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コーティング装置及びその方法
説明

コーティング装置及びその方法

【課題】噴射ノズルが劣化してもその劣化を監視してコールドスプレー品質が低下する前に、確実にノズルを清掃又は交換する。
【解決手段】コーティング装置は、金属粉末を被加工物1に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング装置において、コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル3内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価値を算出する算出手段11と、算出されたノズル評価値を表示する評価結果表示手段12と、算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したことを示す設定値到達表示手段13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粉末を被加工物に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アルミニウムのような軟質材料の粉末を噴射するときにはノズルの侵食は少ないが、ステンレス鋼のように比較的硬い粉末を噴射するときはノズルの侵食がアルミニウムの場合より大きくなる。
【0003】
この硬い粉末を噴射するときにはノズルの劣化が避けられず、ノズルの劣化により噴射速度が低下したり、粉末の付着効率が低下したりして皮膜の品質が低下する恐れがある。
【0004】
このノズルの劣化を防止するために、ノズルの材質をポリベンゾイミダゾールにすることにより、金属粉末のノズルへの付着や詰りを減少させ、コールドスプレーシステムの故障をなくしかつノズル補修が不要とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、噴射ノズルの材質を、現状のプラスチック材料中において最高の耐熱性と耐摩耗性を有するポリベンゾイミダゾール(PBI)とし、主にアルミニウム粉末をスプレーした場合、ノズルへの粉末の付着とノズルの詰りを防止している。上記プラスチック材料は、高温での耐摩耗特性に優れるが、金属材料やセラミックス材料と比較すると劣化する部分がある。このために、アルミニウム粉末以外の材料のスプレーに対するノズルの耐久性に関しては言及されていない。
【特許文献1】特開2004−298863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のコーティング装置においては、ノズルの材質をポリベンゾイミダゾールにすることにより、金属粉末のノズルへの付着や詰りを減少させ、コールドスプレーシステムの故障をなくしかつノズル補修を不要としている。ここでは、主にアルミニウム粉末をスプレーしたときに、ノズルへの粉末の付着とノズルの詰りを防止している。
【0006】
しかし、この現状のプラスチック材料中において最高の耐熱性と耐摩耗性を有するポリベンゾイミダゾールを用いても硬い粉末を噴射するときには、ノズルの劣化が避けられず、ノズルの劣化により噴射速度が低下したり、粉末の付着効率が低下したりして、皮膜の品質が低下する、という課題があった。
【0007】
これを防止するために、上記ノズルを清掃あるいは交換すればよい。
【0008】
しかしながら、この交換時期に関しては明確な指標がなく、またその清掃や交換を怠ってしまう恐れがある、という課題があった。また、上記ノズルの清掃や交換に関しては、コールドスプレーを行う作業者や作業管理者が、その経験や実績を基に独自の判断で実施している。このため、上記ノズルの清掃や交換に関しては、各々の作業者や作業管理者によりばらつきがあり、客観性や確実性に課題があった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、コールドスプレー粉末の高速噴射により漸次ノズルが劣化してもその劣化を監視してコールドスプレー品質が低下する前に、確実にノズルを清掃又は交換することができるコーティング装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のコーティング装置においては、金属粉末を被加工物に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング装置において、前記コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価値を算出する算出手段と、この算出されたノズル評価値を表示する評価結果表示手段と、前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したことを示す設定値到達表示手段と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明のコーティング方法においては、金属粉末を被加工物に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング方法において、前記コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価値を算出する算出ステップと、この算出されたノズル評価値を表示する評価結果表示ステップと、前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したことを示す設定値到達表示ステップと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコーティング装置及びその方法によれば、噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価する評価手段を備えることにより、コールドスプレー粉末の高速噴射により漸次ノズルが劣化してもその劣化を監視してコールドスプレー品質が低下する前に、確実にノズルを清掃または交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るコーティング装置及びその方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態のコーティング装置の概略構成を示す構成図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態のコーティング方法の工程を示すフロー図である。
【0015】
本実施の形態においては、一例として、ステンレス鋼SUS316の板に、ステンレス鋼SUS316粉末をコーティングするコールドスプレー装置とその方法を対象とする。
【0016】
図1に示すように、被コーティング材1は重量計2に載置されている。この被コーティング材1の上方に噴射ノズル3が設置されている。ここでの噴射ノズル3は、粉末選択ユニット4に接続されている。この粉末選択ユニット4を介して、第1の粉末供給器5、第2の粉末供給器6及び第3の粉末供給器7からの噴射粉8を選択して噴射可能である。
【0017】
ここでは、第1の粉末供給器5と第2粉末供給器6にステンレス鋼SUS316の粉末が貯溜され、第3の粉末供給器7にはステンレス鋼SUS316より硬質の炭化ケイ素粉末が貯溜されている。
【0018】
この粉末には、一例として、粒径5〜100μm程度の球形のものを用いたが塊状のものを用いても良い。噴射ガスには200〜500℃に予熱した窒素又は水素を用いた。このガスと共に噴射される上記粉末もほぼこの温度に予熱された状態で噴射される。ここでのガス圧力は2〜5MPaである。
【0019】
上記粉末選択ユニット4は、コールドスプレー制御装置9の主要なユニットであるノズル内壁の状態を評価するノズル内壁状態評価ユニット10に接続されている。
【0020】
このノズル内壁状態評価ユニット10には、上記コーティング条件を収集し、記憶しかつ算出するコーティング条件収集・記憶・算出ユニット11が設けられている。また、上記コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価して結果を表示する評価結果表示部12も設けられている。さらに、上記噴射ノズル3のコーティングを評価した結果が予め設定された値に達したことを示す設定値到達表示部13が設けられている。また、噴射ノズル3のコーティングの中断状況を表示するコーティング中断表示部14が設けられている。さらに、噴射ノズル3の交換情報を表示するノズル交換表示部15が設けられている。
【0021】
また、このコールドスプレー制御装置9には、新ノズル16が格納されているノズル交換ユニット17が接続されている。また、使用ノズル18が格納されている清掃ユニット19が接続されている。さらに、使用ノズル18の清掃状態を確認する清掃確認ユニット20が接続されている。
【0022】
このように構成された本実施の形態のコーティング方法の工程を、図2も参照しながら説明する。
【0023】
まず、通常のコールドスプレーと同様にコーティングを開始する(S11)。このコーティング(S12)中は、コーティング条件収集・記憶・算出ユニット11により、コーティング材料M、コーティング圧力P、コーティング時間t及びコーティング温度Tのモニター値が収集・記憶される(S13)。そして、このモニター値により噴射ノズル3の内壁への粉末付着状態の評価値(以下、ノズル評価値Nという。)が算出される。このノズル評価値Nが評価結果表示部12に表示される(S14)。
【0024】
このノズル評価値Nの算出には種々の方法が考えられる。例えばここでは、以下の(1)式が示すように、蓄積したデータを基に作成したノズル評価値Nは算出される。
N=F(M,P,t,T)=(aP+bT)×t×M (1)
ここに、a,b:装置やノズルの形状・寸法により決定される定数、M:コーティング材料により決定される値で、同一の条件でノズルに付着しやすいものほど大きい値が与えられる。
【0025】
例えば、SUS316粉末の材料係数Mを1とすると、アルミニウム粉末のMは2〜10程度になる。つまり、SUS粉末と比較してアルミニウム粉末は2〜10倍ノズル内壁に付着しやすいということを示している。この値は経験や実績データから求めたものである。アルミニウム粉末のM値に幅があるのは、粉末粒径や形状に影響されるからである。a,bは通常正の値で、圧力、温度が高いほどノズル評価値Nは大きくなる。また、この算出式(1)は、M,P,t,Tの影響が独立であるとしているが、各々の値が関連してノズル評価値を算出するような複雑な関数を用いることもできる。さらには、M,P,t,Tについて独立したノズル評価値Nを定め、一つのモニター値または二つ以上を関連させた値をノズル評価値Nとして定めることも可能である。このようにして算出されたノズル評価値Nは、評価結果表示部12に表示される。デジタル値の表示又はある数値範囲を色で分類した表示を行う。
【0026】
さらに、経験や実績データを基にノズル評価値Nとノズル内壁の状態を関連付けておき、ノズルの清掃又はノズルの交換を行うタイミングのノズル評価値Nに係る設定値を予め設定しておく(S15)。例えば、本実施の形態では、清掃を行う場合のノズル評価に係る設定値N=50、清掃せずに交換を行う場合のノズル評価に係る設定値N=100と設定した(a=1、b=0.01、M=1)。
【0027】
上記ノズル内壁状態評価ユニット10では、このノズル評価値Nがこれらの予め設定した設定値に到達したかどうかを監視している。ノズル評価値N=50に達した時点(「Y」)で設定値到達表示部13に表示される。同時に、噴射ノズル3によるコーティングが中断され、コーティング中断表示部14に中断していることが表示される。なお、コーティングプログラム途中で中断すると、そのコーティング部品は製品としての価値が低下する。このために、プログラム途中で設定値に到達すると予測される場合は、設定値に到達する前でもプログラムは起動せず、設定値到達表示部13には到達の表示がされ、コーティング中断表示部14には中断の表示がされコーティングが中断される。
【0028】
ここで、噴射ノズル3を清掃するか交換するかを選択する(S16)。
【0029】
この「清掃」を選択した場合は、すなわち、「交換」の「N」を選択した場合は(S17)、上記噴射ノズル3は清掃ユニット19に移動され(S18)、清掃が行われる(S19)。この清掃は機械加工、硬質粉末噴射等により行われる。硬質粉末噴射の場合は、第3の粉末供給器7から硬質粉末を噴射し、噴射ノズル3の内壁に付着した粉末を削り落とすものである。この清掃に後に、噴射ノズル3は清掃確認ユニット20内に移管される。この清掃確認ユニット20内で、光学的な方法又は基準太さのゲージの挿入等により噴射ノズル3の内径が測定される(S20)。この噴射ノズル3が所定の内径まで清掃されれば(「Y」) (S21)、設定値到達表示部13やコーティング中断表示部14の表示が解除され、再びコーティングが可能となる(S27)。この噴射ノズル3が所定の内径まで清掃されていないときは(「N」) (S21)、この噴射ノズル3は、繰り返し清掃が行われる(S19)。
【0030】
次に、「交換」の「Y」を選択した場合は(S17)、設定値到達表示部13やコーティング中断表示部14の表示が解除され、次の交換到達までコーティングが可能となる。
【0031】
この場合、ノズル評価値Nが交換の設定値に到達すると、ノズル交換表示部15においてノズル交換表示され、コーティング中断表示部14においてコーティング中断が表示されコーティングが中断する。
【0032】
ここで、交換の手動・自動選択をする(S22)。手動選択の場合は、すなわち、「自動」の「N」を選択した場合は(S23)、装置を安全な状態に切り替え、手動でノズルを交換し更に交換表示をリセットする。「自動」の「Y」を選択した場合は、自動ボタンを押すと、ノズル交換ユニット17に移動し(S24)、使用ノズル18は清掃ユニット19に格納され、新ノズル16が取り付けられる(S25)。この後、噴射ノズル3は所定の位置に戻り、ノズル交換表示部15やコーティング中断表示部14の表示が解除され交換・中断表示がリセットされる(S26)。この後、再びコーティングが可能となる(S27)。
【0033】
清掃ユニット19に格納された使用ノズル18は、使用途中で清掃されるノズルと同様に清掃・検査され、再使用可能な状態まで清掃されれば再使用される(S27)。また規定回数清掃してもノズル内径が規定値まで回復しない場合は、再使用不可ノズルとして廃棄される。
【0034】
なお、ここではコールドスプレーに関して説明したが、高速フレーム溶射(HVOF: High Velocity Oxy−Fuel)のように噴射粉末の温度を低めにして速度を増した溶射プロセス又はこれよりさらにコールドスプレーに近いウォームスプレー等のコーティングプロセスにおいても、本実施の形態と同様の構成、方法や工程により、同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
また、説明を容易にするために板へのコーティングで本実施の形態を説明したが、原子力発電用の原子炉炉内構造物のシュラウド等炉本体、炉内構造物又は配管の内外面、火力・水力等他の発電プラントを構成する金属材料表面のコーティングに適用した場合は、本実施例の効果が顕著に表れる。それは、これら対象物が大型で、コーティング面積が広く、コーティングが連続して長時間行われることが多いためである。このような場合にこそ、噴射ノズル3の状態を常に最適に保つために、本発明の装置と方法による効果が発揮されるものである。
【0036】
このような長時間コーティングする場合は、噴射ノズル3を複数設けておき、使用中の噴射ノズル3が清掃・交換状態と判断された際には、他の噴射ノズル3でコーティングを継続しながら、使用ノズルの清掃・交換を行うようにすれば、コーティング作業を中断することがなく、継続して行える。
【0037】
本実施の形態によれば、噴射ノズル3の内壁への粉末付着状態を評価してノズル評価値Nが算出され、評価結果表示部12に表示される。また、ノズル評価値Nが予め設定した設定値に到達したことを表示して、噴射ノズル3の清掃・交換を促し、実際にノズルの清掃・交換を行う。噴射ノズル3の清掃・交換した後で、使用ノズルの内壁を再生利用状態にしてコーティングを継続する。かくして、噴射ノズル3から噴射される粉末の飛行速度や量を適正な範囲内に保つことができ、コーティング歩留まりとコーティング品質を高いレベルで安定化させることができる。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施の形態のノズルの処理方法を示すフロー図である。本図を用いて、ノズルの清掃と交換に関して説明する。
【0039】
本図に示すように、第1の実施の形態と同様にノズル評価値Nが清掃の設定値に到達した場合に(S31)(図2中のS15に対応)、ノズル3の清掃を行う(S32)。このときに、オンラインで清掃を行う場合(S33)とオフラインで清掃を行う場合(S34)とに分類される。
【0040】
オンラインで清掃を行う場合(S33)は、コーティングを中断したまま清掃を行い、清掃が完了した時点でコーティングを再開する方法、一旦別のノズルに仮交換しコーティングをすぐに再開すると共に、外したノズルを清掃する方法がある。
【0041】
オフラインで清掃を行う場合(S34)は、一旦別のノズルに仮交換しコーティングをすぐに再開する。取り外した使用ノズルは集積しておき、コーティング装置とは別の装置で清掃を行う。
【0042】
一方、ノズル評価値Nが清掃設定値を超過して交換設定値までに到達した場合は、噴射ノズル3を交換する(S35)。このときに、交換した使用ノズル18は廃棄する方法、清掃して再使用する方法(S36)、ノズルに堆積した粉末材料よっては硬質粉末のコーティングに使用する方法(S37)等により処理される。この硬質粉末のコーティングに使用する場合(S37)は、より硬質の粉末の噴射に用いることにより、その噴射初期段階で、以前に付着した粉末を削り取ることができる。この場合の噴射初期段階の噴射粉には、前回使用した粉末材料が混入されるので、ダミー板等にこれを付着させ混入粉がなくなった後で、実際の被コーティング材にコーティングを行うようにする。
【0043】
本実施の形態によれば、使用ノズルの使用状況により、ノズルの清掃・交換時期、清掃方法及び交換したノズルの再使用方法を適切に選択して対処することができる。かくして、使用ノズルを有効に利用でき、ノズル製作に伴う費用の軽減を図ることができる。
【0044】
図4は、本発明の第3の実施の形態のコーティング装置の概略構成を示す構成図であり、図5は、本発明の第3の実施の形態のコーティング方法の工程を示すフロー図であり、図6は、本発明の第3の実施の形態のコーティング装置の変形例の説明図で、(a)はその構成図であり、(b)はその噴射ノズルの噴射状態を示す縦断面図である。本実施の形態は、基本的には第1の実施の形態と同様であるが、噴射ノズルの内壁への粉末付着状態のノズル評価値として、粉末の付着効率を用いている。
【0045】
図4に示すように、被コーティング材1は重量計2に載置されている。この被コーティング材1の上方に噴射ノズル3が設置されている。ここでの噴射ノズル3は、粉末選択ユニット4に接続されている。この粉末選択ユニット4を介して、第1の粉末供給器5、第2の粉末供給器6及び第3の粉末供給器7からの噴射粉8を選択して噴射可能である。ここでは、第1の粉末供給器5と第2粉末供給器6にステンレス鋼SUS316の粉末が貯溜され、第3の粉末供給器7にはステンレス鋼SUS316より硬質の炭化ケイ素粉末等が貯溜されている。また、この粉末選択ユニット4は、コールドスプレー制御装置9に接続されている。上記噴射ノズル3は、別に設けたダミー板21に移動できるようになっている。このダミー板21も、重量計2に載置されている。
【0046】
このように構成された本実施の形態において、コーティングプログラムが終了する毎に又は設定した時間経過毎(S41)に、このコーティングは中段され(S42)、噴射ノズル3はダミー板21上に移動される(S43)。このダミー板21上において、この噴射ノズル3に一定時間コーティング粉末が噴射される。この噴射の終了の後で、重量計2により付着した粉末量を測定すると共に、噴射した全粉末量と比較し、付着効率を算出する。この付着効率が新品ノズルと同等か又は予め設定した値以上の場合は、噴射ノズル3は被コーティング材1上に戻され、コーティングが再開される。
【0047】
上述の算出した付着効率が設定した値より小さい場合は、第3の粉末供給器7内の硬質粉末(炭化ケイ素、アルミナ、タングステン等)に切り替えて(S44)、噴射ノズル3から噴射粉8を一定時間噴射させ、噴射ノズル3に付着した粉末を削り落とす(S45)。この粉末を削り落とした後で、第1の粉末供給器5からコーティング用の粉末を一定時間噴射させて付着効率を算出する(S46)。この付着効率が設定値以上になるまでこれを繰返し、噴射ノズル3の内部を清掃する(S47)。
【0048】
上術の噴射ノズル3の付着効率の算出は、図6(a)に示す装置を用いて行われる。本図に示すように、被コーティング材1の上方に噴射ガン用ノズル3aが設置されている。この噴射ガン用ノズル3aには、粉末紛8を供給する粉末供給ユニット22が接続され、噴射した粉末紛8が回収される粉末回収ユニット23に接続されている。この粉末供給ユニット22と粉末回収ユニット23には、噴射ガン用ノズル3aに付着した粉末量を測定すると共に噴射した全粉末量と比較して付着効率を算出する付着効率算出ユニット24が接続されている。この付着効率算出ユニット24はコーティング制御ユニット25が接続され、コーティング状態が制御される。
【0049】
この付着効率算出に関連して、噴射ガン用ノズル3aの詳細について図6(b)を用いて説明する。この噴射ガン用ノズル3a内部は、圧縮部26、噴射部27及び回収通路28から形成されている。この噴射ガン用ノズル3aの下部には、飛行粉末29、その周囲に飛散粉末30が存在する。この飛行粉末29が被コーティング材1に衝突してコーティング層31を形成している。
【0050】
一方、回収通路28内は、吸引された状態にあるので、飛散粉末30を吸い込んで回収している。噴射ガン用ノズル3aの内面に粉末が付着してくると、飛行粉末の速度が低下し、付着しにくい粉末が増加し、飛散粉末30が増加し、回収通路28内に回収される粉末量が増加する。
【0051】
このため、粉末回収量をモニターしていれば、噴射ガン用ノズル3a内への粉末付着の増加を知ることができる。回収した粉末は、通常の溶射プロセスのものとは異なり溶融していないため、ほとんど新しい粉末と同様の形態である。このため、回収した粉末を再びコーティングに使用することも可能である。なお、ここでは、全ての飛散粉末を回収する必要はない。ある範囲の飛散粉末を回収し、その量の変化をモニターすれば十分である。
【0052】
本実施の形態おいては、コーティング中の飛散粒子の回収量を用いて噴射ノズル3内への粉末付着の増加をモニターしているので、上述の実施の形態のようにダミー板21(図4に示す)に移動する処置をとる必要がなくなる。コーティング中に噴射ノズル3内壁への粉末付着状態を算出して、必要な時点でノズルの清掃あるいは交換を行うことができる。
【0053】
さらに、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の各実施例を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態のコーティング装置の概略構成を示す構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のコーティング方法の工程を示すフロー図。
【図3】本発明の第2の実施の形態のノズルの処理方法を示すフロー図。
【図4】本発明の第3の実施の形態のコーティング装置の概略構成を示す構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態のコーティング方法の工程を示すフロー図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のコーティング装置の変形例の説明図で、(a)はその構成図であり、(b)はその噴射ノズルの噴射状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0055】
1…被コーティング材、2…重量計、3…噴射ノズル、3a…噴射ガン用ノズル、4…粉末選択ユニット、5…第1の粉末供給器、6…第2の粉末供給器、7…第3の粉末供給器、8…噴射粉、9…コールドスプレー制御装置、10…ノズル内壁状態評価ユニット、11…コーティング条件収集・記憶・算出ユニット、12…評価結果表示部、13…設定値到達表示部、14…コーティング中断表示部、15…ノズル交換表示部、16…新ノズル、17…ノズル交換ユニット、18…使用ノズル、19…清掃ユニット、20…清掃確認ユニット、21…ダミー板、22…粉末供給ユニット、23…粉末回収ユニット、24…付着効率算出ユニット、25…コーティング制御ユニット、26…圧縮部、27…噴射部、28…回収通路、29…飛行粉末、30…飛散粉末、31…コーティング層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末を被加工物に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング装置において、
前記コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価値を算出する算出手段と、
この算出されたノズル評価値を表示する評価結果表示手段と、
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したことを示す設定値到達表示手段と、
を有することを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したときに、前記噴射ノズルの交換又は清掃を促す交換又は清掃表示手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したときに、前記噴射ノズルの交換又は清掃が行われるまで前記コーティングの中断を表示するコーティング中断表示手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項4】
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したときに、前記噴射ノズルの交換又は清掃を行う交換又は清掃手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項5】
前記算出手段において、コーティング材料、コーティング圧力、コーティング時間及びコーティング温度から選択された少なくとも1個のモニター値に基づいて前記ノズル評価値が算出されること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項6】
前記算出手段において、前記噴射ノズル内壁への粉末の付着効率に基づいて前記ノズル評価値が算出されるノズル評価手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項7】
前記ノズル評価手段は、噴射ノズルの中央から粉末を噴射すると共にノズル外周部から未付着の粉末を回収する噴射ガンを備え、この回収した粉末量から付着効率を算出すること、を特徴とする請求項6記載のコーティング装置。
【請求項8】
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したときに、前記噴射ノズル内壁に硬質粉末を高速噴射して清掃するように構成されていること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項9】
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したときに、前記噴射ノズル内壁にこれまでに使用した粉末よりも硬質の粉末を高速噴射して清掃するように構成されていること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項10】
前記被加工物は、原子力発電プラントの原子炉圧力容器、原子炉炉内構造物及び配管並びに発電プラントを構成する金属材料表面から選択された少なくとも1個であること、を特徴とする請求項1記載のコーティング装置。
【請求項11】
金属粉末を被加工物に高速噴射させて皮膜を形成するコーティング方法において、
前記コーティング条件又はコーティング結果から噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価値を算出する算出ステップと、
この算出されたノズル評価値を表示する評価結果表示ステップと、
前記算出されたノズル評価値が予め設定された設定値に到達したことを示す設定値到達表示ステップと、
を有することを特徴とするコーティング方法。
【請求項12】
前記噴射ノズル内壁への粉末付着状態を評価するノズル評価は、コールドスプレー又は高速フレーム溶射に適用されること、を特徴とする請求項11記載のコーティング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−245105(P2007−245105A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75912(P2006−75912)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】