説明

コーテッドペーパー又はコーテッドボードを製造する方法

紙又は板紙のウェブのコーティングにおいて必須の要求は、コーティング剤混合の塗付された層が加工された全体的表面に広げられることである。コーティング剤混合及びコーティングされる表面の表面エネルギは、加工される表面に塗付されたコーティング剤混合の作用において極めて重要な役割を担う。本発明によれば、下地材及びコーティング剤混合の表面エネルギは、互いに適合し、コーティング剤混合又はそこから分離された液層の表面エネルギが、加工される表面の表面エネルギより低い又は同等であるようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーコーティング技術、ジェット・ノズルコーティング技術としても既知であるジェットコーティング技術、又はカーテンコーティング技術を使用して紙又は板紙のウェブを製造する、請求項1の冒頭に従った方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
紙及び板紙のシートは、異なる技術を使って塗工され、かかる技術の夫々は、利点及び不利点を有する。スプレー、ジェット、及びカーテンコーティング技術は、塗付具供給口及びウェブ表面によって線引きをされた空間内でコーティング剤混合(coating mix)が自由に浮くことができるような方法で、加工されるウェブの表面上に塗付される。従って、コーティング剤混合は、ウェブ表面に押さえつけることによって動かされないが、むしろ、比較的低い運動エネルギのもとでウェブ上に自給式に広がり得る。塗付された被膜の気孔の自由及び表面の平滑性が、被膜の質に関して不可欠の要因であるため、コーティング剤混合は、加工される表面全体にわたって均一に広がるべきである。現在に至るまで、よく広げるための機能は、コーティング剤混合の粘度及び固形の内容物を調整することによって求められてきた。これは、かかるパラメータ下地材表面上のコーティング剤混合の粒子又は膜の作用に強い影響を有するためである。しかしながら、それでもなおコーティングの処方又は下地材のグレードのなかには、コーティングにおいて荒い被膜又は小さな気孔をつくるものもあることが判っている。かかるコーティングは、これらの欠陥によって印刷用インクが小孔及び吸収性のある下地材に浸透し、インクが実際に意図されたより広い部分に広がるため、印刷の結果を損なう。結果として印刷は不鮮明となる。この問題は、個別の粒子が十分に均一な被膜を形成するよう互いに対して接触するよう広げられるべきであるスプレーコーティングにおいて、克服が特に困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、塗付技術においてコーティング剤混合の塗りを向上させることができる方法を与えることを目的とする。かかる技術は、塗布中にウェブ表面上で自由にコーティング剤混合を広げることを基本とする。本発明は、スプレーコーティングにおいて塗付された被膜剤の質を向上することを特定の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、下地材とコーティング剤混合の表面エネルギを互いに適合させ、コーティング剤混合又はそこから分離された液層の表面エネルギが、加工される表面の表面エネルギより低いか同等であるようにされることで達成される。
【0005】
より特には、本発明に従った方法は、請求項1の特徴付けの部分に述べられていることによって特徴付けられる。
【0006】
本発明は、多大な利点を与える。
【0007】
本発明は、加工される表面上でのコーティング剤混合の反応を制御する改善された機能によって、従来技術を卓越する。塗装済みのウェブの質は向上し、とりわけ製造される製品の品質のパラメータはより予測可能になる。コーティング下地及び下地材の選択された組合せの作用の改善された予測可能性のために、コーティングの処方及び下地材の質は、従来技術より容易な方法で変更され得、所望された製品のグレードがもたらされる。結果として、要求されたテストランは、新製品の開発において低減されるか、あるいは、与えられた製品の質は非常に最適化され得る。コーティング剤混合の粒子は、十分小さい気孔寸法のコーティングフィルムに癒着するように作られ得、印刷用インクの顔料微粒子がそこを貫通しないようにされるため、優れた印刷適性のシートの表面が実現される。気孔が印刷用インクの希釈剤又は溶剤によい浸透性を与えるよう追加的に調整される場合、印刷表面上の印刷用インクの設定は早くなり、故にシートの印刷適性を更に改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明は、例示的な実施例を使用して、より詳細に説明される。
【0009】
以下では、コーティング剤混合という用語は、実際の顔料コーティング剤混合に使用された処方だけではなく、表面サイズ仕上げ、及び、紙又は板紙のウェブの表面処理に使用された他の処方も対象とし、自由に塗付され得、また、ウェブの表面に対して浮かしてスプレー及び粒子状でジェット噴出され得るようにされる。紙のウェブが以下の例示的な実施例で論じられる一方、本発明の明らかに同一の操作原理はまた、板紙のウェブ上で有効である。
【0010】
本発明は、繊維状の材料で作られたウェブの取扱いを目的とする。ウェブは、適切な材料で事前処理をされ得るが、明確な繊維構造は、コーティング剤混合が広げられる構造上で認識可能でなければならない。コーティング剤混合によって、本発明に関連して顔料コーティング剤混合を理解される。ウェブ上に第1の顔料コーティング層がある場合、更なるコーティング層が、本発明に従った方法によってその表面上に製造され得る。全部で、互いに対して分離するコーティング層と繊維ウェブとの間に密閉膜のようなものはないことが、必須である。
【0011】
本発明の基本は、下地剤及びコーティング剤混合の互換性のない表面エネルギは、シートの表面上での均一な液膜の形成を防ぐが、その代わりに、コーティング剤混合は、ワックス処理した表面に塗付された水と同一の方法で粒子を形成することを設定することである。結果として、被膜層は、粒子が粗くなり、故に、粒子の粗い被膜によって引き起こされた低い印刷品質のために、印刷基材としてシートの使用を除外する。コーティング剤混合の表面エネルギが、コーティング剤混合がつく基材の表面エネルギ、即ち、例示的な場合では下地材表面の表面エネルギよりも大きい場合のみ、塗付されたコーティング剤混合は、粒子を形成する。
【0012】
表面エネルギは、液体物質粒子の支持基材の表面との接触各から派生し得る。適切な測定器具は、スウェーデンのFIBRO System AB社等から入手可能である。典型的には、測定は、加工されるべき表面上に、測定されるべき液体又は混合の一滴の粒子を落とすことによって実施され、表面上の粒子の作用は同時に撮像される。続いて、粒子から表面までの接触角度、粒子の量、及び底部の半径は、時間に応じて画像データから決定される。これらのデータより、測定結果に関する平均の値および差異は、従来の方法で算出され得る。接触角は、粒子及び支持表面の表面エネルギによって決定されるため、これらの表面エネルギ値は、測定データから算出され得る。本願で言及される数で示される表面エネルギ値は、測定によって得られた平均値である。コーティング剤混合の表面エネルギは、コーティング剤混合等を使用して測定され得るか、あるいは、まず混合の液層を分離させてからかかる層の表面エネルギを決定することによって測定され得る。
【0013】
コーティング剤混合の表面エネルギは、30nN/m又はそれより小さいオーダであり得、本発明の典型的な実施例で典型的に使用される下地材の表面エネルギは、約35−45nN/mである。それ故に、かかる2つの表面エネルギの差異は、5nN/mより大きい。下地材とコーティング剤混合の表面エネルギ値との間の差異を、同等又はこの値よりも大きく調整することによって、本発明は、シートの表面上にコーティング剤混合をよく広げることを与得、塗付された被膜の表面のよい質をもたらす。最大限には、コーティング剤混合は、下地材の表面エネルギに等しいよう表面エネルギを有し得る。コーティング混合剤の表面エネルギが、下地材のそれより大きい場合、塗付されたコーティング剤混合は、粒子を形成し、低い表面の質をレンダリングする。
【0014】
コーティング剤混合及び下地材の表面エネルギ値は、様々な方法で修正され得る。コーティング剤混合の表面エネルギは、表面活性剤によって修正され得る。該活性剤は、コーティング剤混合の表面エネルギを低下させ、故に、下地表面上に塗付されたコーティング剤混合の粒子又は膜を広げることを促す。かかる活性剤は、とりわけ、ラウリル硫酸ナトリウム及び異なるアルコール派生物を有する。下地材の表面エネルギの修正は、しかしながら、頻繁に、より容易に行なわれ、実際はより大きな操作許容範囲を与える。例えば、下地材の表面エネルギは、異なるポリマ化合物、寸法、及びロジンを利用して化学的に修正され得る。かかるウェブ加工剤のなかで、典型的なものは、でんぷん、AKD、及びASAである。下地剤の表面エネルギは、また、例えば、回転ブラシ等を利用したコロナ放電処理又は機械摩擦等を用いて、電気的に変えられ得る。機械的加工は、下地材表面が電荷を得るよう、又は表面構造が物理的に修正されるよう、実行され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は板紙の移動ウェブの表面にコーティング剤混合を塗付する方法であって、
前記方法では、前記コーティング剤混合は、前記コーティング剤混合が、塗布器具供給口と前記ウェブ表面との間で自由に移動することが可能な方法によって、前記ウェブの前記表面に塗付され、
下地材及び前記コーティング剤混合の表面エネルギは、互いに対して適合され、前記コーティング剤混合又はそこから分離された液層の前記表面エネルギは、動的接触角の測定器具を使用して決定された通り、加工される前記表面の前記表面エネルギに対して最大限に同等であるようにされる、ことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記使用された表面エネルギ値は、動的測定技術を用いて得られた平均値である、ことを特徴とする
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング剤混合と前記ウェブの前記表面エネルギ値の間の差異は、5mN/mと同等、又はより大きい値に調整される、ことを特徴とする、
請求項1又は2のいずれか記載の方法。
【請求項4】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの化学的加工剤を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの機械的加工技術を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの電気的加工技術を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング剤混合の前記表面エネルギは、少なくとも1つの表面活性剤を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は板紙の移動ウェブの表面にコーティング剤混合を塗付し、前記表面で認識可能な繊維性の構造を有する方法であって、
前記方法では、前記コーティング剤混合は、前記コーティング剤混合が、前記ウェブ表面上に前記コーティング剤混合をスプレーすることによって前記ウェブの前記表面に塗付され、
下地材及び前記コーティング剤混合の表面エネルギは、互いに対して適合され、前記コーティング剤混合又はそこから分離された液層の前記表面エネルギは、動的接触角の測定器具を使用して決定された通り、加工される前記表面の前記表面エネルギに対して最大限に同等であるようにされる、ことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記使用された表面エネルギ値は、動的測定技術を用いて得られた平均値である、ことを特徴とする
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング剤混合と前記ウェブの前記表面エネルギ値の間の差異は、5mN/mと同等、又はより大きい値に調整される、ことを特徴とする、
請求項1又は2のいずれか記載の方法。
【請求項4】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの化学的加工剤を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの機械的加工技術を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
加工される前記ウェブの前記表面エネルギは、少なくとも1つの電気的加工技術を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング剤混合の前記表面エネルギは、少なくとも1つの表面活性剤を利用して修正される、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の方法。

【公表番号】特表2006−520263(P2006−520263A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505619(P2006−505619)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000146
【国際公開番号】WO2004/081285
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(501249157)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】