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コーティング用の熱赤外線反射顔料
説明

コーティング用の熱赤外線反射顔料

本発明は、放射熱エネルギーの制御、さらに詳細には、IRエネルギーの制御および視覚的装飾を必要とする建物または他の領域に対する装飾コーティングにおける使用のための高熱赤外線(IR)反射顔料に関する。冷環境における暖房および暖環境における冷房空気調節への依存を減少させることによる、受動的技法を通して住居家屋における熱エネルギーの散乱を制御することは、エネルギー消費を減少させる。通常の装飾ペイント流体の変形に基づいた、熱赤外線における低放射率を有するいくつかのペイント配合物が存在する。このような配合物には、損傷を受けやすいこと、ある種の着色顔料における高い放射率などのいくつかの問題がある。本発明は、従来技術に伴う問題を実質上克服するペイント配合物において使用するための低放射率フレーク(1)を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射熱エネルギーの制御、さらに詳細には、IRエネルギーの制御および視覚的装飾を必要とする、居住家屋または他の領域に対する装飾コーティングにおいて使用するための高熱赤外線(IR)反射顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
冷たい環境における暖房、および暖かい環境における冷房空気調節への依存を減少させることによる、受動的技法によって家庭用建物における熱エネルギーの散乱を制御することは、エネルギー消費を減少させる。
【0003】
「通風」および伝導のような対流は、広く認識された熱移動機作であり、構造物におけるエネルギー消費に関してその影響を減少させるために、多くの材料および方法が開発されてきた。また、熱エネルギーは、放射プロセスにより移動する場合がある。人間は、対流および伝導プロセスには容易に気づくが、近傍の周囲温度での、表面からの放射熱移動にはあまり敏感ではない。適当な表面コーティング材料を使用して、部屋への熱移動を減少または促進するために、放射熱エネルギー移動プロセスを制御することは可能である。例えば金属反射材、通常アルミニウムが、屋根および壁の空隙断熱材料に使用されており、金属の層は、断熱表面に結合されて、表面からのIRエネルギー放射を減少させる。しかし、このような高IR反射材料の使用は、装飾的外観が主な関心事ではない領域、例えば屋根裏空間および空隙壁孔の場合に、現在限定されている。
【0004】
通常の未変性装飾ペイントは、一般に溶媒に溶かした着色顔料混合物であり場合により、バインダーとして知られている光学的に透明な被膜形成材料を含む。バインダーは通常、居住環境のための装飾コーティング中の有機ポリマーである。また、ペイントは、流動性向上剤、湿潤促進剤などの広範囲の添加材料を少量含む。また、バインダーは、着色顔料を基材に結合することに加えて、光沢、耐磨耗性、および耐腐食性または耐生物学的侵食性などの他の望ましい特性を与える。
【0005】
増大されたIR反射率を有する、通常の装飾ペイント流体の変形物に基づいたいくつかのペイントタイプが、文献に存在する。
【0006】
タイプ1のIR反射コーティングは、IR波長バンドにおける、反射率を最大にするように、選別された分散粒状顔料に基づく。US5811180(Paul Berdahl「火災から放射線を反射する顔料」(Pigments which reflect radiation from fire))は、この形態のペイントを記載している。
【0007】
しかし、これらの配合物は、顔料粒子中の吸収によるIR波長バンドにおける比較的低い反射率、有機ポリマーバインダーを通る長い経路長につながる繰り返し反射、およびIR波長での、バインダーと通常の粒状顔料との屈折率における小さな差による不十分な散乱を有する。IR波長バンドにおいて、分散粒状顔料に基づく着色コーティングにおいて、0.3より大きい反射率を実現することは困難である。
【0008】
IR反射材成分を提供するために、金属フレーク顔料を使用するタイプ2の高IR反射ペイントが、開発されてきた。EP0065207(Herberts & Co GMBH(DE)、「擬装目的のための、熱放射線のスペクトル範囲における低減された放射特性を有する顔料着色コーティング化合物の使用」(Use of pigmented coating compounds with reduced emision capability in the spectral range of the heat radiation for camouflage purposes))は、この形態のコーティングを記載している。一般に、10〜50ミクロン直径の大きさの範囲にあるアルミニウムフレークが、IR反射顔料として使用される。このような金属−フレークおよびバインダーだけのペイントは、0.7〜0.75の範囲にある高反射率の配合物にすることができる。バインダー外部表面(または薄葉)で集合または配向する傾向をもたせる、表面処理を施した金属フレークおよびIR波長バンドにおける高透明性のために選んだバインダーを使用して、0.8と0.85の間のIR反射率を有するペイントシステムが容易に調製される。30μm直径のアルミニウムフレークなどの妥当な大きさの金属フレークから純粋に形成されたタイプ2ペイントの欠点は審美性であり、というのは、高IR反射率配合物の場合、色がシルバーメタリックに見えるからである(あるいは、タングステンや黄銅などの着色金属に基づく金属フレークの場合には、それぞれグレーメタリックまたは「ゴールド」)。小さな金属フレーク(<5μm直径)または粗いフレークを使用して、メタリック外観のないグレーペイントを作製することができるが、散乱損失により、IR反射率において著しい低下がある。
【0009】
タイプ3のIR反射ペイントは、金属反射材フレークと通常の粒状可視着色顔料との、バインダー中における組合せにより、着色効果を実現することができる。DE10010538(Hugo Gerd、「波長範囲に依存する吸収特性を有する4種の異なる粒子を含む、建築物のコーティングに有用なスペクトル選択特性を有するコーティング組成物」(Coating composition having spectral selective properties,useful for the coating of buildings,comprises four different particles having a range of wavelength dependant absorption properties))は、この形態のコーティングを記載している。ペイントが乾燥した場合、可視顔料が装填されたバインダーポリマーの薄層が、金属フレークを覆って形成して、可視着色をもたらす;「着色層」。
【0010】
この取組みの欠点は、微粒子着色顔料をフレーク含有バインダーに添加した場合、フレークの配向が妨げられ、したがって、フレークは、互いにまたはペイントの表面で、もはや整列しないことである。整列がうまくいかないと、散乱関連効果により、ペイントシステムにより実現しうるIR反射率が低下する。着色層の厚さは、IR放射線が、反射材粒子に到達し、反射して戻ってくることができるように、IR透明性を保持するように制御する必要がある。高IR反射率(>0.7)を実現するには、着色層の厚さは5μm未満であるべきである。中程度のIR反射率(>0.5)を実現するには、着色層の厚さは10μm未満であるべきである。薄い着色層を使用したタイプ3ペイントの耐久性は、限定されている。というのは、擦り傷および研磨洗浄などによる薄い着色層の除去が、金属反射材層の存在を露出し、ペイントを「銀色に光らせる」からである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、タイプ1から3の従来技術による配合物に伴う問題を実質上緩和または克服するペイント(および他のコーティング)配合物において使用するための高IR反射添加剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、赤外線反射コアフレーク(コアは、0.2μm未満の厚さを有する)およびコアフレークの一部または表面全体にコーティングされている赤外線透明材料を含む赤外線反射フレークを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明によるフレークは、ペイント、複合ゲルコート、ワニスおよび他のコーティング配合物において、高IR反射コーティングを提供するために添加剤として使用することができる。本発明は、IR反射コアに接着するIR透明層を含む複合材料を提供する。一般にIR透明層は、フレークコアの両側にコーティングされるであろうが、装飾効果のためには片側だけにコーティングしてもよい。IR透明層は、場合によって着色材料を含むバインダー材料で構成される。この層は、コア材料に対する化学的および環境的保護と一緒に、可視着色および機械的強度を与える。IR反射コアは、金属材料または導電性酸化物材料を含む。
【0014】
タイプ3従来技術システムにおいて見られるように、装飾着色を生成するために粒状高屈折率無機顔料への依存を除くことにより、フレークの配列が損なわれることを少なくし、実現可能なIR反射率を増大する。着色用として、反射材コアコーティング低屈折率染料を使用することは、バインダー屈折率における有害な増大およびその結果生じるTIR損失を最小にする。
【0015】
反射材層は、入射IRの大部分を反射するように、十分反射的である必要がある。このことは、0.1〜50Ω□−1の範囲にある、理想的には1〜10Ω□−1の範囲にあるDC電気抵抗と同等のことである。
【0016】
また、特定のバルク抵抗に対しては、反射材層は、入射IR放射線の大部分を反射するために十分に厚い必要がある。しかし、金属(または金属酸化物)コア端の厚さは、散乱およびその結果としての損失を減少するために最小にするべきである。したがって、コア材料は、理想的には0.2μm厚未満であるべきである。
【0017】
アルミニウムコア材料などの導電性金属に対しては、厚さは、好ましくは0.015〜0.05μm厚の範囲、さらに好ましくは0.03〜0.04μmの範囲である。クロムベースのコアなどの低導電性金属に対しては、厚さは、好ましくは0.08〜0.12μmの範囲である。
【0018】
もし反射材コアが粗い場合には、IR放射線を散乱し、コーティングのIR反射率を減少させるであろう。したがって、コア材料は、0.5未満のピッチに対する深さの比を有し、1μm未満の表面粗さ(texture)を有するべきである。好ましくは、粗さは、0.2μm〜0.4μmの範囲にある。
【0019】
フレークコアの反射面積も、IR反射率に影響がある。反射材フレークが放射線の波長に比較して小さい場合には、散乱機作による損失が、重要となる。したがって、フレークコアの平均直径は、好ましくは10μmより大きい。注:用語「直径」が使用されているが、当業者であれば、フレークは完全な円形または円盤状である必要はないこと、および不規則な形状のフレークを使用できることを理解されよう。フレークが、不規則な形状を有するときには、用語直径は、フレークの最も小さい寸法をいう。
【0020】
非常に大きいフレークは、バインダーシステムの乾燥の間に配列させるのが難しく、好ましくはフレーク直径は、100μm未満である。約50μmを超えるフレークは、人間の目によって解像できるので、メタリック効果のいらない装飾コーティングに対しては、フレーク直径は、10〜50μm範囲にあり、さらにより好ましくは30〜40μm範囲にある。
【0021】
IR反射材コアを被覆する層は、IR放射線を著しい損失なしに反射材コアにまで伝達させるのに十分透明でなければならない。したがって、この被覆層は、好都合には低IR吸収を有する有機被膜形成ポリマーで構成される。例には、エチレン、ブチレン、プロピレン、アクリレート、メタクリレートおよびスチレンのポリマーならびにそれらのコポリマーが含まれる。着色は、電子移動に伴う可視波長バンドにおける高い比吸収をもつが、IR波長において分子振動による弱い比吸収をもつように選ばれた、可視バンド染料の添加により導入することができる。望ましい染料には、solvent yellow 94、orange 1、red 24などのアゾ、キサンテンおよびアントラキノン染料が含まれる。こうして可視装飾着色の必要条件を、IR透明性の著しい低下なしに満足させることができる。放射線経路長は、必要とされる可視着色水準、機械的強度、および加工に対する安定性をもたらすための、最小厚さの着色ポリマー層に最小化される。この必要条件は、最低厚さ0.2μmで満足される。有機ポリマー層を使用した反射材コアコーティングの厚さは、0.2〜2μmの範囲が好ましい。
【0022】
赤外線透明コーティング材料は、コア材料を完全に封入することが好ましい。
【0023】
別法としては、着色フレークバインダーは、無機であってよい。多くの無機材料が、IR波長範囲において著しい透明性を示し、いくつかは色素、金属塩などを使用して着色することができ、またはそのままで自己着色している。無機IR透明コーティングの例には、限定しないが、染料および顔料の添加により着色することができる、ケイ素、チタン、またはアルミニウムの酸化物などのゾル・ゲル被覆材料が含まれる。自己着色、IR透明材料の例には、限定はされないが、シリコンおよびゲルマニウムなどの半導体材料が含まれる。
【0024】
本発明の変形において、IR反射コアを光学的に透明にすることができる。これは、可視波長で透明であるが、IR領域では反射する材料からコアを形成することによって実現される。このように光学的に透明になる材料の例は、銀、金、銅またはそれらの合金の非常に薄い層である。別法としては、いくつかの光学的に透明な酸化物は、著しいIR反射率を有し、限定しないが、インジウムおよびフッ素ドープ酸化スズ(ITO、FTO)が含まれる。これらの材料を使用して、必要ならば上記の着色有機バインダーまたは着色無機コーティングを使用して、着色できる光学的に透明なコーティングを形成することができる。このように必要ならば透明で無色の高IR反射ワニスを作製することができる。
【0025】
好ましくはコアは、インジウムおよびフッ素ドープ酸化スズを含む。
【0026】
一般に、光学的に透明なIR反射金属コアは、厚さ1nm未満である。必要とされる実際の厚さは、それが十分な導電性を持つ点による。コアは、その電気抵抗が10Ω□−1の場合に著しいIR反射性を示す。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による赤外線反射フレークを含むペイント配合物が、次に提案される。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による赤外線反射フレークを含むワニス配合物が、次に提案される。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による赤外線反射フレークを含むゲルコート配合物が、次に提案される。
【0030】
本発明の実施形態を、添付する図面を参照して例としてのみ記載する。
【0031】
本発明の背景として、0K(−273℃)を超える物体すべては、原子的および分子的構造のプロセスの結果として電磁(EM)放射線を放射する。人の居住するところで出会う温度(0〜30℃)で、この電磁放射線は、主に3×1012〜3×1014Hzの範囲の振動数、波長1〜100μmに等価であり、通常EMスペクトルの「赤外線領域」とよばれる。0〜30℃の範囲にある温度で、物体から出る放射エネルギーの90%超は、波長3〜50μmであり、電磁スペクトルのこの部分は、熱赤外線(IR)領域と呼ばれる。
【0032】
第一次近似で、表面から放射されるIRエネルギーは、以下のStephan−Boltzmann式で与えられる:
W=εσT Wm−2
[式中、「W」は、放射エネルギー、「ε」は、放射率、「σ」は、Stephan−Boltzmann定数、および「T」は、絶対温度]。
【0033】
簡略化された形において、Kirchoffsの法則は、材料の放射率をその反射率に関係させ、一般にそれを不透明体に対して述べている:
ελ=1−Rλ
[式中、「ελ」は、放射率、およびRλは、波長λにおける表面反射率]。したがって、不透明表面の放射率を低減すると、放射線を反射するその能力は増大する。
【0034】
また、不透明体から反射されたエネルギーは、物体によって吸収されたエネルギーに、次の関係により関係付けることができる:
λ=1−Rλ
[式中、Aλは、物体によって吸収された部分エネルギー]、高IR吸収をもつ材料は、また高IR放射率および低IR反射率を有することになると演繹できる。
【0035】
放射率(ε)は、放射表面材料に固有の性質であり、理論的には、1から0の間で変化しうる。IR波長で低放射率を有する所与の温度で、表面は、IR波長で高放射率を有する同じ温度での表面よりも、少ないIRエネルギーを放射するであろう。住居環境において一般的に出会う装飾された表面は、0.9から0.95の間の放射率を有する。これは、住居環境において見出される大部分の装飾材料が、有機表面、例えばペイント、材木、織物などを有する結果である。一般に有機材料は、分子振動によりIRエネルギーを吸収し、その結果0.9〜0.95の範囲にあるIR放射率を有する。導電性金属表面は一般に低いIR放射率を有する。
【0036】
導電性材料の反射率は、その電気抵抗に関係付けることができる。IR振動数において、金属性または金属に近い導電性をもつ材料は、次式によって与えられる反射率を有する:
【0037】
【数1】

[式中、「R」は、反射率、「ν」は、放射線の振動数および「ρ」は、抵抗である]。この式から、低電気抵抗をもつ金属は、高IR反射率を有するであろうと予測される。0から30℃の間の温度における清浄な、平滑な導電性金属は、IRエネルギーに対して不透明であり、0.98から0.85の間の高IR反射率を有し、その結果0.02〜0.15の範囲にあるIR波長バンドにおける放射率を有する。
【0038】
例えば、空気からポリマー被膜へと、放射線が1つの媒体から他に通過する場合、放射線の一部分は、空気/ポリマー界面で、それから反射係数(R)が得られるFresnelの式により反射される:
【0039】
【数2】

[式中、nは、材料の屈折率比、χは、吸光係数である]。
【0040】
大部分の有機ポリマーの屈折率は、IRthermalにおいて1.4〜1.6の範囲にある。
Fresnelの式を使用するとこの界面の反射率は、約0.03〜0.05であり、したがって、その放射率は、図1に示すように約0.95〜0.97であり、ここではFresnelの式から計算された1−Rが、1から2の間の屈折率に対してプロットされている。
【0041】
次いで、放射線は、吸収または他の界面に達するまで材料中を伝播する。吸収はBeer−Lambertの法則により生じる。:
Abs=χ×C×l
[式中、Absは吸収であり、χは吸収種の吸光係数であり、Cはその種の濃度であり、lは材料通過経路長である]。通常、吸光係数は、材料中の化学結合の歪み、例えば、ポリマー中のC−CH結合周辺の屈曲、伸張、回転などの共鳴振動数に依存する、波長依存関数である。吸収を最小にするには、吸収部分の濃度および/または材料通過経路長を最小にする必要がある。
【0042】
放射線が、他の界面に到達した場合、そのとき界面の長さの程度が放射線の波長と同じであれば、回折光学があてはまり、放射線は散乱される。その長さの程度が、放射線よりも著しく大きい場合は、そのときは幾何学的/切子面の光学があてはまり、相互作用を記載するためにFresnelの式を使用することができる。およその基準として、フィーチャー(feature)が波長の5倍より大きい場合、幾何光学が優勢になる。またフィーチャーが、5から0.2倍の場合、回折効果も重要となる。フィーチャーが、波長の0.2未満の場合、粒子は、回折しなくなり、有効媒体理論(Effective media theories)が関係してくる。
【0043】
放射線が、1つの透明媒体から他に通過した場合、そのとき伝播は、角度を変化する。この角度の変化は、界面の一方の側の媒体の屈折率および入射角に関連し、Snellの式によって記載される:
Sinθ=nSinθ
[式中、nは第一媒体の屈折率、θは入射線と界面法線との角度、nは第二媒体の屈折率、θは界面法線からの屈折線の角度]。所与の屈折率変化に対して、それを超えてはもはや放射線は界面から離れることができない限界入射角、すなわちθ=90°となる、全内部反射(TIR)角θTIRがある。この角度は、
SinθTIR=n/n
によって与えられる。
【0044】
ポリマー被膜を離れる、すなわち高屈折率材料から低屈折率材料へ移動する放射線を考える。図2は、立ち上がる光(言うならば、ポリマー中の反射性または散乱粒子から)がTIRを受け、もはや表面を離れることができない角度を示す。θTIRの低い値は、反射された入射光の少部分が被膜を離れるので、低い反射率(高い放射率)を意味する。
【0045】
屈折率が、一般に1.4〜1.6の範囲にあるポリマー−空気界面に対しては、入射角が40〜45°より大きい場合に全反射が生じる。IR波長バンドにおいて、ポリマーのもつ損失の多いという性質により、放射線は短距離において吸収され、放射線は全内部減衰を受けると言われている。表面法線から離れて40°より大きい角度における散乱を減少させることは、IR波長バンドにおけるペイントの反射率を最大にし、放射率を最小にするために重要である。
【0046】
低屈折率をもつ被膜は、高θTIRを有する。しかし、ポリマーバインダーの有効屈折率は、一般に散乱顔料粒子、例えばチタニアの添加により増大する(散乱顔料粒子は、光学的着色および隠ぺい力を与えるために存在し、可視バンドにおいては最大の散乱を有するが、IRThermal波長では散乱のないサイズにされている)。IRThermal波長において、通常の不透明ペイントの効果的屈折率は増大する。屈折率1.5のバインダーと、0.2v/vの200nm直径(散乱しない)、屈折率2.7のチタニアでは、1.74のIRThermalにおける計算有効屈折率となりその結果35°のθTIRの値を有することになる。
【0047】
バインダー材料におけるIRエネルギーの損失を最小にするためには、低吸光係数を有する材料を選択することおよび光学的経路長を短く保つことが重要である。タイプ3コーティングでの最適ケースは、必要な着色を得るため、IR透明顔料を含む最低の厚さのバインダーで均一に被覆された極めて平滑な反射材表面のはずである。有限非平滑反射材表面からの散乱効果は、TIRからのIR損失を増大させるであろうし、光学的経路長を増大させる。
【0048】
着色IR反射ペイントを形成するために低アスペクト比顔料粒子を添加することの、組み合わせた光学的効果は、最大IR反射率を、アルミニウムフレークタイプ2ペイントに対する約0.85から、淡着色タイプ3ペイントに対する0.5、中間調色のタイプ3ペイントに対する0.4、および暗色調色のタイプ3ペイントに対する0.3に減少することである。
【0049】
従来技術の手法タイプ1〜3の少なくともいくつかの欠陥を緩和する、コーティング組成物において使用するためのIR反射顔料の一実施形態を、次に記載する。
【0050】
図3は、本発明による典型的なフレーク配合物を示す。フレーク1は、三層構造(2、4、6)からなる。層4は、薄いIR反射コアフレークである。層4は、いずれの側も染色された、さもなければ着色されたIR透明被膜から形成された着色層2、6によって被覆されている。着色層2、6は、機械的強度、ならびに化学的および環境的保護をIR反射コアフレーク4に与える。
【0051】
IR反射コアフレーク(図3において数4によって示される)は、様々な金属または金属酸化物から形成することができるが、それがアルミニウムから形成される場合は、一般に30から40nmの間の厚さ(図3における8)を有するであろう。クロムコアフレークでは、この厚さは80〜120nmの範囲にあるはずである。
【0052】
着色層(図3における2、6)は、一般に200〜2000nmの厚さを有し、1〜20%重量/重量の染料または他の着色された材料を含有する被膜を含む。
【0053】
適切なポリマーバインダーの例は、ポリメチル、エチルまたはブチルアクリレートなどのアクリル樹脂である。適切な染料には、アゾ金属錯体、フタロシアニンおよびアントラキノンが含まれる。
【0054】
特定のフレーク構成は、10%重量/重量のNeozapon blue 807(BASF PLCによって製造されている)着色染料を含むElvacites 2041 ポリマーバインダー(ICI Acrylicsによって製造されている)および35nm(±5nm)厚のアルミニウム反射材層(図3において4)から形成された800nm(±100nm)厚の着色層(図3において2、6)である。このような配合物に対して、フレークは、0.15〜0.2の範囲にあるIR放射率および暗青色を有する。
【0055】
本発明によるフレークは、種々の方法において形成することができるが、好ましい製造方法を以下に記載する。
【0056】
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート膜の捨てウェブをカルナバ蝋の離型層で被覆する。次いで、処理された捨てウェブ表面上に、染料含有ポリマーの層を流し塗りまたはグラビアプリンティングプロセスによって付着させ、乾燥し、場合によって硬化させる。この層は、着色層の1つを形成する(図3における2、6)。
【0057】
次いで、アルミニウムの層を染料含有ポリマーの表面上に蒸着によって付着させる。この層は、IR反射コア(図3における4)を形成することになる。
【0058】
場合によって、着色ポリマーの第2の層を蒸着されたアルミニウム上に、再び流し塗りまたはグラビアプリンティングプロセスによって付着させる。この第2のポリマー層を乾燥し、場合によって硬化する。この層は、着色層の1つを形成することになる(図3における2、6)。
【0059】
次いで、被覆された三層材料を、例えば熱水に浸漬することによって、ウェブから除去するが、他の方法も当分野の読者には浮かぶであろう。カルナバ蝋の離型層は溶融し、IR反射材料を濾過または浮上法によって回収することができる。3層材料は、通常の加工、例えば湿潤磨砕により適正な大きさのフレークにすることができる。
【0060】
図1における一般的構造を有する材料を作製するための他のプロセスが、知識を有する読者には浮かぶであろう。例えばこれらには、適切な大きさのIR反射材フレーク上に着色被膜を溶媒堆積させること、または除去前にウェブ上でフレークを画定することが含まれる。
【0061】
異なる装飾効果を生み出す為の関連する基本構造の変形は、この技術分野の読者には明らかであろう。例えば、利用できる色の数を増やすために、着色剤の組合せをそれぞれの側に使用することができ、異なる着色剤または着色剤の組合せを上下表面に使用することができ、それぞれの側の調色の強度を独立に変化させることができる。反射性金属も、視覚的着色金属、例えば、銅またはタングステンに換えることができる。金属反射材は、視覚的回折効果または制御された拡散反射をそれぞれ加えるために、周期的または非周期的構造においてエンボスをつけることができる。これは、金属反射材層を付着させる前に第一着色ポリマー被膜をエンボスすることによって実現することができる。明らかに、これらの変形は、種々の組合せにおいてさらに装飾効果を創り出すために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ポリマーの屈折率の関数として、空気/ポリマー界面に対する放射率を示すグラフである。
【図2】ポリマー被膜を離れる、すなわち高い屈折率材料から低い屈折率材料に移動する放射線に関し、ポリマー被膜内で(例えば、ポリマー中の反射または散乱粒子から)立ち上がる光が全内部反射(TIR)を行い、もはや表面から離れることができない角度を示す。媒体の屈折率の関数として、全内部反射角を示すグラフである。
【図3】本発明による典型的なIR反射フレークの形態を示す図である。
【図4】TiO(通常の白色)顔料と、本発明により構成された典型的な視覚的に着色された高IR反射顔料との間の、2〜20ミクロンの波長範囲における反射率の差を示す図である。高IR反射顔料は、0と50%反射度の間で大幅に変化する標準顔料に比較して、全般的に約90%の反射を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線反射コアフレーク(4)、およびコアフレーク(4)の表面の一部または全てにコーティングされている赤外線透明材料(2、6)からなり前記反射材コア(4)が、0.2μm未満の厚さを有する、赤外線(IR)反射フレーク(1)。
【請求項2】
コア(4)が、0.1から50Ω□−1の範囲にあるDC電気抵抗を有する請求項1に記載のフレーク(1)。
【請求項3】
コア(4)が、アルミニウムであり、0.03から0.04μmの範囲にある厚さを有する請求項1に記載のフレーク(1)。
【請求項4】
コア(4)が、クロムであり、0.08から0.12μmの範囲にある厚さを有する請求項1に記載のフレーク(1)。
【請求項5】
コアフレーク(4)が、1μm未満の表面粗さ、および0.5未満の深さ対ピッチ比を有する請求項1から4のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項6】
粗さが、0.2から0.4μmの範囲にある請求項5に記載のフレーク(1)。
【請求項7】
フレーク(1)が、10から100μmの直径を有する請求項1から6のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項8】
直径が、10〜50μmの範囲にある請求項7に記載のフレーク(1)。
【請求項9】
直径が、30〜40μmの範囲にある請求項8に記載のフレーク(1)。
【請求項10】
赤外線透明材料(2、6)が、着色染料または他の着色された材料を場合によって含む非極性または弱い極性有機ポリマーからなる請求項1から9のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項11】
赤外線透明材料(2、6)の厚さが、0.2から2μmの範囲にある請求項10に記載のフレーク(1)。
【請求項12】
赤外線透明材料(2、6)が、着色染料または他の着色された材料を場合によって含む無機フィルムからなる請求項1から11に記載のフレーク(1)。
【請求項13】
コア(4)が、1nm未満の厚さを有する請求項1から12のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項14】
DC抵抗が、10Ω□−1未満である請求項13に記載のフレーク(1)。
【請求項15】
コア(4)が、インジウム、またはフッ素ドープ酸化スズを含む請求項10、11または12のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項16】
透明被覆材料(2、6)が、コア材料を完全に封入している請求項13から15のいずれかに記載のフレーク(1)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の赤外線反射フレーク(1)を含むペイント配合物。
【請求項18】
請求項1から16のいずれかに記載の赤外線反射フレーク(1)を含むワニス配合物。
【請求項19】
請求項1から16のいずれかに記載の赤外線反射フレーク(1)を含むゲルコート配合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−526930(P2007−526930A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518374(P2006−518374)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003005
【国際公開番号】WO2005/007754
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】