コーティング組成物およびコーティング膜付き物品

【課題】光の存在しない環境下であっても製膜直後から水の接触角が5°以下である超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を形成できるコーティング組成物;屋外などで持続的に雨水(流水)に晒される環境下にあっても長期に渡って自己浄化能(セルフクリーニング)による防汚効果を発揮できるコーティング膜付き物品を提供する。
【解決手段】平均粒子径が1〜40nmである親水性フュームドシリカ(A1)と;平均粒子径が0.1〜500μmであり、見掛け比容積が2〜12cm/gである非晶質の無機粉体(A2)と;樹脂(B1)、ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)、およびテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるバインダー(B)とを混合してなるコーティング組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超親水性のコーティング膜を形成できるコーティング組成物、および該コーティング組成物からなるコーティング膜を表面に有するコーティング膜付き物品に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外建築物の表面に付着した汚れを雨水(流水)によって自然に落としたり、ガラスや鏡の表面の曇りを防止したり、エアコンの熱交換機のアルミフィンの表面の凝縮水を防止して熱交換の効率を向上させたりする等の効果を得るために、基材の表面を高度に親水化することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アンモニアまたは揮発性アミンで中和した水分散性シリカゾルおよび水溶性の陰イオンおよびまたは非イオン界面活性剤および水溶性溶剤を含む親水防汚コーティング組成物が開示されている。しかし、この組成物を使用して得られるコーティング膜は、初期の親水性は良好であるものの、雨水(流水)によって界面活性剤が脱落しやすいため、その効果は一時的なものであり、長期に渡って親水性を維持することができないという問題がある。
【0004】
また、特許文献2には、アルコキシドの加水分解物およびまたは部分加水分解物と、微粒子シリカと、希釈溶媒と、表面張力調整剤とを含有し、微粒子シリカが、平均粒子径4nm以上〜20nm未満のものと、平均粒子径が20nm以上〜150nm以下のものの2種類以上の微粒子シリカの組み合わせからなる塗料組成物が開示されている。しかし、この塗料組成物を使用して得られたコーティング膜は、水の接触角が30°前後の親水性であって、水の接触角が5°以下になる超親水性には至っていない。そのため、自己浄化能(セルフクリーニング)による防汚効果が劣るという問題がある。
【0005】
また、酸化チタン等の光半導体を含ませたコーティング膜においては、光触媒作用によってコーティング膜の表面が親水性になることが広く知られている。しかし、このような効果は、製膜直後から得られるものではなく、光の存在しない環境下では光触媒作用が働かないため、親水性向上の効果を得ることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−265462号公報
【特許文献2】特開2010−144083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、光の存在しない環境下であっても製膜直後から水の接触角が5°以下である超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を形成できるコーティング組成物;屋外などで持続的に雨水(流水)に晒される環境下にあっても長期に渡って自己浄化能(セルフクリーニング)による防汚効果を発揮できるコーティング膜付き物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定範囲の小粒子径の親水性フュームドシリカと、特定範囲の大粒子径で特定範囲の見掛け比容積の非晶質の無機粉体と、バインダーとを混合してなるコーティング組成物を、各種の基材に塗布し、乾燥させた場合、製膜直後から超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のコーティング組成物は、平均粒子径が1〜40nmである親水性フュームドシリカ(A1)と;平均粒子径が0.1〜500μmであり、見掛け比容積が2〜12cm/gである非晶質の無機粉体(A2)と;樹脂(B1)、下記式(1)で表されるジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)、および下記式(2)で表されるテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるバインダー(B)とを混合してなるものであることを特徴とする。
【0010】
Si(R)(R)(OR)(OR) ・・・(1)
(式(1)中、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアミノアルキル基またはグリシドキシアルキル基であり、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
Si(OR)(OR)(OR)(OR) ・・・(2)
(式(2)中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0011】
前記バインダー(B)として、前記樹脂(B1)と;前記ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)および前記テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを併用することが好ましい。
【0012】
本発明のコーティング組成物は、下記組成物(α)または組成物(β)が好ましく、組成物(α)がより好ましい。
(α)前記親水性フュームドシリカ(A1)と、前記樹脂(B1)と、前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、前記親水性フュームドシリカ(A1)と前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させてなるものと、前記非晶質の無機粉体(A2)とを混合してなる組成物。
(β)前記親水性フュームドシリカ(A1)と、前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、反応させてなるものと、前記樹脂(B1)と、前記非晶質の無機粉体(A2)とを混合してなる組成物。
【0013】
本発明のコーティング膜付き物品は、本発明のコーティング組成物からなるコーティング膜を表面に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコーティング組成物によれば、光の存在しない環境下であっても製膜直後から水の接触角が5°以下である超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を簡単にかつ効率よく形成できる。
本発明のコーティング膜付き物品は、屋外などで持続的に雨水(流水)に晒される環境下にあっても長期に渡って自己浄化能(セルフクリーニング)による防汚効果を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<コーティング組成物>
本発明のコーティング組成物は、親水性フュームドシリカ(A1)と;非晶質の無機粉体(A2)と;樹脂(B1)、ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)、およびテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるバインダー(B)とを混合してなるものである。本発明のコーティング組成物には、必要に応じて希釈媒体、増粘剤、他の添加剤等をさらに加えてもよい。
【0016】
(親水性フュームドシリカ(A1))
親水性フュームドシリカとは、表面に親水性基であるシラノール基が存在しているフュームドシリカのことである。また、フュームドシリカとは、乾式法と呼ばれる気相反応で製造されるシリカのことであり、湿式法と呼ばれる液相反応で製造されるシリカ(コロイダルシリカ、シリカゲル等)と異なり、非晶質で細孔のない一次粒子が凝集して二次粒子、三次粒子となっており、非常に高い嵩高性を有する微粒子である。
【0017】
親水性フュームドシリカ(A1)の平均粒子径は、1〜40nmであり、得られるコーティング膜の親水性の観点から、1〜20nmが好ましく、7〜15nmがより好ましい。親水性フュームドシリカ(A)の平均粒子径が1〜40nmの範囲外である場合、入手が困難になる傾向にある。
親水性フュームドシリカ(A1)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて100個の一次粒子の粒子径を測定し、平均した平均一次粒子径である。
【0018】
親水性フュームドシリカ(A1)の市販品としては、AEROSIL 90G(平均粒子径20nm)、AEROSIL 130(平均粒子径16nm)、AEROSIL 200(平均粒子径12nm)、AEROSIL 300(平均粒子径7nm)、AEROSIL 380(平均粒子径7nm)、AEROSIL 300CF(平均粒子径7nm)、AEROSIL OX50(平均粒子径40nm)(以上、日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。
親水性フュームドシリカ(A1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
(非晶質の無機粉体(A2))
非晶質の無機粉体(A2)としては、例えば、シリカ、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムとの複合体、シリカと酸化亜鉛との複合体、シリカと酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合体等が挙げられ、得られるコーティング膜の親水性、価格、入手しやすさの観点から、シリカ、ケイ酸アルミニウムが好ましい。
【0020】
非晶質の無機粉体(A2)の平均粒子径は、0.1〜500μmであり、0.1〜200μmが好ましく、0.3〜50μmがより好ましい。非晶質の無機粉体(A2)の平均粒子径が0.1μm未満の場合、入手が困難になる傾向にある。500μmを超える場合、コーティング膜の親水性が低下する傾向にある。さらにはコーティング組成物の製品安定性が不良になる傾向にある。
非晶質の無機粉体(A2)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて100個の一次粒子の粒子径を測定し、平均した平均一次粒子径である。
【0021】
非晶質の無機粉体(A2)の見掛け比容積は、2〜12cm/gであり、2〜10cm/gが好ましく、4〜10cm/gがより好ましい。見掛け比容積が2cm/g未満の場合、コーティング膜の親水性が低下する傾向にある。12cm/gを超える場合、入手が困難になる傾向にある。
非晶質の無機粉体(A2)の見掛け比容積は、JIS K5101−12−1:2004にしたがって測定される。見掛け比容積の数値が大きいほど嵩高いと判断する。
【0022】
非晶質の無機粉体(A2)の市販品としては、非晶質シリカ(商品名ファインシールX−60、(株)トクヤマ製、平均粒子径6μm、見掛け比容積4.7cm/g)、非晶質水酸化アルミニウム(商品名キョーワード200S、協和化学工業(株)製、平均粒子径30μm、見掛け比容積3.7cm/g)、非晶質ケイ酸アルミニウム(商品名キョーワード700SL、協和化学工業(株)製、平均粒子径65μm、見掛け比容積3.0cm/g)、ハイドロタルサイト(商品名キョーワード500PL、協和化学工業(株)製、平均粒子径10μm、見掛け比容積5.2cm/g)、ケイ酸マグネシウム(商品名キョーワード600、協和化学工業(株)製、平均粒子径10μm、見掛け比容積4.8cm/g)、ケイ酸カルシウム(商品名フローライトR、(株)トクヤマ製、平均粒子径8μm、見掛け比容積10cm/g)、炭酸マグネシウム(商品名炭酸マグネシウムTT、(株)トクヤマ製、平均粒子径10μm、見掛け比容積4.5cm/g)等が挙げられる。
非晶質の無機粉体(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(バインダー(B))
バインダー(B)は、基材の表面に親水性フュームドシリカ(A1)およびまたは非晶質の無機粉体(A2)を担持する、または非晶質の無機粉体(A2)の表面に親水性フュームドシリカ(A1)を担持するためのものである。
【0024】
バインダー(B)は、樹脂(B1)およびアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるものである。バインダー(B)として、耐久性が良好なコーティング膜が得られる観点から、樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)を併用することが好ましい。
【0025】
バインダー(B)として、樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)を併用する場合、得られるコーティング膜の親水性と耐久性がより向上することから、本発明のコーティング組成物としては、下記組成物(α)または組成物(β)が好ましく、組成物(α)がより好ましい。
(α)親水性フュームドシリカ(A1)と、樹脂(B1)と、アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させてなるものと、非晶質の無機粉体(A2)とを混合してなる組成物。
(β)親水性フュームドシリカ(A1)と、アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、反応させてなるものと、樹脂(B1)と、非晶質の無機粉体(A2)とを混合してなる組成物。
【0026】
バインダー(B)として、アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)の他に、コーティング膜の耐久性を向上させる目的で、トリアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を併用しても構わない。
バインダー(B)は、必要に応じて硬化剤、触媒等の添加成分を含んでいてもよい。
【0027】
(樹脂(B1))
樹脂(B1)としては、熱、紫外線、触媒等によって固化または硬化して塗膜を形成し得るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられ、得られるコーティング膜の親水性の阻害を起こしにくい観点から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0028】
樹脂(B1)の市販品としては、エバファノールHA−50C(ポリウレタン樹脂、日華化学(株)製、不揮発分35質量%)、モビニール6520(アクリル樹脂、日本合成化学(株)製、不揮発分46質量%)、PVA−117(ポリビニルアルコール、(株)クラレ社製)等が挙げられる。
不揮発分とは、製膜後においても揮発せずにコーティング膜に残存する成分を意味し、バインダー(B)の不揮発分は、通常は、バインダー成分および必要に応じて添加された硬化剤、触媒等の添加成分が相当する。
樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
樹脂(B1)は、固形分(不揮発分)のみの状態で他の成分と混合してもよく、媒体を含む溶液または乳化分散液の状態で他の成分と混合してもよい。
媒体としては、水、有機溶剤が挙げられる。
【0030】
有機溶剤としては、炭素数1〜8の脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等)、炭化水素類(n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、n−デカン、ミネラルターペン、テレピン油、イソパラフィン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、グリコールエーテル類(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル,3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等)、グリコールエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)が挙げられる。
【0031】
(アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2))
アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)は、シランカップリング剤としても機能するものである。
【0032】
アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)は、ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)およびテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるものである。
【0033】
ジアルコキシシラン化合物は、加水分解性基であるアルコキシ基を2つ有するため、各種化合物と線状(二次元構造)の結合を形成することができるものと考えられる。または、ジアルコキシシラン化合物同士が縮合反応することにより線状に結合したポリシロキサンを形成することができるものと考えられる。そのために親水性と耐久性を備えたコーティング膜が得られるものと考えられる
【0034】
テトラアルコキシシラン化合物は、各種化合物と複雑な三次元構造を形成する、またはテトラアルコキシシラン化合物同士が複雑な三次元構造を形成し、コーティング膜の耐久性を向上し、親水性を阻害すると考えられるが、親水性であるシロキシ基を4つ含有しているため、親水性の阻害が少ないものと考える。
【0035】
トリアルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシラン化合物と同様に、各種化合物と複雑な三次元構造を形成する、またはトリアルコキシシラン化合物同士が複雑な三次元構造を形成するものと考えられる。また、親水性であるシロキシ基が3つであるため親水性の阻害が起こるものと考えられる。また、トリアルコキシシラン化合物の残基が疎水性基である場合、疎水性基が表面に露出し、コーティング膜の親水性を阻害するものと考える。残基が親水性基の場合でも、すべての親水性基が表面に配向するものではないため、コーティング膜の親水性は向上しないものと考えられる。
【0036】
上記のような理由から、ジアルコキシシラン化合物およびまたはテトラアルコキシシラン化合物と、トリアルコキシシラン化合物とを比較した場合、得られるコーティング膜の親水性や耐久性が異なるものと考えられる。
【0037】
ジアルコキシシラン化合物およびまたはテトラアルコキシシラン化合物は、コーティング組成物を調製する前に、あらかじめ水および触媒を加えることによって部分的に加水分解し部分縮合させ、部分加水分解縮合物としてもよく、コーティング組成物を調製する際に各成分の混合物に水および触媒を加えることによって部分的に加水分解し部分縮合させ、組成物中にて部分加水分解縮合物としてもよい。
触媒としては、公知の触媒を用いればよい。
【0038】
(ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21))
ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)は、下記式(1)で表されるジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物である。
Si(R)(R)(OR)(OR) ・・・(1)
(式(1)中、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアミノアルキル基またはグリシドキシアルキル基であり、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0039】
、Rの炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアミノアルキル基としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜8のグリシドキシアルキル基としては、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、5−グリシドキシペンチル基、6−グリシドキシヘキシル基、7−グリシドキシヘプチル基、8−グリシドキシオクチル基等が挙げられる。
、Rとしては、得られるコーティング膜の親水性の観点から、メチル基、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−グリシドキシプロピル基が好ましく、R、Rの少なくとも1つはグリシドキシアルキル基であることがより好ましい。
【0040】
、Rの炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられ、反応性と使いやすさの観点から、メチル基、エチル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0041】
ジアルコキシシラン化合物の市販品としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名、KBM−402、信越化学工業(株)製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(商品名、KBE−402、信越化学工業(株)製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名、KBM−602、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
ジアルコキシシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、グリシドキシアルキル基を有するジアルコキシシラン化合物とアミノ基を有するジアルコキシシラン化合物とを併用することは好ましくない。
【0042】
ジアルコキシシラン化合物がグリシドキシアルキル基を有する場合、反応触媒として酸性触媒を使用して酸性下で反応させることが好ましい。
【0043】
酸性触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機酸(酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等)、無機酸(塩酸、硝酸、リン酸、ハロゲン化シラン等)、酸性ゾル状フィラー(酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等)等が挙げられる。酸性触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
酸性下とは、pHが7未満であり、好ましくはpHが1〜4であり、より好ましくはpHが1〜3である。pHが7以上の場合、得られるコーティング膜の耐久性が劣る傾向となる。反応後は、酸性状態のままであってもよく、任意のpHに調整した状態であってもよい。
【0045】
ジアルコキシシラン化合物がアミノアルキル基を有する場合、アルカリ性下で反応させることが好ましい。アミノアルキル基を有するジアルコキシシラン化合物は、単独でもアルカリ性を示すが、反応触媒としてアルカリ性触媒を使用してアルカリ性とすることもできる。
【0046】
アルカリ触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等)、脂肪族アミン類(メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等)、脂肪族ポリアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等)、芳香族アミン類(アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、メチルベンジルアミン等)、アミノアルコール類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、複素環式アミン類(ピリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン等)、錫化合物(ジブチル錫ジラウレート等)、亜鉛化合物(ステアリン酸亜鉛等)、アルミニウム系金属触媒、チタン系金属触媒等が挙げられる。アルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
アルカリ性下とは、pHが7を超える場合であり、好ましくはpHが10〜12である。pHが7以下の場合、得られるコーティング膜の耐久性が劣る傾向となる。反応後は、アルカリ性状態のままであってもよく、任意のpHに調整した状態であってもよい。
【0048】
(テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22))
テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)は、下記式(2)で表されるテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物である。
Si(OR)(OR)(OR)(OR) ・・・(2)
(式(2)中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0049】
〜Rの炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられ、反応性と使いやすさの観点から、メチル基、エチル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0050】
テトラアルコキシシラン化合物の市販品としては、テトラエトキシシラン(商品名、KBE−04、信越化学工業(株)社製)等が挙げられる。
テトラアルコキシシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
(希釈媒体)
本発明のコーティング組成物には、親水性フュームドシリカ(A1)、非晶質の無機粉体(A2)、バインダー(B)の不揮発分を、塗布することが適した状態にするために、希釈媒体を加えてもよい。
希釈媒体としては、特に限定されるものではないが、実質的に不活性なものが好ましく、水、有機溶剤が挙げられる。
【0052】
有機溶剤としては、炭素数1〜8の脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等)、炭化水素類(n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、n−デカン、ミネラルターペン、テレピン油、イソパラフィン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、グリコールエーテル類(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル,3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等)、グリコールエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して混合溶剤として用いてもよい。また、pH調整剤としての酸、アルカリ等をさらに含んでいてもよい。
【0053】
(増粘剤)
本発明のコーティング組成物においては、親水性フュームドシリカ(A1)、非晶質の無機粉体(A2)、バインダー(B)の分散性を維持し、塗布の作業性を向上させるために、増粘剤を用いてもよい。
増粘剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、天然高分子(アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ペクチン、キチン、キトサン、ザンタンガム、プルラン、デキストラン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン等)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、結晶セルロース等)、デンプンおよびその誘導体(各種デンプン、カルボキシメチルデンプン(CMS)、ヒドロキシエチルデンプン等)、合成高分子(ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリジアリルアミン等)等が挙げられる。増粘剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
(他の添加剤)
本発明のコーティング組成物には、表面張力調整剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、顔料、染料、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、製膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤、帯電調整剤等を、用途、使用方法等に応じて適宜選択し、必要に応じて組み合わせて加えてもよい。
本発明のコーティング組成物に酸化チタンに代表される光半導体を加えることによって、光触媒作用を発現させてもよい。
【0055】
(組成)
親水性フュームドシリカ(A1)と非晶質の無機粉体(A2)との質量比は、得られるコーティング膜の親水性と耐久性の観点から、(A1):(A2)=10:90〜80:20が好ましく、20:80〜70:30がより好ましく、30:70〜60:40がさらに好ましい。
【0056】
親水性フュームドシリカ(A1)および非晶質の無機粉体(A2)の合計とバインダー(B)の不揮発分との質量比は、得られるコーティング膜の親水性と耐久性の観点から、〔(A1)+(A2)〕:(B)=20:80〜90:10が好ましく、40:60〜80:20がより好ましい。
【0057】
アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)を用いる場合、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物(B2)の不揮発分との質量比は、得られるコーティング膜の親水性と耐久性の観点から、(A1):(B2)=90:10〜20:80が好ましく、85:15〜35:65がより好ましい。
【0058】
親水性フュームドシリカ(A1)および非晶質の無機粉体(A2)の合計とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)の不揮発分との質量比は、得られるコーティング膜の親水性と耐久性の観点から、〔(A1)+(A2)〕:(B2)=20:80〜90:10が好ましく、40:60〜80:20がより好ましい。
【0059】
樹脂(B1)の不揮発分とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)の不揮発分との質量比は、得られるコーティング膜の耐久性の観点から、(B1):(B2)=95:5〜5:95が好ましく、75:25〜25:75がより好ましい。
【0060】
トリアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を併用する場合、トリアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物の不揮発分の割合は、アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)の不揮発分100質量部に対し10質量部以下が好ましく、全く含まないことが最も好ましい。
バインダー(B)が硬化剤、触媒等の添加成分を含む場合、添加成分の割合は、バインダー成分100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
【0061】
(コーティング組成物の製造方法)
本発明のコーティング組成物は、親水性フュームドシリカ(A1)と;非晶質の無機粉体(A2)と;樹脂(B1)、ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)、およびテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるバインダー(B)とを混合することによって製造できる。
【0062】
本発明のコーティング組成物が、上述した組成物(α)である場合、樹脂(B1)の存在下に、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させ、これに非晶質の無機粉体(A2)とを混合することによって製造できる。
【0063】
本発明のコーティング組成物が、上述した組成物(β)である場合、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させ、これに非晶質の無機粉体(A2)と、樹脂(B1)とを混合することによって製造できる。
【0064】
具体的には、本発明のコーティング組成物は、例えば、下記の方法(X)〜(Z)のようにして製造できる。
方法(X):
親水性フュームドシリカ(A1)と有機溶剤と水とを予備混合したのち、乳化機を用いて5〜100℃、5〜200MPaで分散処理を行う。その後、非晶質の無機粉体(A2)とバインダー(B)と場合によっては増粘剤とを加え、10〜100℃で均一に撹拌混合することよって、本発明のコーティング組成物を得る。
【0065】
方法(Y):
親水性フュームドシリカ(A1)と有機溶剤と水とを予備混合したのち、乳化機を用いて5〜100℃、5〜200MPaで分散処理を行う。その後、樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)と場合によっては触媒とを加え、所定のpHに調整し、10〜100℃で10分〜1日反応することによって、樹脂(B1)存在下で、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させてなる反応物を得る。この後、非晶質の無機粉体(A2)と、場合によっては増粘剤とを加え、10〜100℃でホモミキサー等により均一に撹拌混合することによって、本発明のコーティング組成物を得る。
【0066】
方法(Z):
親水性フュームドシリカ(A1)と有機溶剤と水とを予備混合したのち、乳化機を用いて5〜100℃、5〜200MPaで分散処理を行う。その後、アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)と場合によっては触媒とを加え、所定のpHに調整し、10〜100℃で10分〜1日反応することによって、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)との反応物を得る。この後、非晶質の無機粉体(A2)と、樹脂(B1)と、場合によっては増粘剤とを加え、10〜100℃でホモミキサー等により均一に撹拌混合することによって、本発明のコーティング組成物を得る。
【0067】
親水性フュームドシリカ(A1)の分散処理を行うために用いることができる乳化機としては、例えば、ホモジナイザー(NIRO SOAVI社製またはAPV GAULIN社製)、ホモミキサー(プライミクス(株)製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルチマイザー((株)スギノマシン製)、スターバースト((株)スギノマシン製)、超音波分散機((株)日本精機製作所)等が挙げられる。乳化機は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
(作用効果)
以上説明した本発明のコーティング組成物にあっては、特定範囲の小粒子径の親水性フュームドシリカ(A1)と;特定範囲の大粒子径で特定範囲の見掛け比容積の非晶質の無機粉体(A2)と;バインダー(B)とを混合してなるものであるため、光の存在しない環境下であっても製膜直後から水の接触角が5°以下である超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を簡単にかつ効率よく形成できる。
本発明のコーティング組成物によって、耐久性に優れた超親水性のコーティング膜を形成できる理由としては、以下のことが考えられる。
【0069】
親水性が高く、粒径が異なり、非常に高い嵩高性を持つ2種以上の粒子を使用することにより、表面粗さの効果(凹凸の相乗効果)によって超親水性が発揮されるものと考えられる。また、小粒径の親水性フュームドシリカ(A1)が大粒径の非晶質の無機粉体(A2)の凹部に付着することにより、さらにそれらにバインダー(B)を併用することによって、耐久性の向上が可能になるものと考えられる。
【0070】
バインダー(B)として、樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを併用した場合、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物が形成されることに加えて、親水性フュームドシリカ(A1)と非晶質の無機粉体(A2)と樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物およびまたはアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物との複合物が形成されるため、コーティング膜の親水性を維持したまま耐久性を向上させるものと考えられる。
【0071】
さらに、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とをあらかじめ反応させておくことによって、構造的に脆い親水性フュームドシリカ(A1)の粒子同士を効果的につなぎ止めた複合物を形成することが可能となり、高い嵩高性と親水性を保持したまま、耐久性を向上させることができるものと考えられる。この複合物と樹脂(B1)と非晶質の無機粉体(A2)とを併用することによって、親水性フュームドシリカ(A1)を効率よく非晶質の無機粉体(A2)に付着させることができ、良好な超親水性と耐久性が得られるものと考えられる。
【0072】
また、親水性フュームドシリカ(A1)とアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とをあらかじめ反応させる際に、樹脂(B1)を存在させておくことによって、親水性フュームドシリカ(A1)と樹脂(B1)とアルコキシシラン化合物およびまたはアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物との複合物が形成される。この複合物は良好な親水性と耐久性を兼ね備えているとともに、この複合物と非晶質の無機粉体(A2)とを併用することによって、効率よくかつ確実に非晶質の無機粉体(A2)の表面に複合物(親水性フュームドシリカ(A1)を含む)を付着させることができるため、非常に良好な超親水性と耐久性が得られるものと考えられる。
【0073】
<コーティング膜付き物品>
本発明のコーティング膜付き物品は、本発明のコーティング組成物からなるコーティング膜を基材の表面に有するものである。
【0074】
(基材)
基材としては、特に限定されず、例えば、ガラス、金属、紙類、セラミックス、セメント材、合成樹脂、繊維、塗装面等の様々な材料からなる基材が挙げられる。
本発明のコーティング組成物を用いることによって、様々な基材に対して特別な操作を行うことなく簡単にかつ効率よくコーティング膜を形成できる。
【0075】
(コーティング膜)
コーティング膜の膜厚は、特に限定されるものではなく、例えば、0.5μm〜1mm程度であればよく、コーティング膜が長期に渡って基材の表面に安定して密着、保持され、クラックや剥離が生じることを防ぐ観点からは、10〜500μmが好ましい。
【0076】
(コーティング膜付き物品の製造方法)
本発明のコーティング膜付き物品は、基材の表面の少なくとも一部に、本発明のコーティング組成物を塗布した後、乾燥することによって製造できる。
【0077】
塗布方法としては、特に限定されることなく任意の方法を採用することができ、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディップコート)、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、バーコート、フローコート等の通常の方法が挙げられる。
【0078】
乾燥方法は、特に制限されず、本発明においては特に加熱せずに乾燥させることも可能である。従来のコーティング膜を形成させる方法においては、通常、加熱が必要であったが、本発明におけるコーティング膜を形成する場合、常温での乾燥で同様の機能を発揮させることができる。なお、本発明においては、製膜の促進を目的として加熱乾燥する方法を採用してもよく、その場合は、製膜の時間をより短縮させることが可能となる。製膜温度としては、10〜150℃が適しているが、使用する基材によって適宜調整すればよい。
【0079】
コーティング膜により優れた耐摩擦性を与えるためには、基材の表面を清浄化してから本発明のコーティング組成物を塗布することが好ましい。すなわち、塗布に先立って、基材の表面から有機物の汚染物を実質的に除去しておくことが好ましい。清浄化処理としては、基材の材質によっても異なるが、例えば、有機溶剤(アセトン、エタノール等)を用いた清浄化処理が効果的である。
【0080】
(作用効果)
以上説明した本発明のコーティング膜付き物品にあっては、水の接触角が5°以下である超親水性を示し、かつ耐久性に優れたコーティング膜を表面に有するため、屋外などで持続的に雨水(流水)に晒される環境下にあっても長期に渡って自己浄化能(セルフクリーニング)による防汚効果を発揮できる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0082】
<測定・評価>
(接触角の測定)
携帯式接触角計((株)マツボー製、PG−X)を用いて、20℃にてコーティング膜付き物品のコーティング膜の表面の水の静的接触角を測定した。なお、蒸留水滴下量を2.5μLとし、水の静的接触角は、蒸留水を滴下した後、30秒後に測定した。
【0083】
(水膜広がり幅の測定)
水平に設置したコーティング膜付き物品のコーティング膜の表面に蒸留水10μLを静かにスポットし、30秒後の水膜の広がり幅を定規にて測定した。広がり幅が大きいほど親水性が大きいと判断する。
【0084】
(耐摩耗性の評価)
コーティング膜付き物品を電子天秤に置き、約300gの荷重がかかるように指で3回こすった。こすった後の指に付着した粉状物を観察し、粉状物なしを「○」、若干の粉状物が認められる場合を「△」、著しい粉状物が認められる場合を「×」と評価した。
【0085】
(流水試験方法)
コーティング膜付き物品を円筒形のステンレスポットの内面に沿うように固定し、コーティング膜付き物品のすべてが漬かるまで水道水を入れた。撹拌機に取り付けたファンタービン型撹拌羽にて25℃×74時間、150rpmでポット内の水を撹拌した。所定時間撹拌した後、コーティング膜付き物品を105℃で30分間乾燥させた後、接触角の測定と水膜広がり幅の測定を行った。74時間撹拌する水道水は、約8時間毎に新しい水道水に交換した。
【0086】
<各成分>
(親水性フュームドシリカ(A1))
親水性フュームドシリカ(A1−1):商品名AEROSIL 300CF(日本アエロジル(株)製、平均粒子径7nm)。
親水性フュームドシリカ(A1−2):商品名AEROSIL 130(日本アエロジル(株)製、平均粒子径16nm)。
親水性フュームドシリカ(A1−3):商品名AEROSIL OX50(日本アエロジル(株)製、平均粒子径40nm)。
【0087】
(非晶質の無機粉体(A2))
非晶質の無機粉体(A2−1):商品名ファインシールX−60(非晶質シリカ、(株)トクヤマ製、平均粒子径6μm、見掛け比容積4.7cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−1’):固形分50質量%のファインシールX−60(300質量部)、0.5mmビーズ(150質量部)をサンドグラインダー(五十嵐機械製造(株)製)に入れ、1200rpmで微細化したもの(平均粒子径0.2μm)。
非晶質の無機粉体(A2−2):商品名キョーワード700PEL(非晶質ケイ酸アルミニウム、協和化学工業(株)製、平均粒子径2μm、見掛け比容積8.8cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−3):商品名キョーワード700SN(非晶質ケイ酸アルミニウム、協和化学工業(株)製、平均粒子径200μm、見掛け比容積2.6cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−4):商品名シュークレンズKD−211G(シリカ・酸化亜鉛複合体、ラサ工業社製、平均粒子径3μm、見掛け比容積2.5cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−5):商品名ファインシールT−32(シリカ、(株)トクヤマ製、平均粒子径1.5μm、見掛け比容積10cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−6):商品名キョーワード500PL(ハイドロタルサイト、協和化学工業(株)製、平均粒子径10μm、見掛け比容積5.2cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−7):商品名キョーワード600(ケイ酸マグネシウム、協和化学工業(株)製、平均粒子径10μm、見掛け比容積4.8cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−8):商品名キョーワード200S(非晶質水酸化アルミニウム、協和化学工業(株)製、平均粒子径30μm、見掛け比容積3.7cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−9):商品名フローライトR(ケイ酸カルシウム、(株)トクヤマ製、平均粒子径8μm、見掛け比容積10cm/g)。
非晶質の無機粉体(A2−10):商品名キョーワード700SL(非晶質ケイ酸アルミニウム、協和化学工業(株)製、平均粒子径65μm、見掛け比容積3.0cm/g)。
【0088】
(樹脂(B1))
樹脂(B1−1):商品名PVA−117(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製)の10質量%水溶液。
樹脂(B1−2):商品名エバファノールHA−50C(ポリウレタン樹脂、日華化学(株)製、不揮発分35質量%)。
樹脂(B1−3):商品名モビニール6520(アクリル樹脂、日本合成化学(株)製、不揮発分46質量%)。
【0089】
(アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2))
ジアルコキシシラン化合物(B21−1):商品名KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、信越化学工業(株)製)。
ジアルコキシシラン化合物(B21−2):商品名KBM−602(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製)。
テトラアルコキシシラン化合物(B22−1):商品名KBE−04(テトラエトキシシラン、信越化学工業(株)製)
トリアルコキシシラン化合物(B23−1):商品名KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製)
トリアルコキシシラン化合物(B23−2):商品名KBE−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製)
【0090】
(その他)
商品名スノーテックスOXS(コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、平均粒子径5nm、シリカ含有量10質量%)。
商品名ガレオンアースV1(活性白度、水澤化学工業(株)製、粒子径90μm以下が95%、見掛け比容積1.4cm/g)。
商品名スノーテックスN(アンモニア中和型水分散性シリカゾル、日産化学工業(株)製、平均粒子径10〜20nm、シリカ含有量20質量%)。
商品名リカサーフP−10(ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸エステルナトリウム、新日本理化(株)製、有効成分70%)。
商品名ST−O(シリカゾル、日産化学工業(株)製、平均粒子径10〜20nm、シリカ含有量20質量%)。
商品名ST−OL(シリカゾル、日産化学工業(株)製、平均粒子径40〜50nm、シリカ含有量20質量%)。
商品名BYK−346(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、デグサ社製、不揮発分45質量%)。
【0091】
〔実施例1〕
親水性フュームドシリカ(A1−1)の2質量部、イソプロピルアルコールの10質量部、イオン交換水の65.5質量部を配合し、予備混合した後、ホモジナイザー装置(30MPa、25℃)による分散処理を施した。
その後、非晶質の無機粉体(A2−1)の2質量部、樹脂(B1−1)の20質量部(不揮発分の換算で2質量部)、増粘剤としてJAGUAR HP−105(Rhodia社製)の0.5質量部を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分6.5質量%で白色液状のコーティング組成物を得た。
【0092】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、オートフィルムアプリケーター(製品名PI−1210、テスター産業(株)製)にて塗布し、105℃で60分間乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
〔実施例2〜15、19〜35、比較例1〜5、8〕
表1〜6、11、12に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に操作して実施例2〜15、19〜35、比較例1〜5、8のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表1〜6、11、12に示す。
【0094】
〔実施例16〕
親水性フュームドシリカ(A1−1)の2質量部、イソプロピルアルコールの10質量部、イオン交換水の61.5質量部を配合し、予備混合した後、ホモジナイザー装置(30MPa、25℃)による分散処理を施した。
その後、非晶質の無機粉体(A2−1)の2質量部、ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の2質量部を加え、酸性触媒である硝酸でpH2に調整した後、50℃で5時間反応させた。
その後、水酸化ナトリウムにてpHを6〜8に調整し、増粘剤としてJAGUAR HP−105(Rhodia社製)の0.5質量部を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分6.5質量%で白色液状のコーティング組成物を得た。
【0095】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、オートフィルムアプリケーター(製品名PI−1210、テスター産業(株)製)にて塗布し、105℃で60分間乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0096】
〔実施例17〕
ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の代わりにジアルコキシシラン化合物(B21−2)を用い、アルカリ触媒を加えずにpH11で反応を行い、反応後、硝酸でpHを6〜8に調整した以外は、実施例16と同様に操作して実施例17のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0097】
〔実施例18〕
ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の代わりにテトラアルコキシシラン化合物(B22−1)を用いた以外は、実施例16と同様に操作して実施例18のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0098】
〔実施例36〕
親水性フュームドシリカ(A1−1)の2質量部、イソプロピルアルコールの10質量部、イオン交換水の61.5質量部を配合し、予備混合した後、ホモジナイザー装置(30MPa、25℃)による分散処理を施した。
その後、非晶質の無機粉体(A2−1)の2質量部、樹脂(B1−1)の10質量部、ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の1質量部を加え、酸性触媒である硝酸でpH2に調整した後、50℃で5時間反応させた。
その後、水酸化ナトリウムにてpHを6〜8に調整し、増粘剤としてJAGUAR HP−105(Rhodia社製)の0.5質量部を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分6.5質量%で白色液状のコーティング組成物を得た。
【0099】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、オートフィルムアプリケーター(製品名PI−1210、テスター産業(株)製)にて塗布し、105℃で60分間乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0100】
〔実施例37〕
親水性フュームドシリカ(A1−1)の2質量部、イソプロピルアルコールの10質量部、イオン交換水の61.5質量部を配合し、予備混合した後、ホモジナイザー装置(300MPa、25℃)による分散処理を施した。
その後、ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の1質量部を加え、酸性触媒である硝酸でpH2に調整した後、50℃で5時間反応させた。
その後、水酸化ナトリウムにてpHを6〜8に調整し、非晶質の無機粉体(A2−1)の2質量部、樹脂(B1−1)の10質量部、増粘剤としてJAGUAR HP−105(Rhodia社製)の0.5質量部を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分6.5質量%で白色液状のコーティング組成物を得た。
【0101】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、オートフィルムアプリケーター(製品名PI−1210、テスター産業(株)製)にて塗布し、105℃で60分間乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0102】
〔実施例38〕
親水性フュームドシリカ(A1−1)の2質量部、イソプロピルアルコールの10質量部、イオン交換水の61.5質量部を配合し、予備混合した後、ホモジナイザー装置(300MPa、25℃)による分散処理を施した。
その後、樹脂(B1−1)の10質量部、ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の1質量部を加え、酸性触媒である硝酸でpH2に調整した後、50℃で5時間反応させた。
その後、水酸化ナトリウムにてpHを6〜8に調整し、非晶質の無機粉体(A2−1)の2質量部、増粘剤としてJAGUAR HP−105(Rhodia社製)の0.5質量部を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分6.5質量%で白色液状のコーティング組成物を得た。
【0103】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、オートフィルムアプリケーター(製品名PI−1210、テスター産業(株)製)にて塗布し、105℃で60分間乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0104】
〔実施例39〕
ジアルコキシシラン化合物(B21−1)の代わりにジアルコキシシラン化合物(B21−2)を用い、アルカリ触媒を加えずにpH11で反応を行い、反応後、硝酸でpHを6〜8に調整した以外は、実施例37と同様に操作して実施例39のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0105】
〔実施例40〜58、比較例6、7、9、12〕
表7〜13に示す配合に変更した以外は、実施例37と同様に操作して実施例40〜58、比較例6、7、9、12のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表7〜13に示す。
【0106】
〔比較例10〕
イオン交換水の97.9質量部、スノーテックスNの1質量部(不揮発分の換算で0.2質量部)、リカサーフP−10の0.14質量部(不揮発分の換算で0.1質量部)、2−エトキシエタノールの1質量部を均一に混合して有効成分1.3質量%のコーティング組成物を得た。
【0107】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、トリガースプレー(製品名TS8000−1、椿本興業(株)製)にて塗布し、自然乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0108】
〔比較例11〕
テトラアルコキシシラン化合物(B22−1)の4質量部、イソプロピルアルコールの18質量部、ST−Oの199.8質量部(不揮発分の換算で39.96質量部)、ST−OLの0.2質量部(不揮発分の換算で0.04質量部)を配合し、硝酸でpH2に調整した後、ディスパーを用いて均一に撹拌混合した。その後、50℃で2時間反応を行った。その後、イオン交換水の658質量部、BYK−346の2.64質量部(不揮発分の換算で1.2質量部)を加えてホモミキサーにて均一に撹拌混合して、不揮発分5.1質量%のコーティング組成物を得た。
【0109】
得られたコーティング組成物を、水性多用途スプレー((株)アサヒペン製、白色)を用いてアクリル塗装した鉄製のテストピース(7cm×6cm、水の接触角が70°)の表面に、トリガースプレー(製品名TS8000−1、椿本興業(株)製)にて塗布し、150℃で30分乾燥することによってコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0110】
〔比較例13〕
表13に示す配合に変更した以外は、実施例39と同様に操作して比較例13のコーティング膜付き物品を得た。
このコーティング膜付き物品について、流水試験前後での接触角、水膜広がり幅および耐摩耗性の評価を行った。その結果を表13に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
【表8】

【0119】
【表9】

【0120】
【表10】

【0121】
【表11】

【0122】
【表12】

【0123】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明のコーティング組成物は、塗布した基材の表面に優れた超親水性を付与することが可能である。さらにはコーティング組成物中の微粒子に消臭剤、抗菌剤として公知の酸化亜鉛等を用いた場合は、超親水性に加えて消臭性や抗菌性も付与することができる可能性がある。このため、本発明のコーティング組成物およびコーティング膜付き物品は、建築物、車輌、エアコンの熱交換機アルミフィンの表面等に広く適用でき、産業上きわめて利用価値が高い技術として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜40nmである親水性フュームドシリカ(A1)と、
平均粒子径が0.1〜500μmであり、見掛け比容積が2〜12cm/gである非晶質の無機粉体(A2)と、
樹脂(B1)、下記式(1)で表されるジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)、および下記式(2)で表されるテトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるバインダー(B)と
を混合してなる、コーティング組成物。
Si(R)(R)(OR)(OR) ・・・(1)
(式(1)中、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアミノアルキル基またはグリシドキシアルキル基であり、R、Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
Si(OR)(OR)(OR)(OR) ・・・(2)
(式(2)中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。)
【請求項2】
前記バインダー(B)として、
前記樹脂(B1)と、
前記ジアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B21)および前記テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B22)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)と
を併用する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記親水性フュームドシリカ(A1)と、前記樹脂(B1)と、前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、前記親水性フュームドシリカ(A1)と前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを反応させてなるものと、
前記非晶質の無機粉体(A2)と
を混合してなる、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記親水性フュームドシリカ(A1)と、前記アルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物(B2)とを混合し、反応させてなるものと、
前記樹脂(B1)と、
前記非晶質の無機粉体(A2)と
を混合してなる、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物からなるコーティング膜を表面に有する、コーティング膜付き物品。

【公開番号】特開2013−23683(P2013−23683A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163125(P2011−163125)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】