説明

コーティング組成物、それらの製造及びそれらの使用

水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)であって、(A)白色鉱物顔料粒子(A1)及び(A2)〔ここで、乾燥形態に関して、(A1)は、5から80nmの範囲の平均粒子サイズのコロイド非孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は<100nmの粒子サイズであり、そして(A2)は、0.5から25μmの範囲の平均粒子サイズの微孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は0.1から100μmの範囲の粒子サイズである〕、(B)バインダー、及び(C)オリゴ官能性アルコール(E)へのエピクロロヒドリンのクロロ末端付加生成物(F)との少なくとも1種の架橋性の少なくとも二官能性のアミン(G)及び随意に一官能性アミン(H)の消尽反応により得られ得るカチオン性架橋ポリマー、並びに随意に(D)1種又はそれ以上の配合添加剤を含む水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)、それらの製造及びそれらのコーティングのための使用、コーテッド基材及びそれらの使用特にインクジェット記録用基材としての使用(特に、色彩インクジェット印刷用)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェット印刷用基材として紙及びプラスチックフィルム又は箔の増加する使用と共に、インクジェット記録に用いられる基材の品質は、特に記録プリントの品質の観点で、たとえば記録画像の濃度及び鮮鋭度に関して及びフェザリング、まだら、滲み、滲み通しのような外観の乱れを避けるために又は/並びにインキ吸収速度、模様の一様性及び堅牢性に関して、増大する役割を演じる。これは、複写機、プリンター及びファクシミリ機械においてのようなジェットインキ単色プリント(主として、黒色)又は多色画像用の普及している様々な種類のハードコピー装置において並びに用いられる様々な種類のジェットインキに関して、格別重要である。
【0002】
国際公開第99/67317号パンフレットは、例においてコーテッド紙の製造を記載し、しかして非常に白色のコーテッド紙を製造するために、漂白され且つサイジングされた紙が、微細な白色炭酸カルシウム顔料、カチオン性分散剤、アクリルラテックスバインダー、及び小割合のアニオン性蛍光増白剤と結合された定められた架橋ポリ(第4級アンモニウム)カチオン性ポリマー(たとえば、グリセロール/ソルビトールへのエピクロロヒドリンの付加からのクロロヒドリンとのジメチルアミンの縮合生成物)を含有するコーティング組成物でコーティングされる。米国特許第4446174号明細書において、多色ジェットインキプリント用に適したコーティング剤であって、鉱物顔料及び接着剤を含むコーティング剤が記載されている。米国特許第4460637号明細書、第4478910号明細書、第4780356号明細書、第5352503号明細書及び第5965244号明細書において、詳細に定められた鉱物白色顔料及びそれらの鉱物粒子の詳細に定められた特性パラメーター(粒子サイズ及び多孔性のような)を有するコーティング剤が提案されてきた。米国特許第4446174号明細書、第5352503号明細書及び第5965244号明細書において、シリカ又はアルミナのように顔料表面がアニオン特性を有する場合は媒染剤を添加する可能性も挙げられており、しかして該媒染剤は、米国特許第4446174号明細書、第5352503号明細書又は第5965244号明細書に挙げられているようなカチオン性ポリマー、すなわちポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチル−ジメチルアンモニウムクロライド、カチオン性デンプン、ポリビニルベンジル−トリメチルアンモニウムクロライド、ポリ第4級アミン、ポリイミン、アルミニウムポリマー錯体、又はビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとの若しくはメチルビニルイミダゾールとのコポリマーである。いくつかの場合において高い光学濃度のインクジェットプリント主として黒色プリントが達成され得るけれども、プリントの品質(たとえば、フェザリング、まだら(黒色及び様々な色彩)、滲み通し及び滲みあるいは/並びに明らかな鮮鋭度の欠如から生じるような)が不満足である場合、特に高解像度の色彩及び多色インクジェットプリントにおいて、総合的な視覚的印象は実質的に損なわれ得、その結果高い色濃度及び耐水堅牢性のようなそれ以外は肯定的な性質のプリントでさえ非常に不満足な視覚的印象をもたらすことになり得る。このことにおける特定の問題は、更に、印刷されたコーティング膜の不十分な又は不満足な耐光堅牢性がこの否定的な印象を光暴露時間と共に更に増加させるという効果を有する事実により表され、従って満足な耐光堅牢性のインクジェットプリントに通じるコーティング剤を提供することが高度に望ましいであろう。更に、いくつかのコーティング剤において、プリントの品質は、用いられるジェットインキの品質及び/又は用いられるインクジェット印刷システム若しくは機械と共に変動し得る。
【0003】
下記に定められるコーティング組成物(P)でもって、上記に挙げられた欠点が除かれ得、そして特に印刷品質の観点で、特に色彩プリントにおいて、顕著なコーティング及びジェットインキ記録性質並びに予期されないほど高い耐光堅牢性を有するコーテッド紙及びコーテッドフィルム又は箔が製造され得、しかもそれらは用いられるジェットインキの品質及びインクジェット印刷システム又は機械の変動に高度に無関係であり、また下記に定められるような蛍光増白剤でもって顕著な白色度のコーティング膜に通じ得る、ということが今般驚くべきことに見出された。
【0004】
本発明は、定められたコーティング組成物、それらの製造及び使用、コーテッド基材及びそれらの使用(特に、インクジェット記録用基材として)に関する。
【0005】
かくして、本発明は、第1に、水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)であって、
(A)白色鉱物顔料粒子(A1)及び(A2
〔ここで、乾燥形態に関して、
(A1)は、5から80nmの範囲の平均粒子サイズのコロイド非孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は<100nmの粒子サイズであり、そして
(A2)は、0.5から25μmの範囲の平均粒子サイズの微孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は0.1から100μmの範囲の粒子サイズである〕、
(B)バインダー、及び
(C)オリゴ官能性アルコール(E)へのエピクロロヒドリンのクロロ末端付加生成物(F)との少なくとも1種の架橋性の少なくとも二官能性のアミン(G)及び随意に一官能性アミン(H)の消尽反応により得られ得るカチオン性架橋ポリマー、
並びに随意に
(D)1種又はそれ以上の配合添加剤
を含む水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)を提供する。
【0006】
組成物(P)は、水の存在下で諸成分を混合することにより、公知方法に類似して製造され得る。水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)の製造方法は、特に、(C)の水溶液が随意に成分(D)の存在下で(A)及び(B)の水性スラリーと混合されそして随意の又は更なる成分(D)が添加されることにおいて特徴づけられる。
【0007】
鉱物顔料(A)は、一般に、白色顔料又はフィラー(すなわち充填剤)として通常用いられるようなそして一層特に非着色形態で慣用的に用いられる(特に製紙において)公知無機物質を含む。
【0008】
鉱物顔料すなわち無機顔料(A)は、天然に存在する及び随意に物理的に変性された又は合成的に製造されたそして好ましくは特に紙用コーティング剤に用いられるような且つ定められた粒子サイズ及び多孔性特性を有するいかなるかかる物質でもあり得る。(A)は、天然に存在する鉱物物質及び合成的に製造された無機物質、主として、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化及び硫化亜鉛のような酸化物又は硫化物、並びに無機塩たとえば低原子価金属イオンの主としてアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又は土類金属イオンの特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び/又はアルミニウムのケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、硫酸塩及び炭酸塩を包含し得る。次のものが、無機物質の及び鉱物学的に定められた形態の例として挙げられ得る。すなわち、(A1)又は(A2)に相当するようなそれぞれの粒子サイズ及び多孔性特性の、様々な形態の炭酸カルシウム(鉱物天然形態又は合成沈殿及び/若しくは結晶化形態、たとえば菱面体、偏三角面体、柱状又は球状カルサイト、クラスター化又は離散針状アラゴナイト)、二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、様々な硫酸塩(リトポン、セッコウ又は硬セッコウのような硫酸カルシウム、バライト又は永久白のような硫酸バリウム、スルホアルミン酸カルシウム主としてサテンホワイト)、様々な形態のシリカ(たとえば、ケイソウ土岩、沈殿若しくはヒュームドシリカ又はシリカキセロゲルのような無定形シリカ)、ケイアルミン酸ナトリウム、様々なケイ酸塩(たとえば、クリソタイル、タルク、様々な度合いの白色度のチャイナクレー、ベントナイト又はモンモリロナイト)、様々なアルミナ水和物(ベーマイト及び擬ベーマイトのような)、及び随意に更なる金属酸化物(酸化鉄、酸化マグネシウム又は酸化カルシウムのような)。
【0009】
コロイド−又は一次−粒子(A1)として、定められた粒子サイズの公知顔料粒子、あるいは公知方法に従って又は本質的に知られた方法に類似して、たとえば水性の真溶液又はコロイド溶液好ましくはゾルから脱可溶化(沈殿、結晶化)によりあるいはより大きい対応粒子の(特に、コロイド粒子の凝集体の)離散によりたとえば粉砕する、摩砕する又は振動、超音波処理若しくは剪断(たとえば、ホモジナイザーにて)に付すことによりそして必要又は所望される場合は定められた粒子サイズ範囲をたとえば篩分けによって選別することにより、定められた粒子サイズにて製造され得る粒子が用いられ得る。粒子(A1)の製造のためのいくつかの方法は、たとえば米国特許第3855172号明細書、第4460637号明細書、第5104730号明細書、第5275867号明細書及び第5965244号明細書並びに欧州特許出願公開第1043372号明細書に記載されている。(A1)の種類のいくつかのコロイド顔料粒子は、たとえばヒドロゾルの形態にて又は乾燥形態にて、商業的に入手できる。粒子(A1)の中で、シリカ粒子、特に、たとえばアルカリ性ヒドロゾルからの生成に由来し得るような、水中5%濃度において>7たとえば8から9.5の範囲のpH(ISO787/9による)を与えるものが好ましい。
【0010】
乾燥形態に関してコロイド又は一次粒子(A1)の粒子サイズは、平均して5から80nmの範囲にあり、しかも該粒子の>99%−好ましくは100%−は<100nmの粒子サイズである。好ましくは、特に慣用方法(たとえば、上記に挙げられたような)により得られ得るように、(A1)の粒子サイズは、平均して8から50nmの範囲にあり、しかも該粒子の>99%−好ましくは100%−は1から90nm好ましくは2から80nmの範囲内のサイズである。粒子サイズは、たとえばASTM C 690−1992に従ってマルチサイザー(Multisizer)でもって査定され得る。
【0011】
微孔質白色顔料粒子(A2)は、一次粒子の集塊、あるいは公知であるような又は公知方法により若しくは公知方法に類似して製造され得るような微結晶質の随意に集塊化された粒子でさえあり得る。凝集粒子又は二次粒子(A2)は、たとえば、一次粒子(A1)の凝集若しくは集塊化によって、対応するゾル若しくはゲルの乾燥によって、又は樹脂形成性成分(たとえば、尿素と共に又はメラミンと共にホルムアルデヒド)での一次粒子のゾルの処理により形成された集塊から有機成分を燃え尽くすことによって定められた粒子サイズの微孔質粒子を形成させることにより製造され得る。微結晶質の随意に集塊化された粒子は、たとえば、適当な沈殿及び/又は(微)結晶化方法により製造され得る。(A2)の種類の微孔質二次粒子の製造は、たとえば米国特許第3417028号明細書、第3855172号明細書、第4460637号明細書、第5104730号明細書、第5275867号明細書、第5352503号明細書、第5965244号明細書及び第6511736号明細書に記載されている。(A2)の種類のいくつかの微孔質顔料粒子もまた商業的に入手できる。
【0012】
白色無機顔料(A2)は、0.5から25μmの範囲の平均粒子サイズの微孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%−好ましくは100%−は0.1から100μmの範囲内の粒子サイズである。粒子サイズは、たとえばASTM C 690−1992に従ってマルチサイザー(Multisizer)でもって査定され得る。集塊化又は二次無機顔料粒子(A2)について、平均粒子サイズは好ましくは1から20μm一層好ましくは2から15μmの範囲内にあり、しかも粒子の>99%−好ましくは100%−が好ましくは0.5から50μm一層好ましくは1から30μmの範囲内にある。典型的には、かかる二次粒子は、鉱物酸化物粒子主としてケイ素若しくはアルミニウムの酸化物又はケイ酸塩である。微結晶質の随意に集塊化された無機顔料粒子(A2)−たとえば、微結晶化法により得られ得るような−について、平均粒子サイズは好ましくは0.5から20μm一層好ましくは1から15μm特に1から12μmの範囲内にあり、しかも粒子の>99%−好ましくは100%−が好ましくは0.2から40μm一層好ましくは0.5から25μmの範囲内にある。典型的には、かかる微結晶質粒子は、鉱物炭酸塩又は硫酸塩、特に炭酸カルシウムの結晶質形態である。(A2)の多孔性は慣用の範囲にあり得、典型的には微孔は平均して隙間細孔よりもサイズが小さい。乾燥形態に関して(A2)における微孔は、好ましくは、1から100μmの範囲にある。
【0013】
微孔質粒子(A2)の総合粒子サイズ及び多孔性特性は、たとえばそれらの比表面積により定められ得る。乾燥形態に関して比表面積(ISO5794/1−付録Dに従ってN2でもって決定される)は、たとえば>60m2/g且つ<800m2/gであり得る。本発明のコーティング剤について、微孔質粒子(A2)として、乾燥形態にて≧70m2/g好ましくは70から400m2/g通常70から200m2/gの範囲の比表面積を有する微結晶質粒子、又は乾燥形態にて≧200m2/g好ましくは200から750m2/gの範囲一層好ましくは>400m2/gの比表面積を有する凝集体を用いることが好ましい。
【0014】
挙げられた顔料(A)の中で、シリカ、ケイ酸塩、アルミナ及び炭酸カルシウムを含むものが好ましい。(A2)がシリカである場合、微孔質シリカ粒子は、好ましくは、沈殿シリカ、シリカキセロゲル、又は沈殿シリカ及び/若しくはシリカキセロゲルとヒュームドシリカとのブレンドから選択される。(A2)が沈殿シリカ及び/又はシリカキセロゲルとヒュームドシリカとのブレンドである場合、沈殿シリカ及び/又はシリカキセロゲル対ヒュームドシリカの重量比は、好ましくは50/50から98/2一層好ましくは60/40から94/6の範囲にある。シリカ粒子(A2)の中で、水中5%濃度において<7たとえば5.5から6.5の範囲のpH(ISO787/9による)を与えるもの(たとえば、酸添加による塩溶液からの沈殿に由来するような)が好ましい。
【0015】
いくつかの場合において、微結晶化顔料粒子の商業用形態は、小割合の粉塵すなわち0.2μm未満又はそれどころか0.1μm未満のサイズの粒子を含有し得る。本発明によれば、(A2)は、かかる粉塵粒子が実質的にないすなわち粉塵割合が1重量%未満好ましくは0.1重量%未満である形態にて用いられる。
【0016】
無機顔料(A)は、その表面上に商業的に入手できるような慣用の分散剤又は湿潤剤たとえばポリリン酸塩を、通常であるような適当な低濃度たとえば<0.5重量%好ましくは<0.3重量%にて含み得る。本発明の目的にとって、かかる界面活性剤の存在は必須でなく、そして(A)は分散剤又は湿潤剤がなくてもよい。上記に挙げられたように、(A)は商業的に入手できるような形態にて用いられ得、特に(A1)は好ましくは濃厚水性ゾル(たとえば10から50重量%の範囲の固形分含有率を有する)の形態にて用いられ、(A2)はたとえば濃厚水性スラリー若しくは分散液(たとえば10から70重量%好ましくは12から50重量%の範囲の固形分含有率を有する)の形態にて又は乾燥形態にてでさえ用いられ得る。
【0017】
本発明のコーティング組成物中における粒子(A1)対(A2)の割合は、好都合には、満足な充填密度並びにバインダー(B)との及びポリマー(C)との相互作用をもたらすような範囲にて選ばれる。充填密度は、粒子サイズ及び粒子サイズ分布に依存する。過剰の一次粒子((A2)の微孔質特性を部分的に隠蔽するであろう)を避けるように並びにまた一次コロイド粒子(A1)に対して過剰の粒子(A2)(最適に満たされていない隙間細孔の存在に因り、コロイド一次粒子(A1)の効力を部分的に隠蔽し得る)を避けるように微孔質粒子(A2)間の隙間細孔が一次粒子(A1)で最適に満たされる場合、最適充填密度が達成されるであろう。充填密度を算出するやり方は、たとえば米国特許第5965244号明細書に記載されている。しかしながら、最適充填密度はまた、数回の予備試験により実験的に査定され得る。重量比(A2)/(A1)は、従って選ばれ得る。適当な重量比(A2)/(A1)は、たとえば95/5から40/60好ましくは92/8から50/50の範囲にあり、(A2)が集塊化粒子である場合好ましくは75/25から50/50、(A2)が微結晶化粒子である場合好ましくは92/8から70/30である。
【0018】
(A1)及び(A2)の化学的特質は、所望どおりに選ばれ得る。かくして、本発明の一つの特徴によれば、(A1)及び(A2)は同じ化学的種類であり得、特にそれらは同じ化合物の形態又は2つの化学的に相互関係のある化合物の形態にあり得、すなわち、一次粒子(A1)はたとえばコロイドシリカから成り得そして粒子(A2)はその場合に微孔質シリカ粒子(特に、沈殿シリカ、シリカキセロゲル、又は沈殿シリカ及び/若しくはシリカキセロゲルとヒュームドシリカとのブレンドから選択されたシリカ粒子)から成り得、あるいは粒子(A1)はコロイド炭酸カルシウムから成り得そして粒子(A2)はその場合に微孔質炭酸カルシウムから成り得、あるいは一次粒子(A1)はコロイドアルミナ水和物から成り得そして二次粒子(A2)はその場合に微孔質アルミナ水和物粒子から成り得る。本発明の別の特徴によれば、コロイド粒子(A1)は微孔質粒子(A2)とは異なる化学的種類であり得、かくして(A1)はたとえばコロイドシリカでそして(A2)は微孔質炭酸カルシウム又はアルミナ水和物粒子であり得、あるいは一次粒子(A1)はたとえばコロイド炭酸カルシウムであり得そして二次粒子(A2)はたとえばその場合に微孔質シリカ又はアルミナ水和物粒子であり得る。一層好ましくは、(A1)はコロイドシリカである。
【0019】
本発明のコーティング組成物の製造のためのバインダー(B)として、紙用コーティング組成物の製造の際の接着剤として本質的に慣用のバインダー、好ましくは、水中に分散可能たとえば自己分散可能又は適当な分散剤若しくは乳化剤の存在下で分散可能であるかあるいは水中に少なくともコロイド状に可溶である非イオン性(コ)ポリマーが用いられ得る。
【0020】
バインダー(B)は、たとえば、少なくともコロイド状に水溶性のポリマー物質たとえばポリビニルアセテートの部分若しくは完全加水分解から誘導されたポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、カゼイン、大豆タンパク質、合成タンパク質、デンプン、変性デンプン(たとえば、酵素変性された並びに/又は部分加水分解された若しくは/及び酸化されたデンプン)、セルロース誘導体(たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)、並びに水不溶性ポリマー物質たとえば共役ジエンコポリマー(たとえば、スチレン/ブタジエンコポリマー、メチルメタクリレート/ブタジエンコポリマー)のラテックス、(メト)アクリレート/スチレンコポリマー(たとえば、ブチルアクリレート/スチレンコポリマー、2−メチルヘキシルアクリレート/スチレンコポリマー)のラテックス、ビニルポリマー(たとえば、スチレン/ビニルアセテートコポリマー)のラテックス、(コ)ポリ(メト)アクリレートを基剤とした樹脂及び水中に自己分散可能な樹脂(たとえば、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂)から選択され得る。(コ)ポリ(メト)アクリレートを基剤とした樹脂は、随意に、シリル変性され又は/及びコロイドポリシランとブレンドされ得る。
【0021】
好ましくは、バインダー(B)は、
(B1)水中にコロイド状に可溶である非イオン性バインダー、及び
(B2)乳化ラテックス
から選択される。
【0022】
(B1)は、好ましくは、随意に変性されたデンプン及びポリビニルアルコールから選択される。ポリビニルアルコールは、通常、対応するポリビニルアセテートの加水分解生成物であり、そしてたとえば対応するポリビニルアセテートの重合度及び加水分解度により定められ得る。ポリビニルアセテートの重合度は、広範囲たとえば200から50000好ましくは300から10000一層好ましくは500から5000の範囲にあり得る。可溶性バインダーの分子量もまた、それらの水溶液の粘度から演繹され得る。(B1)(特に、ポリビニルアルコール)の4%水溶液の粘度は、好ましくは3から100mPa・s一層好ましくは15から40mPa・sの範囲にある。ポリビニルアルコールは、それらの前駆体ポリビニルアセテートに関して好ましくは>50%一層好ましくは75から100%の範囲の加水分解度である。商業的に入手できるような、たとえば様々な加水分解度及び重合度のPOVAL(日本国のクラレの商標)たとえば部分加水分解銘柄POVAL203、205、210、217、220、224、226及び235並びに完全加水分解銘柄POVAL103、104、105、110、117及び124のようなポリビニルアルコールが用いられ得る。
【0023】
これらの製品において、最初の数字はモル%での加水分解度すなわち1=98.5%又はそれ以上(=完全加水分解)、2=80〜90モル%(部分加水分解)を指摘し、そして最後の2つの数字×100は重合度である。典型的には、POVAL105、POVAL117又はPOVAL235が用いられ得る。(B2)は、好ましくは、(コ)ポリ(メト)アクリレートを基剤とした樹脂から選択される。所望される場合、(B2)の小割合たとえば20%までは、ポリ(γ−アクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド)のようなカチオン性であり得る。好ましくは、カチオン性バインダー(B)は用いられない。上記に挙げられたバインダーの中で、バインダー(B1)、特にポリビニルアルコールが好ましい。
【0024】
バインダー(B)は、施用にとって満足な凝集性質及び接着性質のコーティング剤をもたらすのに十分であるような、顔料(A)に関しての重量割合にて用いられ得る。100重量部の乾燥白色顔料(A)に関して、乾燥形態に関してたとえば1から100好ましくは5から75一層好ましくは10から60重量部のバインダー(B)が用いられ得る。
【0025】
或る選択された顔料(A)についてのバインダー(B)の適当な又は最適な量は、顔料の特質、(A1)及び(A2)の粒子サイズ、(A2)の比表面積並びに(A1)対(A2)の重量割合に、並びに更にバインダー(B)の特定の種類に、用いられる成分(C)及び(D)に並びに予知される基材及び所望効果に依存して変動し得、また数回の予備試験により査定され得る。
【0026】
ポリマー(C)は、オリゴ官能性アルコール(E)へのエピクロロヒドリンのクロロ末端付加生成物(F)との少なくとも1種の架橋性の少なくとも二官能性のアミン(G)及び随意に一官能性アミン(H)の消尽反応により得られ得るカチオン性架橋ポリマーである。
【0027】
ポリマー(C)は水溶性である。水溶性により、3g/lの濃度、7のpH及び20℃の温度において明澄な真溶液又はコロイド溶液を与える生成物が意味される。それらはアンモニウム基に対する対イオンとして存在するアニオンを無視すると、好ましくは主として脂肪族一層好ましくは完全に脂肪族であり、またエーテル酸素原子及びアンモニウム基を含有する。ポリマー中のヘテロ原子は、好ましくは、互いから2から6個の炭素原子の距離にある。
【0028】
エピクロロヒドリン対(E)のモル比(mにより指摘され得る)は、適当には、2モルより多いエピクロロヒドリンが1モルの(E)と反応されるように選ばれる。
【0029】
オリゴは、一般に2から10たいてい3から8好ましくは3から6の範囲の数を意味する。
【0030】
オリゴ官能性アルコール(E)は好ましくは脂肪族で且つ低分子量であり、好ましくはそれらは≧92の分子量及びx個のヒドロキシ基(ここで、xは3から6の範囲の数字である)を有するオリゴヒドロキシアルカン、又はC2~4アルカンジオールとのそれらの混合物である。
【0031】
≧92の分子量のオリゴヒドロキシアルカンとして、公知化合物特に低分子オリゴヒドロキシアルカン(好ましくは、3から6個の炭素原子を有する)が用いられ得る。C2~4アルカンジオールは、好ましくはC2~4モノアルキレングリコール一層好ましくはC2~3モノアルキレングリコールである。好ましくは、(E)は(E1)であり、しかして(E1)は式
X−(OH)x1 (I)
〔ここで、
Xは、C3~6アルカンのx1価の基を意味し、そして
x1は、3からX中の炭素原子の数の数を意味する〕
のオリゴヒドロキシアルカン若しくは式(I)のオリゴヒドロキシアルカンの混合物、又は1種若しくはそれ以上の式(I)のオリゴヒドロキシアルカンとC2~3アルキレングリコールとの混合物から選択される。
【0032】
式(I)のオリゴヒドロキシアルカンとして、たとえばグリセロール、トレイトール、トリメチロール−エタン又は−プロパン、及び5又は6個の炭素原子を有する慣用炭水化物の還元生成物(ソルビトール、マンニトール、ズルシトール及びペンタエリトリトールのような)が用いられ得る。
【0033】
式(I)の好ましい化合物は、式
H−(CHOH)x−H (I′)
〔ここで、nは、3から6の範囲の数字である〕
のものである。
【0034】
4から6個の炭素原子を有する式(I′)の化合物は、ラセミ混合物又は単一光学異性体の形態にて用いられ得る。それらは周囲温度において固体であり、そしてかくして好都合にはグリセロール、エチレングリコール及びプロピレングリコール(周囲温度において液体である)から選択された少なくとも1種の化合物と混合して用いられる。かかる混合物の量的比率は、選ばれた反応温度において混合物が液体になるように適当に選ばれ、好ましくは2から3個の炭素原子を有する化合物の1重量部につき4から6個の炭素原子を有する式(I)の化合物の1から4重量部の範囲にて選ばれる。好ましくは、グリセロールのみ又は式(I′)(ここで、xは5又は6である)の化合物とグリセロールとの混合物が用いられる。
【0035】
エピクロロヒドリン対オリゴヒドロキシ化合物又は混合物(E)のモル比mは、オリゴヒドロキシ化合物又は混合物(E)の1モルにつきエピクロロヒドリンの好ましくは2.2モルから1.2・xモル一層好ましくは2.5モルから1.1・xモルたとえばxから1.1・xモルの範囲にある。
【0036】
エピクロロヒドリンとの(E)の反応は、好ましくは、他の溶媒の不存在下で及び触媒(たとえば、ルイス酸好ましくは三フッ化ホウ素(好ましくは、そのエーテラート又は酢酸錯体の形態にて)である)の存在下で行われる。この反応はヒドロキシ基へのエピクロロヒドリンの付加反応であって、エポキシ環の開環及び2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル−1基の形成を伴う。この反応は発熱性であり、そして反応温度は好ましくは冷却しながら100℃未満に一層好ましくは60から85℃の範囲に保たれる。エピクロロヒドリンは(E)の利用可能なヒドロキシ基と反応し、また反応が進行するにつれて、反応中に形成された2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル−1基のヒドロキシ基とも反応し得、そのため(E)(たとえば、式(I)の化合物)のヒドロキシ基のいくらかはエピクロロヒドリンと反応されないままにさえあり得る。モル比、オリゴヒドロキシ化合物の官能性(たとえば、x又はx1の値)及び(E)(たとえば、式(I)又は(I′)の化合物)の光学的立体配置−特に、x又はx1が4から6である場合−に依存して、エピクロロヒドリンとの(E)のOH基の反応の度合いは変動し得、そしてたとえば(E)中にもともと存在するOH基の総数の50から95%たいてい75から95%の範囲にあり得る。
【0037】
得られた付加生成物(F)は、クロロ末端生成物である。式(I)に関して、それは式
【化1】

〔ここで、x2は、エピクロロヒドリンでもって導入された相当する数のヒドロキシ基を利して、エピクロロヒドリンと反応しなかったXに結合されたヒドロキシ基の数であり、そして和Σm1(平均して(x1−x2)・m1に相当する)はmに等しい〕
により表され得る。エピクロロヒドリンとの(E)のヒドロキシ基の反応の上記に挙げられた度合いから演繹され得るように、x2は、たとえば、0から0.5・mの範囲たいてい0.05・mから0.25・mの範囲の範囲にあり得る。(x1−x2)個の式
【化2】

の基の各々において、m1は同じ又は異なる値を有し得る。たいてい、m1は1又は2を意味する。
【0038】
好ましくは、(F)は(F1)、すなわち(E1)とのエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0039】
そのように生成された付加生成物(F)は、次いで、(F)のモル当たり又は(E)のモル当たりそれぞれnモルの(G)及び随意にpモルの(H)と反応されて、(F)の塩素が(G)及び随意に(H)と消尽的に反応されたところの架橋ポリカチオン性ポリマー(C)を生成する。
【0040】
ポリカチオン性ポリマーにより、ポリアンモニウムポリマー、すなわちいくつかの第4級アンモニウム基及び/又はプロトン化アミン基(それらの少なくとも一部は、特に、橋架け架橋性基の一部である)を含むポリマーが本明細書において意味される。
【0041】
塩素末端生成物(F)のモル当たりの(G)及び随意の(H)のモル数の割合は、架橋性アミン(G)及び随意にアミン(H)との塩素の消尽反応が起こるように選ばれる。(E)又は(E1)とのそれぞれエピクロロヒドリンの反応は実質的に定量的であるので、数mはまた、(F)又は(F1)中の結合末端塩素原子の数を表す。(G)及び(H)対(F)の比率は、適当には、ポリマー生成物(C)が生じ得且つ(F)又は(F1)の塩素原子が(G)及び随意に(H)と消尽的に反応されるような範囲にて選ばれる。(G)のモル数nは適当には<m好ましくはn+p<mであり、但し(G)及び随意に存在する(H)中の官能性の総数が≧m、好ましくはt[すなわち、アミノ基の総官能性に関して(G)+(H)のモル当量の総数]>mであることを条件とする。(G)の1モル当量は、(G)の1モルをその官能性を指摘する数(2から(G)中のアミノ基における反応性部位の最大数の範囲にある数である)で割ったものである。(H)は、一官能性とされる。
【0042】
nは、好ましくは、>0.2・mの数、たとえば0.2・mから(m−0.1)好ましくは0.4・mから(m−0.2)一層好ましくは0.4・mから(m−0.5)の範囲の数である。好ましくは、n>1である。
【0043】
pは、≧0且つ<m−nである。pは、たとえば、0から2・nである。(H)が用いられる場合、pは、好ましくは、≧0.25・n、たとえば0.25・nから2・nの範囲の数である。
【0044】
アミン(G)として、架橋に通じる反応体としての公知アミン、好ましくは次式
【化3】

〔ここで、
Yは、C2~3アルキレンを意味し、
yは、0から3の数を意味し、そして
yが1から3である場合
各R′は、独立して水素又はC1~3アルキルを意味し、そして
R″は、水素又はC1~3アルキルを意味し、あるいは
yが0である場合
R′は、C1~3アルキルを意味し、そして
R″は、水素を意味する〕
のものが用いられ得る。
【0045】
アミン(G)は、特に、(G1)すなわち(F)との反応により好ましくは架橋を伴って橋架け第4級アンモニウム基を形成するアミン並びに(G2)すなわち(F)との反応により好ましくは架橋を伴って橋架け第2級及び/又は第3級アミノ基並びにそれらのプロトン化誘導体を形成するアミンを包含する。
【0046】
(G)との(F)の反応が、四級化条件下で行われる(G1)との反応である場合、y=0である式(III)の二官能性アミンとして、好ましくは、二置換モノアミン(すなわち、R′がC1~3アルキルであり、そしてR″が水素である)が用いられ、その結果架橋反応により第4級橋架けアンモニウム基が形成される。類似して、y=1である場合、2個の第4級アンモニウム基を有する橋架け基をもたらすように、R′及びまたR″は適当にはC1~3アルキルである。同様にまた、yが2又は3である場合、R′及びR″は、好ましくは、第4級橋架けアンモニウム基をもたらすためにC1~3アルキルである。(G)との(F)の反応が、四級化条件下で行われる(G1)との反応である場合、yは好ましくは0又は1を意味する。
【0047】
(G)との(F)の反応が(G2)との反応である場合、(G2)として、好ましくは、少なくとも二官能性のアミンとしてのそして式(III)においてy=1から3であるオリゴアミンが用いられる。この場合において一層好ましくは、オリゴアミンは少なくとも1個の第1級アミノ基を含有し、そして少なくとも1個の更なるアミノ基は第1級又は第2級でありそして第3級アミノ基はなく、すなわち式(III)においてR′の少なくとも三つは水素を意味し、その結果架橋反応により第2級及び/又は第3級橋架けアミノ基が形成され、そして次いでプロトン化されてアンモニウム基にされる。
【0048】
式(III)のアミノ化合物として、公知アミンが用いられ得る。R′及びR″におけるC1~3アルキル基はメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであり得、しかしてより低分子のもの特にメチルが好ましい。添え字yは、0から3のいかなる数でもあり得、好ましくは0から2一層好ましくは第4級生成物のためには0又は1そして非第4級生成物のためには1又は2であり得る。四級化のためには、R′は好ましくはC1~3アルキルを意味し、そしてyが0である場合はR″は水素を意味しあるいはyが1から3を意味する場合はR″はR′と同じ意味を有する。非四級化性架橋のためには、R′及びR″は好ましくは水素を意味する。式(III)の代表的な四級化性の架橋性アミン(G1)は、ジメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン及びヘキサメチルトリエチレンテトラアミンであり、それらの中で二官能性アミン特により低分子のもの、特にジメチルアミン及びテトラメチルエチレンジアミンが好ましい。式(III)の代表的な非四級化性の架橋性アミン(G2)は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラアミンであり、それらの中でトリアミン特にジエチレントリアミンが好ましい。
【0049】
アミン(H)として、多くて1個の第1級又は第2級アミノ基を含有する限り、反応を妨害しない脂肪族置換基好ましくは低分子アルキルでアミノ窒素の少なくともいくつかが置換されている公知の脂肪族モノ又はオリゴアミンが用いられ得る。
【0050】
アミン(H)は、特に、(H1)すなわち(F)との反応により第4級アンモニウム基を形成するアミン並びに(H2)すなわち(F)との反応により第2級又は好ましくは第3級アミノ基及びそれらのプロトン化誘導体を形成するアミンを包含する。アミン(H)はまた、両方の仕方ですなわち四級化を伴うことなく又は/及び四級化を伴って反応することの可能なアミンを包含する。
【0051】
(H1)は好ましくは式
N(R″′)3 (IV)
のアミノ化合物から選択され、(H2)は好ましくは式
【化4】

〔ここで、
Zは、C2~3アルキレンを意味し、
zは、0又は1を意味し、
R″′は、C1~3アルキルを意味し、そして
R″″は、水素又はC1~3アルキルを意味する〕
のアミノ化合物から選択される。
【0052】
橋架けアルキレンZは、エチレン、プロピレン−1,2又はプロピレン−1,3であり得、そしてそれらの中でエチレン及びプロピレン−1,3が好ましい。R″′は、好ましくはエチル又はメチル最も好ましくはメチルを表す。R″″は、好ましくはエチル、メチル又は水素最も好ましくは水素を表す。添え字zは、好ましくは、1を意味する。
【0053】
(H)でもってのアミノ化について、適当な第2級若しくは第3級モノアミンたとえばz=0である式(V)のもの若しくは式(IV)のもの、又はz=1である式(V)のジアミンが用いられ得る。好ましくは、(H)との反応は、式(IV)の第3級モノアミン(H1)との四級化反応又は(H2)(好ましくは、z=1である式(V)のジアミンである)との反応(主として非四級化反応であるが、しかし−用いられるアミン及び反応パラメーターに依存して−部分的に四級化にも通じ得る)である。
【0054】
式(IV)の代表的アミン(H1)は、トリメチルアミン及びトリエチルアミンである。式(V)の代表的な好ましいアミン(H2)は、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン及びN,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミンである。
【0055】
ポリカチオン性生成物(C)は、少なくとも架橋性アミン(G)との反応がポリマーに通じる限りにおいてポリマーである。
【0056】
式(III)の架橋性の四級化性アミン(G1)対付加生成物(F)のモル比は、適当には、ポリマー特性の生成物が生成されるように選ばれる。四級化性アミン(特に、四級化性アミン(G1)又は四級化性アミン(G1)と(H1)との混合物)対エピクロロヒドリン付加生成物(F)又は(F1)のモル比は、好ましくは、付加生成物(F)又は(F1)の1モル当量(塩素に関して)につき0.5モルの架橋性の四級化性アミン(G1)±30%たとえば±10%が用いられ且つ(G1)と反応されなかった(F)のClと反応するのに適当になるような割合にて(H1)が用いられるように選ばれる。
【0057】
反応体の濃度は、好ましくは、水性混合物中の(G)の濃度が10から75重量%好ましくは20から70重量%の範囲になるように選ばれる。
【0058】
(F)との四級化性アミン(G1)及び(H1)の反応は、好ましくは水性媒質中で及び好ましくは加熱しながらたとえば50から100℃好ましくは60から90℃の範囲の温度にて行われる。反応中、少なくとも開始時において、アミンの塩基性度は、(F)でもってのすなわちアルキル化剤として用いられる塩化物でもってのアミンの四級化性アルキル化のために十分である。反応混合物のpHは好ましくは4から9の範囲にあり、しかも開始時において好ましくは7から9の範囲にある。反応が進行するにつれて、該混合物のアルカリ性度及び架橋性アミンの濃度は小さくなる。所望されるより高い共有結合塩素の割合が反応生成物において存在するならば、たとえば、一官能性第3級アミン(H1)である更なる反応体が添加され得及び/又は出発架橋性反応体が第2級モノアミンである場合はアルカリ金属水酸化物好ましく水酸化ナトリウムのような適当な強塩基が添加され得る(pHが好ましくは7から9の範囲に維持されるように)。反応が完了した又は所望度に達した時、反応混合物は、適当には、慣用の酸好ましくは鉱酸(塩酸、硫酸又はリン酸のような)又は低分子脂肪族カルボン酸たとえば1から6個の炭素原子を有するもの(ギ酸、酢酸、クエン酸又は乳酸のような)の添加により、好ましくは7未満一層好ましくは4から7の範囲最も好ましくは5から6.5の範囲のpHに達するように酸性化される。反応の進行は、反応混合物の粘度(架橋度すなわち四級化度の経験的印象を与える)を検査することにより追跡され得る。適当な粘度は、たとえば、200から3000cPの範囲にある。
【0059】
(F)との(G2)及び(H2)の反応は、適当には水性媒質中で、たとえば水性反応混合物の総重量に関して40から90%好ましくは50から88%の範囲の水含有率にて、そして好ましくは加熱しながらたとえば30から90℃好ましくは40から70℃の範囲の温度にて行われる。反応中、アミン(G2)及び存在する場合はまた(H2)の塩基性度は、アルキル化剤として用いられる塩化物(F)でもってのそれぞれ(G2)及び(H2)のアルキル化のために十分であり得、しかして所望される場合、強塩基たとえば水酸化カリウム又は好ましくは水酸化ナトリウムが用いられさえし得る。反応混合物のpHは、好ましくは、7から10の範囲にある。(H2)は、たとえば、(G2)と同時に又は(G2)に引き続いてさえ添加され得る。反応においてすべての共有結合塩素と反応するのに単独では不十分である割合の(G2)が用いられた場合、(F)の反応を完了するために、所要量の化合物(H2)が添加され得る。反応が完了した又は所望度に達した時、反応混合物は、適当には、慣用の酸好ましくは鉱酸(塩酸、硫酸又はリン酸のような)又は低分子脂肪族カルボン酸たとえば1から6個の炭素原子を有するもの(ギ酸、酢酸、クエン酸又は乳酸のような)の添加により、好ましくは6未満一層好ましくは3.5から5.5最も好ましくは4から4.5の範囲のpHに達するように酸性化される。反応の進行は、反応混合物の粘度(重合度及び架橋度の経験的印象を与える)を検査することにより追跡され得る。適当な粘度は、たとえば、≦5000cP好ましくは200から3000cPの範囲にある。
【0060】
(G1)及び(H1)との(F)の四級化反応が消尽的であるということは、(F)中の結合塩素原子の数が(G1)+(H1)中のアミノ基における反応性部位の数を超えないような量の(G1)及び随意に(H1)が用いられ、そして水性反応混合物の形態の重合及び架橋された第4級生成物(C1)が撹拌可能であり且つ水で希釈可能であるまでアルキル化/四級化及び重合反応が行われることを意味する。この限度は、たとえば、上記に挙げられたように重合/架橋中の粘度を監視することにより査定され得る。
【0061】
(G2)及び(H2)との(F)の反応が消尽的であるということは、(F)中の結合塩素原子の数が(G2)+(H2)中の反応性アミノ基の数を超えない−好ましくは、(G2)+(H2)中の塩基性アミノ基の数が(F)中の結合塩素原子の数より大きい−ような量の(G2)及び随意に(H2)が用いられ、そして水性反応混合物の形態の重合及び架橋された生成物(C2)が撹拌可能であり且つそのプロトン化形態にて水で希釈可能であるまでアルキル化及び重合反応が行われることを意味する。この限度は、たとえば、上記に挙げられたように重合/架橋中の粘度を監視することにより査定され得る。
【0062】
(G)対(F)の比率及び(H)対(F)の比率に依存して−反応条件の適当な選択に加えて−、広範囲の重合度及び架橋度並びにまた第4級又はプロトン化形態に関して広範囲のカチオン性度を有する架橋ポリマーエーテルアンモニウム塩(C)が製造され得る。それらのカチオン性度−たとえば、電荷分析器により又は他の適当な方法により査定され得る−は、たとえば、pH4において2から10好ましくは3から8meq/gの範囲にある。
【0063】
ポリカチオン性ポリマー(C)は塩であり、しかしてアンモニウム基に対する対イオンは、関係反応から又は/及びpH調整により生じ得るようないかなるアニオン(たとえば、鉱酸のアニオン(たとえば、塩化物、硫酸又はリン酸イオン)又は低分子脂肪族カルボン酸のアニオン(たとえば、ギ酸、酢酸、乳酸又はクエン酸イオンのような1〜6個の炭素原子を有する))でもあり得あるいは他のイオンによりたとえばイオン交換又は他の慣用技法によって置き換えられ得る。
【0064】
好ましくは、(C)は、
(C1)四級化性アミン(G1)及び随意に(H1)との(F1)の四級化反応により得られた架橋ポリカチオン性ポリ第4級ポリマー、
(C2)アミン(G2)との(F1)の非四級化反応及び随意に(H2)との反応により得られた架橋ポリカチオン性ポリマー
である。
【0065】
ポリマー(C2)の中で、p<0.25・nであるたとえばp=0でさえある架橋されたプロトン化ポリマーエーテルアミン(C)、特に
(C2A)(ここで、nは0.4・mから0.72・mの範囲の数である)、及び
(C2B)(ここで、nは0.72・mから(m−0.2)の範囲の数である)
が好ましい。
【0066】
上記のものの中で、(C1)及び(C2A)、特に(C1)が好ましい。
【0067】
本方法の一つの特徴によれば、反応条件は、好ましくは、(G)が(F)又は(F1)の利用可能な末端塩素のすべてとの完全反応のために十分でありそして(H)が必要とされないように選ばれる(特に、(G)が式(III)の四級化性の架橋性アミンである場合)。
【0068】
得られたポリカチオン性ポリマー(C)は、少なくとも式(II)の化合物の誘導体について、次の平均式により図式的に表され得る。すなわち、
【化5】

ここで、各Wは独立して(G)又は(H)にそれぞれ由来する基を意味し、しかも少なくとも2個は(G)由来であり、そして同じ分子の又は2つ若しくはそれ以上の異なる分子の2個又はそれ以上の(G)由来の記号Wは一緒に、(G)の重合及び架橋反応により形成された橋を形成する。
【0069】
そのように生成された(C)含有組成物は(P)の製造のために直接的に用いられ得、あるいは所望される場合、水での希釈若しくは蒸発により(C)含有率について調整され得又は半透膜を通じての膜濾過により脱塩及び随意に濃縮され得る。
【0070】
生成されたままの水性組成物中の(C)の濃度は、好ましくは10から60重量%一層好ましくは12から50重量%の範囲にある。(C)の溶液のpHは、広範囲にたとえば弱酸性から弱塩基性の範囲に、特にpH4.5からpH8に好ましくはpH5.5からpH7.5にあり得る。
【0071】
所望される場合、生成された水性(C)含有組成物−随意に、塩基での適当な中和により(たとえば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの添加により)塩基性形態への非第4級塩形態(C2)の転化後−は、粉末又は粒状生成物に乾燥され得る。しかしながら、好ましくは、それらは、生成された水性濃厚組成物の形態にて直接的に用いられる。所望される場合、(C)はまた、適当には小割合にての、紙用コーティング剤において慣用の別のカチオン性ポリマー(K)と混合して用いられ得、特に、(C)はカチオン性デンプンと、たとえば20%までの後者対(C)の重量比にて結合され得る。しかしながら、好ましくは、(C)はいかなる他のカチオン性ポリマー(K)とも結合されない。
【0072】
(C)対(A)の重量比は、広範囲に好ましくは50/100未満にあり得る。有利には、重量比(C)/(A)は、0.5/100から30/100好ましくは2/100から20/100の範囲にある。(C)の特定の構成に並びに存在するその他の成分特に(A)及び(B)の特定の種類及び割合に依存して、コーティング剤−特にインクジェット記録用コーティング剤−の特定の想定品質に一層適した又は最適な割合が選ばれ得、そしてかかる割合は数回の予備試験により決定され得る。
【0073】
配合添加剤(D)として、水性組成物の安定性又は物理的形態に影響を及ぼし得るような添加剤、あるいはまた追加の施用効果(特に、コーティング膜に関して)を有し得る添加剤、特に公知物質が用いられ得る。かくして、配合添加剤(D)は、たとえば、
(D1)コーティング膜の光学的側面に影響を及ぼす作用剤、主として(D1′)蛍光増白剤又は(D1″)染料、
(D2)微生物に対する安定性を改善する作用剤、特に微生物の有害活性を防除する添加剤、
(D3)塩形態に影響を及ぼす添加剤、特にpH調整用電解質、
(D4)組成物の物理的形態に影響(たとえば、貯蔵に関して及びまた施用に関して)を及ぼす作用剤、特にたとえば脱泡剤、増粘剤、流動剤、
(D5)コーテッド基材の使用性質に影響を及ぼす添加剤、たとえば画像退色防止剤、カーリング防止剤、柔軟剤、引裂き強度用添加剤、帯電防止剤、難燃剤、並びに
(D6)周囲酸素及び/又はUV線による劣化に対する安定剤、特に酸化防止剤、UV吸収剤
から選択され得る。
【0074】
所望される場合、(D1′)−適当には、水溶性の好ましくはアニオン性の蛍光増白剤である−は、(P)の製造のためのその使用に先だって、定められた割合の(C1)と結合された形態にて用いられ得る。
【0075】
(D1′)として、水溶性であるいかなるカチオン性又は好ましくはアニオン性の蛍光増白剤(プロトン化又は第4級塩形態のカチオン性及びアルカリ金属塩の形態のアニオン性)も用いられ得る。(D1′)として、特に、有利には2から10個のアニオン基好ましくは4から10個のアニオン基(アニオン基は好ましくはスルホネート基及び/又はカルボキシレート基である)を含有するたとえば2から8個一層好ましくは4から6個のスルホネート基及び随意に2から4個のカルボキシレート基を含有するところの、紙の蛍光増白に適したアニオン性蛍光増白剤が用いられ得る。アニオン性蛍光増白剤、特に紙の蛍光増白に適したものは当該技術においてよく知られており、そしてまた専門文献に記載されている。蛍光増白剤の適当なカテゴリーは、ジアミノスチルベン、ビススチルビル(ビススチリルビフェニルとも称される)又は1,3−ジフェニルピラゾリン系のものであり、しかしてそれらの中でビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸系のもの、特に一般式
【化6】

〔ここで、
1、R2、R3及びR4は、互いから独立してアミンの又はアルコールの基を意味し、そして
Mは、水素又はアルカリ金属カチオンを意味する〕
のものが好ましい。
【0076】
1、R2、R3及びR4の意味において、アルコールの基は、好ましくは、脂肪族アルコールの又はフェノールの基である。脂肪族アルコールの基は好ましくはC1~4アルコキシであり、フェノール基は好ましくは非置換フェノキシである。アミン基は、好ましくは、随意に置換されたアニリノ基又は脂肪族若しくはアリール脂肪族アミノ基−NR0′R0
〔ここで、
0′は、水素、C1~4アルキル、ベンジル、C2~3ヒドロキシアルキル又はカルボキシ−(C1~4アルキル)を意味し、
0″は、水素、C1~4アルキル、C2~3ヒドロキシアルキル、スルホ−C1~3アルキル、スルホ−C3~4ヒドロキシアルキル、シアノ−(C1~3アルキル)、カルバモイル−(C1~3アルキル)、カルボキシ−(C1~4アルキル)、カルボキシ−[シアノ−(C2~3アルキル)]、カルボキシ−[カルバモイル−(C2~3アルキル)]又はジカルボキシ−(C2~3アルキル)を意味し、あるいは
0′及びR0″は、それらが結合されている窒素と一緒に複素環を形成する〕
である。
【0077】
1及びR3は、好ましくは、式
【化7】

〔ここで、
0″′は、水素、メチル、メトキシ又は塩素、好ましくは水素を意味し、そして
rは、0、1又は2、好ましくは1又は2を意味する〕
の随意に置換されたアニリノ基又は脂肪族アミノ基−NR0′R0″を意味する。
【0078】
0′は、好ましくは、水素、C1~2アルキル、ベンジル、C2~3ヒドロキシアルキル又はカルボキシ−(C1~2アルキル)を意味する。
【0079】
0″−は、好ましくは、C2~3ヒドロキシアルキル、カルバモイル−(C1~3アルキル)、シアノ−(C1~3アルキル)、カルボキシ−(C1~2アルキル)又はジカルボキシ−(C2~3アルキル)を意味する。
【0080】
0′及びR0″がそれらが結合されている窒素と一緒に複素環を形成する場合、これは好ましくはモルホリン環又はカルボキシピロリジン環である。
【0081】
好ましくはNR0′R0″は脂肪族であり、そして一層好ましくは1個又はそれ以上のカルボキシ基最も好ましくは2個のカルボキシ基を含有し、たとえば好ましくはR0′及びR0″は両方共カルボキシ−(C1~2アルキル)を意味し又はR0′は水素を意味しそしてR0″はジカルボキシ−(C2~3アルキル)を意味する。
【0082】
2及びR4は、好ましくはメトキシ、フェノキシ又は一層好ましくはアミノ基−NR0′R0″を意味する。
【0083】
式(VII)中の二つの記号R1及びR3は、同じ意味又は異なる意味を有し得る。好ましくは、それらは同じ意味を有する。一層好ましくは、それらは式(a)の基を意味する。
【0084】
同様にまた、式(VII)中の二つの記号R2及びR4は、同じ意味又は異なる意味を有し得る。好ましくは、それらは同じ意味を有する。
【0085】
上記の蛍光増白剤は公知であり、あるいは公知増白剤に類似して公知方法により製造され得る。ジアミノスチルベン及びビススチルビル系のアニオン性蛍光増白剤はたとえば米国特許第4888128号明細書に記載されており、1,3−ジフェニルピラゾリン系のアニオン性蛍光増白剤はたとえばRev. Prog. Coloration,Vol.17,1987,第46〜47頁に記載されている。特に式(VII)の、ビストリアジニルアミノスチルベンジスルホン酸系の蛍光増白剤は、たとえば国際公開第96/00221号パンフレット、第99/67317号パンフレット及び第01/46323号パンフレットに、英国特許出願公開第1239276号明細書、第1313469号明細書及び第1471193号明細書に、並びに特開昭62−106965号公報及び63−282382号公報に記載されている。上記の蛍光増白剤の中で、式(VII)のもの、たとえば2から10個のスルホ基を有するもの特に2から8個好ましくは4から6個の−SO3M基を含有するもの、たとえば国際公開第96/00221号パンフレット、第99/67317号パンフレット及び第01/46323号パンフレットに記載されているものが好ましい。
【0086】
式(VII)中のMは、好ましくはアルカリ金属カチオン又は水素、特にリチウム、ナトリウム及び/若しくはカリウム又はいずれかの組合わせである。
【0087】
蛍光増白剤(D1′)は、商業的に入手できるようないかなる形態にても、たとえば粉末又は顆粒((C1)との結合前に水中に溶解され得る)として用いられ得、あるいは格別有利には、それらは生成から直接的に水溶液の形態にて用いられ得る。
【0088】
本発明の特定の特徴によれば、(D1′)及び適当な割合の(C1)−たとえば、(C)の0.1から90%好ましくは1から80%−は、(D1′)が(C1)と重合及び/又は架橋反応の完了前のその生成中に結合される形態にて用いられる。
【0089】
生成されたポリマー(C1)(所望される場合、別のカチオン性ポリマー特にカチオン性デンプンとたとえば20%までの後者対(C1)の重量比にて混合して)は、好都合には水溶液の形態にて、(D1′)の溶液と結合され得る。しかしながら、好ましくは(C1)も(C2)もいかなる他のカチオン性ポリマーとも結合されない。本方法の一つの特徴によれば、(D1′)と(C1)との予備結合について、(D1′)の水溶液は、確立された割合の(C1)の水溶液に、好ましくは段階的に及び加熱しながらたとえば40℃から沸点好ましくは40から90℃の範囲の温度にて添加される。本方法の変型の好ましい特徴によれば、蛍光増白剤(D1′)の少なくとも一部−好都合には、その水溶液の形態にて−は架橋反応が完了する前に添加され、そして(D1′)の溶液の残りの部分は架橋反応中に添加され、その結果蛍光増白剤アニオンが(C1)のカチオンの一部に対する対イオンであり且つ(D1′)はまた(C1)により同伴される(又は絡み合っている)水性組成物が得られる。pHは、適当には、(D1′)でもっての(C1)の塩形成が利されるように、好都合には弱酸性から明白にアルカリ性の範囲にて、好ましくは5から10一層好ましくは5.5から9の範囲のpHにて選ばれる。(D1′)対(C1)又はその前駆体の比率は、得られる生成物がカチオン特性を有する((C1)のカチオンに因る総カチオン電荷が(D1′)でもって導入されるアニオン電荷を超える又は好ましくは(C1)中のカチオン特に第4級カチオンの数が(D1′)でもって導入されるアニオンの数より大きいことを意味する)ように選ばれ得る。(D1′)でもって導入される総アニオン基対(C1)中の総第4級アンモニウム基の比率は、たとえば、2/100から60/100の範囲にある。(D1′)対(C1)の重量比は、相応して適当なように、たとえば1/100から40/100の範囲にて選ばれる。(D1′)対(C1)の適当な前駆体の重量比は、相応して選ばれる。結合された生成物(CD1′)のカチオン性度(すなわち、(CD1′)のグラム当たりミリ当量で表されたところの(D1′)と関わり合っていない第4級アンモニウム基の量)は、(C1)のカチオン性度より劣り、好ましくは少なくとも0.1meq/g劣り、そしてたとえばpH7において0.1から1.2meq/g好ましくは0.2から1meq/g一層好ましくは0.45から0.85meq/gの範囲にある。カチオン性度は、たとえば、トルイジンブルーを指示薬として用いて(青色=カチオン性からピンク色=アニオン性)、pH4、7及び9(塩酸又は水酸化カリウム溶液により調整される)において、ポリビニルカリウムサルフェート溶液(たとえば、0.00052N)でもっての0.1重量%(CD1′)溶液の滴定により、光電池を備えた「電荷分析器」によって査定され得る。かかる(D1′)含有ポリマーは、たとえば国際公開第99/67317号パンフレットに記載されている。(D1′)はまた、(P)を製造する時に(C1′)と混合され得る。
【0090】
(D1′)が用いられる場合、存在する(C)の総量に対するその割合は、適当には、(C)と(D1′)との総結合物が明白にカチオン性になるような範囲にて選ばれる。
【0091】
(D1″)として、たとえばパステルカラーコーティング剤を提供するために、いかなる好ましくは水溶性の染料も用いられ得、たとえばカチオン性若しくは塩基性又はアニオン性染料、主として直接染料が用いられ得る。たいてい、染料は(P)において用いられない。
【0092】
微生物の有害活性を防除するために、慣用作用剤(D2)、主として、細菌成長阻止剤又は/及び殺生物剤主として殺カビ剤が用いられ得る。商業的に入手できる製品が用いられ得、しかしてこれらの製品は推奨濃度にて、たとえば水性組成物(P)に関して0.001から0.1重量%の活性物質の濃度にて用いられ得る。
【0093】
コーティング組成物(P)のpHは、広範囲にたとえば弱酸性から明白に塩基性の範囲に、特にpH4からpH10に好ましくはpH5からpH9.5にあり得る。(P)のpHは、所望される場合、たとえばその組成に並びにその予定使用にすなわち特に基材の種類及び所望効果に依存して最適にされ得る。定められた組成及び使用についての最適pHは、数回の予備試験により査定され得る。pH調整が成される場合、これは、公知の酸(たとえば、塩酸、硫酸若しくはリン酸のような鉱酸、又は低分子脂肪族カルボン酸たとえばC1~6カルボン酸(ギ酸、酢酸、乳酸又はクエン酸のような))、塩基(たとえば、ナトリウム若しくはカリウムの水酸化物若しくは炭酸塩、又は水酸化カルシウム)又は緩衝塩(たとえば、水溶性塩基性アルミニウム塩、又はアルカリ金属の一及び/若しくは二水素リン酸塩特にナトリウム若しくは/及びカリウムの一及び/若しくは二水素リン酸塩)の添加により行われ得る。たいてい、適当なpHは用いられる成分(A)、(B)及び(C)の組成から既に生じ得、従って別個のpH調整は避けられさえされ得、すなわち従って(D3)の別個の添加は必要でないであろう。
【0094】
(D4)として、商業的に入手できるような公知製品特に脱泡剤、増粘剤、流動剤が用いられ得、しかしてこれらの公知製品は推奨濃度にて、たとえば水性組成物(P)に関して0.001から0.2重量%の濃度にて用いられ得る。好ましくは、増粘剤及び流動剤は添加されない。脱泡剤の添加の所望度は、(P)の特定の組成に、特にバインダー(B)の種類に−特に泡発生性界面活性剤が存在する場合、たとえば(B2)の種類のバインダーが泡発生性界面活性剤を含む場合−及び鉱物顔料(A)の種類に依存し得る。好ましくは、脱泡剤(D4)は、特に(A)がシリカ若しくは/及びケイ酸塩を含む場合並びに/又は(B)が(B1)好ましくはポリビニルアルコールである場合用いられない。
【0095】
(D5)として、公知製品、特に当該技術において知られた及び商業的に入手できる添加剤が用いられ得る。(D5)として、たとえばポリエチレングリコール(主として、カーリング防止剤として)及び/又はアルデヒド若しくはアルデヒド誘導樹脂(主として、引裂き抵抗用添加剤として)(たとえばジアルデヒド又はメラミン/ホルムアルデヒド樹脂のような)が用いられ得る。難燃剤として、たとえば、ポリリン酸アンモニウムたとえば国際公開第02/044470号パンフレットに記載されたものが用いられ得る。(D5)として典型的には、ポリエチレングリコール、特に1500から8000の範囲の平均分子量のものが、たとえばバインダー(B)に関して1から10%の量的比率にて用いられ得る。好ましくは、樹脂(D5)は添加されない。
【0096】
(D6)として、たとえば酸素又は/及びUV線暴露に感受性であり得るところの選択されたバインダー(B)及び/又はいかなる他のポリマー添加剤にも依存して所望され得るような(特に、(B)が(B2)である場合又は/及びホルムアルデヒド誘導樹脂が(D5)としてたとえば引裂き強度用添加剤として用いられる場合)、公知のUV吸収剤又は/及び酸化防止剤が用いられ得る。好ましいバインダー(B1)の場合は、特に(B1)としてポリビニルアルコールが用いられる場合、好ましくは(D6)は添加されない。
【0097】
コーティング組成物(P)は、好ましくは、バインダー(B)の水性組成物−特に、(B1)の水性の少なくともコロイド状の溶液又はラテックス(B2)の水性乳濁液−を白色鉱物顔料粒子(A)と混合して−特に、逐次的に最初に(A2)をそして次いで(A1)を混合して−(A)及び(B)の水性スラリー又は分散液を生成させそして(C)の水溶液を添加することにより製造され得る。コーティング組成物(P)が1つ又はそれ以上の成分(D)も含有することになっている場合、これらは、必要又は所望されるように(C)と結合して及び/又は別個に添加され得る。
【0098】
本方法は、好ましくは、最初に(A2)を(B)の水性組成物中に撹拌しながら注ぎ、そして(A2)が該水性組成物中に一様に分布した時にその中に(A1)も好ましくはヒドロゾルたとえば10〜50%濃度のものの形態にて注ぎ、そして(A1)も該水性組成物中に一様に分布するまで撹拌し続け、そして次いで(C)の水溶液を撹拌しながら添加することにより行われ得る。1つ又はそれ以上の成分(D)も添加されることになっている場合、これは、(C)と一緒に又は別個に、特に(C)の混合後に行われ得る。成分(D1′)は、(C)と一緒に(たとえば、予備形成された結合物又は混合物として)又は引き続いて添加され得る。(D1″)は、好ましくは、引き続いて添加される。(D1)は、好ましくは、水性濃厚溶液たとえば5〜70%好ましくは10〜60%の(D1)含有率のものの形態にて添加される。(D2)は、好ましくは、その他の成分の後に添加される。(D3)、(D4)及び/又は(D6)は、たとえば(C)の添加と一緒に又は添加後に添加され得る。(D5)は、好ましくは、最後に(所望される場合、(P)の使用の直前にさえ)添加される。これらの混合操作は、慣用混合機にて非常に簡単なやり方で、適当には加熱することなくたとえば15〜25℃の範囲の温度にて行われ得る。
【0099】
本発明の水性コーティング組成物の乾燥物質含有率は、予知される用途に適している又は所望されるように広範囲に、たとえば2から40重量%好ましくは5から30重量%一層好ましくは8から20重量%の範囲にあり得る。用いられる混合物成分(主として、水性バインダー(B)及び(C)の水溶液、並びに随意に、慣用の水性調製物の形態にて添加され得る成分(D))の水含有率は、好都合には、(P)の所望される最終濃度にほぼ又は正確に合うように選ばれ得、そして必要とされる場合、いくらかの更なる水が次いで添加されて水含有率が調整され得る。組成物(P)の粘度は、広範囲に、たとえば20℃において2000mPa・sまでの範囲にあり得る。20℃におけるそれらの粘度は、好ましくは100から1000mPa・s一層好ましくは200から800mPa・sの範囲にある。
【0100】
そのように生成された水性コーティング組成物(P)は、使用の用意ができている。
【0101】
本発明の組成物(P)は、用途に所望され得るようなそれらの顕著な安定性、特に貯蔵及びまた輸送に対する安定性により識別される。コーティング組成物(P)は、特に、必要とされるような使用コーティングアセンブリー又は機械に供給するために用いられるために、たとえば紙のコーティング工場において又はプラスチックフィルム若しくは箔のコーティング工場において、1日の仕事に必要とされるような量にて製造されそして次いでまる1日間貯蔵され得る。それらはまた、それらが貯蔵されていた容器で輸送され得、あるいはそれらの組成及び形態に何ら損傷を受けることなく更なる使用のために所要現場に適当なパイプを通じてポンプ輸送することによってさえ運ばれ得る。
【0102】
それらは、インクジェット記録用基材を製造するためコーティングするために慣用的に用いられるようないかなる適当な支持体にも(特に、原紙又はコロナ処理プラスチックフィルム若しくは箔上に)施用され得、そしてかくして本発明は更にインクジェット記録用基材(JS)の製造方法であって、適当な支持体(S)好ましくは原紙(S1)又はコロナ処理プラスチックフィルム若しくは箔(S2)を水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)でコーティングし、そして乾燥する方法を提供する。
【0103】
コーティング組成物に対する紙支持体(S1)として、コーティングのために通常用いられるようないかなる種類の原紙も、すなわち最も薄いオニオンスキン紙から重板紙まで用いられ得、しかしてこれらの原紙は、一般に、セルロース繊維材料の大きい選択範囲から、たとえば木材繊維(主として、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ又は再生パルプの形態のもの)、一年生植物、ボロ(リネン、麻、綿、ジュート、等のもの)、再生紙、又はリサイクル及び随意に脱インキされた紙から製造され得る。コーティングされるべき紙は、サイジングされていなくてもサイジングされていてもよい。特別な場合に、合成紙もまた、支持体として用いられ得る。好ましくは、支持体(S1)として、慣用のハードコピー機又は印刷機、主としてプリンター、テレファックス受信機及び複写機に用いるためのインクジェット記録用紙に適しているような原紙(インクジェット記録用コーティング剤に対する支持体として慣用的に用いられるようないかなる生紙又はサイジングされた紙でもあり得る)であって、印刷画像(通常、30から200g/m2好ましくは40から120g/m2一層好ましくは50から100g/m2の範囲の平方メートル重量のもの)がインクジェット印刷により生成される原紙が用いられる。
【0104】
本発明のコーティング剤に対する支持体として用いられるプラスチックフィルム又は箔(S2)として、シート形態特に箔又はフィルムの形態のいかなる慣用の熱可塑性樹脂材料も用いられ得る。かかる合成樹脂系熱可塑性樹脂支持体は、たとえば、ポリエステル(たとえば、テレフタル酸とエチレングリコールのもの)、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテート、ポリエチレン及びポリカーボネートのフィルム又は箔であり得る。それは透明(すなわち、不透明にする分散された顔料粒子又は気体微泡を有さない)であり得、あるいはそれは白色顔料(たとえば二酸化チタン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク及び酸化亜鉛のような)で又は分散された空気微泡(熱可塑性ミクロフォームの形態にて)で不透明にされ得る。フィルム又は箔(S2)の厚さは、インクジェット記録用コーティング剤に対する支持体について慣用であるとおりであり得、たとえば10から300μmの範囲であり得る。適当には、合成フィルム又は箔は、コーティングする前にコロナ処理される。所望される場合、プラスチック支持体(S2)とインキ受理層との間の接着性を改善するために、コーティングする前に、接着剤層−たとえば、(B)又はポリウレタン系若しくはアルキド樹脂系接着剤好ましくは(B)の種類のもの−が、たとえば乾燥物質に関して0.1から10g/m2の施用重量にて、プラスチックフィルム又は箔上に施用され得る。
【0105】
コーティング組成物(P)は、公知装置でもって(たとえば、ロッドでもって、ブラシでもって、ブレードでもって、フローコーターでもって若しくはエアナイフでもって、又はサイズプレス特に予備計量型サイズプレス−格別高い施用重量を可能にする−ででさえ)、公知方法により支持体(S)上に施用され得る。コーティングは、不連続な又は連続したやり方で、特に紙の連続高速製造中に行われ得る。本発明のコーティング組成物(P)は、インクジェット記録のために有効な基材をもたらすような施用重量すなわちコーティング重量にて、たとえば乾燥物質に関して1から100g/m2好ましくは3から50g/m2一層好ましくは8から15g/m2の範囲のコーティング重量にて、支持体に施用され得る。コーティング剤は、1回の唯一施用にて、又は所望される場合は2回若しくはそれ以上の逐次施用(前のコーティング層の乾燥後又はウェット・オン・ウェットにてでさえのどちらかにて)にてでさえ施用され得る。好ましくは、(P)でもってのコーティングは1回のみのコーティング施用にて施用され、そして次いで乾燥される。
【0106】
コーティング剤の固着は、本質的に慣用のやり方で、適当には加熱することにより(好ましくは通常の乾燥工程中に、たとえば50と120℃の間好ましくは65と120℃の間一層好ましくは80と110℃の間の範囲たとえば>100℃の温度にて)行われ得る。
【0107】
所望される場合、コーテッド基材は、乾燥プレス若しくは平滑プレスの圧力に付され又はカレンダー掛けされ(たとえば、慣用のカレンダー又はスーパーカレンダーで)得る。しかしながら、これらのシステムにて作用する高圧の作用はコーティング膜の多孔性に悪影響を及ぼし得る(特に、隙間細孔及び一次粒子の分布の観点で)ので、コーテッド基材をかかる高圧に付さないことが好ましく、しかしコーティングされそして乾燥された基材(JS)は、−随意に、単に乾燥プレス又は乾燥カレンダーに通すことにより乾燥を完了した後−仕上げ(巻取り又は所要シートサイズへの切断、出荷及び販売のための包装)及び使用に直接的に向けられ得る。
【0108】
本発明の特定の特徴によれば、コーテッド基材(JS)は、乾燥及び/又は仕上げ前に、更なるコーティング組成物(PG)でトップコーティングされ得、しかしてトップコーティング膜がジェットインキ浸透性であり及び特に高光沢であるコーテッド基材(JSG)をもたらす。光沢コーティング膜を与えるコーティング組成物(PG)は、典型的には、(A1)タイプのコロイド顔料、及び組み込まれたケイ素成分を含有する(B)の種類のバインダー(BS)を含有し、しかしてこれらのバインダー(BS)は、たいてい、エチレン不飽和モノマー(主として、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン又は/及び他の不飽和モノマー(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのような)のようなビニルモノマー)のコポリマー−ポリビニルアセテートは少なくとも部分的にポリビニルアルコールに加水分解される−であり、しかもコモノマーの小割合はシリル又はアルコキシシリル置換基を含有しあるいはPVAのヒドロキシ基の小割合はアルコキシシリル基で特にトリアルコキシシリルで置換され、また随意にヒドロゾルの形態にあり得る。この種のバインダー及び対応する光沢トップコーティング剤は、たとえば国際公開第02/74549号パンフレット、国際公開第00/74945号パンフレット、国際公開第00/23533号パンフレット及び欧州特許出願公開第1048479号明細書に記載されている。コロイド顔料(A1)は、(P)について上記に記載されたのと同じ種類及び同じ割合にあり得、(P)の顔料(A1)と(PG)中のものは同じであり得、あるいは互いから異なりさえし得る。格別好ましい特徴によれば、(PG)中の顔料は、上記に挙げられたようなシリカ系又はケイ酸塩系顔料である。コーティング組成物(PG)はまた、随意に、成分(D)、特に(D2)から(D6)の一つ又はそれ以上を、好ましくは(P)について上記に挙げられた割合にて含有し得る。光沢コーティング組成物(PG)は、前のコーティング膜の表面に、本質的に慣用の方法により、特に剥離支持体から好ましくは鏡面剥離ドラムから施用され得る。これについて、コーティング組成物(PG)は剥離支持体に施用され、そして次いで(P)でコーティングされた基材に(P)又は(PG)の乾燥前、中又は後に転移され得る。好都合には、(P)又は(PG)のどちらかは未だ完全には乾燥されていない。作業の一つのやり方によれば、(PG)は剥離支持体の流延鏡面(加熱される)に施用され、そして加熱しながらトップコーティング層が剥離支持体からコーテッド基材に転移される。欠陥のあるすなわち不完全な剥離を避けるために、(PG)はまた、有利には、ワックス、高分子脂肪酸のアミド(たとえば、脂肪酸基中に12から30個の炭素原子を有するもの)又はかかる脂肪酸の金属塩(たとえば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウム塩)のような剥離剤を含有し得る。更に、前のコーティング層への光沢トップコーティング層の接着性を改善するために、ゲル化用添加剤、特にバインダー(B)及び(BS)と反応することの可能な架橋剤−たとえば、ジアルデヒド−が、(PG)若しくは(P)中に又は両方中に添加され得る。剥離剤は、たとえば、(PG)の乾燥物質分に関して0.1から25%好ましくは0.5から10%の濃度にて(PG)中に存在し得る。ゲル化剤は、たとえば、乾燥バインダーに関して0.5から50%好ましくは1から20%の濃度にて存在し得る。トップコーティング層(PG)において、存在するバインダー(BS)の割合は好ましくは(P)中においてより高く、そしてたとえば(P)中の(B)の量の1.5から2.5倍である。剥離支持体、特に流延鏡面のものは、好ましくは、剥離及び乾燥のために50から200℃好ましくは70から160℃の範囲の温度に加熱される。
【0109】
そのように生成されたコーテッド基材(JS)(随意に、(PG)でトップコーティングされて(JSG)にされたもの)は、印刷特にインクジェット印刷(たとえば、商業的に入手できるような慣用ジェットインキでもって並びに様々な動作システム及び品質のプリンター、ファクシミリ受信機及び複写機のような慣用インクジェット記録印刷機にて)用基材として顕著に適している。それらは、いかなる黒色又は多色プリンター用にも並びに最高の解像度及び/又は速度のインクジェットプリンター用にさえ格別適している。
【0110】
本発明によれば、高い品質特に艶、不透明度、表面堅牢性(たとえば、耐光堅牢性、耐水堅牢性又は摩擦堅牢性)、白色度及び老化安定性を有するコーティング膜が得られ得、しかもそれらの上に、高解像度(たとえば、≧1200dpi及び/又は≧141lpi)のハードコピーシステムでもってさえ、黒色にあろうが、単色にあろうが又は特に多色にあろうが、特にプリント品質に関して−鮮鋭度、フェザリング、滲み(典型的には、黄色上の黒色)、まだら及び滲み通しの観点で−顕著な品質のインクジェットプリントが生成され得、しかもプリントは特定の使用ジェットインキ及び/又はハードコピーシステムに高度に無関係である。
【0111】
次の例において、別段指摘されていなければ部及び百分率は重量による。重量部は、グラム対ミリリットルのように、容量部に関係づけられる。温度は、摂氏度にて示される。ジェットインキ印刷の例は、最大解像度にて行われる。
【0112】
ポリカチオン性架橋ポリマー(C)の製造
例1
109.2部のソルビトールを55.2部のグリセロールと混合し、そして100℃に加熱して溶液を形成させる。1部の三フッ化ホウ素エーテラートを添加し、そしてこの混合物を撹拌しそして70℃に冷却する。333部のエピクロロヒドリンを、冷却しながら70〜80℃にて1時間かけて滴加する。この反応混合物を20℃に冷却し、そして135部の60%ジメチルアミン水溶液を添加し、そしてこの反応混合物を90℃にゆっくり加熱しそして1時間保つ。次いで、この反応混合物を50℃に冷却し、そして150部の30%水酸化ナトリウム及び100部の水を添加する。この混合物を50〜60℃に保ち、しかしてこの混合物はそれが重合するにつれてゆっくり増粘する。この時間中、粘度が増加するにつれて、追加の水(275部)を添加する。最後に、反応混合物が1000cPの粘度に達する時、20部のギ酸を添加して4のpHにもたらすことにより反応を停止する。
【0113】
例2
例1に記載された操作を繰り返すが、109.2部のソルビトールの代わりに81.6部のペンタエリトリトールを用いることが相違する。
【0114】
例3
例1に記載された操作を繰り返すが、55.2部のグリセロールの代わりに37.2部のエチレングリコールを用いることが相違する。
【0115】
例4
例1に記載された操作を繰り返すが、135部のジメチルアミンの代わりに208.8部のテトラメチルエチレンジアミンを用いることが相違する。
【0116】
例5
例1に記載された操作を繰り返すが、109.2部のソルビトールと55.2部のグリセロールとの混合物の代わりに110.4部のグリセロールを用いることが相違する。
【0117】
例6
92部のグリセロールを、80℃に加熱する。0.1部の三フッ化ホウ素酢酸錯体を添加し、そして冷却しながら80℃にて277.5部のエピクロロヒドリンを1時間かけて滴加する。この添加が完了する時、反応混合物を20℃に冷却する。80部の水を、100部の生成クロロヒドリンに添加する。この混合物を撹拌し、そして温度を50℃に保ちながら50.7部のジエチレントリアミンを2時間かけてゆっくり添加する。次いで、この反応混合物を60℃に温めそしてこの温度に2時間保ち、しかしてこの混合物はそれが重合するにつれてゆっくり増粘する。次いで、この混合物を235.6部の水で希釈し、そして60℃に加熱し戻す。これをこの温度に更に約1時間維持し、そして次いで100部の水を添加する。この混合物を60℃に更に1時間保ち、そして次いで151.2部の水を添加し、そして20℃において500〜1500cPの粘度が達成されるまでこの混合物を60℃に約1時間保つ。次いで、36部の水性85%ギ酸を添加し、そしてこの生成物を周囲温度に冷却して、20%の活性物質含有率を有する753.5部の生成物がもたらされる。この生成物は、pH4の明澄な淡黄色粘稠液体である。測定カチオン電荷は、pH4において乾燥物質に関して3.9meq/gである。
蛍光増白剤(D1′)とポリカチオン性ポリ第4級架橋ポリマー(C1)との結合物(CD1′)の製造
【0118】
例7
109.2部のソルビトールを55.2部のグリセロールと混合し、そして100℃に加熱して溶液を形成させる。1部の三フッ化ホウ素エーテラートを添加し、そしてこの混合物を撹拌しそして70℃に冷却する。333部のエピクロロヒドリンを、冷却しながら70〜80℃にて1時間かけて滴加する。この反応混合物を20℃に冷却し、そして135部の60%ジメチルアミン水溶液を添加し、そしてこの反応混合物を90℃にゆっくり加熱しそして1時間保つ。次いで、この反応混合物を50℃に冷却し、そして150部の30%水酸化ナトリウム及び100部の式
【化8】

の蛍光増白剤のナトリウム塩の18.4%水溶液を添加する。この混合物を50〜60℃に保ち、しかしてこの混合物はそれが重合するにつれてゆっくり増粘する。この時間中、粘度が増加するにつれて、更に680部の該18.4%増白剤溶液を添加する。最後に、反応混合物が1000cPの粘度に達する時、10部のギ酸を添加して6のpHにもたらすことにより反応を停止する。測定カチオン電荷は、0.7meq/gである。
【0119】
例8
280.8部のソルビトールを142部のグリセロールと混合し、そして撹拌しながら90℃に加熱して溶液を形成させ、次いで80℃に冷却する。2部の三フッ化ホウ素酢酸錯体を添加し、そしてこの混合物を更に10分間撹拌する。43.5部のエピクロロヒドリンを80℃にて添加し、そして発熱反応が始まった時、冷却しながら80〜85℃にて更に802.4部のエピクロロヒドリンを1時間かけて滴加する。次いで、この反応混合物を50℃に冷却し、そして反応容器中の雰囲気を排気する。347.2部の60%ジメチルアミン水溶液を引き込み、そしてこの反応混合物を90℃にゆっくり加熱しそして1時間保つ。次いで、この反応混合物を50℃に冷却し、そして真空を解放する。361.6部の32%水酸化ナトリウム、292.0部の水及び1720.0部の式
【化9】

の蛍光増白剤のナトリウム塩の13%水溶液を添加する。この混合物を50〜60℃に保ち、しかしてこの混合物はそれが重合するにつれてゆっくり増粘する。最後に、反応混合物が1000cPの粘度に達する時、49.2部のギ酸を添加して5〜6のpHにもたらすことにより反応を停止する。
【0120】
コーティング組成物(P)の製造
コーティング組成物(P1)
10%水溶液の形態の30部のポリビニルアルコールPOVAL105を、60部のSIPERNAT570(6.7μmの平均粒子サイズ、2から10μmの範囲のサイズ範囲の粒子、750m2/gの比表面積、水中5%濃度において6.0のpH及びISO3262/17に従って測定して強熱された形態に関して99%のSiO2含有率を有する沈殿シリカ)と混合する。沈殿シリカがこの水性混合物中に一様に分布した時、40部のコロイドシリカ(50nmの平均粒子サイズ、50m2/gの比表面積及び9のpHを有する30%ヒドロゾルCARTACOAT K303Aの形態のもの)を掻き混ぜ込み、そして次いで10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)も掻き混ぜ込む。得られたコーティング組成物は、400mPa・sの粘度及び7のpHを有する。
【0121】
例1のポリマーに類似して、例2〜5のポリマーが用いられ得る。
【0122】
コーティング組成物(P2)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、60部のSIPERNAT570の代わりに60部のSIPERNAT310(5.5μmの平均粒子サイズ、2から10μmの範囲のサイズ範囲の粒子、750m2/gの比表面積、水中5%濃度において6.0のpH及びISO3262/17に従って測定して強熱された形態に関して99%のSiO2含有率を有する沈殿シリカ)を用いることが相違する。
【0123】
コーティング組成物(P3)
10%水溶液の形態の30部のポリビニルアルコールPOVAL105を、60部のSIPERNAT570(6.7μmの平均粒子サイズ、2から10μmの範囲のサイズ範囲の粒子、750m2/gの比表面積、水中5%濃度において6.0のpH及びISO3262/17に従って測定して強熱された形態に関して99%のSiO2含有率を有する沈殿シリカ)と混合する。沈殿シリカがこの水性混合物中に一様に分布した時、40部のコロイドシリカ(50nmの平均粒子サイズ、50m2/gの比表面積及び9のpHを有する30%ヒドロゾルCARTACOAT K303Aの形態のもの)を掻き混ぜ込み、そして次いで5部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)も掻き混ぜ込み、次いで15部の式(1)の蛍光増白剤のナトリウム塩の18.4%水溶液を掻き混ぜ込む。
【0124】
コーティング組成物(P4)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、30部のポリビニルアルコールPOVAL105の代わりに30部のポリビニルアルコールPOVAL117を用いることが相違する。
【0125】
コーティング組成物(P5)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、60部のSIPERNAT570の代わりに48部のSIPERNAT570と12部のヒュームドシリカAEROSIL MOX170(170m2/gの比表面積を有する平均粒子サイズ=15μmの一次粒子の集塊としての、二酸化ケイ素及び1%の酸化アルミニウムから成る共ヒュームド酸化物)(その水性分散液AEROSIL K315(15%のSiO2含有率及び5〜6のpHを有する)の形態のもの)との混合物を用いることが相違する。
【0126】
コーティング組成物(P6)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を10部の例6のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)により置き換えることが相違する。
【0127】
コーティング組成物(P7)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を5部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)と15部の例7の生成物(生成された水溶液の形態のもの)との混合物により置き換えることが相違する。
【0128】
コーティング組成物(P8)
コーティング組成物(P7)について記載された操作を繰り返すが、例7の生成物の代わりに同じ量の例8の生成物を用いることが相違する。
【0129】
コーティング組成物(P9)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、60部のSIPERNAT570及び40部のコロイドシリカの代わりに90部のJETCOAT PCC(米国のSMIのもの)(約6μmの平均粒子サイズ及び80m2/gの比表面積を有する微結晶質炭酸カルシウム)及び10部のコロイドシリカを用いる並びに30部のPOVAL105の代わりにその20部を用いることが相違する。
【0130】
光沢コーティング組成物(PG1)
重合容器に380部の水、2部のナトリウム(C7~21アルキル)−アリル−スルホスクシネート及び1部のスチレンスルホン酸を装填し、撹拌してこれらの成分を溶解し、そして80℃に加熱する。15部の2%過硫酸カリウム溶液を添加し、そして97部のモノマー混合物(2部のビニルトリエトキシシラン、79部のスチレン、3部のメタクリル酸及び13部のメチルメタクリレートのモノマー混合物)を4回に分けて30分の間隔にて添加し、そして重合を2時間の総期間かけて進行させる。添加の完了後、反応混合物を1時間熟成させて、35nmの乳化粒子の平均粒子サイズの帯青白色合成樹脂乳濁液がもたらされる。
【0131】
100部のこの乳濁液を30部のコロイドシリカ(30%濃度のヒドロゾルとして添加される)と混合し、次いで5部の増粘剤ポリビニルアルコール(5%水性希釈物として)及び2部のポリエチレンワックス剥離剤並びに十分な水と混合して、10%乾燥物質含有率のコーティング組成物がもたらされる。
【0132】
比較コーティング組成物(Q1)
コーティング組成物(P1)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を10部のCARTAFIX VXU(Clariantのもの)の形態のポリ(N,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド)により置き換えることが相違する。
【0133】
比較コーティング組成物(Q2)
コーティング組成物(P9)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を10部のCARTAFIX VXU(Clariantのもの)の形態のポリ(N,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド)により置き換えることが相違する。
【0134】
比較コーティング組成物(Q3)
コーティング組成物(P3)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を10部のCARTAFIX VXU(Clariantのもの)の形態のポリ(N,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド)により置き換えることが相違する。
【0135】
比較コーティング組成物(Q4)
コーティング組成物(P7)について記載された操作を繰り返すが、10部の例1のポリマー(生成された水溶液の形態のもの)を10部のCARTAFIX VXU(Clariantのもの)の形態のポリ(N,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド)により置き換えることが相違する。
【0136】
施用例
施用例A1
コーティング組成物(P1)を乾燥形態に関して14g/m2のコーティング重量にて、商業用の90g/m2の中性サイジングされた(慣用のアルキルケテンダイマーでもって)サラシ紙ベースシートに、自動式線巻きバー型アプリケーターを用いて、標準の速度設定及びバー上の標準荷重でもって施用する。このコーテッド紙を、乾燥炉で105℃にて2分間そして引き続いて乾燥プレスで90秒乾燥する。
【0137】
施用例A2〜A9
施用例A1に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P1)の代わりにコーティング組成物(P2)、(P3)、(P4)、(P5)、(P6)、(P7)、(P8)及び(P9)の各々の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0138】
比較施用例A10
施用例A1に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P1)の代わりにコーティング組成物(Q1)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0139】
比較施用例A11
施用例A3に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P3)の代わりにコーティング組成物(Q3)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0140】
比較施用例A12
施用例A7に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P7)の代わりにコーティング組成物(Q4)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0141】
比較施用例A13
施用例A9に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P10)の代わりにコーティング組成物(Q2)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0142】
施用例B1
コーティング組成物(P1)を乾燥形態に関して14g/m2のコーティング重量にて、商業用の100μmの厚さのコロナ放電処理されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)支持箔に施用する。このコーテッド箔を、100℃にて3分間乾燥する。
【0143】
施用例B2〜B9
施用例B1に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P1)の代わりにコーティング組成物(P2)、(P3)、(P4)、(P5)、(P6)、(P7)、(P8)及び(P9)の各々の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0144】
比較施用例B10
施用例B1に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P1)の代わりにコーティング組成物(Q1)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0145】
比較施用例B11
施用例B3に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P3)の代わりにコーティング組成物(Q3)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0146】
比較施用例B12
施用例B7に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P7)の代わりにコーティング組成物(Q4)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0147】
比較施用例B13
施用例B9に記載された操作を繰り返すが、コーティング組成物(P9)の代わりにコーティング組成物(Q2)の同じ施用重量を用いることが相違する。
【0148】
施用例C
施用例A1のコーテッド紙を、乾燥する前に、光沢コーティング組成物(PG1)でもって、乾燥物質に基づいて2g/m2のコーティング重量にて、加熱鏡面を備えた流延用ドラムにより80℃においてトップコーティングし、乾燥し、そして剥離して光沢のあるトップコーティング層がもたらされる。
【0149】
インクジェット印刷例
プリント例1
施用例A1に従ってコーティングされた紙に、CANON630プリンターで、黒色及び色彩のマークが着色地を横断する多色基本パターン(黄色、青色及びマゼンタ色並びに混色の地に境界を付ける)にて印刷する。色彩プリントの品質並びに色彩上の黒色及び他の色彩上の色彩プリントの品質は、特に鮮鋭度、フェザリング、滲み(特に、黄色上の黒色)、まだら及び滲み通しについて測定される場合に驚くべきほど高く、また耐光堅牢性も満足である。
【0150】
プリント例2
施用例A1に従ってコーティングされた紙に、EPSON STYLUS COLOR760プリンターで、プリント例1に類似して印刷して、このプリンターでも上述の測定において驚くべきほど高い品質のプリントがもたらされ、また耐光堅牢性も満足である。
【0151】
プリント例1及び2においてと同じ印刷に付された施用例A2からA9及びCに従ってコーティングされた基材もまた、非常に満足な印刷品質をもたらす。比較の目的のために、比較施用例A10〜A13に従ってコーティングされた基材もまた同じ印刷に付される。
【0152】
同様に、プリント例1及び2においてのような類似の印刷に付された施用例B1からB9に従ってコーティングされた基材もまた非常に満足な印刷品質をもたらし、また耐光堅牢性も満足である。比較の目的のために、比較施用例B10〜B13に従ってコーティングされた基材もまた同じ印刷に付される。
【0153】
施用例A1〜A9及び比較施用例A10〜A13に従ってコーティングされた基材上の上記のプリント例1及び2によるプリントを、インクジェットプリント品質(鮮鋭度、フェザリング、滲み、まだら及び滲み通し)及び耐光堅牢性について測定し、また施用例A3、A7及びA8並びに比較施用例A11及びA12によるコーティング膜を白色度についても比較する。施用例B1〜B9及び比較施用例B10〜B13に従ってコーティングされた基材上の上記のプリント例1及び2によるプリントもまた、インクジェットプリント品質(鮮鋭度、フェザリング、滲み、まだら及び滲み通し)及び耐光堅牢性について測定し、また施用例B3、B7及びB8並びに比較施用例B11及びB12によるコーティング膜を白色度についても比較する。対照として取られたそれぞれの比較例との比較の結果は、次の表1及び2に示されるように、次のとおり評価される。すなわち
0=対照
+=改善された
++=高度に改善された
【0154】
施用例A1〜A13に従ってコーティングされた基材についての結果は施用例B1〜B13に従ってコーティングされた基材についてのものと事実上同一であるので、表の第1欄は両方の基材を示す。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)であって、
(A)白色鉱物顔料粒子(A1)及び(A2
〔ここで、乾燥形態に関して、
(A1)は、5から80nmの範囲の平均粒子サイズのコロイド非孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は<100nmの粒子サイズであり、そして
(A2)は、0.5から25μmの範囲の平均粒子サイズの微孔質白色鉱物顔料粒子であり、しかもこれらの粒子の>99%は0.1から100μmの範囲の粒子サイズである〕、
(B)バインダー、及び
(C)オリゴ官能性アルコール(E)へのエピクロロヒドリンのクロロ末端付加生成物(F)との少なくとも1種の架橋性の少なくとも二官能性のアミン(G)及び随意に一官能性アミン(H)の消尽反応により得られ得るカチオン性架橋ポリマー、
並びに随意に
(D)1種又はそれ以上の配合添加剤
を含む水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項2】
(A1)がコロイドシリカ粒子であり、そして
(A2)が、沈殿シリカ、シリカキセロゲル、又は沈殿シリカ及び/若しくはシリカキセロゲルとヒュームドシリカとのブレンドから選択されたシリカ粒子である、
請求項1に記載の水性のシリカ系コーティング組成物(P)。
【請求項3】
乾燥形態の(A2)の比表面積が、≧200m2/g好ましくは>400m2/gである、請求項1又は2に記載の水性のシリカ系コーティング組成物(P)。
【請求項4】
(B)が
(B1)水中にコロイド状に可溶である非イオン性バインダー、及び
(B2)乳化ラテックス
から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項5】
(C)が、(C1)オリゴ官能性脂肪族アルコールへのエピクロロヒドリンのクロロ末端付加生成物との少なくとも1種の架橋性アミンの消尽反応からのカチオン性ポリ第4級架橋ポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項6】
(D)が
(D1)コーティング膜の光学的側面に影響を及ぼす作用剤、
(D2)微生物に対する安定性を改善する作用剤、
(D3)pH調整用電解質、
(D4)組成物の物理的形態に影響を及ぼす作用剤、
(D5)コーテッド基材の使用性質に影響を及ぼす添加剤、並びに
(D6)周囲酸素及び/又はUV線による劣化に対する安定剤
から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項7】
(D1)が、4,4′−ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン−2,2′−ジスルホン酸系のアニオン性蛍光増白剤であり、しかもこのアニオン性蛍光増白剤は随意に請求項5に定められたカチオン性ポリマー(C1)と結合される、請求項6に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項8】
アニオン性蛍光増白剤が、(C1)との予備形成された水溶性結合物の形態にて、(C)と(D1)との総結合物が明白にカチオン性になるような存在する(C)の総量に対する割合で用いられる、請求項7に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性の白色鉱物顔料系コーティング組成物(P)の製造方法において、(C)の水溶液を随意に成分(D)の存在下で(A)及び(B)の水性スラリーと混合し、そして随意の更なる(D)を添加する方法。
【請求項10】
コーテッドインクジェット記録用基材(JS)の製造用に適した支持体(S)をコーティングするための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の(P)の使用。
【請求項11】
支持体(S)が、紙又は随意にコロナ処理されたプラスチックフィルム若しくは箔から選択される、請求項10に記載の(P)の使用。
【請求項12】
コーテッドインクジェット記録用基材(JS)の製造方法において、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング組成物(P)を、コーテッドインクジェット記録用基材の製造用に適した支持体(S)に施用し、そして乾燥する方法。
【請求項13】
支持体が
(S1)紙、又は
(S2)随意にコロナ処理されたプラスチックフィルム若しくは箔
から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
光沢トップコーティングされた基材(JSG)の製造のために、コーティング組成物(P)でコーティングされた支持体を光沢トップコーティング組成物(PG)でオーバーコーティングし、そして乾燥する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法により製造されたコーテッドインクジェット記録用基材(JS)又は(JSG)。
【請求項16】
インクジェット記録用基材としての、請求項15に記載のコーテッド基材(JS)又は(JSG)の使用。
【請求項17】
高解像度のインクジェット印刷装置での多色インクジェット印刷用の基材としての、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
インクジェットプリンター、複写機又はファクシミリ受信機での、請求項16又は17に記載の使用。

【公表番号】特表2007−503520(P2007−503520A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530689(P2006−530689)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001721
【国際公開番号】WO2004/106079
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】