説明

コーティング組成物及びインクジェット用インク

【課題】発光強度が高く、長期間にわたり分散安定性に優れた無機蛍光体を含有したコーティング組成物又はインクジェット用インクを提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるアルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いたことを特徴とするコーティング組成物又はインクジェット用インク;(RO)SiX・・・(I)式(I)中、Rはメチル基、エチル基、ブチル基又はプロピル基を示し、Xはアルキル基又はアリール基を示し、m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いたコーティング組成物及びインクジェット用インクに関する。本発明にかかる無機蛍光体の表面処理方法は、発光強度を高め、コーティング組成物又はインクジェット用インク中で長期間にわたり安定に分散する方法として有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット用インクに用いられる無機蛍光体が注目されており、このような無機蛍光体に関する技術として、例えば、無機蛍光体の粒径を特定の範囲にしたインクが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、上記特許文献1の無機蛍光体を用いた場合であっても、発光効率が満足する性能を有することができず発光強度が低いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−3835号公報
【特許文献2】特開2008−189761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、発光強度が高く、長期間にわたり分散安定性に優れた無機蛍光体を含有したコーティング組成物及びインクジェット用インクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、無機蛍光体表面にアルコキシシラン又はその縮合物を付与することにより、発光強度が高く分散安定性に優れる蛍光体含有コーティング組成物及びインクジェット用インクを安定的に、かつ再現性良く得ることを見出した。
【0006】
本発明に従って、下記式(I)で表されるアルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いたことを特徴とするコーティング組成物及びインクジェット用インクが提供される;
(RO)SiX ・・・(I)
式(I)中、
Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示し、
Xはアルキル基又はアリール基を示し、
m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる無機蛍光体被覆物を用いることによって、発光強度の高いコーティング組成物及びインクジェット用インクを得ることが出来る。
【0008】
また、本発明にかかる無機蛍光体被覆物を用いることによって、長期安定性に優れた無機蛍光体含有のコーティング組成物及びインクジェット用インクとなる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0010】
本発明にかかる無機蛍光体は、無機蛍光体表面に凸凹状にアルコキシシラン又はその縮合物を被覆することにより、発光強度が高く分散安定性に優れる無機蛍光体含有のコーティング組成物及びインクジェット用インクを特徴とするものである。
【0011】
無機蛍光体表面を凸凹状に被覆するアルコキシシラン又はその縮合物として、下記式(I)で表される化合物を用いることが必須である。
【0012】
(RO)SiX ・・・(I)
式(I)中、
Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示し、
Xはアルキル基又はアリール基を示し、
m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。
【0013】
アルコキシシラン又はその縮合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン及びこれらの縮合物が挙げられる。
【0014】
また、テトラアルコキシシラン又はその縮合物として、炭素数が異なるアルコキシ基を有するテトラアルコキシシラン及びそれらの縮合物を用いることもできる。
【0015】
アルコキシシラン又はその縮合物は、市販品として入手可能であり、メチルシリケート51、エチルシリケート48、エチルシリケート40、エチルシリケート28、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、EMS−485、MCS−18(以上、コルコート社製)、KBM−04、KBE−04(以上、信越化学工業社製)等を用いることが出来る。
【0016】
また、アルコキシシラン又はその縮合物の一部をアルキル基に置換したものとして、KBM−13、KBE−13、KBE−22、KBE−103、KBM3063、KBM3103C(以上、信越化学工業社製)を用いることが出来る。
【0017】
アルコキシシランの縮合物として、コロイダルシリカを用いることも出来る。例えば、スノーテックスC、スノーテックスO、スノーテックス30、スノーテックスS、スノーテックスXS、スノーテックスN(以上、日産化学工業社製)、PL−1、PL−3(以上、扶桑化学工業社製)等を用いることが出来る。
【0018】
アルコキシシラン又はその縮合物は、異なる化合物を2種以上用いることも出来る。
【0019】
(配合)
アルコキシシラン又はその縮合物のSiO含有割合は、無機蛍光体に対し、0.1〜300質量%であることが好ましく、0.3〜100質量%であることがより好ましい。
【0020】
アルコキシシラン又はその縮合物のSiO含有割合が上記範囲を下回ると、無機蛍光体を被覆しきれず、本発明の効果が得られ難い。一方、上記範囲を上回ると、無機蛍光体の被覆に関わらないシラン化合物同士の縮合が進み、コーティング組成物とした際の分散性が劣る傾向にある。
【0021】
アルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を得る方法として、下記の2種類がある。
【0022】
(操作A)
上記の無機蛍光体を水及び/又はアルコールに添加し撹拌する。その際、加水分解触媒を添加しpHを調整する。無機蛍光体水分散物に、アルコキシシラン又はその縮合物を徐々に添加し、しばらく撹拌することにより、無機蛍光体被覆物の分散体を得る。
【0023】
(操作B)
上記の無機蛍光体を水及び/又はアルコールに添加し撹拌する。その際、加水分解触媒を添加しpHを調整する。無機蛍光体水分散物に、アルコキシシラン又はその縮合物を徐々に添加し、しばらく撹拌する。撹拌後、混合液を加熱乾燥して溶媒を除去する。得られた乾燥物を乳鉢、ビーズミル等で粉砕し、無機蛍光体被覆物の乾燥物を得る。
【0024】
加水分解触媒の化合物や使用量は限定されず、加水分解触媒を添加後のpHを3〜12の範囲に調整出来るものが好ましい。このpHの範囲内では無機蛍光体の表面が効率良く被覆される。
【0025】
(被覆された無機蛍光体の形状)
アルコキシシラン又はその縮合物にて被覆された無機蛍光体は、その粒子表面に凸凹を有する。粒子表面の凸凹の程度を表す表面粗度によりその範囲が規定される。本発明において、表面粗度は(BET法により測定された比表面積B)/(画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積A)にて定義される。
【0026】
(画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積A)
画像解析法により測定された平均粒子径から換算された比表面積については、電子顕微鏡により、無機蛍光体被覆物を撮影して得られる画像における、任意の100個の粒子について、各々の最大径を測定し、それらの平均値を平均粒子径とした。平均粒子径を次式に代入し、比表面積を求めた。
【0027】
画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積A=6000/(D×ρ)
Dは前記平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm]であり、ここでは無機蛍光体の密度を使用した。
【0028】
比表面積Aは、平均粒子径Dの球状で表面が平滑な粒子の比表面積に対応する。
【0029】
(BET法により測定された比表面積B)
BET法により得られる比表面積Bは、実際の粒子の表面状態に即した値である。
【0030】
表面粗度とする(BET法により測定された比表面積B)/(画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積A)の値は、粒子表面に凸凹が無く平滑であるほど1.00に近づき、粒子表面の凸凹が深く多くなるほど数値は大きくなる。
【0031】
本発明において、無機蛍光体被覆物の表面粗度は1.05〜3.00の範囲が好ましく、より好ましくは1.10〜2.50である。表面粗度がこの範囲を下回ると、発光強度を高める効果が得られ難い。一方、上記範囲を上回ると、分散安定性が乏しくなる。
【0032】
(無機蛍光体)
本発明で用いることの出来る無機蛍光体としては、平均粒子径が1〜800nmであることが好ましく、より好ましくは1〜200nmである。平均粒子径が前記範囲外となると、無機蛍光体被覆物を、コーティング組成物又はインクジェット用インク中に均一に分散し難くなる。
【0033】
無機蛍光体としては、赤色蛍光体、青色蛍光体及び緑色蛍光体等が挙げられる。
【0034】
赤色蛍光体として、YVO:Eu、Y:Eu、YSiO:Eu、YAlO12:Eu、YS:Eu,Bi、Zn(PO:Mn、YBO:Eu、CaLa:Ce、(Y、Gd)BO:Eu、SrS:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、GdBO:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu、YVO:Bi,Eu、YVO:Pb,Eu等が挙げられ、
青色蛍光体として、YSiO:Ce、CaWO:Pb、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnGeO:Mn、MgAl:Ce等が挙げられ、
緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、BaMgAl1627:Eu,Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO:Tb、YBO:Ce,Tb、LaPO:Ce,Tb、LuBO:Tb、GdBO:Tb、ScBO:Tb、SrSi14:Eu、YVO:Tb等が挙げられる。
【0035】
無機蛍光体被覆物は、水系から溶剤系まで幅広い溶剤中に安定に分散し、インクジェット用インクや塗料等のコーティング組成物として用いることが出来る。
【0036】
コーティング組成物又はインクを作製する際に用いられる樹脂又は溶剤は特に限定されず、コーティング組成物又はインクで従来より使用されている樹脂又は溶剤を用いることが出来る。
【0037】
溶剤としては例えば、下記のものが挙げられる。
【0038】
水;
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;
酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物;
その他トルエン、キシレン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとする。
【0040】
<実施例及び比較例>
実施例1〜39、及び比較例1〜7に示す成分に対応する配合量で、以下の二種類の操作方法にて無機蛍光体の表面を被覆し、コーティング組成物を作製した。操作1で作製したものを表3、表4に、操作2で作製したものを表5に実施例として示す。表3〜5に示される量は質量部であり、無機蛍光体、塗料化時に用いた樹脂(塗料化樹脂と略す)については固形分量で示してある。
【0041】
(操作1)
無機蛍光体を水−エタノール溶液(水:エタノール=2:8、質量比)に添加し撹拌した。これに、加水分解触媒として酢酸を添加しpHを調整した。無機蛍光体水分散物を撹拌しながらアルコキシシラン又はその縮合物、又はクロロシランを徐々に添加し、添加終了後から20時間常温で撹拌することにより、無機蛍光体被覆物の水分散体を得た。塗料化樹脂を添加し、無機蛍光体コーティング組成物を作製した。
【0042】
(操作2)
無機蛍光体を水−エタノール溶液(水:エタノール=2:8、質量比)に添加し撹拌した。これに、加水分解触媒として酢酸を添加しpHを調整した。無機蛍光体水分散物を撹拌しながらアルコキシシラン又はその縮合物を徐々に添加し、添加終了後から3時間撹拌する。混合液を150度で加熱乾燥して溶媒を除去し、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、無機蛍光体被覆物の乾燥物を得た。塗料化樹脂を添加し、無機蛍光体コーティング組成物を作製した。
【0043】
無機蛍光体として、用いた顔料を表1に示す。無機蛍光体A、B、Cについては特許文献2に記載の合成方法を用い、表1に示す化合物の水分散体を作製した。
【0044】
【表1】

【0045】
シラン化合物として、表2に示す化合物を用いた。
【0046】
【表2】

【0047】
塗料化樹脂として、
水系樹脂;
セラネートWSA−1070(大日本インキ社製、アクリルとポリシロキサンの複合樹脂、NV40%、硬化剤としてウォーターゾールWSA−950をWSA−1070に対して5.3%添加)、
スーパーフレックス470(第一工業製薬社製、ウレタンディスパージョン、NV38%)
溶剤系の樹脂;
ソルバインCL(日信化学社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、NV100%)をシクロヘキサノンにて5倍希釈し用いた。
【0048】
(表面粗度の算出)
下記方法で得られた数値を下記式に代入し、各例の無機蛍光体被覆物の表面粗度を得た。
(BET法により測定された比表面積)/(画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積)
(画像解析法による比表面積測定)
電界放射型走査電子顕微鏡SU−70(日立製作所製)を用い、加速電圧15kV、観察倍率10万倍で無機蛍光体被覆物の観察・画像撮影を行った。任意の100個の粒子について各々の最大径を測定し、平均粒子径を求めた。平均粒子径を下記式に代入し、比表面積を得た。
【0049】
画像解析法により測定される平均粒子径から算出した比表面積=6000/(D×ρ)
なお、Dは前記平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm]であり、ここでは表1に示す各々の無機蛍光体の密度を使用した。
【0050】
(BET法による比表面積測定)
無機蛍光体被覆物の比表面積について、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)、吸着質として窒素を用い、BET1点法により比表面積を算出した。具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30体積%/ヘリウム70体積%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、無機蛍光体被覆物の比表面積を算出した。
【0051】
(塗膜にした際の発光強度の変化)
無機蛍光体塗料について、ガラス上へバーコーターにて塗布し、乾燥状態で1μmの膜を作製した。蛍光分光光度計FluorologR−3(HORIBA JOBIN YVON 社製)を用いて膜の蛍光強度を測定した。被覆処理を行っていない蛍光体塗料の初期発光強度を100とし、その相対値にて各例の発光強度を示す。
【0052】
(分散安定性の評価)
実施例1〜39及び比較例1〜7について、分散安定性を評価した。
【0053】
各インク組成物を密閉容器中で60℃・1ヶ月間保存した後、取り出し、その平均粒子径(D50)をレーザー回折式粒度分布測定器(島津製作所製「SALD−7000」)にて測定し、試験前と試験後のそれぞれの変化を下記の基準で評価した。
◎:平均粒子径の変化が、±5%以内。
○:平均粒子径の変化が、±5%超±10%以内。
△:平均粒子径の変化が、±10%超±20%以内。
×:平均粒子径の変化が、±20%超。
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかるアルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体は、コーティング組成物及びインクジェット用インクの用途以外にも、塗膜、フィルム、偽造防止インク、記録材料、着色剤、及び紫外線吸収材等に利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるアルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いたことを特徴とするコーティング組成物;
(RO)SiX ・・・(I)
式(I)中、
Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示し、
Xはアルキル基又はアリール基を示し、
m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。
【請求項2】
前記アルコキシシラン又はその縮合物のSiO含有割合が無機蛍光体に対し、0.1〜300質量%含まれる無機蛍光体被覆物を用いた、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記被覆された無機蛍光体が粒子表面に凸凹を有しており、
(BET法により測定された比表面積)/(画像解析表による測定される平均粒子径から算出した比表面積)の値が、1.05〜3.00の範囲である、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記無機蛍光体が、平均粒子径1〜800nmであり、
YVO:Eu、Y:Eu、YSiO:Eu、YAlO12:Eu、YS:Eu,Bi、Zn(PO:Mn、YBO:Eu、CaLa:Ce、(Y、Gd)BO:Eu、SrS:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、GdBO:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu、YVO:Bi,Eu、YVO:Pb,Eu、
SiO:Ce、CaWO:Pb、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnGeO:Mn、MgAl:Ce、
ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、BaMgAl1627:Eu,Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO:Tb、YBO:Ce,Tb、LaPO:Ce,Tb、LuBO:Tb、GdBO:Tb、ScBO:Tb、SrSi14:Eu、YVO:Tb
からなる群から選択される請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項5】
下記式(I)で表されるアルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いたことを特徴とするインクジェット用インク;
(RO)SiX ・・・(I)
式(I)中、
Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示し、
Xはアルキル基又はアリール基を示し、
m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。
【請求項6】
前記アルコキシシラン又はその縮合物のSiO含有割合が無機蛍光体に対し、0.1〜300質量%含まれる無機蛍光体被覆物を用いた請求項5に記載のインクジェット用インク。
【請求項7】
前記被覆された無機蛍光体が粒子表面に凸凹を有しており、
(BET法により測定された比表面積)/(画像解析表による測定される平均粒子径から算出した比表面積)の値が、1.05〜3.00の範囲である請求項5又は6に記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
前記無機蛍光体が、平均粒子径1〜800nmであり、
YVO:Eu、Y:Eu、YSiO:Eu、YAlO12:Eu、YS:Eu,Bi、Zn(PO:Mn、YBO:Eu、CaLa:Ce、(Y、Gd)BO:Eu、SrS:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、GdBO:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu、YVO:Bi,Eu、YVO:Pb,Eu、
SiO:Ce、CaWO:Pb、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnGeO:Mn、MgAl:Ce、
ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、BaMgAl1627:Eu,Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO:Tb、YBO:Ce,Tb、LaPO:Ce,Tb、LuBO:Tb、GdBO:Tb、ScBO:Tb、SrSi14:Eu、YVO:Tb
からなる群から選択される請求項5〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク。

【公開番号】特開2012−12472(P2012−12472A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149648(P2010−149648)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】