説明

コーティング用ポリエステル(メタ)アクリレート

【課題】 低照射の電子線で、耐汚染性に優れ、硬化収縮による基材のカール(そり)が小さく、被覆された建材化粧紙の加工性を損なわないコーティング用ポリエステル(メタ)アクリレートを提供する。
【解決手段】 下記成分を反応したポリエステル(メタ)アクリレートを使用する。
(A)脂環式骨格を有する2〜4価の多価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルからなる群から選ばれる1種以上(B)3〜6価の多価アルコール及び/又は脂環式骨格を有する2価アルコール(C)(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート及びポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量:66〜1000)モノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建材化粧紙用電子線硬化型コーティング用ポリステル(メタ)アクリレートに関する。さらに詳しくは、紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シートや、これらに印刷を施したものをはじめとする紙を主体とした基材の表面を被覆するオーバーコート剤用途に使用される建材化粧紙用電子線硬化型コーティング用コーティング用ポリステル(メタ)アクリレートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建材化粧紙用途に用いられる紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シートや、これらに印刷を施したもの等の表面を被覆する電子線硬化型オーバーコート剤用途に使用される電子線反応性樹脂として、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリレートモノマーが主として用いられ、耐汚染性の良好な被覆物を作成するために、約5〜7Mrad程度の電子線の照射が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの(メタ)アクリレートモノマー類を主として用いたコーティング剤は、基材にコーティングし電子線を照射して被覆物を形成した場合、被覆物の耐汚染性が不十分であり、硬化収縮による基材のカール(そり)が大きく、さらに、高照射強度の電子線照射によって基材が著しく劣化し、コーティング剤で被覆された建材化粧紙の加工性が損なわれるという問題があった。本発明の目的は、建材化粧紙用電子線硬化型コーティング剤用途に使用されるものであって、低照射強度(具体的には、3.5Mrad以下)の電子線照射による硬化で、耐汚染性を満足させることにより、硬化収縮による基材のカール(そり)を低減された被覆物を得ることができ、さらに、被覆された建材化粧紙の加工性を損なわずにすむことができるコーティング用樹脂を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的に対して鋭意検討した結果、特定のポリエステル(メタ)アクリレートをコーティング用樹脂として使用することにより、被覆された建材化粧紙の加工性を損なわずにすむことを見出し、これらの課題を解決した本発明に到達した。すなわち本発明は、下記成分が反応してなる建材化粧紙用電子線硬化型コーティング剤用ポリエステル(メタ)アクリレートである。
(A)脂環式骨格を有する2〜4価の多価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルからなる群から選ばれる1種以上(B)3〜6価の多価アルコール及び/又は脂環式骨格を有する2価アルコール(C)(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート及びポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量:66〜1000)モノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートにおける(A)脂環式骨格を有する2〜4価の多価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルからなる群から選ばれる1種以上としては炭素数6〜30(アルキルエステルのアルキル基の炭素数を除く)のものが挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
(A−1)2価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキルエステル;テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸等の2価カルボン酸;その酸無水物;及びそのアルキル(メチル、エチル等)エステル;
(A−2)3〜4価のカルボン酸、その酸無水物及びそのアルキルエステル;シクロヘキサントリカルボン酸、メチルシクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸等の3〜4価カルボン酸;その酸無水物;及びそのアルキル(メチル、エチル等)エステル;これらの内で好ましくは2価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキルエステルであり、特に好ましくはテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸の酸無水物である。これらのカルボン酸を使用するとポリエステル(メタ)アクリレートの粘度を低くすることができる。
【0006】本発明において(B)3〜6価の多価アルコール及び/又は脂環式骨格を有する2価アルコールとしては下記のものが挙げられる。
(B−1)3〜6価の多価アルコール;
(1)炭素数1〜30の3〜6価の脂肪族アルコール及びそれらのアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)1〜10モル付加物;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシエチルアミノエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)3モル付加物、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド(PO)10モル付加物、ソルビトールPO15モル付加物等;
(2)脂環式骨格を有する3〜6価の多価アルコール;1,3,5−シクロヘキサントリオール、前記(A−2)に挙げたカルボン酸類のアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)3〜30モル付加物等の3〜6価アルコール等;
(2)3〜6価のカルボン酸のアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)3〜30モル付加物;トリメリット酸EO4モル付加物、ピロメリット酸EO5モル付加物、トリカルバリル酸PO6モル付加物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸EO8モル付加物等;
(3)アミノ基数3〜6のアミンのアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)3〜30モル付加物;ヘキサメチレンジアミンEO4モル付加物、エチレンジアミンPO8モル付加物等;
【0007】(B−2)脂環式骨格を有する2価アルコール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール水素化ビスフェノールA、1,2−シクロヘキサンジオールEO3モル付加物、前記(A−1)に挙げたカルボン酸類のアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)3〜30モル付加物等の2価アルコール等;これらの内で好ましくは(B−1)であり、さらに好ましくは(1)であり、特に好ましくはトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)3モル付加物である。これらの多価アルコールを使用すると、ポリエステル(メタ)アクリレートの製造時の反応時間を短縮できる。
【0008】本発明において(C)(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート及びポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量:66〜1000)モノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上としては、下記のものが挙げられる。
(C−1)(メタ)アクリル酸;アクリル酸、メタクリル酸;
(C−2)ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等;
(C−3)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量:66〜1000)モノ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(数平均分子量:438)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(数平均分子量:238)モノアクリレート等;これらの内で好ましくは(メタ)アクリル酸であり、特に好ましくはアクリル酸である。
【0009】該(A):(B):(C)の配合量はモル比で、好ましくは1:(0.2〜4):(1.5〜20)であり、さらに好ましくは1:(0.25〜3.5):(1.8〜15)、特に好ましくは1:(0.5〜3):(2〜10)である。本発明のポリエステル(メタ)アクリレートの製造方法は、(A)、(B)、(C)をエステル化反応により重縮合する方法である。エステル化反応には(i)カルボン酸とアルコールの脱水反応、(ii)酸無水物とアルコールの付加脱水反応、(iii)カルボン酸のアルキル(メチル等)エステルとジオールとの脱モノアルコール反応を利用するものが挙げられる。これらはすべてエステル化反応に含めることができる。エステル化反応としては、(A)、(B)、(C)を一括でエステル化する一段階合成法と、あらかじめ(A)、(B)を反応させて末端水酸基又は末端カルボキシル基のポリエステルを得た後、さらに(C)と反応させる二段階合成法とがある。
【0010】一段階合成法において、エステル化時の反応温度は、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜120℃である。反応時間は、好ましくは8〜16時間、さらに好ましくは10〜14時間である。反応は減圧下でも常圧下で行ってもよいが、好ましくは減圧下である。減圧度は反応の最終段階では通常30mmHg以下、好ましくは10mmHg以下である。二段階合成法において、(A)と(B)とのエステル化時の反応温度は、好ましくは50〜300℃、さらに好ましくは、70〜250℃である。反応時間は、好ましくは8〜16時間、さらに好ましくは10〜14時間である。(A)、(B)を反応させて得られたポリエステルと(C)とのエステル化時の反応温度は、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜120℃である。反応時間は、好ましくは8〜16時間、さらに好ましくは10〜14時間である。反応は一段階目も二段階目も、減圧下でも常圧下で行ってもよい。減圧度は前記したものと同様でよい。上記(i)〜(iii)の反応において反応温度、反応時間は同じでよい。一段階合成法、二段階合成法いずれの場合でも、エステル化反応の進行状況は、反応系から留出する水の量で判断することができ、所定量の水が生成した時点が反応の終点となる。また、同時に酸価(AV)でチエックが出来る。AVはカルボン酸の量が把握出来る。
【0011】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートの数平均分子量は、400〜2,000であり、好ましくは、500〜1,800である。更に好ましくは、600〜1,600である。数平均分子量が400以上であれば、硬化後の被覆物の耐汚染性が良好となり、2,000以下であれば、コーティング剤にした場合、適当な粘度となり安定して塗工することができる。ポリエステル(メタ)アクリレートのAVは好ましくは30以下であり、特に好ましくは15以下である。AVが30以下であると硬化後の被覆物の耐汚染性が良好となる。 数平均分子量はゲルパーメーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定できる。本発明のポリエステル(メタ)アクリレートは、建材化粧紙用電子線硬化型コーティング剤として使用できる。また、本発明のポリエステル(メタ)アクリレートは、必要に応じて、後記する材料を配合し、均一に混合して組成物とし(以下、組成物という。)、建材化粧紙用電子線硬化型コーティング剤として使用することができる。
【0012】組成物には、本発明のポリエステル(メタ)アクリレート以外の電子線反応性樹脂を配合してもよく、特に制限はない。本発明のポリエステル(メタ)アクリレート以外に電子線反応性を有するものとして、例えば(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルオリゴマー等が挙げられる。アクリルモノマーとしては具体的には下記のものが挙げられる。
(1) モノ(メタ)アクリレート;
■炭素数4〜50のアルキル(メタ)アクリレートラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等;
■炭素数1〜30のアルキルアルコールのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物の(メタ)アクリレートラウリルアルコールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのPO2モル付加物の(メタ)アクリレート等;
■炭素数6〜30のフェノールまたはアルキルフェノールのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物の(メタ)アクリレートノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのEO3モル付加物の(メタ)アクリレート等;
■炭素数6〜30の脂環式1価アルコールのメタアクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等;
【0013】(2)ジ(メタ)アクリレート;
■ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量3,000以下)のジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコール(数平均分子量400)のジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量700)のジ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコール(数平均分子量2,000)のジ(メタ)アクリレート等;
■ビスフェノールAアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(2〜30モル)付加物のジ(メタ)アクリレートビスフェノールAEO2モル付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAPO4モル付加物のジ(メタ)アクリレート等;
■炭素数2〜30のアルキルジオールのジ(メタ)アクリレートエチレングリコールネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等;
■炭素数6〜30の脂環式2価アルコールのジ(メタ)アクリレートジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等;
【0014】(3)炭素数3〜40の多価(3〜6価またはそれ以上)アルコールのポリ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等;これらのうちで好ましいものは、ジ(メタ)アクリレート、炭素数3〜40の多価(3〜6価)アルコールのポリ(メタ)アクリレートである。
【0015】アクリルオリゴマーとしては、具体的には下記のものが挙げられる。
(1)ウレタン(メタ)アクリレート;2価〜6価のポリオール(例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール等)とポリイソシアネート[例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等]と水酸基含有エチレン性不飽和化合物[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]の反応物である数平均分子量30,000以下のウレタン(メタ)アクリレート;
(2)ポリエステル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有さない多価カルボン酸及びその酸無水物[例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)、マレイン酸(無水物)、アジピン酸、セバシン酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸(無水物)等]と、2価〜6価の多価アルコール[例えば、前記(1)に記載されたポリオール等]と(メタ)アクリル酸又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等から、エステル化により得られる、複数のエステル結合と複数の(メタ)アクリロイル基をもつ数平均分子量20,000以下のポリエステル(メタ)アクリレート等;
【0016】(3)エポキシ(メタ)アクリレート(数平均分子量:20,000以下);ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリイソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等)変成ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型PO付加物の末端グリシジルエーテル等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等;
(4)主鎖及び側鎖にエチレン性不飽和基を有するブタジエン重合体(例えばポリブタジエン等);(数平均分子量;30,000以下)
(5)ジメチルポリシロキサンの主鎖及び側鎖にエチレン性不飽和基を有するシロキサン重合体[例えばジメチルシロキサンジ(メタ)アクリレート等];(数平均分子量;50,000以下)
これらのうちで好ましいものは、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートである。特に好ましいものは、ポリエステル(メタ)アクリレートである。これらのモノマー、オリゴマーのうち1種または2種以上が使用できる。
【0017】組成物中に占める本発明のポリエステル(メタ)アクリレートの割合は、20〜100重量%であり、好ましくは25〜100重量%、さらに好ましくは30〜100重量%である。20重量%以上であれば、被覆物の耐汚染性、カール性、耐折強さの性能が良好である。また、組成物中の、本発明のポリエステル(メタ)アクリレート以外のモノマー及びオリゴマーの配合量は、0〜80重量%であり、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
【0018】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートには、必要により、無機微粒子(無機顔料を含む)、有機顔料等を配合することができる。通常、配合量は組成物全体の重量に対して75重量%以下、好ましくは65重量%以下であり、更に好ましくは、45重量%以下である。
【0019】無機微粒子としては、例えばカーボンブラック類(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ類(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻土、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩類(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩類〔沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、白亜、寒水クレー、胡粉、チョーク、炭酸マグネシウム等〕、クレー類(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、アルミナ類(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト等)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、硫酸アルミニウム類(硫酸バンド、硫酸アルミナ、サチンホワイト等)、硫酸バリウム類(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、石膏(無水、半水等)、鉛白、雲母粉、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、ゼオライト、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、アスベスト、ガラスファイバー、ロックファイバー、マイクロバルーン等が挙げられる。これらの内好ましいものは、シリカ類、アルミナ類、酸化鉄、酸化チタン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムであり、特に好ましいものはシリカ、酸化チタン、炭酸カルシウムである。これらは、2種以上併用してよく、また2種以上が複合化されたものでもよい。無機微粒子の形状は、特に限定されず、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状、造粒状、球状等が挙げられ、好ましい形状は中空状および多孔質状である。これらは、顔料としての役目も有する。これらの粒子径は通常40μm以下であり、好ましくは25μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。
【0020】有機顔料としては、下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストエローG等の不溶性モノアゾ顔料、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等の不溶性ジスアゾ顔料、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等のアゾレーキ(溶性アゾ顔料)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料;
(2)多環式顔料フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の多環式顔料(3)染つけレーキビクトリアピュアブルーBOレーキ等の塩基性染料、アルカリブルートーナー等の酸性染料(4)その他アニリンブラック等のアジン系顔料、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等
【0021】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートには、さらに、必要により、分散剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の塗料、インキに添加される添加剤を任意に配合することができる。通常、配合量は合計で組成物全体の重量に対して20重量%以下、好ましくは6重量%以下である。
【0022】分散剤としては、高分子(数平均分子量2,000〜500,000)有機系分散剤、低分子(数平均分子量2,000未満)有機系分散剤、無機系分散剤等が挙げられる。高分子(数平均分子量2,000〜500,000)有機系分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール等が挙げられる。低分子(数平均分子量2,000未満)有機系分散剤としては、(1)ポリアルキレングリコール型炭素数4〜30の脂肪族アルコールのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物、炭素数4〜30のアルキルフェノールのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物、炭素数4〜30の脂肪族アミンのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物、炭素数4〜30の脂肪族アミドのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物等;
【0023】(2)多価アルコール型炭素数4〜30の脂肪酸とグリセリンのモノエステル化合物、炭素数4〜30の脂肪酸とペンタエリスリトールのモノエステル化合物、炭素数4〜30の脂肪酸とソルビットのモノエステル化合物、炭素数4〜30の脂肪酸とソルビタンルのモノエステル化合物等;
(3)カルボン酸塩型炭素数4〜30の脂肪酸のアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)等;
(4)硫酸エステル型炭素数4〜30の脂肪族アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、炭素数4〜30の脂肪族アルコール硫酸エステルアンモニウム塩、炭素数4〜30の脂肪族アルコールのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(1〜30モル)付加物の硫酸エステルのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)等;
【0024】(5)スルホン酸塩型炭素数4〜30のアルキルフェノールのスルホン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、炭素数4〜30のアルキルフェノールのスルホン酸カルシウム塩等;
(6)リン酸エステル型炭素数4〜30の脂肪族アルコールリン酸モノエステルののアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、炭素数4〜30の脂肪族アルコールリン酸ジエステルののアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、炭素数4〜30の脂肪族アルコールリン酸モノエステルの4級アンモニウム塩等;
(7)第1〜3級アミン塩型炭素数4〜30の脂肪族(第1級〜第3級)アミン塩酸塩、トリエタノールアミンと炭素数4〜30の脂肪酸のモノエステルの塩酸塩等;
(8)第4級アンモニウム塩型炭素数4〜30の4級アンモニウムの塩酸塩等;が挙げられる。無機系分散剤としては、ポリリン酸塩、リン酸等のリン酸系が挙げられる。
【0025】消泡剤としては、メタノール、ブタノール等の低級アルコール系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等の高級アルコール系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸系消泡剤;グリセリンモノラウリレート等の脂肪酸エステル系消泡剤;トリブチルフォスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石けん系消泡剤;その他鉱物油系消泡剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系消泡剤、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等のシリコーン系消泡剤等が挙げられる。レベリング剤としては、ノニルフェノールEO付加物、ステアリン酸EO付加物等のポリエチレングリコール型非イオン系界面活性剤;ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルEO付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素系界面活性剤;アルキル変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0026】シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノフロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系シランカップリング剤;ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニル系シランカップリング剤;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のメタクリレート系シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、等のエポキシ系シランカップリング剤;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤;ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等のポリマー型シランカップリング剤;N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオン型シランカップリング剤等が挙げられる。
【0027】チクソトロピー性付与剤(増粘剤)としては、ベントナイト、有機処理ベントナイト、極微細表面処理炭酸カルシウム等の無機系チクソトロピー性付与剤(増粘剤);水添ヒマシ油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム、重合アマニ油等の有機系チクソトロピー性付与剤(増粘剤)等が挙げられる。スリップ剤としては、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル類;エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド類;ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム等の金属石けん類;パラフィンワックス等の高分子量炭化水素類;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス類;ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等のシリコーン類等が挙げられる。
【0028】酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドトキシフェニルプロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等のアミン系酸化防止剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−エトキシ−2'−エチルオキサリック酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0029】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートに上記の材料を配合し組成物とする混合方法としては、特に制限はないが、好ましくは、本発明のポリエステル(メタ)アクリレート、必要に応じてその他上記に示した液状の配合物を含む液状物に、必要に応じて、上記に示した粉状の配合物を混合する方法である。混合する際の温度は、通常0〜60℃であり、好ましくは、5〜40℃であり、特に好ましくは、15〜30℃である。混合時生じる泡を取り除くため、減圧下(40mmHg以下)で混合を行うのが望ましい。混合する装置としては、釜内減圧可能な万能混合機、プラネタリーミキサーである。
【0030】組成物を基材に塗工する際には、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶剤で希釈して用いることができる。塗料中の固形分含量は、塗工適性の点から好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、塗料の粘度(25℃下)は、通常200〜5,000mPa・s、好ましくは400〜3,000mPa・sである。粘度が、この範囲内にあるときは、しみこみムラや、塗料のレベリング性悪化等の問題なく、安定して塗工することができる。
【0031】該溶剤としては、ポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物(無機微粒子を除く)を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート等のエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、;水;およびこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。これらの溶剤のうち好ましいものは沸点が約70〜100℃のエステル系溶剤およびアルコール系溶剤であり、特に好ましいものは、酢酸エチル、イソブロピルアルコールおよびこれらの混合物である。
【0032】ポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物を塗工する場合、ロールコーター(サイズプレス、ゲートロールコーター等)、バーコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター等の塗工機を使用できる。塗工量は、通常2〜20g/m2、好ましくは、5〜12g/m2である。乾燥は、熱風乾燥等によって行われる。乾燥温度は、ドライヤーの種類によって種々変化するが、ドライヤー内部の温度は、通常50〜200℃、好ましくは、100〜150℃である。
【0033】本発明のポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物は、建材化粧紙に塗工し、電子線により硬化させて、基材を保護するコーティング層を形成する。建材化粧紙とは、主として、住宅内装材(壁材、テーブル・机・本箱・システムキッチン等の家具類)に使用され、木目等の柄を印刷した紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シートや、これらに印刷を施したものをはじめとする紙を主体とした基材のことを示す。適用される基材としては、建材化粧用途のものであれば特に限定はないが、紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シート、または、これらに印刷を施したもの等の紙を主体とした基材が挙げられるが、具体的に、例えば、薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙、石膏ボード用原紙などの紙類;これら紙類と塩ビシート、ポリエステルフィルムなどのプラスチック製フィルム類とのの複合シート及びこれらに印刷を施したもの等が挙げられる。
【0034】塗工された本発明のポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物に電子線を照射することにより硬化させる場合、公知の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量は好ましくは1〜3.5Mradである。照射量が1Mrad以上であると硬化は十分となり、3.5Mrad以下であると硬化したコーティング膜あるいは基材(紙を主体としたもの等)が損傷を受けない。
【0035】ポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物を使用したコーティング剤を塗布した後、電子線を照射して得られた被覆物の性能評価は下記の試験法にて行う。
(1)被覆物の耐汚染性(i)30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙にポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物をバーコーターで7g/m2で塗工し、電子線を3Mrad照射し、塗膜を硬化し被覆物を作成する。
(ii)JIS K−6902に従って、耐汚染性試験を行う。汚染試験物は10品目(靴墨・キッチンハイター・青インク・赤インク・食紅・マスタード・サラダ油・ポビドンヨード・カレー粉)とする。
(iii)評価は、シミが残らない場合は○、わずかにシミが残る場合は△、はっきりシミが残る場合×とする。
【0036】(2)被覆物のカール性(硬化収縮の度合い)
(i)30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙にポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物をバーコーターで7g/m2で塗工し、活性エネルギー線を照射し塗膜を硬化させる。
(ii)(i)の化粧紙を100mm×150mmに切り取り、24時間放置後、カールした化粧紙のカール径を測定する。
(iii)カール径とは、活性エネルギー線を照射して被覆物を形成した時、硬化収縮によってそり(カール)がおこり、化粧紙が円筒状になるときの円の直径のことを示す。カール径が大きいほど硬化収縮が少ない。
【0037】(3)被覆物でコーティングされた建材化粧紙の加工性(i)30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙にポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物をバーコーターで7g/m2で塗工し、電子線を照射し、塗膜を硬化し被覆物を作成する。
(ii)JIS P−8115に従って、耐折強さ試験を行う。耐折回数が大きいほど、加工性が良好であるものとする。
【0038】本発明のポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物で被覆された、紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シート、または、これらに印刷を施したもの等の紙を主体とした基材の表面は、耐汚染性にすぐれ、硬化後の基材のカール径が大きく、コーティングした建材化粧紙の加工性も良好な性能を示す。かかる効果を有することから、ポリエステル(メタ)アクリレート又はその組成物は、特に紙を主体とした基材の印刷面を保護するコーティング剤として、きわめて有用である。これらの用途としては、建材用途としては上記のものが使用出来るところであれば特に限定はなく、特に住宅内装材(壁材、テーブル・机・本箱・システムキッチン等の家具類)、車輌内装材が適しているが、外装材(住宅壁材、車輌壁材等)にも使用出来る。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に記載のない限り、実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
【0040】実施例1攪拌機、温度計、空気吹き込み管、検水管、凝縮器を取り付けた反応容器に、テトラヒドロ無水フタル酸152.0部(1.00mol)、トリメチロールプロパン268.0部(2.00mol)、アクリル酸311.1部(4.32mol)、パラトルエンスルホン酸10.0部、ハイドロキノン2.0部、トルエン300.0部を仕込み加熱した。生成水は、溶剤と共に留出し、凝縮させ、検水管で、水のみを系外に取り除き、溶剤は反応容器に戻し、留出水が合計90.0部生成した時点で、冷却し反応を止めた。反応温度は105℃〜125℃であった。反応生成物を更にトルエン700.0部で希釈し20%NaOH溶液で中和した後、水洗し、トルエンを減圧除去し、析出した無機塩を濾別して、液状ポリエステルアクリレートを得た。これを、ポリエステル(メタ)アクリレートAとする。
【0041】実施例2実施例1と同様の容器に、無水ハイミック酸164.0部(1.00mol)、トリメチロールプロパンEO3モル付加物536.0部(2.00mol)、アクリル酸311.1部(4.32mol)、パラトルエンスルホン酸10.0部、ハイドロキノン2.0部、トルエン400.0部を仕込み加熱した。留出水が合計90.0部生成した時点で、冷却し反応を止めた。反応温度は105℃〜125℃であった。反応生成物を更にトルエン900.0部で希釈し20%NaOH溶液で中和した後、水洗し、トルエンを減圧除去し、析出した無機塩を濾別して、液状ポリエステルアクリレートを得た。これを、ポリエステル(メタ)アクリレートBとする。
【0042】実施例3実施例1と同様の容器に、ヘキサヒドロ無水フタル酸154.0部(1.00mol)、トリメチロールプロパンPO3モル付加物465.0部(1.50mol)、アクリル酸194.4部(2.70mol)、パラトルエンスルホン酸10.0部、ハイドロキノン2.0部、トルエン450.0部を仕込み加熱した。留出水が合計63.0部生成した時点で、冷却し反応を止めた。反応温度は105℃〜125℃であった。反応生成物を更にトルエン450.0部で希釈し20%NaOH溶液で中和した後、水洗し、トルエンを減圧除去し、析出した無機塩を濾別して、液状ポリエステルアクリレートを得た。これを、ポリエステル(メタ)アクリレートCとする。
【0043】実施例4実施例1と同様の容器に、ヘキサヒドロ無水フタル酸154.0部(1.00mol)、トリメチロールプロパンPO3モル付加物310.0部(1.00mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール144.0部(1.00mol)、アクリル酸311.1部(4.32mol)、パラトルエンスルホン酸10.0部、ハイドロキノン2.0部、トルエン400.0部を仕込み加熱した。留出水が合計72.0部生成した時点で、冷却し反応を止めた。反応温度は105℃〜125℃であった。反応生成物を更にトルエン600.0部で希釈し20%NaOH溶液で中和した後、水洗し、トルエンを減圧除去し、析出した無機塩を濾別して、液状ポリエステルアクリレートを得た。これを、ポリエステル(メタ)アクリレートDとする。
【0044】実施例5実施例1と同様の容器に、無水ハイミック酸164.0部(1.00mol)、トリシクロデカンジメタノール388.0部(2.00mol)、アクリル酸155.5部(2.16mol)、パラトルエンスルホン酸10.0部、ハイドロキノン2.0部、トルエン300.0部を仕込み加熱した。留出水が合計54.0部生成した時点で、冷却し反応を止めた。反応温度は105℃〜125℃であった。反応生成物を更にトルエン500.0部で希釈し20%NaOH溶液で中和した後、水洗し、トルエンを減圧除去し、析出した無機塩を濾別して、液状ポリエステルアクリレートを得た。これを、ポリエステル(メタ)アクリレートEとする。
【0045】
試験例1 ポリエステル(メタ)アクリレートA 60.0部 ライトアクリレートPE−4A[共栄社化学社製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート] 20.0部 ネオマーTA−401[三洋化成工業社製、トリメチロールプロパンEO3モル付加物トリアクリレート] 40.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、組成物を得た。さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(I)を得た。
【0046】
試験例2 ポリエステル(メタ)アクリレートB 50.0部 ウレタンアクリレート (トリメチロールプロパン:IPDI:HEA=1:3:3)
30.0部 (ここで、IPDI=イソホロンジイソシアネート、HEA=ヒドロキシエチルアクリレート)
ネオマーNA−305[三洋化成工業社製、ネオペンチルグリコールPO2モル付加物ジアクリレート] 20.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、組成物を得た。さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、酢酸エチル30部を加え室温で5分間均一に混合した。これを、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、ドライヤー(内部温度130℃)で30秒間乾燥し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(II)を得た。
【0047】
試験例3 ポリエステル(メタ)アクリレートC 50.0部 ネオマーDA−600[三洋化成工業社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート] 30.0部 ネオマーPA−305[三洋化成工業社製、トリプロピレングリコールジアクリレート] 20.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、組成物を得た。さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、酢酸エチル30部を加え室温で5分間均一に混合した。これを、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり5gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、ドライヤー(内部温度130℃)で30秒間乾燥し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(III)を得た。
【0048】
試験例4 ポリエステル(メタ)アクリレートD 40.0部 ポリエステル(メタ)アクリレート(アジピン酸:ネオペンチルグリコール:アクリル酸=1:2:2) 30.0部 ネオマーEA−301[三洋化成工業社製、ペンタエリスリトールEO4モル付加物テトラアクリレート] 30.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、組成物を得た。さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(IV)を得た。
【0049】
試験例5 ポリエステル(メタ)アクリレートE 60.0部 ネオマーDTA−510[三洋化成工業社製、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート] 20.0部 NKエステルA−TMPT[新中村化学社製、トリメチロールプロパントリアクリレート] 20.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、組成物を得た。さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(V)を得た。
【0050】
比較試験例1 ポリエステル(メタ)アクリレート(トリメチロールプロパン:セバシン酸:アクリル酸=2:1:4)
50.0部 ネオマーTA−401[三洋化成工業社製、トリメチロールプロパンEO3モル付加物トリアクリレート]
50.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、酢酸エチル30部を加え室温で5分間均一に混合した。これを、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、ドライヤー(内部温度130℃)で30秒間乾燥し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(VI)を得た。
【0051】
比較試験例2 ネオマーBA−641[三洋化成工業社製、ビスフェノールAのEO4モル付加物ジアクリレート] 60.0部 ネオマーDA−600[三洋化成工業社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート]
40.0部これらを、グラスライニングの配合釜で常温常圧下配合し、さらに、これを常温常圧下、シリカ(平均粒径5.2μm)8.0部、チクソトロピー性付与剤1.0部を加え、プラネタリーミキサーで60分間均一に混合して減圧下脱泡したのち、酢酸エチル30部を加え室温で5分間均一に混合した。これを、30g/m2の薄葉紙に印刷を施した化粧紙に1m2当たり7gの塗工量となるようにバーコーターで均一に塗工し、ドライヤー(内部温度130℃)で30秒間乾燥し、電子線を3Mrad照射し、被覆物(VII)を得た。
<評価>試験例1〜5、比較試験例1、2で得られた被覆物(I)〜(VII)を用いて、塗膜の耐汚染性試験、カール径、耐折強さ試験を評価した結果を表1に示す。
【0052】
【表1】


【0053】
【発明の効果】本発明のポリエステル(メタ)アクリレートは、(1)1〜3.5Mradの電子線照射後、耐汚染性に優れた被覆膜を形成する。
(2)硬化収縮の小さいコーティング被覆物を形成する。
(3)被覆物でコーティングした建材化粧紙の加工性が良好である。
そのため、本発明のポリエステル(メタ)アクリレートを使用したコーティング組成物の被覆物、即ち被覆された紙等の表面は、汚染されにくく、加工性に富むという性質を持つ。かかる効果を有することから、本発明のポリエステル(メタ)アクリレートは、特に、印刷された紙等の印刷面を保護するコーティング用として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記成分が反応してなる建材化粧紙用電子線硬化型コーティング剤用ポリエステル(メタ)アクリレート。
(A)脂環式骨格を有する2〜4価の多価カルボン酸、その酸無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルからなる群から選ばれる1種以上(B)3〜6価の多価アルコール及び/又は脂環式骨格を有する2価アルコール(C)(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート及びポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(数平均分子量:66〜1000)モノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上
【請求項2】 (B)が、一級水酸基のみをもつ3価の多価アルコール類であり、且つ、(C)が、(メタ)アクリル酸である請求項1記載のポリエステル(メタ)アクリレート。
【請求項3】 (A):(B):(C)のモル比が1:(0.2〜4):(2〜20)である請求項1又は2記載のポリステル(メタ)アクリレート。
【請求項4】 数平均分子量が、400〜2,000である請求項1〜3のいずれか記載のポリステル(メタ)アクリレート。

【公開番号】特開2002−20468(P2002−20468A)
【公開日】平成14年1月23日(2002.1.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−200646(P2000−200646)
【出願日】平成12年7月3日(2000.7.3)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】