説明

コーティング組成物

【課題】滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面を造り出し、しかも光沢のある美しい美観を長く維持することができるコーティング組成物を提供する。
【解決手段】0.01〜20重量%のシリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方と、0.001〜10重量%の水及び界面活性剤からなる分散成分と、0.01〜10重量%のホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方とを含有するコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車塗装面などに適用されるコーティング組成物に関する。詳細には撥水性及び防汚性に優れ、かつ滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面を造り出し、しかも光沢のある美しい美観を長く維持することができるコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車塗装面に保護被膜を形成するコーティング組成物としては、表面を保護するワックスおよび樹脂から成る被膜成分と、艶出し効果をもたらすシリコーンオイル成分と、界面活性剤および水などの分散成分を含有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1の組成物における艶出し成分であるシリコーンオイルは定着性に乏しく、長期にわたって光沢などの美観を維持することが困難であった。また、該組成物において被膜成分として含まれるワックスには、美観を著しく損なう水アカの主成分である煤煙、排気ガスなどの汚れが付着しやすく、また一旦付着した汚れは落とし難く、このため、美観維持のために定期的なクリーナーワックスまたは水アカ落としクリーナなどによる煩雑なクリーニング作業が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−185579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者は、上記技術的課題に鑑み、鋭意研究の結果、ホウ酸化合物が、滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面を造り出し、しかも光沢のある美しい美観を長く維持することができる被膜形成に寄与することを発見し、この知見に基づいて、本発明を完成させるに至ったものである。
【0006】
本発明は、滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面を造り出し、しかも光沢のある美しい美観を長く維持することができるコーティング組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、シリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方と、
前記シリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方を分散させる分散成分と、
ホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方と、
を含有することを特徴とするコーティング組成物をその要旨とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコーティング組成物にあっては、該コーティング組成物を塗装表面に塗布したとき、分散成分によって該組成物中に分散されていたシリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方が塗装表面に艶のある防汚性に富む被膜を形成すると共に、ホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方が塗装表面上で結晶化してガラス様の被膜を形成するようになっている。この結果、滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面が造り出される。また、塗装表面はホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方から形成されるガラス様の被膜で保護されることから、その光沢のある美しい美観は長く維持される。
【0009】
また、ホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方から形成されるガラス様の被膜は、塗装表面の凹凸内に入り込んで形成されるため、キズ隠しとしての機能するようになる。
【0010】
また、ホウ酸化合物及びミョウバンのうちホウ酸化合物は弱アルカリ性を示す成分であるため、分散成分を構成する界面活性剤と共に洗浄効果があり、該コーティング組成物を塗装表面に塗布し、塗り延ばすときに、塗装表面の汚れを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコーティング組成物(以下、単に組成物という)を更に詳しく説明する。本発明の組成物は、例えば自動車の塗装面などに適用されるものであり、塗装表面に艶のある防汚性に富む被膜を形成する成分としてシリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0012】
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メチルハイドロジェン変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルから選ばれる1種若しくは2種以上の混合物などを用いることができる。一方、シリコーンレジンとしては、例えばメチルシリコーンレジン、フェニルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン、アルキッド変性シリコーンレジン、ポリエステル変性シリコーンレジン、アクリル変性シリコーンレジン、エポキシ変性シリコーンレジン及びフェノール変性シリコーンレジンから選ばれる1種若しくは2種以上の混合物などを用いることができる。上記シリコーンオイル及びシリコーンレジンの中でもジメチルシリコーンオイルは優れた艶出し性と共に耐熱性を有し、しかも安定性、入手容易性といった点から好ましい。
【0013】
シリコーンオイル及びシリコーンレジンの含有量としては、0.01〜20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、最適には0.5〜3重量%である。シリコーンオイル成分の含有量が0.01重量%を下回る場合、十分な艶出し性、防汚性を得ることができず、20重量%を超える場合には、超えた分だけの効果が期待できず、不経済となる。
【0014】
分散成分は水及び界面活性剤である。分散成分を構成する水としては特に限定されず、通常の水でよいが、塗装面の種類に応じて脱塩素水や超純水を用いることもできる。
【0015】
分散成分を構成する界面活性剤としては特に制限されず、例えば、石鹸類、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。
【0016】
石鹸類としては、例えば、アルカリ石鹸、金属石鹸、有機塩基石鹸などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
【0017】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、N−アルシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩などのカルボン酸型アニオン系界面活性剤、例えば、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン酸塩などのスルホン酸型アニオン系界面活性剤、例えば、アルキル硫酸エステル塩、油脂硫酸エステル塩などの硫酸エステル型アニオン系界面活性剤、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩などのリン酸型アニオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などのエーテル硫酸塩型アニオン系高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸型アニオン系高分子界面活性剤などが挙げられる。
【0018】
両イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルペダイン、アルキルβ−アラニンなどの両イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0019】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0020】
これら界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0021】
また分散成分の含有量としては、0.001〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜5.0重量%、最適には0.1〜2.重量%である。また分散成分中の界面活性剤は、本発明の組成物において、例えば0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%となるように配合するのが望ましい。このような界面活性剤の配合によって、塗装面に定着した油膜などの汚れに対する洗浄効率を向上させることができる。
【0022】
ホウ酸化合物としては、例えばメタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム五水和物、四ホウ酸ナトリウム十水和物、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム八水和物から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物などを挙げることができる。また、ミョウバンは、一般式M2SO4m2(SO43・24H2OまたはMm(SO42・12H2Oで表される複塩の総称であり、Mは1価の陽イオンで、Tl+、Cs+、Rb+、K+、Na+、NH4+が挙げられる。Mは3価の金属イオンで、Al3+、Ti3+、V3+、Cr3+、Mn3+、Fe3+、Co3+、Ga3+、In3+、Ir3+、Rh3+などが挙げられる。特に本発明の組成物では、MがK+でmがAl3+のタイプが一般的にミョウバンの他に、これを加熱して水分子を失った焼きミョウバンも好適に用いることができる。これらホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも1種は、上述の分散成分によって組成物中に分散されており、該組成物を塗装表面に塗布したとき、前述のシリコーンオイルが塗装表面に艶のある防汚性に富む被膜を形成すると共に、ホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも1種が塗装表面上で結晶化してガラス様の被膜を形成し、滑り性に優れ、光沢のある美しい塗装面が造り出される。また、塗装表面はホウ酸化合物やミョウバンから形成されるガラス様の被膜で保護されることから、その光沢のある美しい美観は長く維持されることになる。
【0023】
このような作用効果を奏するホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも一方の含有量としては、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜5重量%、最適には0.5〜3重量%である。ホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも1種の含有量が0.01重量%を下回る場合、十分な滑り性が確保されず、光沢のある美しい塗装面を造り出すことができず、塗装面にホウ酸化合物やミョウバン由来のガラス様の被膜が形成されない恐れが生じることになる。一方、ホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも1種の含有量が10重量%を上回る場合には、上回った分だけの効果が期待できず、不経済となる。
【0024】
また、本発明の組成物を2度、3度と塗装面に重ね塗りした場合、ホウ酸化合物やミョウバン由来のガラス様の被膜成分が塗装面上にキズなどの凹凸部内入り込み、塗装面にフラットな被膜を形成することから、キズ隠しとしての効果も奏することになる。また、組成物中のホウ酸化合物の場合は、これが弱アルカリ性を示すことから、前述の界面活性剤と共に優れた洗浄効果を発揮することになる。
【0025】
また本発明の組成物は、均一なコーティング被膜を形成させ、かつ塗布および拭取りなどの作業性の改善を目的として、微粉末を含む形態を採ることもできる。本発明の組成物に適用可能な微粉末としては、平均粒径が0.1〜50μmのものが好ましく、より好ましくは2〜30μmである。添加する微粉末の平均粒径が0.1μmを下回る場合、施工時の拭取り作業に困難を生じる恐れがあり、50μm以上では拭取り時に塗装表面にキズをつける恐れがあるからである。
【0026】
微粉末は、市販品として入手することが可能であり、例えばテクポリマー(積水化成品工業株式会社製、PMMA微粉末)、フロービーズCL2080(住友精化株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂粉末)、エポスターS(日本触媒製、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粉末〉、ASP200(BASF社製、カオリンクレー)、サイリシア470(富士シリア化学株式会社製、合成シリカ)、ラジオライト、マイクロファイン(昭和化学工業株式会社製、珪藻土)、ホワイトモランダムWA(昭和電工株式会社製、アルミナ)、MS−P(日本タルク株式会社製、タルク)が挙げられる。
【0027】
また微粉末には、施工済部分と未施工部分の区別、若しくは拭取り残しを防ぐために、顔料を添加したものも好適に使用することができる。市販品で入手可能なものとしては、例えばタフチックビーズAR650シリーズ(東洋紡社製、架橋アクリル樹脂粉末)、アートパールC−200、C−300、C−400、C−800(根上工業社製、架橋ウレタン微粉末)などが挙げられる。
【0028】
上記微粉末の中でも、粒径0.4〜10μmの無機材質より成る微粉末(以下、無機微粉末という)であって、モース硬度が3〜6であるものがより好ましい。例えば自動車塗装面などには水垢汚れ(所謂ウォータースポット)やピッチなどの汚れが付着している。これらの汚れは、塗装面に強固に付着しており、洗浄剤などによっても確実に除去することは困難である。これに対し、上記無機微粉末を用いた場合には、該組成物を塗装面に塗布し、塗り延ばしていく過程で該無機微粒子が塗装面を研磨し、塗装表面の汚れを落とし、且つ塗装表面の凸部を削り取り、後の拭取り作業で塗装表面から削り取られた汚れなどが除去されるため、塗布および拭取りという一連の作業で塗装面表面の汚れを確実に除去できるとの効果を奏する。
【0029】
無機微粉末の粒径及びモース硬度は、上記範囲を下回る場合には、十分な汚れの除去ができなくなり、無機微粉末の粒径及びモース硬度が上記範囲を上回る場合には、拭取り時に塗装表面にキズをつける恐れがある。
【0030】
このような無機微粉末としては、例えばASP200(BASF社製、カオリンクレー)、カオファイン(THIELE社製、白色クレー)などを挙げることができる。
【0031】
微粉末の添加量としては、該組成物100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では、拭取り作業の向上に効果を発揮できず、30重量部を超えると、均一な被膜ができない恐れがあるからである。
【0032】
微粉末として無機微粉末を用いる場合は、該組成物100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましい。というのは1重量部を下回る場合、塗布及び拭取りという一連の作業で塗装表面の汚れを確実に除去できる効果を十分に発揮できず、20重量部を超えると、均一な被膜ができない恐れがあるからである。
【0033】
本発明の組成物は、防汚性の向上、並びに該組成物における上記微粉末の沈降速度を低下させることを目的として、親有機層状粘土鉱物を含む形態を採ることもできる。本発明の組成物に適用する親有機層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。
【0034】
親有機層状粘土鉱物の親有機化処理方法としては、層表面修飾、端面修飾またはそれらの複合処理が挙げられる。さらに有機処理材料としては、4級アンモニウムイオン、アニオン系ポリマー、アルキルトリアルコキシシラン、カルボキシビニルポリマーおよび高極性有機溶剤などが挙げられる。
【0035】
親有機層状粘土鉱物の添加量としては、該組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。親有機層状粘土鉱物の添加量が0.01重量部以下の場合、防汚性の向上効果及び沈降防止効果が低く、10重量部を超える場合には、拭取り作業性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0036】
本発明の組成物を自動車の塗装面に塗布する場合には、該紺成物をスポンジまたは布に含浸させ、塗装表面を擦るなどの方法を用いることができる。なお、塗布方法は、たとえぼ刷毛塗り、エアゾールスプレーでのコーティングなど、その目的および用途により選択することができる。
【0037】
尚、本発明の組成物は、例えば上記成分の他に、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防かび剤、抗菌剤、防腐剤等の添加剤を添加するなど、特許請求の範囲に記載された範囲内で自由に変更することができる。
【実施例】
【0038】
下記表1に実施例1〜4並びに比較例1及び2の各組成物の組成を示し、同じく表1には、各組成物の光沢、防汚性及び滑り性の評価結果を示した。
【0039】
光沢の評価
光沢の評価は、JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片を、珪藻土を用いて光沢度を60±5に調整したものを試験片とする。試験片に各組成物をスポンジで塗布し、その外観を評価する。その評価基準としては、光沢がある場合は○、やや光沢がない場合は□、光沢がほとんどない場合は×とした。
【0040】
防汚性(汚れ除去性)の評価
各組成物をJIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される白色試験片にウレタンスポンジにて均一に塗布する。表面が乾燥した後に清浄な布を用いて表面を拭き取ったものを試験片とする。さらに1日乾燥させたのち、それぞれの試験片をカラーテスターHC−1(スガ試験機株式会社製)により、白色度を測定し、その値を初期白色度とする。
【0041】
汚染物質として、カーボンブラックFW−200(ホルベイン工業社製、粒径:0.002〜0.028μm)5重量部、水95重量部中に均一に分散し、エアスプレー(エア圧0.4〜0.5MPa)で、試験片の表面を均一に塗布する。
【0042】
試験片を60℃で1時間乾燥させ、汚染物質を焼き付けた後、室温まで放冷する。放冷後、流水下にて、試験片表面に付着した汚染物質を、ガーゼなど柔らかい布で擦りながら洗浄する。これを1サイクルとする。試験片より水分を取り除いた後、カラーテスターHC−1(スガ試験機株式会社製)により、白色度を測定し、洗浄後白色度とする。汚れ除去性の初期性能は上記試験1サイクル実施時の測定値を評価対象とする。
【0043】
評価甚準
汚れ除去性は以下の式で求める。
汚れ除去性 = 初期白色度−洗浄後白色度
【0044】
汚れ除去性の評価基準は、下記の通りとする。
○: 0 ≦ 汚れ除去性 < 1.0
□:1.0≦ 汚れ除去性 < 3.0
△:3.0≦ 汚れ除去性 < 5.0
×:5.0≦ 汚れ除去性
【0045】
滑り性の評価
滑り性の評価は、自動車のボンネットをポリッシャーで研磨する。各組成物をスポンジにて塗布し、室温で10分間乾燥させる。官能評価により滑り性を評価する。滑り性が優れる場合は○、やや劣る場合は△、滑り性が悪い場合は×とした。
【0046】
【表1】

【0047】
表1から、ホウ酸化合物又はミョウバンのいずれも含まない比較例1の組成物、並びにホウ酸化合物のみを含む比較例2の組成物は、いずれも光沢、防汚性及び滑り性を満足するものでないのに対し、ホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方と、シリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方と、分散成分とを含む実施例1〜4の各組成物の場合、いずれも光沢、防汚性及び滑り性に優れる評価結果となり、本発明の組成物が、滑り性に優れており、光沢のある美しい塗装面を造り出し、しかも光沢のある美しい美観を長く維持することができることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方と、
前記シリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方を分散させる分散成分と、
ホウ酸化合物及びミョウバンのうちの少なくとも一方と、
を含有することを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
0.01〜20重量%のシリコーンオイル及びシリコーンレジンのうちの少なくとも一方と、0.001〜10重量%の分散成分と、0.01〜10重量%のホウ酸化合物及びミョウバンのうち少なくとも一方とを配合することで得られることを特徴とする請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
シリコーンオイルが、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メチルハイドロジェン変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルから選ばれる1種若しくは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
シリコーンレジンが、メチルシリコーンレジン、フェニルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン、アルキッド変性シリコーンレジン、ポリエステル変性シリコーンレジン、アクリル変性シリコーンレジン、エポキシ変性シリコーンレジン及びフェノール変性シリコーンレジンから選ばれる1種若しくは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
分散成分が水及び界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項6】
ホウ酸化合物が、メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム五水和物、四ホウ酸ナトリウム十水和物、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム八水和物から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項7】
ミョウバンが、カリウムミョウバン、焼きミョウバンから選ばれる1種若しくは2種以上の混合物からなるを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項8】
平均粒径0.1〜50μmの微粉末をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項9】
微粉末の含有量が、シリコーンオイル100重量部に対して0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項8に記載のコーティング組成物。

【公開番号】特開2012−224667(P2012−224667A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90981(P2011−90981)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】