説明

コードレス電話装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、子機に、電話番号を表示する表示器を設けたコードレス電話装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開平4−144345号公報に開示されている如く、発信する電話番号を表示する表示器を設けた電話装置が開発されている。このような構成は、現在普及しているコードレス電話装置の子機にも適用され、子機にてダイヤル発信するとき、その発信電話番号をその子機の表示器により確認することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コードレス電話装置にあっては、親機自体にテンキー等を設け、親機の操作でダイヤル発信できるようにしたものがある。
【0004】このような構成にあっても、親機のテンキー等の操作で子機の表示器に電話番号を表示するのが好ましいが、常に親機の側に子機が置いてあるとは限らず、親機から離れた所に子機が置いてある場合にまで、親機側の操作に基づき子機の表示器を制御するのは親機から子機への無駄な電波の放射及び無駄な電力の消費を招く結果になった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のコードレス電話装置は、電話回線に接続された親機と、表示器を有し、前記親機と無線で結ばれた子機よりなり、前記親機にダイヤル操作手段を設けたコードレス電話装置において、前記親機に子機が載置されていることを検出する手段を設け、前記子機が前記親機に載置されているとき、或いは前記子機が親機から持ち上げられてから所定時間内に、前記親機のダイヤル操作手段が操作されると、該ダイヤル操作手段に基づくダイヤル番号表示を前記子機の表示器に行なうことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】本発明は、上記のように構成したものであるから、子機が親機に載置されているとき、或いは親機から持ち上げられてから所定時間以内に、親機のダイヤル操作がされると、このダイヤル操作に基づくダイヤル番号表示を子機の表示器に行なうことになる。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0008】図1は、本発明のコードレス電話装置の親機(1)のブロック図で、(3)は回線接続回路(4)及びネットワーク回路(5)を介して電話回線(L)と接続された送受信回路で、アンテナ(6)を介して子機(2)と交信を行なう。(7)は回線接続回路(4)を介して電話回線(L)にダイヤル信号を発生するダイヤル回路、(8)はキー回路で、ダイヤル発信を行うためのテンキー(9)、通話キー(10)、後述するディレクトリメモリ(13)をアクセスするディレクトリキー(11)及びディレクトリメモリ(13)から読み出すデータを変更する変更キー(12)とからなる。(13)はディレクトリメモリで、図示せぬ手段により複数の電話番号データを記憶している。(14)はRAMからなるデータメモリ、(15)は充電端子、(16)は内蔵のプログラムに従い送受信回路(3)、回線接続回路(4)、ダイヤル回路(7)及びディレクトリメモリ(14)の制御を行なう制御回路で、マイクロプロセッサにより構成されている。尚、この制御回路(16)は前記充電端子(15)の端子電圧も監視している。
【0009】図2は、子機(2)のブロック図を示し、(17)は親機(1)よりの信号を受信する受信回路で、受信出力がアンプ(18)に供給され、受話用スピーカ(19)で拡声されるよう構成されている。尚、アンプ(18)はゲインを変更できるように構成されている。(20)は送信回路で、送話用マイクロホン(21)が接続されている。又、送信回路(20)内には、送話用マイクロホン(21)からの信号を遮断するミュート回路(図示せず)が設けられている。(22)はキー回路で、テンキー(23)、通話キー(24)、ディレクトリキー(25)、変更キー(26)及び通話を終了するための切キー(27)とからなる。(28)は1つの電話番号を表示する表示器、(29)は親機(1)の充電端子(15)に接続される充電端子である。尚、子機(2)は親機(1)に載置自在に構成されており、親機(1)に載置されたときに夫々の充電端子(15)(29)が接続されるようにしている。(30)は充電端子(15)(29)を介して親機(1)からの充電を受ける電池である。(31)は子機(2)全体を制御する制御回路で、内蔵のプログラムにより処理制御を行なうマイクロプロセッサで構成されている。尚、この制御回路(31)も充電端子(29)の端子電圧を検出するようにしている。
【0010】図3乃至図6は親機(1)の制御回路(16)の要部のプログラムのフローチャートで、以下これらに基づいて動作を説明する。
【0011】まず、親機(1)の制御回路(16)は、初期設定において、フラグレジスタFを0に設定する(ステップS1)。
【0012】而して、最初に、子機(2)が親機(1)に載置され、充電されている場合について説明する。尚、この時、夫々の充電端子(15)(29)から制御回路(16)(31)にはHレベル信号が与えられている(ステップS2)。ここで、親機(1)のテンキー(9)が操作されると、親機(1)の制御回路(16)はそのテンキーに対応する番号のデータをデータメモリ(14)に記憶すると共に、その番号データを子機(2)に送信する(ステップS3、S4−1)。子機(2)においては、この番号データの受信により、この番号を表示器(28)に表示することになる。この後、親機(1)のテンキー(9)が操作される度に、同様に子機(2)に番号データを送信し(ステップS4−5)、子機(2)はその番号を表示器(28)に表示することとなる。又、親機(1)の制御回路(16)は親機(1)の通話キー(10)が操作されると、回線接続回路(4)を制御して電話回線(L)を接続した後に、子機(2)に対し回線接続信号を送信し、そしてデータメモリ(14)にストアされた電話番号データに基づきダイヤル回路(7)を制御してダイヤル発信を行なうことになる(ステップS4−2〜4)。尚、子機(2)の制御回路(31)にあっては、回線接続信号を受信すると、充電中か否かで異なる処理を行なうことになる。即ち、充電中(Hレベル)であれば、アンプ(18)のゲインを高くし、再生音を大きくすると共にマイクロホン(21)にミュートをかける。又、充電中でなくなればアンプ(18)のゲインを低くすると共にマイクロホン(21)のミュートを解除する。即ち、親機(1)に子機(2)が載せられている状態で、親機(1)のテンキー(9)、通話キー(10)が操作されれば、子機(2)のスピーカ(19)から通常よりも大きい音が再生される。但し、この時、マイクロホン(21)はミュートがかかっているのでハウリングを行すことはない。又、上記状態で、子機(2)を持ち上げれば通常の通話が可能となる。
【0013】又、親機(1)のテンキー(9)の操作後、子機(2)の表示器(28)に表示されている電話番号を確認した後、ユーザーが子機(2)を持ち上げてこの子機(2)の通話キー(24)を操作すると、子機(2)からは接続要求信号が送信され、これを受信した親機(1)の制御回路(16)は前述したと同様に電話回線(L)を閉結すると共にダイヤル発信を行なうことになる(ステップS4−6〜8)。
【0014】尚、この時は、子機(2)の制御回路(31)は当初からアンプ(18)のゲインを低く設定すると共にミュートを解除する。
【0015】この後、子機(2)の切キー(27)が操作され、終了信号を受信すると、電話回線(L)を開放すると共に電話回線解放信号を子機(2)に送信する(ステップS4−9〜11)。この電話回線解放信号を受信した子機(2)の制御回路(31)は、表示器(28)の表示をクリアーし、受信待機状態に復帰する。
【0016】次に、ステップS5で親機(1)の通話キー(10)が操作されたことを検出すると、親機(1)の制御回路(16)は、電話回線(L)を閉結すると共に電話回線接続信号を送信する(ステップS6−1〜2)。子機(2)にあっては、前述したと同様に、この電話回線接続信号を受信すると、充電中か否かでアンプ(18)のゲインと送信回路(20)のミュートを制御することになる。
【0017】而して、この親機(1)のテンキー(9)が操作されると、親機(1)の制御回路(16)は、テンキー(9)が操作される度、それに対応する電話番号データを子機(2)に送信すると共に電話回線(L)にダイヤル発信を行なうことになる(ステップS6−3、4、6)。この電話番号データを受信した子機(2)の制御回路(31)は前述と同様に子機(2)の表示器(28)にその電話番号を表示することになる。尚、親機(1)の通話キー(10)の操作後、子機(2)を持ち上げ、そしてこの子機(2)のテンキー(9)を操作した場合、子機(2)の制御回路(31)は、電話番号データを親機(1)に送信すると共に、当然その電話番号を表示器(28)に表示する。電話番号データを受信した親機(1)の制御回路(16)はダイヤル発信を行なう(ステップS6−5、6)。
【0018】この後、子機(2)の切キー(27)が操作され、終了信号を受信した親機(1)の制御回路(16)は前述したと同様に電話回線(L)を解放すると共に子機(2)に電話回線解放信号を送信する(ステップS6−7〜9)。
【0019】次に、ステップS7で親機(1)のディレクトリキー(11)が操作されたことを検出すると、親機(1)の制御回路(16)はディレクトリメモリ(13)の先頭番地の電話番号データを読み出し、データメモリ(13)にストアすると共に子機(2)にそのデータを送信する(ステップS8−1)。この電話番号データを受信した子機(2)の制御回路(31)は表示器(28)にその番号を表示する。この後、親機(1)の変更キー(12)が操作されたとき、又は子機(2)の変更キー(26)が操作され、子機(2)からの変更信号を受信したとき、親機(1)の制御回路(16)は次の番地の電話番号データを読み出して前述したと同様にそのデータを子機(2)に送信する(ステップS8−2、3)。この後、親機(1)の通話キー(10)が操作された場合、或いは親機(1)からの回線接続要求信号を受信した場合にあっては、前述したステップS4−2〜4、S4−7〜11と同様の処理を行なう(ステップS8−4〜11)。
【0020】次に、親機(1)に載置されている子機(2)が持ち上げられると、親機(1)の制御回路(16)は、フラグレジスタFを「1」に設定し内蔵のタイマーをスタートさせる(ステップS9〜11)。そして、この子機(2)の持ち上げから5秒以内に親機(1)のいずれかのキーが操作されると、親機(1)の制御回路(16)は前述した処理(S4、S6、S8)を行なうが、5秒を経過後はステップS1に移行し、フラグレジスタFを「0」に再度設定する(ステップS13、1)。この後、子機(2)が親機(1)に載置されないままでいる場合、ステップS2で充電なし(Lレベル)と判断されるので、再度親機(1)に載置されるまでは親機(1)からの接続要求信号、ダイヤル信号、ディレクトリ信号を監視し、親機(1)の各キーの操作に対しては何ら処理を行なわない(ステップS14〜19)。
【0021】即ち、子機(2)が親機(1)から持ち上げられてから、5秒以内であれば、親機(1)の各キーの操作により、子機(2)の表示器(28)に電話番号が表示されるが、5秒を経過すると、親機(1)の各キーを操作してもそれにより子機(2)の表示器(28)には何ら表示されることはない。これは、5秒以内であれば子機(2)は親機(1)の側にあり、ユーザーは子機(2)を持った状態で親機(1)のキーを操作していると考えられ、5秒を越えると、子機(2)を親機(1)から離れた場所に持っていき、子機(2)自体を操作すると考えられるからである。又、これにより、子機(2)が親機(1)と離れた場合に置かれている場合に、親機(1)のキーが不用意に操作されても、子機(2)の表示器(28)は駆動されることはない。
【0022】而して、接続要求信号、ダイヤル信号、ディレクトリ信号の受信により、親機(1)の制御回路(16)は、各処理を子機(2)の各キーによる指示に基づいて行なうことになる(S15、17、19)。
【0023】
【発明の効果】本発明は、上記のように、子機が親機に載置されているとき、或いは親機から持ち上げられてから所定時間内に、親機のダイヤル操作がされると、このダイヤル操作に基づくダイヤル番号表示を子機の表示器に行なうことになり、親機の側に子機があるときにダイヤル番号表示を子機の表示器に行なうことができ、無駄な電波の放射、電力の消費を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコードレス電話装置の親機のブロック図である。
【図2】本発明のコードレス電話装置の子機のブロック図である。
【図3】本発明の親機の制御回路に書き込まれた要部のプログラムのフローチャートである。
【図4】本発明の親機の制御回路に書き込まれたテンキー処理に関する要部のプログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の親機の制御回路に書き込まれた通話キー処理に関する要部のプログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の親機の制御回路に書き込まれたディレクトリキー処理に関する要部のプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
1 親機
2 子機
8 キー回路
16 制御回路
28 表示器
31 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電話回線に接続された親機と、表示器を有し、前記親機と無線で結ばれた子機よりなり、前記親機にダイヤル操作手段を設けたコードレス電話装置において、前記親機に子機が載置されていることを検出する手段を設け、前記子機が前記親機に載置されているとき、或いは前記子機が親機から持ち上げられてから所定時間内に、前記親機のダイヤル操作手段が操作されると、該ダイヤル操作手段に基づくダイヤル番号表示を前記子機の表示器に行なうことを特徴とするコードレス電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】特許第3363597号(P3363597)
【登録日】平成14年10月25日(2002.10.25)
【発行日】平成15年1月8日(2003.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−162255
【出願日】平成6年7月14日(1994.7.14)
【公開番号】特開平8−33045
【公開日】平成8年2月2日(1996.2.2)
【審査請求日】平成13年5月14日(2001.5.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【参考文献】
【文献】特開 平7−95280(JP,A)
【文献】特開 平7−297899(JP,A)