説明

コーティング組成物およびスポットブレンダーとしてのその使用方法

ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、光開始剤、および溶媒を含む組成物が開示される。本発明は、(i)損傷スポット上にクリアコートを付着させるステップと、(ii)クリアコート上に、ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、0.1重量%未満の光開始剤、および溶媒を含むスポットブレンダーを付着させるステップと、(iii)付着させたクリアコートおよびスポットブレンダーを硬化するステップとを含む、自動車の基材上の損傷スポットを修復する方法も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関する。詳細には、本発明は、ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、および0.1重量%未満の光開始剤を含む、溶媒ベースの組成物と、それを、自動車補修用途のコーティング系の修復に使用するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
わずかな損傷で手入れを必要とする自動車修復の分野では、パネル全体を塗り替えるのではなく、修復領域を小さく保つことがしばしば望ましい。わずかな損傷は、スポット修復とも呼ばれる非常に小規模な自動車補修の技法の助けを借りて、好ましくは修理される。
【0003】
スポット修復は、例えば、損傷部位のクリーニングおよびサンディングを行い、任意選択で損傷部位に充填材組成物を充填し、その後、充填材を乾燥しまたは硬化し、任意選択でサンディングおよびクリーニングを行い、ベースコートおよびクリアコート組成物を付着させ、その後、スポットブレンダー組成物を付着させ、ならびに付着させた組成物を硬化することを含む。そのような修復で使用される、改善されたスポットブレンダー組成物が、求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
ポリマーポリオールと、
(メタ)アクリレートと、
0.1重量%未満の光開始剤と、
溶媒と
を含む、組成物を対象とする。
【0005】
本発明は、
(メタ)アクリレート不飽和を有するポリマー、ポリイソシアネート、および任意選択でポリチオールを含むクリアコートと、
ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、0.1重量%未満の光開始剤、および溶媒を含むスポットブレンダーと
を含むコーティング系を、さらに対象とする。
【0006】
本発明は、
(i)損傷スポット上にクリアコートを付着させるステップと、
(ii)クリアコート上に、ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、0.1重量%未満の光開始剤、および溶媒を含むスポットブレンダーを付着させるステップと、
(iii)付着させたクリアコートおよびスポットブレンダーを硬化するステップと
を含む、自動車の基材上の損傷スポットを修復する方法も対象とする。
【0007】
ポリマーポリオールと、
ウレタン(メタ)アクリレートと、
0.1重量%未満の光開始剤と、
溶媒と
を含み、ウレタン(メタ)アクリレートが、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、またはこれらの組合せを含む官能基を含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、一般に、ポリマーポリオール、(メタ)アクリレート、光開始剤、および溶媒を含む組成物を対象とする。
【0009】
適切なポリマーポリオールには、(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれらの混合物が含まれる。ポリマーポリオールは、1当量当たり100から1000グラム、例えば1当量当たり150から500グラムに及ぶヒドロキシル当量を有していてもよい。ポリマーポリオールは、60℃未満、例えば40℃未満、例えば22℃未満の、ガラス転移温度を有していてもよい。ある実施形態では、本発明の組成物は、2から10重量%、例えば4から8重量%の範囲のポリマーポリオールを有する。
【0010】
実施形態において、重合性エチレン不飽和モノマーから調製することができるポリマーポリオールは、カルボキシル基を含んでいてもよく、例えば(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のヒドロキシルアルキルエステルと、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを含んだ(メタ)アクリル酸のアルキルエステルならびにスチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物などの1種または複数のその他の重合性エチレン不飽和モノマーとのコポリマーである。
【0011】
その他の実施形態は、オキシラン基含有モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレートおよびアリルグリシジルエーテルと、上記にて論じられたようなその他の重合性エチレン不飽和モノマーとを共重合することによって、重合性エチレン不飽和モノマーから調製される、エポキシ官能基を有するポリマーポリオールを含む。そのようなエポキシ官能性アクリルポリマーの調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,001,156号の第3欄から第6欄に、詳細に記述されている。
【0012】
さらに別の実施形態は、例えば上述のエチレン不飽和モノマーと、メタクリル酸のカルバメート官能性アルキルエステルなどのカルバメート官能性ビニルモノマーとを共重合することによって、重合性エチレン不飽和モノマーから調製される、カルバメート官能基を有するポリマーポリオールを含む。有用なカルバメート官能性アルキルエステルは、例えば、アンモニアと炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンとの反応生成物などのヒドロキシアルキルカルバメートを、メタクリル酸無水物と反応させることによって、調製することができる。その他の有用なカルバメート官能性ビニルモノマーには、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート、およびメタノールの反応生成物が含まれる。イソシアン酸(HNCO)とヒドロキシルエチルアクリレートとの反応生成物や、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,479,328号の第1欄第24行から第2欄第31行に記載されているものなど、さらにその他のカルバメート官能性ビニルモノマーを使用してもよい。カルバメート官能基は、ポリマーポリオールとメチルカルバメートなどの低分子量アルキルカルバメートとを反応させることによって、ポリマーポリオールに組み込むこともできる。また、ポリマーポリオールは、ペンダントカルバメート基を提供するためにイソシアン酸と反応させることもできる。同様に、ポリマーポリオールは、尿素と反応させることにより、そこからペンダントカルバメート基を得ることができる。
【0013】
重合性エチレン不飽和モノマーから調製されたポリマーポリオールは、有機過酸化物またはアゾ化合物、例えば過酸化ベンゾイルまたはN,N−アゾビス(イソブチロニトリル)などの適切な触媒の存在下、当業者に周知の溶液重合技法によって、調製することができる。重合は、当技術分野で常用の技法によって、モノマーが溶解している有機溶液中で実施することができる。あるいは、これらのポリマーポリオールは、当技術分野で周知の水性エマルジョンまたは分散重合技法により調製されてもよい。反応物の比と反応条件は、所望のペンダント官能性を有するアクリルポリマーが得られるように選択される。
【0014】
その他の実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリエステルポリオールであってもよい。ポリエステルポリオールの例には、例えば、多価アルコールとポリカルボン酸との縮合生成物が含まれる。適切な多価アルコールには、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが含まれる。適切なポリカルボン酸には、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、およびヘキサヒドロフタル酸が含まれる。上述のポリカルボン酸に加え、存在する場合、無水物、またはメチルエステルなどの酸の低級アルキルエステルなど、酸の官能性均等物を使用することができる。また、ステアリン酸などの少量のモノカルボン酸を使用することもできる。反応物の比および反応条件は、所望のペンダント官能性、例えばヒドロキシル官能性を有するポリエステルポリマーが得られるように、選択することができる。
【0015】
例えば、ヒドロキシル基含有ポリエステルは、ヘキサヒドロフタル酸無水物などのジカルボン酸の無水物と、ネオペンチルグリコールなどのジオールとを、1:2のモル比で反応させることによって調製することができる。空気乾燥を強化することが望まれる場合、適切な乾燥油脂肪酸を添加してもよく、亜麻仁油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油、またはキリ油から得られたものが含まれる。
【0016】
その他の実施形態では、ポリマーポリオールはポリウレタンポリオールであってもよい。例えば、ポリウレタンポリマーは、ヒドロキシル官能性を有するポリウレタンポリマーを形成するために、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって形成されてもよい。適切なポリイソシアネートの例は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートと、1,4−テトラメチレンジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートである。1,4−シクロヘキシルジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートを用いることもできる。
【0017】
その他の実施形態では、ポリマーポリオールはポリエーテルポリオールであってもよい。適切なポリエーテルポリオールの例には、下記の構造式を有するものなどのポリアルキレンエーテルポリオールが含まれる:
【0018】
【化1】

(式中、置換基Rは、水素、または1から5個の炭素原子を含有する低級アルキル基であり、nは、2から6に及ぶ値を有し、mは、8から100以上に及ぶ値を有する。)。例示的なポリアルキレンエーテルポリオールには、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコール、およびポリ(オキシ−1,2−ブチレン)グリコールが含まれる。
【0019】
様々なポリオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、およびビスフェノールAなどのグリコール、またはトリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどのその他の高級ポリオールの、オキシアルキル化から形成されたポリエーテルポリオールも有用である。示されるように利用することができる、より高い官能性のポリオールは、例えば、スクロースまたはソルビトールなどの化合物のオキシアルキル化によって作製することができる。1つの一般に利用されたオキシアルキル化法は、酸性または塩基性触媒の存在下での、ポリオールとアルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの反応である。ポリエーテルの特定の例には、E.I.Du Pont de Nemours and Company,Inc.から入手可能な、TERATHANEおよびTERACOLという名称で販売されるものが含まれる。
【0020】
本発明の組成物は、(メタ)アクリレートも含み、1から5重量%の範囲、例えば2から4重量%の範囲の(メタ)アクリレートを有することができる。実施形態において、メタ(アクリレート)は、ウレタン(メタ)アクリレートであり、または本明細書ではウレタン含有(メタ)アクリレートと同義に呼ばれる。あるいは、(メタ)アクリレートは、ポリエステルをベースにした(メタ)アクリレートなどであってもよい。(メタ)アクリレートは、ヒドロキシル官能基、イソシアネート官能基、アクリレート官能基、またはこれらの組合せを有することができる。
【0021】
上述のように、ある実施形態において、(メタ)アクリレートは、イソシアネート官能性(メタ)アクリレートであり得る。当業者に理解されるような、イソシアネート官能性(メタ)アクリレートを調製するための任意の方法を使用してもよい。例えば、イソシアネート官能性(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートとヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとを反応させることによって、調製することができる。
【0022】
ポリイソシアネート化合物の例には、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトドデカン、o−ジイソシアナトベンゼン、m−ジイソシアナトベンゼン、p−ジイソシアナトベンゼン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、トルエンジイソシアネート(商用として、約80パーセントの2,4−ジイソシアナトトルエンおよび約20パーセントの2,6−ジイソシアナトトルエンを含む混合物である)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、水素化トルエンジイソシアネート、1−イソシアナトメチル−5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、および1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレットが含まれるが、これらに限定するものではない。フェニルブロックトルエンジイソシアネートおよびフェノールブロックジイソシアナトナフタレンなど、ブロックされた形のポリイソシアネートも含まれる。
【0023】
ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートの例には、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、および4−ヒドロキシルブチルアクリレートが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0024】
さらにその他の実施形態において、(メタ)アクリレートは、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートであり得る。例えば、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートは、アクリルポリオールとイソシアネート官能性ウレタンアクリレートとを反応させることによって、調製することができる。当業者によって理解される、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートを調製するための任意のその他の方法を、使用することもできる。
【0025】
その他の実施形態において、(メタ)アクリレートは、アクリレート官能性(メタ)アクリレートであり得る。例えば、アクリレート官能性(メタ)アクリレートは、アクリルポリオールとイソシアネート官能性ウレタン(メタ)アクリレートとを反応させることによって、調製することができる。その他の例には、イソシアネートと例えばジオールとを反応させるステップが含まれる。当業者に理解される、アクリレート官能性(メタ)アクリレートを調製するための任意のその他の方法を、利用してもよい。
【0026】
実施形態において、メタ(アクリレート)は、ヒドロキシル官能基、イソシアネート官能基、アクリレート官能基、またはこれらの組合せを有するウレタン含有(メタ)アクリレートであってもよい。実施形態において、例えばイソシアネートおよびアクリレート官能性を有するウレタン含有(メタ)アクリレートは、ジイソシアネートとヒドロキシルブチルアクリレートまたはヒドロキシルエチルアクリレートとを反応させることによって調製されてもよい。その他の実施形態では、アクリレートおよびヒドロキシル官能性を有する(メタ)アクリレートは、ポリマーポリオールとイソシアネート官能性(メタ)アクリレートとを反応させることによって、調製されてもよい。そのようなものを調製するための任意のその他の方法は、当業者に理解されるように利用されてもよい。
【0027】
本発明の組成物は、0.1重量%未満の光開始剤も含む。ある実施形態において、組成物は、0.07重量%以下、例えば0.01から0.07重量%の光開始剤を含む。組成物に使用される光開始剤は、例えば、アシルホスフィンオキシド、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なIRGACURE 819、またはBASF Corp.から入手可能なLUCIRIN TPOもしくはLUCIRIN TPO−L、Ciba Specialty ChemicalsのIRGACURE 651などのベンジケタール、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なIRGACURE 184もしくはDAROCUR 1173などのα−ヒドロキシケトン、またはこれらの混合物であってもよい。その他の適切な光開始剤には、Ciba GeigyのIRGACURE 1800およびIRGACURE 500、RahnのGENOCURE MBFが含まれる。
【0028】
当業者に理解されるように、本発明の組成物は、低量の光開始剤を含む。同じ成分を含む組成物中の、大量の光開始剤(0.1重量%よりも多いなど)によって、硬化したコーティングの外部耐久性が不十分になる。これは、過剰な量の光開始剤がコーティングを攻撃すると考えられるが、本発明者らは、このメカニズムに拘泥することを望むものではない。しかし、いくらかの量の光開始剤は、硬化プロセスを助けるので有利である。このため本発明者らは、組成物中に0.1重量%未満、例えば0.07重量%以下、例えば0.01から0.07重量%の量の光開始剤によって、組成物の十分な硬化を引き起こしながら、改善された外部耐久性が得られたことを発見した。
【0029】
本発明の組成物は、溶媒をさらに含む。任意の適切な溶媒を使用することができる。その例には、SOLVESSO 100溶媒もしくはOXSOL 100溶媒、トルエンもしくはキシレンなどの脂肪族または芳香族炭化水素、n−ブタノール、sec−ブタノール、もしくはイソプロパノールなどのアルコール、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソ−ブチル、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、もしくはプロピオン酸n−ペンチルなどのエステル、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、もしくはメチルn−プロピルケトンなどのケトン、エーテル、エーテル−アルコール、またはエーテル−エステル、例えばエチル3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、もしくはプロピレングリコールt−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、またはこれらのいずれかの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。本発明の組成物は、90から97重量%の溶媒を含む。使用される溶媒の量およびタイプは、組成物の所望の粘度および意図される用途に応じて変わることになり、当業者の決定する技術の範囲内にある。
【0030】
本明細書に記述される組成物は、可塑剤、抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤および安定剤、界面活性剤、流量制御剤、チキソトロープ剤、充填材、有機共溶媒、耐摩耗性粒子、反応性希釈剤、触媒、研磨ビヒクル、およびその他の通常の助剤など、コーティングを調合する当技術分野で公知の1種または複数の追加の添加剤を、さらに含んでいてもよい。
【0031】
組成物は、着色剤をさらに含んでいてもよい。本明細書で使用される「着色剤」という用語は、色および/またはその他の不透明性および/またはその他の視覚効果を組成物に与える任意の物質を意味する。着色剤は、個々に離された粒子、分散体、溶液、および/またはフレーク(例えば、アルミニウムフレーク)など、任意の適切な形でコーティングに添加することができる。単一の着色剤、または2種以上の着色剤の混合物を、本明細書に記述される組成物に使用することができる。一般に、着色剤は、所望の視覚および/または色効果を与えるのに十分な任意の量で存在することができる。
【0032】
例示的な着色剤には、顔料、染料、および染色剤であって、塗料工業で使用されおよび/またはドライカラー製造者協会(Dry Color Manufacturers Association)(DCMA)に列挙されるものなど、ならびに特殊効果組成物が含まれる。着色剤は、例えば、使用条件下で不溶性であるが湿潤性のある、微粉化した固体粉末を含んでいてもよい。着色剤は、有機または無機であり得、凝集することができてもできなくてもよい。着色剤は、アクリル研磨ビヒクルなどの研磨ビヒクルの使用によってコーティングに組み込むことができ、このビヒクルの使用は、当業者に馴染みのあるものである。
【0033】
例示的な顔料および/または顔料組成物には、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩タイプ(レーキ)、ベンズイミダゾロン、縮合、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。「顔料」および「着色充填材」という用語は、同義に使用することができる。
【0034】
例示的な染料には、フタログリーンまたはフタロブルー、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、およびキナクリドンなど、溶媒および/または水性ベースのものが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0035】
例示的な染色剤には、Degussa,Inc.から市販されているAQUA−CHEM 896、Eastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions divisionから市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなど、水ベースのまたは水混和性の担体に分散させた顔料が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0036】
上述のように、着色剤は、ナノ粒子分散体を含むがこれに限定されない分散体の形をとることができる。ナノ粒子分散体は、所望の可視色および/または不透明性および/または視覚効果をもたらす1種または複数の高度に分散されたナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含むことができる。ナノ粒子分散体は、150nm未満、例えば70nm未満、または30nm未満の粒度を有する顔料または染料などの着色剤を含むことができる。ナノ粒子は、0.5mm未満の粒度を有する研磨媒体で、ストック有機顔料またはストック無機顔料をミリングすることにより、生成することができる。例示的なナノ粒子分散体およびそれらを作製するための方法は、米国特許第6,875,800号で明らかにされている。ナノ粒子分散体は、結晶化、沈殿、気相縮合、および化学的摩滅(すなわち、部分溶解)によって生成することもできる。コーティング内のナノ粒子の再凝集を最小限に抑えるために、樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体を使用することができる。本明細書で使用される「樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体」は、ナノ粒子およびナノ粒子上の樹脂コーティングを含む個々に離された(discreet)「複合マイクロ粒子」が分散された、連続相を指す。樹脂コーティングされたナノ粒子の例示的な分散体およびそれを作製するための方法は、米国特許出願公開第2005/0287348号、米国仮出願第60/482,167号、および米国特許出願第11/337,062号で明らかにされている。
【0037】
使用されてもよい例示的な特殊効果組成物には、反射率、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム、および/または色の変化など、1つまたは複数の外観上の効果をもたらす顔料および/または組成物が含まれる。追加の特殊効果組成物は、不透明性またはテクスチャなどのその他の知覚可能な性質を提供することができる。非限定的な実施形態において、特殊効果組成物は、コーティングを異なる角度から見たときにコーティングの色が変化するように、色のシフトをもたらすことができる。例示的な色効果組成物は、米国特許第6,894,086号で明らかにされている。追加の色効果組成物は、透明なコーティング付きのマイカおよび/または合成マイカ、コーティング付きのシリカ、コーティング付きのアルミナ、透明な液晶顔料、液晶コーティング、および/または任意の組成物を含むことができ、この場合、干渉は、材料内の屈折率差から生じるものであって材料の表面と空気との間の屈折率差によるものではない。
【0038】
ある非限定的な実施形態では、1つまたは複数の光源に曝されたときにその色を可逆的に変化させる、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物を、本明細書に記述される組成物に使用することができる。フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、特定の波長の放射線に曝されることによって、活性化され得る。組成物が励起されると、分子構造は変化し、変化した構造は、組成物の当初の色とは異なる新しい色を示す。放射線への曝露が解除されると、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は静止状態に戻り得、組成物の当初の色に戻る。1つの非限定的な実施形態において、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、非励起状態で無色であり得、励起状態で色を示し得る。フルカラー変化は、ミリ秒から数分以内、例えば20秒から60秒以内に生じることができる。例示的なフォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、フォトクロミック染料を含む。
【0039】
非限定的な実施形態において、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、重合性成分のポリマーおよび/またはポリマー材料に、共有結合などによって会合することができ、および/または少なくとも部分的に結合することができる。感光性組成物がコーティングの外に移行しかつ基材内で結晶化し得るいくつかのコーティングとは対照的に、本発明の非限定的な実施形態によるポリマーおよび/または重合性成分に会合され、および/または少なくとも部分的に結合される感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、コーティングの外への移行が最小限に抑えられる。例示的な感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物と、それらを作製するための方法は、米国出願第10/892,919号で明らかにされている。
【0040】
使用してもよい適切な触媒には、当業者に公知の酸性触媒および塩基性触媒が含まれる。ルイス酸触媒およびルイス塩基触媒、ならびに有機酸触媒および有機塩基触媒を、本発明で利用してもよい。例えば、ナフテン酸スズ、安息香酸スズ、オクタン酸スズ、酪酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、酸化ジブチルスズ、オクタン酸鉛、アセト酢酸エチルアルミニウム(aluminum ethyl acetoactetate)、アセト酢酸エチルジルコニウム、ならびにブロックされていないおよびブロックされた形のジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキル酸ホスフェート、フェニル酸ホスフェート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、グアニン、ピリジン、テトラメチルグアニジン、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル、および様々なブロックされた形の上述の触媒である。
【0041】
上述の材料に加え、組成物は、有機溶媒も含むことができる。コーティング組成物に使用することができる適切な有機溶媒には、前述の段落に列挙されたもののいずれか、ならびに酢酸ブチル、キシレン、メチルエチルケトン、またはこれらの組合せが含まれる。
【0042】
ある実施形態において、本明細書に記述される組成物は、ウレタン形成触媒を含んでいてもよい。組成物は、0.01重量%以下のウレタン形成触媒を含んでいてもよい。組成物中の少量のウレタン形成触媒は、改善された「目に見えない」仕上げを目的に、組成物の外観を改善するのを助ける。その他の実施形態において、ウレタン形成触媒が存在してよく、そして、ウレタン形成触媒が、ウレタンタイプのクリアコートとしてなど、追加のコーティングとの反応に寄与してもよい。例えば、スポットブレンダーのウレタン形成触媒は、ウレタンタイプのクリアコート内でのウレタン反応の触媒としても働くと考えられる。
【0043】
ウレタン形成触媒は、金属触媒、例えばスズ、亜鉛、およびビスマスなどであってもよい。ウレタン形成触媒の例には、有機スズ化合物(例えば、二ラウリン酸ジブチルスズおよび二酢酸ジブチルスズ)、カルボン酸亜鉛、カルボン酸ビスマス、有機水銀化合物、第3級アミン、リン酸ジブチルのトリエチルアミン塩などのアミン塩、フェニル酸ホスフェートおよび酢酸などの酸、ジルコニウムアセチルアセトネートなどの金属キレート、イソシアネートとアルコールとの反応を触媒する当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0044】
ある実施形態において、組成物のポリマーポリオールおよび(メタ)アクリレートは、組成物のその他の材料を添加する前に予備反応させてもよい。例えば、ポリマーポリオールと(メタ)アクリレートとを予備反応させて、(メタ)アクリレート不飽和とヒドロキシル基との両方を有するポリマーを形成させてもよい。そのようなポリマーは、800から1200の(メタ)アクリレート当量と、500から1000のヒドロキシル当量とを有する。この実施形態では、反応生成物が形成されると、光開始剤および任意の追加の所望の添加剤が添加される。実施形態において、追加の量のポリマーポリオールは、反応生成物が形成された後に添加してもよい。溶媒は、最終成分として添加される。ある実施形態では、ウレタン形成触媒を、光開始剤の後に添加してもよく、あるいは、予備反応を助けるためにポリマーポリオールおよび(メタ)アクリレートと共に添加してもよい。成分が集められたら、次いで例えば低剪断混合プロセスまたは当業者に理解される任意のプロセスによって混合して、組成物の均質な混合物を生成する。
【0045】
本明細書に記述される組成物は、本明細書に挙げられた量で、容器に構成成分を別々におよび順次添加することによって作製されてもよい。実施形態では、下記の成分を容器に順次添加してもよく、すなわち、最初にポリマーポリオール、次いで(メタ)アクリレート、次いで光開始剤、次いで任意選択のウレタン形成触媒および/または添加剤など、最後に溶媒を添加する。容器に集めたら、混合物を一緒に撹拌して、例えば低剪断混合プロセスによって、当業者に理解される均質な混合物を生成する。
【0046】
本発明の組成物は、自動車およびトラックの補修で使用してもよいスポットブレンダー組成物として使用するのに、特に適している。例えば、スポットブレンダーは、直径3cmまでの損傷領域またはスポットを修復するのに使用してもよい。使用中、スポットブレンダーが損傷領域に付着された場合、スポットブレンダーは、波長が200から500nmの紫外線を当てることによって硬化されてもよい。放射線は、所望の放射線波長を放出するランプにより供給されてもよい。フィルタを使用してもよく、ランプの距離は、所望の硬化が行われるように調節してもよい。修復系でのスポットブレンダーの使用は、「目に見えない」仕上げをもたらし、損傷部位を修復したという目に見えるしるしを残さない。
【0047】
スポットブレンダーは、例えば多重硬化および/または多層コーティング修復系を含む、クリアコート修復系で使用してもよい。スポットブレンダーは、任意の数のクリアコート組成物と共に使用してもよい。特定の適切な実施形態において、スポットブレンダーは、多成分クリアコート組成物と併せて使用してもよい。「多成分」は、少なくとも2成分を意味し、例えば2成分(「2K」)コーティング または3成分(「3K」)コーティングを意味する。ある実施形態において、第1の成分は、(メタ)アクリレート不飽和およびヒドロキシル官能性の両方を有するポリマー、例えばアクリルコポリマーであってもよい。第2の成分は、ポリイソシアネート硬化剤であってもよい。任意選択で、ポリチオールを含む第3の成分を、使用してもよい。クリアコート組成物の例は、参照により本明細書に共に組み込まれている2008年9月2日に出願された米国特許出願第12/202,874号の第6段落〜第38段落、および2007年8月17日に出願された米国特許出願公開第2009/047546号の段落[0011]〜[0025]に記載されている。
【0048】
スポットブレンダーは、「多重硬化系/コーティング」、すなわち2つ以上の異なるメカニズムによって硬化される系で使用されると言われるが、スポットブレンダーは、任意の系および/またはコーティングと共に使用できると理解される。例えばスポットブレンダーは、1つのメカニズムによって硬化するコーティング、または架橋しないコーティング、例えば空気乾燥ラッカーと共に使用することができる。
【0049】
本発明は、自動車の基材またはコーティング上の、小さな領域、欠陥または損傷したスポットを修復する方法にさらに関連する。この方法は、(i)損傷スポットにクリアコートを付着させるステップと、(ii)クリアコート上に、本発明の組成物を付着させるステップと、(iii)付着したクリアコートおよびスポットブレンダーを硬化するステップとを含む。実施形態において、付着したクリアコートおよびスポットブレンダーは、例えば紫外線を用いて同時に硬化してもよい。あるいは、クリアコートを最初に硬化してもよく、次いでスポットブレンダーをクリアコート上に付着させ、引き続き硬化してもよい。クリアコートおよび/またはスポットブレンダーは、放射線硬化、熱硬化、化学硬化、またはこれらの組合せの1つのいずれかによって硬化してもよい。
【0050】
この方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0048441号の第40段落〜第45段落に記載されているステップのいずれか1つまたは複数を含んでいてもよい。下記のステップ、すなわち、損傷スポットおよび/またはその周囲をクリーニングするステップ;損傷スポットをサンディングし、および/または再度クリーニングするステップ;任意選択で、損傷スポットを充填し、サンディングし、および/またはクリーニングするステップ、任意選択で、充填材および/またはプライマーの少なくとも1つを付着させ、および/または得られた充填材フィルムをフラッシュオフし、充填材フィルムを硬化し、および/または得られた充填材コートをサンディングし、および/またはクリーニングするステップの少なくとも1つ;および/または充填材フィルムにベースコート材料を付着させ、得られたベースコートフィルムをフラッシュオフし、および/または損傷スポット上のスプレーしぶきを全て除去するステップを含むがこれらに限定することのないステップの、いずれか1つまたは複数を、損傷スポットにクリアコートを付着させるステップの前に行ってもよい。
【0051】
他に明白に指示しない限り、本明細書で使用される全ての数、例えば値、範囲、量、またはパーセンテージを表すものなどは、たとえその用語が明白に表現していない場合であっても、「約」という単語が前に置かれているかのように読むことができる。また、本明細書に挙げられる任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むものとする。単数形は複数を包含し、その逆も同様である。例えば、本明細書では、“a”polymeric polyol(ポリマーポリオール)、“an”isocyanate−functional (meth)acrylate(イソシアネート官能性(メタ)アクリレート)、および“a”photoinitiator(光開始剤)について言及されるが、これらのそれぞれの1つまたは複数、および任意のその他の成分を使用することができる。さらに本出願において、「または」の使用は、ある場合に「および/または」を明示的に使用できるとしても、他に特に指示しない限り「および/または」を意味する。本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、オリゴマーと、ホモポリマーおよびコポリマーの両方とを指し、接頭語の「ポリ」は、2つ以上を指す。本明細書で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルおよびメタクリルの両方を指す。本明細書で使用される「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指す。本明細書で使用される「脂肪族(または脂環式)((cyclo)aliphatic)」という用語は、脂肪族と脂環式の両方を指す。「含む」および同様の用語は、含むがそれに限定されないことを意味する。
【0052】
以下の詳細な記述のために、本発明は、反対のことを明白に指示している場合を除き、様々な代替変形例およびステップ順序を仮定できると理解される。
【実施例】
【0053】
下記の実施例は、本発明を例示するものとし、本発明を如何様にも限定すると解釈すべきではない。全ての部およびパーセンテージは、他に指示しない限り重量によるものである。
【0054】
(樹脂実施例1)
樹脂実施例1は、本発明の組成物に使用されるポリマーポリオール、特にアクリルポリオールの調製について記述する。
【0055】
アクリルポリオールは、メチルメタクリレート21.8%、スチレン21.8%、ヒドロキシエチルメタクリレート16%、アクリル酸9.6%、およびCARDURA E(HEXIONのC10エポキシ)30.9%を添加することによって作製した。アクリルポリオールは、芳香族100(35重量%)および酢酸ブチル(65重量%)の溶媒ブレンド中、60重量%の樹脂固形分をもたらした。アクリルポリオールは、酸価10およびヒドロキシル価78を有していた。アクリルポリオールは、34℃のTgも有する。
【0056】
(樹脂実施例2)
樹脂実施例2は、本発明の組成物に使用されるイソシアネートおよびアクリレート官能性を有する、ウレタン含有(メタ)アクリレートの調製について記述する。
【0057】
ウレタンアクリレートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、Bayer Material ScienceのDESMODUR N 3600を515.3グラム、フリーラジカル阻害剤(ヒドロキノンモノメチルエーテル)0.28グラム、二ラウリン酸ジブチルスズ0.25グラム、および酢酸ブチル172.0グラムの混合物を、窒素中で、室温で撹拌することによって調製した。次いで4−ヒドロキシルブチルアクリレート414.6グラムを、60分にわたり滴下して加えた。酢酸ブチル59.2グラムを添加し、次いで混合物を60〜65℃で30分間維持した。
【0058】
(樹脂実施例3)
樹脂実施例3は、本発明の組成物に使用される、イソシアネートおよびアクリレート官能性を有するウレタン含有(メタ)アクリレートの調製について記述する。
【0059】
ウレタンアクリレートは、イソホロンジイソシアネート、Bayer Material ScienceのDESMODUR Z4470 SNを2707.1グラム、フリーラジカル阻害剤、IONOLを4.065グラム、二ラウリン酸ジブチルスズ2.38グラム、およびリン酸トリフェニル7.00グラムの混合物を、窒素中で、室温で撹拌することによって調製した。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート445.6グラムを、反応温度を75℃に維持しながら20分間にわたり滴下して加えた。次いで1,4ブタンジオール20.5グラムを一度に全て添加した。反応混合物を、さらに60分間、75℃で撹拌した。最後に、酢酸ブチル342.0グラムを添加し、5分間撹拌した。
【0060】
(樹脂実施例4)
樹脂実施例4は、ポリマーポリオール、特にアクリルポリオールの調製について記述する。
【0061】
スターラ、熱電対、凝縮器、および滴下漏斗であってポンプを備えたものを備えた反応容器に、酢酸エトキシプロピル509.3グラムを投入し、約157℃で加熱還流した。本明細書ではAおよびBと特定される2つの供給物を、次に4時間にわたって容器に徐々に添加したが、このときの容器の内容物は、還流条件下で維持した。供給物Aは、2−エチルヘキシルアクリレート625.8グラム、ヒドロキシエチルメタクリレート962.8グラム、イソボルニルメタクリレート2816グラム、アクリル酸36.1グラム、n−ブチルメタクリレート500.7グラム、t−ドデシルメルカパン12.0グラム、および酢酸エトキシプロピル32.5グラムの混合物からなるものであった。供給物Bは、LUPEROX DTA(Arkema製)105.6グラムおよび酢酸エトキシプロピル109.3グラムの混合物であった。供給物AおよびBの添加が終了した後、滴下漏斗を、酢酸エトキシプロピル32.5グラムで濯いだ。次いでLUPEROX DTAを14.8グラムと酢酸エトキシプロピル15.3グラムの混合物の供給物を、30分間添加した。漏斗を、酢酸エトキシプロピル32.5グラムで濯ぎ、容器の内容物を1時間還流させた。その後、加熱を中断し、容器の内容物を冷ました。
【0062】
得られた生成物は、110℃で1時間測定された全固形分含量が73.6重量パーセントであり、ポリスチレン標準を利用したゲル透過クロマトグラフィにより決定したときのピーク分子量が2750であり、重量平均分子量が2912であり、数平均分子量が1439であり、Gardner−Holt粘度はZであり、酸価が8.63であり、ヒドロキシル価が128.3である、フィルム形成ポリマーであった。
【0063】
(樹脂実施例5)
樹脂実施例5は、ポリマーポリオールをイソシアネート官能性(メタ)アクリレートと予備反応させて、アクリレート官能性およびヒドロキシル基を有するポリマーを形成した実施形態を実証する。
【0064】
反応フラスコは、スターラ、熱電対、窒素入口、および凝縮器を備えていた。次いで樹脂実施例4で合成されたアクリルポリオール347.2グラムを添加し、撹拌し、フラスコ内を通過する空気の緩やかな流れを用いて65℃に加熱した。樹脂実施例2で合成したイソシアネート官能性(メタ)アクリレート235.4グラムを、滴下漏斗を使用して1時間にわたりフラスコに添加した。漏斗を、酢酸n−ブチル59.4グラムで濯ぎ、濯ぎ液を反応混合物に添加した。反応混合物を、65℃で195分間撹拌し、その時間までに、IRにより検出されたイソシアネートはなかった。ポリマー溶液を周囲温度まで冷却した。得られた生成物は、110℃で1時間にわたり測定された70.2%の全固形分含量を有しており、数平均分子量は2476であり、重量平均分子量は24615であり、ピーク分子量は114154であり、多分散性は9.9であった。
【0065】
(樹脂実施例6)
樹脂実施例6は、ポリマーポリオール、特にポリエステルの調製について記述する。
【0066】
スターラ、熱電対、グリコール回収設備、凝縮器、およびDean−Starkトラップを備えた反応容器に、1,3−プロパンジオール(Shell Chemical)950.0グラム、メチルイソブチルケトン162.4グラム、IONOL 2.17グラム、ブチルスズ酸(butyl stannoic acid)4.33グラム、および亜リン酸トリイソデシル10.84グラムを投入し、約100℃に加熱した。次いでイタコン酸(CARGILL)1083.3グラムを反応容器に添加し、内容物を約133℃で加熱還流した。水を、反応温度を170℃まで徐々に上昇させながら、この反応から除去した。反応の酸価が6.65mg KOH/gに達したら、加熱を中断し、容器の内容物を冷ました。
【0067】
得られた生成物は、110℃で1時間にわたり測定された全固形分含量89.3重量パーセントを有しており、ポリスチレン標準を利用するゲル透過クロマトグラフィにより決定されたピーク分子量は808であり、重量平均分子量は1711であり、数平均分子量は618であり、Gardner−Holt粘度はV+であり、APHA色は70であり、ヒドロキシル価は258.9であり、含水率は0.04%であった。
【0068】
実施例1〜3は、本発明によるスポットブレンダー組成物を例示する。
【0069】
(実施例1)
【0070】
【表1】

1 Air Products & Chemicals Inc.製二ラウリン酸ジブチルスズDabco T−12。
2 RAHN製GENOCURE TPO。
3 BYK Chemie製アクリレートコポリマー流動添加剤。
4 BYK Chemie製変性ポリシロキサン流動添加剤。
5 EASTMAN CHEMICAL製酢酸n−ブチル。
6 EXXON製芳香族炭化水素溶媒。
7 Shell Chemical Co.製芳香族溶媒。
8 EASTMAN CHEMICAL製メチルイソブチルケトン。
9 DOW CHEMICAL製プロピオン酸n−アミル。
【0071】
(実施例2)
実施例2は、ポリマーポリオールおよびイソシアネート官能性(メタ)アクリレートを予備反応させる本発明の別のスポットブレンダーを例示する。反応した生成物のポリマーに加え、スポットブレンダーは、追加の量のポリマーポリオールも含む。追加のポリマーポリオールは、「目に見えない」仕上げをもたらすために、スポットブレンダーと損傷領域とのブレンディングをさらに助ける。
【0072】
【表2】

(実施例3)
実施例3は、本発明のさらに別のスポットブレンダーを例示する。実施例3の組成物は、ポリマーポリオールとイソシアネート官能性(メタ)アクリレートとを予備反応させることによって生成されたポリマーを含む点が、実施例2の組成物に類似している。スポットブレンダーは、追加の量のポリマーポリオールも含む。
【0073】
【表3】

10 BYK Chemie製シリコーン流動添加剤溶液。
【0074】
実施例4〜6は、コーティング系を修復するために本発明のスポットブレンダーと共に使用することができる、例示的なクリアコート組成物を例示する。実施例4〜6のいくつかにおいて、クリアコート組成物は、樹脂実施例1〜5で合成されかつスポットブレンダー組成物に使用されたものと同じ材料(すなわち、ポリマーポリオールまたは(メタ)アクリレート)を含む。これらの実施例は、クリアコートおよびスポットブレンダーが同じ材料を使用してもよくまたは使用しなくてもよいので、限定を意味するものではない。
【0075】
(実施例4)
下記は、本発明のスポットブレンダーと共に使用することができるUVクリアコートの例である。
【0076】
【表4】

11 Sartomer製ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート。
12 CIBA SPECIALTY CHEMICALS製ベンゾトリアゾール誘導体光安定剤。
13 三共(株)製ペンタメチル−4−ピペリジニルセバケートヒンダードアミン光安定剤。
14 CIBA SPECIALTY CHEMICALS製ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン。
15 Bruno Brock Chemische Fabrik Gmbh製テトラ(3−メルカプトプロピオネート)−ペンタエリスリトール。
【0077】
(実施例5)
下記は、本発明のスポットブレンダー組成物と共に使用することができるUVクリアコート組成物の別の例である。
【0078】
【表5】

16 Bayer Materialscience LLC製DESMODUR Z 4470 BA IPDIベースのポリイソシアネート。
17 Bayer Materialscience LLC製DESMODUR N 3600脂肪族HDIベースのポリイソシアネート。
18 Bruno Brock Chemische Fabrik Gmbh製トリメチルトリ(3−メルカプトプロピオネート)。
【0079】
(実施例6)
実施例6は、別のUVクリアコート組成物を例示する。この実施例において、中間体ウレタンアクリレートは、クリアコート組成物を作製するためにアクリルポリオール(パック1)と反応させるのではなく、イソシアネート架橋剤パッケージ(パック2)の一部であった。本発明のスポットブレンダー組成物は、下記のクリアコート組成物と併せて使用することができる。
【0080】
【表6】

(実施例7)
実施例7は、修復のためのプロセスを例示する。OEMベースコートクリアコート系でコーティングされた、湾曲した金属パネルのサイズ12×12インチを、修復を実証する基材として使用した。小面積(6×4インチ)を、1200グリット紙でサンディングした。実施例4のUVクリアコートを、HPLV銃(Devilbiss 1.2mmチップ)を用いて、サンディングした領域に付着させ、実施例1のスポットブレンダーを、UVクリアコートのエッジに付着させ、クリアコート内に、ある程度までブレンドして、均一なブレンドが形成されるようにした。コーティングされた修復領域を、AutoShot UVA 400硬化システムランプの下で5分間硬化した。ランプから基材までの距離は10インチであった。基材を室温まで冷却した後、フォームパッドおよび3M 06002 FINESSE−IT Polish−Extra Fineによるエレクトリックバッファを使用して、修復領域をバフ仕上げした。残された残留物を、スピリットワイプ(Shell Chemical製VM&P Naphtha)で全てクリーニングした。基材上の最終的な修復領域は、修復したことを示すような目に見えるしるしを示さない修復を生成し、滑らかで高光沢のエッジフリー修復仕上げをもたらした。
【0081】
本発明の特定の実施形態について、例示の目的でこれまで記述してきたが、添付される特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細の数多くの変更を行うことができることが、当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーポリオールと、
(メタ)アクリレートと、
0.1重量%未満の光開始剤と、
溶媒と
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記ポリマーポリオールを2から10%、前記(メタ)アクリレートを1から5%、および溶媒を90から97%含み、前記パーセンテージは重量によるものでありかつ前記組成物の全重量に対するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートがウレタン(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレートが、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、またはこれらの組合せを含む官能基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマーポリオールおよび前記(メタ)アクリレートが予備反応して、(メタ)アクリレート不飽和およびヒドロキシル基の両方を有するポリマーを形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記光開始剤を、0.07重量%以下で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーポリオールが(メタ)アクリルポリオールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリレート不飽和を有するポリマー、ポリイソシアネート、および任意選択でポリチオールを含むクリアコートと、
請求項1に記載の組成物を含むスポットブレンダーと
を含むコーティング系。
【請求項9】
前記スポットブレンダーの前記(メタ)アクリレートが、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、またはこれらの組合せを含む官能基を含む、請求項8に記載のコーティング系。
【請求項10】
前記スポットブレンダーの前記ポリマーポリオールおよび前記(メタ)アクリレートが予備反応して、(メタ)アクリレート不飽和およびヒドロキシル基を有するポリマーを形成する、請求項8に記載のコーティング系。
【請求項11】
前記スポットブレンダーの前記ポリマーポリオールが(メタ)アクリルポリオールを含む、請求項8に記載のコーティング系。
【請求項12】
前記スポットの前記(メタ)アクリレートがウレタン(メタ)アクリレートである、請求項8に記載のコーティング系。
【請求項13】
放射線硬化、熱硬化、またはこれらの組合せがなされている、請求項8に記載のコーティング系。
【請求項14】
自動車の基材上の損傷スポットを修復する方法であって、
(i)前記損傷スポット上にクリアコートを付着させるステップと、
(ii)前記クリアコート上に、請求項1に記載の組成物を含むスポットブレンダーを付着させるステップと、
(iii)前記付着させたクリアコートおよびスポットブレンダーを硬化するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記クリアコートが、(メタ)アクリレート不飽和を有するポリマー、ポリイソシアネート、および任意選択でポリチオールを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記クリアコートを付着させるステップの前に、
(i)前記損傷スポットおよび/またはその周囲をクリーニングするステップ、
(ii)前記損傷スポットをサンディングし、および/または再度クリーニングするステップ、
(iii)任意選択で、前記損傷スポットを充填し、サンディングし、および/またはクリーニングするステップ、
(iv)任意選択で、充填材またはプライマーの少なくとも1つを付着させ、および/または得られた充填材フィルムをフラッシュオフし、前記充填材フィルムを硬化し、および/または得られた充填材コートをサンディングし、および/またはクリーニングするステップの少なくとも1つ、ならびに
(v)前記充填材フィルムにベースコート材料を付着させ、得られたベースコートフィルムをフラッシュオフし、および前記損傷スポット上のスプレーしぶきを全て除去するステップ
の1つまたは複数が行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記スポットブレンダーが、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、またはこれらの組合せを含む官能基を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記スポットブレンダーが、前記光開始剤を0.07重量%以下で含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記スポットブレンダーを付着させる前に、前記スポットブレンダーの前記ポリマーポリオールと前記(メタ)アクリレートとを予備反応させて、(メタ)アクリレート不飽和およびヒドロキシル基を有するポリマーを形成させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記スポットブレンダーの前記ポリマーポリオールが(メタ)アクリルポリオールを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記スポットブレンダーの前記(メタ)アクリルがウレタン(メタ)アクリレートである、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ポリマーポリオールと、
ウレタン(メタ)アクリレートと、
0.1重量%未満の光開始剤と、
溶媒と
を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレートが、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、またはこれらの組合せを含む官能基を含む、組成物。

【公表番号】特表2013−508514(P2013−508514A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535454(P2012−535454)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054075
【国際公開番号】WO2011/053580
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】