説明

コーティング組成物

【課題】反射防止および液浸リソグラフィー用途において有用な組成物を含む、マイクロリソグラフィーのための新規物質を提供する。
【解決手段】一態様において、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む成分を含有するコーティング組成物が提供される。別の態様においては、複数の個別の粒子を含有するコーティング組成物が提供される。本発明の好ましいコーティング組成物は、反射防止の目的、特に下層をなすフォトレジストコーティング層を伴う場合に有用であり、並びに液浸リソグラフィーにおけるバリア層に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様において、本発明は、1以上ケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を有する成分を含有するコーティング組成物に関する。別の態様において、本発明は複数の粒子を含有するコーティング組成物を含む。本発明の好ましいコーティング組成物は、反射防止の目的、特に関連するフォトレジストコーティング層を伴う場合に有用である。本発明のコーティング組成物は、液浸リソグラフィー処理におけるフォトレジストオーバーコート層としても有用である。特定の態様においては、最上層の(オーバーコートされた)反射防止組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体への画像の転写に用いられる感光性膜である。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、次にフォトレジスト層がフォトマスクを介して活性化放射線源に暴露される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明である領域および活性化放射線に対して透明である他の領域を有する。活性化放射線への暴露はフォトレジストコーティングの光誘導化学変換をもたらし、それにより、フォトマスクのパターンが、フォトレジストがコーティングされた基体に転写される。露光の後、フォトレジストを現像してレリーフ画像を得、それが基体の選択的処理を可能にする。
【0003】
フォトレジストの主要な用途は半導体製造におけるものであり、その目的は高度に研磨された半導体スライス、例えば、ケイ素またはヒ化ガリウムを、回路機能を果たす、好ましくはミクロンまたはサブミクロン形状の、電子伝導経路の複合マトリックスに変換することである。適切なフォトレジスト処理はこの目的を達成する鍵である。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存が存在するが、露光が高解像度フォトレジスト画像の達成における最も重要な工程の1つであるものと考えられる。
【0004】
フォトレジストの露光に用いられる活性化放射線の反射は、しばしば、フォトレジスト層にパターン化される画像の解像度の制限を引き起こす。異なる屈折率を有する2つの層の間の界面、例えば、レジストと下層基体との間の界面またはレジストと空気の界面から反射する光によって生じる光散乱または干渉は、フォトレジストコーティング層の露光領域の望ましくない寸法の変化を生じさせる可能性がある。最上反射防止層の好ましい屈折率は下記等式から算出されている。
【0005】
【数1】

【0006】
そのような望ましくない放射線反射を低減する幾つかの努力が、フォトレジスト層の下に配置される反射防止層(しばしば、「最下」反射防止層と呼ばれる)に加えてフォトレジスト層の上に配置される反射防止層(しばしば、「最上」反射防止層と呼ばれる)の使用を含めて、なされている。米国特許第6,503,689号を参照のこと。
【0007】
最上反射防止組成物は、通常、例えば組成物の望ましい屈折率をもたらすため、フッ化成分を用いている。そのようなフッ化物質の屈折率は、248nmおよび193nm放射線での最適な反射制御に望まれるものよりもより高い。さらに、環境的な問題が様々なフッ化成分に関して生じている。
【0008】
加えて、電子装置製造者は、反射防止コーティング層上にパターン化されたフォトレジスト画像の解像度の増加を絶えず追求し、言い換えれば、反射防止組成物からの絶え間なく増大する性能を要求している。
【0009】
より小さい形状サイズを達成する取り組みは、より短い波長の光を用いることであるが、193nm未満で透明である物質を発見することの困難性が、液浸リソグラフィーを用い、単に液体を用いて膜内により多くの光を集中させることによってレンズの開口数を高めるという選択肢を導いた。液浸リソグラフィーは、画像形成装置(例えば、KrFまたはArFステッパー)の最下表面とウェハまたは他の基体上の最上の表面との間に比較的高い屈折率の流体を用いる。
【特許文献1】米国特許第6,503,689号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
包括的で実績のある液浸リソグラフィー系は未だに存在しない。液浸リソグラフィーのための信頼に足る好都合なフォトレジストおよび画像形成方法が明らかに必要とされている。
【0011】
したがって、反射防止および液浸リソグラフィー用途において有用な組成物を含む、マイクロリソグラフィーのための新規物質が望まれる。
【0012】
発明者らは、ここに、関連するフォトレジスト組成物層のための反射防止層、バリアコートまたは液浸バリア層として特に有用であり得る、新規コーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の好適なコーティング組成物は、膜の密度および膜の組成を制御することにより、適切なフォトレジスト露光放射線の波長で、所望の屈折率に一致し得る屈折率を有し得る。
【0014】
一態様において、本発明のコーティング組成物は、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を含む、1以上の成分を含有する。
【0015】
別の態様において、本発明のコーティング組成物は複数の粒子、好ましくは、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アンチモン(Sb)、酸化セシウム(CeO)、イットリア安定化酸化ジルコニウム、アンチモンドープト酸化スズ、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(La)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化インジウム(In)または酸化亜鉛(ZnO)の1以上を含有する無機物質、を含む。かかる粒子は有機物質であってもよく、炭素、酸素、または1以上のヘテロ(O、NもしくはS)もしくはハロゲン原子を含むこともできる。超分岐ポリマーの粒子が特に好ましいものであり得る。
【0016】
本発明の好ましいコーティング組成物は、特に、関連するフォトレジストコーティング層を伴う、反射防止の目的に有用である。本発明のコーティング組成物は、液浸リソグラフィー処理におけるフォトレジストオーバーコート層としても有用である。特定の態様においては、最上(オーバーコートされる)反射防止組成物が提供される。
【0017】
さらなる態様において、本発明のコーティング組成物は、ケイ素、ハフニアおよび/またはジルコニア化合物を含有する1以上の基を含む1以上の成分を含有する。ケイ素含有成分を含むコーティング成分が特に好ましい。
【0018】
本発明のかかるコーティング組成物の好ましいケイ素含有成分は高Si含有量を有し、例えば、全成分の少なくとも10、20、30、50または50原子重量パーセントがSiである。好ましいケイ素含有成分は、比較的高い割合の酸化ケイ素、窒化ケイ素、または炭化ケイ素繰返し単位を有することもできる。同様に、好ましいアンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛含有化合物は、比較的高い割合の酸化物、窒化物、炭化物またはケイ化物繰返し単位を有することができる。1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物の混合物も用いることもできる。本明細書での無機物質または無機粒子への言及は、好ましくは炭素が実質的に存在しない(例えば、10または5重量モル%未満)か、またはまったく存在せずに、ケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛を含有する物質または粒子を示す。
【0019】
別の態様において、本発明のコーティング組成物は、複数の粒子を含む。かかる粒子は、別個の粒子の形態で、すなわち、別々の異なるポリマー粒子として重合されているポリマーを含むことができる。かかるポリマー粒子は、典型的には、直鎖またはラダーポリマー、例えば直鎖またはラダーケイ素ポリマー、とは別の特徴を1つ以上有する。例えば、かかるポリマー粒子は、定義されたサイズおよび低分子量分布を有することができる。
【0020】
無機粒子は、しばしば、本発明のコーティング組成物の好ましい成分であり、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を好適に含むことができる。かかる粒子には、個別の無機粒子の形態で重合されているポリマーが含まれ得る。さらに、ハイブリッド粒子を用いることもできる。ハイブリッド粒子は無機粒子および有機ポリマーの複合体である。これらは無機粒子および有機ポリマーの別々の、または異なるドメインであり得る。例えば、かかる無機またはハイブリッド粒子は定義されたサイズおよび狭い粒子サイズ分布を有することができる。具体的な無機粒子またはハイブリッド粒子の選択は、関与する放射線の大きな吸収なしに、屈折率に影響を及ぼす能力に基づく。したがって、酸化チタンは365nm露光に好適であるが、193nm露光については、この波長での吸収のため、好ましさに劣るものであり得る。適切な物質は、本発明のコーティング組成物を伴うフォトレジスト層の画像化に用いられる、実際のおよび仮想の成分の屈折率(nおよびk)に基づいて同定することもできる。
【0021】
好ましい態様において、本発明の複数のポリマー粒子は、典型的には、5〜3000オングストローム、より好適には、5〜2000オングストローム、さらにより好好適には、5〜1000オングストローム、さらにより好適には、10〜500オングストローム、さらにより好適には、10〜50もしくは200オングストロームの平均粒子サイズ(寸法)を有する。多くの用途に対して、特に好ましい粒子は、100オングストローム未満の平均粒子サイズを有する。
【0022】
かかる粒子は、好ましくは、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を含むことができる。本発明のコーティング組成物における使用に特に好ましい粒子には、1以上の酸化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウムを含むコロイド状粒子が含まれる。
【0023】
本発明の好ましいコーティング組成物は、例えば、フォトレジスト現像に用いられるもののような水性アルカリ性組成物をはじめとする水性組成物の適用により、所望に応じて容易に除去することもできる。本発明の好ましいコーティング組成物は、低い金属含量(例えば、低ナトリウム含量)を示すことができ、これはその組成物をマイクロエレクトロニック用途に特に適するものとする。本発明のさらなる態様においては、フッ化成分、特には、フッ化樹脂を実質的に、またはまったく含まないコーティング組成物が提供される。
【0024】
特に好ましく適用される本発明のコーティング組成物は、水性コーティング組成物、例えば、アルカリ性現像液またはフッ化物塩組成物を処理することによって除去することができる。
【0025】
本発明のコーティング組成物は流体組成物として、例えば、1以上の有機共溶媒、例えば、アルコール、エーテル、例えば、C2−16アルコール、グリコールエーテル、ケトン、エステル、カルボン酸、例えば、酢酸を任意に含んでいてもよい水性ベース組成物を含む水性ベース組成物として好適に配合される。好ましい組成物は、例えば、溶媒坦体が少なくとも50、60、70、80、90、95または100容積パーセントの水である、主として水性である溶媒成分を有する。
【0026】
本発明のさらなる態様においては、1以上の酸または酸発生剤化合物を含有するコーティング組成物が提供される。驚くべきことに、コーティング組成物における有効量の酸源の添加が下層をなすフォトレジスト層においてパターン化される画像の解像度の向上をもたらし得ることが見出された。例えば、以下の実施例14および図1−3に記載される比較結果を参照のこと。
【0027】
その上、驚くべきことに、本発明のコーティング組成物中への酸添加物の含有が、本発明の組成物でオーバーコートされたフォトレジストのリソグラフィー処理後の望ましくない残留物を低減し得ることも見出された。1以上のカルボン酸基または保護されたカルボン酸基(例えば、エステル部分)を含有する添加物が、処理された基体(例えば、マイクロエレクトロニックウェハ)の表面上に残留する望ましくない残留物の低減において特に有効であり得る。
【0028】
発明者らは、その上、驚くべきことに、ヘテロ置換、例えば、ヒドロキシルを有するポリマー添加物を含有する本発明のコーティング組成物が、本発明の組成物でオーバーコートされているフォトレジストのリソグラフィー処理後の望ましくない残留物の低減をもたらし得ることを見出した。コーティング組成物へのポリ(ビニルアルコール)の添加がこれに関して著しく有効である。
【0029】
本発明のさらなる態様において、フッ化成分、特には、フッ化樹脂を実質的に含まない(例えば、流体組成物の10、5もしくは2重量パーセント未満)か、またはまったく含まないコーティング組成物が提供される。
【0030】
本発明のコーティング組成物は、流体組成物として好適に配合され、例えば、1以上の有機共溶媒、例えば、アルコール、エーテル、例えば、C2−16アルコール、グリコールエーテル、ケトン、エステル、カルボン酸、例えば、酢酸を任意に含んでいてもよい水性ベース組成物を含む水性ベース組成物として好適に配合される。好ましい組成物は、主として水性であり、例えば、溶媒坦体が少なくとも50、60、70、80、90、95または100容積パーセントの水である溶媒成分を有する。
【0031】
本発明の好ましい態様においては、コートされた基体が提供され、これには:(a)フォトレジスト組成物のコーティング層と;(b)前記フォトレジスト組成物上の、複数の粒子を含有する適用された水性組成物とを含むコートされた基体が含まれる。さらなる好ましい態様においては、(a)フォトレジスト組成物のコーティング層と;(b)前記フォトレジスト組成物上の、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を含む成分を含有する適用された水性組成物とを含むコートされた基体も提供される。「適用された」組成物が水性であるという言及は、たとえ水が組成物の適用の後に、例えばスピン乾燥により、少なくとも実質的に除去されているとしても、その組成物が水性ベースの組成物として配合されていることを示す。さらなる好ましい態様において、(a)フォトレジスト組成物のコーティング層と;(b)前記フォトレジスト組成物上の、コロイド状シリカを含有する組成物とを含むコートされた基体が提供される。
【0032】
さらなる好ましい態様において、本発明は、電子装置基体を処理するための方法であって、(a)フォトレジスト層を基体上に適用することと;(b)前記フォトレジスト層上に複数の粒子を含有する水性組成物を適用することとを含む方法を包含する。本発明は、電子装置基体を処理するための方法であって:(a)フォトレジスト層を基体上に適用することと;(b)前記フォトレジスト層上に、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を含む1以上の化合物を含有する水性組成物を適用することとを、含む方法も提供する。本発明の特に好ましい方法には、電子装置基体を処理するための方法であって、(a)フォトレジスト層を基体上に適用することと;(b)前記フォトレジスト層上に、コロイド状シリカ、ハフニアおよび/またはジルコニアを含有する水性組成物を適用することとを、含む方法が含まれる。
【0033】
本発明のコーティング組成物は、表面(例えば、フォトレジストコーティング層上)に、ディップコーティング、ローラーコーティング、スロットコーティング、スプレーコーティング、化学蒸着または好ましくは、スピンコーティングを含む多数の任意の手段によって好適に適用することができる。本発明のコーティング組成物を適用した後、多層系(すなわち、本発明のコーティング組成物のオーバーコート層を伴うフォトレジスト層)を直接さらにリソグラフィー処理(例えば、パターン化された活性化放射線で、例えば、365nm、248nmもしくは193nmの波長を有する活性化放射線での画像化)することができ、または適用されたコーティング層を、例えば、熱処理(例えば、80℃以上もしくは140℃以上で30〜60秒以上)により、硬化さもなければ固定させることができる。
【0034】
より詳細には、本発明のコーティング組成物は、以下のようなリソグラフィー処理において好適に用いることができる。
1)フォトレジスト組成物の、(例えば、スピンコーティングによる)基体への、例えば半導体ウェハへの適用。フォトレジストはウェハ表面上またはウェハ上に予め適用されている物質、例えば、有機もしくは無機平坦化層上に好適に適用することができる;
2)任意に、適用されたフォトレジスト組成物を、例えば120℃以下で30〜60秒間、熱処理して溶媒坦体を除去すること;
3)フォトレジスト組成物上への、本発明のコーティング組成物の、例えば、コーティング組成物の流体配合物をスピンコーティングすることによる適用。コートされた基体を次に、任意に、熱処理してそのバリア組成物の溶媒坦体を除去することができるが、上で論じられたように、オーバーコートされた本発明のコーティング組成物のさらなる乾燥工程と共に複数のコーティング層を有する基体を直接リソグラフィー処理することもできる;
4)オーバーコートされたフォトレジスト層の、パターン化された活性化放射線、例えば、400nm未満、300nm未満もしくは200nm未満の放射線、例えば、365nm、248nmもしくは193nmの波長を有する放射線への露光。コートされた基体は、露光ツールとコートされた基体との間に入れられた流体(例えば、水を含む流体)を用いる液浸リソグラフィー系において画像化することもでき、すなわち、露光ツールと本発明のコーティング組成物の層との間に入れられた流体層によってフォトレジスト層を液浸露光することもできる。間に入れられた流体は、典型的には、オーバーコートされた組成物層に接触する;
5)露光されたコーティング層の、例えば、フォトレジスト現像に正規に用いられる水性アルカリ性現像液組成物による現像。現像液組成物は、オーバーコートされた本発明のコーティング組成物、並びにポジ型レジストの場合にはフォトレジスト組成物の画像化された領域を、またはネガ型レジストの場合には非露光のレジストコーティング層領域を、除去することができる。
【0035】
その上、所望であれば、リソグラフィー処理の過程において、コートされた基体を溶媒組成物で洗浄することができ、これは処理されるマイクロエレクトロニックウェハ上の欠陥の発生を減少させることできる。この溶媒処理組成物は水性組成物(例えば、水もしくは水/有機物混合物)であっても非水性成分であってもよく、および1以上の有機溶媒、好ましくは、1以上の極性溶媒、例えば、1以上のアルコール、例えば、イソプロパノール、および/または1以上の添加物、例えば、フッ化アンモニウム化合物を含むフッ化化合物を含有してもよい。コートされた基体の処理の後、溶媒組成物は、例えばさらなる回転により、実質的に除去することができる。好適には、かかる洗浄工程は、露光の後、現像の前もしくは後のいずれかに行うことができ、または流体組成物洗浄工程を現像の前もしくは後の両方で行うことができる。現像前洗浄はフォトレジスト層をオーバーコートするコーティング組成物を有効に除去することができ、現像後洗浄工程は処理された基体表面上に残留する任意の望ましくない残留物を最小限に止めるか、または排除することができる。
【0036】
本発明のリソグラフィー系の好ましい画像化波長には400nm未満の波長、例えば、365nm、300nm未満の波長、例えば、248nm、および200nm未満の波長、例えば、193nmが含まれる。より長い画像化波長を用いることもでき、すなわち、本発明に従って用いるのに特に好ましいフォトレジストは、光活性成分(例えば、1以上の光酸発生剤化合物、または300nmおよび400nmを超える波長、例えば、365nmおよび436nmを含むより長い波長で画像化されるフォトレジストのためのジアゾナフトキノン光活性成分)、以下のうちから選択される1以上の樹脂、を含むことができる:
1)248nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを提供し得る酸不安定基を含むフェノール樹脂。この種の特に好ましい樹脂には:i)重合したアルキルアクリレート単位が光酸の存在下で脱保護反応を受け得る、ビニルフェノールとアルキルアクリレートの重合単位を含むポリマー。光酸誘導脱保護反応を受け得る例示的アルキルアクリレートには、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、並びに光酸誘導反応を受け得る他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが含まれる;ii)ビニルフェノールの重合単位、ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない任意に置換されているビニルフェニル(例えば、スチレン)、およびアルキルアクリレート(例えば、上記ポリマーi)で説明される脱保護基のもの)を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号に記載されるポリマー;並びにiii)光酸と反応するアセタールもしくはケタール部分を含む繰返し単位、および、任意に、芳香族繰返し単位、例えば、フェニルもしくはフェノール基を含むポリマー;かかるポリマーは米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている;が含まれ、並びにi)および/またはii)および/またはiii)の混合物が含まれる;
2)酸不安定基を含まないフェノール樹脂、例えば、ポリ(ビニルフェノール)、並びにI線およびG線フォトレジストにおいてジアゾナフトキノン光活性化合物と共に用いることができ、例えば、米国特許第4983492号;第5130410号;第5216111号;および第5529880号に記載されているノボラック樹脂;
3)200nm未満の波長、例えば、193nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを提供し得る、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくはまったく含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)、例えば、任意に置換されているノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されているポリマー;ii)アルキルアクリレート単位、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレートを含むポリマー;かかるポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開EP01008913A1およびEP00930542A1;および米国特許出願第09/143,462号に記載されている;およびiii)重合された無水物単位、特には、重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、欧州特許出願公開EP01008913A1および米国特許第6,048,662号において開示されるものが含まれ;並びにi)および/またはii)および/またはiii)の混合物が含まれる;
4)ヘテロ原子、特には、酸素および/またはイオウを含む繰返し単位(しかしながら、無水物以外、すなわち、その単位はケト環原子を含まない)を含み、かつ好ましくは、いかなる芳香族単位をも実質的に、またはまったく含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位は樹脂主鎖に縮合し、さらに好ましくは、その樹脂は縮合炭素脂環式単位、例えば、ノルボルネン基の重合によってもたらされるもの、および/または無水物単位、例えば、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合によってもたらされるものを含む。そのような樹脂はPCT/US01/14914に開示されている。
5)ポリ(シルセキオキサン)を含むSi−置換を含み、かつアンダーコート層と共に用いることができる樹脂。そのような樹脂は、例えば、米国特許第6803171号に開示される。
6)例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化芳香族基、例えば、フルオロ−スチレン化合物、ヘキサフルオロアルコール部分を含む化合物の重合によってもたらされ得るような、フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)。かかる樹脂の例は、例えば、PCT/US99/21912に開示される。かかるフッ化樹脂は、短波長、例えば、193nmおよび157nmを含む300nm未満および200nm未満での画像化に特に有用であり得る。
【0037】
本発明は、さらに、フォトレジストレリーフ画像を形成するための方法および電子装置の製造方法を提供する。本発明は、本発明のコーティング組成物が単独で、またはフォトレジスト組成物との組み合わせでコートされている基体を含む新規製造物品も提供する。
【0038】
本発明のコーティング組成物は幾つかのさらなる用途に有用である。特には、本発明のコーティング組成物は、導波路を含む光導体の製造に有用であり、例えば、低率クラッド材料を提供するのに有用である。本発明のコーティング組成物は、様々な光学装置を処理するためにも有用であり、例えば、反射防止またはグレア防止層として適用するのにも有用である。さらに特に、コーティング組成物はマイクロリソグラフィー用途において用いられる光ツールのレンズ上のコーティング層として適用することができる。本発明のコーティング組成物はグレアの回避もしくは低減または、例えば眼鏡、風防、およびコンピュータ画面を含む、様々な基体に引っ掻き抵抗性をもたらすのにも有用であり得る。
【0039】
本発明は、本発明のコーティング組成物を用いて製造される装置をも含み、これには本発明のコーティング組成物を用いて処理される半導体チップおよび他の集積回路基体が含まれる。本発明は、さらに、かかる処理された集積回路を含有する機器、例えば、1以上のかかる処理された集積回路を含有する電子装置を含む。
【0040】
本発明の他の側面は以下に開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
発明者らは、ここで、反射防止層、バリアコートまたは放射線源とフォトレジスト層との間の液浸バリア層として特に有用であり得る新規コーティング組成物を提供する。
【0042】
一態様において、本発明のコーティング組成物は、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛化合物を含む1以上の成分を含有する。
【0043】
別の態様において、本発明のコーティング組成物は複数の粒子、好ましくは、1以上の二酸化ケイ素(SiO)、酸化アンチモン、酸化セリウム、イットリア安定化酸化ジルコニウム、アンチモンドープト酸化スズ、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(La)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)または酸化亜鉛(ZnO)を含む無機物質、を含有する。上で論じられたように、有機含有物を有する粒子を用いることもできる。したがって、例えば、好ましい態様の1つにおいては、シリカ粒子をはじめとする粒子が、例えば、共有結合したプロピレンエチレンオキシド(PEO)−シラン、PPO−シラン、カルボン酸、フルオロアルコール、例えば、ヘキサフルオロアルコールおよび、好適には、1〜20個の炭素原子を有する他のフルオロアルコール、並びにペルフルオロアルキルおよび、好適には、1〜約20個の炭素原子を有する他のフルオロアルキルを含むハロアルキルによって表面改変された粒子をもたらすことができるような、有機物質によるものをはじめとする表面改変をされたものであってもよい。
【0044】
本発明の好ましいコーティング組成物は、アンダーコートされたポジ型作用性フォトレジスト層の露光領域の現像(除去)に用いることができる水性アルカリ性現像液によることをはじめとしてリソグラフィー処理の過程中に除去可能である。本発明の好ましいコーティング組成物は、コーティング組成物層の架橋または他の硬化なしに用いることもできる。したがって、本発明の好ましいコーティング組成物は架橋成分または他の方法で組成物コーティング層の硬化を促進するのに用いられる他の物質を含まなくてよい。
【0045】
以下でさらに論じられるように、本発明のコーティング組成物は有機および/または無機成分を含むことができる。本発明の好ましいコーティング組成物は水性ベースの流体組成物として、例えば、唯一の溶媒坦体が水である流体組成物として、並びに1以上の水混和性有機溶媒を含む1以上の混和性流体成分と混合されている水を含んでいてもよく、典型的には、水が流体坦体成分の少なくとも60重量パーセント、より好ましくは、水が流体坦体成分の80、90、95もしくは100重量パーセントである流体組成物として配合される。
【0046】
コーティング組成物は一般には広範囲のpH値内にあり得るが、一態様において、多くの用途に対しては、好ましくは、本発明の水性ベースのコーティング組成物は2〜10.5のpH、より好ましくは、2もしくは3.5〜6もしくは10.5のpHを有する。特に好ましい態様において、本発明の水ベースのコーティング組成物は、1〜10.5のpH、より好ましくは、2〜4.5のpH、さらにより好ましくは、2〜3を有する。
【0047】
本発明の好ましいコーティング組成物はまた、微量金属を実質的に含まない。例えば、本発明の好ましいコーティング組成物は、望ましくない金属を、1ppm未満、好ましくは、100ppb未満のレベルで有する。望ましくない金属には、重金属、アルカリ金属、例えばナトリウム、遷移金属および/または希土類金属が含まれ得る。本発明の好ましいコーティング組成物は、塩素イオンをはじめとする他の望ましくない物質をかかる低いレベルで有する。
【0048】
本発明の好ましいコーティング組成物は、上で論じられたように、溶液、より好ましくは、水溶液から配置される。コーティング組成物は、化学蒸着、スプレーコーティング、「インクジェッティング」、噴霧熱分解または基体上に薄膜を配置するための他の処理を含む他の方法によって表面上に配置することもできる。本発明のコーティング組成物はコロイド状粒子、例えば、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含むことができる。これらの物質は、多くの場合、水またはアルコール中で調製される。コロイド状粒子の表面改変を行い、例えば、溶液中での安定性を高め、またはそのコロイド状粒子の特性を向上することができる。例えば、表面改変には、PEO−シラン、PPO−シラン、カルボン酸、フルオロアルコール、例えば、好適には、1〜20個の炭素原子を有するもの、およびフルオロアルキル、例えば、適切には、1〜20個の炭素原子を有するものの共有結合が含まれ得る。表面の改変は、例えば、非水性溶媒中でのコロイド粒子の分散の安定性を向上することができる。ケイ素含有成分を含むコーティング成分が特に好ましい。
【0049】
好ましい粒子は、溶液中で分散または合成された後、所望の溶媒に移される。好ましい粒子は官能化されていてもよく、例えば、コロイド状粒子の表面がヒドロキシル基を含むことができ、それを例えばシランカップリング剤をはじめとする化合物で官能化して、コロイド状粒子の分散の安定性に影響を及ぼすことができる。加えて、他の特性、例えば、特定の波長での吸収または粒子を架橋させて安定な膜を形成することができる反応性基を膜に付与するのにこれらの表面官能剤を用いることもできる。
【0050】
さらなる態様において、本発明の好ましいコーティング組成物は水性コーティング組成物として配合することができ、好ましくは、水性アルカリ性現像剤またはフッ化物含有除去剤で除去可能である。コーティング組成物は、(i)コロイド状シリカ、ハフニアもしくはジルコニアを含む複数の粒子;(ii)1以上の樹脂;(iii)好ましくは組成物の安定化に助力できる、1以上の酸;(iv)1以上の界面活性剤;および、任意に(v)水に加えて1以上の共溶媒、を含むことができる。
【0051】
コーティング組成物の成分
1以上ケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む成分
上で論じられたように、第1の態様においては、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む成分を含有するコーティング組成物が提供される。ケイ素含有成分を含む組成物が特に好ましい。本発明のかかるコーティング組成物の好ましいケイ素含有成分は高Si含有量を有し、例えば、全成分の少なくとも10、20、30、40または50原子重量パーセントがSiである。好ましいケイ素含有成分は比較的高い割合のSiO繰返し単位を有することもでき、例えば、Si含有ポリマーの全ポリマー単位の少なくとも20パーセントがSiOであるか、またはSi含有ポリマーのポリマー単位の総数の少なくとも40、50、60、70、80、90もしくは100パーセントがSiOである。
【0052】
かかる1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む組成物成分は有機であっても無機であってもよい。本発明に特に好適な無機成分には、ケイ素、ジルコニウムまたはハフニウムの1以上の酸化物、例えば、SiO、HfOまたはZrOが包含される。上で論じられたように、かかる部分を有機基、例えば、それらにグラフト化するC1−20アルキル、C1−20アルコキシ、および/またはC1−20チオアルキル、並びに他の基で表面官能化して、例えば、粒子分散の安定性を向上することもできる。
【0053】
無機物質または表面改変無機物質が多くの用途に好ましいものであり得るが、有機ポリシリカ成分を本発明のオーバーコートされるコーティング組成物において用いることもでき、これは1以上の有機シランおよび1以上のケイ素含有架橋剤の部分縮合を用いて調製することができ、ここで、該架橋剤は4より多くの加水分解性基を有する。好適なケイ素含有架橋剤は5または6の加水分解性基を有する。本明細書で用いられる場合、「部分縮合」という用語は、さらなる縮合反応を受けてその分子量を増加させることができるシランオリゴマーまたはプレポリマーまたは加水分解物を指す。
【0054】
かかる有機ポリシリカ部分縮合体は:a)式(I)RSiY4−aの1以上のシランおよび式(II)R(RO)3−bSi(RSi(OR3−dの1以上のシランを含む混合物を塩基性触媒の存在下で反応させる工程;およびb)前記混合物を酸性触媒の存在下で反応させる工程を含む方法によって好適に調製することができる;ここで式中、Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C12)アリールアルキル、置換(C−C12)アリールアルキル、アリール、および置換アリールであり;Yは任意の加水分解性基であり;aは1〜2の整数であり;R、R、RおよびRは水素、(C−C)アルキル、(C−C12)アリールアルキル、置換(C−C12)アリール−アルキル、アリール、および置換アリールから独立に選択され;Rは(C−C10)アルキル、−(CH−、−(CHh1−E−(CHh2−、−(CH−Z、アリーレン、置換アリーレンもしくはアリーレンエーテルであり;Eは酸素、NRもしくはZであり;Zはアリールもしくは置換アリールであり;Rは水素、(C−C)アルキル、アリールもしくは置換アリールであり;bおよびdは各々0〜2の整数であり;cは0〜6の整数であり;並びに、h、h1、h2およびkは独立に1〜6の整数であり;ただし、少なくとも1つのR、R、RおよびRは水素ではない。
【0055】
一態様において、Rは(C−C)アルキル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、フェネチルもしくはフェニル、より好ましくは、メチル、エチル、イソ−ブチル、tert−ブチルもしくはフェニルである。Yの好適な加水分解性基には、これらに限定されるものではないが、ハロ、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、および好ましくは、クロロおよび(C−C)アルコキシが包含される。好適な式(I)の有機シランには、これらに限定されるものではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソ−プロピルトリエトキシシラン、イソ−プロピルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソ−ブチルトリエトキシシラン、イソ−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ヒドロキシフェニルエチルトリメトキシシランおよびヒドロキシフェニルエチルトリエトキシシランが含まれる。
【0056】
式(II)の有機シランには、好ましくは、RおよびRが独立に(C−C)アルキル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、フェネチルまたはフェニルであるものが含まれる。好ましくは、RおよびRはメチル、エチル、tert−ブチル、イソ−ブチルおよびフェニルである。一態様において、Rは(C−C10)アルキル、−(CH−、アリーレン、アリーレンエーテルおよび−(CHh1−E−(CHh2である。好適な式(II)の化合物には、これらに限定されるものではないが、Rがメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、ノルボルニレン、シクロヘキシレン、フェニレン、フェニレンエーテル、ナフチレンおよび−CH−C−CH−であるものが含まれる。さらなる態様において、cは1〜4である。
【0057】
好適な式(II)の有機シランには、これらに限定されるものではないが、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチル−シリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシ−ジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニル−シリル)エタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシ−ジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル))プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシ−メチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニル−シリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジフェニルシリル)プロパン、および1,3−ビス(エトキシジフェニルシリル)プロパンが含まれる。
【0058】
好適な有機ポリシリカ物質には、これらに限定されるものではないが、シルセスキオキサン、部分縮合ハロシランもしくはアルコキシシラン、例えば、500〜20,000の数平均分子量を有する、制御をされた加水分解によって部分的に縮合されたテトラエトキシシラン、組成RSiO、OSiRSiO、RSiOおよびOSiRSiO(式中、Rは有機置換基である)を有する有機改変シリケート、並びにSi(OR)をモノマー単位として有する部分縮合オルトシリケートが含まれる。シルセスキオキサンはRSiO1.5(式中、Rは有機置換基である)型のポリマー性シリケート物質である。好適なシルセスキオキサンはアルキルシルセスキオキサン;アリールシルセスキオキサン;アルキル/アリールシルセスキオキサン混合物;およびアルキルシルセスキオキサンの混合物である。シルセスキオキサン物質には、シルセスキオキサンのホモポリマー、シルセスキオキサンのコポリマーまたはそれらの混合物が含まれる。かかる物質は一般には商業的に入手可能であるか、または知られている方法によって調製することができる。
【0059】
かかる有機ポリシリカ物質は、上述のケイ素含有モノマーに加えて、様々な他のモノマーを含むことができる。例えば、有機ポリシリカ物質は第2の架橋剤およびカルボシラン部分をさらに含むことができる。
【0060】
好適な第2架橋剤は、ケイ素含有物質のための任意の知られている架橋剤であり得る。典型的な第2架橋剤には式(III)M(OR11のシランが含まれ、式中、Mはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、マグネシウム、またはホウ素であり;R11は(C−C)アルキル、アシル、またはSi(OR12であり;R12は(C−C)アルキルまたはアシルであり;およびnはMの価数である。一態様において、R11はメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。別の態様において、Mはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはケイ素である。かかる第2架橋剤の組み合わせを用いることができることは当業者には理解される。式(I)および(II)のシランの混合物のかかる第2架橋剤有機シランに対する比は、典型的には、99:1〜1:99、好ましくは、95:5〜5:95、より好ましくは、90:10〜10:90である。
【0061】
カルボシラン部分は(Si−C)構造を有する部分を指し、例えば、Aが置換もしくは非置換アルキレンもしくはアリーレンである(Si−A)構造、例えば、SiRCH−、−SiRCH−、=SiRCH−、および≡SiCH−(式中、Rは通常水素であるが、任意の有機もしくは無機基であってもよい)を指す。好適な無機基には、有機ケイ素、シロキシル、またはシラニル部分が含まれる。これらのカルボシラン部分は、典型的には、複雑な分岐構造を生じるような方法で「頭−尾」結合し、すなわち、Si−C−Si結合を有する。特に有用なカルボシラン部分は繰返し単位(SiHCH)および(SiHy−1(CH=CH)CH)(式中、x=0〜3およびy=1〜3)を有するものである。これらの繰返し単位は、有機ポリシリカ樹脂中に1〜100,000、好ましくは、1〜10,000の任意の数存在し得る。好適なカルボシラン前駆体は米国特許第5,153,295号(Whitmarshら)および第6,395,649号(Wu)に開示されるものである。
【0062】
有機ポリシリカ部分縮合体は、1以上の三もしくは二官能性有機シラン、例えば、式Iのもの、1以上のケイ素含有架橋剤、例えば、式IIのもの、および、主として水を、シランを加水分解(または部分的に縮合)して所望の重量平均分子量を有する部分縮合体を形成するのに十分な期間反応させることによって調製することができる。典型的には、エタノールの沸点に起因して、反応温度は78〜80℃である。水の量は、典型的には、0.1〜2.0モル当量、より典型的には、0.25〜1.75モル当量、さらにより典型的には、0.75〜1.5モル当量である。酸性または塩基性触媒が典型的に用いられる。好適な酸および塩基には、強酸および強塩基(例えば、それぞれ、塩酸および水酸化テトラメチルアンモニウム)、弱酸(例えば、酢酸)または弱塩基(例えば、トリエチルアミンおよび/もしくは水酸化アンモニウム)が包含される。典型的には、塩酸のような強酸触媒がシランの加水分解および縮合反応の触媒に用いられる。シランおよび水は、典型的には、0.5〜48時間反応させるが、より長時間またはより短時間を用いてもよい。特に好適な反応時間は1〜24時間である。シランのモル比は広範囲にわたって変化し得る。式(I)の1以上のシランの式(II)の1以上のシランに対するモル比は99:1〜1:99、特には、95:5〜5:95、とりわけ、90:10〜10:90、さらにとりわけ、80:20〜20:80である。
【0063】
好適な有機ポリシリカ部分縮合体は広範囲の分子量を有し得る。典型的には、部分縮合体は、500,000より小さい(20,000以下を含む)重量平均分子量を有するが、より大きい分子量を用いてもよい。より典型的には、重量平均分子量は15,000以下、さらにより典型的には、10,000以下、最も典型的には、5,000以下である。
【0064】
有機ポリシリカ部分縮合体の形成に続いて、任意に酸性触媒を除去した後、安定化剤を部分縮合体に任意に添加してもよい。かかる安定化剤は、好ましくは、有機酸である。少なくとも2個の炭素を有し、かつ25℃で1〜4の酸解離定数(「pKa」)を有する任意の有機酸が好適である。好ましい有機酸は、1.1〜3.9、より好ましくは、1.2〜3.5のpKaを有する。キレート剤として機能し得る有機酸が好ましい。かかるキレート性有機酸には、ポリカルボン酸、例えば、ジ−、トリ−、テトラ−およびより高次のカルボン酸、並びに1以上のヒドロキシル、エーテル、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、イミン、チオールで置換されているカルボン酸が含まれる。好ましいキレート性有機酸はポリカルボン酸およびヒドロキシ置換カルボン酸である。「ヒドロキシ置換カルボン酸」という用語は、ヒドロキシ置換ポリカルボン酸を含む。好適な有機酸には、これらに限定されるものではないが:シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、シトラマル酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、ケトグルタル酸、サリチル酸およびアセト酢酸が含まれる。好ましい有機酸は、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、クエン酸および乳酸であり、より好ましくは、マロン酸である。有機酸の混合物を本発明において有利に用いることができる。当業者は、ポリカルボン酸が、その化合物におけるカルボン酸部分のそれぞれに対するpKa値を有することを理解する。有機酸が本発明における使用に好適であるためには、かかるポリカルボン酸におけるpKa値の1つだけが25℃で1〜4の範囲内にある必要がある。かかる安定化剤は、典型的には、1〜10,000ppm、好ましくは10〜1000ppmの量で用いられる。かかる安定化剤は、物質のさらなる縮合を遅延させ、部分縮合体の貯蔵寿命を延長するように機能する。
【0065】
HfOおよびZrOを含む好適なジルコニアおよびハフニア物質は製造供給元から、例えば、Alfa並びにNyacol Products(マサチューセッツ州亜種ランド)から商業的に入手可能である。
【0066】
粒子成分
さらなる一態様において、好ましいコーティング組成物は複数の個別の粒子を含み、例えば、複数の粒子は1000オングストローム以下の平均粒子サイズ(例えば、実質的に球形の粒子の直径)を有する。
【0067】
かかる粒子は様々な物質からなるものであってもよく、これには有機および無機組成物の両方が含まれ、無機物(有機基または無機基で表面改変されている無機物質を含む)による場合が一般に好ましい。本発明のこの態様において、好ましい粒子は、ケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含むことができる。特に好ましい粒子は、ケイ素、ジルコニウムおよび/またはハフニウムを含むことができる。とりわけ好ましい粒子は、コロイド状物質を含むことができ、これにはコロイド状無機組成物、例えば、コロイド状シリカ、ハフニアおよび/またはジルコニアが含まれる。かかる物質は容易に調製することができ、製造供給元、例えば、Nissan Chemicalsから商業的に入手可能である。本明細書で言及される場合、「コロイド」、「コロイド状」または他の同様の用語への言及は、1ミクロン未満の寸法サイズ(例えば、直径)を有する、および典型的には、1nm〜1ミクロンの寸法サイズ(例えば、直径)を有する、本発明のコーティング組成物の粒子を示す。
【0068】
一般に好ましい粒子成分は実質的に凝集しておらず、例えば、組成物の全粒子の30、40、50、60、70、80または90重量パーセントより多くが、水性組成物中で、2以上の粒子の群に凝集しているのではなく、単一として観察することができる。かかる判定は、粒子を水中に1ppm固形分として希釈し、試料を顕微鏡下で観察することによってなすことができる。凝集した粒子も有用ではあるが、少なくとも特定の用途に対しては、かかる実質的に凝集していない粒子成分を有する組成物が好ましいものであり得る。
【0069】
特に好ましい粒子成分には、単分散サイズおよび混合サイズの両方のコロイド状シリカ、並びに多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)が含まれる。シリカを含まないが、他の物質、例えば、1以上のアンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウム および/または亜鉛化合物を含むことができる他のコロイド状物質も好ましい。
【0070】
単分散粒子は多くの用途に、特には、フォトレジスト上に適用される最上の反射防止組成物としてのコーティング組成物の使用に特に好ましいものであり得る。いかなる理論によっても拘束されることはないが、かかる単分散(実質的に同じサイズの)粒子、例えば、単分散コロイド状シリカは、効率的に充填されたコーティング層構造を形成することができ、これは粒子間の間隙空間の十分な体積をもたらし得る。かかる空間はコーティング層に屈折率の低下をもたらすことができる。
【0071】
コーティング組成物中でナノ粒子およびマイクロ粒子の混合物を用いて組成物にさらなる安定性をもたらすことも望ましいことであり得る。ナノ粒子およびマイクロ粒子の混合物の使用は米国特許出願公開2003/0091647号に開示されるように行うことができる。かかる組成物に好ましいマイクロ粒子は、0.01μm〜100μm、より典型的には、0.05μm〜10μmの平均粒子直径を有することができ;およびナノ粒子は1nm〜300nmの有効直径を有することができ、ナノ粒子の有効直径のマイクロ粒子の有効直径に対する比は少なくとも1nm〜3nm、より好適には、1nm〜10nmである。
【0072】
上で論じられたように、粒子、例えば、シリカ粒子を官能化することが望ましいことであり得る。例えば、シリカ粒子は、例えば、1以上のシランモノマー(有機シランモノマー、例えば、1個以上のSi原子、例えば、1〜3個のSi原子および1〜20個の炭素原子を有するモノマーを含む)をはじめとする様々な物質によって、表面改変をはじめとする改変をされ得る。本発明のオーバーコーティング組成物の粒子の特に好ましい表面改変に関する以下の例を参照のこと。
【0073】
任意の添加物
本発明の好ましいコーティング組成物は、好適には、上で論じられた粒子成分、および/または1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムもしくは亜鉛化合物を含むことができる成分、に加えて、1以上の物質を任意に含むことができる。
【0074】
好ましい任意のコーティング組成物成分には、1以上の樹脂が含まれる。様々な樹脂成分を好適に用いることができる。例えば、好適な樹脂には、1以上の繰返し単位上に極性官能基、特に、水溶解性または分散性を付与し得る官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ(−COOH)、およびスルホニル(>SO)を有するものが含まれる。例示的な樹脂添加物には、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラヒドロフラン、PEO−PPO(コ、ブロック、トリブロックポリマー)、グリセロール−トリ−(PEO−PPO)、ポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(ビニルアセテート)、ウレタン樹脂、例えば、ポリ(ウレタンジオール)、セルロースベースの樹脂、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらの物質のコポリマーが含まれる。さらに、これらの樹脂は、好適には塩形態であってよく、例えば、アンモニウム塩形態で用いることができる。
【0075】
好適な樹脂添加物は商業的に入手可能である。
【0076】
本発明のコーティング組成物は、下層をなすフォトレジスト組成物層の画像化に用いられる放射線を著しく吸収することが可能な、1以上の発色団基を含むこともできる。典型的には、好適な発色団基は芳香族基、特には、炭素環式アリール基、例えば、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルである。かかる基は、上で論じられた樹脂もしくは粒子成分の置換基であってもよく、またはコーティング組成物の他のポリマーもしくは非ポリマー添加物の置換基であってもよい。248nm放射線で画像化されるアンダーコートされたフォトレジスト組成物と共に用いられるコーティング組成物に対する好ましい発色団基には、アントラセニルおよびナフチルが含まれる。248nm放射線で画像化されるアンダーコートされたフォトレジスト組成物と共に用いられるコーティング組成物に対する好ましい発色団基には、フェニルが含まれる。しかしながら、特定の好ましい態様においては、本発明のコーティング組成物は、かかる炭素環式アリールまたは他の芳香族発色団基を包含する前述の発色団基は含まない。
【0077】
さらなる好ましい任意の添加物は1以上の界面活性剤であり、これはオーバーコートされた組成物の実質に均一なコーティング層の形成を促進することができる。様々な界面活性剤を用いることができる。好適な界面活性剤は両親媒性の性質を示すことができ、これは、それらが同時に親水性および疎水性の両方であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対する強い親和性を有する親水性頭部基(1つもしくは複数)および、有機物親和性であって水をはじく、長い疎水性後尾部を有する。好適な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性。カチオン性)または非イオン性であり得る。界面活性剤のさらなる例には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、およびフルオロケミカル界面活性剤が含まれる。水溶液中で用いるのに好適な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されるものではないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシレート、例えば、TRITON(登録商標)X−l14、X−102、X−45、X−15およびアルコールエトキシレート、例えば、BRIJ(登録商標)56(C1633(OCHCH10OH)(ICl)、BRIJ(登録商標)58(C1633(OCHCH20OH)(ICl)が含まれる。さらなる例示的界面活性剤には、アルコール(一級および二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはニュージャージー州グレンロックのManufacturers Confectioners Publishing Co.が発行するMcCutcheon′s Emulsifiers and Detergents, North American Edition for the Year 2000に開示される他の界面活性剤が含まれる。
【0078】
アセチレン性ジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適切であり得、これには下記式IVおよびVのような界面活性剤が含まれる。
【0079】
【化1】

【0080】
ここで、これらの式IVおよびVにおいて、RおよびRは、適切には3〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖アルキル鎖であり;RおよびRは、Hまたはアルキル鎖(好適には1〜5個の炭素原子を有する)のいずれかであり;並びにm、n、p、およびqは0〜20の範囲の数である。かかる界面活性剤はペンシルバニア州アレンタウンのAir Products and Chemicals, Inc.からSURFYNOL(登録商標)およびDYNOL(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。
【0081】
本発明のコーティング組成物における使用に好適なさらなる界面活性剤には、他のポリマー化合物、例えば、トリブロックEO−PO−EOコポリマーPLURONIC(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF,Inc.)が含まれる。
【0082】
少なくとも特定の用途については、1以上の両性イオン界面活性剤を含むコーティング組成物も適切である。
【0083】
コーティング組成物のためのさらなる任意の添加物には、調製された組成物の貯蔵寿命の向上を促進することができる安定化剤が含まれ得る。好適な安定化剤には、多酸、例えば、二酸および三酸、例えば、クエン酸、マロン酸が含まれ得る。本発明のコーティング組成物に好適であり得るさらなる安定化剤は、過酸化物の物質、例えば、米国特許第6,750,257号および特開2002−45681号において報告されるものであり得、これはコロイド状シリカ組成物における5〜100ppmの量での過酸化水素の安定化剤としての使用を開示する。
【0084】
本発明のコーティング組成物のためのさらなる任意の添加物は、1以上の酸および/または酸発生剤化合物である。上で論じられたように、本発明のコーティング組成物中への酸源の含有は、現像されたフォトレジスト画像の輪郭の制御を含めて、下層をなすフォトレジスト層にパターン化された画像の解像度の向上をもたらし得る。下記実施例14において示されるように、本発明のオーバーコートされるコーティング組成物における酸の欠如は現像されたレジスト画像の望ましくないT−トップを生じる可能性があり、それに対して本発明のオーバーコートされるコーティング組成物における酸源の含有は、画像化されたレジスト層の望ましい丸みを帯びた輪郭をもたらし得ることが見出された。
【0085】
好適な酸添加物は有機および無機酸の両方であり得る。例示的な酸添加物には、例えば、硝酸、硫酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸が含まれる。
【0086】
本発明のコーティング組成物における1以上の酸の好適な量は広範囲で変化することができ、簡単な試験(例えば、アンダーコートされ画像化されたフォトレジストの解像度を評価することにより)、並びに例えば酸のpKa、移動度およびサイズをはじめとする要素の考慮により、任意の個々の組成物について容易に最適化することができる。好適な酸装入レベルには、流体コーティング組成物の5重量パーセント未満、より好ましくは、流体コーティング組成物の1重量パーセント未満、さらにより好ましくは、流体コーティング組成物の0.5重量%未満、例えば、流体コーティング組成物の0.1〜0.4重量パーセント範囲内が含まれ得る。
【0087】
好適な酸発生剤化合物には光酸発生剤化合物および熱酸発生剤化合物が含まれる。例示的な熱酸発生剤化合物には、イオン性並びに実質的に中性の熱酸生成剤、例えば、アンモニウムアレンスルホネート塩の両方が含まれる。好適な熱酸発生剤化合物は、例えばKing Industriesから、商業的に入手可能である。コーティング組成物において用いるのに好適な光酸発生剤化合物には、オニウム塩、特に、ヨードニウムおよびスルホニウム化合物、例えば、フォトレジストに関して以下で論じられるものが含まれる。本発明のコーティング組成物において用いることができる例示的な酸発生剤化合物には、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパラ−トルエンスルホネート、アンモニウムカンファースルホネート、アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、アンモニウムトリフルオロオクタンスルホネート、アンモニウムトリフルオロブタンスルホネート、アンモニウムトリフルオロメチルベンゼンスルホネート、およびアンモニウムパラ−トルエンスルホネートが含まれる。フォトレジストと一緒に用いるための以下に同定される他の光酸発生剤化合物を本発明のオーバーコートされるコーティング組成物において用いることができる。用いられる場合には、1以上の酸生成剤がコーティング組成物中にそのコーティング組成物の乾燥成分(溶媒坦体を除くすべての成分)の合計の0.1〜10重量パーセント、より好ましくは、全乾燥成分の0.1〜2重量パーセントの濃度で好適に存在し得る。
【0088】
また、上で論じられたように、1以上の酸化合物および/または1以上のヘテロ置換ポリマーの添加が、本発明の組成物でオーバーコートされているフォトレジストのリソグラフィー処理の後に基体表面上に残留する望ましくない残留物を減少させるか、または有効に回避し得ることが見出された。好ましい酸添加物は、1以上のカルボン酸基を含む芳香族および非芳香族化合物、特に、1500または1000未満の分子量を有する化合物、例えば、マロン酸および上で論じられた他の酸である。好ましいヘテロ置換ポリマーには、ポリ(ビニルアルコール)をはじめとする、ヒドロキシル基を有するポリマーが含まれる。かかる酸およびポリマー添加物は、コーティング組成物の総重量を基準にして0.1重量パーセント〜10重量パーセント、より典型的には、コーティング組成物の総重量を基準にして約1重量パーセント〜5重量パーセントの量で好適に用いられる。かかる酸およびポリマー添加物を単一の組成物中で組み合わせて用いることも好適であり得る。
【0089】
オーバーコートされるコーティング組成物の配合
本発明のコーティング組成物は、上で論じられた粒子成分および/または1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムもしくは亜鉛化合物を含む成分を、水性組成物中で、任意に、上で論じられた1以上のさらなる添加物、すなわち、1以上の樹脂、1以上の界面活性剤、1以上の安定化剤、並びに/または1以上の酸および/もしくは酸発生剤化合物と共に、混合することによって容易に調製することができる。コーティング組成物が本発明の両態様を好適に、またはさらに好ましく含むことは理解されるはずである。すなわち、コーティング組成物が1)1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムもしくは亜鉛化合物を含む成分と、2)粒子成分との両方を含むことができ、またはコーティング組成物がケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/もしくは亜鉛含有物を有する粒子を含むことができることは理解されるべきである。
【0090】
コーティング組成物は、様々な濃度で配合することができ、総組成物重量を基準にして0.1〜30重量パーセント総固形分(水および任意の有機溶媒坦体を除くすべの成分)を含む水性組成物が好適であり、総組成物重量を基準にして1〜10重量パーセント総固形分、さらにまたは1〜3、4もしくは5重量パーセント総固形分を含む水性組成物がより好ましい。
【0091】
樹脂組成物添加物が用いられる場合、1以上の樹脂は、好ましくは、粒子成分および/または1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムもしくは亜鉛化合物を含む成分よりも低い重量パーセント量で用いられる。例えば、樹脂成分は、コーティング組成物中に存在する粒子成分および/または1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムもしくは亜鉛化合物を含む成分の重量に対して80、50、40、30、20、10もしくは5重量パーセントの量で好適に用いられ得る。しかしながら、所望であれば、より多くの相対量の樹脂成分を用いることもできる。
【0092】
任意の界面活性剤および安定化剤は、好適には、各々比較的少ない量、例えば、コーティング組成物の総重量を基準にして、0.001〜5重量パーセントで用いられ得る。界面活性剤は比較的少ない量、例えば、全流体コーティング組成物を基準にして、500ppm以下で好適に用いられ得る。
【0093】
フォトレジスト
様々なフォトレジスト組成物を本発明のコーティング組成物および方法と組み合わせて用いることができる。
【0094】
本発明に従って用いるのに好ましいフォトレジストには、ポジ型またはネガ型の化学増幅型フォトレジスト、すなわち、光酸促進架橋反応を受けて、そのレジストのコーティング層の露光領域を、非露光領域よりも現像液への可溶性を劣るものとするネガ型レジスト、および1以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けて、そのレジストのコーティング層の露光領域を非露光領域よりも水性現像液中でより可溶にするポジ型レジスト組成物が含まれる。エステル基であって、そのエステルのカルボキシル酸素に共有結合する三級非環状アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基が、しばしば、本発明のフォトレジストにおいて用いられる樹脂の好ましい光酸不安定基である。アセタール光酸不安定基も好ましい。
【0095】
好適なフォトレジストは、樹脂および光活性成分を含むことができる。好ましくは、この樹脂は、レジスト組成物にアルカリ性水性現像能力を付与する官能基を有する。例えば、極性官能基、例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシレートを含む樹脂結合剤が好ましい。好ましくは、樹脂成分は、レジスト組成物中に、そのレジストを水性アルカリ性溶液で現像可能とするのに十分な量で用いられる。
【0096】
200nmより長い波長、例えば248nm、での画像化に対しては、フェノール樹脂が典型的に好ましい。好ましいフェノール樹脂はポリ(ビニルフェノール)であり、これは対応するモノマーの触媒の存在下でのブロック重合、エマルジョン重合または溶液重合によって形成することができる。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノールは、例えば、商業的に入手可能なクマリンまたは置換クマリンの加水分解と、それに続く生じるヒドロキシケイ皮酸の脱炭酸によって調製することができる。有用なビニルフェノールは、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水によって、または置換もしくは非置換ヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸との反応から生じるヒドロキシケイ皮酸の脱炭酸によっても調製することができる。かかるビニルフェノールから調製される好ましいポリビニルフェノール樹脂は2,000〜60,000ダルトンの分子量範囲を有する。
【0097】
光活性成分と、フェノールおよび非フェノール単位の両者を含有するコポリマーを含む樹脂成分とを混合した状態で含有する化学増幅型フォトレジストも、200nmを上回る波長、例えば248nm、での画像化に好ましい。例えば、かかるコポリマーの好ましい群の1つは、実質的に、本質的に、または完全にコポリマーの非フェノール単位のみに酸不安定基、特には、アルキルアクリレート光酸不安定基を有し、すなわちフェノール性アルキルアクリレートコポリマーである。特に好ましいコポリマー結合剤の1つは、下記式の繰返し単位xおよびyを有する。
【0098】
【化2】

【0099】
式中、ヒドロキシル基はコポリマー全体を通してオルト、メタもしくはパラ位のいずれかに存在し、R’ は1〜18個の炭素原子、より典型的には1〜6ないし8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキルである。tert−ブチルが一般に好ましいR’ 基である。R’ 基は、任意に、例えば、1以上のハロゲン(特には、F、ClもしくはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニル等で置換されていてもよい。単位xおよびyはコポリマー中で規則正しく交互であっても、ポリマーを通して不規則に散在していてもよい。かかるコポリマーは容易に形成することができる。例えば、上記式の樹脂については、ビニルフェノールおよび置換もしくは非置換アルキルアクリレート、例えば、t−ブチルアクリレートを当該技術分野において知られているようにフリーラジカル条件下で縮合させることができる。アクリレート単位の置換エステル部分、すなわち、R’−O−C(=O)−部分は、樹脂の酸不安定基としての役目を果たし、その樹脂を含有するフォトレジストのコーティング層の露光で光酸誘導開裂を受ける。好ましくは、コポリマーは8,000〜50,000、より好ましくは、15,000〜30,000のMを、3以下の分子量分布、より好ましくは2以下の分子量分布で有する。非フェノール樹脂、例えば、アルキルアクリレート、例えば、t−ブチルアクリレートもしくはt−ブチルメタクリレートと、ビニル脂環式、例えば、ビニルノルボルナニルもしくはビニルシクロヘキサノール化合物とのコポリマーも本発明の組成物において樹脂結合剤として用いることができる。かかるコポリマーも前記フリーラジカル重合または他の公知手順によって調製することができ、実質的に、8,000〜50,000のMおよび3以下の分子量分布を有する。
【0100】
本発明のポジ型作用性化学増幅型フォトレジストにおいて用いるための、酸不安定脱保護性基を有する他の好ましい樹脂は、Shipley Companyの欧州特許出願公開第0829766A2(アセタールおよびケタール樹脂を有する樹脂)およびShipley Companyの欧州特許出願公開第EP0783136A2((1)スチレン;(2)ヒドロキシスチレン;および(3)酸不安定基、特にはアルキルアクリレート酸不安定基、例えば、t−ブチルアクリレートもしくはt−ブチルメタクリレートの単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。一般には、様々な酸不安定基、例えば、酸感受性エステル、カーボネート、エーテル、イミド等を有する樹脂が好適である。光酸不安定基は、ポリマー主鎖に組み込まれている酸不安定基を有する樹脂も用いることはできるが、より典型的には、ポリマー主鎖からペンダントする。
【0101】
200nm未満の波長、例えば193nm、での画像化に対しては、好ましくは、実質的に、本質的に、または全くフェニルまたは他の芳香族基を含まない1以上のポリマーを含有するフォトレジストが用いられる。例えば、200nm未満の画像化に対して、好ましいフォトレジストポリマーは、5モルパーセント未満の芳香族基、より好ましくは、1もしくは2モルパーセント未満の芳香族基、より好ましくは、0.1、0.02、0.04および0.08モルパーセント未満の芳香族基、さらにより好ましくは、0.01モルパーセント未満の芳香族基を含む。特に好ましいポリマーは芳香族基を全く含まない。芳香族基は200nm未満の放射線を高度に吸収し得るので、かかる短波長放射線で画像化されるフォトレジストにおいて用いられるポリマーには望ましいものではない。
【0102】
実質的に、または全く芳香族基を含まず、かつ光酸発生剤化合物(PAG)と共に配合して200nm未満画像化のためのフォトレジストを提供することができる、好適なポリマーは、欧州特許出願公開第EP930542A1号並びに米国特許第6,692,888号および第6,680,159号(すべてShipley Company)に開示される。
【0103】
実質的に、または全く芳香族基を含まない好適なポリマーは、アクリレート単位、例えば、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレートの重合によってもたらされ得るような光酸不安定性アクリレート単位;縮合非芳香族脂環式基、例えば、ノルボルネン化合物もしくは環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合によってもたらされ得るようなもの;無水物、例えば、無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の重合によってもたらされ得るようなものを好適に含む。
【0104】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸への暴露で硬化、架橋または固化する物質および本発明の光活性成分の混合物を含む。特に好ましいネガ型組成物は、樹脂結合剤、例えば、フェノール樹脂、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含有する。かかる組成物およびそれらの使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号並びにThackerayらの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂結合剤成分として用いるのに好ましいフェノール樹脂には、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、上で論じられたものが含まれる。好ましい架橋剤には、メラミンを含むアミンベースの物質、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質および尿素ベースの物質が含まれる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般にもっとも好ましい。かかる架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、メラミン樹脂はAmerican Cyanamidが商品名Cymel300、301および303で販売する。グリコールウリル樹脂はAmerican Cyanamidが商品名Cymel1170、1171、1172で販売し、尿素ベースの樹脂はBeetle60、65および80の商品名で販売され、ベンゾグアナミン樹脂は商品名Cymel1123および1125で販売される。
【0105】
200nm未満の波長、例えば193nm、での画像化については、好ましいネガ型フォトレジストがShipley Companyの国際公開WO03077029号に開示される。
【0106】
上でも論じられたように、オーバーコートされる本発明のコーティング組成物は、好適には、長波長の放射線、例えば、300nmおよび400nmより長い波長(365nm(I線)および436nm(G線)を含む)を有する画像化放射線で画像化されるフォトレジストと共に用いてもよい。かかる長波長画像化には、フェノール樹脂、例えば、ノボラック樹脂およびジアゾナフトキノン光活性化合物を含有するフォトレジストが好ましい。
【0107】
本発明のフォトレジストは他の物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加物には、化学線色素(actinic dye)および造影剤、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤(例えば、PAGをより長い波長、例えば、I線(すなわち、365nm)もしくはG線波長で用いるため)、等が含まれる。かかる任意の添加物は、典型的には、比較的高濃度(例えば、レジストの乾燥成分の総重量の5〜30重量パーセントの量)で存在し得る充填剤および色素を除いて、低濃度でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0108】
本発明のレジストの好ましい任意の添加物は、添加塩基、例えば、カプロラクタムであり、これは現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上することができる。この添加塩基は比較的少量、例えば、PAGに対して1〜10重量パーセント、より典型的には、1〜5重量パーセントで好適に用いられる。他の好適な塩基性添加物には、アンモニウムスルホネート塩、例えば、ピペリジニウムp−トルエンスルホネートおよびジシクロヘキシルアンモニウムp−トルエンスルホネート;アルキルアミン、例えば、トリプロピルアミンおよびドデシルアミン;アリールアミン、例えば、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、および2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが含まれる。
【0109】
本発明に従う有用なレジストの樹脂成分は、典型的には、露光されたレジストのコーティング層を、例えば水性アルカリ性溶液で、現像可能にするのに十分な量で用いられる。より詳細には、樹脂成分は、好適には、レジストの全固形分の50〜90重量パーセントを構成する。光活性成分は、レジストのコーティング層における潜像の生成を可能にするのに十分な量で存在する必要がある。より具体的には、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分の1〜40重量パーセントの量で存在する。典型的には、化学増幅型レジストには、より少量の光活性成分が好適である。
【0110】
本発明のレジスト組成物は光酸発生剤(すなわち、「PAG」)をも含み、これは、好適には、活性化放射線への露光の際にレジストのコーティング層に潜像を生成するのに十分な量で用いられる。193nmおよび248nm画像化での画像化に好ましいPAGには、イミドスルホネート、例えば、下記式の化合物が含まれる。
【0111】
【化3】

【0112】
式中、Rはショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特には、ペルフルオロオクタンスルホネートおよびペルフルオロノナンスルホネートである。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミドである。
【0113】
スルホネート化合物、特には、スルホネート塩も好適なPAGである。193nmおよび248nm画像化に好適な2種類の薬剤が以下のPAG1および2である。
【0114】
【化4】

【0115】
かかるスルホネート化合物は、上記PAG1の合成を詳述する欧州特許出願番号第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示されるように調製することができる。
【0116】
上に示されるカンファースルホネート基以外のアニオンと複合体化されている上記2種類のヨードニウム化合物も好適である。特に、好ましいアニオンには式RSOのものが含まれ、式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特には、ペルフルオロオクタンスルホネートおよびペルフルオロブタンスルホネートである。
【0117】
他の知られているPAGも、本発明に従って用いられるフォトレジストにおいて用いることができる。特に193nm画像化に対しては、向上された透明度をもたらすために、芳香族基を含まないPAG、例えば、上記イミドスルホネートが一般に好ましい。
【0118】
本発明のレジストの好ましい任意の添加物は添加塩基、特には、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、または乳酸テトラブチルアンモニウムであり、これは現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上させることができる。193nmで画像化されるレジストについて、好ましい添加塩基は、ヒンダートアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。添加塩基は、好適には、比較的少量、例えば、全固形分に対して0.03〜5重量パーセントで用いられる。
【0119】
本発明に従って用いられるフォトレジストは、他の任意の物質を含むこともできる。例えば、他の任意のフォトレジスト添加物には、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤等が含まれる。かかる任意の添加物は、典型的には、比較的高濃度(例えば、レジストの乾燥成分の総重量の5〜30重量パーセントの量)で存在し得る充填剤および色素を除いて、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0120】
本発明のネガ型フォトレジストは、典型的には、架橋成分を含有し、好ましくは、別個のレジスト成分として含有する。アミンベースの架橋剤、例えば、メラミン、例えば、Cymelメラミン樹脂が多くの場合好ましい。
【0121】
本発明に従って用いられるフォトレジストは、一般には、公知手順に従って調製される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;ラクテート、例えば、エチルラクテートもしくはメチルラクテート(エチルラクテートが好ましい);プロピオネート、特には、メチルプロピオネート、エチルプロピオネートおよびエチルエトキシプロピオネート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセテート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンに溶解することによって、コーティング組成物として調製することができる。典型的には、フォトレジストの固形分含有量は、フォトレジスト組成物の総重量の5〜35重量パーセントの間で変化する。かかる溶媒の混合物も好適である。
【0122】
リソグラフィー処理
液体フォトレジスト組成物は、基体に、例えば、回転、浸漬、ローラーコーティングまたは他の通常のコーティング技術によって適用することができる。スピンコーティングの場合、用いられる具体的な回転機器、溶液の粘度、スピンナーの速度および回転時間に基づいて、所望の膜厚が得られるようにコーティング溶液の固形分含有量を調整することができる。
【0123】
本発明に従って用いられるフォトレジスト組成物は、好適には、フォトレジストでのコーティングを含む処理において通常用いられる基体に適用される。例えば、組成物は、マイクロプロセッサおよび他の集積回路構成要素、例えば、液晶基板およびMEMS基板を製造するためのシリコンウェハ、または二酸化ケイ素でコートされたシリコンウェハ上に適用することができる。アルミニウム、酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英、銅、酸化インジウムスズ、ニッケル−鉄、In−P、Si−Ge、Si−C、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス基体も好適に用いられる。
【0124】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、加熱し、好ましくはフォトレジストコーティングが粘着性を失うまで溶媒を除去することにより乾燥させることができる。
【0125】
論じられたように、本発明のコーティング組成物は、フォトレジスト組成物層の上または全体に、浸漬コーティング、ローラーコーティング、スロットコーティング、スプレーコーティング、化学蒸着または、好ましくは、スピンコーティングををはじめとする様々な方法のいずれかによって好適に適用される。
【0126】
オーバーコートされた組成物層は、所望の場合には、熱処理によって乾燥させることができるが、かかるベーク工程は必要ではない。回転乾燥されてたコーティング層により良好な結果を達成できることが見出されている。
【0127】
上で論じられたように、好ましい本発明の適用されたコーティング組成物は、かかる回転乾燥の後を含めて、例えば、アルカリ性現像液組成物またはフッ化物塩組成物をはじめとする水性組成物で除去することができる。アルカリ性現像液の場合、金属を含まない水酸化物塩を用いることが好ましい。金属を含まない塩の典型的な例には、これらに限定されるものではないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムが含まれる。水性ベースの現像液の濃度は、典型的には0.26Nであるが、フォトレジスト膜の溶解速度を制御する必要性に応じて増加または減少させることができる。典型的なフッ化物塩には、これらに限定されるものではないが、フッ化水素アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはフッ化テトラアルキルアンモニウムが含まれる。フッ化物塩の典型的な濃度は1%未満、好ましくは、0.5%未満、より好ましくは、0.1%未満である。
【0128】
オーバーコートされた組成物層は、様々な乾燥(回転乾燥)層厚で適用することができる。組成物が最上反射防止層として、193nmで画像化されるアンダーコートされたレジストと共に用いられる場合、好ましい最上乾燥層厚には300〜400オングストロームが含まれ、350オングストローム層厚が特に好ましい。組成物が最上反射防止層として、248nmで画像化されるアンダーコートされたレジストと共に用いられる場合、好ましい最上層乾燥厚には400〜500オングストロームが含まれ、470オングストローム層厚が特に好ましい。組成物が最上反射防止層として、365nmで画像化されるアンダーコートされたレジスト共に用いられる場合、好ましい最上層乾燥厚には650〜750オングストロームが含まれ、700オングストローム膜厚が特に好ましい。
【0129】
次に、オーバーコートされたコーティング組成層を伴うフォトレジスト組成物層を、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に応じた、露光エネルギー(典型的には、1〜300mJ/cmの範囲)を有する活性化放射線に、好適に暴露しパターン化する。フォトレジストを活性化する放射線へのフォトレジスト組成物の露光に対する本明細書における言及は、その放射線が、例えば、フォトレジスト成分の反応が起こる(例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生成する)ことにより、フォトレジスト内に潜像を形成することができる能力を有することを示す。
【0130】
上で論じられたように、フォトレジスト組成物は、好ましくは、短い露光波長、特に、300nm未満および200nm未満の露光波長で光活性化され、248nmおよび193nm、並びにEUVおよび157nmが、特に好ましい露光波長である。より長い波長、例えば、365nmおよび436nmで画像化されるフォトレジストも好適である。
【0131】
オーバーコートされた組成物層を伴うフォトレジスト組成物層は、液浸リソグラフィー系、すなわち、露光ツール(特に、投射レンズ)とフォトレジストがコートされた基体との間の空間が液浸液、例えば、水または1以上の添加物(例えば、屈折率が高められた流体をもたらし得る硫酸セシウム)と混合された水、で占められている系において好適に露光されることもできる。好ましくは、液浸液(例えば、水)は気泡を回避するように処理されており、例えば、水を脱気してナノバブルを回避することができる。
【0132】
「液浸露光」または他の類似の用語への本明細書での言及は、露光ツールとコートされたフォトレジスト組成層との間に介在するそのような流体層(例えば、水または添加物を伴う水)を用いて露光が行われることを示す。
【0133】
露光の後、コートされた基体を、好ましくは、70℃〜160℃の範囲の温度でベークする。
【0134】
上で論じられたように、露光の後、並びに現像の前および/または後に、コートされた基体を、例えば1以上の添加物(例えばフッ化物化合物)を含有し得る水性組成物で、洗浄することができる。水性フッ化アンモニウム組成物が有用であり得る。洗浄溶液は、スピンコーティングによって、または他の手段によって好適に適用することができる。例えば、下記実施例11の手順を参照のこと。
【0135】
その後、オーバーコートされたコーティング組成物を伴うフォトレジスト層を、好ましくは、水性ベースの現像液、例えば、水酸化四級アンモニウム溶液、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液;様々なアミン溶液、好ましくは、0.26N水酸化テトラメチルアンモニウムでの処理によって現像する。一般には、現像は当該技術分野において認知されている手順に従う。
【0136】
基体上のフォトレジストコーティングの現像後、現像された基体を、レジストがない領域上について、例えば、当該技術分野において知られている手順に従った、レジストのない基体領域へのイオン注入または化学エッチングまたはメッキによって、選択的に処理することができる。マイクロエレクトロニック基体の製造、例えば、二酸化ケイ素ウェハの製造に対して、好適なエッチャントとしては、気体エッチャント、例えば、ハロゲンプラズマエッチャント、例えば、塩素もしくはフッ素ベースのエッチャント、例えば、プラズマ流として適用されるClもしくはCF/CHFエッチャントが挙げられる。かかる処理の後、公知の剥離手順を用いてレジストを処理された基体から除去することができる。
【実施例】
【0137】
実施例1:組成物の調製およびコーティング
本発明のコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.250重量%のポリ(ビニルアルコール)
2. 2.250重量%のコロイド状シリカ(20nm未満の直径を有する)
3. 97.500重量%の水。
【0138】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。
【0139】
実施例2:組成物の調製およびコーティング
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.500重量%のポリ(ビニルアルコール)
2. 2.000重量%のコロイド状シリカ(20nm未満の直径を有する)
3. 97.500重量%の水。
【0140】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティングの品質は良好であり、適用されたコーティング層全体にわたるコーティング層厚の変動は1パーセント未満であった。
【0141】
実施例3:組成物の調製およびリソグラフィー処理
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.469重量%のポリ(アクリル酸)
2. 2.211重量%のコロイド状シリカ(20nm未満の直径を有する)
3. 97.320重量%の水。
【0142】
この溶液は6.5のpHを有していた。この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。この試料は優れたコート品質を有していた。この膜の屈折率は、673nm波長で1.315であった。
【0143】
実施例4:組成物の調製およびリソグラフィー処理
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.17重量%のTamol963分散剤(35%)
2. 2.21重量%のコロイド状シリカ(20nm未満の直径を有する)
4. 97.62重量%の水。
【0144】
この溶液は6.5のpHを有していた。この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。この試料は優れたコート品質を有していた。この膜の屈折率は、673nm波長で1.314であった。
【0145】
実施例5:組成物の調製およびリソグラフィー処理
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.24重量%のポリアクリル酸
2. 2.21重量%のコロイド状シリカ
3. 0.001重量%のSurfynol440界面活性剤(100ppm)
4. 97.62重量%の水。
【0146】
この溶液は6.5のpHを有していた。この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。この試料は優れたコート品質を有していた。この膜の屈折率は、673nm波長で1.317であった。
【0147】
【表1】

【0148】
実施例6:組成物の調製およびコーティング
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
1. 0.17重量%のTamol963分散剤
2. 2.21重量%の15nmコロイド状シリカ
3. 0.001重量%のEnvirogenAE−01界面活性剤(アルキル二酸)(100ppm)
4. 97.62重量%の水。
【0149】
この組成物をシリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングする。
【0150】
実施例7:組成物の安定性を向上するためのpH調整
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 0.24重量%のポリアクリル酸
2. 2.21重量%の15nmコロイド状シリカ
3. 2.0重量%の硝酸
4. 0.03重量%の非イオン性界面活性剤
5. 97.62重量%の水。
【0151】
この溶液は2.5のpHを有していた。この組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。この試料は優れたコート品質を有していた。この膜の屈折率は673nm波長で1.317であった。
【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
実施例8:組成物の調製およびコーティング
本発明のコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 2.250重量%の15nmコロイド状ジルコニア(20nm未満の直径を有する)
2. 97.500重量%の水。
【0155】
この溶液は1未満のpHを有していた。この組成物をシリコンウェハ基体上にスピンコーティングした。この溶液をスピンコーティング技術によってシリコン基体上にコートする。この膜の屈折率は673nm波長で1.8であった。
【0156】
実施例9:組成物の調製およびコーティング
本発明のコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
1. 1.25重量%のコロイド状シリカ(20nm未満の直径を有するSiO
2. 1.25重量%のコロイド状ジルコニア(20nm未満の直径を有するZrO
3. 97.500重量%の水。
【0157】
この溶液は1未満pHを有していた。コロイド状混合物は安定である。この溶液をスピンコーティング技術によってシリコン基体上にコートする。
【0158】
実施例10:組成物の調製およびコーティング
本発明のコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
1. 0.5重量%のコロイド状酸化インジウム(20nm未満の直径を有するIn
2. 1.5重量%のコロイド状酸化スズ(20nm未満の直径を有するSnO
3. 97.500重量%の水。
【0159】
この溶液は安定である。この溶液をスピンコーティング技術によってシリコン基体上にコートする。
【0160】
【表4】

【0161】
実施例11.液浸リソグラフィー
実施例1のコーティング組成物を、脱保護性−メタクリレートベースの193nmポジ型フォトレジストのコーティング層が既に堆積されているシリコンウェハ上にスピンコーティングした。次に、そのフォトレジストを、液浸リソグラフィー系において、193nmの波長を有するパターン化された放射線で画像形成した。
【0162】
実施例12:欠陥の減少
248nm化学増幅型ポジ型フォトレジストをシリコンウェハ基体上にスピンコーティングし、コートされたウェハを真空ホットプレート上でソフトベークして溶媒を除去した。
【0163】
レジストをコートした1枚のウェハに、実施例1において開示される種類のコーティング組成物をスピンコーティングした。レジストをコートした別のウェハは、オーバーコートするコーティング組成物を適用しなかった。
【0164】
両ウェハを、パターン化した248nm放射線で露光して露光後ベークした後、水性アルカリ性現像液で現像した。実施例1において開示される種類の組成物でコートされているウェハは、コートされていないウェハよりも、現像後欠陥(識別可能な残留物)がより少ないことが示された。
【0165】
実施例13:最上組成物コーティング層のための代替除去処理
248nm化学増幅型ポジ型フォトレジストをシリコンウェハ基体上にスピンコーティングし、コートされたウェハを真空ホットプレート上でソフトベークして溶媒を除去した。
【0166】
実施例1において開示される種類のコーティング組成物をフォトレジスト層の最上部にスピンコーティングした。
【0167】
ウェハをパターン化された248nm放射線で露光して露光後ベークした後、5000ppmフッ化アンモニウム水溶液で処理して最上層を選択的に除去した。その後、レジストを水性アルカリ性現像液で通常に現像した。
【0168】
実施例14.酸添加の比較評価
3種類のコーティング組成物(コーティング組成物1、2および3と呼ぶ)を、コーティング組成物1においては硝酸を削除し、コーティング組成物2においては硝酸の代わりに0.05重量パーセント(全流体組成物重量を基準)のトリフルオロメチルベンゼンスルホン酸を用い、コーティング組成物3においては硝酸の代わりに0.5重量パーセント(全流体組成物重量を基準)のトリフルオロメチルベンゼンスルホン酸を用いたことを除いて、実施例7において上述されるものと同じ配合で調製した。
【0169】
248nm化学増幅ポジ型フォトレジストをシリコンウェハ基体上にスピンコーティングし、コートされたウェハを真空ホットプレートでソフトベークして溶媒を除去した。
【0170】
コーティング組成物1、2および3を別々のレジストコートしたウェハ上にスピンコーティングした。次に、それらのウェハをパターン化された248nm放射線で露光して露光後ベークした後、水性アルカリ性現像液で現像した。現像されたレジスト画像の走査電子顕微鏡写真を図1〜3に示す。図1は、コーティング組成物1でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。図2は、コーティング組成物2でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。図3は、コーティング組成物3でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。
【0171】
実施例15:カルボン酸添加物の使用での現像後欠陥の減少
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.013重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.080重量%のペルフルオロブタンスルホン酸
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
0.080重量%のマロン酸
2.650重量%の、20nm未満の平均粒子サイズを有するコロイド状シリカ
2.000重量%の1−プロパノール
95.150重量%の水。
【0172】
この組成物(「実施例組成物」)を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。次に、前記堆積を110℃/60秒でベークした後、0.26NのTMAH現像液で45秒間現像した。
【0173】
比較され得る組成物(「比較組成物」)を直上に記載される方法で調製したが、この比較組成物はマロン酸を含有していなかった。当該実施例組成物および当該比較例が用いられている処理された基体の走査電子顕微鏡分析は、マロン酸添加物を有する実施例組成物では基体表面上に大きな残留物が存在しないことを示し、それに対して比較組成物は複数の残留物を示した。
【0174】
実施例16〜33:酸添加物を有するさらなる組成物
上記実施例15の組成物に相当するが、マロン酸の代わりに、以下の添加物が個々の重量%で別々に添加された、本発明のさらなるコーティング組成物を調製する。
【0175】
【表5】

【0176】
実施例34:ポリマー(ポリ(ビニルアルコール))の使用による現像後欠陥の減少
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.013重量%〜0.080重量%のポリ(ビニルアルコール)、80%加水分解
0.080重量%のペルフルオロブタンスルホン酸
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
2.650重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2.000重量%の1−プロパノール
95.230重量%〜95.163重量%の水。
【0177】
配合された組成物を、シリコンウェハ基体に適用されている乾燥したフォトレジスト層上にスピンコーティングした。次に、前記堆積を110℃/60秒でベークした後、0.26NのTMAH現像液で45秒間現像した。
【0178】
ポリビニルアルコールの装入量を全固形分の0%から3%(溶液の0%〜0.080%)に増加することにより、処理されたウェハ基板の走査電子顕微鏡写真によって示した場合、現像後残留物を大幅に減少または排除することができる。
【0179】
実施例35:加水分解PVAによるコート品質の向上
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.053重量%のポリ(ビニルアルコール)、加水分解の程度可変
0.080重量%のペルフルオロブタンスルホン酸
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
0.080重量%のSurfynol−104
2.650重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2.000重量%の1−プロパノール
95.110重量%の水。
【0180】
上記溶液を下塗りされていないシリコンウェハ基体上にスピンコーティングした。走査電子顕微鏡分析により、ポリビニルアルコールの加水分解の程度の増加が、適用されたコーティングの品質を向上し、特に、より均一なコーティングが得られることが見出された。
【0181】
実施例36:表面改変シリカの調製
脱イオン水中6.3重量%固形分の溶液中の、水酸化アンモニウム(pH7.3)で安定化した6nmコロイド状シリカを様々な水溶性反応性シランで表面改変した。
【0182】
以下に示されるように、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパン−スルホン酸を表面改変剤として用いた。
【0183】
調製:100グラムの6.3重量%コロイド状シリカ溶液を3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパン−スルホン酸と様々な比で混合した。次に、生じた溶液を30℃に60時間加熱した。冷却すると同時に、生じた溶液を5重量%ポリ(エチレンオキシド)溶液、2000Mn、と1:1体積比で混合し、適合性を観察した。それらの溶液をシリコン基体にコーティングし、膜特性を観察した。
【0184】
【表6】

【0185】
【化5】

【0186】
実施例37:改変シリカを含有するコーティング組成物
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.013重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
0.080重量%のSurfynol−104
2.650重量%のコロイド状シリカ、スルホン酸改変(23重量%シラン)
2.000重量%の1−プロパノール
95.230重量%の水。
【0187】
改変シリカは上記実施例36において説明されるように調製した。この組成物溶液を、HMSD下塗りされたシリコンウェハ基体に適用されている乾燥したDUVフォトレジスト層上にスピンコーティングした。次に、前記堆積をASML/300DUVステッパで画像化した。露光の後、ウェハを110℃/60秒でベークし、次いで0.26NのTMAH現像液で45秒間現像した。その後、生じた400nm1:1ライン/スペース・パターンをSEM(走査電子顕微鏡写真)の下でスクリーニングした。このオーバーコーティング組成物の使用で、オーバーコーティング組成物の使用を含まない比較処理フォトレジストに比べて、パターン化されたフォトレジスト画像の解像度の向上が見られた。
【0188】
実施例38:さらなる表面改変シリカの調製
脱イオン水中の6.3%固形分溶液としての、水酸化アンモニウム(pH7.3)で安定化した6nmコロイド状シリカを様々な水溶性の反応性シランで表面改変した。
【0189】
以下に示されるようなメトキシ−ポリ(エチレンオキシド)−トリ(メトキシ)シラン、525Mwを表面改変剤として用いた。
【0190】
調製:100グラムの6.3重量%コロイド状シリカ溶液を上記シランと様々な比で混合した。次に、生じた溶液を40℃に60時間加熱した。冷却すると同時に、生じた溶液を5重量%ポリ(エチレンオキシド)溶液、2000Mnと1:1体積比で混合し、適合性を観察した。それらの溶液をシリコンウェハ基体上にもコートし、膜特性を観察した。
【0191】
【表7】

【0192】
【化6】

【0193】
実施例39:さらなる改変シリカを用いるコーティング組成物
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.013重量%のポリビニルアルコール
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
0.080重量%のSurfynol−104
2.650重量%のコロイド状シリカ、スルホン酸改変(22重量%シラン)
2.000重量%の1−プロパノール
95.230重量%の水。
【0194】
改変シリカは上記実施例38において説明されるように調製した。この組成物を、HMSD下塗りされたシリコンウェハ基体に適用されている乾燥したDUVフォトレジスト層上にスピンコーティングした。次に、上記堆積をASML/300DUVステッパ上で画像形成した。露光の後、ウェハを135℃/60秒でベークし、次いで0.26NのTMAH現像液で30秒間現像した。その後、生じた180nm 1:1トレンチ・パターンをSEMの下でスクリーニングした。このオーバーコーティング組成物の使用で、オーバーコーティング組成物の使用を含まない比較処理フォトレジストに比べて、パターン化フォトレジスト画像の解像度の向上が見られた。
【0195】
実施例40:高pHコーティング組成物
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製した:
0.013重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.080重量%のペルフルオロブタンスルホン酸
0.027重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
2.650重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2.000重量%の1−プロパノール
95.230重量%の水。
【0196】
この組成物(下記表においてはTARC組成物と呼ばれる)を数本の瓶内に分配した後、水酸化アンモニウムの希釈溶液(2.65重量%NHに等価)を様々なレベルで添加した。生じた処理済み組成物は、NH対全酸が1:1〜40:1モル比の範囲であった。
【0197】
これらの溶液を5重量%ポリ(エチレンオキシド)溶液、2000Mnと1:1体積比で混合し、適合性をチェックした。
【0198】
【表8】

【0199】
実施例41:高pH組成物の処理
上記実施例40において調製した組成物を、HMDS下塗りされたシリコンウェハ基体に適用されている乾燥したDUVフォトレジスト層上にスピンコーティングした。次に、このTARC/レジスト/Si膜堆積を110℃/60秒でベークし、酸にイオン結合するあらゆるアンモニアを除去した。その後、前記堆積をASML/300DUVステッパ上で画像形成した。露光の後、ウェハを135℃/60秒でベークし、次いで0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液で30秒間現像した。その後、生じた180nm 1:1トレンチ・パターンをSEMの下でスクリーニングした。
【0200】
実施例42〜50:本発明のさらなるコーティング組成物
実施例42
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のSurfynol−104
0.08重量%のトリフリック酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
97.19%の水。
この組成物のpHは2.8である。
【0201】
実施例43
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリビニルアルコール
0.05重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
0.08重量%のトリフリック酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
97.19重量%の水。
この組成物のpHは2.8である。
【0202】
実施例44
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のドデシルアンモニオプロパンスルホネート
0.08重量%のトリフリック酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
97.19重量%の水。
この組成物のpHは3.2である。
【0203】
実施例45
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(アクリル酸)
0.08重量%のp−トルエンスルホン酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
97.24重量%の水。
この組成物のpHは3.0である。
【0204】
実施例46
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(4−スチレンスルホン酸)
0.05重量%のドデシルベンゼンスルホン酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
97.27重量%の水。
この組成物のpHは2.6である。
【0205】
実施例47
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のSurfynol−104
0.08重量%のトリフリック酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2%のエタノール
95.19%の水。
この組成物のpHは2.8である。
【0206】
実施例48
本発明のさらなるコーティング組成物を、全組成物重量を基準にした以下の量で以下の成分を混合することによって調製する:
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のSurfynol−104
0.08重量%のペルフルオロブタンスルホン酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2重量%のエタノール
95.19重量%の水。
シリカは、配合前に、強酸IXカラムを通過させる。この組成物のpHは2.2である。
【0207】
実施例49
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のSurfynol−104
0.08重量%のトリフリック酸
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2重量%のエタノール
0.02重量%の水酸化アンモニウム
95.17重量%の水。
この組成物のpHは3.6である。
【0208】
実施例50
0.03重量%のポリ(ビニルアルコール)
0.05重量%のSurfynol−104
0.05重量%のジメチルベンゼンスルホニウム−ペルフルオロブタンスルホネート(光酸発生剤)
2.65重量%のコロイド状シリカ、20nm未満
2重量%のプロパノール
95.22重量%の水。
この組成物のpHは6.5である。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】コーティング組成物1でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。
【図2】コーティング組成物2でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。
【図3】コーティング組成物3でオーバーコートされたレジスト層から生成される、現像されたレジスト画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フォトレジスト組成物のコーティング層;
(b)前記フォトレジスト組成物上の、複数の粒子を含有する適用された水性組成物;
を含む、コートされた基体。
【請求項2】
(a)フォトレジスト組成物のコーティング層;
(b)前記フォトレジスト組成物上の、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む成分を含有する適用された水性組成物;
を含む、コートされた基体。
【請求項3】
(a)フォトレジスト組成物のコーティング層;
(b)前記フォトレジスト組成物上の、コロイド状シリカ、ハフニアおよび/またはジルコニアを含む組成物;
を含む、コートされた基体。
【請求項4】
成分が粒子を含む、請求項2のコートされた基体。
【請求項5】
フォトレジスト上の組成物が樹脂をさらに含む、請求項1、2または3のコートされた基体。
【請求項6】
電子装置基体の処理方法であって:
(a)基体上にフォトレジスト層を適用すること;
(b)前記フォトレジスト層上に、複数の粒子を含有する水性組成物を適用すること、
を含む方法。
【請求項7】
電子装置基体の処理方法であって:
(a)基体上にフォトレジスト層を適用すること;
(b)前記フォトレジスト層上に、1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムまたは亜鉛化合物を含む成分を含有する水性組成物を適用すること、
を含む方法。
【請求項8】
電子装置基体の処理方法であって:
(a)基体上にフォトレジスト層を適用すること;
(b)前記フォトレジスト層上に、コロイド状シリカ、ハフニアまたはジルコニアを含む水性組成物を適用すること、
を含む方法。
【請求項9】
フォトレジスト層を液浸露光することをさらに含む、請求項6、7または8の方法。
【請求項10】
水性アルカリ性現像液組成物で除去可能な水性コーティング組成物であって:
(i)1以上のケイ素、アンチモン、アルミニウム、イットリウム、セリウム、ランタン、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、インジウムおよび/または亜鉛を含有するコロイド状成分を含む複数の粒子;並びに
(ii)1以上の樹脂、
を含有する組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−337996(P2006−337996A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−125278(P2006−125278)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】