説明

コーティング用油脂組成物

【課題】種実類及び/又はドライフルーツ類入りのベーカリー食品において、ベーカリー食品の食感がぱさつかず、表面がなめらかであり、種実類及び/又はドライフルーツ類が均一に分散しているベーカリー食品を提供すること。
【解決手段】油相の固体脂含量(SFC)が35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類又はドライフルーツ類をベーカリー生地に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種実類又はドライフルーツ類の表面をコーティングするコーティング用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナッツ類等の種実類や、レーズン等のドライフルーツ類を用いたパンや菓子等のベーカリー食品は、広く知られている。
種実類は、不飽和脂肪酸を多く含むため、ロースト等の加熱処理を行なった後、酸化が進行しやすく、そのため酸敗を起こし、臭気の発生や風味が劣化しやすいという問題があった。種実類やドライフルーツ類は、固形物であり、ベーカリー生地にこれらの固形物を添加してミキシングすると、グルテン構造の形成を阻害したり、既に形成されたグルテン構造を破壊したりするため、ベーカリー生地を焼成して得られたベーカリー食品は、ベーカリー食品の表面がざらついてしまうという問題があった。
また、種実類やドライフルーツ類を用いたベーカリー食品は、老化しやすく、ぱさついたり、硬くなってしまうという問題があった。
また、種実類やドライフルーツ類を用いたベーカリー食品は、種実類やドライフルーツ類が均一にベーカリー食品中に分散されず、偏りができてしまうという問題があった。
さらに、ドライフルーツ類は水分が少ないため、焼成時に生地表面部分に露出していると焼成時に焦げて硬くなってしまう。そのため、一般的には熱湯で湯戻ししたり、洋酒漬けにする等の前処理を行なうが、これらの前処理を行なうと、フルーツ中の香味成分が除去されてしまうため、これらを用いて得られるベーカリー食品は、風味が弱いものとなってしまうという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、乾燥フルーツにガム質、デンプン類及び蛋白質よりなる老化防止剤を付着させ、パン生地やケーキ生地に加える方法(特許文献1)、ドライフルーツをカルシウム・ペクチンゲルでコーティングしたものをパン、ケーキ又は蒸し菓子生地に練り込み加熱する方法(特許文献2)が提案されている。
しかし、特許文献1に記載の方法は、老化防止剤を水又は湯に溶解し、これに乾燥フルーツを浸漬するが、この浸漬時にフルーツからの香味成分が流れ出てしまい、そのため風味が弱いものとなってしまうという欠点があった。
また、特許文献2に記載の方法は、ドライフルーツをカルシウム液に浸漬し、さらにペクチン液に浸漬しているため作業性が悪いという欠点があった。
【0004】
一方、特許文献3には、レーズンを油脂、発酵乳パウダー及び糖類を含有する油性組成物で被覆する方法が提案されている。上記の油脂としてはココアバターやココアバター代用脂を使用することが記載されている。
しかし、特許文献3に記載の方法は、使用する油脂が軟らかいため、上記油性組成物で被覆したレーズンをベーカリー食品で用いても、老化防止効果が得られにくいという欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−160833号公報
【特許文献2】特開2006−34274号公報
【特許文献3】特開平8−126473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、種実類及び/又はドライフルーツ類入りのベーカリー食品において、ベーカリー食品の食感がぱさつかず、表面がなめらかであり、種実類及び/又はドライフルーツ類が均一に分散しているベーカリー食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の油脂で表面をコーティングした種実類又はドライフルーツ類をベーカリー生地に用いることにより、上記課題を解決できることを知見した。
すなわち、本発明は、油相の固体脂含量(SFC)が35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記コーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類を提供するものである。
また、本発明は、上記コーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたドライフルーツ類を提供するものである。
また、本発明は、上記種実類及び/又はドライフルーツ類を配合したベーカリー生地を提供するものである。
また、本発明は、上記ベーカリー生地を加熱したベーカリー食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を用いたベーカリー食品は、食感がぱさつかず、表面がなめらかであり、種実類及び/又はドライフルーツ類が均一に分散している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のコーティング用油脂組成物について詳細に説明する。
本発明のコーティング用油脂組成物は、油相の固体脂含量(以下SFCという)が35℃で10%以上、40℃で3%以上であることが必須である。
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の35℃のSFCが10%未満であると、コーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を用いたベーカリー食品が経日的にぱさついてしまうので好ましくない。
また、油相の40℃のSFCが3%未満であると、コーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を用いたベーカリー食品が経日的にぱさついてしまうので好ましくない。
【0010】
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の20℃におけるSFCは、好ましくは58%以上、さらに好ましくは58〜95%、より好ましくは65〜95%、最も好ましくは68〜90%である。
【0011】
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の25℃におけるSFCは、好ましくは55%以上、さらに好ましくは55〜90%、より好ましくは60〜85%、最も好ましくは60〜80%である。
【0012】
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の30℃におけるSFCは、好ましくは45%以上、さらに好ましくは45〜80%、より好ましくは50〜75%、最も好ましくは53〜70%である。
【0013】
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の35℃におけるSFCは、好ましくは10〜65%、さらに好ましくは20〜60%、より好ましくは30〜55%、最も好ましくは32〜50%である。
【0014】
本発明のコーティング用油脂組成物において、油相の40℃におけるSFCは、好ましくは3〜50%、さらに好ましくは3〜45%、より好ましくは5〜35%、最も好ましくは10〜30%である。
【0015】
上記のSFCは、次のようにして測定する。即ち、コーティング用油脂組成物の油相を60℃に30分保持して完全に融解した後、0℃に30分保持して固化させる。次いで、25℃に30分間保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持し固化させた後各測定温度に順次30分保持した後、SFCを測定する。
【0016】
本発明のコーティング用油脂組成物では、該油相のSFCを上記のような範囲とするために、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂に必要に応じてエステル交換、水素添加、異性化水添および分別の中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。さらに上記の各種動植物油脂や加工油脂と、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油脂も使用することができる。本発明のコーティング用油脂組成物ではエステル交換油脂を用いるのが好ましい。
【0017】
上記のエステル交換油脂としては、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂と、構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂とを混合して油脂配合物とし、これをランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂を1種又は2種以上用いることが好ましい。
【0018】
上記の構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂は、その構成脂肪酸中に、炭素数14以下の飽和脂肪酸を好ましくは30〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%含有する。
この構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂の具体例としては、パーム核油、ヤシ油、ババス油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上の油脂を用いることができる。本発明では、好ましくはパーム核油、ヤシ油を使用する。
【0019】
上記の構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂は、その構成脂肪酸中に、炭素数16以上の飽和脂肪酸を好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは30〜100質量%含有する。この構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂の具体例としては、パーム油、大豆油、ナタネ油、ラード、牛脂、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
本発明では、好ましくは、パーム硬化油、大豆硬化油、ナタネ硬化油、さらに好ましくは、パーム極度硬化油、大豆極度硬化油、ナタネ極度硬化油を使用する。
【0020】
上記油脂配合物は、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を好ましくは15〜55質量%、さらに好ましくは20〜55質量%、最も好ましくは、30〜50質量%含有する。
また、上記油脂配合物は、構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜65質量%、最も好ましくは30〜60質量%含有する。
【0021】
上記油脂配合物には、その構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸の含有量及び炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が上記の範囲であれば、その他の油脂を加えてもよい。その他の油脂としては、例えば、コーン油、米油、豚脂、カカオバター、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
【0022】
上記のランダムエステル交換油脂は、 上述した油脂配合物に対し、ランダムエステル交換を行なうことにより得られる。該ランダムエステル交換の方法は、常法のリパーゼ等の酵素による方法でも、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法でもよく、特に制限されるものではない。
【0023】
本発明のコーティング用油脂組成物では、このようにして得られたランダムエステル交換油脂を1種又は2種以上用いることができる。また本発明のコーティング用油脂組成物中における上記のランダムエステル交換油脂の含有量は好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、最も好ましくは80〜99.5質量%である。
【0024】
本発明のコーティング用油脂組成物では、上記のランダムエステル交換油脂を用いる場合において、融点50℃以上、好ましくは融点55℃以上の油脂を好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%含有させることが望ましい。
【0025】
上記の融点50℃以上の油脂としては、融点が50℃以上の油脂であればどのようなものも使用することができる。具体的には原料油脂に対し、ヨウ素価が好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは1未満となるまで水素添加し、実質的に構成成分である不飽和脂肪酸をほぼ完全に飽和することによって得られる極度硬化油脂を1種又は2種以上使用することができる。
【0026】
本発明では、上記極度硬化油脂を更に分別した硬部油、あるいは1種又は2種以上の極度硬化油脂をエステル交換した油脂を使用してもよく、また、極度硬化油脂と、飽和脂肪酸や、飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリド等とをエステル交換した油脂を使用してもよい。本発明では、これら全てを極度硬化油脂として扱う。
上記の極度硬化油脂としては、大豆、パーム油、菜種油及び魚油の極度硬化油脂、長鎖脂肪酸を多く含む油脂を原料油脂とした極度硬化油脂の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を使用することが好ましい。
【0027】
本発明のコーティング用油脂組成物では、上記のランダムエステル交換油脂を用いる場合、コーティング用油脂組成物の構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは15〜45質量%含有する。
また、本発明のコーティング用油脂組成物では、上記のランダムエステル交換油脂を用いる場合、コーティング用油脂組成物の構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%、最も好ましくは50〜80質量%含有する。
【0028】
本発明のコーティング用油脂組成物において、トランス酸の含有量は少ないほうが好ましい。具体的には、トランス酸の含有量は、好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。
【0029】
本発明のコーティング用油脂組成物は、油脂を必須成分とするが、必要により以下のような副原料を使用することが可能である。
上記の副原料としては、乳化剤、増粘安定剤、水、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー等の食品素材や食品添加物を使用しても良い。これらの副原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明のコーティング用油脂組成物中、合計で15質量%以下となる範囲で使用する。
【0030】
上記の乳化剤として、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
本発明では、好ましくは構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、さらに好ましくは炭素数18〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステルを使用する。
上記の乳化剤の含有量は、特に制限はないが、本発明のコーティング用油脂組成物中、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。なお、本発明のコーティング用油脂組成物において、上記乳化剤が必要でなければ、乳化剤を用いなくてもよい。
【0031】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明のコーティング用油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。なお、本発明のコーティング用油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
【0032】
本発明のコーティング用油脂組成物は、糖類を含有しないことが好ましい。糖類を含有するコーティング用油脂組成物を用いて表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類をベーカリー生地に用いると、ベーカリー生地を加熱する際に種実類及び/又はドライフルーツ類が焦げやすくなる。
【0033】
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。
【0034】
さらに、本発明のコーティング用油脂組成物では、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン等の中から選ばれた1種又は2種以上の甘味料を含有しないことが好ましい。
【0035】
また、本発明のコーティング用油脂組成物は、水相を含まないことが好ましい。水相を含むコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を用いたベーカリー食品は経日的にぱさつきやすい。
【0036】
次に、本発明のコーティング用油脂組成物の好ましい製造方法について説明する。
まず配合する油脂を混合し、これに必要によりその他の成分を添加する。そしてこれを必要により加熱融解(60〜90℃)し、さらに冷却し、常温(15〜25℃)で固形状の本発明のコーティング用油脂組成物を得る。
【0037】
次に、本発明の種実類及びドライフルーツ類について説明する。
本発明の種実類及びドライフルーツ類は、本発明のコーティング用油脂組成物でその表面をコーティングしたものである。
【0038】
上記の種実類としては、例えば、アーモンド、カシューナッツ、くるみ、ピーナッツ、ピスタチオ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカンナッツ、麻の実、えごま、けしの実、ココナッツ、ごま、松の実、かぼちゃの種、しいの実、ひまわりの実、くり、銀杏、はすの実等を挙げることができる。
上記の種実類は原料種実類を生のまま、又は原料種実類を加熱して用いることができる。
上記の加熱方法としては、火熱で煎るドライロースト法等が挙げられる。
【0039】
上記のドライフルーツ類としては、ドライフルーツ類として食用に用いられるものであればどのようなものでもよく、例えば、キウイフルーツ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、イチジク、オレンジ、レモン、りんご、アプリコット、チェリー、ブドウ、ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、プラム、ピーチ、バナナ、柿、イチゴ、メロン、ゆず、梅等のフルーツを乾燥したものが挙げられる。
上記の乾燥方法としては、天日干し等の自然乾燥や、凍結乾燥、加圧乾燥、真空乾燥、オーブン乾燥等の人工乾燥が挙げられる。
【0040】
上記の種実類やドライフルーツ類は、そのものを本発明のコーティング用油脂組成物で、コーティングしてもよいが、種実類やドライフルーツ類のサイズが大きい場合は、立方体状、直方体状、角柱状、円柱状、半円柱状、球状、薄片状等の小片状に刻んだものにコーティングしてもよい。
【0041】
上記の種実類やドライフルーツ類を小片状に刻む場合の1片の重量は、好ましくは0.1g〜10g、さらに好ましくは0.2g〜5g、最も好ましくは0.5g〜3gである。
また、その1片の体積は、好ましくは1〜10000mm3、さらに好ましくは10〜5000mm3、最も好ましくは10〜3000mm3である。
【0042】
上記の種実類やドライフルーツ類は、その表面を本発明のコーティング用油脂組成物でコーティングする。そのコーティング方法としては、好ましくは50〜70℃に融解したコーティング用油脂組成物に種実類やドライフルーツ類を浸漬する方法や、好ましくは50〜70℃に融解したコーティング用油脂組成物を種実類やドライフルーツ類にスプレーする方法等を挙げることができる。
本発明のコーティング用油脂組成物を種実類やドライフルーツ類の表面にコーティングする割合は、種実類及び/又はドライフルーツ類100質量部に対し、コーティング用油脂組成物を好ましくは5〜70質量部、さらに好ましくは10〜50質量部、最も好ましくは15〜30質量部である。
【0043】
次に、本発明のベーカリー生地及びベーカリー食品について説明する。
本発明のベーカリー生地は、本発明のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を、ベーカリー生地に配合したものである。
【0044】
上記のベーカリー生地としては、食パン生地、菓子パン生地、フランスパン生地、デニッシュ・ペストリー生地、スイートロール生地、ドーナツ生地、蒸しパン生地、蒸しケーキ生地、シュー生地、ケーキ生地、クッキー生地、ハードビスケット生地、ワッフル生地、スコーン生地、クラッカー生地等を挙げることができる。これらの生地は、常法により製造することができる。
上記ベーカリー生地への、本発明のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類の配合量は、特に制限はないが、ベーカリー生地100質量部に対して、本発明のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは5〜40質量部、最も好ましくは5〜30質量部である。
【0045】
本発明のベーカリー食品は、本発明のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類及び/又はドライフルーツ類を配合したベーカリー生地を加熱することにより得られる。
上記加熱の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、オーブンで焼成する、フライヤーでフライする、蒸し器で蒸す等の方法が挙げられる。
また、上記加熱の条件としては、ベーカリー食品の種類によって異なるが、例えば、オーブンを使用する場合の加熱条件は、好ましくは150〜250℃で5〜90分、さらに好ましくは160〜220℃で8〜60分である。また、フライする場合の加熱条件は、好ましくは100〜220℃で1〜10分、さらに好ましくは150〜200℃で3〜8分である。また、蒸す場合の加熱条件は、好ましくは60〜120℃で5〜40分、さらに好ましくは70〜100℃で8〜30分である。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等により何ら制限されるものではない。
【0047】
〔エステル交換油脂Aの製造〕
ヨウ素価18で、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を65質量%含有するパーム核油60質量部と、ヨウ素価0で、構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を45質量%含有するパーム油の極度硬化油40質量部とを70℃にて混合融解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂Aを得た。
なお、上記の油脂配合物は、構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸を43質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を57質量%含有するものであった。
【0048】
〔エステル交換油脂Bの製造〕
ヨウ素価18で、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を65質量%含有するパーム核油75質量部と、ヨウ素価0で、構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を45質量%含有するナタネ極度硬化油25質量部とを70℃にて混合融解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Bを得た。
なお、上記の油脂配合物は、構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸を44質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を56質量%含有するものであった。
【0049】
〔エステル交換油脂Cの製造〕
ヨウ素価18で、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を65質量%含有するパーム核油50質量部と、ヨウ素価0で、構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を45質量%含有するナタネ極度硬化油50質量部を70℃にて混合融解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Cを得た。
なお、上記の油脂配合物は、構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸を41質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を59質量%含有するものであった。
【0050】
(実施例1)
エステル交換油脂A99質量%、パーム極度硬化油1質量%を70℃にて混合融解し、これを冷却し、コーティング用油脂組成物1を得た。
得られたコーティング用油脂組成物1は、油相のSFCが20℃で72%、25℃で64%、30℃で55%、35℃で37%、40℃で14%であり、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を43質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を57質量%含有し、トランス酸を0.1質量%含有するものであった。
【0051】
(実施例2)
エステル交換油脂B30質量%、エステル交換油脂C69質量%、パーム極度硬化油1質量%を70℃にて混合融解し、これを冷却し、コーティング用油脂組成物2を得た。
得られたコーティング用油脂組成物2は、油相のSFCが20℃で73%、25℃で66%、30℃で56%、35℃で38%、40℃で13%であり、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を41質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を58質量%含有し、トランス酸を0.2質量%含有するものであった。
【0052】
(比較例1)
カカオバターのみからなるコーティング用油脂組成物3を得た。
得られたコーティング用油脂組成物3は、油相のSFCが20℃で85%、25℃で79%、30℃54%、35℃で0.8%、40℃で0%であった。
【0053】
(比較例2)
カカオバター20質量%、砂糖44.57質量%、全脂粉乳15質量%、カカオマス20質量%、レシチン0.4質量%、バニリン0.03質量%を用いてチョコレートであるコーティング用油脂組成物4を得た。
得られたコーティング用油脂組成物4は、油相のSFCが20℃で85%、25℃で79%、30℃54%、35℃で0.8%、40℃で0%であった。
【0054】
<フランスパンの配合と製法>
(中種配合)
フランス粉 70質量部
イースト 3質量部
イーストフード 0.1質量部
上白糖 3質量部
水 40質量部
(製法<中種工程>)
ミキシング 低速3分中速2分
捏上温度 26℃
発酵条件 28℃、85%RH、2時間
(本捏配合)
フランス粉 30質量部
上白糖 10質量部
食塩 1.8質量部
ショートニング 10質量部
水 25質量部
コーティング用油脂組成物で
コーティング処理したローストくるみ 30質量部
(製法<本捏工程>)
ミキシング 低速3分、中速3分のミキシング後、ショートニングを投入し、さらに低速3分、中速3分のミキシング後、コーティング処理したローストくるみを投入し、さらに低速1分のミキシングを行なう。
捏上温度 28℃
フロアータイム 30分
分割 90g
ベンチタイム 30分
成形 ロール成形
ホイロ条件 28℃、85%RH、90分
焼成条件 200℃、15分
【0055】
(実施例3)
コーティング用油脂組成物1(16質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物1の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<フランスパンの配合と製法>にてフランスパンを製造した。
得られたフランスパンの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表1に示した。
【0056】
(実施例4)
コーティング用油脂組成物2(16質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物2の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<フランスパンの配合と製法>にてフランスパンを製造した。
得られたフランスパンの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表1に示した。
【0057】
(比較例3)
コーティング用油脂組成物3(16質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物3の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<フランスパンの配合と製法>にてフランスパンを製造した。
得られたフランスパンの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表1に示した。
【0058】
<デニッシュの配合と製法1>
(配合)
強力粉 100質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.1質量部
上白糖 20質量部
食塩 1.5質量部
マーガリン 8質量部
全卵 10質量部
水 50質量部
折込油脂 50質量部
コーティング用油脂組成物で
コーティング処理したローストくるみ 15質量部
(製造工程)
ミキシング 低速3分、中速3分
捏上温度 26℃
フロアー 25℃、30分
リタード 10〜12時間
折込工程 ベーカリー生地で折込油脂を包み、3つ折りを2回行い、ベーカリー生地の上にコーティング処理したローストくるみを均一にばらまき、3つ折を1回行い、最終圧延を15mmとする。
成形 縦250mm、横25mm、厚さ15mmの棒状生地を3本用意し、三つ編をし、ワンローフ型に入れる。
ホイロ条件 33℃、75%RH、180分
焼成条件 180℃、40分
【0059】
(実施例5)
コーティング用油脂組成物1(20質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物1の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<デニッシュの配合と製法1>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表2に示した。
【0060】
(実施例6)
コーティング用油脂組成物2(20質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物2の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<デニッシュの配合と製法1>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表2に示した。
【0061】
(比較例4)
コーティング用油脂組成物4(20質量部)を60℃に融解し、これにロースト処理したローストくるみを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したローストくるみを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物4の全量がローストくるみの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したローストくるみを用い、上記の<デニッシュの配合と製法1>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、ローストくるみの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表2に示した。
【0062】
<デニッシュの配合と製法2>
(配合)
強力粉 100質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.1質量部
上白糖 20質量部
食塩 1.5質量部
マーガリン 8質量部
全卵 10質量部
水 50質量部
折込油脂 50質量部
コーティング用油脂組成物で
コーティング処理したレーズン 25質量部
(製造工程)
ミキシング 低速3分、中速3分
捏上温度 26℃
フロアー 25℃、30分
リタード 10〜12時間
折込工程 ベーカリー生地で折込油脂を包み、3つ折りを2回行い、ベーカリー生地の上にコーティング処理したレーズンを均一にばらまき、3つ折を1回行い、最終圧延を15mmとする。
成形 縦250mm、横25mm、厚さ15mmの棒状生地を3本用意し、三つ編をし、ワンローフ型に入れる。
ホイロ条件 33℃、75%RH、180分
焼成条件 180℃、40分
【0063】
(実施例7)
コーティング用油脂組成物1(20質量部)を60℃に融解し、これにレーズンを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したレーズンを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物1の全量がレーズンの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したレーズンを用い、上記の<デニッシュの配合と製法2>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、レーズンの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表3に示した。
【0064】
(実施例8)
コーティング用油脂組成物2(20質量部)を60℃に融解し、これにレーズンを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したレーズンを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物2の全量がレーズンの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したレーズンを用い、上記の<デニッシュの配合と製法2>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、レーズンの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表3に示した。
【0065】
(比較例5)
コーティング用油脂組成物3(20質量部)を60℃に融解し、これにレーズンを100質量部加え、均一にコーティングされるよう攪拌してコーティング処理したレーズンを得た。なお、上記のコーティング用油脂組成物3の全量がレーズンの表面にコーティングされた。得られたコーティング処理したレーズンを用い、上記の<デニッシュの配合と製法2>にてデニッシュを製造した。
得られたデニッシュの表面状態、レーズンの分散状態、常温保存1日後の食感と常温保存3日後の食感を表3に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
油相のSFCが35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティング処理したローストくるみを用いてフランスパンを製造した実施例3と4は、フランスパンの表面状態がなめらかで、コーティング処理したローストくるみが均一に分散しており、常温保存1日後、3日後ともにぱさつき感がなかった。
一方、油相のSFCが35℃で0.8、40℃で0%であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティング処理したローストくるみを用いてフランスパンを製造した比較例3は、フランスパンの表面状態にざらつきがあり、コーティング処理したローストくるみの分散状態が不均一であり、常温保存1日後でややぱさつき感があり、常温保存3日後にはぱさつき感があった。
【0070】
油相のSFCが35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたローストくるみを用いてデニッシュを製造した実施例5と6は、デニッシュの表面状態がなめらかで、コーティング処理したローストくるみが均一に分散しており、常温保存1日後、3日後ともにぱさつき感がなかった。
一方、油相のSFCが35℃で0.8、40℃で0%であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたローストくるみを用いてデニッシュを製造した比較例4は、デニッシュの表面状態にざらつきがあり、コーティング処理したローストくるみの分散状態が不均一であり、常温保存1日後でややぱさつき感があり、常温保存3日後にはぱさつき感があった。
【0071】
油相のSFCが35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたレーズンを用いてデニッシュを製造した実施例7と8は、デニッシュの表面状態がなめらかで、コーティング処理したレーズンが均一に分散しており、常温保存1日後、3日後ともにぱさつき感がなかった。
一方、油相のSFCが35℃で0.8、40℃で0%であるコーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたレーズンを用いてデニッシュを製造した比較例5は、デニッシュの表面状態にざらつきがあり、コーティング処理したレーズンの分散状態が不均一であり、常温保存1日後でややぱさつき感があり、常温保存3日後にはぱさつき感があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相の固体脂含量(SFC)が35℃で10%以上、40℃で3%以上であるコーティング用油脂組成物。
【請求項2】
構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を15〜55質量%含有し且つ構成脂肪酸組成において炭素数16以上の飽和脂肪酸を20〜70質量%含有する油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂を含有する請求項1に記載のコーティング用油脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングした種実類。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のコーティング用油脂組成物で表面をコーティングしたドライフルーツ類。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の種実類及び/又はドライフルーツ類を配合したベーカリー生地。
【請求項6】
請求項5に記載のベーカリー生地を加熱したベーカリー食品。

【公開番号】特開2009−82002(P2009−82002A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251800(P2007−251800)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】