説明

コードを取り扱うことの出来る送信装置、その制御方法、プログラム

【課題】 画像処理装置の送信手段の中には、紙に印字された二次元コードに埋め込まれた送信禁止情報の抽出が間に合わずに画像データを送信してしまう送信手段があった。
【解決手段】 画像処理装置に、スキャンした原稿に埋め込まれた二次元コードを検知するセキュリティモードが設定されている場合は、スキャンすると同時に送信を開始する送信手段を選択不可とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードを取り扱うことの出来る送信装置、その制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紙媒体に対するセキュリティ対策として、紙に印字された情報のセキュリティレベルに応じたコードを紙に印字しておく技術が考えられている。ここで、コードとは、例えばQRコードなどの二次元コードや一次元コード、あるいは、電子透かしなどを意味する。
【0003】
また、送信禁止情報が埋め込まれた原稿をスキャンした時に、QRコードから禁止情報を抽出して送信を禁止することが可能な画像処理装置が考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像処理装置の送信手段の中には、禁止情報を抽出できずに送信してしまう送信手段がある。それは、スキャンと同時(正確にはスキャンが終了する前に)に画像データを送信し始めるダイレクト送信という手段である。
【0005】
ダイレクト送信の説明をする前に、通常送信の手順を説明して、その後、ダイレクト送信での手順と比較しながら課題を説明していく。
【0006】
まず、画像処理装置の通常送信の手順について説明する。スタートボタンが押下されたことを検知した画像処理装置は、まず始めに、原稿台におかれた原稿のスキャンを行う。スキャンにより生成された画像データは、一旦画像処理装置内のメモリに格納される。スキャン終了後、例えばユーザが設定した送信開始時刻になったら、回線を補足するなどの送信動作を開始し、画像データを送信先に送信する。
【0007】
スキャンしてから送信するまでの間、画像データはメモリに格納されるので、画像処理装置は、メモリ内に格納された画像データを解析することが可能である。よって、画像処理装置は、画像データ内に二次元コードが埋め込まれているかどうかを送信前に知る事が出来る。
【0008】
図9は、FAXの通常送信でのフローを示したものである。このフローを用いて、詳細なFAX通常送信手順について説明していく。最初、ステップS901で、画像処理装置は、ユーザによりUI上のFAX送信キーが押下された事を検知し、送信手段として通常送信を選択する。その後、ステップS902で、画像処理装置は、ユーザのUIキー操作によって、送信先の電話番号入力を受け付ける。画像処理装置は、ステップS903でスタートキーが押下された事を検知すると、ステップS904でスキャンを開始する。画像処理装置は、ステップS905でスキャンにより生成された画像データを予め決められた画像処理装置内のメモリに格納する。その後、発呼動作を開始し(ステップS907)、画像データを送信するために電話回線を補足する(ステップS908)。回線が補足できたら、ステップS909として、送信先の画像処理装置との通信プロトコルを決定するためトレーニング通信等の前手順と呼ばれる通信を行う。ステップS909の前手順終了後、画像データを送信先へ送信する(ステップS910)。画像データの送信が終了したら、画像処理装置は、補足していた電話回線を切断するための後手順を実行し(ステップS911)、回線を切る(ステップS912)。
【0009】
次に、ダイレクト送信手段について説明する。これは、原稿のスキャン開始と同時に画像処理装置が送信動作を開始し、ユーザに対して、送信先に実際に送信している感覚やリアルタイム感を感じさせる事が出来る送信手段である。リアルタイムに画像データを送信する送信手段を総称して、ダイレクト送信と呼ぶ事とする。更に、本明細では、ダイレクト送信で特にユーザメリットが大きいFAXダイレクト送信を例に挙げて説明をしていくが、本発明はFAXダイレクト送信のみに限られたものでない事は、明確である。
【0010】
図1は、FAXのダイレクト送信でのフローを示したものである。このフローを用いて、詳細なFAXダイレクト送信手順について説明していく。
【0011】
最初、ステップS101で、画像処理装置は、ユーザによりUI上のFAXダイレクト送信キー(キーとは、本明細書において、画面上に存在するソフトボタン、あるいは装置に存在するハードボタンの両方を含む。)がユーザにより押下(選択)された事を検知し、送信手段としてダイレクト送信を選択する。その後、ステップS102で、画像処理装置は、ユーザのUIキー操作によって、送信先の電話番号入力を受け付ける。画像処理装置は、ステップS103でスタートキーが押下された事を検知すると、即座に発呼動作を開始し(ステップS104)、画像データを送信するために電話回線を補足する(ステップS105)。回線が補足できたら、ステップS106として、送信先の画像処理装置との通信プロトコルを決定するためトレーニング通信等の前手順と呼ばれる通信を行う。ステップS106の前手順終了後、画像処理装置は原稿スキャンを開始する(ステップS107)と同時に、画像データを順次送信先へ送信する(ステップS108)。原稿のスキャンが終了したら(ステップS109)、画像処理装置は、補足していた電話回線を切断するための後手順を実行し(ステップS110)、回線を切る(ステップS111)。
【0012】
ここで、ステップS107、ステップS108で説明したように、画像処理装置は、スキャンを開始すると同時に画像データを順次送信先へと送信していく。この時の画像処理装置の動作について、更に詳細に説明を行う。
【0013】
画像処理装置は、ダイレクト送信時は、事前に画像処理装置に設定された設定に基づき、一ページの原稿をあるブロックごとに分けてスキャンをし、送信していく。
【0014】
例えば、図2では、ダイレクト送信時のブロックとして、主走査方向に5等分されたブロックA,ブロックB,ブロックC,ブロックD,ブロックEが設定されている。
【0015】
図3として、画像処理装置内部のメモリについて示す。画像処理装置内のメモリには、ダイレクト送信時に使用していいエリアとして、ブロック1、ブロック2の領域が割り当てられている。ブロック1およびブロック2は、ブロックA〜E夫々1ブロック分の画像データが格納できる領域が確保されている。
【0016】
図4として、ダイレクト送信を行う時に、画像処理装置のスキャンしている原稿のブロック、画像処理装置内のメモリのブロック1及び2に格納されている画像データ、送信先へ送信されているブロックをタイムチャートで示す。また、スタートボタンの押下を検知してからの時間軸をア、イ、ウ、、、キ、クまで分割した形で示した。ダイレクト送信を行う時の画像処理装置は、区間アで、原稿の先頭であるブロックAのスキャンを行い、ブロックAの画像データをメモリ内のブロック1に格納していく。格納が終わったら、メモリ内部の画像データを解析する。送信可能であれば、画像処理装置は、発呼/回線補足/前手順を開始する。
【0017】
次に、区間イでは、画像処理装置は、ブロック1から解析後送信可能と判断されたブロックAの画像データを送信先へと送信開始する。画像処理装置は、ブロックAの画像データの送信が終了したら、ブロック1内に格納されていたブロックAの画像データを削除する。この時、画像処理装置はブロックBのスキャンを継続している。
【0018】
区間ウで、画像処理装置はブロックCのスキャンを開始すると同時に、区間イでブロック2に格納されたブロックBの画像データを送信先へと送信開始する。
【0019】
このように、画像処理装置はこの一連の動作を繰り返し、送信先へスキャンと同時に画像データを送信していく。区間キで、ブロックFの画像データが送信し終わると、区間クで後手順/回線断を行い、一連の送信動作を終了する。
【0020】
ここで、原稿の後端に、セキュリティ情報を含む二次元コードが配置されていた場合を考えてみよう。例として、図5に示すように、原稿の後端のブロックFの位置にQRコードが配置されており、このQRコードには、送信禁止のセキュリティ情報が含まれているものとする。
【0021】
画像処理装置は、ブロックEをスキャンして画像データを生成し、その画像データを解析するまでは、この原稿にセキュリティ情報が埋め込まれているとは分からない。
【0022】
よって、このような原稿をダイレクト送信で送信しようとすると、画像処理装置は、ブロックEの画像データからセキュリティ情報を抽出する前に、ブロックA、ブロックB、ブロックC、ブロックDの画像データを送信先に送信してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するため、本発明に係る装置は、例えば請求項1に記載の構成を有する事となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明が先行技術に比べて優れているといえる点は、ダイレクト送信で送信禁止情報が埋め込まれた原稿を送信しようとした時に、セキュリティ情報の情報抽出が間に合わずに送信されてしまう事がない画像処理装置を実現出来る点である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】FAXダイレクト送信時のフローチャートを示す図
【図2】原稿に設定される読取ブロックの例を示す図
【図3】画像処理装置内部のメモリ領域の例を示す図
【図4】FAXダイレクト送信時のタイムチャートを示す図
【図5】実施例1等で想定される、二次元コードを含む原稿の例を示す図
【図6】システム図を示す図
【図7】実施例1において、セキュリティモードを設定する時の表示部の例を示す図
【図8】実施例1のフローチャートを示す図
【図9】FAXダイレクト送信時のフローチャートを示す図
【図10】ダイレクト送信を選択不可とした時の表示部の例を示す図
【図11】ダイレクト送信を選択可とした時の表示部の例を示す図
【図12】実施例2のフローチャートを示す図
【図13】実施例2のタイムチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明していく。
【実施例1】
【0027】
図6は、実施例1のシステム図である。実施例1のシステムは、画像処理装置としてのMFP10のみで成り立っている。ここで、本実施例のシステムは、スキャンにより生成した画像データを、送信手段を用いてリアルタイムに送信先に送信できる画像処理装置であれば何でも良く、MFP(マルチファンクションプリンタ)に限られるものではない。
【0028】
MFP10からの送信手段として、本実施例1では最も好適な例として、FAX送信の場合で説明を行って行く。しかし、前にも述べたが、本発明の主旨として、送信手段はFAX送信に限らず、リアルタイムに画像データ(画像データとは、読取手段による読取結果のことである。もちろん、読取り手段による読取結果に画像処理を行った後の画像データも、単に読取結果と称することがある。)を送信できる送信手段であれば良いことは、容易に理解できよう。
【0029】
また、MFP10は、原稿20に印字された二次元コードを検出し解析するかどうかのモード設定を切り替える事が可能である。このモードの事を、以降、便宜上セキュリティモードと呼ぶこととする。
【0030】
ここで、セキュリティモードの設定方法に関して、図7を用いて説明を行う。図7は、MFP10に対して、セキュリティモードを設定する時の一例である。MFP10の管理者もしくは管理権限を持つユーザのみがアクセスできるMFP10設定UI表示に、セキュリティモードのON(有効)/OFF(無効)を切り替えるボタン表示を行う。この画面で、セキュリティモードONのボタンを押下されると、MFP10はスキャンした画像からQRコードにより埋め込まれたセキュリティ情報を抽出し、抽出した情報に従った動作(制御)を実行する。このような制御をユーザが希望する場合には、ON(有効)のボタンを押すことになる。一方、セキュリティモードOFFのボタンを押下されると、MFP10はスキャンした画像からQRコードにより埋め込まれたセキュリティ情報の抽出を一切行わない。このような制御をユーザが希望する場合には、OFF(無効)のボタンを押すことになる。
【0031】
図6のシステム図の説明に戻る。MFP10でスキャンする原稿20には、セキュリティ情報が含まれたQRコードが印字されている。原稿20にセキュリティ情報を埋め込む手段は、可視の二次元コードであれば何でもよいが、ここでは、QRコードによりセキュリティ情報が埋め込まれている例で説明を行っていく。
【0032】
ユーザは、この原稿20をMFP10の原稿台にセットし、MFP10の有する送信手段タブ(SENDとFAXの二つのタブ)のうち、FAXタブを押下してFAX送信を選択する。
【0033】
MFP10のFAX送信手段としては、通常送信とダイレクト送信(読取りが終了する前に通信を開始する送信)の2種類がある。ここで、MFP10はセキュリティモードがONに設定されている為、図10に示すように、FAXタブ内の表示で、ダイレクト送信ボタンをグレーアウト表示し、ユーザに選択させないようにする。即ち、ダイレクト送信を禁じるのである。なお、もちろん、OFFに設定されている場合には、ダイレクト送信ボタンを有効な状態(即ち、非グレーアウト表示)とし、ダイレクト送信を許可する。
【0034】
スタートボタンの押下によりスキャンを開始したMFP10は、画像データを一旦MFP10内部のメモリ30に格納し、QRコードを検出してコードに含まれているセキュリティ情報を解析する。
【0035】
解析した結果、QRコードが印字されていなかった場合か、送信可のセキュリティ情報が抽出された場合は、メモリ30に格納した画像データをユーザの設定に従って送信先へ送信する。
【0036】
解析した結果、送信不可のセキュリティ情報が抽出された場合は、メモリ30に格納した画像データを消去し、またUI上にエラー表示をする、若しくはエラー音を鳴らすなどして、送信をエラー終了する。
【0037】
実施例1におけるMFP10の処理フローについて、図8のフローチャートを用いて、より詳細に説明を行っていく。尚、図8のフローチャートにおける全てのステップの処理は、MFP10内にある不図示のCPUにより統括的に制御される事で実行可能となる処理である。
【0038】
MFP10は、ステップS801で、UI画面上でユーザからの指示により、送信手段として、FAX送信を選択する。次に、ステップS802に進み、MFP10はセキュリティモードがONに設定されているか否かを判断する。
【0039】
ステップS802でセキュリティモードがONであった場合、ステップS803に進み、ステップS801で選択した送信手段にダイレクト送信手段があるか否かを判断する。つまり、ステップS803において、ダイレクト送信手段があった場合は、ステップS804に進む。例えばFAX送信手段であれば、FAX通常送信とFAXダイレクト送信手段がある。よって、ステップS801でFAX送信を選択していた場合、ステップS803ではダイレクト送信手段が有るので、ステップS804へ進む。ステップS804で、MFP10は、ダイレクト送信を実行するボタンをグレーアウトする、ダイレクト送信ボタンそのものを表示しない、など通常とは異なるUI表示をする。よって、ユーザはUI上でダイレクト送信が選択できないため、ダイレクト送信以外の送信手段を選択する。MFP10は、ユーザからダイレクト送信手段以外の選択指示を検知したら、ステップS805に進む。
【0040】
尚、ステップS803でダイレクト送信手段が無かった場合、MFP10はこのステップS804の処理を行う事なく、ステップS805に進む。例えばSEND送信手段は、通常送信手段のみ有している。よって、ステップS801でSEND送信を選択していた場合、ステップS803ではダイレクト送信手段がないので、ステップS805へ進む。
【0041】
MFP10はステップS805でスタートボタンが押下された事を検知したら、ステップS806に移行して、原稿台に置かれた原稿20のスキャンを開始する。そして、スキャンにより生成した画像データを予め決められたMFP10内部のメモリ領域に格納する(ステップS807)。ステップS808でスキャンが終了した時に、MFP10内部のメモリ領域には、今回のスキャンにより生成した画像データが全て格納されている状態となる。
【0042】
MFP10は、ステップS809に進み、メモリ30内に格納された画像データの解析を行う。まず、MFP10は、メモリ30内に格納された画像データ内にあるQRコードを検出する。QRコードが検出されたら、QRコードのデコード処理を行って、そのQRコードに含まれるセキュリティ情報を抽出する。
【0043】
ステップS809の解析結果、QRコードに含まれていたセキュリティ情報が送信可であると判断できたら、MFP10は回線を補足し(ステップS810)、メモリ30に格納されている画像データを送信先へと送信する(ステップS811)。送信が終了したら、回線を切断し(ステップS812)、一連のFAXダイレクト送信動作を終了する。
【0044】
ステップS809の解析結果、QRコードに含まれていたセキュリティ情報が送信不可であると判断できたら、MFP10はステップS813に移行し、メモリ30内に格納されている画像データを削除して送信を中止する。そして、一連のFAXダイレクト送信動作をエラー終了する。
【0045】
このエラー終了をユーザに通知する手段としては、UI上にエラー表示をする、エラー音を鳴らす、エラー終了のレポートを出力する等の手段が考えられる。ユーザへの通知手段として、これら以外の方法で通知することも考えられるが、どんな通知手段をとったとしても、本発明の本質に関わるものではない。
【0046】
一方、ステップS802でセキュリティモードがOFFだった場合のMFP10の処理について説明をしていく。ステップS851に進み、MFP10はユーザからUI上のボタン押下等の指示により、通常送信かダイレクト送信かを検知する。この時のMFP10のUI表示は図11に示すような表示となる。
【0047】
ダイレクト送信が選択された場合はステップS852に進み、ステップS852からダイレクト送信動作を行う。これは、先ほど図1で説明した、FAXダイレクト送信手順ステップS103からステップS110までと同じ手順である。よって、ステップS852からステップS856までの説明は、ここでは割愛する。
【0048】
ダイレクト送信が選択されなかった場合はステップS861に進み、ステップS861から通常の送信動作を行う。これは、先ほど図9で説明した、FAX通常送信手順ステップS903からステップS911までと同じ手順である。よって、ステップS861からステップS866までの説明は、ここでは割愛する。
【実施例2】
【0049】
本実施例では、実施例1でユーザに選択不可としてしまったFAXダイレクト手段が選択できた場合でも、原稿20に印字されたセキュリティ情報に反する事なく画像データを送信できるシステムについて述べる。
【0050】
実施例2におけるMFP10の処理フローについて、図12のフローチャートを用いて、説明を行っていく。ここで、実施例2においては、MFP10のセキュリティモードはONである前提で説明を行っていく。MFP10のセキュリティモードがOFFであった場合は、図9のステップS903〜ステップS911と同じ処理が以降、実行されていくため、ここではステップS1251〜ステップS1259までの説明を割愛する。
【0051】
MFP10は、ステップS1201で、UI画面上でユーザからの指示により、送信手段としてFAX送信を選択し、相手先の電話番号の入力を受け付ける。ステップS1202では、図11に示すようなUI表示を行い、ユーザが通常送信かダイレクト送信かを選択できる。
【0052】
ステップS1202でダイレクト送信が選択された場合、ステップS1203に進み、MFP10はスキャンのブロック単位をページ単位へと切り替える。スキャンのブロック単位とは、図2で説明したように、原稿20を主走査方向で分割するスキャン範囲の事であり、ステップS1203では、これを主走査方向に1分割した範囲をブロック単位とするという事である。これにより、MFP10内部のメモリ領域も、原稿一ページの画像データを格納できる領域を確保する必要がある。
【0053】
スキャンするブロック単位をページ単位に切り替えたら、ステップS1204に進み、スタートボタン押下をきっかけに、MFP10は回線補足及びスキャンを開始する(ステップS1205)。そして、ステップS1206に進み、1ページ目の画像データがメモリ30に格納されたら、ステップS1207でその画像データの解析を行う。
【0054】
ステップS1207で、1ページ目の画像データに含まれるセキュリティ情報が送信可である、若しくはセキュリティ情報が含まれていなかった場合、MFP10は送信可の情報として1ページ目の画像データを送信する。ステップS1207で送信不可のセキュリティ情報が検出された場合は、エラー終了する。
【0055】
ステップS1208で1ページ目のデータを送信したあと、MFP10は次のページがあるかどうかを判断する(ステップS1209)。原稿20が複数枚であった場合、ステップS1206に戻り、次のページのスキャン、解析、送信を繰り返し行っていく。
【0056】
図12として、セキュリティモードON時のダイレクト送信実行時のタイムチャートでスキャン、解析、送信の夫々の処理で、どのページを処理しているかを示す。
【0057】
区間ア、イで、1ページ目の原稿をスキャンしてメモリ30内部に格納する。この時、1ページ目の解析は終了していないが、MFP10は図4で説明した回線補足及び前手順のタイミングと同じタイミングで、回線補足及び前手順を実行する。区間アで回線補足及び前手順を実行後、実際に1ページ目の画像データを送信するまでの区間エまで、回線を補足したままの状態となる。これにより、従来のダイレクト送信と同じタイミングで回線補足及び前手順が実行されているので、ユーザに対して従来と同等のダイレクト送信が実行されている事を認識させる事が可能となる。
【0058】
区間ウで1ページ目のデータを解析すると同時に、2ページ目のスキャンも開始する。尚、本実施例の説明では2ページ分のメモリ30領域が確保されていると仮定しているため、2ページ目のスキャンが開始できる。仮に、1ページ分のメモリ30領域しか確保されていなかった場合は、区間ウでは2ページ目のスキャンは開始されない事となる。
【0059】
区間エでは、区間ウで解析した結果1ページ目の画像データが送信可能であったため、送信を開始する。平行して、2ページ目のスキャンも行われている。
【0060】
区間オでは、1ページ目の画像データ送信、2ページ目の画像データ解析、3ページ目のスキャンが同時並行で処理されている。
【0061】
区間カでは、1ページ目の送信が終わり、2ページ目の送信が開始されると同時に、3ページ目のスキャンが続けられている。
【0062】
区間ケで、3ページ目の送信が終わると、後手順を実行し、回線を切断して、一連のFAX送信動作を終了する。
【0063】
また、上記実施例等では、データを格納する媒体としてメモリ30を用いて説明を行ったが、データを格納できる媒体であれば良く、HDDやRAMなどでもよい。
【0064】
また、上記実施例等では、MFP10が原稿20をスキャンすることを前提に説明したが、スキャンでなくても、原稿20上の画像を光学的に読み取れることが出来れば代替可能である。例えば、デジタルカメラによる撮影などによって画像を取り込んだとしても、本発明の目的を達成する事ができる。
【0065】
また、上記実施例等では、画像の読取り、情報の抽出・選択、画像のシート上への印字のいずれもが可能なMFP10を用いて説明したが、画像の読取りや各ステップ処理、画像のシート上への印字を行う装置が夫々別の装置であっても構わない。もちろん、各ステップの処理が、夫々、別の装置で行われても良いのは言うまでもない。
【0066】
なお、本明細書では、少なくとも図8に記載した全ステップのうちたった一つのステップでも、そのステップに該当する処理を行う事ができる装置を画像処理装置と称する。
【0067】
さらには、図8に記載した全ステップのうちたった一つのステップでも、そのステップに該当する処理を行うことができ、さらに、画像のシート上への印字とを行う事が出来る装置を画像形成装置と称する。
【0068】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0069】
10 MFP
20 原稿
30 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段で前記原稿の読み取りが終わる前に、前記読取手段による読取結果を送信するための通信を開始する通信手段を有する送信装置であって、
前記読取手段による読取結果に含まれたコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが有効な場合には、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を前記原稿の読み取りが終わる前に開始することを禁じ、
前記読取手段での読取結果に含まれるコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが無効な場合には、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を前記原稿の読み取りが終わる前に開始する事を許可する制御手段を有することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記読取手段による読取結果に含まれたコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが有効な場合には、
前記制御手段は、前記読取手段で前記原稿の読み取りが終わる前に、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を開始することをユーザが希望する際に押下されるボタンをグレーアウトすることを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段で前記原稿の読み取りが終わる前に、前記読取手段による読取結果を送信するための通信を開始する通信手段を有する送信装置の制御方法であって、
前記読取手段による読取結果に含まれたコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが有効な場合には、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を前記原稿の読み取りが終わる前に開始することを禁じ、
前記読取手段での読取結果に含まれるコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが無効な場合には、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を前記原稿の読み取りが終わる前に開始する事を許可する制御工程を有することを特徴とする送信装置の制御方法。
【請求項4】
前記読取手段による読取結果に含まれたコードを検知し、当該検知されたコードに含まれる情報に応じた制御を行うモードが有効な場合には、
前記制御工程では、前記読取手段で前記原稿の読み取りが終わる前に、前記通信手段が前記読取結果を送信するための通信を開始することをユーザが希望する際に押下されるボタンをグレーアウトすることを特徴とする請求項3に記載の送信装置の制御方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−146758(P2011−146758A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3627(P2010−3627)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】