説明

コーティング組成物に用いる樹脂

コーティングシステムは、基材及び該基材上に堆積され且つコーティング組成物から形成された硬化フィルムを含む。コーティング組成物は溶媒成分と樹脂を含む。樹脂は、ポリオレフィンとオリゴマー又はポリマーとの反応生成物を含む。オリゴマー又はポリマーとは異なるポリオレフィンは、オリゴマー又はポリマーと反応する官能基を有し、該官能基はアクリレート、メタクリレート、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシド、無水物及びイソシアネート官能基から選択される。オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性である。オリゴマー又はポリマーはポリオレフィンでグラフトされて樹脂を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2010年2月5日に出願された、米国特許出願第61/301,690号の優先権及び全ての利点を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の属する分野
本発明は概してコーティング組成物に用いる樹脂に関する。更に詳細には、本発明は、低光沢のコーティング組成物から形成される硬化フィルムを提供する樹脂に関する。
【0003】
関連技術の説明
コーティング組成物は、通常、色、外観、及び保護などの、一定の機能性及び意匠性を基材に与えるために、基材に適用される。例えば、コーティング組成物は、高光沢又は低光沢の基材を提供することによって外観を向上させるために使用されてよい。光沢は、鏡面光沢度の目安であり、入射角が反射角と等しくなるように光が平坦な基材に反射する時に生じるものである。高光沢の基材は、一般に、高比率の鏡面光を反射し、光沢のある外観を特徴とする。対照的に、低光沢の基材は、通常、低比率の鏡面光を反射し、曇りのある又は無光沢の外観を特徴とする。
【0004】
多くの現存するコーティング組成物は、低光沢度を要する用途のために、コーティング組成物中に、フュームドシリカなどの、艶消し剤を含むように設計されている。艶消し剤は、鏡面光の反射を乱す。結果的に、増大した濃度の艶消し剤は、低減された光沢度のコーティング組成物から形成される硬化フィルムを提供する。しかしながら、増大した濃度の艶消し剤も、コーティング組成物の製造コストを不利益に増大させる。
【0005】
更には、増大した濃度の艶消し剤を含むコーティング組成物は沈降しやすい、即ち、コーティング組成物は不安定である。不安定なコーティング組成物は、不良な保存性を有しており、コーティング組成物の粘度と噴霧適性に悪影響を及ぼすことなく所望の持続時間にわたって保存することができない。
【0006】
更に、増加した濃度では、艶消し剤はコーティング組成物中で凝集しやすい。その結果、増加した濃度の艶消し剤を含むコーティング組成物から形成される硬化フィルムは、通常、時間とともに一貫しない光沢レベル、不適格のみすぼらしい外観を有し、且つ適格の艶消仕上を示さない。
【0007】
最終的には、増大した濃度の艶消し剤を含むコーティング組成物は、通常、脆性があり且つ不良な耐久性を示す硬化フィルムを形成する。
【0008】
本発明の概要及び利点
当該発明は、コーティングシステムを提供する。コーティングシステムは、基材及び該基材上に堆積され且つコーティング組成物から形成された硬化フィルムを含む。コーティング組成物は溶媒成分と樹脂を含む。硬化フィルムは、20°で光沢計によって測定して35光沢単位(%)未満、最適には10光沢単位(%)未満の光沢度を有する。光沢単位とは、20°の角度で反射する光の量のパーセンテージである。
【0009】
樹脂は、オリゴマー又はポリマーとポリオレフィンとの反応生成物を含む。オリゴマー又はポリマーは、アクリル樹脂、エステル、ウレタン、及びイソシアネートから選択される。オリゴマー又はポリマーは、任意に、ヒドロキシル、カルボキシル、無水物、イソシアネート及びエポキシド官能基から選択される反応性官能基をそこに有する。ポリオレフィンはオリゴマー又はポリマーとは異なり、カルボキシル、ヒドロキシル、無水物、アクリレート、メタクリレート、エポキシド、及びイソシアネート官能基から選択される官能基を有する。ポリオレフィンの官能基はオリゴマー又はポリマーと反応する。オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性である。
【0010】
当該発明も、樹脂の形成方法を提供する。この方法の場合、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンが提供され、オリゴマー又はポリマーは、樹脂を形成するためにポリオレフィンでグラフトされる。
【0011】
樹脂を含むコーティング組成物は、シリカなどの艶消し剤の濃度を最小にしながら、コーティング組成物の製造コストを不利益に増大させることなく、低光沢度のコーティング組成物から形成された硬化フィルムを十分に提供する。更に、樹脂は、優れた安定性及び保存性を有するコーティング組成物を提供する。更には、樹脂を含むコーティング組成物は、不適格のみすぼらしい外観ではない、適格の艶消仕上を示す、非脆性の、耐久性のある硬化フィルムを形成することができる。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、樹脂、該樹脂の形成方法、及び樹脂を含むコーティングシステムを含む。本発明の樹脂は、通常、低光沢度の自動車コーティング組成物を要求する用途に有用である。しかしながら、本発明の樹脂は、コイルコーティング組成物などの自動車コーティング組成物を超える用途を有し得ることが理解されるべきである。
【0013】
コーティングシステムは、基材及び該基材上に堆積された硬化フィルムを含む。基材は当該技術分野で公知の基材であってよい。通常、基材は、鋼又はアルミニウムなどの金属である。一実施態様では、基材は、ピラー、中柱又は窓枠などの自動車の部品である。
【0014】
硬化フィルムは、溶媒成分及び樹脂を含むコーティング組成物から形成される。コーティング組成物の溶媒成分は、通常、有機溶媒又は溶媒混合物を含む。当業者は、通常、硬化フィルムの形成の間に蒸発しやすい溶媒成分を選択する。適した溶媒としては、グリコール、エステル、エーテル−エステル、グリコール−エステル、エーテル−アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適した溶媒成分の特定例としては、Oxsol 100、Aromatic 100、Aromatic 150、酢酸メチル、及びメチルアミルケトンが挙げられる。
【0015】
コーティング組成物の樹脂は、オリゴマー又はポリマーとポリオレフィンとの反応生成物を含む。オリゴマー又はポリマーは、アクリル樹脂、エステル、ウレタン、及びイソシアネートから選択される。オリゴマー又はポリマーは任意にその上に反応性官能基を有する。存在する場合、オリゴマー又はポリマーの反応性官能基は、ヒドロキシル、カルボキシル、無水物、イソシアネート、及びエポキシド官能基から選択される。一実施態様では、オリゴマー又はポリマーは、以下に更に詳細に記載される通り、ポリオレフィンでグラフトするために上記の反応性官能基を有する。オリゴマー又はポリマーは過剰の官能基を含んでよく、これは架橋を起こすか又は異なる官能基を含んで架橋を起こし得る。例えば、オリゴマー又はポリマーは、エポキシドグラフト官能基を有するアクリル樹脂であってよく、且つ架橋のためにヒドロキシル官能基を含んでよい。
【0016】
オリゴマーエステル及びポリエステルは、ポリオール又は他のアルコールとカルボン酸又は酸無水物との反応によって形成される。ポリエステルを生成するためのポリオールの適した例としては、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びネオペンチルグリコール、及び他のグリコール、例えば、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、カプロラクトンジオール反応生成物、ヒドロキシアルキル化ビスフェノール、ポリエーテルグリコール、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、及び類似の種類の化合物が挙げられる。様々な種類の他のジオール及び高官能価のポリオールも使用できる。かかる高級ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール及び高分子量ポリオール、例えば、エチレンオキシドとトリメチロールプロパンとの反応生成物によって得られるもの及び種々の水素化エポキシ樹脂が挙げられる。上記のポリオールとの反応で使用される好適なカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタル酸、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸、2,2−ジメチルコハク酸及びトリメリト酸が挙げられる。これらの酸が存在する場合、これらの酸の無水物も使用でき、「カルボン酸」との用語に包含される。安息香酸などのモノカルボン酸及びヘキサン酸も使用できるが、但し、ポリオール成分の平均官能価は約2.0を上回る。飽和酸(不飽和のみが芳香環に存在する場合これらの芳香族酸を含む)が好ましい。ポリエステル又はオリゴマーエステルを形成するためにeカプロラクトンが使用される場合、ポリエステル環はポリエチレンとの反応の間開いており、OH官能性ポリエチレンが反応してポリエステルセグメントを形成するので、オリゴマー又はポリマーは官能化される必要はない。
【0017】
ウレタンとの用語は、本発明では、焼成及び周囲硬化用途において一般に使用される種類のものを意味する。通常、これらのウレタンは、ポリオール(又は他のアルコール)とイソシアネートとの化学量論組成ブレンドの結果である。しばしば、一価アルコール又はモノイソシアネートは分子量を調整するためにブレンドされてよい。ポリオールの例としては、オリゴマーエステル又はポリエステルを生成するための上に列挙されたものが挙げられる。ポリイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、それらが存在する前述のイソシアヌレートのビウレットなどが挙げられる。
【0018】
アクリル系オリゴマー及びアクリル系ポリマーは、好ましくは1種以上のコモノマーと一緒に、架橋剤と反応する基又は後に誘導されて架橋剤と反応する基を与え得る基を有する1種以上のモノマーから形成されてよい。かかるモノマー及びコモノマーの例としては、限定されずに、炭素数3〜5のアルファ、ベータ−エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びクロトン酸並びにそれらの酸のエステル;炭素数4〜6のアルファ,ベータ−エチレン性不飽和ジカルボン酸、及びそれらの酸の無水物、モノエステル、及びジエステル;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、及び芳香族又は複素環脂肪族ビニル化合物が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、及びクロトン酸の適したエステルの代表的な例としては、限定することなしに、炭素数1〜20の飽和された脂肪族及び脂環式アルコールとの反応からのそれらのエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル、及びイソボルニルアクリレート、メタクリレート、及びクロトネート;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、及びヒドロキシブチルメタクリレート;及びポリアルキレングリコールアクリレート及びメタクリレートが挙げられる。他のエチレン性不飽和の重合可能なモノマーの代表的な例としては、限定することなしに、化合物、例えばフマル酸無水物、マレイン酸無水物、及びイタコン酸無水物、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールとのモノエステル、及びジエステルが挙げられる。重合ビニルモノマーの代表的な例としては、限定することなしに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル、ビニル−及びビニリデンハロゲン化物、及びビニルエチルケトンのような化合物が挙げられる。芳香族又は複素環式の脂肪族ビニル化合物の代表的な例としては、限定することなしに、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、及び2−ビニルピロリドンのような化合物が挙げられる。コモノマーは任意の組み合わせで使用されてよい。カルバメート官能性アクリルポリマーは、例えば、McGeeらによって、本願明細書に援用される、米国特許第5,639,554号に記載される通りに製造されてよい。
【0019】
変性アクリル樹脂は、本発明の膜形成成分のオリゴマー又はポリマーとしても使用されてよい。かかるアクリル樹脂は、通常、当該技術分野において周知の通り、エステル変性アクリル樹脂又はウレタン変性アクリル樹脂である。好ましいエステル変性アクリル樹脂の一例は、デルタカプロラクトンで変性されたアクリルポリマーである。かかるエステル変性アクリル樹脂は、Etzellらの米国特許第4,546,046号に記載されており、その開示は本願明細書に援用されている。ウレタン変性アクリル樹脂も当該技術分野で周知である。それらは、例えば、米国特許第4,584,354号に記載されており、その開示は本願明細書に援用されている。
【0020】
アクリル系オリゴマー又はアクリル系ポリマーの分子量は、単分散ポリスチレン標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される通り、1,000〜25,000、更に典型的には2000〜10,000、最も典型的には2,500〜4,000の間の数平均分子量の範囲である。アクリル系ポリマーのTgは、一般に、示差走査熱量測定によって測定される通り、−20℃〜60℃の間であり、幾つかの実施態様では、5℃〜60℃の間である。
【0021】
ポリオレフィンはオリゴマー又はポリマーとは異なる。即ち、オリゴマー又はポリマーはポリオレフィンを含まない。ポリオレフィンは、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシド、イソシアネート、無水物、アクリレート及びメタクリレート官能基から選択される官能基を有する。ポリオレフィンの官能基はオリゴマー又はポリマーと反応する。通常、ポリオレフィンの官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、及びそれらの混合物から選択される。当業者は通常、オリゴマー又はポリマーの反応性官能基との望ましい反応性に基づいて、ポリオレフィン及び官能基を選択する。例えば、オリゴマー又はポリマーの反応性官能基がイソシアネート官能基である実施態様では、ポリオレフィンの官能基は、ポリオレフィンとオリゴマー又はポリマーとの反応性を保証するためにヒドロキシル官能基であってよい。代替的な実施態様では、ポリオレフィンはカルボキシル官能基を有し、且つオリゴマー又はポリマーはエポキシ官能基を有する。上記の通り、オリゴマー又はポリマーは、架橋樹脂との架橋のためのグラフトに要求される分を上回る官能基又は架橋のためのグラフト官能基とは異なる追加の官能基を含み得る。
【0022】
ポリオレフィンは通常、蒸気圧浸透圧法によって測定される通り350〜700g/モルの数平均分子量を有する。ポリオレフィンは通常、85℃〜110℃の溶融温度を有する。ポリオレフィンは、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びそれらの組み合わせの群から選択される。一実施態様では、ポリオレフィンは結晶性ポリアルキレンである。例えば、結晶性ポリアルキレンは結晶性ポリエチレンであってよい。ヒドロキシル官能性ポリオレフィンの適した例は、オクラホマ州タルサのBaker−Petrolite社から商品名Unilin(登録商標)で市販されている。適したカルボキシル官能性ポリオレフィンは、オクラホマ州タルサのBaker−Petrolite社から商品名Unicid(登録商標)で市販されている。
【0023】
オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性である。周囲との用語は約18℃から約23℃までを意味することが理解されるべきである。部分的に不混和性との用語は、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンが少なくとも部分的なエマルション及び不均質の相を、一緒に混合された時に任意の割合で形成することを意味することが理解されるべきである。これはつまり、オリゴマー又はポリマーは通常、少なくとも部分的にポリオレフィンと混ざらない、即ち、オリゴマー又はポリマーとポリオレフィンとは通常、不相溶である。
【0024】
オリゴマー又はポリマーは通常、第1の極性を有し、ポリオレフィンは通常、第1の極性とは反対の第2の極性を有する。即ち、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、通常、反対の極性を有するように選択される。通常、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、通常、反対の極性を有するので、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性である。理論に拘束されることを意図するものではないが、オリゴマー又はポリマーとポリオレフィンとの反対の極性のために並びに少なくとも部分的な不混和性のために、本発明の樹脂を含むコーティング組成物から形成される硬化フィルムは低光沢度を有することが考えられる。
【0025】
オリゴマー又はポリマーは通常、樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、50〜85質量部の量で反応して樹脂を形成する。ポリオレフィンは通常、樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜50質量部の量で反応して樹脂を形成する。理論に拘束されることを意図するものではないが、低光沢、即ち、艶消の外観を有するコーティング組成物から形成される硬化フィルムを提供するために、ポリオレフィンは、通常、上記の量で樹脂中に存在することが考えられる。当業者は通常、コーティング組成物から形成される硬化フィルムの光沢度を操作するために樹脂中のポリオレフィンの量を選択して、低光沢度の硬化フィルムを提供する。
【0026】
樹脂を含むコーティング組成物は、更に追加成分を含んでよい。コーティング組成物の追加成分は、更に、当該技術分野で公知の任意の添加剤を含んでよい。好適な添加剤としては、触媒、充填剤、紫外線抑制剤、酸化防止剤、開始剤、促進剤、界面活性剤、艶消し剤、安定剤、ワックス液、及び脱泡剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
重要なことに、本発明のコーティング組成物はシリカなどの艶消し剤を含んでよいが、本発明の樹脂は通常、コーティング組成物中の艶消し剤の一部又は全部を取り替えるために有用である。即ち、樹脂が低光沢度のコーティング組成物から形成される硬化フィルムを十分に提供する一方、コーティング組成物中のシリカなどの艶消し剤の必要性を最小限にするか又はその必要性を無くす。シリカが高価な添加剤成分であるため、樹脂は、コーティング組成物のコストを増大させることなく、低光沢度の硬化フィルムも提供する。更なる利点は、増大した濃度の艶消し剤を含む慣用のコーティング組成物が沈降しやすいこと、即ち、慣用のコーティング組成物が本発明の樹脂を含むコーティング組成物と比較して不安定であることで達成される。
【0028】
追加成分は、コーティングが着色トップコートとして配合される時に、顔料も含んでよい。顔料は通常、コーティング組成物中に含まれて、コーティング組成物から形成される硬化フィルムに色を付与する。かかる顔料は、通常、当該技術分野で公知であり且つ所望の色、耐久性、耐候性、及び耐薬品性に従って当業者によって選択される。好適な顔料としては、無機金属酸化物、有機化合物、金属フレーク、マイカ、増量剤又はフィレット顔料、及び腐食防止顔料、例えば、クロマート、シリカ、シリケート、ホスフェート、モリブデート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
別の実施態様では、追加成分は顔料を含まず、コーティング組成物は通常、クリアコートとして有用である。クリアコートは通常、上記のように、カラーコートから形成される第1の硬化層に塗布されて、第1の硬化層に低光沢度を付与する。理論に拘束されることを意図するものではないが、増大した濃度の樹脂が低減された光沢度のコーティング組成物から形成される硬化フィルムを提供するように、オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンの反対の極性が鏡面光の反射を乱すことができる樹脂を提供することが考えられる。
【0030】
本発明のコーティング組成物は一般に、溶媒蒸発又は化学的架橋によってそれぞれ熱可塑性又は熱硬化性フィルムを形成するフィルム形成成分を有する。溶媒蒸発によって形成される熱硬化性フィルムとは通常、ラッカーを意味する。適したラッカーに使用される樹脂の例としては、ニトロセルロース、酪酸酢酸セルロース、アクリル樹脂、ポリウレタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのはアクリル樹脂及びポリウレタンである。好ましいのは、1つ以上の官能基を有するオリゴマー又はポリマーとポリオレフィンとの反応から形成される樹脂と、該樹脂の官能基と反応する1つ以上の基を有する架橋剤との間の架橋反応によって生成される、熱硬化性フィルムである。上記の通り、樹脂の架橋官能基は、オリゴマー又はポリマーに起因し、これはその上の過剰のグラフト官能基又は追加の異なる官能基によるものである。かかるコーティング組成物において有用な好適な架橋剤の例としては、イソシアネート官能性樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ官能性樹脂、酸官能性樹脂などが挙げられる。本発明によるコーティング組成物において特に有用な架橋剤の例は、イソシアネート、アミノプラスト、及びエポキシ官能性樹脂である。本発明の一実施態様では、特に有用な架橋剤はヘキサメチレンジイソシアヌレートトリマーである。
【0031】
エポキシ官能性樹脂は、通常、オキシラン官能性基とフェノール酸又はカルボン酸基との反応によって構成されたものである。これらの樹脂は、しばしば、エピクロロヒドリンと、フェノール類、例えば、ビスフェノールA又はノボラック樹脂、及びそれらの誘導体との、又はオキシラン官能性樹脂、例えば、グリシジルアクリレート又はメタクリレートで製造されたアクリル樹脂、及びそれらの誘導体との化学量論組成ブレンドである。
【0032】
アミノプラスト樹脂はメラミン又は尿素ホルムアルデヒド樹脂を意味する。例示的な例は、モノマーの又はポリマーのメラミン樹脂、部分的に又は完全にアルキル化したメラミン樹脂、メチロール尿素、例えば、尿素ホルムアルデヒド及びアルコキシ尿素、例えば、ブチル化尿素ホルムアルデヒドであるが、これらに限定されない。
【0033】
一実施態様では、フィルム形成成分はイソシアネート官能性架橋剤を含む。適したイソシアネート官能性架橋剤としては、脂肪族のポリイソシアネート、例えば、脂環式ポリイソシアネート、及び幾つかの芳香族イソシアヌレートが挙げられる。有用な脂肪族ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、例えば、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ブチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4−メチレンビス−(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。有用な芳香族イソシアヌレートとしては、α,.α,.α’,.α.’−テトラメチルキシレンジイソシアネートの種々のアイソマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートは、好ましくは、特にヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートである。
【0034】
また、かかる脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートのビウレット、アロホネート(alophonate)及び/又はイソシアヌレートも使用に適している。本発明のフィルム形成成分中の架橋剤としての使用に好ましいものは、ポリイソシアネートのビウレット及びイソシアヌレート、特に脂肪族ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートである。架橋剤としての使用に最も好ましいものは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット及びイソシアヌレートである。
【0035】
架橋剤成分は、オリゴマー又はポリマーの反応性官能基に基づいて選択される。例えば、オリゴマー又はポリマーがヒドロキシル官能基を含む場合、架橋剤は好ましくはイソシアネートである。オリゴマー又はポリマーがイソシアネート官能基を含む場合、好ましい架橋剤はポリオールである。オリゴマー又はポリマーが酸官能基を含む場合、好ましい架橋剤はエポキシ官能基である。
【0036】
硬化の場合、低光沢表面を得るためにポリオレフィンの溶融転移点よりも低い硬化温度を維持することが好ましい。通常、ポリオレフィンの温度の溶融転移点よりも高い温度によって更に光沢のある表面が得られる。好ましい硬化温度は、周囲温度、18℃(65°F)と60℃(140°F)との間である。ブロック化されていないイソシアネート架橋剤を利用するコーティング組成物の硬化温度は、通常、60°F(15.55℃)と90°F(32℃)との間である。メラミンを含有するコーティング組成物の硬化温度は70℃と110℃との間である。しかしながら、メラミンを架橋剤として使用することにより、他の架橋剤成分を含有するコーティングよりも高い光沢度のコーティングが提供され得る。熱は一般に、オーブン、強制加熱空気、ランプ、又は他の適した熱源などのオープンヒートソースによって提供される。一般に、平坦な外観の光沢度は、20度の角度で35%未満の反射率であり、別の実施態様では、20度の角度で25%未満の反射率であり、更に別の実施態様では、20度の光沢度で10%未満の反射率である。
【0037】
架橋したコーティング組成物は、通常、非架橋コーティング組成物から形成された硬化フィルムよりも耐久性のある硬化フィルムを形成する。しかしながら、重要なことに、理論に拘束されることを意図するものではないが、本発明の樹脂を含むコーティング組成物から形成された低光沢度の硬化フィルムが通常、架橋に依存していないことが考えられる。
【0038】
本発明のコーティング組成物は、安定であり、優れた保存性を有し、且つ慣用のコーティング組成物の粘度と噴霧適性に悪影響を及ぼすことなく必要な持続時間にわたり保存することができる。コーティング組成物は、典型的には慣用のコーティング組成物によって生じる艶消し剤の凝集を最小限にする。更には、コーティング組成物は、不適格のみすぼらしい外観ではない、適格の艶消仕上を示す、非脆性の耐久性のある硬化フィルムを形成する。
【0039】
コーティング組成物から形成された硬化フィルムは、20°で光沢計によって測定して10光沢単位未満の光沢度を有する。即ち、コーティング組成物は通常、低光沢度を有する。光沢計は当該技術分野において公知の光沢計であってよい。硬化フィルムの光沢度の測定に適した光沢計はByk-Gardner micro-tri-gloss光沢計である。コーティング組成物は通常、低比率の鏡面光の反射に要求される用途に有用であり、これは曇りのある又は無光沢の外観を特徴とし得る。
【0040】
本発明の樹脂の形成方法は、オリゴマー又はポリマーを提供する工程、ポリオレフィンを提供する工程、及びオリゴマー又はポリマーをポリオレフィンでグラフト化して樹脂を形成する工程を含む。オリゴマー又はポリマーをポリオレフィンでグラフトするために、当業者は通常、フリーラジカルグラフト重合などの当該技術分野で知られたポリマーのグラフト方法を用いる。オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンは、通常、温度が使用される反応物によって影響される、60℃から160℃までの温度でグラフトされる。
【0041】
添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の範囲内に入る特定の実施態様の間で変化し得る、詳細な説明に記載された特定の化合物、組成物、又は方法に限定されて示すものではない。特定の特徴又は様々な実施態様の側面を記載するために本願明細書に依存するマーカッシュ群に関しては、異なる、特殊な、及び/又は予期しない結果が、他の全てのマーカッシュ要素とは無関係のそれぞれのマーカッシュ群のそれぞれの要素から得られることが理解されるべきである。マーカッシュ群のそれぞれの要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に個々に又は組み合わせて依存し、また適切な根拠を提供する。
【0042】
本発明の様々な実施態様の記載に依存する範囲及び準範囲が、独立して且つひとまとめにして添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることも理解されるべきであり、かかる値がたとえここに明確に記載されてなくても、そこにある全部の及び/又は少数の値を含む全範囲を記載し且つ考慮することが理解されるべきである。当業者は、列挙された範囲及び準範囲が本発明の様々な実施態様を十分に記載し且つ可能にし、かかる範囲及び準範囲が2分の1、3分の1、4分の1、5分の1など更に詳細に記載され得ることを容易に理解する。ほんの一例として、「0.1から0.9までの」範囲は、下3分の1、即ち、0.1から0.3まで、真ん中3分の1、即ち、0.4から0.6まで、上3分の1、即ち、0.7から0.9までとして更に詳細に記載され、これは個々に及びまとめて、添付の特許請求の範囲の範囲内であり、且つ個々に及び/又はまとめて依存してよく、且つ添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して適切な根拠を提供する。更に、範囲を規定又は変更する用語、例えば、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「わずか」などに関して、かかる用語は準範囲及び/又は上限又は下限を含むことが理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、固有に少なくとも10〜35の準範囲、少なくとも10〜25の準範囲、25〜35の準範囲などを含み、それぞれの準範囲は添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して個別に及び/又はまとめて依存し且つ適切な根拠を提供する。最終的には、開示された範囲内の個別の数字は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存し且つ適切な根拠を提供する。例えば、「1から9までの」範囲は、様々な個別の整数、例えば、3、並びに小数点(又は分数)を含む個別の数、例えば、4.1を含み、これは添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存してよく且つ適切な根拠を提供する。
【0043】
以下の実施例は、本発明を説明することが意図されているが、本発明の範囲を限定するものとは決して見なされない。
【0044】
実施例
実施例#1
5リットルの4口丸底フラスコに、コンデンサ、窒素供給路、及び熱電対を取り付けた。そのフラスコに、aromatic 100溶媒(159.9グラム)及びメチルn−アミルケトン(240.0グラム)を装入して145℃に加熱した。メチルメタクリレート(463.2グラム)、2−エチルヘキシルアクリレート(240.5グラム)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(428.4グラム)、グリシジルメタクリレート(68.4グラム)、及びaromatic 100溶媒(30.0グラム)のモノマー混合物を、t−ブチルペルオキシアセテート(39.5グラム)、ミネラルスピリット(39.5グラム)、及びaromatic 100溶媒(30.0グラム)の開始剤溶液と同時に、145℃の温度に維持しながら3時間かけてフラスコに供給した。混合物を145℃で1時間維持した。温度を110℃まで低下させて、t−ブチルペルオクトエート(0.6グラム)の開始剤溶液とaromatic 100溶媒(12.0グラム)をフラスコに15分かけて添加した。フラスコの内容物を110℃で2時間維持した。次にUnicid(商標)700(Baker−Petrolite、240.0グラム)をフラスコに装入し、内容物を155℃に加熱し、1.0未満の酸価滴定(ASTM D 974)になるまでその温度で維持した。フラスコの内容物を次いで冷却し、キシレンを用いて40%の不揮発性分まで減少させる。この樹脂は50ミクロンのメッシュを通して濾過した。樹脂溶液の外観は乳状である。
【0045】
実施例#2
3リットルの4口丸底フラスコに、コンデンサ、窒素供給路、及び熱電対を取り付けた。そのフラスコに、aromatic 100溶媒(53.6グラム)、メチルn−アミルケトン(80.2グラム)、及びUnicid 350(商標)(Baker−Petrolite、80.1グラム)を装入して145℃に加熱した。メチルメタクリレート(153.6グラム)、n−ブチルメタクリレート(40.0グラム)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(122.7グラム)、n−ブチルアクリレート(40.0グラム)、グリシジルメタクリレート(43.7グラム)、及びaromatic 100溶媒(10.1グラム)のモノマー混合物を、t−ブチルペルオキシアセテート(13.2グラム)、ミネラルスピリット(13.2グラム)、及びaromatic 100溶媒(10.0グラム)の開始剤溶液と同時に、145℃の温度に維持しながら、3時間かけてフラスコに供給した。混合物を145℃で1時間維持した。次に温度を110℃まで低下させて、t−ブチルペルオクトエート(0.2グラム)の開始剤溶液とaromatic 100溶媒(4.0グラム)をフラスコに15分かけて添加した。フラスコの内容物を110℃で2時間維持した。フラスコと内容物を155℃に加熱し、2.0未満の酸価滴定(ASTM D 974)までその温度で維持した。次いでフラスコの内容物を冷却し、パラクロロベンゾトリフルオリドを用いて40%の不揮発性分まで減少させる。樹脂を50ミクロンのメッシュを通して濾過した。樹脂溶液の外観は乳状である。
【0046】
実施例#3
5リットルの4口丸底フラスコに、コンデンサ、窒素供給路、及び熱電対を取り付けた。そのフラスコに、1,6−ヘキサンジオール(71.2グラム)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(451.2グラム)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(248.0グラム)、トリメチロールプロパン(107.1グラム)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(2.0グラム)、ネオペンチルグリコール(4.5グラム)、Unilin 550(商標)(Baker−Petrolite、88.5グラム)及びジブチル錫オキシド(1.1グラム)を装入して加熱還流した(190℃)。還流温度は160℃まで低下するまで継続し、124.5mgのKOHの酸価滴定(ASTM D 974)に達するまで維持した。次いでフラスコにディーンスタークトラップを取り付け、キシレン(19.8グラム)をフラスコに添加した。水を、ディーンスタークトラップを介してフラスコから取出し、還流温度を徐々に225℃に上昇させた。フラスコの内容物を、1mg未満のKOHの酸価滴定に達するまで225℃で維持した。次に内容物を冷却し、キシレン(81.1グラム)及びn−ブチルアセテート(519.4グラム)で希釈した。得られる不揮発性分は59.7%であり、粘度は621cpsであった。樹脂を50ミクロンのメッシュを通して濾過した。樹脂溶液の外観は乳状である。
【0047】
実施例#4
1リットルの4口丸底フラスコに、コンデンサ、窒素供給路、及び熱電対を取り付けた。そのフラスコに、Desmodur(商標)N−3300(Bayer、224.3グラム)、Unilin 700(商標)(Baker−Petrolite、96.1グラム)、及びaromatic 100溶媒(206.2グラム)を装入して105℃に加熱した。フラスコの内容物を105℃で6時間維持した。次いでジブチル錫ジラウレート(0.07グラム)及びキシレン(7.3グラム)を装入し、フラスコの内容物を更に2時間105℃で維持した。次いで樹脂を冷却し、メチルイソブチルケトンを用いて45.3%の不揮発性分まで減少させた。結果として得られた樹脂溶液は6.1%のNCO値(ASTM D 2572−87)を有していた。樹脂を50ミクロンのメッシュを通して濾過した。樹脂溶液の外観は乳状である。
【0048】
実施例#5
1リットルの4口丸底フラスコに、コンデンサ、窒素供給路、及び熱電対を取り付けた。そのフラスコに、Desmodur(商標)N−3600(Bayer、223.8グラム)、Unilin 700(商標)(Baker−Petrolite、82.9グラム)、Tone(商標)210(Dow、24.9グラム)及びaromatic 100溶媒(142.1グラム)を装入して105℃に加熱した。フラスコの内容物を105℃で6時間維持した。次いでジブチル錫ジラウレート(0.07グラム)及びキシレン(7.3グラム)を装入し、フラスコの内容物を更に2時間105℃で維持した。樹脂を次いで冷却し、aromatic 100溶媒(90.8グラム)を添加した。樹脂を、メチルイソブチルケトンを用いて45.1%の不揮発性分まで減少させた。結果として得られた樹脂溶液は5.8%の%NCO値(ASTM D 2572−87)を有していた。樹脂を50ミクロンのメッシュを通して濾過した。樹脂溶液の外観は乳状である。
【0049】
実施例#6
"A"成分
【表1】

【0050】
"B"成分
BASF社から市販されている、923−4535イソシアネート硬化剤。「A」と「B」の成分を2:1の容積比で混合し、黒色の下塗された基材に空気噴霧を介して適用し、これを15分間空気乾燥させて、140°Fで30分間焼成し、次いで73°Fで1週間硬化させた。クリアコートで形成されたフィルムを2.5ミルに乾燥させた。結果として得られたフィルムは20°で8%の光沢度を有していた。
【0051】
実施例#7
BASF社製のR−M DC−92市販のアクリル系ポリオールをベースとしたクリアコート、BASF社から市販のR−M VR0低VOC希釈剤、及び実施例#1の硬化剤を1:1:1の容積比で組み合わせ、空気噴霧を介して下塗りされたアルミニウムパネルに塗装した。コーティングを10分間空気乾燥させて、140°Fで30分間乾燥させた後、これを73°Fで1週間硬化させた。クリアコートで形成されたフィルムを2.2ミルに乾燥させた。結果として得られたフィルムは20°で5%の光沢度を有していた。
【0052】
実施例#8(比較)
BASF社から市販のGlasurit 923−55ウレタンアクリル系のエクストラマットクリアコートは、シリカ含有マットクリアコートである。Glasurit 923−55クリアコートを、BASF社から市販の929−91イソシアネート硬化剤、及びBASF社から市販の352−91希釈剤と2:1:10の比で合わせ、これを空気噴霧によって黒色の下塗された基材の上に塗布し、15分間空気乾燥させて、140°Fで30分間焼成し、次いで73°Fで1週間硬化させた。クリアコートで形成されたフィルムを2.4ミルに乾燥させた。結果として得られたフィルムは20°で2%の光沢度を有していた。
【0053】
促進耐候
クリアコート例#6及び#8で製造されたパネルをASTM D4587による促進耐候試験にかけた。1000時間の曝露後に、クリアコート例#8で被覆されたパネルは、フィルム曇りのわずかな徴候を示したが、クリアコート例#6で被覆されたパネルは示さなかった。
【0054】
沈降
クリアコート例#6の「A」成分を73°Fで24日間静置し、沈降について評価した。沈降は全く見られなかった。
【0055】
硬化剤例#5を73°Fで24日間静置し、沈降について評価した。沈降は全く見られなかった。
【0056】
実施例8、Glasurit 923−55を73°Fで24日間静置し、沈降について評価した。幾らか穏やかな沈降が見られた。
【0057】
熱で促進される保存性
クリアコート例#6の「A」成分を120°Fで35日間静置し、沈降について評価した。沈降は全く見られなかった。
【0058】
クリアコート例#6「A」成分及び923−4535イソシアネート硬化剤(BASF社から市販)成分を2:1の容量比で混合し、黒色の下塗された基材に空気噴霧を介して適用し、これを15分間空気乾燥させて、140°Fで30分間焼成し、次いで73°Fで1週間硬化させた。結果として得られたフィルムは20°で8%の光沢度を有していた(塗布初期からの光沢度の変化なし)。
【0059】
硬化剤例#5を120°Fで35日間静置し、沈降について評価した。沈降は全く見られなかった。
【0060】
R−M DC−92(BASF社から市販)、R−M VRO希釈剤(BASF社から市販)及び硬化剤例#5を1:1:1の容量比で合わせ、空気噴霧を介して下塗りされたアルミニウムパネルに塗装した。コーティングを10分間空気乾燥させて、140°Fで30分間乾燥させた後、これを73°Fで1週間硬化させた。結果として得られたフィルムは20°で5%の光沢度を有していた(塗布初期からの光沢度の変化なし)。
【0061】
BASF社から市販のGlasurit 923−55クリアコートを、120°Fで35日間静置し、沈降について評価した。幾らか沈降が見られた。
【0062】
BASF社から市販のGlasurit 923−55クリアコート、BASF社から市販の929−91イソシアネート硬化剤、及びBASF社から市販の352−91希釈剤を、2:1:10%の比率で合わせ、これを空気噴霧によって黒色の下塗された基材の上に塗布し、15分間空気乾燥させて、140°Fで30分間焼成し、次いで73°Fで1週間硬化させた。結果として得られたフィルムは20°で9%の光沢度を有していた(塗布初期からの光沢度の顕著な変化)。
【0063】
本発明は例示的に記載されており、かつ使用される用語は限定というよりはむしろ説明の類の単語を意図していると理解されるべきである。明らかに、上記の教示に鑑みて、本発明の多くの修正及び変更が可能である。本発明を、詳細に記載されたものとは違ったやり方で実施してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル、アクリル、ウレタン、及びイソシアネートから選択される、オリゴマー又はポリマーと、その際、前記オリゴマー又はポリマーはその上にヒドロキシル、カルボキシル、無水物、イソシアネート、及びエポキシド官能基から選択される反応性官能基を有する;
前記オリゴマー又はポリマーとは異なり且つアクリレート、メタクリレート、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシド、無水物及びイソシアネート官能基から選択される官能基を有するポリオレフィンと、の反応生成物を含む樹脂であって、
その際、前記ポリオレフィンの前記官能基は前記オリゴマー又はポリマーの前記反応性官能基と反応し;
前記オリゴマー又はポリマー及び前記ポリオレフィンは周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性であり;且つ
前記ポリオレフィンは、前記樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜50質量部の量で反応し、前記オリゴマー又はポリマーは50〜85質量部の量で反応する、樹脂。
【請求項2】
前記オリゴマー又はポリマーが第1の極性を有し、前記ポリオレフィンが前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する、請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
前記ポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1又は2に記載の樹脂。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが結晶性ポリアルキレンである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項5】
前記オリゴマー又はポリマーが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、及びそれらの組み合わせから選択されるモノマーから製造され、その際、前記オリゴマー又はポリマーがその上にヒドロキシル、カルボキシル、エポキシド、無水物及びイソシアネート官能基から選択される反応性官能基を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項6】
1,000〜25,000g/モルの数平均分子量を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項7】
グラフトポリマーとして更に規定される請求項1から6までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項8】
−20℃〜100℃のガラス転移温度を有する請求項1から7までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項9】
エステル、アクリル、ウレタン、及びイソシアネートから選択されるオリゴマー又はポリマーと、その際、前記オリゴマー又はポリマーはその上にヒドロキシル、カルボキシル、エポキシド、無水物、及びイソシアネート官能基から選択される反応性官能基を有する;
前記オリゴマー又はポリマーの前記反応性官能基と反応する、カルボキシル及びヒドロキシル官能基から選択される官能基を有する結晶性ポリアルキレンとの反応生成物を含む樹脂であって、
その際、前記オリゴマー又はポリマー及び前記結晶性ポリアルキレンは周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性であり;且つ
前記結晶性ポリアルキレンは、前記樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜50質量部の量で反応し、前記オリゴマー又はポリマーは50〜85質量部の量で反応する、樹脂。
【請求項10】
前記オリゴマー又はポリマーが第1の極性を有し、前記ポリオレフィンが前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する、請求項9に記載の樹脂。
【請求項11】
グラフトポリマーとして更に規定される請求項9又は10に記載の樹脂。
【請求項12】
1,000〜25,000g/モルの数平均分子量を有する請求項9から11までのいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項13】
樹脂の形成方法であって、
エステル、アクリル、ウレタン、及びイソシアネートから選択されるオリゴマー又はポリマーを提供する工程、その際、前記オリゴマー又はポリマーはその上にヒドロキシル、カルボキシル、無水物、エポキシド及びイソシアネート官能基から選択される反応性官能基を有する;
アクリレート、メタクリレート、無水物、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシド、及びイソシアネート官能基から選択される官能基を有するオリゴマー又はポリマーとは異なるポリオレフィンを提供する工程、
その際、ポリオレフィンの官能基はオリゴマー又はポリマーの反応性官能基と反応し、且つ
オリゴマー又はポリマー及びポリオレフィンが周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性である;及び
オリゴマー又はポリマーをポリオレフィンでグラフトして樹脂を形成する工程、
その際、ポリオレフィンは、樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜50質量部の量で反応し、且つオリゴマー又はポリマーは50〜85質量部の量で反応する;
を含む、樹脂の形成方法。
【請求項14】
オリゴマー又はポリマーが第1の極性を有し、ポリオレフィンが第1の極性とは反対の第2の極性を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
樹脂が1,000〜25,000g/モルの数平均分子量を有する請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
ポリオレフィンが、樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜45質量部の量で反応する、請求項13から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
基材;並びに
前記基材に堆積され且つ、
溶媒成分;及び
エステル、アクリル、ウレタン、及びイソシアネートから選択される、オリゴマー又はポリマーと、その際、前記オリゴマー又はポリマーは任意にその上にヒドロキシル、カルボキシル、エポキシド、無水物及びイソシアネート官能基から選択される反応性官能基を有し、この場合、前記オリゴマー又はポリマーは任意に架橋のための官能基を含む;
カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシド、イソシアネート、無水物、アクリレート及びメタクリレート官能基から選択される官能基を有するオリゴマー又はポリマーとは異なるポリオレフィンと、の反応生成物を含む樹脂;及び
任意に架橋剤;
を含むコーティング組成物から形成される硬化フィルム
を含むコーティングシステムであって、
その際、ポリオレフィンの官能基はオリゴマー又はポリマーと反応し;
前記オリゴマー又はポリマー及び前記ポリオレフィンは周囲温度で少なくとも部分的に溶液に不混和性であり;且つ
前記ポリオレフィンは、前記樹脂を形成するために利用される成分100質量部を基準として、15〜50質量部の量で反応し、前記オリゴマー又はポリマーは50〜85質量部の量で反応し;
その際、前記硬化フィルムは20°で光沢計によって測定されて35光沢単位未満の光沢度を有する、コーティングシステム。

【公表番号】特表2013−518975(P2013−518975A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552109(P2012−552109)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/023745
【国際公開番号】WO2011/097478
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】