド基、アリロキソ基、又は、アリル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。Xn−は、対イオンとなるアニオンを表す。
及びAは、それらに下記式(2a)又は(2b)で表される基が結合して5員環又は6員環を形成することを表す。
及びBは、それらに下記式(2a)、(2b)若しくは(2c)で表される基が結合して5員環又は6員環を形成することを表すか、又は、BはRを、BはR10をそれぞれ表す。前記R及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(このアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4)、置換又は無置換のアルコキシ基(このアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜4)、アセチル基、カルボニル基、ハロゲン原子、置換又は無置換のエステル基(このエステル基は、好ましくは炭素数1〜4)、アミド基、アリロキソ基、又は、アリル基を表す。
【0034】
【化2】

【0035】
式中、Q及びQは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のピリジニウム、置換若しくは無置換のピリミジニウム、置換若しくは無置換のピラジニウム、置換若しくは無置換のキノリニウム、置換若しくは無置換のイソキノリニウム、置換若しくは無置換のアクリジニウム、置換若しくは無置換のキナゾリニウム、置換若しくは無置換のキノキサリニウム、置換若しくは無置換のイミダゾリウム、置換若しくは無置換のベンゾイミダゾリウム、置換若しくは無置換のインドリウム、又は、置換若しくは無置換のトリアジニウムを表す。前記Qは、結合しているイミダゾリン環と一体となった環を形成していてもよい。
15は、前記Q又はQの窒素カチオンに結合した、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表す。
11乃至R14は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は無置換のアルキル基(このアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4)、置換又は無置換のアルコキシ基(このアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜4)、アセチル基、カルボニル基、ハロゲン原子、置換又は無置換のエステル基(このエステル基は、好ましくは炭素数1〜4)、アミド基、アリロキソ基、又は、アリル基を表す。
【0036】
平面骨格部のスタッキングを阻害し難いことから、前記各式のR乃至R14は、好ましくは、水素原子、無置換の炭素数1〜4のアルキル基、無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、アセチル基、カルボニル基、ハロゲン原子、無置換の炭素数1〜4のエステル基、又は、アミド基である。嵩高くないことから、前記各式のR乃至R14は、水素原子、又は、ハロゲン原子であることがより好ましい。
さらに、前記式(1a)においては、R、R、R及びRは、水素原子であることが好ましい。
前記式(2a)及び(2b)において、R15は、好ましくは、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であり、特に好ましくは、炭素数1又は2のアルキル基である。
【0037】
前記式(1a)乃至(1d)において、nは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは2である。
前記式(1a)乃至(1d)において、Xn−は、窒素カチオンの対イオンとなるアニオンであれば特に限定されない。前記対イオンとしては、ハロゲンイオン(塩化物イオンなど)、塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、カルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、水酸化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオンなどの1価のアニオン;スルホン酸イオン、炭酸イオン、硫化物イオンなどの2価のアニオン;ホスホン酸イオンなどの3価のアニオン;などが挙げられる。なお、前記式(1a)乃至(1d)のカチオンが2価以上で、且つXn−が1価のアニオンである場合には、カチオンの価数に対応した数のXn−が静電的に結合する。また、前記式(1a)乃至(1d)のカチオンが1価で、且つXn−が2価以上のアニオンである場合、そのXn−は、液中の他のカチオンと静電的に結合して安定化しているか、或いは、液中の他の式(1a)乃至(1d)のカチオンと静電的に結合して安定化している。
【0038】
前記Qが式(2b)のイミダゾリン環と一体となった環を形成していない場合、前記Qは、前記イミダゾリン環の2つの炭素原子の何れかに単結合で結合する。
前記Q及びQのピリジニウムなどが置換基を有する場合、その置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のチオアルキル基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アセトアミド基、水酸基、SOM基などのスルホン酸基、及び、COOM基などのカルボキシル基などが挙げられる。
【0039】
前記式(2a)及び(2b)において、Q及びQは、それぞれ独立して、好ましくは、置換若しくは無置換のピリジニウム、置換若しくは無置換のピリミジニウム、又は、置換若しくは無置換のピラジニウムであり、より好ましくは、無置換のピリジニウム、無置換のピリミジニウム、又は、無置換のピラジニウムである。
【0040】
このようなQを有する式(2a)の具体例としては、例えば、下記式(2a−1)乃至(2a−3)で表される。
また、このようなQを有する式(2b)の具体例としては、例えば、下記式(2b−1)乃至(2b−3)で表される。
【0041】
【化3】

【0042】
【化4】

【0043】
以下の式群(3)の複数のリオトロピック液晶性化合物は、本発明のコーティング液に使用できるリオトロピック液晶性化合物の代表例である。
なお、式群(3)における、各々のR乃至R15、Q、Q、n及びXは、上述の通りである。
【0044】
【化5】

【0045】
【化6】

【0046】
上記リオトロピック液晶性化合物は、例えば、次の方法で合成できる。
常法(大河原信共著、「機能性色素」1992年3月10日、講談社発行)に従い、π共役系平面骨格部を有する化合物(例えば、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物など)を合成した後、それに窒素含有複素環又は窒素含有複素芳香環を更に結合させる。次に、これと塩酸又はハロゲン化アルキル化合物などとを反応させ、必要に応じて、イオン交換を行うことによって、前記リオトロピック液晶性化合物を得ることができる。
【0047】
(溶媒)
本発明に使用される溶媒は、前記リオトロピック液晶性化合物を溶解させることができるものであれば特に限定されない。
前記リオトロピック液晶性化合物は、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンを有するので、水系溶媒又は有機溶媒のいずれにも可溶である。特に、前記リオトロピック液晶性化合物は、水系溶媒に対する溶解性に優れている。水系溶媒は、水;親水性溶媒;水と親水性溶媒の混合溶媒が挙げられる。前記親水性溶媒は、水と略均一に相溶する溶媒である。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。上記水系溶媒としては、好ましくは、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒が用いられる。
【0048】
(コーティング液の調製)
本発明のコーティング液は、前記リオトロピック液晶性化合物を前記溶媒に溶解させることによって得られる。
リオトロピック液晶性化合物及び溶媒は、上記説明した中から適宜選択される。前記リオトロピック液晶性化合物及び溶媒は、それぞれ1種単独で又は2種以上を用いることもできる。
好ましくは、溶媒として、前記水系溶媒が用いられる。
好ましくは、リオトロピック液晶性化合物として、前記式(1a)乃至(1d)で表されるものの中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。より好ましくは、リオトロピック液晶性化合物として、前記式群(3)で表されるものの中から選ばれる少なくとも1種が用いられ、特に、下記3つの式の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0049】
【化7】

【0050】
前記コーティング液の調製の際には、前記リオトロピック液晶性化合物を溶媒に入れてもよいし、又は、溶媒をリオトロピック液晶性化合物に注いでもよい。
溶媒の温度は、室温程度であり、例えば、10〜35℃程度が挙げられる。
前記リオトロピック液晶性化合物と溶媒を混合することにより、リオトロピック液晶性化合物が溶媒に溶解する。前記リオトロピック液晶性化合物を溶媒に溶解させると、アニオンが電離して複素環カチオン又は複素芳香環カチオンを生じる。
【0051】
前記コーティング液中のリオトロピック液晶性化合物の濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0.05質量%〜50質量%であり、好ましくは0.5質量%〜40質量%である。このような濃度範囲で、前記リオトロピック液晶性化合物は、良好な液晶相を生じ得る。
前記コーティング液は、その液温やリオトロピック液晶性化合物の濃度などを変化させることにより、液晶相を生じる。
前記液晶相は、特に限定されず、ネマチック液晶相、ミドル相、スメクチック液晶相、又は、ヘキサゴナル液晶相などである。液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認及び識別できる。
【0052】
なお、前記コーティング液に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、相溶化剤、界面活性剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、増粘剤などが挙げられる。前記コーティング液中における添加剤の濃度は、好ましくは0を超え10質量%以下である。
また、前記コーティング液に、上記リオトロピック液晶性化合物以外のリオトロピック液晶性化合物、色素、及び、ポリマーなどを混合してもよい。
【0053】
また、コーティング液は、適切なpHに調整される。コーティング液のpHは、好ましくはpH2〜10程度、より好ましくはpH6〜8程度である。
【0054】
上記リオトロピック液晶性化合物は、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンを有するので、溶媒溶解性に優れている。さらに、リオトロピック液晶性化合物中の複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、平面骨格部の平面性を阻害することもない。このため、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンは、隣接するリオトロピック液晶性化合物の平面骨格部同士がスタッキングすることを阻害することなく、むしろ、隣接するリオトロピック液晶性化合物がスタッキングすることを促進する。以上のような理由から、本発明のコーティング液は、その中の複数のリオトロピック液晶性化合物が良好なカラムナー構造体を成している。
【0055】
極性基を有する長鎖アルキルが導入された従来のリオトロピック液晶性化合物においては、その極性基を有する長鎖アルキルが嵩高いため、それが平面骨格部のスタッキングを阻害する。この点、本発明のリオトロピック液晶性化合物は、スタッキングし易く、さらに、複素環カチオン又は複素芳香環カチオンが平面骨格部のπ共役を拡張するので、良好なカラムナー構造体を成す。
また、本発明のリオトロピック液晶性化合物は、硫酸を使用しないで合成できるため、その合成も簡便である。
【0056】
リオトロピック液晶性化合物が液中において良好なカラムナー構造体を成す本発明のコーティング液は、例えば、光学異方性フィルムの形成材料として用いることができる。また、前記コーティング液は、塗布型有機エレクトロニクス素子の有機半導体層の形成材料として用いることができる。
【0057】
[光学異方性フィルムの製造方法]
次に、本発明のコーティング液を用いた光学異方性フィルムの製造方法について説明する。
本発明の光学異方性フィルムは、前記液晶性コーティング液を溶液流延法によって製膜することによって得られる。
【0058】
光学異方性フィルムは、例えば、下記工程A及び工程Bを経て製造でき、必要に応じて、工程Bの後、工程Cを行ってもよい。
工程A:前記リオトロピック液晶性化合物と溶媒とを含むコーティング液を、展開面上に塗工し、塗膜を形成する工程。
工程B:前記塗膜を乾燥する工程。
工程C:工程Bで乾燥させた塗膜の表面に、耐水化処理を施す工程。
【0059】
(工程A)
上記のように調製したコーティング液を、適当な展開面に塗工し、塗膜を形成する。
展開面は、コーティング液を略均一に展開するためのものである。この目的に適していれば展開面の種類は特に限定されない。展開面としては、例えば、ポリマーフィルムの表面、ガラス基板の表面、金属ドラムの表面などが挙げられる。好ましくは、展開面として、ポリマーフィルムやガラス基板のような基材が用いられる。また、展開面の上には、必要に応じて、UVオゾン処理、又は、コロナ放電処理などの処理が施されていてもよい。
【0060】
前記基材は、少なくともその表面に配向規制力が付与されているものが好ましい。配向規制力を有する基材は、液中のリオトロピック液晶性化合物を確実に配向させることができる。配向基材は、基材の表面に配向規制力を付与することにより得られる。配向規制力の付与方法としては、例えば、基材の表面をベルベット布などを用いてラビング処理する方法;基材の表面にポリイミドなどの膜を形成し、その膜の表面をラビング処理する方法;基材の表面に光反応性化合物からなる膜を形成し、その膜に光照射して配向膜を形成する方法;などが挙げられる。
【0061】
好ましくは、展開面として、ポリマーフィルムが用いられ、透明性に優れているポリマーフィルム(例えば、ヘイズ値3%以下)が好ましい。
前記ポリマーフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系;トリアセチルセルロース等のセルロース系;ポリカーボネート系;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系;ポリスチレン等のスチレン系;ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン等のオレフィン系;などが挙げられる。前記リオトロピック液晶性化合物を良好に配向させるために、ノルボルネン系フィルムを用いることが好ましい。
【0062】
さらに、前記ポリマーフィルムの表面などの展開面の上には、任意の有機物及び/又は任意の無機物が積層されていてもよい。前記有機物としては、アゾ化合物、フタロシアニン化合物、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。前記無機物としては、金やアルミニウムなどの金属、シリコンやGaNなどの半導体、ITOやTiOなどの金属酸化物などが挙げられる。これらの積層方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0063】
前記コーティング液の塗工方法は特に限定されず、例えば、従来公知のコータを用いた塗工方法を採用できる。前記コータとしては、バーコータ、ロールコータ、スピンコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータなどが挙げられる。
液晶相状態のコーティング液を展開面に塗工すると、コーティング液の流動過程で、前記リオトロピック液晶性化合物に剪断応力が加わる。よって、前記カラムナー構造体が配向した塗膜を、展開面上に形成できる。なお、塗工時にコーティング液が等方相状態であっても、後述する塗膜の乾燥過程中に濃度が上がり、複数のリオトロピック液晶性化合物がカラムナー構造を成すようになる。
なお、リオトロピック液晶性化合物の配向を高めるため、必要に応じて、前記塗膜を形成した後、磁場又は電場などを印加してもよい。
【0064】
(工程B)
上記コーティング液を塗工して塗膜を形成した後、これを乾燥する。
塗膜の乾燥は、自然乾燥、又は強制的な乾燥などで実施できる。強制的な乾燥としては、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。
前記塗膜を乾燥する過程でリオトロピック液晶性化合物の濃度が上昇し、カラムナー構造を成したリオトロピック液晶性化合物が固定される。また、塗工時にカラムナー構造体を生じていない場合でも、前記塗膜を乾燥する過程で濃度が上昇し、リオトロピック液晶性化合物がカラムナー構造を成し且つその状態で固定される。
前記塗膜を乾燥し且つ固化することにより得られたフィルムが、光学異方性フィルムである。
得られた光学異方性フィルムの厚みは、好ましくは0.05μm〜10μmであり、好ましくは、0.1μm〜5μmである。
【0065】
(工程C)
なお、上記乾燥後の塗膜の表面に耐水性を付与するために、次の処理を行ってもよい。
具体的には、上記乾燥塗膜の表面に、アルミニウム塩、バリウム塩、鉛塩、クロム塩、ストロンチウム塩、セリウム塩、ランタン塩、サマリウム塩、イットリウム塩、銅塩、鉄塩、及び分子内に2個以上のアミノ基を有する化合物塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物塩を含む溶液を接触させる。
この処理を行うことにより、前記化合物塩を含む層が前記乾燥塗膜の表面に形成される。かかる層を形成することにより、乾燥塗膜の表面を水に対して不溶化又は難溶化させることができる。よって、乾燥塗膜(光学異方性フィルム)に、耐水性を付与できる。
【0066】
前記リオトロピック液晶性化合物が可視光領域において吸収能を有する化合物である場合には、前記得られた光学異方性フィルムは偏光フィルムとして利用できる。前記リオトロピック液晶性化合物が可視光領域において吸収能を有しない又は吸収能が小さい化合物である場合には、前記得られた光学異方性フィルムは位相差フィルムとして利用できる。
【0067】
[光学異方性フィルムの用途等]
前記コーティング液から形成された光学異方性フィルム1は、図1に示すように、ポリマーフィルムなどの基材2に積層されている。
光学異方性フィルム1は、通常、基材2に積層された状態で使用される。もっとも、前記光学異方性フィルム1を上記基材2から剥離して使用することもできる。
光学異方性フィルム1を偏光フィルムとして利用する場合には、図2に示すように、光学異方性フィルム1(偏光フィルム)に保護フィルム3を積層することが好ましい。保護フィルム3を積層することにより、偏光板5を構成できる。
【0068】
本発明の光学異方性フィルムの用途は、特に限定されない。本発明の光学異方性フィルムは、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などの画像表示装置の構成部材として使用される。
前記画像表示装置が液晶表示装置の場合、その好ましい用途は、テレビ、携帯機器、ゲーム機器などである。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
【0070】
[二色比の測定方法]
グラムトムソン偏光子を備える分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V−7100」)を用いて、測定対象の偏光フィルムに、直線偏光の測定光を入射して、視感度補正したY値のk1及びk2を求めた。そのk1及びk2を下記式に代入して、二色比を求めた。ただし、前記k1は、偏光フィルムの最大透過率方向における直線偏光の透過率を表し、前記k2は、前記最大透過率方向に直交する方向における直線偏光の透過率を表す。
式:二色比=log(1/k2)/log(1/k1)
【0071】
[液晶相の観察方法]
2枚のスライドガラスの間にコーティング液を少量挟み込み、顕微鏡用大型試料加熱冷却ステージ(ジャパンハイテック(株)製、製品名「10013L」)を備える、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、製品名「OPTIPHOT−POL」)を用いて、液晶相を観察した。
【0072】
[偏光フィルムの厚みの測定方法]
偏光フィルムの厚みは、ノルボルネン系ポリマーフィルム上に形成された偏光フィルムの一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用い、前記ポリマーフィルムと偏光フィルムの段差を測定した。
【0073】
[リオトロピック液晶性化合物の合成例1]
ペリレンテトラカルボン酸無水物(1g)をDMF(50ml)に溶解させ、そこに4−アミノピリジン(1g)を加えて140℃に加熱して反応させることによって、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(1.1g)を得た。ペリレンテトラカルボン酸ジイミドを単離後、これにヨードメタン(100ml)を加えて反応させた。最後に、イオン交換樹脂を用いて、ヨウ素を塩化物イオンへと変換することにより、下記式(4)で表される窒素含有複素環カチオンを有するペリレン化合物(N,N’−ビス(4−N−メチルピリジル)−3,4,9,10−ペリレンカルボン酸ジイミド二塩化物)(0.7g)を得た。
【0074】
【化8】

【0075】
[リオトロピック液晶性化合物の合成例2]
4−アミノピリジンに代えて、1,2−ジアミノ−4−ピリジンを用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(5)で表される窒素含有複素環カチオンを有するペリレン化合物を合成した。
【0076】
【化9】

【0077】
[実施例1]
上記式(4)のリオトロピック液晶性化合物をイオン交換水に溶解させることにより、濃度30質量%のコーティング液を調製した。この際、そのリオトロピック液晶性化合物は水に簡単且つ良好に溶解した。得られたコーティング液を、上記液晶相の観察方法に従って、23℃で観察したところ、ネマチック液晶相を示していた。
【0078】
前記30質量%のコーティング液にイオン交換水を加えてこれを希釈することにより、最終的に濃度5質量%のコーティング液を調製した。
この最終的なコーティング液を、ラビング処理及びコロナ処理が施されたノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノア」)の前記処理面上に、バーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS4」)を用いて塗工し、自然乾燥した。乾燥後の塗膜が、偏光フィルムである。
得られた偏光フィルムの厚みは、約0.1μmであった。その偏光フィルムの二色比を測定したところ、3.2であった。
【0079】
[実施例2]
上記式(5)のリオトロピック液晶性化合物をイオン交換水に溶解させることにより、濃度30質量%のコーティング液を調製した。この際、そのリオトロピック液晶性化合物は水に簡単且つ良好に溶解した。得られたコーティング液を、上記液晶相の観察方法に従って、23℃で観察したところ、ネマチック液晶相を示していた。
【0080】
前記30質量%のコーティング液にイオン交換水を加えてこれを希釈することにより、最終的に濃度5質量%のコーティング液を調製した。
この最終的なコーティング液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、偏光フィルムを作製した。
実施例2の偏光フィルムの厚みは、約0.1μmであり、その偏光フィルムの二色比は、12.5であった。
【0081】
[比較例1]
比較例1は、前記リオトロピック液晶性化合物の合成例1の中間生成物である、下記式(6)で表されるペリレンテトラカルボン酸ジイミドを用いた。この化合物を用いて、実施例1と同様に、濃度30質量%のコーティング液を得ようとしたが、この化合物はイオン交換水にほとんど溶解しなかった。そのため、この化合物は、液晶相を示さなかった。
【0082】
【化10】

【0083】
[比較例2]
比較例2は、前記リオトロピック液晶性化合物の合成例2の中間生成物である、下記式(7)で表される化合物を用いた。この化合物を用いて、実施例1と同様に、濃度30質量%のコーティング液を得ようとしたが、この化合物はイオン交換水にほとんど溶解しなかった。そのため、この化合物は、液晶相を示さなかった。
【0084】
【化11】

【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のコーティング液は、光学異方性フィルムの形成材料、及び、塗布型有機エレクトロニクス素子の有機半導体層の形成材料などとして用いることができる。
などに利用できる。
【符号の説明】
【0086】
1…光学異方性フィルム、2…基材、3…保護フィルム、5…偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
π共役系平面骨格部と前記平面骨格部に結合した1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンとを有するリオトロピック液晶性化合物と、前記リオトロピック液晶性化合物を溶解させる溶媒と、を有するコーティング液。
【請求項2】
前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、共役二重結合を有し且つ複素環を構成する窒素をカチオンとする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項3】
前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンの複素環を構成する窒素カチオンに、アルキル基が結合している、請求項2に記載のコーティング液。
【請求項4】
前記アルキル基が炭素数1〜4のアルキル基である請求項3に記載のコーティング液。
【請求項5】
前記1つ又は複数の窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、前記π共役系平面骨格部の端部に結合している、請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング液。
【請求項6】
前記窒素含有複素環カチオン又は窒素含有複素芳香環カチオンが、前記π共役系平面骨格部の一部を成し、π共役系平面骨格を拡張している、請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング液。
【請求項7】
前記リオトロピック液晶性化合物が、下記式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表される化合物を含む請求項1に記載のコーティング液。
【化1】

nは、1〜4の整数を表し、Xn−は、対イオンを表し、A及びAは、それらに下記式(2a)又は(2b)で表される基が結合して5員環又は6員環を形成することを表し、B及びBは、それらに下記式(2a)、(2b)若しくは(2c)で表される基が結合して5員環又は6員環を形成することを表すか、又は、BはRを且つBはR10をそれぞれ表し、
【化2】

及びQは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のピリジニウム、置換若しくは無置換のピリミジニウム、置換若しくは無置換のピラジニウム、置換若しくは無置換のキノリニウム、置換若しくは無置換のイソキノリニウム、置換若しくは無置換のアクリジニウム、置換若しくは無置換のキナゾリニウム、置換若しくは無置換のキノキサリニウム、置換若しくは無置換のイミダゾリウム、置換若しくは無置換のベンゾイミダゾリウム、置換若しくは無置換のインドリウム、又は、置換若しくは無置換のトリアジニウムを表し、前記Qは、結合しているイミダゾリン環と一体となった環を形成していてもよく、R15は、前記Q又はQの窒素カチオンに結合した、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、R乃至R14は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、アセチル基、カルボニル基、ハロゲン原子、置換又は無置換のエステル基、アミド基、アリロキソ基、又は、アリル基を表す。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング液を展開面に塗工して塗膜を形成し、この塗膜を固化させることによって得られる、光学異方性フィルム。
【請求項9】
請求項8に記載の光学異方性フィルムを備える画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−255959(P2012−255959A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129864(P2011−129864)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】