コーティング組成物

【課題】水溶性のコーティング剤ではコーティングできない撥水性の高い対象物、特に食品に適したコーティング組成物を提供する。
【解決手段】コーティング組成物に、ヒドロキシプロピルセルロース及びエタノールを含有する。ヒドロキシプロピルセルロースの好ましい粘度は、室温(25度)における2%粘度で、1mPa・S〜10万mPa・Sであり、さらに好ましくは前記粘度で30mPa・S以下であり、15mPa・S以下が特に好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースのコーティング組成物への添加量は、0.05〜10.0重量%程度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関する。詳細には、水溶性のコーティング剤ではコーティングできない撥水性の高い対象物、特に食品に適したコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシプロピルセルロースのコーティング剤としての用途は、例えば、食品の無糖コーティング法として、ソルビトールを基材として用い、被膜形成剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用することが知られている(特許文献1)。しかし、ナッツなどの撥水性の対象物(食品)に関しては均一にコーティングすることが難しかった。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−50847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、撥水性の高い表面を有する対象物、特に食品に対して均一にコーティングできる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、コーティング組成物に、ヒドロキシプロピルセルロースとエタノールを共存させることにより、撥水性の高い対象物、特に食品に対して均一にコーティングできることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明はヒドロキシプロピルセルロース及びエタノールを含有することを特徴とするコーティング組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、撥水性の高い表面を有する対象物、特に食品に対して均一にコーティングできるコーティング組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のコーティング組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースとエタノールを含有する液状の組成物であることを特徴とする。
【0009】
本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは、天然に広く存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性の水溶性セルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、室温(25度)時の2%粘度が1mPa・s〜10万mPa・s程度のものであるが、本発明では、中でも粘度の低いもの、具体的には、室温時の2%粘度30mPa・s以下、更に好ましくは、15mPa・s以下のものが好ましい。
【0010】
ヒドロキシプロピルセルロースのコーティング組成物への添加量は、0.05〜10.0重量%程度が配合される。好ましくは、0.1〜8.0重量%、更に好ましくは、1.0〜5.0重量%である。また、本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは商業上入手することができ、例えば、ハーキュリーズ社製のクルーセル(KLUCEL)GF、クルーセルJF、クルーセルLF、クルーセルEFなどを使用することができる。
【0011】
本発明で使用するエタノールは、商業上入手可能なものを使用できる。コーティング組成物に対するエタノールの配合量は、50〜99%程度を挙げることが出来る。なお、本発明の効果に悪影響を与えない限度において、水も併用しても良い。水の配合量については、エタノールより多くならない量で適宜配合して使用できる。
【0012】
本発明のコーティング組成物を使用して、表面の撥水性が高い対象物、好ましくは、このような性質を有する食品に適したコーティングを行うことが出来る。このような食品として、具体的にはナッツなどの表面の撥水性の高いものなどを挙げることが出来、従来の水溶性コーテイング組成物では被覆しにくかったものについて、良好にコーティングできることが特徴である。また、表面が撥水性の高い食品について均一にコーティングできることにより、このような食品にも、表面の光沢(ツヤ)付与効果や酸化防止、保存性向上などの効果が期待できる。更には、従来調味粉末などを表面に付着することが難しかった食品などにも、本発明のコーティング組成物で被覆した後、調味粉末を付着させることにより、粉末の表面付着性が向上するなどの利点も期待できる。
【0013】
コーティング組成物の調製方法としては、1〜30℃程度に調整された室温のエタノールにヒドロキシプロピルセルロースを添加し、5〜30分程度攪拌溶解して調製することが出来る。
【0014】
対象物へのコーティング方法としては、被覆(浸漬、噴霧、塗布等)する際、0〜30℃、好ましくは0〜10℃程度に保持しておくことが好ましい。当該温度で被覆を行うことにより、付着性がよく良好な被覆を行うことができる。
【0015】
なお、本発明のコーティング組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースとエタノールを併用することを特徴とするが、本発明の効果に悪影響を与えない限度において、必要に応じて、増粘剤、油脂、糖質、調味料、乳化剤、香料、色素などの他の原料を添加することができる。
【0016】
増粘剤としては、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギナン、トラガントガム、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、HMペクチン、LMペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、微結晶セルロース、大豆多糖類、ラムザンガム、ウエランガム、サイリウムシードガム、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム等のセルロース誘導体、等を挙げることができる。
【0017】
油脂としては、バター、生クリーム等の乳脂肪分、植物油脂あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から一種又は二種以上を併用することができる。植物油脂の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油を挙げることができる。
【0018】
糖質としては、砂糖の他には、例えば、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類をあげることができる。また、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等も添加してもよい。
【0019】
調味料としては、塩、砂糖、グリシン、グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系調味料や、クエン酸、酢酸などの有機酸類を挙げることができる。
【0020】
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル(蒸留モノグリセライド、反応モノグリセライド、ジ・トリグリセライド、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等)及び、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、ステアロイル乳酸塩(ナトリウムもしくはカルシウム)、ポリソルベート及び大豆レシチン、卵黄レシチン、酵素処理レシチン等を挙げることができる。また、ビタミン、カルシウム、鉄、DHAの栄養剤等を併用することも可能である。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。
【0022】
実施例1〜3:コーティング組成物の調製
ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel Nutra D:ハーキュリーズ社製、以下、「HPC」)1〜5部(表1に記載)と20℃に調整したエタノールを全量100部となるように添加し10分間攪拌溶解して、コーティング組成物を調製した。
【0023】
実施例4:コーティング組成物の調製
ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel Nutra D:ハーキュリーズ社製)3部と20℃に調整したエタノールを全量50部及び20℃に調整した水を全量100部となるように添加し10分間攪拌溶解して、コーティング組成物を調製した。
【0024】
比較例1:コーティング組成物の調製
ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel Nutra D:ハーキュリーズ社製)3部と20℃に調整した水を全量100部となるように添加し10分間攪拌溶解して、コーティング組成物を調製した。
【0025】
比較例2:コーテイング組成物の調製
ヒドロキシプロピルセルロースと同じ水溶性セルロースエーテル類として知られるメチルセルロースを使用したコーティング組成物を検討する。メチルセルロース(メトローズSM−15:信越化学工業株式会社製、以下、「MC」と言う)3部を20℃に調整したエタノールを全量100部となるように添加し10分間攪拌して、コーティング組成物を調製しようとしたが、MCはエタノールには溶解しないため、MC/エタノールコーティング組成物は調製できなかった。
【0026】
比較例3:コーテイング組成物の調製
コーティング剤に使用する多糖類として知られるプルランを使用したコーティング組成物を検討する。プルラン(プルランPF−20(微粉):林原株式会社製)3部を20℃に調整したエタノールを全量100部となるように添加し10分間攪拌して、コーティング組成物を調製しようとしたが、プルランはエタノールには溶解しないため、プルラン/エタノールコーティング組成物は調製できなかった。
【0027】
実験例1:ピーナッツコーティング
実施例1〜4及び比較例1〜2のコーティング組成物(液)を、外皮を剥いたピーナッツ表面に噴霧することによりコーティングを行った。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明により、水溶性のコーティング剤ではコーティングできない撥水性の高い対象物、特に食品に適したコーティング組成物を提供できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピルセルロース及びエタノールを含有することを特徴とするコーティング組成物。


【公開番号】特開2007−77242(P2007−77242A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265424(P2005−265424)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000175283)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (429)
【Fターム(参考)】