説明

コードレス電話装置

【課題】 おやすみモード中に特定の電話番号からの着信があった場合に、複数の端末に対して着信音の鳴動を許可するコードレス電話装置を提供する。
【解決手段】 親機と、当該親機と無線接続可能な複数の子機とからなり、予め設定した時間帯には着信音の鳴動を禁止する機能を有するコードレス電話装置であり、前記予め設定した時間帯における着信であっても着信音の鳴動を許可する電話番号を登録する電話番号登録機能と、当該電話番号登録機能により登録された電話番号と前記親機及び/又は前記子機とを対応付けて登録する端末登録機能と、を有し、前記予め設定した時間帯であっても、前記電話番号登録機能により登録された電話番号からの着信であれば、前記電話番号に対応する前記端末登録機能により登録された親機及び/又は子機のみからの着信音の鳴動を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機と当該親機と無線接続可能な子機とからなるコードレス電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されている電話機には、深夜といった就寝中にあった着信に対しては着信音を鳴動させない機能を設けた電話機が存在する。ユーザはこの機能を使用することによって睡眠が妨害されることを回避することが可能となる。
【0003】
しかしながら、この機能を使用すると、緊急の相手先からの着信に対しても着信音が鳴動されないために、緊急の着信に対して直ちに応答できないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、引用文献1では、着信の際に着信音が鳴動しない非鳴動モードに設定している状態であっても緊急の相手先から着信があった際は、強制的に着信音を鳴動するようにした通信端末装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−326766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、着信音非鳴動モード中であっても強制的に着信音を鳴動させるので、例えば、親機と複数の子機で構成されるコードレス電話装置においては、全ての子機と親機で着信音の鳴動がなされてしまう。
【0007】
例えば、家族でコードレス電話を使用している場合には、緊急の相手先からの着信があっても、間違えて電話をかけてくる場合や、家族の特定の人間にだけ緊急である旨を連絡すれば良い場合もあり、このような場合であっても、全ての子機と親機で着信音が鳴動されれば家族全員が夜中に起こされてしまい、不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、例えば、深夜に緊急の相手先からの着信があっても、特定の子機(又は親機)のみ着信音の鳴動を許可し、他の子機(又は親機)には着信音の鳴動を許可しないようにするものである。より具体的には、例えば赤ちゃんといった夜中に起きられては困る家族の一員が寝ている部屋の子機の着信音は、緊急の相手先からの着信であっても鳴動しないようにし、一方、お父さんやお母さんといった緊急の相手先からの着信に対しては必ず応答すべき家族の一員が寝ている部屋の子機(又は親機)の着信音は、緊急の相手先からの着信があると必ず鳴動させるようにしている。
【0009】
本発明は、親機と、当該親機と無線接続可能な複数の子機とからなり、予め設定した時間帯には着信音の鳴動を禁止する機能を有するコードレス電話装置であり、前記予め設定した時間帯における着信であっても着信音の鳴動を許可する電話番号を登録する電話番号登録機能と、当該電話番号登録機能により登録された電話番号と前記親機及び/又は前記子機とを対応付けて登録する端末登録機能と、を有し、前記予め設定した時間帯であっても、前記電話番号登録機能により登録された電話番号からの着信であれば、前記電話番号に対応する前記端末登録機能により登録された親機及び/又は子機のみからの着信音の鳴動を許可することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、特定の時間帯に特定の相手からの着信に対しては着信音の鳴動を許可する親機、子機を設定することが可能である。このため、より具体的には、夜中に着信音が鳴って困る家族の一員(例えば赤ちゃん)のいる部屋に対しては着信音を鳴動させず、一方、緊急の相手先からの着信に対しては必ず応答する必要のある家族の一員(例えばお父さん、お母さん)のいる部屋に対しては着信音を鳴動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るコードレス電話装置の外観図である。
【図2】本発明の実施例に係る親機20のブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る子機30〜50のブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係る親機20のRAM243に格納されている情報を説明するための図ある。
【図5】本発明の実施例に係る親機20の各種設定手順を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施例に係るおやすみモードを起動中に予め設定した電話番号からの着信があった際の親機20の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用してなる実施例装置であるコードレス電話装置について説明する。尚、本実施例装置は、本発明の技術思想を具体化するためのデジタルコードレス電話装置について例示しているが、その他のアナログコードレス電話装置、或いはコードレス電話の機能を搭載したファクシミリ装置等にも同様に本発明を適用することが可能である。
【実施例】
【0013】
本発明を適用してなる実施例装置であるコードレス電話装置10は、図1に示すように親機20と、当該親機20と無線接続可能な子機30、40、50とからなる。
【0014】
次に、コードレス電話装置10を構成する親機と子機の回路構成について図2、図3を用いて説明する。尚、図2は親機20の回路構成を示すブロック図であり、図3は子機30の回路構成を示すブロック図である。
【0015】
電話回線制御部21は、公衆回線Lと接続されており、公衆回線Lの極性反転の検出、公衆回線Lからの着信信号の検出、公衆回線LへのDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号やパルスダイヤル信号からなる電話番号の送出を行うものである。更には、回線Lからの発呼側電話番号の情報の受信も行う。
【0016】
音声信号処理部22は、例えばDSP(Digital Signal Processor)からなり、電話回線制御部21、制御部24、ハンドセット25、スピーカー255、マイク256と接続され、電話回線制御部21を介して公衆回線Lから受信した音声信号をハンドセット25、スピーカー255に送出する機能や、ハンドセット25、マイク256から入力した音声信号を電話回線制御部21へ送出する機能、無線部23にて受信し復調した音声信号を入力し電話回線制御部21へ送出する機能、電話回線制御部21から入力した音声信号を無線部23へ出力する機能等を有する。又、音声信号処理部22は、制御部24からの制御信号に基づいて、上述した音声通路の切換を行う。
【0017】
無線部23は、アンテナ29と接続されており、アンテナ29を介して子機30、40、50から受信した信号の復調や、子機30、40、50へ送信する信号の変調等を行う。
【0018】
制御部24は、親機20内部の各回路と接続されており各回路の制御を司る。制御部24は、後述するROM(Read Only Memory)242に格納されているシステムプログラムに基づいて各回路の制御を行う。
【0019】
ROM242は、制御部24が動作するためのシステムプログラムを格納している。
【0020】
RAM(Random Access Memory)243には、電話番号と氏名が対で複数格納されている電話帳の情報や、発呼履歴や着信履歴の情報、特定相手からの電話番号等の各種情報が格納されており、又、RAMには、おやすみモードに関連する情報も格納されている。おやすみモードに関連する情報とは、現在装置がおやすみモードになっているか否かを示すフラグであるおやすみモードフラグと、当該おやすみモードフラグがオンとなっている際に着信音を鳴らさないようにする時間帯の情報(例えば、夜の11時から朝の7時といった情報)と、おやすみモードフラグがオンとなっている状態で、緊急の着信に対して着信音を鳴動する端末(親機20、あるいは子機30〜50のいずれか又はこれら全て)の情報が格納されている。
【0021】
具体的には、図4に示すように、電話番号とその電話番号からの着信があると着信を鳴動する端末(親機20、あるいは子機30〜50のいずれか又はこれら全て)の情報が格納されている。例えば、電話番号「090−××××−○○○○」には○が付されている端末である親機20が対応付けられており、おやすみモード中に電話番号「090−××××−○○○○」から着信があると親機20のみ着信を鳴動し、子機30〜50からは着信音が鳴動されない。言うまでもないが、図4は説明しやすいように記載した図であり、実際には、電話番号の情報と端末の情報とが対応付けられて2値のバイナリデータでRAM242に格納されている。尚、おやすみモードフラグと、時間帯の情報は図4にて図示していない。
【0022】
ハンドセット25は、音声信号処理部22と接続され、スピーカー251とマイク252からなり、マイク252から入力された音声信号はアンプ254で増幅された後に音声信号処理部22へ入力される。一方、音声信号処理部22からの音声信号はアンプ253で増幅された後にスピーカー251から出力される。又、音声信号処理部22からの音声信号は、スピーカー255より着信音として出力される。
【0023】
表示部26は、制御部24と接続され、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等から構成される表示ユニットであり、着信相手側の電話番号や氏名、通話時間を表示する。
【0024】
入力部27は、制御部24と接続され、図示せぬテンキー、メニュー決定キー、通話キー、子機呼び出しキー、おやすみモード設定キー等を有する。
【0025】
フック検出部28は、制御部24と接続され、ハンドセット25のオンフックやオフフックを検出する。
【0026】
次に、子機30の回路構成について図3を用いて説明する。
【0027】
音声信号処理部32は、制御部34、スピーカー351、マイク352と接続され、無線部33から入力した音声信号をスピーカー351に送出する機能や、マイク352から入力した音声信号を無線部33へ送信する機能等を有する。又、音声信号処理部32は制御部34からの制御信号に基づいて、上述した音声通路の切換を行う。
【0028】
無線部33は、アンテナ38と接続されており、アンテナ38を介して親機20から受信した信号の復調や、親機20へ送信する信号の変調等を行う。
【0029】
制御部34は、子機30内部の各回路と接続されており各回路の制御を司る。制御部34は、後述するROM371に格納されているプログラムに基づいて各回路の制御を行う。
【0030】
音声信号処理部32からの音声信号は、着信音としてスピーカー351から出力される。
【0031】
ROM371は、制御部34を駆動させる為の制御プログラムを格納しており、RAM372は、例えば電話番号と氏名の対を複数格納する電話帳機能や、着信履歴のデータ、特定相手からの電話番号等を格納する機能を有する。
【0032】
表示部361は、制御部34と接続され、電話番号や相手側の氏名、通話時間等を表示する。
【0033】
入力部362は、制御部34と接続され、図示せぬテンキー、通話キー、切キー、機能キー等の各種キーを有する。
【0034】
尚、子機40、50については子機30と同一の回路構成のため、説明は省略する。
【0035】
次に、親機20において、待受中におやすみモードの起動設定後、特定相手の電話番号を登録し、呼び出し先の端末を設定するための各種設定手順を図5のフロー図に基づいて説明する。尚、おやすみモードとは夜中等の就寝時といったユーザが設定した時間帯に着信音を鳴動させない機能である。
【0036】
S11ステップにおいて、待受中に制御部24は、入力部27からおやすみモード設定操作があると、設定された情報をRAM243に格納する。
【0037】
具体的には、制御部24は、入力部27からの操作に基づいてRAM243に格納されているおやすみモードのフラグをオンすると共に、RAM243におやすみモードを開始する時刻と終了時刻の情報を格納する。このようにしておやすみモードの設定情報がRAM243に格納される。
【0038】
次にS12ステップにおいて、おやすみモードを実行している時間帯であっても着信音の鳴動を許可する相手先の電話番号の登録を行う。具体的には、制御部24は、入力部27から電話番号の入力操作があると判定すると、この電話番号をRAM243に格納する。
【0039】
続いて、S13ステップにおいて、S12ステップにおいて登録した電話番号からの着信があると鳴動する親機、子機の設定処理を行う。具体的には、おやすみモード中に着信音の鳴動を許可する電話番号と端末の情報を対応づけてRAM243に格納する。例えば、図4に示すように、電話番号「090−××××−○○○○」には親機20が対応付けられ、電話番号「080−△△△△−××××」には、親機20と子機50が対応付けられ、電話番号「0857−××−□□□□」には、子機30と子機40が対応付けられ、電話番号「050−○○○○−△△△△」には、全ての端末が対応付けられていない。例えば、電話番号「090−××××−○○○○」から着信があれば、おやすみモードであっても親機20からのみ着信音が鳴動され、他の子機30〜50からは着信音が鳴動されない。
【0040】
尚、本実施例では、入力部27からの入力操作により、おやすみモードフラグのオン、オフの設定を可能としているが、おやすみモードフラグのオン、オフ専用のキー「おやすみモード設定キー」を設けており、このキーの押下によりオン、オフ設定を可能としている。
【0041】
次に、図5に示す設定後、おやすみモードを起動中に予め設定した電話番号からの着信があった際の動作について図6のフロー図を参照して説明する。
【0042】
S21ステップにおいて、制御部24は、電話回線制御部21が公衆回線Lから着信信号を検出したと判定すると、S22ステップへ処理を進める。
【0043】
続くS22ステップにおいて、制御部24は、RAM243に格納されているおやすみモードフラグがオンに設定されていると判定すると、S24ステップへ処理を進め、そうでなければ、S23ステップへ処理を進める。
【0044】
S23ステップでは、制御部24は、スピーカー255から着信音を鳴動するように制御すると共に、無線部23を制御することにより、全ての子機に対して着信音の鳴動指示を示す信号を無線により送信する。子機の制御部34は、無線部33が親機からの着信音の鳴動指示を示す信号を受信したと判定すると、スピーカー351から着信音を鳴動させる。即ち、S23ステップでは、親機と全ての子機から着信音が鳴動されることになる。この後、図示していないが、通常の着信応答、通話、通話終了処理が行われた後に待機状態となる。
【0045】
S24ステップにおいて、制御部24は、電話回線制御部21が回線Lから受信した相手先の電話番号と、RAM243に予め格納されている電話番号(例えば、図4に示す「090−××××−○○○○」)とが一致したと判定すると、予め設定した電話番号からの着信であると判定し、S26ステップへ処理を進め、一方、電話回線制御部21が回線Lから受信した相手先の電話番号と、RAM243に予め格納されている電話番号とが一致しない、或いは公衆電話、非通知等の相手先からの着信であると判定すると、S25ステップへ処理を進める。
【0046】
S25ステップでは、制御部24は、スピーカー255からの着信音の鳴動を禁止すると共に、子機への着信音の鳴動指示を示す無線信号の送信も禁止する。即ち、S25ステップでは見かけ上、コードレス電話装置が通常の待機状態と同じ状態となっている。
【0047】
S26ステップでは、制御部24は、S24ステップで判定した特定の相手先の電話番号と対応する端末(親機、子機)の情報がRAM243に格納されているか否かを判定する。例えば、S24ステップで特定の電話番号(例えば、「090−××××−○○○○」)から着信があり、図4に示すように対応する端末が親機20としてRAM243に設定されていれば、続くS28ステップにおいて親機20のみから着信音を鳴動させる。又、S24ステップで特定の電話番号(例えば、「050−○○○○−△△△△」)から着信があったとしても、図4に示すように対応する端末がRAM243に設定されていない場合はS27ステップに処理を進める。
【0048】
S27ステップでは、制御部24は、着信音の鳴動を許可する相手先の電話番号と対応する端末がRAM243に設定されていないと判定し、親機20と子機30〜50全ての端末からの着信音の鳴動を禁止する。
【0049】
S28ステップでは、制御部24は、S24ステップで判定した特定の相手先の電話番号と対応する端末(親機、子機)のみ着信音の鳴動を許可する。例えば、S24ステップで特定の電話番号(例えば、「090−××××−○○○○」)から着信があり、S26ステップにおいて、対応する端末が親機20としてRAM243に設定されていれば(図4参照)、このS28ステップにおいて親機20のみから着信音を鳴動させる。
【0050】
以上、本実施例装置では、おやすみモード中に予め設定した電話番号から着信があれば、予め設定した電話番号に対応する端末のみからの着信音の鳴動を許可する。
【0051】
本実施例装置を用いれば、例えば、親機20を居間に置き、子機30を子供部屋、子機40をお年寄りの部屋へ置き、子機50を親の部屋へ置いておいた場合に、おやすみモードが起動中に特定の相手からの電話着信があった場合に、親機20と子機50だけ着信音を鳴動させ、子機30と子機40の着信音の鳴動を禁止する様に使用することができる。
【0052】
このように使用すると、夜早く就寝する子供やお年寄りの部屋の子機30、40は着信音を鳴らさないので睡眠を妨げることはなく、着信を知らせる必要がある親機20、子機50には着信音を鳴動させることが出来るので、家族全員が寝ている時間帯であっても、緊急の相手先からの着信に対しては真に応答すべき家族の一員のみが着信音を聞き、着信に応答することができる。
【符号の説明】
【0053】
10・・・コードレス電話装置
20・・・親機
21・・・電話回線制御部
22・・・音声信号処理部
23・・・無線部
24・・・制御部
255・・スピーカー
26・・・表示部
27・・・入力部
28・・・フック検出部
29・・・アンテナ
30、40、50・・・子機
32・・・音声信号処理部
33・・・無線部
34・・・制御部
243・・・RAM
351・・スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と、当該親機と無線接続可能な複数の子機とからなり、予め設定した時間帯には着信音の鳴動を禁止する機能を有するコードレス電話装置であり、
前記予め設定した時間帯における着信であっても着信音の鳴動を許可する電話番号を登録する電話番号登録機能と、当該電話番号登録機能により登録された電話番号と前記親機及び/又は前記子機とを対応付けて登録する端末登録機能と、を有し、
前記予め設定した時間帯であっても、前記電話番号登録機能により登録された電話番号からの着信であれば、前記電話番号に対応する前記端末登録機能により登録された親機及び/又は子機のみからの着信音の鳴動を許可することを特徴とするコードレス電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−70290(P2012−70290A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214645(P2010−214645)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】