説明

コートポリエステルフィルムの製造方法

(a)ガラス転移温度(Tg(℃))を有する二軸配向ポリエステルフィルムを選択するステップと;(b)前記二軸配向フィルムの一方または両方の表面上にコーティングを配置するステップと;(c)そのガラス転移温度を超える温度で前記コート二軸配向ポリエステルフィルムをアニーリングするステップとを含む、二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度より上で前記フィルムをアニーリングする際に、前記フィルム中にヘイズが形成されるのを防止または最小化する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子用、フォトニック用、および光学用アッセンブリまたは構造体などの用途でポリエステルフィルムをより適切にするためのポリエステルフィルムの改良に関する。かかるアッセンブリまたは構造体の製造中に、ポリエステルフィルム基板は、高温で熱加工され、この熱処理は、フィルム内に環状オリゴマーの生成をもたらす可能性があり、その環状オリゴマーは、フィルム表面まで移動することができ、それを汚染することができるので、フィルムをくもらせる。
【背景技術】
【0002】
小分子の固体ポリマー性媒体中の移動または拡散が、広範に研究され、その特性が明らかにされてきたのは、それが、多数の重要な商業的用途の基礎原理を形成するためである。例えば、静置の貯蔵器およびタンク内、または管路およびパイプに沿った輸送中いずれかにおける液体およびガスの封じ込めは、プラスチックハウジング壁を通り抜ける移動材料による非常に遅いまたはゼロの拡散に明らかに依存する。同様に、食物、飲料、および医薬から、化学薬品および電子製品などの商業製品までの材料の包装および貯蔵寿命のためには、特定のガスまたは液体の拡散が極めて遅い包装用プラスチック材料が要求される。メンブランを使用する分離または精製の場合、固体メンブラン材料中の数種のガスまたは液体の拡散または輸送の差異は、やはり透過技術の基礎である。
【0003】
汚染の問題が発生する場合、やはり小分子のポリマー媒体中の拡散現象が作用している。例えば、形成されたポリマー性物品からの残留モノマーの移動は、望まれない汚染をしばしば引き起こす可能性がある(非特許文献1参照)。したがって、その使用の前に、最終製造においてプラスチックから未反応モノマーを抽出する工業プロセスステップが開発されている(非特許文献2参照)。同様に、ポリマー製造プロセスが、溶液中の重合または処理ステップを含む場合、プラスチック中に封入されたままになっている痕跡量の残留溶媒が、経時的に材料から浸出することになる(非特許文献3参照)。第3に、商業用のポリマー、またはそれから製造された物品から移動することがしばしば見出される、ありふれた低分子量材料は、可塑剤である。これまでの例と異なり、可塑剤は、その機械的特性を改変する目的でプラスチック内に意図的に添加または混合される。しかし、この可塑剤も時間とともにポリマーから拡散し、汚染を取り巻く類似の問題を提供することになる。可塑化PVCがよく知られた例であるかかる系では、改良への手段は、新規な可塑剤(その可塑剤は、ポリマー性環境中で移動性がより少ない、または汚染物としてより害がない)の開発か、またはプラスチックからその周囲へ可塑剤が失われるのを防止する物理的バリア、すなわち不浸透性コーティングの使用である(例えば、非特許文献4参照)。
【0004】
ポリエステル材料は、低分子量分子を含有できる系のまれな例を代表する。これらの種は、その融点範囲(Tm)を超える温度で母体ポリマーから発生し、母体ポリマーと平衡に存在すると考えられている。結果として、それらは、ポリマーの製造段階で発生する。低分子量材料は、主として環状オリゴマー(トリマー)であり、高分子量ポリマーの構造と同一の化学構造を有する。その規則正しい構造のために、環状オリゴマーは、容易に結晶化することが可能であり、したがって、ある種の熱処理下でその材料は、固体ポリエステルの表面まで拡散し、結晶化することになる(非特許文献5および6参照)。こうした挙動が、ポリエステルの性能またはその環境を妨害する場合、環状オリゴマーの存在は、望ましくない汚染として、解決を必要とする課題として見られる。さらなる加工中、または最終使用いずれかでポリエステル環状オリゴマーがポリエステル物品の表面まで移動することを防止するための2つの手法が記載されている。第1の場合、フィルムまたはファイバーなどの物品は、環状オリゴマーの含有量が最初から少ないポリエステル原材料から製造される(非特許文献6;特許文献1;および特許文献2参照)。そのファイバーまたはフィルム製造プロセスにおいて、ポリエステルが溶融温度にさらされる時間が非常に短いためにオリゴマーの平衡水準が系内で再確立できない場合にこの手法がうまくゆく。第2の場合では、環状種の新規な表面までの拡散に対するバリアとして働く、物品に対するプラスチックの外層を積層または共押出するステップが含まれる。積層表面が、元のポリエステルの特性に合致する、または凌駕する特性を有する場合、これはうまくゆくが、高コストという欠点を有する場合が多い(特許文献3参照)。しかし、現時点で、コーティング技術の使用は、ポリエステル物品に関してこうした機能を行わせるためにこれまで適用されなかった。
【0005】
本出願で特に重要なポリエステル物品は、例えば、特許文献4に開示されている、フレキシブル電子または光電子技術の分野で使用されるフィルムである(特許文献4参照)。詳細には、フィルムは、その上にフレキシブルデバイスの電子操作を駆動させるために電子回路を製造し、載せる基板である。フレキシブル基板および回路を含むコンポーネントは、バックプレーンとして記述されることが多い。最終バックプレーンを製造する課程で、基板は、長時間にわたって高温条件に曝露されることが多い。環状オリゴマーの拡散および結晶化のプロセスを介してその表面上に物理的な汚染が発達することは、望ましくなく、フィルム上のヘイズ外観として直ちにおよび便利に認識され測定することができる。この技術において、長時間にわたって高温条件に曝露されるポリエステルフィルム基板からの環状オリゴマーの拡散に対する改良バリアを提供する必要性が存在する。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6020056号明細書
【特許文献2】米国特許第6054224号明細書
【特許文献3】米国特許第5545364号明細書
【特許文献4】国際公開第03/022575号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第0419400号明細書
【特許文献6】米国特許第4198465号明細書
【特許文献7】米国特許第3708225号明細書
【特許文献8】米国特許第4177315号明細書
【特許文献9】米国特許第4309319号明細書
【特許文献10】米国特許第4436851号明細書
【特許文献11】米国特許第4455205号明細書
【特許文献12】米国特許第0142362号明細書
【特許文献13】国際公開第03/087247号パンフレット
【特許文献14】欧州特許第1418197号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0429179号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第0408197号明細書
【特許文献17】米国特許第3443950号明細書
【特許文献18】米国特許第6198217号明細書
【非特許文献1】A.R. Berens, C.A. Daniels, Polym. Eng. Sci., 16, 552 (1976)
【非特許文献2】V.T. Stannet, Polym. Eng. Sci., 18, 1129 (1978)
【非特許文献3】T.J. Stanley, M.M. Alger, Ind. Eng. Chem. Res., 28, 865 (1989)
【非特許文献4】A. Jayakrishnan et al., J. Appl. Polym. Sci., 56, 1187 (1995)
【非特許文献5】S. Reichlmaier et a1., J. Vac. Sci. Tech., A13, 1217 (1995)
【非特許文献6】Y. Kawahara et al., Macromol. mater. Eng., 291, 11 (2006)
【非特許文献7】WYKO Surface Profiler Technical Reference Manual (Veeco Process Metrology, Arizona, US; June 1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高温でのその熱加工中、例えば、電子用、フォトニック用、および光学用アッセンブリまたは構造体の製造中にポリエステルフィルム基板中にヘイズが形成されることを最小化または防止することである。本発明のさらなる目的は、優れた寸法安定性を有するポリエステルフィルム中にヘイズが形成されることを最小化または防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg(℃))より上で前記フィルムをアニーリングする際に前記フィルム中にヘイズが形成されるのを防止または最小化することを目的とする、
(i)低分子量反応性希釈剤と、不飽和オリゴマーと、溶媒と、光開始剤とを含む有機コーティング;
(ii)低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分と、溶媒と、無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティング;
(iii)重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコート;ならびに
(iv)ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーと、架橋剤とを含む組成物から選択されるコーティング組成物の使用を提供する。
【0009】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度より上で前記フィルムをアニーリングする際に、前記フィルム中にヘイズが形成されるのを防止または最小化する方法であって、
(a)ガラス転移温度(Tg(℃))を有する二軸配向ポリエステルフィルムを選択するステップと;
(b)前記二軸配向フィルムの一方または両方の表面上にコーティングを配置するステップと;
(c)そのガラス転移温度を超える温度で前記コート二軸配向ポリエステルフィルムをアニーリングするステップとを含み、
前記コーティング組成物が、
(i)低分子量反応性希釈剤と、不飽和オリゴマーと、溶媒と、光開始剤とを含む有機コーティング;
(ii)低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分と、溶媒と、無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティング;
(iii)重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコート;ならびに
(iv)ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーと、架橋剤とを含む組成物から選択される方法をさらに提供する。
【0010】
本明細書では、「アニーリングされる」または「アニーリング」という用語は、そのTgを超える高温でフィルムを加熱するステップを指し、次の後加工または製造、例えば、本明細書中すでに言及されたバックプレーンの製造で、フィルムが経験する条件に関する。一実施形態では、アニーリングは、Tgを超える温度Ta(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で行われる。さらなる実施形態では、アニーリングは、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間、典型的には、1時間≦t≦48時間、より典型的には、1時間≦t≦24時間)にわたって行われる。次いで前記アニーリングに続いてフィルムは、冷却される。
【0011】
本発明者らは、本明細書で開示のコーティング組成物、特にハードコーティング組成物の存在が、高温加工によって誘起されるヘイズ水準を低減させることを予想外にも見出した。
【0012】
一実施形態では、コーティングは、ポリエステル基板の両側に存在する。
【0013】
本明細書で使用されるポリエステルという用語には、その最も単純な形態の、あるいは化学的および/または物理的に改変されたポリエステルホモポリマーが含まれる。詳細には、アニーリングプロセスによって処理される材料は、
(i)1つまたは複数のジオール;
(ii)1つまたは複数の芳香族ジカルボン酸;および
(iii)任意選択で、nが2から8である一般式C2n(COOH)の1つまたは複数の脂肪族ジカルボン酸から誘導されるポリエステルまたはコポリエステルの層を含み、芳香族ジカルボン酸が、(コ)ポリエステル中のジカルボン酸成分の全量に対して約80から約100モル%の量において(コ)ポリエステル中に存在する二軸配向ポリマー性フィルムである。コポリエステルは、ランダム、交互、またはブロックコポリエステルであってよい。
【0014】
フィルムの厚さは、好ましくは、約12から約250μm、より好ましくは、約12から約150μm、典型的には厚さ約25〜125μmである。フィルムは、支持基板なしで独立に存在可能であることを意味する自己支持性である。
【0015】
ポリエステルは、前記ジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(炭素原子が最高6個)ジエステルを1つまたは複数のジオールと縮合させることによって得ることができる。芳香族ジカルボン酸は、好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸から選択され、好ましくは、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸、好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸である。ジオールは、好ましくは、脂肪族および脂環式グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノール、好ましくは、脂肪族グリコールから選択される。好ましくは、コポリエステルは、ただ1つのグリコール、好ましくは、エチレングリコールを含有する。脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼレイン酸(azeleic acid)、またはセバシン酸であってよい。好ましいホモポリエステルは、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸とエチレングリコールのポリエステルである。特に好ましいホモポリエステルは、ポリ(エチレンナフタレート)、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールのポリエステルである。
【0016】
ポリエステルの形成は、好都合には、一般に最高約295℃までの温度で、縮合またはエステル交換によって周知の方式で達成される。例えば、好ましいPENポリエステルは、2,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはその低級アルキル(炭素原子最高6個)ジエステルとエチレングリコールを縮合することによって合成することができる。典型的には、重縮合は、固相重合段階を含む。固相重合は、回転式真空乾燥機を使用して、流動床で、例えば、窒素を用いて流動化して、または真空流動床で行うことができる。適切な固相重合技法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献5で開示されている(特許文献5参照)。一実施形態では、PENは、低減された水準の、触媒残留物、望ましくない無機堆積物、およびポリマー製造の他の副生物などの汚染物を有するポリマー性材料を提供するゲルマニウム触媒を使用して調製される。「より清浄な」重合性組成物によって、光学的透明性および表面平滑性の改良が促進される。好ましくは、PENは、0.5〜1.5、好ましくは、0.7〜1.5、特に0.79〜1.0のPET相当の固有粘度(IV)を有する。0.5未満のIVは、機械的特性などの所望の特性に欠けるポリマー性フィルムをもたらし、1.5を超えるIVは、達成することが困難であり、原材料の加工が困難になる可能性がある。
【0017】
好ましいホモポリエステル、PENのTgは、一般に、120℃であると認められており、他の好ましいホモポリエステル、PETのTgは、一般に、80℃であると認められている。コポリエステルは、組み込まれるコモノマーの性質に応じて、母体ホモポリマーのTg値未満またはそれを超えるTg値を示すことができる。ポリエステルから作製されるフィルムは、フィルムの結晶性に応じて、ポリエステル原材料のTg値より高いTg値を示してもよい。したがって、フィルムの結晶性が増加するとともに、フィルムの非晶質領域中のポリエステル鎖は、その移動がより制限されるようになり、これは、ガラス転移がより高い温度で観察されることを意味する。疑問を回避するために、本発明の方法のアニーリング温度(T)は、ポリエステル原材料ではなく、ポリエステルフィルムのTgによって決まる。
【0018】
フィルムの形成は、当技術分野でよく知られた慣用の技法によって達成することができる。好都合には、フィルムの形成は、以下に記載の手順に準拠して押出によって達成される。概括的に言うと、この方法は、溶融ポリマー層を押し出すステップと、押出物を急冷するステップと、急冷押出物を少なくとも1方向に配向させるステップとを含む。
【0019】
フィルムは二軸配向される。配向は、配向フィルムを製造するための当技術分野で知られる任意の方法、例えば、管状または平面フィルム法によって達成することができる。二軸配向は、機械的および物理的な特性の満足な組合せを実現するために、フィルム面内で2つの互いに垂直な方向に引くことによって達成される。
【0020】
管状法では、同時二軸配向は、熱可塑性ポリエステル管を押し出し、それを続いて急冷し、再加熱し、次いで内部ガス圧によって膨張させることによって横方向に配向させ、縦方向に配向させることになるある速度で引抜くことによって達成することができる。
【0021】
好ましい平面フィルム法では、フィルム形成ポリエステルは、スロット金型から押し出され、冷却されたキャスティングドラム上で速やかに急冷されることによってポリエステルを非晶質状態に急冷することを確実にする。次いで、配向は、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で少なくとも1つの方向に急冷押出物を延伸することによって達成される。逐次配向は、1番目に1方向に、通常、縦方向に、すなわちフィルム延伸機から進行方向に、次いで、横方向に平面の急冷押出物を延伸することによって達成してもよい。押出物を進行方向に延伸することは、好都合には、1組の回転ロール上で、または2対のニップロール間で達成され、次いで、横方向延伸は、幅だし装置によって達成される。延伸は、一般に、配向フィルムの寸法が、延伸の方向、または延伸のそれぞれの方向でその元の寸法の2から5、より好ましくは2.5から4.5倍であるように行われる。典型的には、延伸は、ポリエステルのTgを超える、好ましくはTgより約15℃高い温度で達成される。1方向のみの配向が必要とされる場合、より大きい引抜き比(例えば、最高約8倍)を使用することができる。機械方向および横方向で等しく延伸することは必要でないが、バランスのとれた特性が所望される場合、これが好ましい。
【0022】
延伸フィルムは、ポリエステルのガラス転移温度を超えるが、その融点未満の温度で寸法支持体のもとで熱硬化させてポリエステルを結晶化させることによって寸法を安定化させることができ、またそうすることが好ましい。熱硬化する際に、「トウイン(toe-in)」として知られる手順によって横方向TDで少量の寸法緩和を行わせることができる。トウインは、寸法を2から4%程度収縮させることができるが、プロセスまたは機械方向MDで類似の寸法緩和は、実現することが困難であるが、その理由は、ラインのテンションを低くする必要があり、フィルムの制御および巻取りが問題になることである。現実の熱硬化の温度および時間は、フィルムの組成およびその所望の最終熱収縮に応じて変動することになるが、耐引裂性などのフィルムの靭性を実質的に低下させるように選択すべきでない。これらの制約内で、約180から245℃の熱硬化温度が、一般に望ましい。
【0023】
フィルムは、オンライン緩和段階を使用することによってもさらに安定化することでき、またそうすることが実際好ましい。あるいは、緩和処理は、オフラインで行うこともできる。この追加のステップでは、フィルムは、熱硬化段階の温度より低い温度で、およびMDおよびTDテンションをはるかに低くして加熱される。このようにして加工されたフィルムは、かかる熱硬化後の緩和を用いないで製造されたフィルムよりも小さい熱収縮を示すことになる。
【0024】
一実施形態では、二軸延伸フィルムの熱硬化および熱安定化は、以下のように行われる。延伸ステップが完了した後、熱硬化は、好ましくは、約135°から約250℃、より好ましくは、235〜240℃の熱硬化温度、および典型的には5から40秒、好ましくは、8から30秒の範囲の加熱継続時間を使用して、約19から約75kg/m、好ましくは、約45から約50kg/mフィルム幅の範囲のテンションでフィルムの寸法を再度引き伸ばすことによって達成される。次いで、熱硬化フィルムは、典型的には、熱硬化ステップで使用される温度より低く、約135℃から250℃、好ましくは、190から250℃、より好ましくは、200から230℃の範囲、そしてより好ましくは、少なくとも215℃、典型的には215から230℃であるように選択された温度を使用して、典型的には10から40秒範囲の加熱継続時間、好ましくは、20から30秒の継続時間で、好ましくは、フィルムがさらされるテンションが、5kg/m未満、好ましくは、3.5kg/m未満、より好ましくは、1から約2.5kg/mの範囲、典型的には、1、5から約2kg/mフィルム幅の範囲になるような低いテンション下で、フィルムを加熱することによって熱安定化される。
【0025】
熱硬化し熱安定化したフィルムは、非常に少ない残留収縮を示し、したがって高い寸法安定性を示す。好ましくは、フィルムは、−40℃から+100℃の温度範囲内で40×10−6/℃未満、好ましくは30×10−6/℃未満、より好ましくは、25×10−6/℃未満、より好ましくは、20×10−6/℃未満の線形熱膨張係数(CLTE)を示す。好ましくは、本明細書で定義されたのと同様に測定された場合、フィルムは、1%未満、好ましくは、0.75%未満、好ましくは、0.5%未満、好ましくは、0.25%未満、より好ましくは、0.1%未満の、230℃30分での収縮を有する。好ましくは、フィルムは、8℃から200℃までそれを加熱し、次いで8℃まで冷却した前後で、25℃で測定した場合、元の寸法の0.75%未満、好ましくは、0.5%未満、好ましくは、0.25%未満、より好ましくは、0.1%未満の残留寸法変化ΔLを有する。特に好ましい実施形態では、基板は、前記の230℃30分後の収縮特性、および好ましくは、前記の残留寸法変化ΔL特性を有するポリ(エチレンナフタレート)を含む熱安定化熱硬化二軸配向フィルムである。
【0026】
フィルムは、好都合には、ポリエステルフィルムの製造で慣用的に用いられ、フィルムからその表面まで移動しないことが知られている任意の添加剤を含有することができる。したがって、添加剤は、アニーリング中フィルムの表面を汚染することはなく、表面ヘイズの観察結果に寄与することはないことになる。したがって、架橋剤、顔料、およびボイディング(voiding)剤などの剤;固体であるか、またはポリエステルに共有結合している、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャ、UV吸収剤、熱安定剤、難燃剤および火炎抑制剤などの剤、ならびに最後に、安定な非移動の蛍光増白剤、光沢改良剤、プロデグラデント(prodegradent)、粘度調整剤、および分散安定剤である剤を必要に応じて組み込むことができる。特に、フィルムは、製造中のハンドリングおよびウインダビリティー(windability)を改良できる粒子状フィラーを含むことができる。粒子状フィラーは、例えば、粒子状無機フィラー(例えば、アルミナ、シリカ、およびチタニアなどのボイディング(voiding)または非ボイディング(non−voiding)金属または半金属酸化物;か焼チャイナクレーおよびカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などのアルカリ金属塩)、または非相溶性樹脂フィラー(例えば、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、特に、その分子内に炭素原子最高6個を含有するモノ−α−オレフィンのホモまたはコポリマー)、あるいはかかるフィラーの2つ以上の混合物であってよい。
【0027】
層の組成物の成分は、慣用の仕方で一緒に混合することができる。例えば、フィルム形成ポリエステルが誘導されるモノマー性反応物質と混合することによって、あるいは、成分は、転動もしくは乾式ブレンディングによって、または押出機中で混合された後、冷却され、通常、顆粒またはチップに粉砕されることによってポリエステルと混合することができる。マスターバッチ化技術も用いることができる。
【0028】
好ましい実施形態では、フィルムは、光学的に透明であり、ASTM標準D1003に従って測定する場合、好ましくは、<10%、好ましくは、<6%、より好ましくは、<3.5%、特に、<1.5%の散乱可視光(ヘイズ)%を有する。この実施形態では、フィラーは、典型的には、少量だけ、一般に、所与の層の0.5重量%以下、好ましくは、0.2重量%未満で存在する。
【0029】
ポリエステルフィルムの一方または両方の表面は、その上に、本明細書で言及されたコーティング材料を配置する。コーティングは、好ましくは、インラインで行われる。
【0030】
一実施形態では、ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に施用されるコーティングは、ハードコートまたは耐スクラッチ層である。例えば、テーバ磨耗試験機試験(ASTM法D−1044)によって判定する場合、ハードコート層は、フィルムに対するある程度の機械的保護を提供する。テーバ磨耗試験は、典型的には、非保護フィルムの表面に対して制御された損傷を引き起こすことになるので、標準の処理条件下、フィルムのヘイズは、40〜50%増加すると考えられる。ハードコートを使用すると、類似の条件下、フィルム表面の損傷が防止され、材料のヘイズの測定値の増加は、好ましくは、20%以下、より好ましくは、10%以下、最も好ましくは、5%以下という結果になる。ハードコート層のさらなる機能は、本来の表面粗さが、その組成物中に存在する無機フィラー粒子に応じてに変わることができる基板フィルムに対して、平らで平坦化された表面を提供することであってよい。フィルム表面に平坦化特性をも付与する適切なハードコート層は、広い意味で、以下の3つの分類:有機、有機/無機ハイブリッド、および無機が主であるコートの1つに入る。
【0031】
有機ハードおよび平坦化コーティングは、典型的には、(i)光開始剤と、(ii)低分子量反応性希釈剤(例えば、モノマー性アクリレート)と、(iii)不飽和オリゴマー(例えば、アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、またはポリエステルアクリレート)と、(iv)溶媒とを含む。本明細書では、「低分子量」という用語は、重合可能なモノマー性種をいう。「反応性」という用語は、モノマー性種の重合可能性を指す。かかる有機コーティングは、光分解経路によって開始されるフリーラジカル反応によって硬化することができる。特定の調合物は、所望の最終特性によって変わることができる。一実施形態では、コーティング組成物は、溶媒(メチルエチルケトンなど)中のモノマー性およびオリゴマーアクリレート(好ましくは、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートを含む)のUV硬化性混合物を含み、典型的には、コーティング組成物は、組成物の全重量の約20から30重量%の固体でアクリレートを含み、微量(例えば、約1重量%の固体)の光開始剤(例えば、Irgacure(商標)2959;Ciba)をさらに含む。
【0032】
有機/無機ハイブリッドコーティングは、有機ポリマー性マトリックス全体に分布した無機粒子を含み、該コーティングは、直上で記載されたものと類似の成分(複数可)を含有することができる。コーティングは、熱的、または光分解経路によって開始されるフリーラジカル反応いずれかによって硬化し、光開始剤の存在は任意選択である。シリカまたは金属酸化物粒子であることが多い無機相は、多数の方策によって重合可能な有機マトリックス中に分散する。一実施形態では、有機/無機ハイブリッドコーティングは、好ましくは、シリカおよび金属酸化物から選択される無機粒子と;低分子量反応性成分(例えば、モノマー性アクリレート)および/または不飽和オリゴマー成分(例えば、アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレート)を含む有機成分と;溶媒とを含み、光開始剤を任意選択でさらに含む。さらなる実施形態では、熱硬化性ハイブリッドコーティングは、好ましくは、コーティング組成物(これは、好ましくは、アルコール溶液中に5から約20重量%の全固体を含む)の固体の少なくとも約10重量%(好ましくは、少なくとも約20%、好ましくは、約75%以下)の濃度で存在する無機(好ましくはシリカ)粒子と組み合わせてエポキシ樹脂を含む。さらなる実施形態では、UV硬化性ハイブリッドコーティング組成物は、溶媒(メチルエチルケトンなど)中の無機(好ましくはシリカ)粒子と組み合わせてモノマー性アクリレート(典型的には、多官能性アクリレート)を含み、典型的には、コーティング組成物は、コーティング組成物の全重量の約5から50重量%の固体でアクリレートおよびシリカを含み、通常、少量(例えば、固体の約1重量%)の光開始剤をさらに含む。多官能性モノマー性アクリレートは、当技術分野で知られており、例として、ジペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
【0033】
無機が主であるハードコートは、ポリシロキサンなどの重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有される無機粒子を含む。この種のハードコートは、熱硬化する。
【0034】
平坦化ハードコート層の適切な例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献特許文献11、特許文献12、特許文献13、および特許文献14で開示されている。
【0035】
存在する場合、コーティングは、好ましくは、続いての熱加工またはアニーリングの温度を超えるTgを有するべきである。
【0036】
一実施形態では、ハードコートは、
(a)約10から約70重量%(好ましくは、約20から60重量%)のシリカと、約90から約30重量%の、一般式RSi(OH)の部分的に重合した有機シラノールとを含む約5から約50重量%の固体であって、式中、Rは、メチル、ならびにビニル、フェニル、γ−グリシドキシプロピルおよびγ−メタクリルオキシプロピルからなる群から選択される最高約40%の基から選択される固体と、
(b)約10から約90重量%の水と、約90から約10重量%の低級脂肪族アルコールとを含む約95から約50重量%の溶媒と
を含み、特に、約3.0から約8.0、好ましくは、約3.0から約6.5、好ましくは、6.2未満、好ましくは、約6.0以下、好ましくは、少なくとも3.5、好ましくは、少なくとも4.0のpHを有するコーティング組成物から誘導される。
【0037】
好ましいコーティング組成物のシリカ成分は、例えば、テトラエチルオルトシリケートを加水分解してポリケイ酸を形成することによって得ることができる。加水分解は、慣用の手順、例えば、脂肪族アルコールおよび酸を加えることによって実施できる。あるいは、当該のコーティング組成物で使用されるシリカは、コロイダルシリカであることもできる。コロイダルシリカは、一般に、粒径約5〜25nm、好ましくは、約7〜15nmを有するべきである。本発明で使用できる典型的なコロイダルシリカとして、「Ludox SM」、「Ludox HS−30」、および「Ludox LS」分散液(Grace Davison)として市販されているものが挙げられる。有機シラノール成分は、一般式RSi(OH)を有する。R基の少なくとも約60%、好ましくは、R基の約80%から100%がメチルである。R基の最高約40%は、ビニル、フェニル、γ−グリシドキシプロピル、およびγ−メタクリルオキシプロピルから選択される高級アルキルまたはアリールであることができる。溶媒成分は、一般に、水と、1つまたは複数の低級脂肪族アルコールの混合物を含む。水は、一般に、溶媒の約10から90重量%を占め、低級脂肪族アルコールは、相補的に、約90から10重量%を占める。脂肪族アルコールは、一般に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、第二級ブタノール、および第三級ブタノールなどの炭素原子1から4個を有するものである。
【0038】
さらなる実施形態では、コーティング組成物は、溶媒(典型的には、水性溶媒)中に、架橋可能な有機ポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、またはポルビニルアルコール(PVOH)と、架橋剤(Cymel(商標)385、または以下に言及するものなど)とを含む。この実施形態では、コーティング組成物は、好ましくは、PEI(好ましくは、分子量(Mw)が、600,000から900,000の範囲にある)を含む。
【0039】
コーティング組成物は、連続およびディップコーティング手順を含めての慣用のコーティング技法を使用して施用することができる。コーティングは、一般に、約1から約20ミクロン、好ましくは、約2から10ミクロン、特に、約3から約10ミクロンの乾燥厚さで施用される。コーティング組成物は、フィルム製造と異なるプロセスステップとして「オフライン」、またはフィルム製造プロセスの連続として「インライン」いずれかで施用することができる。コーティング組成物は、基板への施用後、約20から約200℃、好ましくは、約20から約150℃の温度で硬化することができる。20℃の周囲温度では、数日の硬化時間を必要とするが、150℃の高温ではコーティングは数秒で硬化することになる。
【0040】
フィルムの曝露表面は、所望であれば、化学的または物理的表面改変処理にかけることによってその表面と続いて施用される層との間の結合を改良することができる。それが、単純かつ有効であるために、好ましい処理は、フィルムの曝露表面にコロナ放電を伴う高電圧電気応力をかけることである。コロナ放電による好ましい処理は、好ましくは、1から100kVの電位で1から20kWの出力を有する、高周波高電圧の発生器を使用する慣用の装置を用いて大気圧下空気中で達成することができる。放電は、慣用的には、好ましくは1.0〜500m/分の線速度で放電ステーションにおいて誘電性支持ローラ上にフィルムを通過させることによって実施される。放電電極は、移動フィルム表面から0.1から10.0mmに位置することができる。
【0041】
好ましい実施形態では、基板は、前記コーティングを施用する前に、プライマー層によりコートすることによって基板の前記コーティング組成物への接着が改良される。プライマー層は、ポリエステルおよびアクリル樹脂を含めての、当技術分野で知られている任意の適切な接着促進用ポリマー性組成物であってよい。プライマー組成物は、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の混合物であってもよい。アクリル樹脂は、オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を任意選択で含んでよい。プライマー組成物のポリマー(複数可)は、好ましくは、水溶性または水分散性である。
【0042】
ポリエステルプライマー成分として、以下のジカルボン酸およびジオールから得られるものが挙げられる。適切な二酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ダイマー酸、および5−ナトリウムスルホイソフタル酸が挙げられる。2つ以上のジカルボン酸成分を使用するコポリエステルが好ましい。ポリエステルは、マレイン酸もしくはイタコン酸などの少量の不飽和二酸成分、またはp−ヒドロキシ安息香酸などの少量のヒドロキシカルボン酸成分を任意選択で含有することができる。適切なジオールとして、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、およびポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが挙げられる。ポリエステルのガラス転移点は、好ましくは、40から100℃、さらに好ましくは、60から80℃である。適切なポリエステルとして、PETまたはPENと、比較的少量の1つまたは複数の他のジカルボン酸コモノマー、特に、イソフタル酸およびナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族二酸、ならびに任意選択で比較的少量の1つまたは複数のジエチレングリコールなどのエチレングリコール以外のグリコールとのコポリエステルが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、プライマー層は、アクリレートまたはメタクリレートポリマー樹脂を含む。アクリル樹脂は、1つまたは複数の他のコモノマーを含むことができる。適切なコモノマーとして、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(ここで、アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルなどである);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびアリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸、およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第四級アミン塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(ここで、アルキル基は、好ましくは、上記のものから選択される)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソブトキシなどである)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、およびN−フェニルメタクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;無水マレイン酸およびイタコン酸無水物などの酸無水物;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、モノアルキルマレエート、モノアルキルフマレート、モノアルキルイタコネート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ならびにブタジエンが挙げられる。好ましい実施形態では、アクリル樹脂は、オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を含有する1つまたは複数のモノマーと共重合させられる。オキサゾリン基含有モノマーとして、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、および2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンが挙げられる。1つまたは複数のコモノマーを使用することができる。2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。ポリアルキレンオキシド鎖含有モノマーとして、ポリアルキレンオキシドをアクリル酸またはメタクリル酸のエステル部分に付加させることによって得られるモノマーが挙げられる。ポリアルキレンオキシド鎖として、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびポリブチレンオキシドが挙げられる。ポリアルキレンオキシド鎖の反復単位は、3から100であることが好ましい。
【0044】
プライマー組成物が、ポリエステルとアクリル成分、特に、オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を含むアクリル樹脂の混合物を含む場合、ポリエステルの含有量が、5から95重量%、好ましくは、50から90重量%であり、アクリル樹脂の含有量が、5から90重量%、好ましくは、10から50重量%であることが好ましい。
【0045】
他の適切なアクリル樹脂は、
(i)(a)35から40モル%のアルキルアクリレート、(b)35から40%のアルキルメタクリレート、(c)10から15モル%の、イタコン酸などの遊離カルボキシル基を含有するコモノマー、ならびに(d)15から20モル%の、p−スチレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸および/またはその塩のコポリマーであって、その例が、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献15で開示されている、37.5/37.5/10/15モル%の比でアクリル酸エチルアクリレート/メチルメタクリレート/イタコン酸/p−スチレンスルホン酸および/またはその塩を含むコポリマーであるコポリマーと;
(ii)その例が、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献16で開示されている、約35から60モル%のエチルアクリレート、約30から55モル%のメチルメタクリレート、および約2から20モル%のメタクリルアミドを含むポリマーであるアクリルおよび/またはメタクリルポリマー性樹脂とを含む。
【0046】
プライマーまたは接着層は、基板に対する接着を改良し、また内部架橋が可能であるべきである架橋剤を含むこともできる。適切な架橋剤として、メラミンとホルムアルデヒドの任意選択でアルコキシ化された縮合生成物が挙げられる。プライマーまたは接着層は、硫酸アンモニウムなどの架橋触媒を含むことによって架橋剤の架橋を促進させることもできる。他の適切な架橋剤および触媒は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献15で開示されている。
【0047】
特に、上記のハードコートと関連して使用するために、さらなる適切なプライマーは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献17で開示されている。
【0048】
プライマー層の基板上へのコーティングは、インラインまたはオフラインで行うことができるが、好ましくは、「インライン」で、好ましくは、二軸延伸操作の前進延伸と側方延伸間で行われる。
【0049】
Tgを超える温度T(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたってアニーリングした後、および特定の実施形態では、Tg+80℃で30時間にわたってアニーリングした後、ASTM標準D1003に従って測定した場合、コートされ、続いてアニールされたフィルムは、好ましくは、<10%、好ましくは、<6%、より好ましくは、<3.5%、特に、<1.5%の散乱可視光(ヘイズ)%を有する。
【0050】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、アニールされ、コートされたフィルムのヘイズが、好ましくは、コートフィルム(すなわち、アニーリング前)の当初の平均ヘイズ値に対して10%以下の増加、好ましくは、6%以下の増加、好ましくは、3.5%以下の増加、好ましくは、1.5%以下の増加、好ましくは、1.0%以下の増加であるように、Tgを超える温度T(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたってアニーリングする際、および特に、Tg+80℃で30時間にわたってアニーリングする際のヘイズの形成が低減する。
【0051】
本発明の一実施形態では、コートされ、続いてアニールされたフィルムは、0.7nm未満、好ましくは、0.6nm未満、好ましくは、0.5nm未満、好ましくは、0.4nm未満、好ましくは、0.3nm未満、理想的には0.25nm未満の本明細書で測定されたRa値、および/または、0.9nm未満、好ましくは、0.8nm未満、好ましくは、0.75nm未満、好ましくは、0.65nm未満、好ましくは、0.6nm未満、好ましくは、0.50nm未満、好ましくは、0.45nm以下、好ましくは、0.35nm未満、理想的には0.3nm未満の本明細書で測定されたRq値を有する表面を示す。
【0052】
本発明では、本明細書で記載の寸法安定性特性は、未コートの熱安定化熱硬化二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであることを評価されたい。
【0053】
コートポリエステルフィルムは、高温で、特に、Tgを超える温度T(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で、および特に、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたって、基板を続いて加工する必要がある、任意の用途での基板として使用するのに適している。フレキシブル電子用、フォトニック用、および光学用アッセンブリまたは構造体向けの、ならびにそれらの製造における、特に、上述のバックプレーンの製造における基板としてのコートされたフィルムの使用が、特に興味深い。電子デバイス、および光電子デバイスは、導電性ポリマーを含むことができ、例として、エレクトロルミネセント(EL)デバイス(特に、有機発光ディスプレイ(OLED))、光起電力電池、および半導体デバイス(概括的に、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタ、および集積回路など)が挙げられる。一実施形態では、本明細書で使用される「エレクトロルミネセントディスプレイデバイス」という用語、および特に、「有機発光ディスプレイ(OLED)デバイス」という用語は、それぞれが電極を備える2つの層間に配置された発光エレクトロルミネセント材料(特に、導電性ポリマー性材料)の層を含み、得られた複合構造体が、2つの基板(または支持体またはカバー体)層間に配置されているディスプレイデバイスを指す。一実施形態では、本明細書で使用される「光起電力電池」という用語は、それぞれが電極を備える2つの層間に配置された導電性ポリマー性材料の層を含み、得られた複合構造体が、2つの基板(または支持体またはカバー体)層間に配置されているデバイスを指す。一実施形態では、本明細書で使用される「トランジスタ」という用語は、少なくとも1層の導電性ポリマーと、ゲート電極と、ソ−ス電極と、ドレイン電極と、1つまたは複数の基板層とを含むデバイスを指す。したがって、一実施形態では、上記で言及した方法および使用は、当技術分野で知られる慣用の製造技法に従って上記のコート基板上に電極層を配置するステップを含み、上述の複合フィルムは、コート基板上に電極層(任意選択で透明または半透明)をさらに含む。電極層は、当技術分野で知られる適切な導電性材料、例えば、金、または酸化インジウムスズなどの導電性金属酸化物の層またはパターン化層でよい。さらなる実施形態では、上記の複合フィルムは、特に、水蒸気透過速度が、10−6g/m/日未満、および/または酸素透過速度が、10−5/mL/m/日未満であるように水蒸気および/または酸素の透過に対するバリア特性を示し、典型的には、電極層の施用の前に施用される層をさらに含んでよい。かかるバリア層は有機でも無機でもよく(好ましくは無機)、典型的には、真空蒸着またはスパッタリング技法によって施用される。バリア層の形成に使用するのに適した材料は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献18および特許文献13で開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
特性の測定
以下の手法を使用して、本明細書で記載のプロセスの結果として変化するフィルム特性の特徴を明らかにした。
【0055】
(i)熱収縮を、フィルムの機械方向および横断方向に対して特定の方向で切断され、視感的測定のために印を付けられた寸法200mm×10mmのフィルム試料に関して評価した。試料の長い方の寸法(すなわち、寸法200mm)は、収縮が試験されるフィルム方向に対応し、すなわち、機械方向の収縮の評価に対しては、試験試料の寸法200mmを、フィルムの機械方向に沿って配向させる。供試体を所定の温度まで加熱し(その温度で加熱オーブン内に置くことによる)、30分インターバルにわたって保持した後、供試体を室温まで冷却し、その寸法を手動で再測定した。熱収縮を計算し、元の長さのパーセンテージで表した。
【0056】
(ii)フィルム試料を平らな表面上で検査する場合、試料は、物理的なカールを示すことができる場合が多い。これは、そのプロセス履歴から、または、物理的な永久ひずみ下での第2のより遅いクリーププロセスを介して発生することができる。フィルムのカールは、供試体の端部またはコーナーがそこまで持ち上げられている平らな表面からの「リフト」または高さを単純に物理的に測定することによって評価できる。したがって、寸法が100mm×10mmで、母体ロールに対して特定の方向で切断され(すなわち、100mmの寸法が、それに対して測定することが望ましいフィルム方向に対応するように)、平らで水平な表面上に置かれたフィルム試料についてカールを測定した。各コーナーに対してリフトを測定し、平均を計算した。
【0057】
(iii)基本的に透明であり、不透明にする恐れのある添加剤、顔料、空隙、または他の物体の含有濃度が十分低いフィルム試料について、フィルムの透明性を評価した。これは、ASTM D−1003−61に従ってGardner XL 211ヘイズ計を使用してフィルムの全厚さの全輝度透過率(TLT)およびヘイズ(散乱透過可視光%)を測定することによって実施した。
【0058】
(iv)ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量測定(DSC)技法を使用して測定した。インジウム標準を使用して較正されたTA Instruments Q100 DSC Systemを使用して、測定を行った。フィルム試料を周囲温度(約−20℃)未満から300℃まで加熱し、温度の最終値を加熱速度20°K/分に対して報告した。二軸配向ポリエステルフィルムを本明細書で記載の本発明のアニーリングプロセスに曝露する前に、該フィルムについてTgを測定するが、疑問を回避するためにいえば、プロセスのアニーリング温度(T)を決定するために使用されるのはこのTg値である。
【0059】
(v)寸法安定性は、(a)線形熱膨張係数(CLTE)、または(b)温度サイクリング法いずれかで評価してよく、所与の軸に沿った長さの残留変化を、フィルムを所与の温度まで加熱し、続いてフィルムを冷却した後、測定する。
【0060】
知られている手順に従って、温度、変位(displacement)、力、固有変形(eigendeformation)、ベースライン、および炉温調整に関して較正され、チェックされたThermomechanical Analyser PE−TMA−7(Perkin Elmer)を使用して、両方の測定法を行った。フィルムを延伸分析用クランプを使用して調べた。延伸用クランプに必要とされるベースラインを、膨張係数の非常に小さい供試体(水晶)を使用して取得し、CLTEの精度および正確度(走査後のベースライン控除に依存する)を、それに対するCLTE値がよく知られている標準材料、例えば、純アルミニウムのホイルを使用して評価した。元のフィルム試料内の既知の配向軸から選択された供試体を、約12mmのクランプ間隔を使用して系内に置き、幅5mmにわたり力75mNをかけた。かけられた力を、フィルム厚さの変化に対して、すなわち、一貫したテンションが確実にかかるように調整し、フィルムを、分析軸に沿って曲げなかった。供試体の長さを、温度23℃で測定された長さで規格化(normalized)した。
【0061】
CLTE試験法(a)では、供試体を、8℃まで冷却し、安定化させ、次いで、5℃/分で8℃から+240℃まで加熱した。CLTE値(α)を次式:
α=ΔL/(L×(T−T))
から誘導したが、式中、ΔLは、温度範囲(T−T)にわたる供試体の長さ変化の測定値であり、Lは23℃での供試体の元の長さである。CLTE値は、最高で温度Tgまで信頼性があると見なされる。
【0062】
データを、23℃に規格化した温度に対する供試体の長さ変化%の関数としてプロットすることができる。
【0063】
温度サイクリング試験法(b)では、方法(a)に類似の手順を使用し、温度を8℃と数種の高温間で循環させた。したがって、フィルム試料を8℃から140℃、160℃、180℃、または200℃まで加熱し、次いで、8℃まで冷却した。横断方向および機械方向それぞれに沿った長さを、この熱処理の前後で25℃で測定し、長さ変化ΔLを、元の長さのパーセンテージとして計算した。
【0064】
(vi)固有粘度(IV)
IVを、以下の手順を使用して溶融粘度測定法によって測定した。既知の温度および圧力での較正金型からの予備乾燥押出物の流動速度を、コンピュータに連結したトランスデューサーによって測定する。コンピュータプログラムが、実験的に求められた回帰式から溶融粘度値(log10粘度)および等価IVを計算する。コンピュータによって、時間(分)に対するIVのプロットを作成し、減衰速度を計算する。グラフをゼロ時間に外挿すると最初のIVおよび等価の溶融粘度が得られる。金型オリフィスの直径は、0.020インチであり、溶融温度は、最高0.80までのIVに対して284℃、およびIV>0.80に対して295℃である。
【0065】
(vii)酸素透過速度を、ASTM D3985を使用して測定する。
【0066】
(viii)水蒸気透過速度を、ASTM F1249を使用して測定する。
【0067】
(ix)表面平滑度
波長604nmの光源を使用するWyko NT3300表面観測記録装置を使用して、当技術分野でよく知られた慣用の非接触、白色光、相シフト干渉測定技法を使用して、表面平滑度を測定する。非特許文献7(その開示は参照により本明細書に組み込まれている)を参照して、該技法を使用して取得可能な特性を明らかにするためのデータとして以下が挙げられる:
平均パラメータ−平均粗さ(Ra):平均表面から測定され、評価区域内にある高さ変動測定値の絶対値の幾何平均。
平均パラメータ−二乗平均平方根粗さ(Rq):平均表面から測定され、評価区域内にある高さ変動測定値の二乗平均平方根の平均値。
極値パラメータ−プロファイルピーク高の最大値(Rp):平均表面から測定された評価区域内の最高ピークの高さ。
平均極値パラメータ−プロファイルピーク高の最大値の平均(Rpm):評価区域内の10個の最高ピークの幾何平均値。
極大ピーク高分布:200nmを超える高さのRp値の数量分布。
表面積指数:表面の相対平面度の目安
【0068】
従来の技法に従って、試料表面積の平均水準、または「平均表面」に対して、粗さパラメータおよびピーク高を測定する(ポリマー性フィルム表面は、完全に平面でない恐れがあり、その表面全体にわたりゆるやかな起伏を有する場合が多い。平均表面は、起伏および表面高さのずれを介して中心に流れる平面であり、平均表面の上下に等しい体積が存在するようにプロファイルが分割されている。)。
【0069】
1回の測定で走査する区域である、表面観測記録装置の「視野分野」内のフィルム表面の個別領域を走査することによって、表面プロファイル分析を行う。個別の視野分野を使用して、または連続した視野分野を走査することによりアレイを形成することによってフィルム試料を分析することができる。本明細書で行った分析では、各視野分野が480×736ピクセルを含むWyko NT3300表面観測記録装置の最大解像度が利用された。
【0070】
RaおよびRqの測定では、解像度を、倍率50倍を有する対物レンズを使用して上昇させた。生成した視野分野は、寸法90μm×120μmであり、ピクセルサイズは0.163μmである。
【0071】
RpおよびRpmの測定では、「視野分野の0.5倍拡大器」と組み合わせて倍率10倍を有する対物レンズを使用することによって全倍率5倍を得て、視野分野は、好都合にも拡大する。生成した視野分野は、寸法0.9mm×1.2mmであり、ピクセルサイズは1.63μmである。好ましくは、Rpは、100nm未満、より好ましくは、60nm未満、より好ましくは、50nm未満、より好ましくは、40nm未満、より好ましくは、30nm未満、より好ましくは、20nm未満である。
【0072】
本明細書のRaおよびRqの測定では、表面区域の同じ部分上の5回連続の走査の結果を合わせることによって平均値を得る。Rpに関して以下に示したデータは、100回の測定の平均値である。調節しきい値(信号:ノイズの比)10%を使用して、すなわち、しきい値未満のデータ点を不良データとして判別して、測定を行った。
【0073】
200nmを超える高さを有する極大ピークの存在に対しても、表面地勢を分析することができる。この分析では、全面積5cmにわたりピクセルサイズ1.63μmで一連のRp測定を実施した。データ点が、ピーク高の所定の範囲に割り付けられるヒストグラムの形態で、結果を示すことができ、例えば、ヒストグラムは、チャネル幅25nmのX軸に沿って、等間隔のチャネルを有する。ヒストグラムは、ピークカウント(y軸)対ピーク高(x軸)のグラフの形態で表すことができる。Rp値から求められた、面積5cm当り300から600nmの範囲の表面ピークの数を計算することができ、N(300〜600)として表すことができる。本発明で使用されるコーティングは、コーティングなしとありのN(300〜600)の比である低減Fが、少なくとも5、好ましくは、少なくとも15、より好ましくは、少なくとも30であるように、アニーリングされたフィルムのN(300〜600)の低減をもたらす。好ましくは、コートされ、続いてアニーリングされたフィルムのN(300〜600)値は、50未満、好ましくは、35未満、好ましくは、20未満、好ましくは、10未満、好ましくは、5ピーク/面積5cm未満である。
【0074】
「3次元表面積」および「ラテラル表面積」から以下のように表面積指数を計算する。試料面積の「3次元(3−D)表面積」は、ピークおよび谷を含む全露出3−D表面積である。「ラテラル表面積」は、ラテラル方向に測定された表面積である。3−D表面積を計算するために、表面高を有する4つのピクセルを使用することによってX、Y、およびZ次元の中心に位置する1つのピクセルを発生させる。次いで、4つの生成三角区域を使用することによって概略立方体の体積を生成させる。この4−ピクセル窓が、全体のデータの組を通って移動する。ラテラル表面積を、視野分野内のピクセルの数に各ピクセルのXYサイズを乗ずることによって計算する。表面積指数を、3−D表面積をラテラル面積で除することによって計算し、これは、表面の相対的な平面度の目安である。1に非常に近い指数は、ラテラル(XY)面積が、全3−D面積(XYZ)に非常に近い非常に平面的な表面を表す。
【0075】
本明細書で「PV95」と呼ばれるピークから谷の値は、平均表面プレーンに対する表面高の関数としての正および負の表面高の頻度分布から得ることができる。PV95値は、最高および最低の2.5%のデータ点を除外することによって分布曲線中のピークから谷の表面高データの95%を包含するピークから谷の高さの差である。PV95パラメータは、表面高のピークから谷の全体的な広がりの統計的に有意な目安を提供する。
【0076】
本発明を以下の実施例によってさらに例示する。実施例は、上記の本発明を制限するものではない。詳細部分の改変は、本発明の範囲を逸脱することなく実施することができる。
【実施例】
【0077】
(比較例1):非コートPENフィルムの調製
PENを含むポリマー組成物を押し出し、熱回転研磨ドラム上に流延した。次いで、フィルムを前方引張りユニットに供給し、そこで一連の温度制御ローラ上で押出方向にその元の寸法の約3.1倍まで延伸させた。引張り温度は約130℃であった。次いで、フィルムを、温度135℃の幅だしオーブン内を通過させ、そこで、フィルムを側面方向にその元の寸法の約3.4倍まで延伸させた。次いで、二軸延伸フィルムを、従来の手段によって最高235℃の温度で熱硬化させた後冷却し、リール上に巻き取った。全厚さは、125μmであった。次いで、熱硬化二軸延伸フィルムを、巻き戻し、次いで、最高温度が190℃である追加の組のオーブン内をフィルムを通過させることによって「ロールからロール」プロセスでさらに熱安定化させた。フィルムの支持を端部で外し、小さいラインテンション下でオーブンから輸送し、緩和させ、さらに安定化させた。
【0078】
参考例1〜9:非コートPENフィルムのアニーリング
比較例1の手順を繰り返し、そのプロセスによって得られた1枚のフィルムシートを、空気循環式オーブンでアニーリングすることによってさらに処理した。光学特性(ヘイズおよびTLT)と一緒に、条件を表1に要約する。
【0079】
【表1】

【0080】
アニーリングの温度を上昇させると、フィルム試料のヘイズが高くなることは明白である。各試料中で発達するヘイズは、環状オリゴマーの結晶によって引き起こされることは周知である。フィルムのバルク中に存在するオリゴマーは、表面まで拡散し、昇華し、結晶化する。このプロセスは、高温で強化され、温度の上昇とともにヘイズが顕著になることはデータから明白である。多数の用途では、この表面堆積は、性能を低下させ、フィルムの魅力を制限する恐れがある。本発明以外では、フィルム表面を清浄にするのに通常使用される技法が、高温でアニーリングされたフィルムを使用可能にするために必要となろう。本発明は、フィルムバルクからオリゴマーが移動するのを防止し、それにより、オリゴマーの表面への堆積を防止または最小化することによってアニーリング中にオリゴマー材料が表面に堆積することに取り組むものである。
【0081】
対照例1:コートPENフィルムの調製
押出方向(MD)に適用された引張り比を3.3まで増加させ、熱硬化段階で、ウェブの横断寸法を4%低減したことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。製造中また、フィルムの両方の表面をプライマーコーティングで処理することによって続いてのより厚いコーティングに対する接着性を向上させた。次いで、二軸延伸し、熱硬化され、表面プライマー処理され、オフラインで安定化されたフィルムを巻き戻し、硬化して硬い、平滑な仕上げ面になるように設計された材料を用いてコートすることによってさらに両方の面を改変し、再度、加熱、冷却し、再度巻き取った。コーティングは、前記され、特許文献13で開示された無機ハードコートの種類であった。これを調製した後に、以下のステップを適用した:
(i)メチルトリメトキシシラン(OSi Specialitiesから入手)517cmを、室温で脱塩水(demineralized water)1034cmに加え、24時間攪拌した。
(ii)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich Chemical Companyから入手)54cmを、室温で脱塩水108cmに加え、24時間攪拌した。
(iii)10%酢酸水溶液(Aldrich Chemical Company)53cmを、Ludox LSコロイダルシリカ(12nm)700cmに加えた。これに対して、加水分解された3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン/水混合物162cmおよび加水分解されたメチルトリメトキシシラン/水混合物1551cmを加えた。この混合物を、コーティングに供する前に12時間攪拌した。組成物の最終pHは、6.05であった。
【0082】
このコーティングをポリエステルフィルムの両方の表面に厚さ3μmまで施用し、熱で架橋させた。
【0083】
(実施例1〜9)
対照例1のコートPENフィルムのアニーリング
対照例1のフィルムの1枚のシートを、空気循環式オーブンでアニーリングすることによってさらに処理した。対応する光学特性(ヘイズおよびTLT値)と一緒に条件を表2に要約した。
【0084】
【表2】

【0085】
表1および2を比較すると、アニーリング手順の対象となるPENフィルムのそれぞれの側への適切なコーティングを施用する利点が分かる。コートフィルムの光学特性は、コーティングの結果として、非コートフィルムの光学特性より優れ、この品質は、最高195℃までのアニーリング温度で実際に示されている。
【0086】
アニーリングプロセスで生成するヘイズを低減するためのコーティングの使用をさらに調査するために、基板としてPENおよび/またはPETを使用して、以下の実施例10から16に記載のコーティング組成物を用いて対照例1の手順を繰り返した。PETフィルムは、本出願人から市販の厚さ125μmを有するMelinex(登録商標)ST506であった。硬化/乾燥後の最終乾燥コーティング厚さは2μmであった。次いで、コートフィルムを、約Tg+80℃(すなわち、PENフィルムに対して200℃;PETフィルムに対して150℃)で最長30時間オーブンでアニーリングし、ヘイズをその期間測定した。これらの条件下でアニーリングした場合、以下の結果を
(i)図1のグラフで示されるように、1.4%の元の平均ヘイズ値(すなわち、t=0時間)を示し、それが48.8%まで増加(47.4%の増加)した非コートPENフィルム;および
(ii)図2のグラフで示されるように、0.91%の元の平均ヘイズ値を示し、それが41.4%まで増加(40.5%の増加)した非コートPETフィルムと比較することができる。フィルム幅を横断して測定された3つの値の平均をとることによってヘイズ平均値を計算した。
【0087】
(実施例10)
溶媒メチルエチルケトン(2−ブタノン)中にモノマー性およびポリマー性アクリレート(メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートを含めて)の混合物と、光開始剤(Irgacure(商標)2959;Ciba)とを含む有機コーティング組成物を、粘度約1.22cP(センチポイズ)、固体26.5重量%(これらの固体の約1%は光開始剤である)で調製した。コーティングを80℃で乾燥し、次いで、UV照射によって硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、図3および4のグラフに示す。PENおよびPETフィルムの元のヘイズ平均値は、それぞれ、0.74%および0.48%であった。
【0088】
(実施例11)
MEK溶媒中にアクリレートモノマーと、シリカ粒子とを含むハイブリッド有機/無機コーティング組成物を、固体10%および粘度約1.7cPで調製した。コーティングを施用し、次いで、UV照射によって直ちに硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、図5および6のグラフに示す。PENおよびPETフィルムの元のヘイズ平均値は、それぞれ、0.88%および0.53%であった。
【0089】
(実施例12)
対照例1のコーティング組成物を上記のPET基板上にコートした。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、図7のグラフに示す。フィルムの元のヘイズ平均値は、0.50%であった。
【0090】
(実施例13)
PEI固体約5重量%で、水中にポリエチレンイミン(Sigma Aldrichコード 181978−8;平均分子量Mw約750,000)と、架橋剤(Cymel(商標)385)とを含むコーティングを基板上にコートし、180℃で熱硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、以下の表3および表4に示す。
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
(実施例14)
コーティング組成物の固体の約41重量%の濃度で存在するシリカ粒子と組み合わせたエポキシ樹脂を含む熱硬化性コーティング組成物は、アルコール溶液(イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、およびシクロヘキサノンの混合溶媒系)中で全固体として約10重量%を占める。組成物を室温で6時間攪拌し、コートし、次いで180℃で熱硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、図8および9のグラフに示す。PENおよびPETフィルムの元のヘイズ平均値は、それぞれ、0.65%および0.45%であった。
【0094】
(実施例15)
水性溶媒中にポリエステル(TPE 62C;Takemoto Oil and Fat Company、日本)と、架橋剤(Cymel(商標)385;Cytec)とを含む熱硬化性コーティング(全固体8%、その86%はポリエステルである)を、PEN基板上にコートし、180℃で熱硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、以下の表5に示す。
【0095】
【表5】

【0096】
(実施例16)
水性溶媒中に、コーティング組成物の24重量%のPVOH(Airvol(商標)24−203;Air Products)と、コーティング組成物の10重量%の界面活性剤(Caflon(商標)NP 10;Uniqema)と、各種の量の(組成物中に存在するPVOHの09、17、24、および29重量%)架橋剤(Cymel(商標)350;American Cyanamid)とを含むコーティング組成物をPEN基板上にコートし、180℃で熱硬化させた。最長30時間のアニーリングの後のコートフィルムのヘイズ測定値を、図10のグラフに示す。コートPENフィルムの元のヘイズ平均値は、0.73%(架橋剤なし)、0.74%(架橋剤9%)、0.76%(架橋剤17%)、0.59%(架橋剤24%)、および0.8%(架橋剤29%)であった。
【0097】
実施例10から16は、非コートフィルムに比較して、Tgを超えるアニーリングプロセス中のヘイズの形成を低減するための本明細書記載のコーティングの有効性をさらに実際に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】非コートPENの結果を示す図である。
【図2】非コートPETの結果を示す図である。
【図3】実施例10のPENのヘイズ測定結果を示す図である。
【図4】実施例10のPETのヘイズ測定結果を示す図である。
【図5】実施例11のPENのヘイズ測定結果を示す図である。
【図6】実施例11のPETのヘイズ測定結果を示す図である。
【図7】実施例12のPETのヘイズ測定結果を示す図である。
【図8】実施例14のPENのヘイズ測定結果を示す図である。
【図9】実施例14のPETのヘイズ測定結果を示す図である。
【図10】実施例16のPENのヘイズ測定結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg(℃))より上で前記フィルムをアニーリングする際に前記フィルム中にヘイズが形成されるのを防止または最小化することを目的とする、
(i)低分子量反応性希釈剤と、不飽和オリゴマーと、溶媒と、光開始剤とを含む有機コーティング;
(ii)低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分と、溶媒と、無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティング;
(iii)重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコート;ならびに
(iv)ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーと、架橋剤とを含む組成物
から選択されることを特徴とするコーティング組成物の使用。
【請求項2】
二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度より上で前記フィルムをアニーリングする際に、前記フィルム中にヘイズが形成されるのを防止または最小化する方法であって、
(a)ガラス転移温度(Tg(℃))を有する二軸配向ポリエステルフィルムを選択するステップと;
(b)前記二軸配向フィルムの一方または両方の表面上にコーティングを配置するステップと;
(c)そのガラス転移温度を超える温度で前記コート二軸配向ポリエステルフィルムをアニーリングするステップと
を含み、前記コーティング組成物が、
(i)低分子量反応性希釈剤と、不飽和オリゴマーと、溶媒と、光開始剤とを含む有機コーティング;
(ii)低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分と、溶媒と、無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティング;
(iii)重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコート;ならびに
(iv)ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーと、架橋剤とを含む組成物
から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記アニーリングは、Tgを超える温度Ta(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法または使用。
【請求項4】
前記アニーリングは、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたって行われ、次いでフィルムが次いで冷却されることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1時間≦t≦48時間であることを特徴とする請求項4に記載の方法または使用。
【請求項6】
1時間≦t≦24時間であることを特徴とする請求項4に記載の方法または使用。
【請求項7】
コーティングは、
(i)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性希釈剤と;アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマーと;溶媒と;光開始剤とを含む有機コーティングと;
(ii)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性成分ならびに/またはアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマー成分と;溶媒と;シリカおよび金属酸化物から選択される無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティングと;
(iii)ポリシロキサンから選択される重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコートと
から選択される組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項8】
コーティングは、
(i)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性希釈剤と;ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマーと;溶媒と;光開始剤とを含む有機コーティングと;
(ii)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性成分ならびに/またはウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマー成分と;溶媒と;シリカおよび金属酸化物から選択される無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティングと;
(iii)ポリシロキサンから選択される重合可能な無機が主であるマトリックス中に含有された無機粒子を含む無機が主であるハードコートと
から選択される組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項9】
コーティングは、モノマー性およびオリゴマーアクリレートと、光開始剤とを含むUV硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項10】
コーティングは、モノマー性アクリレートと、シリカ粒子と、光開始剤とを含むUV硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項11】
コーティングは、
(a)約10から約70重量%のシリカと、約90から約30重量%の、一般式RSi(OH)の部分的に重合した有機シラノールとを含む約5から約50重量%の固体であって、式中、Rは、メチル、ならびにビニル、フェニル、γ−グリシドキシプロピルおよびγ−メタクリルオキシプロピルからなる群から選択される最高約40%の基から選択される固体と、
(b)約10から約90重量%の水と、約90から約10重量%の低級脂肪族アルコールとを含む約95から約50重量%の溶媒と
を含む組成物から誘導され、前記コーティング組成物が、約3.0から約8.0のpHを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項12】
コーティングは、エポキシ樹脂と、シリカ粒子とを含む熱硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項13】
コーティングは、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーを含み、架橋剤をさらに含む組成物から誘導されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項14】
前記コーティング層は、1から20ミクロンの乾燥厚さを有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項15】
アニーリングされたコートフィルムは、10%未満のヘイズ値を示すことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項16】
Tgを超える温度Ta(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたってアニーリングした後、コートフィルムは、アニーリング前のコートフィルムのヘイズ値に対して10%以下の増加であるヘイズ値を示すことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項17】
ポリエステル基板の一方または両方の表面上の1つまたは複数のコーティングを支持する前記基板を含む二軸配向複合フィルムであって、前記コーティング組成物が、
(i)低分子量反応性希釈剤と、不飽和オリゴマーと、溶媒と、光開始剤とを含む有機コーティング;
(ii)低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分と、溶媒と、無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティング;ならびに
(iii)ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーと、架橋剤とを含む組成物から選択されることを特徴とする二軸配向複合フィルム。
【請求項18】
コーティングは、
(i)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性希釈剤と;アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマーと;溶媒と;光開始剤とを含む有機コーティングと;
(ii)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性成分ならびに/またはアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマー成分と;溶媒と;シリカおよび金属酸化物から選択される無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティングと
から選択される組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
コーティングは、
(i)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性希釈剤と;ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマーと;溶媒と;光開始剤とを含む有機コーティングと;
(ii)モノマー性アクリレートから選択される低分子量反応性成分ならびに/またはウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、およびポリエステルアクリレートから選択される不飽和オリゴマー成分と;溶媒と;シリカおよび金属酸化物から選択される無機粒子とを含み、任意選択で光開始剤をさらに含む有機/無機ハイブリッドコーティングと
から選択される組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項20】
コーティングは、モノマー性およびオリゴマーアクリレートと、光開始剤とを含むUV硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項21】
コーティングは、モノマー性アクリレートと、シリカ粒子と、光開始剤とを含むUV硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項22】
コーティングは、エポキシ樹脂と、シリカ粒子とを含む熱硬化性組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項23】
コーティングは、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエステル、およびポリビニルアルコール(PVOH)から選択される架橋可能な有機ポリマーを含み、架橋剤をさらに含む組成物から誘導されることを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項24】
前記コーティング層は、1から20ミクロンの乾燥厚さを有することを特徴とする請求項17から23のいずれかに記載のフィルム。
【請求項25】
前記ポリエステルは、ポリ(エチレンナフタレート)またはポリ(エチレンテレフタレート)であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法、使用、またはフィルム。
【請求項26】
前記ポリエステルは、ポリ(エチレンナフタレート)であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法、使用、またはフィルム。
【請求項27】
前記ポリエステルは、2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導されることを特徴とする請求項26に記載の方法、使用、またはフィルム。
【請求項28】
ポリ(エチレンナフタレート)は、0.5〜1.5の固有粘度を有することを特徴とする請求項26または27に記載の方法、使用、またはフィルム。
【請求項29】
前記二軸配向ポリエステルフィルムは、熱安定化熱硬化二軸配向フィルムであることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項30】
前記ポリエステル基板は、熱安定化熱硬化二軸配向フィルムであることを特徴とする請求項17から28のいずれかに記載の複合フィルム。
【請求項31】
前記熱安定化熱硬化二軸配向フィルムは、
(i)30分、230℃での1%未満の収縮;
(ii)8℃から200℃までフィルムを加熱し、次いで8℃まで冷却する前後で、25℃で測定した場合、0.75%未満の残留寸法変化ΔL;および/または
(iii)−40℃から+100℃の温度範囲内で40×10−6/℃未満の線形熱膨張係数(CLTE)
の1つまたは複数を示すことを特徴とする請求項29に記載の方法または使用、あるいは請求項30に記載の複合フィルム。
【請求項32】
フィルムは、Tgを超える温度Ta(℃)(Tg<T≦Tg+100(℃))で、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたってアニーリングした後、10%未満のヘイズ値を示すことを特徴とする請求項17から28、30または31のいずれかに記載の複合フィルム。
【請求項33】
Tgを超える温度Ta(℃)(Tg<Ta≦Tg+100(℃))で、熱平衡に達した後、時間t(1時間≦t≦72時間)にわたってアニーリングした後、コートフィルムは、アニーリング前のコートフィルムの元のヘイズ値に対して10%以下の増加であるヘイズ値を示すことを特徴とする請求項17から28、30、31または32のいずれかに記載の複合フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−526116(P2009−526116A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553830(P2008−553830)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000453
【国際公開番号】WO2007/091082
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】