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コーティング用組成物とそれを用いた反射防止フィルム
説明

コーティング用組成物とそれを用いた反射防止フィルム

【課題】耐摩耗性、防汚性、および外観特性に優れた低屈折率のコーティング膜を得ることができるコーティング用組成物とそれを用いた反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される加水分解性アルコキシシランを含むマトリクス形成材料、および下記式(II)で表されるポリジメチルシロキサンからなる粘度10〜100mPa・sのシリコーンオイルを含有することを特徴とする。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低屈折率のコーティング膜を形成するためのコーティング用組成物とそれを用いた反射防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばディスプレイ等の画像表示パネルの反射防止を目的とした低屈折率の材料として、無機材料では、MgF2(屈折率1.38)、SiO2(屈折率1.47)等が用いられている。有機材料では、パーフルオロ樹脂(屈折率1.34〜1.40)等が用いられている。通常、MgF2は真空蒸着、スパッタ法等の気相法で、SiOはMgF2と同様の気相法や、ゾルゲル法による液相法で形成され、パーフルオロ樹脂は液相法で形成されている。
【0003】
また、低屈折率の優れた反射防止性能を得ることができるコーティング膜を形成可能な技術として、マトリクス形成材料にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性オルガノシランを用いたコーティング用組成物が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
特に、外殻に包囲された空洞を有する中空シリカ粒子をこのようなマトリクス形成材料中に分散させて得られるコーティング用組成物は、これを塗布、乾燥することにより多孔質のマトリクス中に中空シリカ粒子が分散した構造のコーティング膜を形成する。このコーティング用組成物は、特に屈折率が低く、かつ透明なコーティング膜を形成することができ、反射防止フィルム等において工業的に実用可能なコーティング用組成物として期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−201443号公報
【特許文献2】特開2009−31769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなマトリクス形成材料に加水分解性オルガノシランを用いたコーティング用組成物は、コーティング膜の耐摩耗性、防汚性、および外観特性においてさらに改善の余地があり、これらの全てをさらに向上させる技術が望まれていた。
【0007】
例えば、耐摩耗性や防汚性を改善するために、シリコーンオイルをコーティング用組成物に配合することが考えられる。ところが、単に従来の加水分解性オルガノシランのマトリクス形成材料に対して、一般に用いられているシリコーンオイルを組み合わせて配合しても、マトリクス形成材料とシリコーンオイルとの相溶性は低い。そのため、これに起因してコーティング膜の外観に欠陥を生じるという問題点があった。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性、防汚性、および外観特性に優れた低屈折率のコーティング膜を得ることができるコーティング用組成物とそれを用いた反射防止フィルムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のコーティング用組成物は、下記式(I):
【化1】

(式中、nは10〜100の整数を示す。)で表される加水分解性アルコキシシランを含むマトリクス形成材料、および下記式(II):
【化2】

(式中、nは5〜30の整数を示し、両末端のAはそれぞれ独立に水酸基または−R’COOR(Rは直鎖のアルキル基、R’は直鎖のアルキレン基を示す。)を示す。)で表されるポリジメチルシロキサンからなる粘度10〜100mPa・sのシリコーンオイルを含有することを特徴としている。
【0010】
このコーティング用組成物において、中空シリカ粒子を含有することが好ましい。
【0011】
本発明の反射防止フィルムは、上記のコーティング用組成物を屈折率1.58〜1.90のハードコート層に塗布して低屈折率層を形成したものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコーティング用組成物および反射防止フィルムによれば、耐摩耗性、防汚性、および外観特性に優れた低屈折率のコーティング膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のコーティング用組成物に配合されるマトリクス形成材料には、上記式(I)で表される加水分解性アルコキシシランが配合される。
【0015】
式(I)において、nは10〜100の整数、好ましくは20〜70の整数を示す。nがこのような範囲内であると、塗膜強度の低下を抑制し、かつ塗膜の割れの発生や粘度増大による塗工性の低下と外観欠点の発生を抑制することができる。
【0016】
そして本発明のコーティング用組成物には、上記式(II)で表されるポリジメチルシロキサンからなる粘度10〜100mPa・sのシリコーンオイルが配合される。なお、この粘度はJIS Z8803に準拠して25℃で測定した値である。
【0017】
式(II)で表されるポリジメチルシロキサンは、両末端が水酸基または高級脂肪酸エステルで封鎖された直鎖のシロキサン構造を有している。高級脂肪酸エステルは−R’COORで表わされ、Rは直鎖のアルキル基、R’は直鎖のアルキレン基を示す。Rは炭素数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。R’は炭素数が好ましくは8〜20、より好ましくは10〜18である。
【0018】
式(II)において、nは5〜30の整数、好ましくは6〜15の整数を示す。nがこのような範囲内であると、スリップ性が発現し、かつバインダー樹脂への溶解性を高めることができる。
【0019】
このシリコーンオイルの配合量は、塗膜成分であるマトリクス形成材料と中空シリカ粒子の全量に対して0.05〜0.2質量%が好ましい。シリコーンオイルの配合量をこのような範囲内にすると、耐摩耗性、防汚性、および外観特性を十分に向上させ、かつヘイズの増大やハジキ欠点の多発を抑制することができる。
【0020】
本発明のコーティング用組成物には、中空シリカ粒子を配合することができる。中空シリカ粒子は、外殻の内部に空洞が形成されたものである。
【0021】
本発明のコーティング用組成物に中空シリカ粒子を配合することで、コーティング膜の透明性を高め、かつ低屈折率で反射防止性能に優れたものとすることができる。
【0022】
中空シリカ微粒子としては、例えば、シリカ系無機酸化物からなる外殻(シェル)の内部に空洞を有するものを用いることができる。
【0023】
ここで、シリカ系無機酸化物とは、(A)シリカ単一層、(B)シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる複合酸化物の単一層、および(C)上記(A)層と(B)層との二重層を包含するものをいう。
【0024】
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。
【0025】
外殻は、内側の第1シリカ被覆層および外側の第2シリカ被覆層からなる複数のシリカ系被覆層であることが好ましい。外側に第2シリカ被覆層を設けることにより、外殻の微細孔を閉塞させて外殻を緻密化し、さらには、内部の空洞を密封した中空シリカ粒子を得ることができる。
【0026】
外殻の厚みは、1〜50nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。外殻の厚みをこのような範囲内にすると、中空シリカ粒子の所定の粒子形状を保持し、かつ、中空シリカ粒子中の空洞の割合の減少による屈折率の増加を抑制することができる。
【0027】
また、外殻の厚みは、中空シリカ粒子の平均粒子径の1/50〜1/5の範囲にあることが好ましい。上述のように第1シリカ被覆層および第2シリカ被覆層を外殻として設ける場合、これらの層の厚みの合計が、上記の1〜50nmの範囲となるようにすればよい。特に、緻密化された外殻の場合には、第2シリカ被覆層の厚みは20〜40nmの範囲が好ましい。
【0028】
なお、中空シリカ粒子の空洞には、中空シリカ粒子を調製するときに用いた溶媒および/または乾燥時に浸入する気体が存在してもよい。また、空洞を形成するための前駆体物質が空洞に残存していてもよい。この前駆体物質は、外殻に付着してわずかに残存していることもあるし、空洞内の大部分を占めることもある。
【0029】
ここで、前駆体物質とは、外殻により包囲された核粒子から、核粒子の構成成分の一部を除去した後に残存する多孔質物質である。核粒子には、例えば、シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる多孔質の複合酸化物粒子が用いられる。
【0030】
無機酸化物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce23、P25、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の組み合わせの無機酸化物としては、例えば、TiO2−Al23、TiO2−ZrO2等が挙げられる。
【0031】
なお、この多孔質物質の細孔内に上記の溶媒や気体が存在してもよい。このときの核粒子の構成成分の除去量が多くなると空洞の容積が増大し、屈折率の低い中空シリカ粒子が得られる。そして、この中空シリカ粒子を配合した本発明のコーティング用組成物によるコーティング膜は、透明かつ低屈折率で反射防止性能に優れている。
【0032】
中空シリカ粒子の平均粒子径は、5nm〜2μmが好ましい。なお、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。中空シリカ粒子の平均粒子径がこのような範囲内であると、中空により低屈折率にすることができ、かつ、透明性の低下や拡散反射(Anti-Glare)による寄与を抑制することができる。
【0033】
以上に説明したような中空シリカ粒子は、例えば、特開2001−233611号公報に記載された方法により製造することができる。また、本発明では一般に市販されているその他の中空シリカ粒子を用いることもできる。
【0034】
本発明のコーティング用組成物における中空シリカ粒子の配合量は、コーティング膜の低屈折率化や機械的強度等を考慮すると、中空シリカ粒子の質量のマトリクス形成材料に対する質量比(中空シリカ粒子の質量/マトリクス形成材料の質量)は、5/95〜60/40が好ましい。
【0035】
本発明のコーティング用組成物には、マトリクス形成材料を架橋する硬化触媒を配合することができる。
【0036】
硬化触媒を配合することで、コーティング用組成物を基材に塗布しコーティング膜を形成して乾燥する際に、縮合反応が促進されてコーティング膜中の架橋密度が高くなり、コーティング膜の耐水性および耐アルカリ性を向上させることができる。
【0037】
本発明のコーティング用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて、各種の成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、Zrキレート化合物、Tiキレート化合物等の金属キレート化合物、有機酸等の硬化触媒;水分散コロイダルシリカ、アルコール等の親水性の有機溶媒等に分散したコロイダルシリカ等の中空ではないシリカ粒子;シランカップリング剤;色素;光半導体微粒子;炭素系、フッ素系等の材料の多孔質フィラー;金属フッ化物のフィラー;ファイバー、ウイスカー等の導電性材料;レベリング剤;粘度調整剤等が挙げられる。
【0038】
本発明のコーティング用組成物は、基材に塗布してコーティング膜を形成することや、マトリクス形成材料の少なくとも部分的な加水分解が起こるのが好ましい場合があること等の点から、水または水と溶媒との混合物を配合するのが好ましい。
【0039】
このような溶媒としては、例えば、親水性有機溶媒を用いることができる。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、ジアセトンアルコール等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
さらに、これらの親水性有機溶媒とともに、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の有機溶媒を併用することができる。
【0041】
本発明のコーティング用組成物は、上記したマトリクス形成材料、シリコーンオイル、および必要に応じて上記したそれ以外の成分を配合して調製することができる。
【0042】
そして、このコーティング用組成物を基材の表面に塗布してコーティング膜を形成し、このコーティング膜を乾燥することにより低屈折率のコーティング膜を得ることができる。
【0043】
このようにしてコーティング膜を形成する場合、気相法や液相法よりも大面積の被膜を容易に得ることができ、被膜形成スピードを高めることができる。
【0044】
マトリクス形成材料は、コーティング用組成物に水を配合した場合、コーティング用組成物を調製する間、および/または、調製後に基材に塗布してコーティング膜を乾燥する間に、水の存在下で縮合してマトリクスを形成する。このようなマトリクス形成材料は、塗料の形態で基材に塗布してコーティング膜を形成した後、乾燥すると、多孔質のコーティング膜を形成する。なお、この乾燥は加熱しながら行うようにしてもよい。
【0045】
基材の表面に形成したコーティング膜を乾燥した後、これに熱処理を行うのが好ましい。この熱処理により、コーティング膜の機械的強度をさらに向上させることができる。熱処理は、例えば、酸化雰囲気下、80〜150℃で行うことができる。
【0046】
また、基材の表面に形成するコーティング膜の膜厚は、用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば0.01〜10.0μm、好ましくは0.01〜0.5μmである。
【0047】
本発明のコーティング用組成物によれば、低屈折率のコーティング膜を容易に形成することができる。コーティング膜の屈折率は、例えば1.10〜1.40とすることができる。
【0048】
本発明のコーティング用組成物を基材の表面に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディップコート)、ロールコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート、リバースコート、キャップコート、インクジェットコーターを用いてパターン状に塗布する方法等を用いることができる。
【0049】
本発明のコーティング用組成物によるコーティング膜を形成する基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス等の無機基材;金属基材;ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、トリアセチルセルロース、ポリイミド樹脂等の有機基材等を用いることができる。
【0050】
基材の形状としては、板状やフィルム状等を挙げることができる。そのような基材は単独の材料によるものであっても、異種材料が積層されているものであってもよい。
【0051】
なお、本発明のコーティング用組成物を基材の表面に塗布する際に、コーティング膜が均一に形成されるように、あるいはコーティング膜と基材との密着性が向上するように、基材の表面を前洗浄しておくのが好ましい。前洗浄の方法としては、例えば、アルカリ洗浄、フッ化アンモニウム洗浄、プラズマ洗浄(減圧プラズマおよび大気圧プラズマを含む)、UVオゾン洗浄、酸化セリウム洗浄、コロナ放電による洗浄等が挙げられる。
【0052】
本発明のコーティング用組成物により形成されるコーティング膜は、反射防止フィルムに好適である。例えば、基材の屈折率が1.50以下の場合には、この基材の表面に屈折率が1.50を超えるハードコート層を形成し、さらにこのハードコート層の表面に本発明のコーティング用組成物によるコーティング膜を低屈折率層として形成するのがよい。
【0053】
ハードコート層は、既に知られている各種の高屈折率材料を用いて形成することができる。ハードコート層の屈折率を1.50超、特に1.58〜1.90とすることで、本発明のコーティング用組成物によるコーティング膜との屈折率の差が大きくなり、反射防止性能に優れた反射防止フィルムを得ることができる。
【0054】
上記のハードコート層としては、例えば、紫外線硬化型ハードコート層、電子線硬化型ハードコート層、熱硬化型ハードコート層等が挙げられる。
【0055】
ハードコート層の材質は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を主体とする有機樹脂系のもの、シリコーン樹脂系のもの等が挙げられる。また、ハードコート層に帯電防止剤、色素等を添加することにより、電磁波シールド機能、帯電防止機能、赤外線遮蔽機能、色調補正機能を付与することもできる。
【0056】
本発明のコーティング用組成物を用いた反射防止フィルムは、例えば、ディスプレイ(その最表面、光学フィルター、保護フィルター等)、各種レンズ、自動車のミラーおよびガラス(サイドミラー、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスの内面等)、その他車両用ガラス、建材ガラス、スクリーン等に用いることができる。
【0057】
また、特殊反射防止用途として、半導体回路形成、カラーフィルターの形成、透明電極等のパターン形成に、一般にフォトリソグラフィーが用いられているが、より微細なパターン形成のために、紫外線レーザーが光源として用いられる。紫外線レーザーの反射光がパターンの微細化に悪影響を及ぼすため、反射防止フィルムが必要になる。本発明のコーティング用組成物により得られるコーティング膜はこのような用途にも適用できる。
【0058】
また、本発明のコーティング用組成物は、これをガラス等の透明基材に塗布して低屈折率のコーティング膜を形成し、この表面にITOに代表される透明電極層を形成することにより、光の取り出し効率に優れた液晶ディスプレイのLEDバックライト、有機EL(エレクトロルミネッセンス)バックライト、無機ELバックライト等の素子を製造することができる。
【0059】
また、本発明のコーティング用組成物は、これをガラス等の透明基材に塗布して低屈折率のコーティング膜を形成して、基材を透過する光の透過率あるいは反射率を向上させる用途に適用できる。そのような用途としては、例えば、タッチパネル用基板、バックライトユニット部品(例えば導光板、冷陰極管、反射シート等)、液晶輝度向上フィルム(例えばプリズム、半透過フィルム等)、太陽電池最表面部材、照明ランプ、反射レンズ、LCDカラーフィルター、各種反射板、増幅レーザー光源等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0061】
<実施例1>
[コーティング用組成物の調製]
マトリクス形成材料として、加水分解性アルコキシシラン(三菱化学株式会社製「MS56S」、上記式(I)で表される加水分解性アルコキシシラン、n=50)を用いた。
【0062】
シリコーンオイルとして、水酸基末端ポリジメチルシロキサン(株式会社モメンティブ製「A7813」、上記式(II)表されるポリジメチルシロキサン、分子両末端水酸基、粘度14.3mPa・s(JIS Z8803、at 25℃)を用いた。
【0063】
中空シリカ粒子として、日揮触媒化成株式会社製「CS60−IPA」、溶媒分散ゾル(固形分20%)を用いた。
【0064】
マトリクス形成材料59.5質量部、シリコーンオイル0.2質量部、および中空シリカ粒子40質量部を配合し、その後、全固形分が3.0質量%になるように溶媒のIPA(イソプロピルアルコール)で希釈することにより本発明のコーティング用組成物を調製した。
【0065】
[反射防止フィルムの作製]
ポリエステルフィルム(PETフィルム、東洋紡績株式会社製「A4300」、厚み100μm)の上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂(大日精化工業株式会社製「PET−HC301」、固形分60%)に高屈折率粒子として酸化チタン(テイカ株式会社製「760−T」、固形分48%)を30質量%分散させた組成物を塗布、硬化してハードコート層(屈折率1.7)を形成した。
【0066】
このハードコート層の表面に、上記において調製したコーティング用組成物をワイヤーバーコーターにより塗布して厚み100nmのコーティング膜を形成し、さらに80℃で1分間放置して乾燥した後、コーティング膜を120℃で5分間、酸素雰囲気下で熱処理した。このようにして反射防止フィルムを得た。
【0067】
<実施例2>
シリコーンオイルとして、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル(株式会社モメンティブ製「TSF410」、上記式(II)で表されるポリジメチルシロキサン)を0.1質量部用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0068】
<実施例3>
加水分解性アルコキシシランとして、上記式(I)で表される加水分解性アルコキシシラン(n=10)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0069】
<実施例4>
加水分解性アルコキシシランとして、上記式(I)で表される加水分解性アルコキシシラン(n=100)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0070】
<実施例5>
シリコーンオイルとして、水酸基末端ポリジメチルシロキサン(株式会社モメンティブ製「XC96−713」、上記式(II)で表されるポリジメチルシロキサン、分子両末端水酸基、粘度30mPa・s)を0.05質量部用いた。それ以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0071】
<実施例6>
シリコーンオイルとして、水酸基末端ポリジメチルシロキサン(株式会社モメンティブ製「YF3800」、上記式(II)表されるポリジメチルシロキサン、分子両末端 −OH基、粘度80mPa・s)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0072】
<実施例7>
中空シリカ粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0073】
<比較例1>
シリコーンオイルを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0074】
<比較例2>
シリコーンオイルとして、ポリエーテル変性シリコーンオイル(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK333」)を0.2質量部用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0075】
<比較例3>
シリコーンオイルとして、水酸基末端シリコーンオイル(上記式(II)においてAが水酸基、n=4)を0.2質量部用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0076】
<比較例4>
上記式(I)で表される加水分解性アルコキシシラン(n=140)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
【0077】
実施例および比較例の反射防止フィルムについて次の評価を行った。
【0078】
1.光学特性
[全光線透過率]
ヘイズメータ(日本電色工業(株)製「NDH2000」)を用いて測定した。
[最小反射率]
分光光度計((株)日立製作所製「U−4100」)を用いて、入射角5゜での波長4000nm〜800nmの反射率を測定した。
[ヘイズ]
ヘイズメータ(日本電色工業(株)製「NDH2000」)を用いて測定した。
[コーティング膜の屈折率]
分光光度計((株)日立製作所製「U−4100」)を用いて、入射角5゜での波長400nm〜800nmの反射率を測定した後、光学シミュレーションとのフィッティングを行い屈折率を導出した。
【0079】
2.耐摩耗性
反射防止フィルムの表面をスチールウール#0000により250g/cm2で10回擦り、傷の有無を目視にて次の基準で評価した。
A:傷が発生しない。
B:傷がわずかに発生する。
C:傷が発生する。
【0080】
3.防汚性
反射防止フィルムの表面に付着した油性ペンをセルロース製不織布(旭化成せんい株式会社製「BEMCOT−S2」)で拭き取り、その取れ易さを目視にて次の基準で評価した。
○:油性ペンを完全に拭き取ることができる。
△:油性ペンの拭き取り跡が残る。
×:油性ペンを拭き取ることができない。
【0081】
4.外観特性
反射防止フィルムについて、面積500mm×500mmの範囲を3波長蛍光灯用いて目視観察し、光点(正常部と比較して光って見える点状欠陥)の個数を検査した。
○:光点の個数が1個/500mm2以下
△:光点の個数が2個〜9個/500mm2
×:光点の個数が10個/mm2以上
【0082】
評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1より、式(I)で表される加水分解性アルコキシシランを含むマトリクス形成材料および式(II)で表されるポリジメチルシロキサンからなる粘度10〜100mPa・sのシリコーンオイルを配合した実施例1〜7のコーティング用組成物は、比較例1〜4に比べて、光学特性、耐磨耗性、防汚性、外観特性の全てを満足するものであった。
【0085】
特に中空シリカ粒子を配合することで、低屈折率かつ高透明であり、さらに光学特性、耐磨耗性、防汚性、外観特性の全てを満足する反射防止フィルムを得ることができた。
【0086】
なお、表1の評価において、耐摩耗性がCである場合、防汚性が×である場合、および外観特性が×である場合はいずれも本発明の効果を奏しないものとして評価した。また、耐摩耗性がB以下、防汚性が△以下、および外観特性が△以下のうち2つ以上が相当する場合も同様に本発明の効果を奏しないものとして評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

(式中、nは10〜100の整数を示す。)で表される加水分解性アルコキシシランを含むマトリクス形成材料、および下記式(II):
【化2】

(式中、nは5〜30の整数を示し、両末端のAはそれぞれ独立に水酸基または−R’COOR(Rは直鎖のアルキル基、R’は直鎖のアルキレン基を示す。)を示す。)で表されるポリジメチルシロキサンからなる粘度10〜100mPa・sのシリコーンオイルを含有することを特徴とするコーティング用組成物。
【請求項2】
中空シリカ粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコーティング用組成物を屈折率1.58〜1.90のハードコート層に塗布して低屈折率層を形成したものであることを特徴とする反射防止フィルム。

【公開番号】特開2013−107995(P2013−107995A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254436(P2011−254436)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】