説明

コーティング組成物及びその塗布方法

【課題】貯蔵安定性が良く、微小液滴を安定噴射でき、ハジキやにじみがなく、色発現に優れたコーティング組成物を提供すること。
【解決手段】粘度が30mPa・s以下、表面張力が21〜34mN/mのコーティング組成物において、
顔料分散体がPC基含有ポリウレタン樹脂を含み、かつd50が30〜300nmであり、
樹脂成分としてd50が30〜130nmのアクリル系ディスパージョンもしくはエマルションを含み、かつ樹脂成分の固形分がコーティング組成物中1〜20重量%であり、
有機溶剤がコーティング組成物中5〜40重量%で、有機溶剤として式(1)で示される化合物を1種類以上、
O−(CH−CH(R)−O)−H (1)
(式中、RはC1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基、RはH又はCH、nは1〜3の整数)
又は複素環化合物を1種類以上、あるいは両方の化合物を含むコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系のコーティング組成物及びその塗布方法に関する。より詳しくは、貯蔵安定性に優れ、電気駆動により加圧し微小液滴を噴射し塗布する際に不安定な噴射が生じることがなく、ハジキやにじみのない、品質上好ましい塗装物が得られ、また色の発現に優れている水系のコーティング組成物及びその塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔料、バインダー樹脂、顔料分散剤、溶媒及び水からなるコーティング組成物で、種々の溶媒を用いたコーティング組成物が多数提案されている。
【0003】
従来のコーティング組成物を用いて微小液滴で塗装物を作製した場合に、貯蔵安定性が悪く、不安定な噴射が生じて品質上好ましくない塗装物が得られたり、またそのようなコーティング組成物を用いて塗装物を作製しても色の発現が必ずしも充分でなかったりすることがある。
【0004】
上記、不安定な噴射が生じる原因として、一般的に、組成物中の溶剤の選択によって微小液滴の乾燥が速くなり過ぎてしまい、噴射以前に乾燥が進むことにより吐出機に固着するためであり、これを防ぐために高沸点溶剤を添加する方法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ハジキやにじみが生じる原因として、一般的に、被塗物との界面張力差の調整が不十分であることが知られており、表面調整剤を添加する方法がとられている。
【0006】
一方、特許文献2には、ハジキやにじみを改善する方法としてシリコーンアクリル樹脂を添加する方法がとられているが、水系の組成物について提供されるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3050049号明細書
【特許文献2】特開平10−251573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記のような課題を解決することであり、コーティング組成物の貯蔵安定性が良く、電気駆動により加圧し微小液滴を噴射する際に不安定な噴射が生じることがなく、ハジキやにじみのない、品質上好ましい塗装物が得られ、また色の発現に優れている水系のコーティング組成物及びその塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、組成物中の有機溶剤、樹脂成分を特定し、顔料分散体と樹脂成分の粒径、比重、酸価が、特定の範囲内にあることによって、貯蔵安定性と噴射の安定性を調整でき、塗膜性能が向上することを見出した。
【0010】
本発明に従って、顔料分散体、樹脂成分、有機溶剤、水を含み、20℃における粘度が30mPa・s以下、表面張力が21〜34mN/mのコーティング組成物において、
該顔料分散体がポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂を含み、かつ、平均粒子径(d50)が30〜300nmであり、
該樹脂成分として平均粒子径(d50)が30〜130nmのアクリル系ディスパージョンもしくはエマルションを含み、かつ該樹脂成分の固形分が該コーティング組成物中1〜20重量%であり、
該有機溶剤が該コーティング組成物中5〜40重量%であり、
該有機溶剤中に下記一般式(1)で示される化合物を1種類以上、
O−(CH−CH(R)−O)−H・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
もしくは複素環化合物を1種類以上、あるいは両方の化合物を1種類以上含む配合物であることを特徴とするコーティング組成物が提供される。
【0011】
また、本発明に従って、上記コーティング組成物を塗布する方法において、該コーティング組成物を電気駆動により加圧し、液滴の体積が100pl以下となるよう、非接触で液滴を吐出させるコーティング組成物の塗布方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコーティング組成物を用いることにより、貯蔵安定性が良く、微小液滴を塗布する際に不安定な噴射が生じることがなく、ハジキやにじみのない、品質上好ましい塗装物が得られ、また優れた色の発現が得られる。更に、本発明のコーティング組成物を用いることにより、金属板及びその塗装物、窯業系塗装物、プラスチック類等にも塗装でき、良好な密着性、光沢が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明のコーティング組成物について具体的に説明する。
【0014】
本発明の顔料分散体、樹脂成分、有機溶剤、水を含むコーティング組成物において、20℃における粘度が30mPa・s以下、表面張力が21〜34mN/mであり、該樹脂成分の固形分が上記コーティング組成物中1〜20重量%であることが必須である。コーティング組成物の粘度が30mPa・sを超えるとコーティング組成物の塗布時に液滴の吐出不良が発生する。また、表面張力が21mN/m未満又は34mN/mを超えると塗布時に液滴の吐出不良が発生する。樹脂成分の固形分が20重量%を超えると、貯蔵安定性が悪くなる。
【0015】
本発明のコーティング組成物に用いられる顔料分散体として特に制限はなく、通常のコーティング組成物に用いられている顔料の分散体であればいずれも使用することができる。例えば、
ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、
ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71、
ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254、
ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50、
ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、30、60、64、80、
ピグメントグリーン7、36、
ピグメントブラウン23、25、26、
ピグメントブラック1、7、26、27、28、
酸化チタン、酸化鉄、群青、黄鉛、硫化亜鉛、コバルトブルー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の分散体を挙げることができる。
【0016】
顔料分散体の配合量は、使用する顔料の種類等により任意に決定できるが、好ましくはコーティング組成物の0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。一方で、該顔料分散体はコーティング組成物において、平均粒子径(d50)が30〜300nmであることが必須である。平均粒子径が300nmより大きくなると、沈降し易くなるので、貯蔵安定性が低下する。一方、平均粒子径が30nm未満となると着色力が不足したり、再凝集を起こす。更に、顔料分散体の比重が1.4〜5.2であることが好ましい。比重が1.4未満ではコーティング組成物を吐出させた場合に直進性が得られ難くなるので好ましくない。一方、比重が5.2を超えると沈降し易くなるので、貯蔵安定性が低下する傾向がある。
【0017】
上記顔料分散体を形成する分散樹脂としてポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂を含むことが必須である。それ以外の樹脂として、通常のコーティング組成物に用いられている分散樹脂はいずれも使用することができ、2種類以上の分散樹脂を組み合わせて使用することもできる。
【0018】
例えば、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両イオン性界面活性剤等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル類、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミド、ポリアリールアミン、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂等を水に溶解又は分散した状態のものを挙げることができる。また、自己分散タイプのウレタンディスパージョンも用いることができる。
【0019】
更に、顔料分散体としての酸価が10〜30となることが好ましい。顔料分散体としての酸価が10未満あるいは30を超えると、顔料分散体の安定性が悪くなる傾向があり、凝集や吐出不良を起こし易くなる。
【0020】
本発明のコーティング組成物に用いられる樹脂成分は、平均粒子径(d50)が30〜130nmのアクリル系ディスパージョンもしくはエマルションを含み、コーティング組成物中において固形分が1〜20重量%であることが必須である。樹脂成分の平均粒子径が30nm未満では塗膜の堅牢性が悪くなり、130nmを超えると貯蔵安定性が悪くなる。また、樹脂成分の固形分が1重量%未満では密着不良となり、20重量%を超えると貯蔵安定性が悪くなる。アクリル系ディスパージョンもしくはエマルションとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を含むアクリル樹脂等が挙げられ、中でもメチルメタクリレートを含むアクリル樹脂が好ましい。
【0021】
上記アクリル系ディスパージョンもしくはエマルション以外の樹脂成分としては、通常のコーティング組成物に用いられている樹脂はいずれも使用することができ、2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することもできる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミンやベンゾグアナミン等のアミノ樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル共重合等の水溶性樹脂、ディスパージョン、エマルションを挙げることができる。
【0022】
本発明における樹脂成分としては、スチレン及びメチルメタクリレートを含有していることが好ましく、スチレンを樹脂成分中10〜80重量%、メチルメタクリレートを樹脂成分中80〜10重量%含有し、樹脂成分の酸価が1〜20であり、かつ該樹脂成分の比重が1.0〜1.3であるアクリル系ポリマーを50〜100重量%含有することが好ましい。樹脂成分としてスチレン及びメチルメタクリレートを含まなければ、塗膜の堅牢性が悪くなる傾向があり好ましくない。より好ましくは、スチレンが樹脂成分中35重量%〜65重量%であり、メチルメタクリレートが50重量%〜25重量%であることが好ましい。スチレンが樹脂成分中の35重量%未満或いは65重量%を越えると基材との密着性が悪くなる傾向があり、更に、35重量%未満は光沢が低下し易い傾向がある。また、同様にメチルメタクリレートが樹脂成分中25重量%未満或いは50重量%を越えると塗膜の堅牢性が悪くなる傾向があり好ましくなく、更に25重量%未満の場合には耐アルコール性が低下し易くなる傾向がある。酸価が1未満あるいは20を超えると、顔料分散体や樹脂成分の分散安定性が悪くなる傾向があり、凝集や吐出不良を起こし易くなるため好ましくない。樹脂成分の比重が1.1未満あるいは1.3を超えると、吐出の安定性が悪くなる。アクリル系ポリマーの含有量が50重量%未満では、塗膜の堅牢性悪くなる傾向があり好ましくない。
【0023】
また更に、上記樹脂成分としてガラス転移点(Tg)が70℃以上であることが好ましい。ガラス転移点が70℃未満では塗膜の堅牢性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
【0024】
また、上記有機溶剤としては、コーティング組成物中の有機溶剤比率として5〜40重量%含有することが必須である。上記有機溶剤比率が5重量%未満では、コーティング組成物が基材上でハジキ易くなり、また40重量%を超えるとにじみ易くなるため好ましくない。本発明の有機溶剤中には下記一般式(1)で示される化合物を1種類以上、
O−(CH−CH(R)−O)−H・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
もしくは複素環化合物を少なくとも1種類以上、あるいは両方の化合物を1種類以上含むことが必須である。
【0025】
上記一般式(1)で示される化合物として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;
等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0026】
複素環化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物やγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。中でも、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0027】
これ以外の有機溶剤としては、1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオール類、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0028】
一方で、本発明のコーティング組成物中における顔料分散体の酸価(AVp)、顔料の比重(Dp)が
3<AVp/Dp<25
であり、上記樹脂成分の酸価(AVr)、樹脂成分の比重(Dr)が
2<AVr/Dr<22
であり、更に、
0.65<(AVp/Dp)/(AVr/Dr)<8
の関係にあることが好ましい。上記範囲以外では、コーティング組成物の吐出不良や貯蔵安定性が不良となり、良好な被塗物を得ることが困難である。顔料の比重はメーカーカタログや化学物質安全性データーシート(MSDS)に記載の数値を用いた。また、樹脂成分の比重については、使用する樹脂をフィルム状に成膜し、乾燥後の体積と重量を測定し、樹脂成分の比重として計算した。
【0029】
本発明のコーティング組成物の塗布方法としては、スプレー塗装、ディップコート、スピンコート、ディスペンサー等の一般的な塗布方法が適応できるが、電気駆動により加圧し、液滴の体積が好ましくは100pl以下、より好ましくは1〜50plとなるよう、非接触で液滴を吐出させる塗布方法を用いることが、塗布性の点から好ましい。液滴の体積が100plを超えると、コーティング組成物の十分な塗膜性能が得られ難くなる。
【0030】
本発明のコーティング組成物は、基材として塗装に適した大きさ、厚さ、形状であれば一般的な材料が使用でき、予め表面処理や塗装が行われていてもよい。中でも、鉄板、アルミニウム板、ステンレス板又はこれらの塗装物、窯業系塗装板、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂の何れかを主成分とする樹脂シートもしくは成形体が、良好な密着性、光沢が得られるため好ましい。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお、実施例及び比較例の記載について「部」及び「%」は質量基準に基づくものである。
【0032】
<ポリカーボネート基含有ウレタン樹脂エマルション1の合成>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオール(平均分子量2000)105.0部、ネオペンチルグリコール4.0部、トリメチロールプロパン1.0部、1,4−シクロヘキサンジメタノール11.0部、ジメチロールプロピオン酸7.5部、ジブチル錫ジラウレート0.001部及びメチルエチルケトン110.0部を仕込み、均一に混合した後、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)82.0部を加え、70℃で6時間反応させて、カルボキシル基含有イソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。前記溶液を40℃以下に冷却した後、トリエチルアミン4.9部を加え、40℃で30分間中和反応を行った。
【0033】
次に、中和を行なった溶液を30℃以下に冷却し、ディスパー羽根を用いて水310.0部を徐々に加えてポリカーボネート基含有イソシアネート基末端プレポリマー中和物を乳化分散し分散液を得た。そして、ジエチレントリアミン1.35部を水20.0部に溶解したアミン水溶液を前記分散液に滴下し更に50%ヒドラジン水溶液5.0部を加え、2時間反応させた後、30℃で減圧し脱溶剤を行い、ポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂固形分35%、粘度45mPa・s、酸価=15、平均粒子径(d50)=120nm、Tg=61℃の安定なポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂エマルション1を得た。
【0034】
<ポリカーボネート基含有ウレタン樹脂エマルション2の合成>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオール(平均分子量2000)105.0部、ネオペンチルグリコール1.0部、トリメチロールプロパン1.0部、1,4−シクロヘキサンジメタノール8.0部、ジメチロールプロピオン酸14.0部、ジブチル錫ジラウレート0.001部及びメチルエチルケトン110.0部を仕込み、均一に混合した後、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)82.0部を加え、70℃で6時間反応させて、カルボキシル基含有イソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。前記溶液を40℃以下に冷却した後、トリエチルアミン11.5部を加え、40℃で30分間中和反応を行った。
【0035】
次に、中和を行なった溶液を30℃以下に冷却し、ディスパー羽根を用いて水320.0部を徐々に加えてポリカーボネート基含有イソシアネート基末端プレポリマー中和物を乳化分散せしめ分散液を得た。そして、ジエチレントリアミン1.35部を水20.0部に溶解したアミン水溶液を前記分散液に滴下し更に50%ヒドラジン水溶液5.0部を加え、2時間反応させた後、30℃で減圧し脱溶剤を行い、ポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂固形分35%、粘度52mPa・s、酸価=28、平均粒子径(d50)=41nm、Tg=60℃の安定なポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂エマルション2を得た。
【0036】
<ポリカーボネート基含有ウレタン樹脂エマルション3の合成>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオール(平均分子量2000)105.0部、トリメチロールプロパン1.0部、1,4−シクロヘキサンジメタノール5.5部、プロピオン酸17.5部、ジブチル錫ジラウレート0.001部及びメチルエチルケトン110.0部を仕込み、均一に混合した後、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)82.0部を加え、70℃で6時間反応させて、カルボキシル基含有イソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。前記溶液を40℃以下に冷却した後、トリエチルアミン14.5部を加え、40℃で30分間中和反応を行った。
【0037】
次に、中和を行なった溶液を30℃以下に冷却し、ディスパー羽根を用いて水330.0部を徐々に加えてポリカーボネート基含有イソシアネート基末端プレポリマー中和物を乳化分散せしめ分散液を得た。そして、ジエチレントリアミン1.35部を水20.0部に溶解したアミン水溶液を前記分散液に滴下し更に50%ヒドラジン水溶液5.0部を加え、2時間反応させた後、30℃で減圧し脱溶剤を行い、ポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂固形分35%、粘度62mPa・s、酸価=35、平均粒子径(d50)=39nm、Tg=62℃の安定なポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂エマルション3を得た。
【0038】
<アクリル樹脂エマルションの合成1>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び滴下装置を付した四つ口フラスコにイオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬製:ハイテノールNF08)0.6部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬製:ノイゲンEA177)2.0部をそれぞれ加え、反応器内部を窒素で置換しながら70℃に加熱し、過硫酸カリウム0.2部を加えた。続いて予め別容器にて、アクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸0.8部、スチレン24.0部、メチルメタクリレート48.2部、イオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.6部を撹拌混合しておいた乳化物を4時間かけて連続滴下し、滴下終了後70℃で4時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水でpHが9.0になるように調製した。樹脂固形分=41%、平均粒子径(d50)=90nm、Tg=81℃、酸価=8、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション1を得た。
【0039】
<アクリル樹脂エマルションの合成2>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び滴下装置を付した四つ口フラスコにイオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬製:ハイテノールNF08)0.6部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬製:ノイゲンEA177)2.0部をそれぞれ加え、反応器内部を窒素で置換しながら70℃に加熱し、過硫酸カリウム0.2部を加えた。続いて予め別容器にて、アクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸1.6部、スチレン24.0部、メチルメタクリレート47.4部、イオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.6部を撹拌混合しておいた乳化物を4時間かけて連続滴下し、滴下終了後70℃で4時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水でpHが9.0になるように調製した。樹脂固形分=41%、平均粒子径(d50)=90nm、Tg=81℃、酸価=15、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション2を得た。
【0040】
<アクリル樹脂エマルションの合成3>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び滴下装置を付した四つ口フラスコにイオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬製:ハイテノールNF08)0.6部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬製:ノイゲンEA177)2部をそれぞれ加え、反応器内部を窒素で置換しながら70℃に加熱し、過硫酸カリウム0.2部を加えた。続いて予め別容器にて、アクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸1.9部、スチレン24.0部、メチルメタクリレート47.1部、イオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.6部を撹拌混合しておいた乳化物を4時間かけて連続滴下し、滴下終了後70℃で4時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水でpHが9.0になるように調製した。樹脂固形分=41%、平均粒子径(d50)=90nm、Tg=81℃、酸価=18、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション3を得た。
【0041】
<アクリル樹脂エマルションの合成4>
攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下装置を付した四つ口フラスコにイオン交換水60部、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩水溶液(ADEKA社製:アデカリアソープSR−1025(25%水溶液))0.96部をそれぞれ加え、反応器内部を窒素で置換しながら70℃に加熱し、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.2部加えた。続いて予め別容器にて、アクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸0.8部、スチレン24.0部、メチルメタクリレート48.2部、イオン交換水60部、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)(20モル付加物)(ADEKA製:アデカリアソープER−20)1.6部、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩25%水溶液3.84部を撹拌混合しておいた乳化物を4時間かけて連続滴下し、滴下終了後70℃で4時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水でpH9.0になるように調整した。樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=100nm、Tg=81℃、酸価=8、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション4を得た。
【0042】
<アクリル樹脂エマルションの合成5>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル6.8部、アクリル酸0.8部、スチレン36.2部、メチルメタクリレート36.2部、に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=100nm、Tg=81℃、酸価=8、比重=1.15、の良好なアクリル樹脂エマルション5を得た。
【0043】
<アクリル樹脂エマルションの合成6>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル6.5部、アクリル酸0.8部、スチレン48.0部、メチルメタクリレート24.7部、に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=100nm、Tg=81℃、酸価=8、比重=1.14、の良好なアクリル樹脂エマルション6を得た。
【0044】
<アクリル樹脂エマルションの合成7>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸0.8部、スチレン72.2部に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=90nm、Tg=78℃、酸価=8、比重=1.11、の良好なアクリル樹脂エマルション7を得た。
【0045】
<アクリル樹脂エマルションの合成8>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル8.2部、アクリル酸3.1部、スチレン68.7部に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=125nm、Tg=75℃、酸価=30、比重=1.12、の良好なアクリル樹脂エマルション8を得た。
【0046】
<アクリル樹脂エマルションの合成9>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル28.2部、アクリル酸0.8部、スチレン20.0部、メチルメタクリレート31.0部に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=100nm、Tg=27℃、酸価=8、比重=1.17、の良好なアクリル樹脂エマルション9を得た。
【0047】
<アクリル樹脂エマルションの合成10>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル24.5部、アクリル酸3.1部、スチレン20.0部、メチルメタクリレート32.4部に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=125nm、Tg=35℃、酸価=30、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション10を得た。
【0048】
<アクリル樹脂エマルションの合成11>
アクリル樹脂エマルションの合成4において、別容器にて混合したモノマー組成をアクリル酸ブチル24.5部、アクリル酸2.6部、スチレン20.0部、メチルメタクリレート32.9部に変更した以外全て同様に合成し、樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=120nm、Tg=35℃、酸価=25、比重=1.17、の良好なアクリル樹脂エマルション11を得た。
【0049】
<アクリル樹脂エマルションの合成12>
アクリル樹脂エマルションの合成1と同様に、攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下装置を付した四つ口フラスコにイオン交換水60部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬製:ノイゲンEA177)2部をそれぞれ加え、反応器内部を窒素で置換しながら70℃に加熱し、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.2部を加えた。続いて予め別容器にて、アクリル酸ブチル7.0部、アクリル酸0.8部、スチレン24.0部、メチルメタクリレート48.2部、イオン交換水60部、ポリオキシエチレンジスチリル化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.6部を撹拌混合しておいた乳化物を4時間かけて連続滴下し、滴下終了後70℃で4時間撹拌を続けながら熟成し、40℃まで冷却した後、28%アンモニア水でpHが9.0になるように調製した。樹脂固形分41%、平均粒子径(d50)=400nm、Tg=81℃、酸価8、比重=1.16、の良好なアクリル樹脂エマルション12を得た。
【0050】
<顔料分散液K−1〜K−10、W−1〜W−6、Y−1〜Y−4、M−1〜M−4>
「表1」〜「表3」に示す通り、顔料、樹脂成分、表面調整剤、溶剤、イオン交換水を、0.5mm径ジルコニアビーズを25%充填したガラス瓶に配合し、ペイントシェーカーにて15時間処理して水性顔料分散液K−1〜K−10、W−1〜W−6、Y−1〜Y−4、M−1〜M−4を得た。
【0051】
<顔料分散液F−1〜F−5>
「表2」に示す通り、顔料、樹脂成分、表面調整剤、溶剤、イオン交換水を、0.5mm径ジルコニアビーズを25%充填したガラス瓶に配合し、ペイントシェーカーにて6時間処理して水性顔料分散液F−1〜F−5を得た。
【0052】
<顔料分散液C−1〜C−4>
「表3」に示す通り、顔料、樹脂成分、表面調整剤、溶剤、イオン交換水を、0.5mm径ジルコニアビーズを25%充填したガラス瓶に配合し、ペイントシェーカーにて25時間処理して水性顔料分散液C−1〜C−4を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
顔料として、下記のものを用いた:
カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック550、エボニックデグサ社製)、
銅フタロシアニン(商品名:イルガライトブルー8700、チバ社製)、
キノキサリンジオン(商品名:ホスタパームイエローH5G、クラリアント社製)、
ジメチルキナクリドン(商品名:スーパーマゼンタRG、DIC社製)、
二酸化チタン(商品名:TR92、ハンツマン社製)、
酸化鉄(商品名:FR03、堺化学社製)、
消泡剤として、シリコーン系消泡剤(消泡剤:SNデフォーマー1312、サンオプコ社製)を用いた。
【0057】
<平均粒径径>
コーティング組成物の顔料の平均粒子径(d50)をMicrotrac社製 粒度分布測定器UPAを用いて測定した。
【0058】
<コーティング液>
「表4」〜「表21」に示す通り、上記顔料分散液、樹脂成分、表面調整剤(TSF4446、モメンティブ社製)、溶剤、イオン交換水を配合し、マグネチックスターラーにて30分撹拌し、各種コーティング液を得た。
【0059】
<粘度>
20℃におけるコーティング組成物の粘度をTAインスツルメンツ社製 レオメーター ARESを用いて測定した。
【0060】
<表面張力>
20℃におけるコーティング組成物の表面張力を協和界面科学社製 自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定した。
【0061】
<顔料分散体の酸価測定>
顔料分散体の酸価を、JIS−K−5601−2−1に準じて測定した。
【0062】
<樹脂成分の比重>
上記ポリカーボネート基含有ウレタン樹脂エマルション1〜3、ポリカーボネート基非含有ウレタン樹脂エマルション及びアクリル樹脂エマルション1、2をフィルム状に成膜し、乾燥後の体積と重量を測定し、樹脂成分の比重として計算した。
【0063】
<塗布装置>
コーティング組成物の塗布装置として、栄光電子社製 3軸マーキング装置、もしくは武藤工業社製 ラミレスPJ−1304NXを用いた。
【0064】
<ノズル詰まり性>
塩化ビニルシート表面にラミレスPJ−1304NXで印刷し、印刷の最中にヘッドを15分間その場で放置させ、その後、再度印刷を開始した際に、所定の位置に組成物を吐出できないノズル数をカウントし、下記の基準で評価した。
◎:15分間放置後、所定の位置に吐出できないノズル数が、全ノズル数の60分の1以下、
○:15分間放置後、所定の位置に吐出できないノズル数が、全ノズル数の60分の1超過60分の2以下、
×:15分間放置後、所定の位置に吐出できないノズル数が、全ノズル数の60分の2より多い。
【0065】
<連続吐出性>
塩化ビニルシート表面にラミレスPJ−1304NXで1m×4mのベタ印刷を行い、飛行曲がり及び抜けの本数に基づいて下記基準で評価した。
◎:飛行曲がり及び抜けなし、
○:飛行曲がり及び抜けの合計本数が1〜3本、
△:飛行曲がり及び抜けの合計本数が4〜6本、
×:飛行曲がり及び抜けの合計本数が7本以上。
【0066】
<貯蔵安定性>
50℃で28日間静置保管し、目視にて下記基準で評価した。
◎:変化なし、
○:僅かに浮遊物あり、
×:沈殿・分離を生じる。
【0067】
<ハジキ>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷し、印刷直後の印刷物を目視にて下記基準で評価した。
◎:コーティング組成物にハジキがない、
○:僅かにコーティング組成物にハジキがあるが、実用上問題ないレベル、
×:コーティング組成物にハジキがある。
【0068】
<にじみ>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷し、印刷直後の印刷物を目視にて下記基準で評価した。
◎:コーティング組成物ににじみがない、
○:僅かにコーティング組成物ににじみがあるが、実用上問題ないレベル、
×:コーティング組成物ににじみがある。
【0069】
<密着性>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷し、その画像部分に幅24mmのセロテープ(登録商標、NICHIBAN製)を密着させた後にテープを剥がし、剥離部分の状態を目視にて下記基準で評価した。
◎:剥離なし、
○:僅かに剥離の痕跡あるが実用上問題ないレベル、
×:剥離あり。
【0070】
<耐水性>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷し、イオン交換水をしみ込ませたガーゼで画像を10回擦り、画像の外観を目視で評価した。
◎:擦り傷の痕跡なし、
○:僅かに擦り傷の痕跡あるが実用上問題ないレベル、
×:擦り傷の痕跡あり。
【0071】
<耐エタノール性>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷し、75%エタノール水溶液をしみ込ませたガーゼで画像を10回擦り、画像の外観を目視で評価した。
◎:擦り傷の痕跡なし、
○:僅かに擦り傷の痕跡あるが実用上問題ないレベル、
×:擦り傷の痕跡あり。
【0072】
<光沢>
塩化ビニルシート表面に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷した印刷物の光沢を日本電色工業社製 光沢計VG 2000を用いて測定した。
◎:光沢あり、
○:僅かに光沢が劣るが実用上問題ないレベル、
×:光沢なし。
【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
【表7】

【0077】
【表8】

【0078】
【表9】

【0079】
【表10】

【0080】
【表11】

【0081】
【表12】

【0082】
【表13】

【0083】
【表14】

【0084】
【表15】

【0085】
【表16】

【0086】
【表17】

【0087】
【表18】

【0088】
【表19】

【0089】
【表20】

【0090】
【表21】

【0091】
(実施例271〜286)
実施例191におけるコーティング組成物を用い、基材を亜鉛めっき鋼板、亜鉛めっき鋼板の塗装物、アルミニウム板、ステンレス板、窯業建材、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂にし、その表面に電気駆動により加圧し、液滴の体積が100pl以下となるよう、非接触で液滴を吐出させる武藤工業社製ラミレスPJ−1304NXを用いて塗布した以外は、実施例191と同様にして画像を印刷し、各種特性・性能評価を行った。結果を表22に示す。
【0092】
<色ムラ>
各種基材に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷した印刷物を目視にて下記基準で評価した。
◎:色ムラなし、
○:僅かに色ムラがあるが実用上問題ないレベル、
×:色ムラあり。
【0093】
<発色性>
各種基材に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷した印刷物を、マクベス社製 分光光度計COLOR−EYE3100を用いて色差ΔEを測定した。
◎:ΔEが1以内、
○:ΔEが3以内、
×:ΔEが3を超える。
【0094】
<ブロッキング性>
各種基材に栄光電子社製 3軸マーキング装置で画像を印刷した印刷物を2枚重ね、1kgf/cmの荷重がかかるように重りを載せ、1時間放置後に被塗物の接着度合いを判定した。
◎:全く接着部分がない、
○:一部接着部分があるが実用上問題ないレベル、
×:多くの部分が密着し、塗膜の一部が剥離する。
【0095】
【表22】

【0096】
(実施例287〜302)
実施例192におけるコーティング組成物を用い、基材を亜鉛めっき鋼板、亜鉛めっき鋼板の塗装物、アルミニウム板、ステンレス板、窯業建材、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂にし、その表面に電気駆動により加圧し、液滴の体積が100pl以下となるよう、非接触で液滴を吐出させる武藤工業社製ラミレスPJ−1304NXを用いて塗布した以外は、実施例178と同様にして画像を印刷し、各種特性・性能評価を行った。結果を表23に示す。
【0097】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料分散体、樹脂成分、有機溶剤、水を含み、20℃における粘度が30mPa・s以下、表面張力が21〜34mN/mのコーティング組成物において、
該顔料分散体がポリカーボネート基含有ポリウレタン樹脂を含み、かつ、平均粒子径(d50)が30〜300nmであり、
該樹脂成分として平均粒子径(d50)が30〜130nmのアクリル系ディスパージョンもしくはエマルションを含み、かつ該樹脂成分の固形分が該コーティング組成物中1〜20重量%であり、
該有機溶剤が該コーティング組成物中5〜40重量%であり、
該有機溶剤中に下記一般式(1)で示される化合物を1種類以上、
O−(CH−CH(R)−O)−H・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
もしくは複素環化合物を1種類以上、あるいは両方の化合物を1種類以上含む配合物であることを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
上記顔料分散体の酸価が10〜30である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
上記樹脂成分が、スチレン10〜80重量%、メチルメタクリレート80〜10重量%含有し、該樹脂成分の酸価が1〜20であり、かつ該樹脂成分の比重が1.1〜1.3であるアクリル系ポリマーを50〜100重量%含有する請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
上記樹脂成分のガラス転移点(Tg)が70℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項5】
上記顔料分散体の酸価(AVp)、顔料の比重(Dp)が
3<AVp/Dp<25
であり、上記樹脂成分の酸価(AVr)、樹脂成分の比重(Dr)が
2<AVr/Dr<22
であり、更に、
0.65<(AVp/Dp)/(AVr/Dr)<8
の関係にある請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項6】
上記一般式(1)で示される化合物が、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物を塗布する方法において、該コーティング組成物を電気駆動により加圧し、液滴の体積が100pl以下となるよう、非接触で液滴を吐出させ基材を塗布することを特徴とするコーティング組成物の塗布方法。

【公開番号】特開2012−77118(P2012−77118A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221165(P2010−221165)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】